説明

樹脂性チューブのシール部加熱装置

【課題】外気温度が変化した場合でも、熱風の温度調整を行うことなく、良好なシール部加熱を常に確保し、簡単な構造で品質向上を図る。
【解決手段】熱風発生器11に上端部が連結された熱風管10の下端部側には、樹脂性チューブ1のシール側端部2c内周部に熱風を噴出するノズル14を設ける。熱風管10の上端部側面に接続した排気管40の途中には、自重により閉鎖する自動排気制御弁41を設け、自動排気制御弁41の弁体48には、バランスウェイト49を着脱可能に取り付ける。又、弁体48は、排気管40に対して下方偏芯して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂性チューブのシール部加熱装置に関するものであり、特に、熱風の排気量を自動調節することにより、樹脂性チューブのシール側端部外周部近傍における外気の吸収もしくは熱風の外気側への漏出を防止し、シール部を常に良好に加熱しうる樹脂性チューブのシール部加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品等の充填物を充填するための樹脂性チューブは、チューブ本体の一端部側に注出口を備えた首部と、該首部とチューブ本体端部全周とを結合する肩部とが一体成形されている。この首部には、ねじ付きキャップが着脱自在に設けられ、チューブ本体の他端部は、熱融着によりクランプシールされている。具体的には、前記シール側他端部は、シール部加熱装置により熱風を噴出することで、加熱して軟化溶融させたのちクランプシールされる。
【0003】
前記充填物の充填工程では、図9に示すように、まず、樹脂性チューブ1の注出口にキャップ3を取付け、該キャップ3側を下方にして、樹脂性チューブ1を上下逆に保持し、チューブ本体2のクランプシール部となるシール側上端部2cを開口させる。そして、該上端部2c内に充填ノズル4を挿入して、チューブ本体2内に充填物Fを注入する。
【0004】
次に、図10に示すように、樹脂性チューブ1をシール部加熱装置55に搬入し、樹脂性チューブ1のシール側上端部2cの開口内に、熱風ノズル56を挿入させる。熱風ノズル56を囲繞する熱風管57の上部側は、排気連結パイプ58を介して、排気を吸引するためのブロアー59に接続され、又、熱風管57の上端開口部には熱風発生器60が連結されている。
【0005】
而して、熱風発生器60から導入された熱風は、加熱内管60aを下降して熱風ノズル56内に流入する。ここで、図11に示すように、例えば、熱風ノズル56が下側有底タイプのものにあっては、噴出孔56a,56a…から噴出した熱風が、チューブ本体2のシール側上端部2c内周部を加熱した後、高熱排気として熱風管57の流出路57a内を上方へ向かって流れる。この高熱排気は、ブロアー59によって吸引されて、排気連結パイプ58等を経て外部に排出される。
【0006】
この後、チューブ本体2のシール側上端部2cが加熱溶融されると、樹脂性チューブ1はシール部加熱装置55から取り外され、図示せぬシールクランプ装置内に搬入される。そして、シール側上端部2cは、シールクランプ装置によってクランプして融着シールされる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−321002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、シール部加熱装置55において、樹脂性チューブ1のシール側上端部2cの加熱が過剰である場合、シール側上端部2cが拡大変形もしくは外観不良となる虞があり、逆に、シール側上端部2cの加熱が不足する場合、シール不足が発生する虞がある。
【0008】
そこで、シール側上端部2cの加熱不足を防ぐために、熱風発生器60から導入する熱風の温度を上げると、熱風がシール側上端部2c近傍部を過熱させる虞がある。又、熱風発生器60から導入する熱風の量を増大すると、熱風がシール側上端部2cの外側部近傍を過熱したり、チューブ表面や治具H等を加熱する虞がある。
【0009】
他方、ブロアー59の排気吸引力を高めると、熱風の排出が迅速になり、シール側上端部2cの過熱を防ぐことができる。しかし、シール側上端部2cの外側部近傍から外気を過度に吸引し、シール側上端部2cの外側部を過度に冷却する虞がある。
【0010】
従来技術では、シール側上端部2c近傍にて外側部側へ熱風を漏出させることなく、かつ、外気を吸引することなく、シール側上端部2cを最適な条件で加熱すべく、ブロアー59の排気吸引力、並びに、熱風発生器60からの導入熱風を微調節することは、極めて困難であった。そのため、従来は、シール側上端部2cの外側部側へ熱風を漏出させないように、ブロアー59の排気吸引力をやや高めに設定し、シール側上端部2cの外側部近傍から若干の外気を吸引することを許容していた。
【0011】
このように、熱風ノズル56から吹き出した熱風は、図10に示すように、ブロアー59にて熱風管57の上方排出路側に吸引し、吸い込み調節弁61を有する排気連結パイプ58を経由して、大気中へ排出する方法であったが、熱風ノズル56からの熱風吹出し量よりも、ブロアー59による排気吸引量の方が少ない場合は、充填内容物Fを含む樹脂性チューブ1等を過度に加熱し、高温による充填内容物Fの変質等の不具合を招くおそれがあった。
【0012】
これを防止するため、ブロアー59による排気吸引量が、熱風ノズル56からの熱風吹出し量よりも多くなるように調整することが多いが、この場合は、熱風吹出し量と排気吸引量との差だけ、熱風管下端側の加熱下筒57b入口より外気が余計に吸引されるため、樹脂性チューブ1のシール側上端部2cにおいて、外気の気温及び周囲温度の変化の影響を直接受ける。この結果、同一種類の製品に対してシール部加熱を行う場合であっても、外気の気温及び周囲温度が時々刻々と変化する場合、これに伴い、熱風発生器60の温度を適切に常時調節する必要がある。又、外気の気温等の変化に対応すべく、熱風流量を常時調節することがあるが、この場合は、ブロアー59による排気吸引量をそのつど最適値に調節する必要がある。
【0013】
しかし、ブロアー59の排気吸引量の調整は、熱風発生器60の温度調整と同様に、高度な技術を要する。即ち、熱風吹出し量や排気吸引量の調節作業にあたっては、高度な長年の経験と勘を要する。したがって、調節作業に精通した特定の熟練作業者がいない場合、熱風吹出し量と排気吸引量との調整が不適切になり、上記シール部加熱個所にて悪影響を与えて、不良品発生の原因になっていた。
【0014】
例えば、ブロアー59による吸引がない場合、又は、この吸引が弱い場合は、図12に示すように、排気吸引量よりも熱風吹出し量が多いので、余分な熱風が外部に吹き出す。その結果、熱風が樹脂性チューブ1の外側部側に噴出し、シール側上端部2cや外部のチューブ保持用治具Hなどの周辺部品を過度に加熱することがあった。
【0015】
逆に、ブロアー59による吸引が強すぎる場合は、図13に示すように、熱風吹出し量よりも排気吸引量が多くなるので、外気を吸引してノズル温度を低下させ、熱風ノズル56より吹き出る熱風の温度も低下する。この結果、シール側上端部2cの外側部近傍から外気を過度に吸引し、チューブ表面やシール側上端部2cの外側部を過度に冷却することがあった。
【0016】
前述の如く、ブロアー吸引方式によれば、吸引される外気の温度変化に伴い、シール側上端部2c及びその周辺の温度が不安定となる。これを防止するには、元の熱風発生器60の指示温度を厳密に上下調整する必要があるが、この温度調整が難しい。もし、厳密な温度調整が確保されないときは、シール不良が生ずることがあった。
【0017】
一方、ブロアー吸引方式とは別に、渦巻き発生ノズルによる加熱方式も知られている。これによれば、ブロアー排気吸引方式の場合と異なり、熱風排気を過度に吸引することがなく、外気の影響を大きく受けることも少ない。しかし、熱風流量が大となった場合は、排気力も増大するため、加熱下筒の入口近傍より相応量の外気を吸引する。その結果、ブロアー排気吸引方式と同様に、熱風ノズルが外気温度の影響を受けて過度に冷却される。よって、これを防止するために、外気温度の変化に応じて、熱風発生器の設定温度をそのつど上下させて調整する必要が生じる。
【0018】
そこで、ブロアーを使用することなく、熱風吹出し量と熱風排気量との自動調整を確保し、外気温度が変化した場合でも、熱風の設定温度調整を不要にし、良好なシール部加熱を常に確実に行えるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、熱風発生器に上端部が連結された熱風管と、該熱風管の下端部側に配設された熱風噴出用ノズルとを備え、該ノズルから噴出する熱風により、樹脂性チューブのシール側端部を加熱する樹脂性チューブのシール部加熱装置において、前記熱風管の上端部側面に排気管が接続されていると共に、該排気管内に、ヒンジピンを介して自動排気制御弁の上部が枢着され、該自動排気制御弁は、熱風排気圧力が設定値以上になると開き、設定値未満になると自重により閉じるように構成されている樹脂性チューブのシール部加熱装置を提供するものである。
【0020】
この構成によれば、排気管の途中に設置した自動排気制御弁には、熱風の排気量に合った背圧(back pressure)が発生することにより、熱風の流量の大小に応じて、熱風排気量が常に自動的に調整される。例えば、熱風の流量が少量の時、自動排気制御弁は小さい開口角度で開き、一方、熱風の流量が多くなると、熱風の熱風排気量、排気圧力とバランスするまで、自動排気制御弁の開口角度が次第に大きくなる。従って、熱風の流量に見合った適量だけを常に排気し、余分な外気を吸引することも無くなる。
【0021】
請求項2記載の発明は、上記排気管は、上記熱風管の上端部側面に連結された連結パイプと、該連結パイプに接続された大気パイプとから成り、該大気パイプと連結パイプとの間に上記自動排気制御弁が設けられている請求項1記載の樹脂性チューブのシール部加熱装置を提供する。
【0022】
この構成によれば、連結パイプと大気パイプとの接続部分に自動排気制御弁が設けられているので、連結パイプから大気パイプを取り外すことにより、自動排気制御弁の設置又は脱着を手軽に行える。
【0023】
請求項3記載の発明は、上記自動排気制御弁の弁体には、バランスウェイトが着脱可能に取り付けられている請求項1又は2記載の樹脂性チューブのシール部加熱装置を提供する。
【0024】
この構成によれば、自動排気制御弁の弁体には、バランスウェイトが着脱可能に取り付けられているので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、シール部加熱装置の使用条件、熱風管や排気管の容量および運転負荷などの設計条件に応じて、これと見合う重量のバランスウェイトに取り替えることができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明は、所定以上の排気圧力の作用で開く自動排気制御弁を排気管内に設けたことにより、流量負荷に応じた熱風必要量だけ排気し、余分な外気を吸引することが無くなるので、外気温度の変化が大きい場合であっても、熱風の温度が外気の影響を受けることがなく、熱風の設定温度を上下調整する必要がない。又、自動排気制御弁の開き角は、熱風の排気量に比例して変化するので、排気圧力の広範囲にわたって、安定した排気量コントロールが可能になるという格別の効果を奏する。
【0026】
さらに、本発明によれば、熱風の排気量調整が弁開閉により自動で行われるので、特定の経験者による排気量調整作業が不要になる。また、自動排気制御弁は、排気管に蝶番式にヒンジピンで取り付けられるので、構成が簡易であるだけでなく、自動排気制御弁を排気管の所望個所に容易に取り付けることができ。特に長期間に渡って保守点検を行う必要もないという特有の利点がある。
【0027】
請求項2記載の発明は、連結パイプから大気パイプを取り外すことにより、自動排気制御弁の着脱が行えるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、自動排気制御弁の取り付け取り外し作業を簡単・迅速に行えるメリットがある。
【0028】
請求項3記載の発明は、シール部加熱装置の使用条件や熱風排気の流量負荷などを変更した場合でも、バランスウェイトの重量を変更できるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、熱風の排気量又は排気圧力に対応すべく、自動排気制御弁の開弁設定圧ないし弁開口角度を任意に変更することができ、設計の自由度が向上するという著大な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、熱風発生器に上端部が連結された熱風管と、該熱風管の下端部側に配設された熱風噴出用ノズルとを備え、該ノズルにより、樹脂性チューブのクランプシール部となる端部内周部に熱風を噴出するように構成し、熱風管の上端部側面に排気管が接続されていると共に、該排気管の途中に、自動排気制御弁の上部がヒンジピンを介して枢着され、該自動排気制御弁は、熱風排気圧力が設定値以上になると開き、設定値未満になると自重により閉鎖することによって、外気温度が変化した場合でも、熱風の吹出し量と排気量を自動的にバランスさせて、ブロアーを設けることなく、かつ、熱風の設定温度の調整作業を行うことなく、常に良好なシール部加熱を確保でき、熟練者が不要になるという目的を実現した。
【0030】
排気管は連結パイプと大気パイプとから構成し、両パイプの間に自動排気制御弁を設ける。これによると、連結パイプから大気パイプを取り外すことにより、自動排気制御弁の着脱が容易になる。又、自動排気制御弁の弁体にはバランスウェイトを着脱可能に取り付け、バランスウェイトの重量は、シール部加熱装置の使用条件や運転負荷などに応じて設定する。これにより、自動排気制御弁の自重を簡単に変更できるので、自動排気制御弁の開弁設定圧や弁開口角度は、熱風の排気量(排気管の容量)、排気圧力に柔軟に対応して容易に変更させることができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図8に従って詳述する。図において、樹脂性チューブ1のシール部加熱装置9は、加熱内筒10aと排気外筒10bで形成された上下開放の二重筒型熱風管10と、該熱風管10の加熱内筒10a上端部に連結された熱風発生器11と、該加熱内筒10aに連結された渦巻流発生器13と、該渦巻流発生器13の下部に配設された熱風噴出用ノズル14と、該熱風噴出用ノズル14の外側に配設された加熱下筒15とから概略構成されている。16は、加熱内筒10aと排気外筒10bとの間に形成された排気孔であり、排気孔16から排出される排気は、排気外筒10bに接続された後述の排気管40を経由して、外部へ排出される。
【0032】
架台20の開口部20a上縁部において、架台20の上面に渦巻流発生器13のフランジ13bが載置され、フランジ13bの上部には熱風管10の鍔部10dが重合している。熱風噴出用ノズル14のフランジ14aは、スペーサ21の下面にて架台20の開口部20a側面に嵌合している。更に、加熱下筒15の上端面はフランジ14aに当接し、加熱下筒15の鍔部15aは架台20の下面に当接している。そして、鍔部10d,15a及びフランジ13bの各ボルト孔及び通し孔20b,20b…を貫通締着したボルト22,22…によって、架台20の上面にシール部加熱装置9が設置されている。
【0033】
図2に示す如く、治具Hにより上下逆方向に保持された樹脂性チューブ1内には、充填物Fが充填され、シール側上端部2c開口内には、熱風噴出用ノズル14の先端部が挿入される。挿入後、熱風発生器11から熱風が吐出されて、熱風噴出用ノズル14に送られると、噴出口23から熱風が噴出される。この熱風は、シール側上端部2c内周部を加熱した後、高熱排気として排気孔16内に上昇流入する。
【0034】
渦巻流発生器13の筒状本体部13aのフランジ13bには、排気孔16と連通する排気口13c,13c…が設けられ、本体部13aの上端面に形成した皿状の支承面13dには、加熱内筒10aの下端面が嵌合連結され、本体部13aの外側面下方部位に形成した熱風取込通路24には、図3に示すように、螺旋状翼25が設けられている。熱風噴出用ノズル14は上下面開放の筒状本体14bを有し、筒状本体14bの切欠部下底面と渦巻流発生器13の下端面との間には、熱風取込通路24に熱風を取込むための空隙部が形成されている。加熱内筒10aから出る熱風の一部は、空隙部にて捕捉されて、熱風取込通路24に圧送される。
【0035】
熱風取込通路24に圧入された熱風は、螺旋流又は渦巻流を発生し、排気孔16内を加速しつつ上昇する。又、筒状本体14bの下端部位外側面はテーパ状に縮径され、シール側上端部2c開口部に遊挿するよう形成されている。図2に示す如く、筒状本体14b内部から渦巻流発生部材27が、筒状本体14b下方に延設して固着されている。渦巻流発生部材27の下端部に固着した円板状先端部材28の上面中央部には、図4に示す如く、環状溝29が形成され、その外側に形成された複数の渦巻状溝30,30…の溝底部は放射方向に傾斜して形成されている。
【0036】
先端部材28の上面に設けられた螺旋流発生体32の筒体の外周面には、螺旋状溝33,33…を有する複数条の螺旋リブ31,31…が形成され、螺旋流発生体32の上部に設けられた円板状の上板34には、熱風を下方向に流通させる多数の孔34a,34a…が開穿されている。上板34及び螺旋流発生体32の中心部には挿入孔が設けられ、挿入孔が介して、上板34の上面からボルト35が挿入されている。更に、先端部材28の中心部に設けられた雌ネジ部28aにボルト35を螺着することで、螺旋流発生体32に上板34及び先端部材28が一体的に固定されている。
【0037】
斯くして、上板34の孔34a,34a…から進入した熱風は、螺旋状溝33,33…によって螺旋方向に回転力を付与され、環状溝29内で回転しながら渦巻状溝30,30…に送られる。ついで、熱風は噴出口23から螺旋方向に吹き上げられて、樹脂性チューブ1のシール側上端部2c内周面に噴射される。この熱風は、渦巻流発生器13で生成した渦巻流に吸引され、排気孔16内を渦巻状に旋回上昇して、排気管40を経て外部へ排出される。
【0038】
本実施例では、排気外筒10bに連結した排気管40には、熱風排気圧力が設定値以上になると開き、設定値未満になると自重により閉じる自動排気制御弁41が設けられている。この自動排気制御弁41による開弁度自動調整作用によって、排気孔16内の熱風を外部へ排出するためのブロワー等を設けることなく、排気孔16内の熱風を自然に高速で外部へ排気させることができる。以下、この自動排気制御システムについて詳述する。
【0039】
図1中、38は、熱風管10の排気外筒10b上端部近傍にて側方へ折曲して水平延設された排気用連結パイプ(排気延設管)、39は排気用連結パイプ38に接続された大気パイプであり、これらパイプ38,39は排気管40を構成している。また、連結パイプ38と大気パイプ39との接続部分には、図5に示すように、円形弁座42を有するフランジ付き筒部材43が介設されている。筒部材43は前記接続部分に内嵌固定され、この筒部材43の熱風流出側面部分43aに弁座42が形成されている。
【0040】
図6に示すように、弁座42の円形開口部の径は、排気用連結パイプの円形開口部の径よりも小さく、かつ、弁座42の開口中心は、排気用連結パイプ38の開口中心に対し下方側へ若干偏位して形成されている。尚、弁座42の開口中心は、排気用連結パイプ38の開口中心に一致させることもある。又、弁座42の上方に固設した一対の取付け部50間には支点ピン44が支持され、支点ピン44には、自重閉鎖式自動排気制御弁41が開閉自在に取り付けられている。
【0041】
自動排気制御弁41は、支点ピン44に上端部が蝶番式に枢着された棒状揺動部材45と、この揺動部材45に上下の止めネジ46,47で取り付けられた円形の弁体48とを備える。揺動部材45の上端側枢着部は、自由に回動できるよう、支点ピン44に軽く遊嵌して連結されている。揺動部材45の下部には下側止めネジ47を介して、弁開閉特性調整設定用のバランスウェイト49が着脱可能に締着されている。バランスウェイト49の重量は、一定値以上の排気圧力(背圧)が弁体48に作用したときに、自動排気制御弁41が支点ピン44まわりに開くように設定され、この場合の自動排気制御弁41の開き角度θは、排気圧力(背圧)の大きさに比例する。尚、バランスウェイト49及び弁体48は金属等の耐熱性材料により形成される。
【0042】
次に、自重閉鎖式自動排気制御弁41の動作について説明すると、熱風排気流量が無い状態では、図5に示すように、バランスウェイト49付きの自動排気制御弁41は、自重によって閉じた状態になっている。そして、熱風排気流量が少量である場合は、熱風の排気圧力により、弁体48に開弁方向の背圧が作用する。このため、図7に示すように、自動排気制御弁41は、支点ピン44を支点とし回動して開弁し、少量熱風51の排気圧力が自動排気制御弁41の自重とバランスする角度まで開かれる。つまり、自動排気制御弁41の弁開度は、熱風の少量と見合う小さな開き角度θ1で停止する。
【0043】
次に、熱風の排気流量が増加して設定値以上になると、図8に示すように、大量の熱風52の排気圧力により、弁体48に作用する背圧が大きくなる。そのため、自動排気制御弁41は、支点ピン44を支点として開弁方向に更に回動変位し、大量熱風52の排気圧力が自動排気制御弁41の自重とバランスする角度まで開かれる。つまり、自動排気制御弁41の弁開度は、熱風の増加流量分だけ、更に大きな開き角度θ2まで回動変位して停止する。
【0044】
なお、図7及び図8の場合、バランスウェイト49の重量は、熱風の排気圧力の一定範囲と対応すべく最適値に決定されている。このため、熱風噴出用ノズル14の噴出部において、熱風の噴出がバランスした状態、すなわち、図12及び図13の従来例で説明したような吹き出し現象や吸引現象などの不具合が生ぜず、常に良好な熱風噴出し作用が確保される。
【0045】
このように、本実施例は、排気用連結パイプ38と大気パイプ39との間に、熱風の排気圧力が設定値になると開き、且つ、熱風の排気圧力が設定値未満になると、自重により閉鎖する自動排気制御弁41を設けたことを特徴とする。これにより、熱風の流量が少量の時、自動排気制御弁41は小さい開口角度で開くが、熱風の流量が多量になると、バランスウェイト49等を含む弁体重量と熱風の排気量(排気圧力)とが互いにバランスするまで、自動排気制御弁41は自動的に開き角度を増大させる。
【0046】
本実施例では、自動排気制御弁41の弁体48に熱風の排気量に合った背圧を発生させ、自動排気制御弁41の開き角度を熱風流量に応じて自動的に調整する。これにより、熱風噴出用ノズル14の噴出部周囲において、熱風の必要量だけを排気し、余分な外気を吸引することが無くなる。従って、外気温度の変化が大きい場合でも、熱風の温度が外気の影響を受けることがなく、熟練者による熱風温度の上下調整作業が不要になる。
【0047】
要するに、熱風の流量が少量の時は、小さい開口角度で開き、流量が多量の時は、その排気量、排気力にバランスするまで自動的に開くので、熱風の排気圧力に合った背圧を発生させ、常に最適な弁開度調整が自動的に確保される。又、自動排気制御弁41の開き角は、熱風の排気量に比例して、自動的に変化するので、熱風排気圧力の変動範囲が広い場合でも、安定した排気量コントロールが可能になる。
【0048】
また、連結パイプ38と大気パイプ39との接続部分に蝶番式の自動排気制御弁41を設けたので、両パイプ38,パイプ39の接続部分に取り外すのみで、自動排気制御弁41の着脱を容易に行える。さらに、自動排気制御弁41の弁体48にバランスウェイト49を着脱可能に取り付けたので、シール部加熱装置9の使用条件や運転負荷などに応じて、最適な重量を有するバランスウェイト49と取り替えることができる。よって、熱風の排気量又は排気圧力に対応して、自動排気制御弁41の開弁設定圧ないし弁開口角度を任意に変更できる。
【0049】
斯くして、自動排気制御弁41は着脱可能なバランスウェイト49を備え、熱風排気量の微調整も可能となるため、熱風管10の熱風容量や排気流量が変わった場合でも、加熱下筒15の下面開放部15bと樹脂性チューブ1のシール側上端部2cとの隙間から熱風が外部に漏出しないよう容易に調整変更できる。同時に、該隙間から外部の過度な冷気を吸引しないように、最適な条件に精度良く制御できる。
【0050】
本装置は、熱風が前記隙間から外部に漏出しないため、シール側上端部2cの外側面が過熱されることがなく、外観不良や変形、火膨れ等の発生を防止できる。また、該隙間から外部の過度の冷気を吸引しないため、樹脂性チューブ1のシール側上端部2cが、過度に冷却されて溶着不良を起こすこともない。加えて、自動排気制御弁41の弁体48は、排気管40に対して下方偏芯して配置したので、排気管40内の下方領域におけてスムーズな熱風の流通作用が生じ、揺動部材45の揺動作用が素早くなり、弁開閉動作時の応答性も高くなる。
【0051】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。たとえば、自動排気制御弁41は複数個設けることがある。また、場合によっては、自動排気制御弁41の手前(上流側)に邪魔板を設けることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、樹脂性チューブのシール部加熱装置の一部切欠縦断面図。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、樹脂性チューブのシール部加熱装置の詳細一部切欠縦断面図。
【図3】図1の渦巻流発生器の正面図。
【図4】図1の渦巻流発生部材の斜視図。
【図5】図1の自動排気制御弁が閉鎖している状態を示す詳細断面図。
【図6】図5の右側面図。
【図7】図1の自動排気制御弁が小さく開いた状態を示す詳細断面図。
【図8】図1の自動排気制御弁が大きく開いた状態を示す詳細断面図。
【図9】従来例を示し、樹脂性チューブの充填状態を示す一部切欠縦断面図。
【図10】従来例を示す樹脂性チューブのシール部加熱装置の一部切欠縦断面図。
【図11】従来例のノズル部分において樹脂性チューブのシール部を加熱する状態を示す詳細断面図。
【図12】従来例のノズル部分において熱風が外部に吹き出す状態を示す詳細断面図。
【図13】従来例のノズル部分において外気が吸引される状態を示す詳細断面図。
【符号の説明】
【0053】
1 樹脂性チューブ
2 チューブ本体
2c シール側上端部
3 キャップ
4 充填ノズル
6 熱風ノズル
6a 噴出孔
7a 開口部
7b フランジ
9 シール部加熱装置
10 熱風管
10a 加熱内管
10b 排気外管
11 熱風発生器
13 渦巻流発生器
14 熱風噴出用ノズル
15 加熱下筒
16 排気孔
20 架台
23 噴出口
24 熱風取込通路
25 螺旋状翼
38 排気用連結パイプ
39 大気パイプ
40 排気管
41 自動排気制御弁
42 弁座
43 フランジ付き筒部材
43a 熱風流出側面部分
44 支点ピン(ヒンジピン)
45 揺動部材
46 止めネジ
47 止めネジ
48 弁体
49 バランスウェイト
50 取付け部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風発生器に上端部が連結された熱風管と、該熱風管の下端部側に配設された熱風噴出用ノズルとを備え、該ノズルから噴出する熱風により、樹脂性チューブのシール側端部を加熱する樹脂性チューブのシール部加熱装置において、前記熱風管の上端部側面に排気管が接続されていると共に、該排気管内に、ヒンジピンを介して自動排気制御弁の上部が枢着され、該自動排気制御弁は、熱風排気圧力が設定値以上になると開き、設定値未満になると自重により閉じるように構成されていることを特徴とする樹脂性チューブのシール部加熱装置。
【請求項2】
上記排気管は、上記熱風管の上端部側面に連結された連結パイプと、該連結パイプに接続された大気パイプとから成り、該大気パイプと連結パイプとの間に上記自動排気制御弁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の樹脂性チューブのシール部加熱装置。
【請求項3】
上記自動排気制御弁の弁体には、バランスウェイトが着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂性チューブのシール部加熱装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−15745(P2007−15745A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200892(P2005−200892)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(390026055)ワイエル工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】