樹脂成形用金型の交換設備
【課題】少なくとも2列の金型保管手段に保管された多数個の金型および少なくとも2台の樹脂成形装置に対応可能な金型交換設備を提供する。
【解決手段】右側の金型保管手段2から新金型を搬送台車3の前側部分に載せる一方、右側の樹脂成形装置5から旧金型を金型移載装置11に載せ、搬送台車3を、空状の後側部分が第1レール6上に位置するまで移動させる。旧金型搭載の金型移載装置11を搬送台車3の後側部分に接近させたのち旧金型を金型移載装置11から搬送台車3の後側部分に載せ替え、新金型を搭載した搬送台車3の前側部分を第1レール6上に移動させたのち、新金型を搬送台車3から金型移載装置11に載せ替える。新金型搭載の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置5と対向する位置まで移動させた後、新金型を右側の樹脂成形装置5に移送して取り付ける、旧金型を搬送台車3によって金型保管手段2まで移動、旧金型を金型保管手段2に収納する。
【解決手段】右側の金型保管手段2から新金型を搬送台車3の前側部分に載せる一方、右側の樹脂成形装置5から旧金型を金型移載装置11に載せ、搬送台車3を、空状の後側部分が第1レール6上に位置するまで移動させる。旧金型搭載の金型移載装置11を搬送台車3の後側部分に接近させたのち旧金型を金型移載装置11から搬送台車3の後側部分に載せ替え、新金型を搭載した搬送台車3の前側部分を第1レール6上に移動させたのち、新金型を搬送台車3から金型移載装置11に載せ替える。新金型搭載の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置5と対向する位置まで移動させた後、新金型を右側の樹脂成形装置5に移送して取り付ける、旧金型を搬送台車3によって金型保管手段2まで移動、旧金型を金型保管手段2に収納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形用金型(以下、金型と略称)の交換設備に係り、より詳しくは、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、2列の金型保管手段を左右方向から挟んで配設され上面に金型を前後方向へ搬送可能な搬送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、金型保管手段に収納された金型を樹脂成形装置に対して交換するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の設備の一つとして、パンチングマシンにおける金型ブロック交換装置であって、複数個のパンチを装着したパンチブロックと、パンチブロックに対向して複数個のダイを装着したダイヤブロックからなる金型ブロックを移動させるとともに、延設された加工テーブルに支持されるワークを移動させて加工位置に位置決めし、所望のパンチ上に位置決めされたストライカによりパンチを打撃してダイとの協働によりワークにパンチング加工を行うパンチングマシンであって、このパンチングマシンの本体フレーム内に金型ブロック交換位置と、金型交換装置の金型ブロック受け渡し位置との間で金型ブロックを往復移動させるチェンジャーを金型ブロックの上方位置に設け、金型ブロック受け渡し位置を挟んでチェンジャーと交差する方向へ延設された金型ブロック移動台に金型ブロックを一時的に収納できる待機スペースを設け、金型ブロック移動台に沿って往復移動自在に設けられたトランスカーを設け、トランスカーは各金型ブロックを収納可能な第1の保持部と第2の保持部を設けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−33827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記のパンチングマシンにおける金型ブロック交換装置を樹脂成形用金型の交換に適用しようとすると、この金型ブロック交換装置では、トランスカーが金型収納架台の一側からしか金型ブロックを入出することができず、しかも、金型ブロックを1台の加工テーブルにしか対応することができないため、対応する金型の個数および樹脂成形装置の台数が大幅に限定される問題がある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、並設した少なくとも2列の金型保管手段に保管された多数個の金型および少なくとも2台の樹脂成形装置に対応可能な金型の交換設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明における金型の交換設備は、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、2列の金型保管手段を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、金型保管手段に収納された金型を樹脂成形装置に対して交換するための設備であって、2列の金型保管手段および2台の樹脂成形装置の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レールと、2列の金型保管手段間に前後方向へ延びて敷設されかつ第1レールと所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レールと、第2レール上に走行可能にして装架され2個の金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ2個の金型をそれぞれ左右方向へ牽引する牽引手段を備えて金型を2列の金型保管手段の金型保管位置および第1レールの真上位置に搬入出可能な搬送台車と、第1レール上に走行可能にして装架され金型を搭載可能でありかつ樹脂成形装置に対して移送手段を介し金型を前後方向へ往復動させる往復動手段を備えるとともに金型を左右方向へ移動可能に構成して樹脂成形装置と搬送台車との間を金型を交互に移載可能な金型移載装置と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
このように構成されたものは、右側の金型保管手段から交換すべき新金型を搬送台車の前側部分に載せる一方、右側の樹脂成形装置から交換すべき旧金型を金型移載装置に載せ、続いて、搬送台車を、空状の後側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。次いで、旧金型搭載の金型移載装置を搬送台車の後側部分に接近させたのち、旧金型を金型移載装置から搬送台車の後側部分に載せ替え、続いて、新金型を搭載した搬送台車の前側部分を第1レール上に移動させたのち、新金型を搬送台車から金型移載装置に載せ替える。
【0008】
次いで、新金型搭載の金型移載装置を右側の樹脂成形装置と対向する位置まで移動させたのち、新金型を右側の樹脂成形装置に移送して取り付ける一方、旧金型を搬送台車によって空状の金型保管手段まで移動させたのち、この旧金型を金型保管手段に収納する。これにより、右側の金型保管手段に保管されていた新金型を、右側の樹脂成形装置に取り付けられていた旧金型と交換することができる。
【0009】
また、このように構成されたものは、左側の金型保管手段から交換すべき新金型を搬送台車の後側部分に載せるとともに、金型移載装置を左側の金型保管手段と対向する位置で移動して待機させておく。次いで、搬送台車を、新金型搭載の後側部分が第1レール上に位置するまで移動させ、続いて、新金型を搬送台車上から金型移載装置上に載せ替える。
次いで、搬送台車を左右両側の金型保管手段間に一時移動させたのち、新金型搭載の金型移載装置を右側の金型保管手段と対向する位置まで移動させ、続いて、搬送台車を、前側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。
【0010】
次いで、新金型を金型移載装置から搬送台車の前側部分に載せ替え、続いて、金型移載装置を右側の樹脂成形装置と対向する位置まで移動させたのち、右側の樹脂成形装置から交換すべき旧金型を金型移載装置に載せる一方、搬送台車を、後側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。次いで、旧金型搭載の金型移載装置を搬送台車の後側部分に接近させたのち旧金型を金型移載装置から搬送台車の後側部分に載せ替え、続いて、搬送台車を、前側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。次いで、新金型を搬送台車から金型移載装置に載せ替えたのち、金型移載装置を右側の樹脂成形装置と対向する位置まで移動させ、続いて、新金型を金型移載装置から右側の樹脂成形装置に移送して取り付ける。
【0011】
次いで、搬送台車を、後側部分が第1レール上に位置するまで移動させ、続いて、旧金型を搬送台車から金型移載装置に載せ替える。次いで、搬送台車を左右両側の金型保管手段間へ一時移動させたのち、旧金型搭載の金型移載装置を左側の樹脂成形装置側まで移動させ、続いて、搬送台車を、後側部分が第1レール上に位置するまで移動させたのち、旧金型を金型移載装置から搬送台車の後側部分に載せ替える。次いで、旧金型を搬送台車によって左側の空状の金型保管手段まで移動させたのち金型保管手段に収納する。これにより、左側の金型保管手段に保管されていた新金型を、右側の樹脂成形装置に取り付けられていた旧金型と交換することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、2列の金型保管手段を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、金型保管手段に収納された金型を樹脂成形装置に対して交換するための設備であって、2列の金型保管手段および2台の樹脂成形装置の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レールと、2列の金型保管手段の間に前後方向へ延びて敷設されかつ第1レールと所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レールと、第2レール上に走行可能にして装架され2個の金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ2個の金型をそれぞれ左右方向へ牽引する牽引手段を備えて金型を2列の金型保管手段の金型保管位置および第1レールの真上位置に搬入出可能な搬送台車と、第1レール上に走行可能にして装架され金型を搭載可能でありかつ樹脂成形装置に対して移送手段を介し金型を前後方向へ往復動させる往復動手段を備えるとともに金型を左右方向へ移動可能に構成して樹脂成形装置と搬送台車との間を金型を交互に移載可能な金型移載装置と、を具備したから、並設した少なくとも2列の金型保管手段に保管された多数個の金型を、少なくとも2台の樹脂成形装置に取り付けられていた金型に対して適確に交換することができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した樹脂成形用金型の交換設備の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1の主要部の拡大詳細図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】搬送台車が2列の金型保管間内に移動した時の概略正面図である。
【図5】図1の主要部の拡大詳細図である。
【図6】図5の拡大詳細正面図である。
【図7】第2フック28の搬送板33の突起部33aに対する作動説明図であって、第2フック28の先端が突起部33aの真上に進入した時の状態を示す。
【図8】第1フック27の搬送板33の突起部33aに対する作動説明図であって、第1フック27の先端が突起部33aの真上に進入した時の状態を示す。
【図9】図1の作動説明図である。
【図10】図1の作動説明図である。
【図11】図1の作動説明図である。
【図12】図1の作動説明図である。
【図13】図1の作動説明図である。
【図14】図1の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した金型の交換設備の一実施例について、図1〜図8に基づき詳細に説明する。本金型の交換設備は、図1に示すように、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段1・2と、これら2列の金型保管手段1・2を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段(図示せず)を備えた2台の樹脂成形装置4・5と、2列の金型保管手段1・2および2台の樹脂成形装置4・5の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レール6と、2列の金型保管手段1・2間に前後方向へ延びて敷設されかつ第1レール6と所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レール7と、第2レール7上に走行可能にして装架され2個の金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ各金型を左右方向へ牽引する2台の牽引手段8・9を備えて金型を2列の金型保管手段1・2の金型入出位置および第1レール6の真上位置に搬入出可能な搬送台車3と、第1レール6上に走行可能にして装架され金型を搭載可能でありかつ樹脂成形装置4・5に対して移送手段(図示せず)を介し金型を前後方向へ往復動させる往復動手段10を備えるとともに金型を左右方向へ搬送可能に構成されて樹脂成形装置4・5と搬送台車3との間で金型を交互に移載可能な金型移載装置11と、で構成してある。
【0015】
そして、金型保管手段1・2のそれぞれは、図1に示すように、前後1対のローラを左右方向へ多数並べて枢支して成るローラコンベヤ12・13を、前後方向へ複数台並べて設けてある。
【0016】
また、搬送台車3においては、図2および図3に示すように、第2レール7上に走行可能にして装架した枠状の台車本体14上に、多数のローラを左右方向へ並べ枢支して成る2組のローラコンベヤ15・16と、2組のローラコンベヤ15・16上の金型をそれぞれ左右方向へガイドする2対の案内部材17・18とが装着してあり、さらに、台車本体14の前面には台車本体14を走行駆動する駆動手段19が装着してある。
【0017】
また、牽引手段8・9のそれぞれにおいては、図2〜図4に示すように、左右方向へ長い枠状のフレーム22に左右方向へ延びる一対のガイドバー23・23が装着してあり、ガイドバー23・23には移動部材24が左右方向へ摺動自在に装架してある。さらに、フレーム22には移動部材24を往復動させるモータ25付きボールねじ機構26が装着してあり、移動部材24には基端を枢支して上向きに傾動可能な2個の第1・第2フック27・28が装着してあり、第1・第2フック27・28の先端の下面には切り欠き部31・32がそれぞれ設けてあって、切り欠き部31・32は、図7に示すように、前進するにともない、例えば、後述の金型移載装置11の台車本体38の左右側面にそれぞれ装着された2個の上向きのシリンダ29・30の伸長作動によって、金型Mを載置した搬送板33の突起部33aの真上まで誘導されたり、突起部33aから押し上げたりして、シリンダ29・30の伸縮作動により搬送板33の突起部33aと係合・分離するようになっている(図7・8参照)。
【0018】
また、駆動手段19は、台車本体14上に設置された減速機付きモータ34と、台車本体14に軸架された2本の回転軸35に嵌着されかつ第2レール7と係合する4個の車輪36・36と、台車本体14上に装着されて減速機付きモータ34の出力軸の回転力を回転軸35に伝動する伝動手段37とで構成してある。
【0019】
また、金型移載装置11においては、図5および図6に示すように、第1レール6上に走行可能に装架された枠状の台車本体38上の左右両側部に、金型を左右方向へ移送可能な8組のローラ39・39が装着してあり、さらに、台車本体38上における8組のローラ39・39の内側には金型を前後方向へ案内する一対の案内部材40・40が4本のシリンダ41・41を介し昇降可能にして装着してあり、一対の案内部材40・40の内側には、金型Mを前後方向へ移送可能な一対のローラ機構42・42が支持部材43・43を介して装着してある。また、台車本体38上の前面側には金型の後退端を位置決めする位置決め部材44が装着してあり、台車本体38上の中心部には金型を前後方向へ牽引して往復動させる往復動手段45が装着してあり、さらに、台車本体38の前端部には台車本体38を走行駆動する駆動手段46が装着してある。
【0020】
そして、往復動手段45は、実用新案登録公報第2533779号公報に記載されている搬送台車および駆動装置と同様の構造を成している。即ち、図5および図6に示すように、台車本体38上の中央部に、断面コ字形状の2本の棒材47・47が、歯側を相互に対向させて上下に溝を有する空洞を形成しかつ前後方向へ指向した状態で装着してあり、2本の棒材47・47の空洞内には2条のローラチェーン(図示せず)が、先端部を進退自在にして設けてある。また、ローラチェーンの先端には2本の棒材の上面を摺動する移動部材48が設けてあり、移動部材48の上面には第1フック27と同様の構造を成す第3フック49が上下回動自在に枢支してある。また、ローラチェーンには、減速機付きモータ50の出力軸に嵌着した鎖歯車(図示せず)が係合してあって、第3フック49は、減速機付きモータ50の正逆駆動により、ローラチェーンを介して2本の棒材47・47上を進退動するようになっている。
【0021】
また、第1・第2フック27・28と同様に、第3フック49の先端の下面には切り欠き部が設けてあって、切り欠き部は、前進するにともない、金型保管手段1・2の内側にそれぞれ立設された上向きのシリンダの伸長作動によって、搬送板33の突起部33aの真上まで誘導されたり、突起部33aから押し上げたりして、シリンダの伸縮作動により搬送板33の突起部33aと係合・分離するようになっている(図4・7・8参照)。
【0022】
また、駆動手段46は、台車本体38の前面に装着された減速機付きモータ51と、台車本体38に軸架した2本の回転軸52・52に嵌着されかつ第1レール6と係合する4個の車輪53・53と、台車本体38上に装着されて減速機付きモータ51の出力軸の回転力を回転軸52に伝動する伝動手段54とで構成してある。
【0023】
次に、右側の金型保管手段2に保管されている新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換する手順について述べる。まず、搬送台車3の空状のローラコンベヤ15を、交換すべき新金型Mを収納した右側の金型保管手段2のローラコンベヤ13と対向する位置まで移動させたのち、新金型Mをローラコンベヤ15上に牽引手段8によって牽引する一方(図9のA 参照)、金型移載装置11の一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め上昇させた状態にして、右側の樹脂成形装置5から交換すべき旧金型Mを、金型移載装置11の往復動手段45によって一対のローラ機構42・42上に牽引する(図9のB 参照)。
【0024】
次いで、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させ、続いて、旧金型M搭載の金型移載装置11をローラコンベヤ16に接近させるとともに、一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め下降させて、旧金型Mを金型移載装置11の8組のローラ39・39に載せる。次いで、旧金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ16に牽引手段9によって牽引し(図9のC 参照)、続いて、搬送台車3を、新金型Mを搭載したローラコンベヤ15が第1レール6上に位置するまで移動させたのち、新金型Mをローラコンベヤ15から8組のローラ39・39上に牽引手段8によって牽引する(図10のA 参照)。
【0025】
次いで、新金型M搭載の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置5と対向する位置まで移動させたのち、新金型Mを右側の樹脂成形装置5に往復動手段45によって牽引して取り付ける一方、旧金型Mを搬送台車3によって金型保管手段2の空状のローラコンベヤ13まで移動させたのち、この旧金型Mをローラコンベヤ13に収納する(図10のB 参照)。これにより、右側の金型保管手段2に保管されていた新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換することができる(図10のC 参照)。
【0026】
次に、左側の金型保管手段1に保管されている新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換する手順について述べる。まず、搬送台車3の空状のローラコンベヤ16を、交換すべき新金型Mを収納した左側の金型保管手段1のローラコンベヤ12と対向する位置まで移動させたのち、新金型Mをローラコンベヤ16上に牽引手段9によって牽引するとともに、(図11のA 参照)、金型移載装置11を左側の金型保管手段1と対向する位置で移動して待機させておく。
【0027】
次いで、搬送台車3を、新金型M搭載のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させ、続いて、金型移載装置11の一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め下降させた状態にして、新金型Mをローラコンベヤ16から金型移載装置11の8組のローラ39・39上に牽引手段9によって牽引する(図11のB
参照)。次いで、搬送台車3を一時金型保管手段1・2間に移動させたのち、新金型M搭載の金型移載装置11を右側の金型保管手段2と対向する位置で移動させ(図11のC 参照)、続いて、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ15が第1レール6上に位置するまで移動させる。
【0028】
次いで、新金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ15上に牽引手段8によって牽引し(図12のA
参照)、続いて、空状の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置2まで移動させるとともに、一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め上昇した状態にして、右側の樹脂成形装置2から交換すべき旧金型Mをローラ機構42・42上に往復動手段45によって牽引する一方、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させる(図12のB
参照)。
【0029】
次いで、旧金型M搭載の金型移載装置11を空状のローラコンベヤ16に接近させたのち、旧金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ16上に牽引手段9によって牽引し(図12のC 参照)、続いて、搬送台車3を、新金型M搭載のローラコンベヤ15が第1レール6上に位置するまで移動させる。次いで、一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を下降させたのち、新金型Mをローラコンベヤ15上から8組のローラ39・39上に牽引手段8によって牽引する(図13のA
参照)。
【0030】
次いで、新金型M搭載の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置2まで移動させたのち、新金型Mを右側の樹脂成形装置5に往復動手段45によって牽引して取り付ける一方(図13のB 参照)、搬送台車3を、旧金型M搭載のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させたのち、旧金型Mをローラコンベヤ16から8組のローラ39・39上に牽引手段9によって牽引する(図13のC
参照)。
【0031】
次いで、搬送台車3を金型保管手段1・2側へ一時移動させたのち、旧金型M搭載の金型移載装置11を左側の樹脂成形装置1側まで移動させ(図14のA
参照)、続いて、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させたのち、
旧金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ16に牽引手段9によって牽引する(図14のB
参照)。
【0032】
次いで、旧金型Mを搬送台車3によって左側の金型保管手段1の空状のローラコンベヤ12まで移動させたのち、ローラコンベヤ12に旧金型Mを牽引手段9によって牽引する。これにより、左側の金型保管手段1に保管されていた新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換することができる(図14のC参照)。
【0033】
なお、上記の実施例では、金型保管手段1・2および樹脂成形装置4・5はそれぞれ2列であるが、これに限定されるものではなく、こられがそれぞれ4列、6列など偶数的に増える場合でも同様の作用効果が得られるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0034】
1;2 金型保管手段
3 搬送台車
4;5 樹脂成形装置
6 第1レール
7 第2レール
8;9 牽引手段
10 往復動手段
11 金型移載装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形用金型(以下、金型と略称)の交換設備に係り、より詳しくは、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、2列の金型保管手段を左右方向から挟んで配設され上面に金型を前後方向へ搬送可能な搬送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、金型保管手段に収納された金型を樹脂成形装置に対して交換するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の設備の一つとして、パンチングマシンにおける金型ブロック交換装置であって、複数個のパンチを装着したパンチブロックと、パンチブロックに対向して複数個のダイを装着したダイヤブロックからなる金型ブロックを移動させるとともに、延設された加工テーブルに支持されるワークを移動させて加工位置に位置決めし、所望のパンチ上に位置決めされたストライカによりパンチを打撃してダイとの協働によりワークにパンチング加工を行うパンチングマシンであって、このパンチングマシンの本体フレーム内に金型ブロック交換位置と、金型交換装置の金型ブロック受け渡し位置との間で金型ブロックを往復移動させるチェンジャーを金型ブロックの上方位置に設け、金型ブロック受け渡し位置を挟んでチェンジャーと交差する方向へ延設された金型ブロック移動台に金型ブロックを一時的に収納できる待機スペースを設け、金型ブロック移動台に沿って往復移動自在に設けられたトランスカーを設け、トランスカーは各金型ブロックを収納可能な第1の保持部と第2の保持部を設けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−33827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記のパンチングマシンにおける金型ブロック交換装置を樹脂成形用金型の交換に適用しようとすると、この金型ブロック交換装置では、トランスカーが金型収納架台の一側からしか金型ブロックを入出することができず、しかも、金型ブロックを1台の加工テーブルにしか対応することができないため、対応する金型の個数および樹脂成形装置の台数が大幅に限定される問題がある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、並設した少なくとも2列の金型保管手段に保管された多数個の金型および少なくとも2台の樹脂成形装置に対応可能な金型の交換設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明における金型の交換設備は、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、2列の金型保管手段を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、金型保管手段に収納された金型を樹脂成形装置に対して交換するための設備であって、2列の金型保管手段および2台の樹脂成形装置の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レールと、2列の金型保管手段間に前後方向へ延びて敷設されかつ第1レールと所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レールと、第2レール上に走行可能にして装架され2個の金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ2個の金型をそれぞれ左右方向へ牽引する牽引手段を備えて金型を2列の金型保管手段の金型保管位置および第1レールの真上位置に搬入出可能な搬送台車と、第1レール上に走行可能にして装架され金型を搭載可能でありかつ樹脂成形装置に対して移送手段を介し金型を前後方向へ往復動させる往復動手段を備えるとともに金型を左右方向へ移動可能に構成して樹脂成形装置と搬送台車との間を金型を交互に移載可能な金型移載装置と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
このように構成されたものは、右側の金型保管手段から交換すべき新金型を搬送台車の前側部分に載せる一方、右側の樹脂成形装置から交換すべき旧金型を金型移載装置に載せ、続いて、搬送台車を、空状の後側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。次いで、旧金型搭載の金型移載装置を搬送台車の後側部分に接近させたのち、旧金型を金型移載装置から搬送台車の後側部分に載せ替え、続いて、新金型を搭載した搬送台車の前側部分を第1レール上に移動させたのち、新金型を搬送台車から金型移載装置に載せ替える。
【0008】
次いで、新金型搭載の金型移載装置を右側の樹脂成形装置と対向する位置まで移動させたのち、新金型を右側の樹脂成形装置に移送して取り付ける一方、旧金型を搬送台車によって空状の金型保管手段まで移動させたのち、この旧金型を金型保管手段に収納する。これにより、右側の金型保管手段に保管されていた新金型を、右側の樹脂成形装置に取り付けられていた旧金型と交換することができる。
【0009】
また、このように構成されたものは、左側の金型保管手段から交換すべき新金型を搬送台車の後側部分に載せるとともに、金型移載装置を左側の金型保管手段と対向する位置で移動して待機させておく。次いで、搬送台車を、新金型搭載の後側部分が第1レール上に位置するまで移動させ、続いて、新金型を搬送台車上から金型移載装置上に載せ替える。
次いで、搬送台車を左右両側の金型保管手段間に一時移動させたのち、新金型搭載の金型移載装置を右側の金型保管手段と対向する位置まで移動させ、続いて、搬送台車を、前側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。
【0010】
次いで、新金型を金型移載装置から搬送台車の前側部分に載せ替え、続いて、金型移載装置を右側の樹脂成形装置と対向する位置まで移動させたのち、右側の樹脂成形装置から交換すべき旧金型を金型移載装置に載せる一方、搬送台車を、後側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。次いで、旧金型搭載の金型移載装置を搬送台車の後側部分に接近させたのち旧金型を金型移載装置から搬送台車の後側部分に載せ替え、続いて、搬送台車を、前側部分が第1レール上に位置するまで移動させる。次いで、新金型を搬送台車から金型移載装置に載せ替えたのち、金型移載装置を右側の樹脂成形装置と対向する位置まで移動させ、続いて、新金型を金型移載装置から右側の樹脂成形装置に移送して取り付ける。
【0011】
次いで、搬送台車を、後側部分が第1レール上に位置するまで移動させ、続いて、旧金型を搬送台車から金型移載装置に載せ替える。次いで、搬送台車を左右両側の金型保管手段間へ一時移動させたのち、旧金型搭載の金型移載装置を左側の樹脂成形装置側まで移動させ、続いて、搬送台車を、後側部分が第1レール上に位置するまで移動させたのち、旧金型を金型移載装置から搬送台車の後側部分に載せ替える。次いで、旧金型を搬送台車によって左側の空状の金型保管手段まで移動させたのち金型保管手段に収納する。これにより、左側の金型保管手段に保管されていた新金型を、右側の樹脂成形装置に取り付けられていた旧金型と交換することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、2列の金型保管手段を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、金型保管手段に収納された金型を樹脂成形装置に対して交換するための設備であって、2列の金型保管手段および2台の樹脂成形装置の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レールと、2列の金型保管手段の間に前後方向へ延びて敷設されかつ第1レールと所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レールと、第2レール上に走行可能にして装架され2個の金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ2個の金型をそれぞれ左右方向へ牽引する牽引手段を備えて金型を2列の金型保管手段の金型保管位置および第1レールの真上位置に搬入出可能な搬送台車と、第1レール上に走行可能にして装架され金型を搭載可能でありかつ樹脂成形装置に対して移送手段を介し金型を前後方向へ往復動させる往復動手段を備えるとともに金型を左右方向へ移動可能に構成して樹脂成形装置と搬送台車との間を金型を交互に移載可能な金型移載装置と、を具備したから、並設した少なくとも2列の金型保管手段に保管された多数個の金型を、少なくとも2台の樹脂成形装置に取り付けられていた金型に対して適確に交換することができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した樹脂成形用金型の交換設備の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1の主要部の拡大詳細図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】搬送台車が2列の金型保管間内に移動した時の概略正面図である。
【図5】図1の主要部の拡大詳細図である。
【図6】図5の拡大詳細正面図である。
【図7】第2フック28の搬送板33の突起部33aに対する作動説明図であって、第2フック28の先端が突起部33aの真上に進入した時の状態を示す。
【図8】第1フック27の搬送板33の突起部33aに対する作動説明図であって、第1フック27の先端が突起部33aの真上に進入した時の状態を示す。
【図9】図1の作動説明図である。
【図10】図1の作動説明図である。
【図11】図1の作動説明図である。
【図12】図1の作動説明図である。
【図13】図1の作動説明図である。
【図14】図1の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した金型の交換設備の一実施例について、図1〜図8に基づき詳細に説明する。本金型の交換設備は、図1に示すように、左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の金型を前後方向へ並べるとともに金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段1・2と、これら2列の金型保管手段1・2を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段(図示せず)を備えた2台の樹脂成形装置4・5と、2列の金型保管手段1・2および2台の樹脂成形装置4・5の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レール6と、2列の金型保管手段1・2間に前後方向へ延びて敷設されかつ第1レール6と所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レール7と、第2レール7上に走行可能にして装架され2個の金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ各金型を左右方向へ牽引する2台の牽引手段8・9を備えて金型を2列の金型保管手段1・2の金型入出位置および第1レール6の真上位置に搬入出可能な搬送台車3と、第1レール6上に走行可能にして装架され金型を搭載可能でありかつ樹脂成形装置4・5に対して移送手段(図示せず)を介し金型を前後方向へ往復動させる往復動手段10を備えるとともに金型を左右方向へ搬送可能に構成されて樹脂成形装置4・5と搬送台車3との間で金型を交互に移載可能な金型移載装置11と、で構成してある。
【0015】
そして、金型保管手段1・2のそれぞれは、図1に示すように、前後1対のローラを左右方向へ多数並べて枢支して成るローラコンベヤ12・13を、前後方向へ複数台並べて設けてある。
【0016】
また、搬送台車3においては、図2および図3に示すように、第2レール7上に走行可能にして装架した枠状の台車本体14上に、多数のローラを左右方向へ並べ枢支して成る2組のローラコンベヤ15・16と、2組のローラコンベヤ15・16上の金型をそれぞれ左右方向へガイドする2対の案内部材17・18とが装着してあり、さらに、台車本体14の前面には台車本体14を走行駆動する駆動手段19が装着してある。
【0017】
また、牽引手段8・9のそれぞれにおいては、図2〜図4に示すように、左右方向へ長い枠状のフレーム22に左右方向へ延びる一対のガイドバー23・23が装着してあり、ガイドバー23・23には移動部材24が左右方向へ摺動自在に装架してある。さらに、フレーム22には移動部材24を往復動させるモータ25付きボールねじ機構26が装着してあり、移動部材24には基端を枢支して上向きに傾動可能な2個の第1・第2フック27・28が装着してあり、第1・第2フック27・28の先端の下面には切り欠き部31・32がそれぞれ設けてあって、切り欠き部31・32は、図7に示すように、前進するにともない、例えば、後述の金型移載装置11の台車本体38の左右側面にそれぞれ装着された2個の上向きのシリンダ29・30の伸長作動によって、金型Mを載置した搬送板33の突起部33aの真上まで誘導されたり、突起部33aから押し上げたりして、シリンダ29・30の伸縮作動により搬送板33の突起部33aと係合・分離するようになっている(図7・8参照)。
【0018】
また、駆動手段19は、台車本体14上に設置された減速機付きモータ34と、台車本体14に軸架された2本の回転軸35に嵌着されかつ第2レール7と係合する4個の車輪36・36と、台車本体14上に装着されて減速機付きモータ34の出力軸の回転力を回転軸35に伝動する伝動手段37とで構成してある。
【0019】
また、金型移載装置11においては、図5および図6に示すように、第1レール6上に走行可能に装架された枠状の台車本体38上の左右両側部に、金型を左右方向へ移送可能な8組のローラ39・39が装着してあり、さらに、台車本体38上における8組のローラ39・39の内側には金型を前後方向へ案内する一対の案内部材40・40が4本のシリンダ41・41を介し昇降可能にして装着してあり、一対の案内部材40・40の内側には、金型Mを前後方向へ移送可能な一対のローラ機構42・42が支持部材43・43を介して装着してある。また、台車本体38上の前面側には金型の後退端を位置決めする位置決め部材44が装着してあり、台車本体38上の中心部には金型を前後方向へ牽引して往復動させる往復動手段45が装着してあり、さらに、台車本体38の前端部には台車本体38を走行駆動する駆動手段46が装着してある。
【0020】
そして、往復動手段45は、実用新案登録公報第2533779号公報に記載されている搬送台車および駆動装置と同様の構造を成している。即ち、図5および図6に示すように、台車本体38上の中央部に、断面コ字形状の2本の棒材47・47が、歯側を相互に対向させて上下に溝を有する空洞を形成しかつ前後方向へ指向した状態で装着してあり、2本の棒材47・47の空洞内には2条のローラチェーン(図示せず)が、先端部を進退自在にして設けてある。また、ローラチェーンの先端には2本の棒材の上面を摺動する移動部材48が設けてあり、移動部材48の上面には第1フック27と同様の構造を成す第3フック49が上下回動自在に枢支してある。また、ローラチェーンには、減速機付きモータ50の出力軸に嵌着した鎖歯車(図示せず)が係合してあって、第3フック49は、減速機付きモータ50の正逆駆動により、ローラチェーンを介して2本の棒材47・47上を進退動するようになっている。
【0021】
また、第1・第2フック27・28と同様に、第3フック49の先端の下面には切り欠き部が設けてあって、切り欠き部は、前進するにともない、金型保管手段1・2の内側にそれぞれ立設された上向きのシリンダの伸長作動によって、搬送板33の突起部33aの真上まで誘導されたり、突起部33aから押し上げたりして、シリンダの伸縮作動により搬送板33の突起部33aと係合・分離するようになっている(図4・7・8参照)。
【0022】
また、駆動手段46は、台車本体38の前面に装着された減速機付きモータ51と、台車本体38に軸架した2本の回転軸52・52に嵌着されかつ第1レール6と係合する4個の車輪53・53と、台車本体38上に装着されて減速機付きモータ51の出力軸の回転力を回転軸52に伝動する伝動手段54とで構成してある。
【0023】
次に、右側の金型保管手段2に保管されている新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換する手順について述べる。まず、搬送台車3の空状のローラコンベヤ15を、交換すべき新金型Mを収納した右側の金型保管手段2のローラコンベヤ13と対向する位置まで移動させたのち、新金型Mをローラコンベヤ15上に牽引手段8によって牽引する一方(図9のA 参照)、金型移載装置11の一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め上昇させた状態にして、右側の樹脂成形装置5から交換すべき旧金型Mを、金型移載装置11の往復動手段45によって一対のローラ機構42・42上に牽引する(図9のB 参照)。
【0024】
次いで、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させ、続いて、旧金型M搭載の金型移載装置11をローラコンベヤ16に接近させるとともに、一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め下降させて、旧金型Mを金型移載装置11の8組のローラ39・39に載せる。次いで、旧金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ16に牽引手段9によって牽引し(図9のC 参照)、続いて、搬送台車3を、新金型Mを搭載したローラコンベヤ15が第1レール6上に位置するまで移動させたのち、新金型Mをローラコンベヤ15から8組のローラ39・39上に牽引手段8によって牽引する(図10のA 参照)。
【0025】
次いで、新金型M搭載の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置5と対向する位置まで移動させたのち、新金型Mを右側の樹脂成形装置5に往復動手段45によって牽引して取り付ける一方、旧金型Mを搬送台車3によって金型保管手段2の空状のローラコンベヤ13まで移動させたのち、この旧金型Mをローラコンベヤ13に収納する(図10のB 参照)。これにより、右側の金型保管手段2に保管されていた新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換することができる(図10のC 参照)。
【0026】
次に、左側の金型保管手段1に保管されている新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換する手順について述べる。まず、搬送台車3の空状のローラコンベヤ16を、交換すべき新金型Mを収納した左側の金型保管手段1のローラコンベヤ12と対向する位置まで移動させたのち、新金型Mをローラコンベヤ16上に牽引手段9によって牽引するとともに、(図11のA 参照)、金型移載装置11を左側の金型保管手段1と対向する位置で移動して待機させておく。
【0027】
次いで、搬送台車3を、新金型M搭載のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させ、続いて、金型移載装置11の一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め下降させた状態にして、新金型Mをローラコンベヤ16から金型移載装置11の8組のローラ39・39上に牽引手段9によって牽引する(図11のB
参照)。次いで、搬送台車3を一時金型保管手段1・2間に移動させたのち、新金型M搭載の金型移載装置11を右側の金型保管手段2と対向する位置で移動させ(図11のC 参照)、続いて、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ15が第1レール6上に位置するまで移動させる。
【0028】
次いで、新金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ15上に牽引手段8によって牽引し(図12のA
参照)、続いて、空状の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置2まで移動させるとともに、一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を予め上昇した状態にして、右側の樹脂成形装置2から交換すべき旧金型Mをローラ機構42・42上に往復動手段45によって牽引する一方、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させる(図12のB
参照)。
【0029】
次いで、旧金型M搭載の金型移載装置11を空状のローラコンベヤ16に接近させたのち、旧金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ16上に牽引手段9によって牽引し(図12のC 参照)、続いて、搬送台車3を、新金型M搭載のローラコンベヤ15が第1レール6上に位置するまで移動させる。次いで、一対の案内部材40・40とローラ機構42・42を下降させたのち、新金型Mをローラコンベヤ15上から8組のローラ39・39上に牽引手段8によって牽引する(図13のA
参照)。
【0030】
次いで、新金型M搭載の金型移載装置11を右側の樹脂成形装置2まで移動させたのち、新金型Mを右側の樹脂成形装置5に往復動手段45によって牽引して取り付ける一方(図13のB 参照)、搬送台車3を、旧金型M搭載のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させたのち、旧金型Mをローラコンベヤ16から8組のローラ39・39上に牽引手段9によって牽引する(図13のC
参照)。
【0031】
次いで、搬送台車3を金型保管手段1・2側へ一時移動させたのち、旧金型M搭載の金型移載装置11を左側の樹脂成形装置1側まで移動させ(図14のA
参照)、続いて、搬送台車3を、空状のローラコンベヤ16が第1レール6上に位置するまで移動させたのち、
旧金型Mを金型移載装置11からローラコンベヤ16に牽引手段9によって牽引する(図14のB
参照)。
【0032】
次いで、旧金型Mを搬送台車3によって左側の金型保管手段1の空状のローラコンベヤ12まで移動させたのち、ローラコンベヤ12に旧金型Mを牽引手段9によって牽引する。これにより、左側の金型保管手段1に保管されていた新金型Mを、右側の樹脂成形装置5に取り付けられていた旧金型Mと交換することができる(図14のC参照)。
【0033】
なお、上記の実施例では、金型保管手段1・2および樹脂成形装置4・5はそれぞれ2列であるが、これに限定されるものではなく、こられがそれぞれ4列、6列など偶数的に増える場合でも同様の作用効果が得られるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0034】
1;2 金型保管手段
3 搬送台車
4;5 樹脂成形装置
6 第1レール
7 第2レール
8;9 牽引手段
10 往復動手段
11 金型移載装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の樹脂成形用金型を前後方向へ並べるとともに樹脂成形用金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、これら2列の金型保管手段を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、前記金型保管手段に収納された前記金型を前記樹脂成形装置に対して交換するための設備であって、
前記2列の金型保管手段および前記2台の樹脂成形装置の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レールと、
前記2列の金型保管手段間に前後方向へ延びて敷設されかつ前記第1レールと所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レールと、
この第2レール上に走行可能にして装架され2個の前記金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ2個の前記金型をそれぞれ左右方向へ牽引する牽引手段を備えて前記金型を前記2列の金型保管手段の金型保管位置および前記第1レールの真上位置に搬入出可能な搬送台車と、
前記第1レール上に走行可能にして装架され前記金型を搭載可能でありかつ前記樹脂成形装置に対して前記搬送手段を介し前記金型を前後方向へ往復動させる往復動手段を備えるとともに前記金型を左右方向へ移動可能に構成して、前記樹脂成形装置と前記金型搬送台車との間を前記金型を交互に移載可能な金型移載装置と、
を具備したことを特徴とする樹脂成形用金型の交換設備。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂成形用金型の交換設備において、
前記搬送台車においては、
前記第2レール上に走行可能にして装架した枠状の台車本体上に、多数のローラを左右方向へ並べ枢支して成る2組のローラコンベヤと、2組のローラコンベヤ上の金型をそれぞれ左右方向へガイドする2対の案内部材とが装着してあり、さらに、前記台車本体の前端部には台車本体を走行駆動する駆動手段が装着したことを特徴とする樹脂成形用金型の交換設備。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂成形用金型の交換設備において、
前記金型移載装置においては、
前記第1レール上に走行可能に装架された枠状の台車本体上の左右両側部に、金型を左右方向へ移送可能な4組のローラが装着してあり、さらに、前記台車本体上における4組のローラの内側には金型を前後方向へ案内する一対の案内部材が複数本のシリンダを介し昇降可能にして装着してあり、一対の案内部材の内側には金型を前後方向へ移送可能な一対のローラ機構が支持部材を介して装着してあり、また、前記台車本体上の前面側には金型の後退端を位置決めする位置決め部材が装着してあり、前記台車本体上の中心部には金型を前後方向へ牽引して往復動させる往復動手段が装着してあり、さらに、前記台車本体の前端部には台車本体を走行駆動する駆動手段が装着してあることを特徴とする樹脂成形用金型の交換設備。
【請求項1】
左右方向に所要の間隔をおいて並設され複数の樹脂成形用金型を前後方向へ並べるとともに樹脂成形用金型毎に左右方向へ移動自在にして保管する2列の金型保管手段と、これら2列の金型保管手段を左右から挟んで並設され上面に金型を前後方向へ移送可能な移送手段を備えた2台の樹脂成形装置とを備えた樹脂成形設備において、前記金型保管手段に収納された前記金型を前記樹脂成形装置に対して交換するための設備であって、
前記2列の金型保管手段および前記2台の樹脂成形装置の前面側を繋ぐようにして敷設された第1レールと、
前記2列の金型保管手段間に前後方向へ延びて敷設されかつ前記第1レールと所要の隙間を設けるとともに直交して敷設された第2レールと、
この第2レール上に走行可能にして装架され2個の前記金型を前後方向へ並べて搭載可能でありかつ2個の前記金型をそれぞれ左右方向へ牽引する牽引手段を備えて前記金型を前記2列の金型保管手段の金型保管位置および前記第1レールの真上位置に搬入出可能な搬送台車と、
前記第1レール上に走行可能にして装架され前記金型を搭載可能でありかつ前記樹脂成形装置に対して前記搬送手段を介し前記金型を前後方向へ往復動させる往復動手段を備えるとともに前記金型を左右方向へ移動可能に構成して、前記樹脂成形装置と前記金型搬送台車との間を前記金型を交互に移載可能な金型移載装置と、
を具備したことを特徴とする樹脂成形用金型の交換設備。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂成形用金型の交換設備において、
前記搬送台車においては、
前記第2レール上に走行可能にして装架した枠状の台車本体上に、多数のローラを左右方向へ並べ枢支して成る2組のローラコンベヤと、2組のローラコンベヤ上の金型をそれぞれ左右方向へガイドする2対の案内部材とが装着してあり、さらに、前記台車本体の前端部には台車本体を走行駆動する駆動手段が装着したことを特徴とする樹脂成形用金型の交換設備。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂成形用金型の交換設備において、
前記金型移載装置においては、
前記第1レール上に走行可能に装架された枠状の台車本体上の左右両側部に、金型を左右方向へ移送可能な4組のローラが装着してあり、さらに、前記台車本体上における4組のローラの内側には金型を前後方向へ案内する一対の案内部材が複数本のシリンダを介し昇降可能にして装着してあり、一対の案内部材の内側には金型を前後方向へ移送可能な一対のローラ機構が支持部材を介して装着してあり、また、前記台車本体上の前面側には金型の後退端を位置決めする位置決め部材が装着してあり、前記台車本体上の中心部には金型を前後方向へ牽引して往復動させる往復動手段が装着してあり、さらに、前記台車本体の前端部には台車本体を走行駆動する駆動手段が装着してあることを特徴とする樹脂成形用金型の交換設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−173354(P2011−173354A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39832(P2010−39832)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
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