説明

樹脂成形体

【課題】強度などの問題がなく、特に資源リサイクルに優れ、焼却しても有毒ガスを発生せず土中分解によっても無害な分解物に分解される樹脂成形体を提供すること。
【解決手段】植物を原料とする植物由来の樹脂と、木粉とを混合し、無発泡にて成形してなる樹脂成形体であって、前記植物由来の樹脂と木粉との混合重量比が7:3〜6:4であることまたは、植物を原料とする植物由来の樹脂と、木粉とを混合し、発泡成形してなる樹脂成形体であって、前記植物由来の樹脂と木粉との混合重量比が8:2〜9:1であり、発泡剤を植物由来の樹脂と木粉との混合したもの100重量部に対して5重量部以下添加してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋内外問わず板状に成形して敷設するなどの方法で床材、壁材、天井材として適用可能な、木粉含有樹脂成形体に関し、特に資源リサイクルに優れ、焼却しても有毒ガスを発生せず土中分解によっても無害な分解物に分解される樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建築物の屋内外問わず床や壁に木質系のフローリングが広く流行している。しかし、水に濡れると膨れや割れ、反り、腐食を起こし易く、特に浴室脱衣所や洗面所のような水廻りの部位への使用には問題があることが指摘されている。またオフィスビルや店舗ではへこみなどの耐傷付性の問題があることも指摘されている。そこで近年では熱可塑性樹脂と木質系充填剤を主原料とした、耐水性、耐候性、腐食性、耐傷性、強度に優れる木質系樹脂建材が提案されている。
【0003】
しかしながら、これらの木質系樹脂建材は耐久性には優れるものの、廃棄時にはその形状的なかさばりや強度的に優れる面から廃棄性には著しく乏しいものである。
【0004】
そこで近年、植物由来の樹脂としてのポリ乳酸が着目し始めるようになってきた。植物由来の樹脂としてまたリサイクルにも優れた樹脂として用いられるようになってきてはいるが、木質系樹脂建材としてはその強度が問題となるものであった。
【特許文献1】特開2005−35134
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、強度などの問題がなく、特に資源リサイクルに優れ、焼却しても有毒ガスを発生せず土中分解によっても無害な分解物に分解される樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、植物を原料とする植物由来の樹脂と、木粉とを混合し、無発泡にて成形してなる樹脂成形体であって、前記植物由来の樹脂と木粉との混合重量比が7:3〜6:4であることを特徴とする樹脂成形体である。
【0007】
またその請求項2記載の発明は、植物を原料とする植物由来の樹脂と、木粉とを混合し、発泡成形してなる樹脂成形体であって、前記植物由来の樹脂と木粉との混合重量比が8:2〜9:1であり、発泡剤を植物由来の樹脂と木粉との混合したもの100重量部に対して5重量部以下添加してなることを特徴とする樹脂成形体である。
【0008】
またその請求項3記載の発明は、前記木粉の粒径は、100メッシュ(スルー)であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂成形体である。
【0009】
またその請求項4記載の発明は、前記樹脂の成形は異型成形によることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の樹脂成形体である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明により、無発泡の樹脂形成体において、木粉と樹脂の混合割合を限定することで、強度と成形性のバランスを取ることが可能になるという効果を奏する。
【0011】
請求項2記載の発明により、発泡の樹脂形成体において、木粉と樹脂の混合割合を限定することで、強度と成形性のバランスを取ることが可能になるという効果を奏する。
【0012】
請求項3記載の発明により、木粉の粒径を限定することで、木粉を樹脂に混練する容易さと成形性のバランスを取ることがという効果を奏する。
【0013】
請求項4記載の発明により、これら樹脂成形体をより容易に成形することができる方法と採ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明における植物を原料とする植物由来の樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、コポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、澱粉などのものから適宜選択が可能であり、またこれらを適宜混合したものであってもよい。
【0015】
本発明における木粉としては、木材をカッターミルなどによって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して微粉末状にしたものなどが使用可能である。粒径は100メッシュ(スルー)程度がコストや効果からも好適なものとなる。
【0016】
本発明における発泡剤としては、熱分解や化学反応によってガスを発生する性質を有する化学発泡剤や低沸点の液体又は高圧下で液化した気体で熱により気化する性質を有する物理発泡剤などが使用可能である。前者としては重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属(アルミニウム、マグネシウム等)、アジド化合物(アジ化ナトリウム等)等の無機発泡剤や、アゾ系(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)、ニトロソ系(ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジメチルジニトロソテレフタルアミド等)、ヒドラジド系(p,p’−オキジビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド等)等の有機発泡剤などを、それぞれ単独若しくは任意の複数種の組合せで使用することができる。また、特に発泡倍率が2倍を超える高発泡化を必要とする場合には、物理発泡法が好適であり、その際、ペンタンヘキサン、ヘプタン等)、クロロフルオロカーボン類(いわゆるフロンガス)等の不活性気体が主に用いられている。また、物理発泡法による発泡押出成形に際しても、発泡体のセル形状を整えるため等の目的で、化学発泡剤を併用することもできる。
【0017】
本発明における前記に木粉を混合した植物を原料とする植物由来の樹脂には、前記発泡剤のほか、必要に応じて例えば熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤(染料、顔料等)、充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等の各種添加剤を適宜添加することもできる。これらの添加剤のうち、熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等、酸中和剤としてステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としてはヒンダートアミン系等、難燃剤としてはハロゲン系、リン系、塩素系等、充填剤としては無機系(炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナタルク、クレー、珪酸マグネシウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、カーボンブラック、金属粉、炭素繊維、ガラス繊維等)又は有機系(ナイロン系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、アクリル系、木毛、木粉、紙粉等)等、滑剤としては炭化水素系、脂肪酸系、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系等、造核剤としてはカルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩系等、顔料としては縮合アゾ系、不溶性アゾ系、キナクリドン系、イソインドリノン系、アンスラキノン系、イミダゾロン系、フタロシアニン系、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄系、コバルトブルー、パール顔料(酸化チタン被覆雲母等)等があり、これらの各種の添加剤を任意の組み合わせで用いることができる。
【0018】
本発明の樹脂成形体は、その用途として建築材料となるような場合では例えば鋸や錐、カンナ等による切削性、釘打ち性やビス止め性等、木材と同等の加工性が求められる場合が多い。係る性能を本発明では満たすことが可能となるものである。そしてまた、熱伝導性も木材に近似したものとなり、温かみのある感触が得られるといった効果も有するものとなる。
【0019】
本発明の樹脂成形体の成形方法としては、まず、樹脂と木粉、各種添加剤を加熱可塑化状態で混練するのが好ましい。混練方法としてはヘンシェルミキサーなどにより、ペレタイザーなのでペレット化する方法や、2軸押し出し混練機によって混練、ペレット化する方法などがある。その後押出機から押出し成形する。押し出し方法としては異型成形が本発明の用途に適した強度や成形性を得る方法として好適なものとなる。
【実施例1】
【0020】
植物を原料とする植物由来の樹脂として、ポリ乳酸を用い、これを70重量%と、木粉として杉の間伐材を破断して100メッシュ(スルー)となる程度に微粉末としたものを用い、これを30重量%とを2軸混練機を用いて混練ペレットを作製した。このペレット90重量%に化学発泡剤(重曹−クエン酸系)を3重量%、充填材としてタルクを10重量%を加え、異型押出成形機にて185℃で混練し、幅120mm×厚さ2mmの板状の成形物を押出成形し、本発明の樹脂性形体を得た。
【0021】
得られた樹脂成形体を80℃オーブンに10日間投入し、表面の劣化をみた。またサンシャインウェザーメータに1000時間投入し、表面と内部の劣化を見た。いずれも十分な耐久性を有するものであった。
【0022】
得られた樹脂成形体を木製の成形体と比較して表面の硬さを評価したが、十分な耐久性を有するとともに、10人の評価者中、木製の成形体と比較して硬いと感じたものはなく、同等かやわかいものという評価だった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の樹脂成形体は、特に表面にそれほど平滑性を求められないベランダの床面などに敷設するなどの方法で適用可能な樹脂成形体として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を原料とする植物由来の樹脂と、木粉とを混合し、無発泡にて成形してなる樹脂成形体であって、前記植物由来の樹脂と木粉との混合重量比が7:3〜6:4であることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項2】
植物を原料とする植物由来の樹脂と、木粉とを混合し、発泡成形してなる樹脂成形体であって、前記植物由来の樹脂と木粉との混合重量比が8:2〜9:1であり、発泡剤を植物由来の樹脂と木粉との混合したもの100重量部に対して5重量部以下添加してなることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項3】
前記木粉の粒径は、100メッシュ(スルー)であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記樹脂の成形は異型成形によることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の樹脂成形体。

【公開番号】特開2008−56745(P2008−56745A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232830(P2006−232830)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】