説明

樹脂粒子の製造方法

【課題】 弾性および変形回復率に優れる樹脂粒子を得ることを目的とする。
【解決手段】 数平均分子量が800以上である縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有する混合物(D1)好ましくはその溶液、又は該縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有する混合物(D2)好ましくはその溶液を水性媒体(e)中に分散させて粒子(F0)を形成させ、前駆体(b0)を反応させることにより、溶剤(d)を使用した場合はさらに溶剤(d)を除去することにより樹脂粒子(F)の水性分散体(X)を形成させることを特徴とする、樹脂粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高弾性かつ高回復性の樹脂粒子の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、液晶ディスプレイ等の電子部品製造用スペーサー、光拡散板、光拡散フィルム、塗料添加剤、化粧品用途などに有用な樹脂粒子の水性分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から樹脂粒子を製造する方法として懸濁重合方法、乳化重合法、シード重合法等が用いられており、特に体積平均粒径が1μm〜200μmの範囲では一般的には懸濁重合が用いられている。この懸濁重合方法では、低分子量のラジカル重合性単量体を含む油滴を重合することで樹脂粒子が得られる(例えば特許文献1参照)。しかしながら、これらの重合法はラジカル重合性単量体だけを出発物質としているため、得られる樹脂粒子が脆くなり、変形からの回復性が悪くなる問題点があった。
【0003】
また、これら樹脂物性を改良すべくポリオレフィン等の樹脂を懸濁重合時に共存させると、重合中に相分離が進行し、多孔質粒子となる問題があった(例えば特許文献2〜4参照)。
【特許文献1】特開平4−309504号公報
【特許文献2】特開平10−7704号公報
【特許文献3】特開平10−60011号公報
【特許文献4】特開平11−140139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、多孔質粒子を生成することの無い、高弾性と高回復性を有する樹脂微粒子の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、数平均分子量が800以上である縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有する混合物(D1)、又は該縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有する混合物(D2)を水性媒体(e)中に分散させて粒子(F0)を形成させ、前駆体(b0)を反応させることにより、溶剤(d)を使用した場合はさらに溶剤(d)を除去することにより樹脂粒子(F)の水性分散体(X)を形成させることを特徴とする、樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂微粒子の製造方法により得られる樹脂微粒子は、弾性に優れ、かつ、変形回復率に優れるという特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、縮合系樹脂(a)とは縮合重合によって合成される数平均分子量(以下、Mnと記す。)が800以上である有機重合物をいうものとする。(a)の好ましい例としては、通常の縮合系熱可塑性樹脂(a1)が挙げられる。
【0008】
縮合系樹脂(a)の数平均分子量は、800以上、好ましくは800〜20,000、より好ましくは1,000〜15,000、さらに好ましくは1,500〜10,000である。縮合系樹脂(a)の数平均分子量を重量平均分子量(以下、Mwと記す。)で表すと、800以上、好ましくは800〜100,000、より好ましくは2,000〜80,000、さらに好ましくは4,000〜40,000となる。
縮合系樹脂(a)の数平均分子量が800未満であると拡散性が上昇することで相分離が進行する。
縮合系樹脂(a)の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下、GPCと記す。)[測定条件:温度40℃、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算]による。
【0009】
縮合系熱可塑性樹脂(a1)としては、特に限定されるものではないが、使用可能な樹脂として、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。これらのうち好ましいものは、ポリエステル樹脂、およびポリウレタン樹脂である。
縮合系熱可塑性樹脂(a1)の数平均分子量および重量平均分子量としては、上記に記載の範囲が好ましい。
【0010】
特に、ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとの重縮合物などが挙げられる。ポリオールとしてはジオール(11)または3価以上のポリオール(14)が、ポリカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとしては、上記に例示のジカルボン酸(12)またはポリカルボン酸(15)およびこれらの酸無水物または低級アルキルエステルが挙げられる。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0011】
ジオール(11)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;その他、ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど)、ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0012】
3価以上のポリオール(14)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0013】
ジカルボン酸(12)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
【0014】
3価以上のポリカルボン酸(15)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ジカルボン酸(12)または3価以上のポリカルボン酸(15)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0015】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(13)と活性水素基含有化合物{水、ポリオール[前記ジオール(11)および3価以上のポリオール(14)]、ジカルボン酸(12)、3価以上のポリカルボン酸(15)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物などが挙げられる。
【0016】
ポリイソシアネート(13)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
【0017】
ポリアミン(16)の例としては、脂肪族ポリアミン類(C2 〜C18):脂肪族ポリアミン{C2〜C6 アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;
脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;
芳香環含有脂肪族アミン類(C8 〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、脂環式ポリアミン(C4 〜C15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など、複素環式ポリアミン(C4 〜C15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど、芳香族ポリアミン類(C6 〜C20):非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;
核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン,3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;
核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕などが挙げられる。
【0018】
ポリチオール(17)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0019】
前駆体(b0)とは、溶剤(d)の存在下または非存在下、縮合系樹脂(a)と相溶することが好ましく、かつ水性分散液を形成しうる前駆体であればいかなる前駆体であっても使用できる。縮合系樹脂(a)と前駆体(b0)からなる硬化物は熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良い。
【0020】
前駆体(b0)としてはビニル系モノマー(b01)が好ましい。ビニル系モノマー(b01)の具体例としては、下記(b011)〜(b021)が挙げられる。
(b011)ビニル系炭化水素
(b012)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
(b013)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩
(b014)含窒素ビニル系モノマー
(b015)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー
(b016)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類
(b017)カルボキシル基含有ビニル系モノマー
(b018)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
(b019)エポキシ基含有ビニル系モノマー
(b020)イソシアネート基含有ビニル系モノマー
(b021)その他のビニル系モノマー
これらのうち好ましいのは、ビニル系炭化水素、ビニルエステル、およびヒドロキシル基含有ビニル系モノマーである。
【0021】
(b011)ビニル系炭化水素
(b01−1)脂肪族ビニル系炭化水素
アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
(b011−2)脂環式ビニル系炭化水素
モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
(b011−3)芳香族ビニル系炭化水素
スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;およびビニルナフタレン。
【0022】
(b012)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;およびその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル;ならびそれらの塩等。
【0023】
(b013)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(C1〜C24)燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸
【0024】
なお、上記モノマーの塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0025】
(b014)含窒素ビニル系モノマー
(b014−1)アミノ基含有ビニル系モノマー
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等
(b014−2)アミド基含有ビニル系モノマー
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
(b014−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等
(b014−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)
(b014−5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等
【0026】
(b015)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等
【0027】
(b016)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類
(B016−1)ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等;
(B016−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等;
(B016−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン;ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
【0028】
(b017)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩
(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル
、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸
、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー;並びに、これらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩
【0029】
(b018)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル、等
【0030】
(b019)エポキシ基含有ビニル系モノマー
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等
【0031】
(b020)イソシアネート基含有ビニル系モノマー
メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等
【0032】
(b021)その他のビニル系モノマー
アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等
【0033】
上記および(b011)〜(b021)の任意のモノマー同士を、2元またはそれ以上の個数で、任意の割合で使用することができる。具体例としては、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼン、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0034】
縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有する混合物(D1)、又は該縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有する混合物(D2)には、必要により油溶性又は水溶性開始剤を添加することができる。油溶性又は水溶性開始剤は前駆体(b0)に対して0.1〜2重量%添加することが好ましい。
【0035】
上記油溶性又は水溶性開始剤としては、パーオキサイド系重合開始剤(I)、アゾ系重合開始剤(II)等が挙げられる。また、パーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤(III)を形成してもよい。更には、(I)〜(III)のうちから2種以上を併用してもよい。
【0036】
(I)パーオキサイド系重合開始剤としては、
(I−1)油溶性パーオキサイド系重合開始剤:アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソブチルジパーオキシフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド等
(I−2)水溶性パーオキサイド系重合開始剤:過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等
【0037】
(II)アゾ系重合開始剤
(II−1)油溶性アゾ系重合開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等
(II−2)水溶性アゾ系重合開始剤:アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等
【0038】
(III)レドックス系重合開始剤
(III−1)非水系レドックス系重合開始剤:ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル等の油溶性過酸化物と、第三アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン類、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素、ジエチル亜鉛等)等の油溶性還元剤とを併用
(III−2)水系レドックス系重合開始剤:過硫酸塩、過酸化水素、ヒドロペルオキシド等の水溶性過酸化物と、水溶性の無機もしくは有機還元剤(2価鉄塩、亜硫酸水素ナトリウム、アルコール、ポリアミン等)とを併用等が挙げられる。
【0039】
前駆体(b0)は、水性分散体中(X)で分散することが必要であることから、少なくとも水性分散体(X)を形成する条件下で水に完全に溶解していないことが必要である。そのため、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水性モノマーが10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの比率が、10%以下になると樹脂粒子(F)が水溶性になり、(F)の粒径均一性が損なわれる。ここで、親水性モノマーとは水に任意の割合で溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(基本的に水に混和しないモノマー)をいう。
具体的には親水性モノマーとしては、例えば、上記カルボキシル基含有ビニル系モノマー(b017)、およびヒドロキシル基含有ビニル系モノマー(b018)が挙げられる。
【0040】
前駆体(b0)としては、また、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いることもできる。
この場合、反応性基含有プレポリマー(α)および硬化剤(β)及び必要により溶剤(d)を含む油相を水に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液を水に分散させ、ここに硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(b)を形成させる方法;イソシアネート基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液を水に分散させることで水と反応させる方法等が例示できる。
【0041】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、例えば、下記が挙げられる。
(I)反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、イソシアネート基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素基含有化合物(β1)であるという組み合わせ。
(II)反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、硬化剤(β)がポリイソシアネート(β2)であるという組み合わせ。
これらのうち、水中での反応率の観点から、(I)がより好ましい。上記組合せ(I)において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α1a)である。ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。上記ブロック化剤としては、オキシム類[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール類[エタノール、メタノール、オクタノール等];フェノール類[フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル等];塩基性窒素含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド、2−メルカプトピリジン等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのはオキシム類であり、特に好ましいものはメチルエチルケトオキシムである。
【0042】
反応性基含有プレポリマー(α)の骨格としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、およびポリウレタン(αy)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(αx)、および(αy)であり、特に好ましいものは(αx)および(αy)である。ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。ポリエステル(αx)としては、上記に例示のジオール(11)とジカルボン酸(12)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)などが挙げらる。ポリウレタン(αy)としては、ジオール(11)とポリイソシアネート(13)の重付加物、ポリエステル(αx)とポリイソシアネート(13)の重付加物などが挙げられる。
【0043】
ポリエステル(αx)、ポリウレタン(αy)などに反応性基を含有させる方法としては、(I)二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法、(II)二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、さらに残存した該官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法などが挙げられる。上記方法(I)では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーなどが得られる。構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]のモル比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。上記方法(II)では、上記方法(I)で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られる。官能基および反応性基を含有する化合物の使用量は、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]のモル比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
【0044】
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。上記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。反応性基含有プレポリマー(α)の数平均分子量は、通常500〜30,000、好ましくは1,000〜20,000、さらに好ましくは2,000〜10,000である。反応性基含有プレポリマー(α)の重量平均分子量は、1,000〜50,000、好ましくは2,000〜40,000、さらに好ましくは4,000〜20,000である。反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、通常2,000mPa・s以下、好ましくは1,000mPa・s以下である。2,000mPa・s以下にすることで、縮合系樹脂(a)との相溶性が増す点で好ましい。
【0045】
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)および水(β1d)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β1a)、(β1b)および(β1d)であり、さらに好ましいもは、(β1a)および(β1d)であり、特に好ましいものは、ブロック化されたポリアミン類および(β1d)である。
【0046】
ポリアミン(β1a)の例としては、上記ポリアミンが挙げられる。(β1a)として好ましいものは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびそれらの混合物である。
【0047】
ポリオール(β1b)の例としては、上記ジオールおよび3価以上のポリオールが挙げられる。これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0048】
ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0049】
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物、およびオキサゾリジン化合物などが挙げられる。
【0050】
必要により活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(b)を所定の分子量に調整することが可能である。反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなど);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物など);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール;モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネートなど);モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
【0051】
上記組合せ(II)における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)およびそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α2a)、(α2b)およびアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)であり、特に好ましいものは、(α2b)である。アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが例示できる。
【0052】
ポリイソシアネート(β2)としては、ポリイソシアネート(13)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0053】
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水(β1d)である場合は水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0054】
溶液(D1)又は溶液(D2)において、縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)の重量比は、通常1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20である。
【0055】
縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)は、相互に溶解する必要はないが、相互に溶解するほうがより好ましい。縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有する混合物を混合物(D1)、縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有する混合物を混合物(D2)、縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有し相互に溶解したものを溶液(D1’)、縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有し相互に溶解したものを溶液(D2’)と記載する。
混合物(D1)、混合物(D2)、溶液(D1)又は溶液(D2)を水性媒体(e)中に分散させて粒子(F0)を形成させ、前駆体(b0)を反応させることにより樹脂(G)が得られる。本発明の製造方法で得られる樹脂粒子(F)の樹脂成分は樹脂(G)である。前駆体(b0)は反応し樹脂(b)を形成し、縮合系樹脂(a)と前駆体(b0)は反応しないが、縮合系樹脂(a)と樹脂(b)は分子レベルで複合化された状態で存在すると考えられる。すなわち、樹脂(G)は縮合系樹脂(a)と樹脂(b)が分子レベルで複合化された状態で存在すると考えられる。この複合効果は樹脂(G)に弾性に優れ、かつ、変形回復率に優れるという特徴を付与する。
これは上記製造方法で形成される2種類の樹脂が分子レベルで複合化されているため、それぞれの樹脂の特徴を阻害することが無いためであると考えられる。
【0056】
混合物(D1)、混合物(D2)、溶液(D1’)もしくは溶液(D2’)を分散させて粒子(F0)を形成させる際には、分散装置を用いることができる。本発明で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒子径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
【0057】
混合物(D1)、混合物(D2)、溶液(D1’)もしくは溶液(D2’)を水性媒体(e)中に分散させる時は、予め(D1)、(D2)、(D1’)もしくは(D2’)を調製しておいても良いし、又は縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を予め混合又は溶解せず各成分をそのまま水性媒体(e)に投入、攪拌しても良い。
【0058】
分散させる際の温度は特に限定されないが、粒子間合着防止の観点から、0〜60℃が好ましく、更に好ましくは5〜50℃である。
分散させる時間は分散装置により異なり、特に限定されないが、粒子の生産性の観点から、0.01秒〜6時間が好ましく、更に好ましくは0.01秒〜1時間、最も好ましくは0.1秒〜20分である。
【0059】
分散させる際のせん断力は、水性分散体(X)の粘度、剪断力を加える時間及びその際の温度により異なり、適宜選択することができるが、粒子の粒径制御の容易性の観点から、例えば前記に例示した分散装置において、回転数10〜50000rpmで剪断力を加えることが好ましい。下限は、更に好ましくは100rpm、特に500rpmであり、上限は、更に好ましくは20000rpm、特に10000rpmである。
【0060】
水性媒体(e)と混合物(D1)、混合物(D2)、溶液(D1’)もしくは溶液(D2’)との重量比は、通常30/70〜99/1、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは60/40〜80/20である。
【0061】
粒子(F0)を形成させた後、前駆体(b0)を反応させる反応時間は、前駆体(b0)の反応性、またはプレポリマー(α)の有する反応性基の構造と硬化剤(β)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは50〜120℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。
【0062】
本発明に用いる溶剤(d)は、乳化分散の際に必要に応じて水性媒体中に加えても、被乳化分散体中に加えても良い。溶剤(d)の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等のの脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0063】
溶液(D1)100部に対する溶剤(d)の使用量は、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部である。
溶剤(d)の除去方法としては、例えば加熱による脱溶剤、減圧下での脱溶剤、水洗による脱溶剤及びこれらの組み合わせで脱溶剤を行う方法が例示できる。
【0064】
水性媒体(e)としては水を必須構成成分とする液体であれば制限なく使用でき、水、溶剤の水溶液、界面活性剤(S)の水溶液、合成高分子分散剤(H)の水溶液及びこれらの混合物等が用いることができる。
溶剤としては、例えば、上記の溶剤(d)のうち、エステル又はエステルエーテル溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、スルホキシド溶剤、複素環式化合物溶剤及びこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
溶剤を含有する場合、溶剤の含有量は、水性媒体の重量に基づいて、1〜80%が好ましく、更に好ましくは2〜70%、特に好ましくは5〜30%である。
【0065】
界面活性剤(S)を使用する場合、この含有量は、水性媒体の重量に基づいて、0.001〜0.3%が好ましく、更に好ましくは0.005〜0.2%、特に好ましくは0.01〜0.15%である。
合成高分子分散剤(H)を使用する場合、この含有量は、水性媒体の重量に基づいて、0.0001〜0.2%が好ましく、更に好ましくは0.0002〜0.15%、特に好ましくは0.0005〜0.1%である。
【0066】
界面活性剤(S)としては、アニオン界面活性剤(S−1)、カチオン界面活性剤(S−2)、両性界面活性剤(S−3)及び非イオン界面活性剤(S−4)等が用いられる。尚、界面活性剤(S)は2種以上の界面活性剤を併用することができる。
【0067】
アニオン界面活性剤(S−1)としては、カルボン酸又はその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩等が用いられる。
カルボン酸又はこの塩としては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸又はその塩が使用でき、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸及びリシノール酸並びにヤシ油、パーム核油、米ぬか油及び牛脂などをケン化して得られる高級脂肪酸の混合物等が挙げられる。
この塩としては、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)などの塩があげられる。
【0068】
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO又はPO1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(炭素数12〜50の天然の不飽和油脂又は不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸(炭素数6〜40)の低級アルコール(炭素数1〜8)エステルを硫酸化して中和したもの)及び硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)等が使用できる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0069】
高級アルコール硫酸エステル塩としては、例えば、オクチルアルコール硫酸エステル塩、デシルアルコール硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩、チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、商品名:ALFOL 1214:CONDEA社製)の硫酸エステル塩及びオキソ法で合成されたアルコール(例えば、商品名:ドバノール23、25、45、ダイヤドール115−L、115H、135:三菱化学製:、商品名:トリデカノール:協和発酵製、商品名:オキソコール1213、1215、1415:日産化学製)の硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0070】
高級アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリルアルコールEO2モル付加物硫酸エステル塩及びオクチルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩等が挙げられる。
硫酸化油としては、例えば、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ナタネ油、牛脂及び羊脂などの硫酸化物の塩等が挙げられる。
硫酸化脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ブチル及びリシノレイン酸ブチル等の硫酸化物の塩等が挙げられる。
硫酸化オレフィンとしては、例えば、商品名:ティーポール(シェル社製)等が挙げられる。
【0071】
カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩及び炭素数8〜16の脂肪族アルコールのEO又はPO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩等が使用できる。
【0072】
脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩としては、例えば、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23のカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩等が挙げられる。
脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩としては、例えば、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23EO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩及びトリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩などが挙げられる。
【0073】
スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型及びその他芳香環含有化合物のスルホン酸塩等が使用できる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホコハク酸ジエステル塩としては、例えば、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩などが挙げられる。
芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノ又はジスルホン酸塩及びスチレン化フェノールスルホン酸塩などが挙げられる。
【0074】
リン酸エステル塩としては、高級アルコールリン酸エステル塩及び高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩等が使用できる。
高級アルコールリン酸エステル塩としては、例えば、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩及びラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等が挙げられる。
高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩としては、例えば、オレイルアルコールEO5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩等が挙げられる。
【0075】
カチオン界面活性剤(S−2)としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤及びアミン塩型界面活性剤等が使用できる。
第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、炭素数3〜40の3級アミンと4級化剤(例えば、メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライド及びジメチル硫酸などのアルキル化剤並びにEOなど)との反応等で得られ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。
【0076】
アミン塩型界面活性剤としては、1〜3級アミンを無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸、リン酸及び過塩素酸など)又は有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、炭素数2〜24のアルキルリン酸、リンゴ酸及びクエン酸など)で中和すること等により得られる。
第1級アミン塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数8〜40の脂肪族高級アミン(例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及び、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩及び低級アミン(炭素数2〜6)の高級脂肪酸(炭素数8〜40、ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。
【0077】
第2級アミン塩型界面活性剤としては、例えば炭素数4〜40の脂肪族アミンのEO付加物などの無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
また、第3級アミン塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数4〜40の脂肪族アミン(例えば、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)、脂肪族アミン(炭素数2〜40)のEO(2モル以上)付加物、炭素数6〜40の脂環式アミン(例えば、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、炭素数5〜30の含窒素ヘテロ環芳香族アミン(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール及び4,4’−ジピリジルなど)の無機酸塩又は有機酸塩及びトリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの3級アミンの無機酸塩又は有機酸塩などが挙げられる。
【0078】
両性界面活性剤(S−3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤及びリン酸エステル塩型両性界面活性剤などが使用できる。
【0079】
カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤などが用いられる。アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持っている両性界面活性剤であり、例えば、一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
[R−NH−(CH2)n−COO]mM (2)
[式中、Rは1価の炭化水素基;nは1又は2;mは1又は2;Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムカチオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなどである。]
【0080】
一般式(2)で表される両性界面活性剤としては、例えば、アルキル(炭素数6〜40)アミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);アルキル(炭素数4〜24)アミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
【0081】
ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤であり、例えば、アルキル(炭素数6〜40)ジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど)、炭素数6〜40のアミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、アルキル(炭素数6〜40)ジヒドロキシアルキル(炭素数6〜40)ベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)などが挙げられる。
【0082】
イミダゾリン型両性界面活性剤としては、イミダゾリン環を有するカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤であり、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0083】
その他の両性界面活性剤として、例えば、ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩などのグリシン型両性界面活性剤;ペンタデシルスルホタウリンなどのスルホベタイン型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤及びリン酸エステル塩型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0084】
非イオン界面活性剤(S−4)としては、AO付加型非イオン界面活性剤及び多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤などが使用できる。
AO付加型非イオン界面活性剤は、炭素数8〜40の高級アルコ−ル、炭素数8〜40の高級脂肪酸又は炭素数8〜40のアルキルアミン等に直接AO(炭素数2〜20)を付加させるか、グリコ−ルにAOを付加させて得られるポリアルキレングリコ−ルに高級脂肪酸などを反応させるか、あるいは多価アルコ−ルに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
AOとしては、たとえばEO、PO及びBOが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、EO及びEOとPOのランダム又はブロック付加物である。
AOの付加モル数としては10〜50モルが好ましく、該AOのうち50〜100%がEOであるものが好ましい。
【0085】
AO付加型非イオン界面活性剤としては、例えば、オキシアルキレンアルキルエ−テル(アルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)(例えば、オクチルアルコールEO20モル付加物、ラウリルアルコールEO20モル付加物、ステアリルアルコールEO10モル付加物、オレイルアルコールEO5モル付加物、ラウリルアルコールEO10モルPO20モルブロック付加物など);ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(アルキレンの炭素数2〜24、高級脂肪酸の炭素数8〜40)(例えば、ステアリル酸EO10モル付加物、ラウリル酸EO10モル付加物など);ポリオキシアルキレン多価アルコ−ル高級脂肪酸エステル(アルキレンの炭素数2〜24、多価アルコールの炭素数3〜40、高級脂肪酸の炭素数8〜40)(例えば、ポリエチレングリコール(重合度20)のラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコール(重合度20)のオレイン酸ジエステル、ポリエチレングリコール(重合度20)のステアリン酸ジエステルなど);ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(アルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)(例えば、ノニルフェノールEO4モル付加物、ノニルフェノールEO8モルPO20モルブロック付加物、オクチルフェノールEO10モル付加物、ビスフェノールA・EO10モル付加物、ジノニルフェノールEO20モル付加物、スチレン化フェノールEO20モル付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエ−テル(アルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)及び(例えば、ラウリルアミンEO10モル付加物、ステアリルアミンEO20モル付加物など);ポリオキシアルキレンアルカノ−ルアミド(アルキレンの炭素数2〜24、アミド(アシル部分)の炭素数8〜24)(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO10モル付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO20モル付加物、ジヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO10モル付加物など)が挙げられる。
【0086】
多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物、多価アルコールアルキルエーテル及び多価アルコールアルキルエーテルAO付加物等が使用できる。多価アルコールの炭素数としては3〜24、脂肪酸の炭素数としては8〜40、AOの炭素数としては2〜24である。
【0087】
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート及びショ糖モノステアレートなどが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物としては、例えば、エチレングリコールモノオレートEO10モル付加物、エチレングリコールモノステアレートEO20モル付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO20モルPO10モルランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO10モル付加物、ソルビタンモノステアレートEO20モル付加物、ソルビタンジステアレートEO20モル付加物及びソルビタンジラウレートEO12モルPO24モルランダム付加物などが挙げられる。
【0088】
多価アルコールアルキルエーテルとしては、例えば、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド及びラウリルグリコシドなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルAO付加物としては、例えば、ソルビタンモノステアリルエーテルEO10モル付加物、メチルグリコシドEO20モルPO10モルランダム付加物、ラウリルグリコシドEO10モル付加物及びステアリルグリコシドEO20モルPO20モルランダム付加物などが挙げられる。
【0089】
合成高分子分散剤(H)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン及び水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。
【0090】
本発明の樹脂粒子の製造法において、樹脂粒子(C)を、混合液(D1)、混合液(D2)、溶液(D1’)又は(D2’)を(e)中に分散する時に使用しても良い。
混合液(D1)、混合液(D2)、溶液(D1’)又は(D2’)を(e)中に分散する時に樹脂粒子(C)を使用すると、粒子の分散性の向上、粒度分布の単分散化等の効果を発揮しやすい。
樹脂粒子(C)の体積平均粒径は好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは1μm〜8μmであって、溶剤(d)、前駆体(b0)及び水性媒体(e)に不溶であるであることが好ましい。
樹脂粒子(C)を構成する樹脂(C0)としては、水性分散液を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂(C0)としては、上記樹脂の2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用である。
【0091】
本発明の樹脂粒子(F)中に添加物(顔料、充填剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤など)を含有させても差し支えない。添加する方法としては、水性媒体(e)中で水性分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめ樹脂(a)または前駆体(b0)と添加物を混合した後、水性媒体(e)中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、添加剤は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、溶剤(d)および/または可塑剤とともに上記添加物を含浸させることもできる。
【0092】
混合物(D1)、混合物(D2)、溶液(D1’)もしくは溶液(D2’)100部に対する水性媒体(e)の使用量は、好ましくは40〜2,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部である。
【0093】
樹脂粒子(F)は、樹脂粒子(F)の水性分散体(X)から水性媒体を除去することにより得られる。水性媒体(e)を除去する方法としては、
(I)水性分散体(X)を減圧下または常圧下で乾燥する方法
(II)遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
(III)水性分散体(X)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)等が例示される。
上記(I)、(II)において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。好ましい方法は乾燥むらや粒子損傷が少ないとの観点から、循風乾燥機で乾燥する方法である。
【0094】
樹脂粒子(F)の形状は、粉体流動性、溶融レベリング性等の観点から球状であるのが好ましい。その場合、樹脂粒子(C)も球状であるのが好ましい。(F)はWadellの実用球形度が0.85〜1.00であるのが好ましい。
なお、Wadell実用球形度は、粒子の投影面積に等しい面積を持つ円の直径と粒子の投影像に外接する最小面積の円との直径の比から求められる。粒子の投影像は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影することができる。
【0095】
樹脂粒子(F)の体積平均粒径(Dv)は、0.1〜300μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜250μm、特に好ましくは1〜200μmである。Dvがこの範囲であると、樹脂粒子(F)の分散性や物性が好ましい範囲となりやすい。
尚、粒子径は、電子顕微鏡測定、沈降法、エレクトロゾーン法、動的光散乱法等により測定できる。
【実施例】
【0096】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部は、質量部を示す。
【0097】
下記実施例に用いた原料の組成、記号等は次の通りである。
(1)ジオール
ジオール1:Mnが1,000(ヒドロキシル価112)のポリブチレンアジペートジオール
ジオール2:Mnが2,000(ヒドロキシル価56)のポリヘキサメチレンイソフタレートジオール
(2)縮合系樹脂(a)
縮合系樹脂(a−1):Mnが8,000(ヒドロキシル価14)のポリブチレンアジペートジオール
(3)前駆体b0
前駆体(b0−1):エチレングリコールジ(メタ)アクリレート
前駆体(b0−2):ジビニルベンゼン
(4)樹脂(r):Mnが20,000のポリプロピレン
【0098】
<製造例1>縮合系樹脂(a−2)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ジオール1を84.2部投入し3mmHgの減圧下で120℃に加熱して2時間脱水を行った。続いてIPDIを15.8部投入し、110℃で10時間反応を行いMnが8,000のポリウレタン樹脂(a−2)を合成した。
【0099】
<製造例2>プレポリマー(α−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ジオール2を86.7部投入し3mmHgの減圧下で120℃に加熱して2時間脱水を行った。続いてIPDIを13.3部投入し、110℃で10時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するMnが6,000の[プレポリマーα−1]を合成した。
【0100】
<製造例3>硬化剤(β−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ヘキサメチレンジアミン47部とメチルエチルケトン(以下、MEKと記載。)58部、およびノルマルヘキサン200部を仕込み、70℃で10時間反応を行った後、分液により水を除去し、ヘキサメチレンジアミン1分子とMEK2分子からなるジケチミン化合物[硬化剤β−1]を得た。
【0101】
<製造例4>前駆体b0−3の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、[プレポリマーα−1]966部と[硬化剤β−1]39部を仕込み、25℃で1時間攪拌を行い、前駆体(b0−3)を得た。
【0102】
<製造例5>
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン139部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75?まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75?で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液C1]を得た。[微粒子分散液C1]をレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。
水784部、[微粒子分散液C1]136部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(「エレミノールMON−7」、三洋化成工業製)80部を混合攪拌し、乳白色の液体を得た。これを[分散液1]とする。
【0103】
<実施例1>
ビーカー内に表1に示した量の縮合系樹脂(a−1)と前駆体(b0−1)、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリルを混合しておき、サンスパールPS−8[三洋化成工業(株)製]3部を溶解した水737部を添加し、室温(25℃)下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を窒素雰囲気下90℃で12時間反応を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後乾燥し、表1に記載の樹脂粒子(F−1)を得た。
【0104】
<実施例2>
使用する原料として前駆体(b0−1)の代わりに前駆体(b0−2)に変更した以外は実施例1と同様にして、表1に記載の樹脂粒子(F−2)を得た。
【0105】
<実施例3>
ビーカー内に表1に示した量の縮合系樹脂(a−2)と前駆体(b0−3)の混合物を作成しておき、サンスパールPS−8[三洋化成工業(株)製]3部を溶解した水737部を添加し、室温(25℃)下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を窒素雰囲気下70℃で12時間反応を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後乾燥し、表1に記載の樹脂粒子(F−3)を得た。
【0106】
<実施例4>
ビーカー内に表1に示した量の樹脂(a−1)と前駆体(b0−1)、トルエン、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリルの溶液を作成しておき、サンスパールPS−8[三洋化成工業(株)製]3部を溶解した水737部を添加し、室温下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を90℃で12時間反応を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後脱溶剤させたものを濾別および乾燥し、表2に記載の樹脂粒子(F−4)を得た。
【0107】
<実施例5>
使用する原料として樹脂(a−1)の代わりに樹脂(a−2)、前駆体(b0−1)の代わりに前駆体(b0−2)に変更した以外は実施例4と同様にして、表1に記載の樹脂粒子(F−5)を得た。
【0108】
<実施例6>
ビーカー内に表1に示した量の縮合系樹脂(a−1)と前駆体(b0−3)、およびトルエンの溶液を作成しておき、サンスパールPS−8[三洋化成工業(株)製]3部を溶解した水737部を添加し、室温(25℃)下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を窒素雰囲気下70℃で12時間反応を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後、5kPaで7時間脱溶剤させたものを乾燥し、表1に記載の樹脂粒子(F−6)を得た。
【0109】
<実施例7>
ビーカー内に表1に示した量の縮合系樹脂(a−1)と前駆体(b0−1)、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリルを混合しておき、[分散液1]737部を添加し、室温(25℃)下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を窒素雰囲気下90℃で12時間反応を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後乾燥し、表1に記載の樹脂粒子(F−7)を得た。
【0110】
<実施例8>
使用する原料として前駆体(b0−1)の代わりに前駆体(b0−2)に変更した以外は実施例1と同様にして、表1に記載の樹脂粒子(F−8)を得た。
【0111】
<実施例9>
ビーカー内に表1に示した量の縮合系樹脂(a−2)と前駆体(b0−3)のトルエン溶液を作成しておき、[分散液1]737部を添加し、室温(25℃)下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を窒素雰囲気下70℃で12時間反応を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後、脱溶剤させたものを乾燥し、表1に記載の樹脂粒子(F−9)を得た。
【0112】
<比較例1〜2>
ビーカー内に表2に示した量の樹脂(r)(Mnが20,000のポリプロピレン)と前駆体(b0)、および溶剤を混合しておき、サンスパールPS−8[三洋化成工業(株)製]3部を溶解した水737部を添加し、室温下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、脱溶剤および乾燥を行い、表2に記載の樹脂粒子(R−1)〜(R−2)を得た。
【0113】
<比較例3〜4>
ビーカー内に表2に示した量の樹脂(a)と前駆体(b0)、トルエンを混合しておき、サンスパールPS−8[三洋化成工業(株)製]3部を溶解した水737部を添加し、室温下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数10,000rpmで1分間混合した。
混合後、混合液を90℃で12時間反応を行い、脱溶剤および乾燥を行い、樹脂粒子の水性分散液を得た。
反応終了後、濾別および乾燥を行い、表2に記載の樹脂粒子(R−3)〜(R−4)を得た。
【0114】
【表1】

【0115】
<体積平均粒子径、粒度分布>
粒子径および粒度分布の測定法は、動的光散乱法で行い、以下の条件で測定した。
装置 :ベックマン・コールター社製 マルチタイザーIII
測定原理 :エレクトロゾーン法
測定範囲 :0.4μm〜1200μm
測定試料濃度:アパーチャー詰まりが発生せぬよう、適宜設定。水で希釈して使用。
【0116】
樹脂粒子(F−1)〜(F−9),(R−1)〜(R−4)について、20%変位時圧縮弾性率及び、圧縮変形回復率を以下の方法で測定し、結果を表1に記載した。
<10%変位時圧縮弾性率>
微小圧縮試験機 PCT−200((株)島津製作所製)を使用し、25℃雰囲気下、試料台上で粒子の中心方向に対し該粒子に荷重をかけ、粒子径の10%まで変位した際の荷重値、変位値から上記で記載した次式にて算出される10%変位時圧縮弾性率を測定した。
[10%変位時圧縮弾性率]=3F/(2S3R)1/2
ここでFは圧縮荷重を表す。Sは圧縮変位、Rは粒子半径を表す。測定は25℃において行なった。圧縮荷重、圧縮変位は測定値を用いた。粒子半径は上記体積平均粒子径を用いた。
<圧縮変形回復率>
上記20%変位時圧縮弾性率測定をした後0.98mNまで除荷し、外挿した無荷重時における変位と粒子径との差を粒子径で除した値を百分率にて表した、次式にて算出される圧縮変形回復率を測定した。
[圧縮変形回復率]=(2R−S0)/S×100
ここでS0は外挿した無荷重時における変位を表す。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の樹脂粒子の製造方法により得られる樹脂粒子は、弾性および回復性に優れるという特徴を有する。
従って、本発明の樹脂粒子は、液晶ディスプレイ等の電子部品製造用スペーサー、光拡散板、光拡散フィルム、塗料添加剤、化粧品用途などに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が800以上である縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有する混合物(D1)、又は該縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有する混合物(D2)を水性媒体(e)中に分散させて粒子(F0)を形成させ、前駆体(b0)を反応させることにより、溶剤(d)を使用した場合はさらに溶剤(d)を除去することにより樹脂粒子(F)の水性分散体(X)を形成させることを特徴とする、樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
混合物(D1)が縮合系樹脂(a)、前駆体(b0)、及び溶剤(d)を含有する溶液(D1’)であり、混合物(D2)が縮合系樹脂(a)及び前駆体(b0)を含有する溶液(D2’)である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
さらに、水性分散体(X)から水性媒体(e)を除去する請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前駆体(b0)が、ビニル重合性単量体、又は、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)からなる混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
体積平均粒径が0.01〜10μmであって、溶剤(d)、前駆体(b0)及び水性媒体(e)に不溶である樹脂粒子(C)の存在下において行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
縮合系樹脂(a)がポリエステル樹脂、又はポリウレタン樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−50475(P2008−50475A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228514(P2006−228514)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】