説明

樹脂成形装置及び樹脂成形装置のクリーニング方法

【課題】半導体チップやICなどの電子部品を樹脂封止・樹脂成形する樹脂成形装置とそのクリーニング方法に関し、封止用金型や成形用金型に付着した樹脂残渣の除去を効率的に行うことができる樹脂成形用金型とそのクリーニング方法を提供する。
【解決手段】樹脂成形金型に形成されたキャビティー5内に溶融樹脂を注入して樹脂成型する樹脂成形装置において、キャビティー5に通じるオゾンガス導入路とオゾンガス導入路に接続されたオゾン発生器を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップやICなどの電子部品を樹脂封止・樹脂成形する樹脂成形装置とそのクリーニング方法に関し、特に、封止用金型や成形用金型に付着した樹脂残渣を除去するクリーニング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モジュールやディスクリート等の電子デバイスの樹脂封止工程では、半導体チップが実装されたリードフレームなどの基板を金型内に載置し、原料樹脂を金型に射出することで、半導体チップの樹脂封止が行われる。この樹脂封止に用いられるモールド成形用の金型は、成形加工処理がくり返される結果、金型に原料樹脂の一部や樹脂成形物の残り屑(所謂樹脂残渣)等からなる汚れが付着する。そして、このような樹脂残渣が付着した金型をそのまま連続使用することは、生産される樹脂成形品の外観を損なったり品質劣化の原因になると言う問題があった。
この問題に対し、従来はブラシ(回転ブラシ)掃引(特許文献1)、ドライアイス粒子噴射(特許文献2)、クリーニングガス噴射(特許文献3)や、紫外線照射(特許文献4)、レーザー照射(特許文献5)、プラズマ印加等の物理的・化学的方法、若しくはこれ等の組合せによる方法(特許文献6,特許文献7)等、種々の方法で金型のクリーニングを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−170853公報
【特許文献2】特開2004−098602号公報
【特許文献3】特開平8−080533号公報
【特許文献4】特開2003−154531号公報
【特許文献5】特開2000−068306号公報
【特許文献6】特開2002−127151号公報
【特許文献7】特開2004−202926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来行われていたクリーニング方法、例えばブラシ掃引等の物理的方法では樹脂残渣の除去効率が根本的に低く、金型表面に化学的に強く結合して付着している樹脂残渣を完全に取り除くのは困難であった。更に、金型封止空間(成形キャビティ)内の形状が複雑化したり、形状的に深い彫になると、ブラシ掃引ではブラシの毛足が樹脂残渣に確実に届かなくなったり、また、ドライアイス粒子やクリーニングガス噴射法でも、噴射された粒子やガスが樹脂残渣に到達しなくなり、残渣除去が益々困難になると言う問題があった。
一方、此れまでのレーザー照射やプラズマ印加等の物理的・化学的方法では構造の複雑化による装置高コスト化の問題や、クリーニング実施に至るまでの段取りに多くの時間を要し生産性を悪化させる問題があった。
【0005】
本発明は、以上の問題に鑑み、樹脂残渣の除去を効率的に行うことができる樹脂成形用金型とそのクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る樹脂成形装置は、樹脂成形金型に形成されたキャビティー内に溶融樹脂を注入して樹脂成型する樹脂成形装置において、
前記キャビティーに通じるオゾンガス導入路とオゾンガス導入路に接続されたオゾン発生器を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る樹脂成形金型クリーニング方法は、樹脂成形金型に形成されたキャビティー内に溶融樹脂を注入して樹脂成型する樹脂成形装置において、成型後に樹脂成形金型のキャビティー内を清浄にするクリーニング方法であって、
前記樹脂成形金型のキャビティー内のガスを排気することと、
排気したキャビティ内にオゾン含有ガスを導入することと、を含み、
前記樹脂成形金型のキャビティー内を清浄にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る樹脂成形装置及び樹脂成形金型クリーニング方法によれば、樹脂成形金型のキャビティ内にオゾンガスを導入する事で、簡便且つ低コストにて、金型表面の樹脂残渣がエッチング・クリーニングできる。
したがって、本発明によれば、樹脂残渣の除去を効率的に行うことができる樹脂成形用金型とそのクリーニング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態1の樹脂成形装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る実施形態2の樹脂成形装置の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態3の樹脂成形装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態の樹脂成形装置とそのクリーニング方法について説明する。
【0011】
実施形態1.
図1は、本発明に係る実施形態1の樹脂成形装置の構成を示す断面図である。
実施形態1の樹脂成形装置は、樹脂成形用金型として、それぞれヒーター3が組み込まれた樹脂成形用の上金型1と下金型2とを備えている。上金型1に連結されたプレスシャフト4は、上金型1を上下に駆動するとともに、樹脂成形時には樹脂圧に対抗する圧力で押圧する。また、下金型2は、ベース台8に固定されている。
上金型1と下金型2とにはそれぞれ成形品の形状に対応する凹部が形成され、型締め時に、上金型1と下金型2の間にキャビティ5が形成される。型締め時にはさらに、上金型1と下金型2の間に金型内で加熱され軟化した樹脂をキャビティー5内に導入する樹脂ゲート6と排気ベント7とが形成される。排気ベント7には、樹脂成形前にキャビティ5内の大気ガスを排出するために真空ポンプ(図示しない)が接続されている。金型内で加熱され軟化した樹脂23は、樹脂プランジャー(図示しない)により押し上げられて、カル部22から樹脂ゲート6へと導かれる。
【0012】
なお、前記上金型1と下金型2の型締め時には、上金型1と下金型2の一方又は両方に設けられたシール材(図示しない)により、キャビティ5内は密閉状態となる。
下金型2には、キャビティー5に通じるプランジャーピンシリンダ10が形成され、プランジャーピンシリンダ10の中に、成形後にキャビティー5に突き出されるプランジャーピン9が設けられている。プランジャーピン9は、樹脂成形後の成形品を押し上げ、成形品を下金型2から離脱させる。言うまでも無くプランジャーピン9はプランジャーピンシリンダ(10)内で摺動・上下駆動する。
【0013】
ここで特に、本実施形態1の樹脂成形装置は、プランジャーピンシリンダ10に連通するオゾンガス導入穴13を有しており、そのオゾンガス導入穴13にはオゾナイザ11が接続されている。そのオゾナイザ11には酸素ガス供給管12を介して酸素ガス(図示しない)が注入される。
【0014】
以上のように構成された実施形態1の樹脂成形装置において、先ず、樹脂成形用の上金型1と、下金型2とが共にヒーター3によって、使用する樹脂タブレットの軟化温度以上(使用する樹脂材料により異なるが、例えば、160℃〜180℃)に加熱される。
次に、下金型2に半導体チップが接合されたリードフレーム(図示しない)が載置され、上金型1がプレスシャフト4にて押し下げられ、下金型2との間にリードフレームを挟み、嵌合・閉塞する。
次に、真空ポンプ等の排気手段(図示しない)によって、キャビティ5内の大気(ガス)が排気ベント7を介して排気・排出される。
この後、樹脂タブレットが軟化し、圧送する樹脂プランジャー(図示しない)にて、軟化・流動化した樹脂(図示しない)が、樹脂ゲート6を介してキャビティ5内に注入される。なお、樹脂がキャビティ5内に注入される際、プランジャピン9の上面端はキャビティ5表面と同一面になるよう、プランジャピン9が位置決めされる。
樹脂成型が完了すると、上金型1と下金型2が開放され、プランジャーピン9にて成形品(図示しない)を押し上げ、成形品を下金型2より離脱させる。言うまでも無く、完成成型品はリードフレームと一体成型されたものであり、これを搬出し、上金型1と下金型2の間は空の状態となる。
【0015】
次に、再度、上金型1と下金型2とを閉塞状態にして、キャビティ5内の大気(ガス)を排気ベント7を介して排気・排出する。
次に、プランジャピン9をキャビティ5の表面より下げて、オゾンガス導入穴13とキャビティ5とをプランジャーピンシリンダ10を介して連通させる。一方、酸素ガス供給管12より酸素ガス(図示しない)をオゾナイザ(11)に供給して、オゾナイザ11で生成されたオゾン含有ガス(酸素分子、オゾン分子、原子状酸素(酸素原子)の混合ガス)を、オゾンガス導入穴13、プランジャーピンシリンダ10を介して減圧又は真空状態になったキャビティ5内に導入する。キャビティ5内に供給されたオゾンガスは、キャビティ5表面の樹脂残渣と反応する。即ち、オゾンガスによって樹脂残渣がエッテング(分解・除去)され、金型表面が清浄(クリーニング)される。このとき、特に、オゾンガス中に存在する原子状酸素が樹脂エッチングに対し重要な役割を果たす。また、このクリーニング時、金型温度をオゾン含有ガスと樹脂残渣との反応を促進する温度に設定すると、反応速度を速くでき、効率的に金型表面を清浄にできる。
【0016】
なお、金型クリーニングの最中は、キャビティ5内のガスは排気ベント7を介して、排気・排出される。また、排気ベント7より排気されたキャビティ5内のガスは、排ガス処理設備(図示しない)で無毒化される。
【0017】
以上のように構成された実施形態1の樹脂成形装置によれば、排気ベント7、オゾン導入穴13の2つの系統のガスラインにより、上金型1、下金型2の閉塞時に形成されるキャビティ5内のガス抜き、及びキャビティ5内へのオゾンガス供給をするものである。
このようにしたことにより、オゾンガスが導入される前にキャビティ(5)内を排気して減圧又は真空状態にすることができるため、大気ガスとオゾンガスの混合によるオゾンガスの活性低下を抑制できる。
したがって、オゾンガス供給に際して、樹脂残渣にオゾンガスを効果的に供給する事が可能になる。
【0018】
また、オゾンガス導入穴13とプランジャーピンシリンダ10とを連通させた事により、プランジャーピン9上下駆動をオゾンガスの開閉弁として機能させることが可能になる。これにより、オゾンアタックにより痛みやすい開閉弁を用いることなく構成でき、装置信頼性を向上させることができる。
【0019】
さらに、この方法では、比較的簡単な装置構成でよく、すなわち、キャビティへのオゾンガス導入用の経路を設け、かつ樹脂成形時にはその経路に樹脂が入り込むと樹脂の熱硬化によりオゾンガス導入経路が塞がれてしまうという問題が生じるのに対して、成形時にはプランジャーピンによってオゾンガス導入経路が密封されており、かつ排気もモールド成形時のキャビティ内エアを追い出す排気ベントを共用するため、最小限の機能追加でオゾンガス導入及び排気を実現でき、装置の高コスト化を抑制できる。
【0020】
また、クリーニングの際、金型温度を降温することもないので、クリーニング終了時から樹脂成形工程への移行に時間を要せず、時間ロスを防ぐ事ができる。また、ハロゲンガスやドライアイス等の特殊材料や、レーザー、エキシマー光源等の特殊機材を必要とせず、簡便な手段で金型クリーニングが可能となり、クリーニング段取りに時間を要することもない。したがって、簡便且つ低コストにて生産性向上に寄与できるものである。
【0021】
なお、実施形態1では、オゾンガスでのクリーニング単体での方法を記述したが、此れに限るものでなく、ブラシ(回転ブラシ)掃引などの物理的方法と併用し、樹脂残渣による金型の汚れ具合で適宜使い分けても良い。
【0022】
実施形態2.
本発明に係る実施形態2の樹脂成形装置は、図2に示すように、クリーニング用のインナーフランジ14を金型とは別に備えている点で実施形態1の樹脂成形装置とは異なっている。
すなわち、実施形態2の樹脂成形装置は、実施形態1の樹脂成形装置の下金型2に形成したオゾンガス導入穴に代えて、オゾンガス導入管15を備えたインナーフランジ14を備えている。尚、図2において、図1と同様の構成要素には同様の符号を付しており、その説明は省略する。
【0023】
実施形態2において、インナーフランジ14は、オゾンガス導入管15の他に排気管16を備えている。また、インナーフランジ14は、加熱層(ヒーター)20と断熱層21の2層構造となっており、上金型1と下金型2によりインナーフランジ14を挟んだ際の上金型1、下金型2の温度低下を防ぐと共に、断熱層21により加熱層(ヒーター)20からの熱を断熱し、埋設されたオゾンガス導入管15の過度な温度上昇を抑制して適切な温度に制御して、キャビティ5内導入前のオゾンガスの活性が低下するのを防止している。
すなわちインナーフランジ14を密着させた状態で、上金型1及び下金型2の温度変化が生じると、クリーニング終了後の成形開始前に上金型1及び下金型2の温度が均一になるまで待つ必要が生じるが、本構成によれば、上金型1及び下金型2と対向する面の温度は金型温度と同一とし、オゾンガスの導入経路周辺を金型の温度より低温にしてオゾン含有ガスの温度を適切な温度に管理することが可能となり、オゾンガスの活性を防止すると同時に生産性を向上させることができる。
なお、インナーフランジ14の断熱層21は、熱伝導率の低い、例えば、セラミック、石英などの材料で構成することができる。
【0024】
以上のように構成されたインナーフランジ14を図2に示すように上金型1と下金型2とに挟まれるようにセットする。インナーフランジ14は、例えば、モールド装置内に水平方向に移動するサーボ機構を設けるなどして、金型を開いた状態で、水平方向に移動させ、クリーニング時にはインナーフランジを備えた状態とすることができる。尚、成型時には上金型1と下金型2間から移動させて、上金型1と下金型2とを直接型締めするようにする。このような水平方向の移動は、ワークの搬送ロボットなどと同じ駆動経路を用いることで容易に実現できる。また、上下方向は、例えば下金型2だけが移動する金型構成で上金型1と下金型2が構成されているときには、インナーフランジ14の基本高さが上金型に接触しないように数mmから数十mmのクリアランスを設けた位置でバネ力が釣りあうような上下可動機構を備え、下金型2の上昇に伴って上金型1に密着してクランプされるように構成することで、上下動のサーボ機構の追加なしで実現可能となるため装置構成がシンプル化する。
【0025】
以上のように構成された実施形態2の樹脂成形装置において、実施形態1の樹脂成形装置と同様にして樹脂成形が終了した後、図2に示すように、インナーフランジ14を上金型1と下金型2の間にセットする。
【0026】
次に酸素ガス供給管12より酸素ガス(図示しない)をオゾナイザ11に供給し、オゾナイザ11で生成されたオゾンガスを、オゾンガス導入管15よりチャンバ17に導入する。インナーフランジ14の内周壁と上金型1の凹部と下金型2の凹部とにより形成されたチャンバ17内のオゾンガスは実施形態1と同様、金型表面の樹脂残渣と反応し、樹脂残渣がエッチングされる。なお、チャンバ17内のガスは排気管16を介して、真空ポンプ等の排気手段(図示しない)より排気・排出される。
【0027】
金型のクリーニングが完了した後、インナーフランジ14は上金型1と下金型2の間から取り外される。
【0028】
以上のように構成された実施形態2の樹脂成形装置では、チャンパ17内に供給されたオゾン含有ガスがキャビティ5表面の樹脂残渣と反応する。これにより、樹脂残渣がエッテング(分解・除去)され、金型表面が清浄に(クリーニング)される。
【0029】
また、実施形態2の樹脂成形装置でクリーニング時に使用するインナーフランジ14は、既成の樹脂成形装置にも適用できるため、大幅な装置改造を必要とせず、より簡便且つ低コストにて取り付けることができる。
【0030】
実施形態3.
本発明に係る実施形態3の樹脂成形装置は、図3及び図4に示すように、実施形態1の樹脂成形装置において、オゾンガス導入穴に代えて、その中に放電ロッド19を備えた多重円筒オゾンガス導入管18を具備している点で、実施形態1の樹脂成形装置と異なっているが、その他の部分は実施形態1の樹脂成形装置と同様に構成されている。
尚、図3は、本発明に係る実施形態3の樹脂成形装置の構成を示す断面図であり、図4は、図4は、図3の一部を拡大して示す断面図である。
【0031】
以上のように構成された実施形態3の樹脂成形装置では、多重円筒オゾンガス導入管18の管壁による断熱効果により下金型2からの熱が遮断される為、管内に流れるオゾンガスの温度上昇による失活を抑制することができる。
また、多重円筒オゾンガス導入管18の中央に設置された放電ロッド19とアースに接地された最接円筒管との間に、図示しない高圧発生器などにより高圧電圧を印加し、管内に大気圧放電させる事で自然消滅オゾンの補填が可能となる。
したがって、実施形態3の樹脂成形装置では、クリーニングに資するオゾンガス量をより多く確保できるものである。
【0032】
以上説明したように、本発明に係る樹脂成形装置及び樹脂成形金型クリーニング方法によれば、樹脂成形金型のキャビティ内にオゾンガスを導入する事で、簡便且つ低コストにて、金型表面の樹脂残渣がエッチング・クリーニングできる。
本発明は、TSOPのような薄型で平坦なパッケージに適用できることは言うまでもないが、パッケージの厚みが大きいパワーモジュールに対してより効果的である。
すなわち、これらのパワーモジュールは、キャビティの厚みが大きく、残渣の除去が困難でありクリーニングに時間を要していたが、本発明によれば、樹脂残渣の除去が短時間でクリーニング可能になる。
また、これらのパワーモジュールにおいて、パッケージの厚みが大きくなる理由のひとつは絶縁距離確保である。パワーモジュールでは、ヒートシンクとリード電極間の距離を放電しないように離してもうける必要があるため、キャビティの厚みが例えば5mm以上必要となっていた。次に内蔵する部品が平坦でないという問題がある。パワー半導体に対しては放熱性が必要なため、放熱面に近い高さに配置したいが、制御用の素子は放熱面とは離したいため、高さを変える段差つきのインサート物を用いる事が多い。このためキャビティの厚みが大きくなっていた。更にリードフレームとプリント配線板を平行に内包するパッケージを実現しようとしたときに、このような構成ともなると、キャビティの厚みは10mmを超えて厚くなり、クリーニングの困難度が更に増していた。このような状態では、付着性の高い樹脂を用いた場合、自動クリーニングがともすれば困難で、手作業が介在せざるを得ない場合があった。
しかしながら、本発明によれば、これらのパワーモジュールの製造過程における問題を解決することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 上金型
2 下金型
3 ヒーター
4 プレスシャフト
5 キャビティ
6 樹脂ゲート
7 排気ベント
8 ベース台
9 プランジャピン、
10 プランジャーピンシリンダ
11 オゾナイザ
12 酸素ガス供給管、
13 オゾンガス導入穴
14 インナーフランジ
15 オゾンガス導入管
16 排気管
17 チャンバ
18 多重円筒オゾンガス導入管
19 放電ロッド
20 加熱層(ヒーター)
21 断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形金型に形成されたキャビティー内に溶融樹脂を注入して樹脂成型する樹脂成形装置において、
前記キャビティーに通じるオゾンガス導入路とオゾンガス導入路に接続されたオゾン発生器を備えたことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項2】
前記樹脂成形金型は、成型品を押し出すプランジャーピンが挿入されたプランジャーピンシリンダを有し、前記オゾンガス導入路は、前記プランジャーピンシリンダに通じており、成型時には前記オゾンガス導入路は前記プランジャーピンによって塞がれ、成型後に前記オゾンガス導入路が前記プランジャーピンシリンダを介して前記キャビティーに通じる請求項1記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記オゾンガス導入路内にさらに、放電ロッドを備えた請求項1又は2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記キャビティー内を減圧するための排気ベントをさらに備えた請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
チャンバーと該チャンバーに繋がる前記オゾンガス導入路とを有するインナーフランジをさらに備え、前記樹脂成形金型は、型締めされて前記キャビティを構成する上金型と下金型とを有してなり、前記インナーフランジが前記上金型と前記下金型の間に挿入される請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記オゾンガス導入路は、前記樹脂成形金型からの熱を遮蔽するように断熱されている請求項1〜5のうちのいずれか項記載の樹脂成形装置
【請求項7】
樹脂成形金型に形成されたキャビティー内に溶融樹脂を注入して樹脂成型する樹脂成形装置において、成型後に樹脂成形金型のキャビティー内を清浄にするクリーニング方法であって、
前記樹脂成形金型のキャビティー内のガスを排気することと、
排気したキャビティ内にオゾン含有ガスを導入することと、
を含み、
前記樹脂成形金型のキャビティー内を清浄にすることを特徴とする樹脂成形金型クリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−236385(P2012−236385A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108351(P2011−108351)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】