説明

樹脂板用端面処理装置

【課題】 樹脂板の他の部分には影響を与えることなく、端面の「ばり」を除去することができる樹脂板用端面処理装置および処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、略矩形の樹脂板2の端面2b,2c,2dを溶融処理する樹脂板用端面処理装置1であって、樹脂板を所定位置に位置決めする位置決めピン5と、位置決めされた樹脂板の端面の所定部分に赤外線を照射して端面を加熱する赤外線照射装置18と、を備え、赤外線照射装置は、赤外線を発生させる赤外線ランプ20と、この赤外線ランプが発生させた赤外線を樹脂板の端面の所定部分に集光する耐熱シリンドリカルミラー22と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂板用端面処理装置に係り、特に、樹脂板の端面のばりを赤外線によって溶融除去する樹脂板用端面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パソコン等の液晶ディスプレイの光源に用いられる板状の光学部品として、端面から入射した光を全反射させ表面全体を発光させる導光板が知られている。この導光板は、厚さが均一ではないため、製造にあたっては、金型内に入れ子を配置した入れ子式の金型を用いて射出成形される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
入れ子は、金型本体内に隙間なく配置されるように設計されているが、注入される溶融樹脂の熱等により、入れ子と金型本体との間にわずかな隙間が生じてしまい、射出成形時に、この隙間に侵入した溶融樹脂が、成形品である導光板の端面に「ばり」として残ることがある。このような端面の「ばり」によって、導光板がバックライトユニットの筐体に収納できなくなったり、バックライトに輝線が生じたりする等の問題が生じるため、射出成形後に導光板の端面に生じた「ばり」を除去する必要がある。
また、導光板に限らず、他の樹脂製の板においても、種々の問題を生じさせる「ばり」を除去する必要がある。
【0004】
このような射出成形によって製造された樹脂板の「ばり」除去方法として、例えば、輻射熱を利用する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−42755号公報
【0006】
しかしながら、上述したばり除去方法は、樹脂板の他の部分には影響を与えることなく、端面の「ばり」を除去することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、樹脂板の他の部分には影響を与えることなく、短時間に端面の「ばり」を除去することができる生産性に優れた樹脂板用端面処理装置および処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、略矩形の樹脂板の端面を溶融処理する樹脂板用端面処理装置であって、上記樹脂板を所定位置に位置決めする位置決め手段と、位置決めされた上記樹脂板の端面の所定部分に赤外線を照射して上記端面を加熱する赤外線照射手段と、を備え、上記赤外線照射手段は、赤外線を発生させる赤外線源と、この赤外線源が発生させた赤外線を上記樹脂板の端面の所定部分に集光する集光手段と、を有することを特徴とする樹脂板用端面処理装置が提供される。
【0009】
このような構成によれば、樹脂板の端面の所定部分に赤外線が照射されるので、樹脂板の他の部分への影響を最小限に抑えつつ、端面の溶融処理を行うことができる。
【0010】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記赤外線源と上記樹脂板の端面との間に配置され、上記赤外線の照射領域を制限するスリットを備えた照射領域制限手段を更に備えている。
このような構成によれば、赤外線照射手段からの赤外線が樹脂板の上下面へ回り込まず、樹脂板の端面のみを効果的に溶融処理することができる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記位置決め手段が、上記樹脂板を所定角度回転させる回転手段を備えている。
このような構成によれば、一端面の処理が完了した後、樹脂板を例えば90度回転させて未処理の端面の処理を行うことができるので、樹脂板をセットしたままで、複数の端面の溶融処理を行うことができる。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記赤外線源は、上記樹脂板の溶融処理すべき端面と対向するように配列された少なくとも1つの線状の光源である。
このような構成によれば、赤外線が樹脂板の端面全体に一斉に照射されるので、短時間で溶融処理を行うことができる。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記赤外線源は、上記樹脂板の端面に赤外線を照射するように上記樹脂板の下方に配置された少なくとも1つの線状の光源でもよい。
このような構成によれば、赤外線が樹脂板の端面全体に一斉に照射されるので、短時間で溶融処理を行うことができる。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記赤外線源は、上記樹脂板の端面に赤外線を照射するように上記樹脂板の斜め下方に配置されている。
このような構成によれば、端面処理中の樹脂板の処理端面の溶融温度を適当な温度に調整することができ、樹脂板の処理端面が過熱状態になることを防ぐと共に樹脂板の端面処理を効率良く行うことができる。
【0015】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記線状の光源は、上記樹脂板の溶融処理すべき端面以上の長さを有する。
このような構成によれば、赤外線が樹脂板の端面全体に一斉に照射されるので、短時間で溶融処理を行うことができる。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記スリットが閉鎖または移動可能に構成され、このスリットの移動により上記端面への赤外線の照射が調整される。
このような構成によれば、赤外線源をオンオフ制御することなく、赤外線を照射、遮断することができるので、迅速な照射、および、赤外線源の長寿命化が可能となる。
【0017】
本発明の他の好ましい態様によれば、更に、上記位置決めされた上記樹脂板を固定する固定手段を備えている。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記固定手段は、断熱材で形成されている。
【0019】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記固定手段は、耐熱性を有する。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記固定手段は、その端面が上記樹脂板の端面と面一になるように上記樹脂板を固定する。
【0021】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記固定手段は、冷却手段を具備している。
【0022】
本発明の他の好ましい態様によれば手上記赤外線源が点状の光源であり、上記集光手段が上記赤外線をスポット状に集光する集光手段であり、上記赤外線照射手段が溶融処理すべき端面に沿って移動可能である。
このような構成によれば、赤外線照射手段の移動範囲を変更することにより、異なった寸法の樹脂板にも対応可能となる。
【0023】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記赤外線源に供給される電圧、電流を制御することにより、上記樹脂板の端面の溶融処理温度が調整される。
【0024】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記赤外線の一部を吸収する光学フィルタが、上記溶融処理すべき端面の端部と上記赤外線源との間に配置されている。
このような構成によれば、過熱されやすい樹脂板の角部付近への赤外線の照射量を減少させることが可能となる。
【0025】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記樹脂板が、導光板である。
【0026】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記導光板は、一方の面がマット面であり、他方の面がプリズム面であるマットプリズム導光板である。
【0027】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記導光板の端面を切削処理する切削手段を更に備えている。
【0028】
本発明の他の好ましい態様によれば、更に、上記赤外線源と上記樹脂板の端面との距離を調整する距離調整手段を備えている。
このような構成によれば、赤外線源から樹脂板の端面の溶融処理温度を調整することが可能となる。
【0029】
本発明の他の好ましい態様によれば、更に、上記赤外線源と上記樹脂板との鉛直方向の相対位置を調整する昇降手段を備えている。
このような構成によれば、赤外線源から樹脂板の端面の溶融処理温度を調整することが可能となる。
【0030】
本発明の他の好ましい態様によれば、上記いずれかの樹脂板用端面処理装置を用いたことを特徴とする導光板製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の樹脂板用端面処理装置によれば、樹脂板の他の部分には影響を与えることなく、短時間に端面の「ばり」を除去することができる生産性に優れた樹脂板用端面処理装置および処理方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態の樹脂板用端面処理装置について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の樹脂板用端面処理装置1の構成を概略的に示す平面図であり、図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、樹脂板用端面処理装置1は、射出成形によって製造された樹脂板の端面に赤外線を照射し、端面に形成された「ばり」を溶融することによって端面処理を行う装置である。ここでは、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の材料を用いて射出成形によって製造した樹脂板である導光板2を例に、樹脂板用端面処理装置1の構成および作動を説明するが、本発明は、他の樹脂板にも適用可能である。
【0034】
樹脂板用端面処理装置1は、端面処理を行う導光板2を支持する支持台4を備えている。導光板2は、一方の面がブラスト加工あるいはマット加工等によって処理された粗面(マット)であり、他方の面がプリズムからなるマットプリズム導光板である。導光板2は、入れ子式の金型内で射出成形によって製造され、この結果、端面2a,2b,2c,2dには、数十ミクロンの「ばり」が付着している。
【0035】
また、支持台4には、導光板2を支持台4上の所定位置に位置決めする複数の位置決めピン5が設けられている。
樹脂板用端面処理装置1は、導光板2を位置決めピン5に当接させて所定位置に位置決めした後、クランプ(図示せず)等の固定手段によって所定位置に固定できるように構成されている。
【0036】
さらに、支持台4には、その所定位置に位置決めされた導光板2を鉛直方向に昇降させる昇降装置を設け、この昇降位置決め装置により、導光板2と支持台4との鉛直方向の相対位置を調整できるように構成してもよい。
【0037】
また、樹脂板用端面処理装置1は、切削加工装置6を備え、この切削加工装置6により、支持台4上の所定位置に位置決めされた導光板2の入射面となる端面2aを、入射面に適当な粗さに切削加工できるように構成されている。
【0038】
切削加工装置6は、サーボモータ8の駆動により回転するねじ軸10と、このねじ軸10にねじ係合するバイト台12とを備え、このバイト台12には、導光板2の端面2aを粗切削する多結晶ダイヤモンドからなる粗切削バイト14と、粗切削した後の端面2aを仕上げ切削する多結晶ダイヤモンドからなる仕上げ切削バイト16が取付けられている。
サーボモータ8によってねじ軸10を回転させて、バイト台12をねじ軸10に沿って矢印X方向に移動させることによって、それぞれのバイト14,16によって導光板2の端面2aが切削加工される。
【0039】
また、樹脂板用端面処理装置1は、3台の細長い赤外線照射装置18を備えている。3台の赤外線照射装置18は、支持台4上の所定位置に位置決めされた導光板2の端面2a以外の端面2b,2c,2dのそれぞれに沿って延びるように配置されている。
【0040】
赤外線照射装置18は、赤外線源である細長い赤外線ランプ20とこの赤外線ランプ20の背後を覆うシリンドリカルミラー22を備えている。図2に示されているように、赤外線照射装置18では、シリンドリカルミラー22の開口が導光板2のそれぞれの端面2b,2c,2dに対向するように配置されている。赤外線ランプ20が発生させた赤外線は、矢印Aで示されるように、導光板2のそれぞれの端面2b,2c,2dに向けて集光される。
また、図1に示すように、各赤外線ランプ20及びシリンドリカルミラー22は、導光板2の各端面2b,2c,2d以上の長さを有する形態であることが好ましいが、各端面2b,2c,2dの長さよりも短い複数の細長い赤外ランプ及びシリンドリカルミラーを導光板2の各端面2b,2c,2dと対向するように配列してもよい。
【0041】
ここで、赤外線ランプ20は、付与される電圧または電流によって出力が制御可能であり、赤外線が照射される導光板2の端面2b,2c,2dの加熱温度を調整できるように構成されている。
また、各赤外線照射装置18は、所定位置に位置決めされた導光板2の各端面2b,2c,2dとの距離を調整する端面距離調整装置を備えていてもよい。この端面距離調整装置は、例えば、各赤外線照射装置18を導光板2の各端面2b,2c,2dに対して平行にスライドさせるレールのようなスライド機構によって、導光板2と各端面2b,2c,2dとの距離を調整できるように構成されている。
【0042】
また、赤外線ランプ20と導光板2の各端面2b,2c,2dとの間には、赤外線ランプ20に沿って延びるスリット24を備えた遮蔽板26が配置されている。スリット24の幅Wは、導光板2の各端面2b,2c,2dに照射される赤外線の照射領域が導光板2の端面2b,2c,2dに制限されるように設定されるのが好ましい。
【0043】
さらに、導光板2の各端面2b,2c,2dの長手方向両端部と赤外線ランプ20との間には、赤外線ランプ20からの照射される赤外線の一部を吸収する光学フィルタ28が配置されている。
【0044】
次に、このような構成を有する樹脂板用端面処理装置1の動作を説明する。
まず、金型から取り出された導光板2が、位置決めピン5により支持台4上の所定位置に位置決めされ、クランプ(図示せず)等の固定手段によって所定位置に固定されると、入射面となる導光板2の端面2aが、切削加工装置6の粗切削バイト14及び仕上げ切削バイト16によって入射面とするのに適当な粗さに切削加工される。
【0045】
そして、赤外線ランプ20に通電することにより、スリット24を通して赤外線ランプ20からの赤外線を導光板2の他の端面2b,2c,2dに照射し、各端面2b,2c,2dに付着している「ばり」を、赤外線の輻射熱で溶融除去する。なお、赤外線ランプ20からの赤外線照射量は、赤外線ランプ20への通電時間、電流、電圧を制御することによって調整される。
また、上述した端面距離調整装置を用いて、各赤外線照射装置18と導光板2の各端面2b,2c,2dとの距離を調整することにより、赤外線ランプ20から各端面2b,2c,2dの溶融処理温度を調整してもよい。
【0046】
赤外線ランプ20からの赤外線は、導光板2の上下面へ回り込まず、各端面2b,2c,2dに形成されている「ばり」を溶融して除去する。このとき、導光板2の角部に照射される赤外線は、光学フィルタ28によって一部が吸収されるので、導光板2の角部が過熱状態となることが防止される。
【0047】
さらに、樹脂板用端面処理装置1によれば、入射面となる導光板2の端面2aの切削加工装置6による切削加工と、他の端面2b,2c,2dの赤外線照射装置18によるばり取り加工とを並行して行ってもよく、このようにすることにより、導光板2の端面処理を短時間で行うことができる。
【0048】
なお、上述した本発明の第1実施形態の樹脂板用端面処理装置1は、赤外線ランプ20への通電をオンオフ制御することによって、導光板2の端面への赤外線照射を開始・終了する構成であるが、赤外線ランプ20の作動をオンオフ制御する代わりに、スリット24を開閉制御することにより、または、スリット24を上下動させることにより、導光板2の各端面2b,2c,2dへの赤外線照射タイミングを制御する構成でもよい。
また、スリット24、遮蔽板26を省略した構成でもよい。
【0049】
つぎに、本発明の第2実施形態の樹脂板用端面処理装置30について説明する。
図3は、樹脂板用端面処理装置30の構成を概略的に示す図1と同様な平面図である。
【0050】
図3に示されているように、第2実施形態の樹脂板用端面処理装置30は、樹脂板用端面処理装置1と同様の基本構成を備えている。樹脂板用端面処理装置1との相違点は、赤外線照射装置の構成であり、以下、この相違点について説明する。したがって、図3では、第1実施形態の樹脂板用端面処理装置1と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0051】
図3に示すように、本実施形態の樹脂板用端面処理装置30は、赤外線照射装置32を備えている。この赤外線照射装置32は、赤外線を導光板2の各端面2b,2c,2dに向けてスポット状に照射可能な赤外線源34と、この赤外線源34を導光板2の各端面2b,2c,2dに沿って移動させるリニアサーボモータ36とを備えている。したがって、樹脂板用端面処理装置30では、リニアサーボモータ36によって、赤外線源34が赤外線を照射しながら、導光板2の各端面2b,2c,2dに沿って矢印Y方向に移動するように構成されている。
【0052】
樹脂板用端面処理装置30では、赤外線源34から導光板2の端面に向けてスポット状に照射される赤外線は、遮蔽板26に形成されたスリット24を通って導光板2の端面2b,2c,2dに達するが、スリット24、遮蔽板26を設けない構成でもよい。
【0053】
リニアサーボモータ36は、可動式赤外線源34の移動速度を変更することができるように、駆動制御される。具体的には、リニアサーボモータ36は、可動式赤外線源34が導光板2の端面2b,2c,2dの長手方向両端部付近に赤外線を照射するときには、可動式赤外線源34が端面2b,2c,2dの長手方向中央部に赤外線を照射するときよりも高速で移動するように、駆動制御される。
【0054】
このような構成を有する樹脂板用端面処理装置30では、赤外線源34が、リニアサーボモータ36によって導光板2の端面2b,2c,2dに沿って移動しながら、導光板2の端面2b,2c,2dに向けて赤外線し、導光板2の端面2b,2c,2dに付着した「ばり」を溶融除去する。
【0055】
このとき、導光板2の端面2b,2c,2dの長手方向両端部に付近に赤外線を照射するときの赤外線源34の移動速度は、各端面2b,2c,2dの長手方向中央部に赤外線を照射するときの移動速度よりも高速に設定されているので、加熱され易い導光板2の角部が、赤外線源34からの赤外線で過熱状態となることが抑制される。
【0056】
つぎに、本発明の第3実施形態の樹脂板用端面処理装置40について説明する。
図4は、樹脂板用端面処理装置40の構成を概略的に示す図1及び図3と同様な平面図であり、図5は、樹脂板用端面処理装置40の構成を概略的に示す正面図である。
【0057】
図4及び図5に示されているように、第3実施形態の樹脂板用端面処理装置40は、ロボット(図示せず)等により金型から取り出された射出成形後の導光板42を支持する導光板支持装置44と、この導光板支持装置44上に配置された導光板42の端面42aに赤外線を照射する赤外線照射装置46とを備えている。
なお、導光板42については、上述した第1及び第2実施形態で説明したマットプリズム導光板2と同様に、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の材料を用いて射出成形によって製造した樹脂板であるが、他の樹脂板にも適用可能である。
【0058】
導光板支持装置44は、鉛直位置調整装置48、この鉛直位置調整装置48上に取り付けられかつ水平方向に板状に延びる水平位置調整装置50、この水平位置調整装置50上に固定されかつ導光板42が配置される断熱プレート52、水平位置調整装置50に対してその長手方向に移動可能に設けられた突き押し板54、水平位置調整装置50との間に形成された可変スリット55の幅W’を調整するスリット幅調整装置56によって構成されている。
【0059】
また、樹脂板用端面処理装置40は、垂直方向に昇降可能な位置決めピン(図示せず)と、断熱材で形成されている断熱クランプ58とをさらに備えている。この位置決めピン(図示せず)は、端面処理の準備段階として導光板42が断熱プレート52上に仮に配置されると、装置40の上方から断熱プレート52の端面52a又はこれに隣接した所定位置に降下するようになっている。また、位置決めピン(図示せず)がこの所定位置に降下すると、突き押し板54が移動して導光板42の端面42bに当接するように構成されている。
【0060】
さらに、突き押し板54は、導光板42の端面42bに当接した後、端面処理をすべき「ばり」が付着した導光板42の端面42aが位置決めピン(図示せず)に当接するまで導光板42の端面42bを突き押すように構成されている。
【0061】
また、導光板42の端面42aが位置決めピン(図示せず)に当接すると、突き押し板54が停止し、装置40の上方から導光板42上に断熱クランプ58が降下するようになっている。この断熱クランプ58により、導光板42が断熱プレート52と断熱クランプ58に挟まれて固定されるように構成されている。
【0062】
ここで、導光板42が断熱プレート52上に固定された状態では、断熱プレート52の端面52aと断熱クランプ58の端面58aとがほぼ同一平面内にあり、導光板42の端面42aは、断熱プレート52の端面52a及び断熱クランプ58の端面58aよりも100μm程度突出した位置にある。
【0063】
さらに、位置決めピン(図示せず)は、導光板42が断熱プレート52上に固定されると上昇して退避するように構成されている。
【0064】
また、鉛直位置調整装置48は、水平位置調整装置50を鉛直方向に昇降させて、断熱プレート52上に固定された導光板42と赤外線照射装置46との鉛直方向の相対位置を調整するためのものである。
一方、水平位置調整装置50は、断熱プレート52上に固定された導光板42と赤外線照射装置46との水平方向の相対位置を調整するためのものである。
【0065】
さらに、本実施形態の赤外線照射装置46は、上述した第1実施形態の赤外線照射装置18と同様に細長い赤外線ランプ20とこの赤外線ランプ20を覆うシリンドリカルミラー22を備えているが、図5に示すように、赤外線照射装置46が可変スリット55の下方に配置され、可変スリット55を通して導光板42の端面42aに向けて赤外線を上方に照射するように構成されている点で第1実施形態の赤外線照射装置18の構成とは異なっている。
【0066】
また、スリット幅調整装置56は、鉛直位置調整装置48により、水平位置調整装置50と一体で昇降できるように構成されている。
【0067】
さらに、図5に示されているように、可変スリット55は、スリット幅調整装置56の遮蔽板64と水平位置調整装置50のステージ60の端部62によって形成されており、スリット幅調整装置56の遮蔽板64をステージ60の端部62に対して水平方向に移動させることにより、可変スリット55の幅W’を0mm〜30mmの範囲で変えることができるように構成されている。
【0068】
また、可変スリット55の幅W’を調整することにより、赤外線照射装置46から照射される赤外線の照射領域が、「ばり」が付着した導光板42の端面42aに隣接した領域に制限されるように構成されている。
【0069】
さらに、樹脂板用端面処理装置40は、赤外線照射装置46による導光板42の一端面42aの「ばり」の溶融処理が終了すると、断熱クランプ58が上昇し、ロボット(図示せず)等により、導光板42の未処理の端面がスリット55側に位置するように導光板42の向きが変えられるように構成されている。向きが変えられた導光板42のスリット55側に位置する未処理の端面は、導光板42の一端面42aが端面処理されるまでの工程と同様な工程で、端面処理が行われるように構成されている。
【0070】
次に、このような構成を有する樹脂板用端面処理装置40の動作を説明する。
まず、ロボット(図示せず)等により金型から取り出された射出成形後の導光板42が導光板支持装置44の断熱プレート52上に仮に配置されると、位置決めピン(図示せず)が装置40の上方から断熱プレート52の端面52a又はこれに隣接した所定位置に降下する。
【0071】
そして、突き押し板54が移動して導光板42の端面42bに当接し、端面処理が行われる導光板42の端面42aが位置決めピン(図示せず)に当接するまで導光板42の端面42bを突き押す。
【0072】
導光板42の端面42aが位置決めピン(図示せず)に当接すると、突き押し板54が停止し、装置40の上方から導光板42上に断熱クランプ58が降下し、導光板42が断熱プレート52と断熱クランプ58に挟まれて固定される。その後、位置決めピン(図示せず)は、上昇して退避する。
【0073】
つぎに、鉛直位置調整装置48により、断熱プレート52上に固定された導光板42と赤外線照射装置46との鉛直方向の相対位置が調整され、水平位置調整装置50により、導光板42と赤外線照射装置46との水平方向の相対位置が調整される。その後、スリット幅調整装置56の遮蔽板64がステージ60の端部62に対して水平方向に移動して、可変スリット55の幅W’が設定される。
【0074】
さらに、赤外線照射装置46がスリット55に向けて赤外線を照射し、スリット55を通過した赤外線の輻射熱により、断熱プレート52の端面52a及び断熱クランプ58の端面58aからわずかに突出した導光板42の端面42aに付着する「ばり」が溶融除去され、導光板42の一端面42aの端面処理工程が終了する。
【0075】
また、導光板42の一端面42aの「ばり」の溶融処理が終了すると、断熱クランプ58が上昇し、ロボット(図示せず)等により、導光板42の未処理の端面がスリット55側に位置するように導光板42の向きが変えられる。向きが変えられた導光板42のスリット55側に位置する未処理の端面は、導光板42の一端面42aが端面処理されるまでの上述した工程と同様な工程で、端面処理が行われる。
【0076】
ここで、赤外線照射装置46からの赤外線照射量は、第1実施形態と同様に、赤外線照射装置46の赤外線ランプ(図示せず)への通電時間、電流、電圧を制御することによって調整される。また、導光板42の端面42aの溶融温度を調整する際には、鉛直位置調整装置48や水平位置調整装置50により、導光板42の端面42aと赤外線照射装置46との相対距離を適宜調整したり、スリット幅調整装置56により、可変スリット55の幅W’を適宜調整する。
【0077】
樹脂板用端面処理装置40によれば、位置決めピン(図示せず)及び突き押し板54により、端面処理をすべき導光板42を水平位置調整装置50の断熱プレート52上に、導光板42の端面42aが断熱プレート52の端面52a及び断熱クランプ58の端面58aよりも100μm程度突出するように正確に位置決めすることができる。また、断熱クランプ58により、水平位置調整装置50の断熱プレート52上に位置決めされた導光板42を確実に固定することができる。
【0078】
樹脂板用端面処理装置40によれば、端面処理をすべき導光板42の端面42aが断熱プレート52の端面52a及び断熱クランプ58の端面58aよりも100μm程度突出するように、断熱クランプ58が導光板42を断熱プレート52で挟んで固定しているため、赤外線照射装置46からの赤外線が、断熱クランプ58より右側に位置する導光板42の上面部分へ回り込むことがない。したがって、断熱クランプ58より右側に位置する導光板42の上面部分が赤外線の輻射熱により加熱されるのを防ぐことができ、突出した導光板42の端面42aのみを効果的に溶融処理することができる。
【0079】
また、樹脂板用端面処理装置40によれば、スリット55により、赤外線照射装置46から照射される赤外線の照射領域が、導光板42の端面42aに隣接した領域に制限されているため、スリット55の周囲に配置されている樹脂板用端面処理装置40の関連要素が赤外線の輻射熱により加熱されるのを防ぐことができる。
【0080】
さらに、樹脂板用端面処理装置40によれば、鉛直位置調整装置48及び水平位置調整装置50により、断熱プレート52上に固定された導光板42と赤外線照射装置46との鉛直方向及び水平方向の相対距離をそれぞれ適宜調整することができ、スリット幅調整装置56により、可変スリット55の幅W’を適宜調整することができる。この結果、端面処理中の導光板42の端面42aの溶融温度を適当な温度に調整することができ、導光板42の処理端面42aが過熱状態になることを防ぐと共に導光板42の端面処理を効率良く行うことができる。
【0081】
つぎに、本発明の第4実施形態の樹脂板用端面処理装置70について説明する。
図6は樹脂板用端面処理装置70の構成を概略的に示す平面図であり、図7は樹脂板用端面処理装置70の構成を概略的に示す正面図である。
【0082】
図6及び図7に示されているように、第4実施形態の樹脂板用端面処理装置70は、導光板72を支持する導光板支持装置74と、この導光板支持装置74上に配置された導光板72の端面72aに赤外線を照射するように導光板72の斜め下方に配置された赤外線照射装置76とを備えている。この赤外線照射装置76の配置角度θ(鉛直方向に対する角度)は、30〜60°とすることが好ましく、最も好ましくは40〜50°である。
なお、導光板72は、上述した第1〜第3実施形態で説明した導光板2,42と同様に、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の材料を用いて射出成形によって製造した樹脂板であるが、本実施形態の樹脂板用端面処理装置70は他の樹脂板にも適用可能である。
【0083】
導光板支持装置74は、導光板72の下面に当接して導光板72を水平に支持する複数のピンPと、ピンPで水平に支持された導光板72と同一平面に配置された突き押し板78と、側方突き押し板80,82と、位置決めピン84,86とを備えている。
【0084】
突き押し板78と位置決めピン84,86は、ピンP上で水平に支持された導光板72の側面に当接し、導光板72と同一平面内で前後方向(Y方向)に移動して、導光板支持装置74上での導光板72の前後方向の位置決めを行うことができるように、構成され、ピンPで水平に支持される導光板72の前後にそれぞれ配置されている。
また、側方突き押し板は、導光板72と同一平面内で横方向(X方向)に移動して、導光板支持装置74上での導光板72の横方向の位置決めを行うことができるように構成され、ピンPで水平に支持される導光板72の側方に配置されている。
ピンPは、断面形状がくさび型の導光板等を所定位置に支持できるように、個別に上下位置が調整可能とされている。
【0085】
導光板支持装置74は、さらに、ガラスやセラミックス等の無機材料、テフロン(登録商標)やポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂等の材質で表面が構成された耐熱性クランプ88,89を備えている。耐熱性クランプ88,89は、上下方向に移動可能に構成され、ピンP上に支持されている導光板72の前端部の上面および下面に当接して、上下の耐熱クランプ88,89との間で導光板72を挟持して、導光板72を導光板支持装置74上で固定するように構成されている。さらに、耐熱性クランプ88,89は内部を冷却水が循環するように構成されている。
【0086】
赤外線照射装置76は、上述した第1実施形態の赤外線照射装置18と同様に細長い赤外線ランプ20と、赤外線ランプ76aの後ろに配置されたシリンドリカルミラー76bと、赤外線ランプ76aの前方に赤外線ランプ76aから照射される赤外線の量を調節するシャッター機構76cとを備えている。
本実施形態では、赤外線照射装置76は、耐熱性クランプ88,89で固定された導光板72の前端面72aに対して斜め下方45度から赤外線を照射する位置に固定されている。なお、この照射位置は,斜め下方45度に限定されるものではなく、例えば,斜め下方30ないし60度の範囲で、適宜設定してもよい。
さらに、赤外線照射装置76を、耐熱性クランプ88,89で固定された導光板72の端面72aの中心線Oを回転軸として回転可能にして、導光板72の端面72aに対する赤外線の照射角度を変更できる構成でもよい。
【0087】
次に,樹脂板用端面処理装置70の動作を説明する。
まず、ロボットアーム等によって端面処理を行う導光板(樹脂板)72が、導光板支持装置74のピンP上に配置される(図6,図7)。
各位置決めピン84,86は、先端面84a,86aが,耐熱性クランプ88の前端面88aから、導光板72の前端面72aから離れる方向に所定距離だけ後退した位置に配置されている。所定距離は,導光板72の端面72aに形成されているばりの長さ(大きさ)に応じて適宜設定され,本実施形態では、100μmとされている。
【0088】
導光板72がピンP上に配置されると、側方突き押し板80,82が側端面72b,72cに当接しながらX方向に移動して、導光板72の側端面72b,72cを所定位置に配置することにより、導光板支持装置74上における導光板72の横(X)方向の位置決めを行う。
【0089】
つぎに、突き押し板78が、導光板72の後端面72dに当接しながら位置決めピン84,86方向に移動して、導光板72の前端面72a、正確には、前端面72aに形成されている「ばり」の先端を位置決めピン84,86の各端面84a,86aに当接させることによって、導光板支持装置74上における導光板72の前後(Y)方向の位置決めを行う。
【0090】
導光板72の横(X)方向および前後(Y)方向の位置決めが完了した状態で上方の耐熱性クランプ88を降下させ、下方の耐熱性クランプ89を上昇させ、耐熱性クランプ88,89を導光板72の前端部の上面に当接させ、導光板72をクランプする。
図8は、耐熱性クランプ88,89でクランプして前後(Y)方向に位置決めされた状態の導光板72の前端面72aの部分を示す部分拡大断面図である。図8中のBは、導光板72の前端面72aに付着している「ばり」を指示している。また、ばりBは、約100μmの長さのばりを誇張して示している。
図8に示すように、前後(Y)方向に位置決めされた状態では、導光板72は、前端面72aに形成されているばりBの先端が、位置決めピン84,86の各端面84a,86aに当接しており、さらに、各位置決めピン84,86は、先端面84a,86aが,耐熱性クランプ88の端面88aからY方向にばりBの長さに相当する所定距離100μmだけ後退した位置に配置されているので、断熱クランプ88は、前端面88aが、導光板72の前端面72aと上下方向に整列した状態で、導光板72をクランプすることになる。すなわち、導光板72は、断熱クランプ88,89でクランプされている部分から、ばりBのみが前方に突き出た状態でクランプされる。
クランプが完了すると、位置決めピン84,86が、導光板72の端面72aから遠ざかる方向に退避する。
【0091】
次いで、赤外線ランプ76aを点灯させ、シャッター機構76cを開くことにより、導光板72の端面72aに赤外線照射装置76から赤外線が照射され、前端面72aに形成されていたばりBが溶融され、導光板72の一端面が溶融処理される。赤外線の照射時間および強度は、ばりの大きさ、導光板の厚さ、導光板までの距離等を勘案して適宜設定される。
また、赤外線ランプ76aを、常時点灯とし、シャッター機構76aが閉じている非照射時には出力が低くなり、シャッター機構76aが開く赤外線照射時に所定出力となるように制御する構成でもよい。
【0092】
溶融処理が完了すると上方の耐熱性クランプ88が上昇し、下方の耐熱クランプ89が下降して導光板72のクランプが解除され、ロボット(図示せず)等により、導光板72が導光板支持装置74から取り除かれ、次の処理工程に運ばれる。
【0093】
なお、ロボット等によって、一端面の処理が完了した導光板72を、未処理の端面が赤外線照射装置76側に位置するように回転させ、導光板支持装置74上に再度、配置し、未処理の端面を同様に溶融処理する構成でもよい。
【0094】
上述した樹脂板用端面処理装置70によれば、位置決めピン84,86、突き押し板78、側方突き押し板80,82により、導光板72の溶融処理を施す前端面72aが耐熱性クランプ88の赤外線照射側の端面88aと面一になるように正確に位置決めすることができるため、導光板72は、ばりBのみが突出した状態で、耐熱性クランプ88、89によってクランプされる。このため、赤外線照射装置76からの赤外線の輻射熱によってばりBのみを確実に溶融することができ。
また、耐熱性クランプ88,89には、内部に冷却水の循環機構を設ける等の冷却手段を設けることにより、耐熱性クランプ88,89が赤外線の輻射熱によって加熱され、導光板72の前端面以外の部分がこの熱にさらされることを防ぐことができる。
【0095】
また、樹脂板用端面処理装置70によれば、赤外線照射装置72が導光板72の端面72aに赤外線を照射するように導光板72の斜め下方に配置されているため、端面処理を行う導光板72の前端面72aに確実に赤外線を照射することができる。
【0096】
つぎに、本発明の第5実施形態の樹脂板用端面処理装置90について説明する。
図9は樹脂板用端面処理装置70の構成を概略的に示す、図6と同様な平面図である。ここで、図9において、図6と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0097】
図9に示すように、第5実施形態の樹脂板用端面処理装置90は、導光板72の対向する2つの端面を同時に溶融処理できるように、第4実施形態の樹脂板用端面処理装置70の赤外線照射装置76、位置決めピン84,86、耐熱性クランプ88,89が装置の両側に2組、設けられている。
また、導光板支持装置92には回転機構(図示せず)が設けられており、この回転機構により、導光板支持装置92上の導光板72を所定角度(例えば90°)回転させることができるように構成されている。
さらに、各赤外線照射装置76、位置決めピン84,86、耐熱性クランプ88,89は、導光板72の寸法と向きに合わせてY方向の位置を調整することができるように構成されている。
【0098】
次に、本実施形態の樹脂板用端面処理装置90の動作を説明する。まず、導光板72が導光板支持装置92上に配置されると、側方突き押し板80,82が移動して、導光板72の横(X)方向の位置決めが行われる。
【0099】
つぎに、位置決めピン84,86がY方向に移動して導光板72の各端面72a,72dのばりBに当接させた状態で、両側の耐熱性クランプ88が降下させ、導光板72をクランプする。このとき、耐熱性クランプ88の赤外線照射側の端面88aは、導光板72の各端面72a,72dと面一の状態となっている。次いで、位置決めピン84,86を、導光板72の端面72a,72dから遠ざかる方向に退避させる。
ついで、導光板72の端面72a,72dに赤外線照射装置76から赤外線が所定時間照射されて、導光板72の対向する2つの端面72a,72dに形成されていたばりBを溶融させる。
【0100】
導光板72の2つの端面72a,72dの端面処理が終了すると、回転機構によって導光板72が90°回転され、導光板72の未処理の端面72b,72cが赤外線照射装置76側に位置するように導光板72が導光板支持装置74上に配置される。ついで、導光板72の未処理の端面72b,72cは、端面72a,72bと同様に端面処理される。
【0101】
上述した樹脂板用端面処理装置90によれば、二組の赤外線照射装置76、位置決めピン84,86、耐熱性クランプ88と回転機構を用いることにより、導光板の端面を2面ずつ同時に溶融処理することができるため、効率がよい。
【0102】
なお、上述した第5実施形態の樹脂板用端面処理装置90では、赤外線照射装置76、位置決めピン84,86、耐熱性クランプ88,89を二組備え、各組が互いに対向するように配置した構成を有する形態について説明したが、このような形態に限定されない。例えば、他の形態として、導光板支持装置92上に配置した導光板72の3つの端面を同時に溶融処理できるように、赤外線照射装置76、位置決めピン84,86、耐熱性クランプ88を三組備えた樹脂板用端面処理装置であってもよい。また、上述した回転装置(図示せず)を設けずに、導光板支持装置92上に配置した導光板72の4つのすべての端面を同時に溶融処理できるように、赤外線照射装置76、位置決めピン84,86、耐熱性クランプ88,89を四組備えた樹脂板用端面処理装置であってもよい。
【0103】
本発明の上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0104】
上述した本発明の第1ないし第5実施形態では、導光板の端面を処理する場合を例に本願発明を説明したが、本願発明はこのような形態に限定されず、導光板以外にも、アクリル樹脂等からなる他の樹脂板の端面からばりを除去する場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1実施形態の樹脂板用端面処理装置を構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による樹脂板用端面処理装置を概略的に示す平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態による樹脂板用端面処理装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による樹脂板用端面処理装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による樹脂板用端面処理装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による樹脂板用端面処理装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図8】本発明の第4実施形態による樹脂板用端面処理装置の耐熱性クランプで導光板をクランプして前後(Y)方向に位置決めされた状態の導光板の前端面の部分を示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態による樹脂板用端面処理装置の構成を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0106】
1,30,40,70,90 樹脂板用端面処理装置
2,42,72 導光板
4 支持台
5 位置決めピン
6 切削加工装置
8 サーボモータ
10 ねじ軸
12 バイト台
14 粗切削バイト
16 仕上げ切削バイト
18,32,46,76 赤外線照射装置
20 赤外線ランプ
22 耐熱シリンドリカルミラー
24 スリット
26 遮蔽板
28 光学フィルタ
34 可動式赤外線源
36 リニアサーボモータ
44,74,92 導光板支持装置
48 鉛直位置調整装置
50 水平位置調整装置
52 断熱プレート
54,78,80,82 突き押し板
55 可変スリット
56 スリット幅調整装置
58 断熱クランプ
60 ステージ
64 遮蔽板
84,86 位置決めピン
88,89 耐熱性クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の樹脂板の端面を溶融処理する樹脂板用端面処理装置であって、
上記樹脂板を所定位置に位置決めする位置決め手段と、
位置決めされた上記樹脂板の端面の所定部分に赤外線を照射して上記端面を加熱する赤外線照射手段と、を備え、
上記赤外線照射手段は、赤外線を発生させる赤外線源と、この赤外線源が発生させた赤外線を上記樹脂板の端面の所定部分に集光する集光手段と、を有する、
ことを特徴とする樹脂板用端面処理装置。
【請求項2】
上記赤外線源と上記樹脂板の端面との間に配置され、上記赤外線の照射領域を制限するスリットを備えた照射領域制限手段を更に備えている、
請求項1記載の樹脂板用端面処理装置。
【請求項3】
上記位置決め手段が、上記樹脂板を所定角度回転させる回転手段を備えている、
請求項1または2に記載の樹脂板用端面処理装置。
【請求項4】
上記赤外線源は、上記樹脂板の端面に赤外線を照射するように上記樹脂板の斜め下方に配置されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂用端面処理装置。
【請求項5】
上記スリットが閉鎖または移動可能に構成され、このスリットの移動により上記端面への赤外線の照射が調整される、
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の樹脂板用端面処理装置。
【請求項6】
更に、上記位置決めされた上記樹脂板を固定する固定手段を備えている、
請求項1記載の樹脂板用端面処理装置。
【請求項7】
上記固定手段は、少なくとも表面が断熱材で形成されている、
請求項6記載の樹脂板用端面処理装置。
【請求項8】
上記樹脂板が、導光板である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の樹脂板用端面処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の樹脂板用端面処理装置を用いたことを特徴とする導光板製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−110989(P2006−110989A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211585(P2005−211585)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】