説明

樹脂組成物

【課題】光に対する感度が高く、パターンニング性に優れた樹脂組成物を提供することにある。特に、半導体素子の機能面側に接合して設けられ、前記半導体素子の前記機能面側に形成される空隙を定めるためのスペーサの形成や、半導体素子の保護膜、絶縁膜等の形成に好適に用いることが可能な樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、エポキシ基を有するノルボルネン系重合体と、下記一般式(I)で表される感光剤とを含むことを特徴とする。ノルボルネン系重合体は、付加重合体であるのが好ましい。感光剤の含有量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好ましい。さらに、酸捕捉剤を含むのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の保護膜、絶縁膜や、半導体素子の機能面側に設置されるスペーサ等の形成に、感光性の樹脂組成物が用いられてきた(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、近年の半導体素子の保護膜、絶縁膜は厚膜化の傾向があるため、従来の樹脂組成物では、このような比較的厚い膜を精度良くパターンニングするには、光に対する感度が不十分であった。特に、スペーサのような厚みのある部材を形成する場合において、上記のような問題が顕著であった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−31939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光に対する感度が高く、パターンニング性に優れた樹脂組成物を提供することにある。特に、半導体素子の機能面側に接合して設けられ、前記半導体素子の前記機能面側に形成される空隙を定めるためのスペーサの形成や、半導体素子の保護膜、絶縁膜等の形成に好適に用いることが可能な樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) エポキシ基を有するノルボルネン系重合体と、下記一般式(I)で表される感光剤とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【化1】

【0007】
(2) 前記ノルボルネン系重合体は、付加重合体である上記(1)に記載の樹脂組成物。
【0008】
(3) 前記付加重合体は、下記一般式(II)で表される化合物である上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
【化2】

[式中、a、b、cは1以上の整数である。また、R、Rは、H、C〜C25直鎖、分枝鎖、および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルケニルおよびアルキニルから選択される側基であり、ここで、いずれの側基も、O、NおよびSiから選ばれる1以上のヘテロ原子を含んでよい。]
【0009】
(4) 前記感光剤の含有量は、前記ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0010】
(5) さらに、酸捕捉剤を含む上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0011】
(6) 前記酸捕捉剤は、下記一般式(III)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物からなる群から選択される1種以上である上記(5)に記載の樹脂組成物。
【化3】

[式中、Rは、H、または、アルキル基である。]
【化4】

[式中、R10〜R14は、H、または、任意の2つがメチル基で残りがHである。]
【0012】
(7) 前記酸捕捉剤の含有量は、前記感光剤100重量部に対して、0.01〜2重量部である上記(5)または(6)に記載の樹脂組成物。
【0013】
(8) 半導体素子の機能面側に接合して設けられ、前記半導体素子の前記機能面側に形成される空隙を定めるためのスペーサの形成に用いる上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0014】
(9) 半導体素子の保護膜および絶縁膜の1つ以上として用いる上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂組成物の光に対する感度を高いものとすることができ、パターンニング性を向上させることができる。特に、本発明の樹脂組成物を、例えば、後述するようなスペーサに適用した場合、高い精度でパターンニングを行うことができる。また、このような樹脂組成物が硬化して得られる物質は、収縮率が小さく、また、均一な組成であるため、後述するようなスペーサとして用いた場合、半導体素子の機能面側に形成される空隙を高い精度で規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ノルボルネン系重合体と、後述するような感光剤とを含むものである。なお、本発明の樹脂組成物は、光が照射された部位が硬化するネガ型の樹脂組成物である。
【0017】
まず、ノルボルネン系重合体について説明する。
本発明で用いるノルボルネン系重合体は、エポキシ基を有するものである。言い換えると、本発明で用いるノルボルネン系重合体は、エポキシ基を有する繰り返し単位(例えば、後述する化1で表される繰り返し単位であって、エポキシ基を有するもの)を少なくとも1個有するものである。エポキシ基を有することにより、成形性、耐熱性に特に優れたものとなる。
【0018】
ノルボルネン系重合体としては、エポキシ基を有する繰り返し単位を少なくとも1個有するものであれば、特に限定されず、単独の繰り返し単位を有するもの(ホモポリマー)、2つ以上のノルボルネン系繰り返し単位を有するもの(コポリマー)のいずれであってもよい。
【0019】
このようなノルボルネン系重合体としては、例えば、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
【0020】
これらのノルボルネン系重合体は、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
【0021】
これらの中でも、ノルボルネン系重合体としては、下記化5(構造式B)で表される少なくとも1個の繰り返し単位を有するもの、すなわち、付加(共)重合体が好ましい。
【0022】
【化5】

【0023】
かかるノルボルネン系重合体は、例えば、後述するノルボルネン系モノマー(後述する化7で表されるノルボルネン系モノマーや、架橋性ノルボルネン系モノマー)を用いることにより好適に合成される。
【0024】
ノルボルネン系重合体としては、アラルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。これにより、機械特性などの物理特性が向上し、例えば、後述するようなスペーサに適用した場合、高い信頼性を得ることができる。
【0025】
アラルキルノルボルネンの繰り返し単位が有するアラルキル基(アリールアルキル基)としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル(フェネチル)基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、フルオレニルエチル基、フルオレニルプロピル基等が挙げられるが、フェニルエチル基が特に好ましい。
【0026】
また、ノルボルネン系重合体は、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。これにより、光によって硬化した後に、容易に熱成形することができる。さらに、成型後の樹脂の内部応力を著しく低減させるため、かかる樹脂を使用した半導体素子の信頼性を向上させることが可能となる。
【0027】
アルキルノルボルネンの繰り返し単位が有するアルキル基としては、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられるが、デシル基が特に好ましい。なお、これらのアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。
【0028】
デシルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系重合体は、適度な耐熱性、適度な熱成形性および低応力性を有するものとなる。
【0029】
特に、本発明のノルボルネン系重合体は、下記一般式(II)で表される付加重合体であるのが好ましい。
【0030】
【化6】

[式中、a、b、cは1以上の整数である。また、R、Rは、H、C〜C25直鎖、分枝鎖、および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルケニルおよびアルキニルから選択される側基であり、ここで、いずれの側基も、O、NおよびSiから選ばれる1以上のヘテロ原子を含んでよい。]
【0031】
このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、適度な耐熱性、機械特性を有するとともに、光によって硬化した後に、より容易に熱成形することができる。さらに、半導体素子の信頼性を向上せしめることも可能となる。
【0032】
上述したようなノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系モノマーを用いて得ることができる。
【0033】
ここで、ノルボルネン系モノマーとは、下記化7(構造式A)で示されるノルボルネン骨格を少なくとも1つ含むモノマーを総称し、例えば、下記化8(構造式C)で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化7】

[式中、Xは−CH−、−CH−CH−、または−O−を表す。]
【0035】
【化8】

[式中、Xは−CH−、−CH−CH−および−O−から選択され;そしてmは0〜5の整数であり;R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を表す。]
【0036】
本発明において、ノルボルネン系重合体は、上記のようなノルボルネン系モノマーのうち、少なくとも、置換基としてエポキシ基を有するモノマーを用いることにより得ることができる。
【0037】
また、ノルボルネン系重合体は、エポキシ基を有するノルボルネン系モノマーと、エポキシ基以外の置換基を有するノルボルネン系モノマーとを組み合わせることにより得られるものであってもよい。
【0038】
エポキシ基以外の置換基を有するノルボルネン系モノマーとしては、アルキル基を有するノルボルネン系モノマー、アリール基を有するノルボルネン系モノマー、アラルキル基を有するノルボルネン系モノマー、アルケニル基を有するノルボルネン系モノマー、アルキニル基を有するノルボルネン系モノマー等が挙げられる。
【0039】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0040】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル(anthracenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0041】
アラルキル(aralkyl)基の具体例としては、ベンジル基およびフェニルエチル(フェネチル:phenethyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0042】
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびシクロヘキセニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0043】
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基および2−ブチニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、本発明の樹脂組成物には、下記一般式(I)で表される感光剤を含んでいる。
【0044】
【化9】

【0045】
一般に、感光剤は、光等のエネルギー線に感応して酸を発生する。この発生した酸の作用により、前述したノルボルネン系重合体が硬化する。
【0046】
上記一般式(I)で表される感光剤は、エネルギー線の照射による酸発生の効率すなわち酸発生感度が、従来の感光剤に比べて非常に高い化合物である。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、前述したようなノルボルネン系重合体と、上記一般式(I)で表される感光剤とを含む点に特徴を有している。
【0048】
以上のような構成とすることにより、樹脂組成物の光に対する感度を高いものとすることができ、パターンニング性を向上させることができる。特に、本発明の樹脂組成物を、例えば、後述するようなスペーサに適用した場合、高い精度でパターンニングを行うことができる。また、このような樹脂組成物が硬化して得られる物質は、収縮率が小さく、また、均一な組成であるため、後述するようなスペーサとして用いた場合、半導体素子の機能面側に形成される空隙を高い精度で規制することができる。
【0049】
なお、上記一般式(I)の感光剤と、エポキシ基を有するノルボルネン系重合体(特にエポキシ基を有するノルボルネン系重合体の付加重合体)とを用いることによって、光に対する感度(ここで、感度はパターング時のパターニングの有無およびパターニング後の密着性等を意味する)が向上する理由は未だ明らかではないが、例えば、次のように考えられる。
【0050】
上記感光剤は、エネルギー線照射によって、分解生成物の一つとしてナフタレン含有硫黄化合物が生じ、このナフタレン含有硫黄化合物はエポキシ基を有するノルボルネン系重合体のエポキシ基の反応を促進することに加え、ナフタレン含有硫黄化合物の硫黄部分は半導体用ウエハ、透明基板等と、ナフタレン側部分はノルボルネン系重合体と、それぞれ相互作用を生じ、カップリング剤のような作用を有するからである。
【0051】
また、上記感光剤は、ノルボルネン系重合体との相溶性が良好であり、それによってノルボルネン系重合体中への分散性に優れ、反応性、作業性等が向上するからである。
【0052】
上記一般式(I)で表される感光剤の含有量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好ましく、1〜5重量部であるのがより好ましい。上記感光剤の含有量をこのような範囲とすることにより、樹脂組成物の光に対する感度をより高いものとすることができ、パターンニング性をより向上させることができる。これに対して、感光剤の含有量が前記下限値未満であると、ノルボルネン系重合体の組成等によっては、十分な感度が得られない場合がある。また、感光剤の含有量が前記上限値を超えると、ノルボルネン系重合体の組成等によっては、樹脂組成物が硬化して得られる物質が十分な機械的強度を有さない場合がある。
【0053】
上述したように、本発明の樹脂組成物は光に対する感度は高いものであるが、その用途や成型条件により、必要に応じて増感剤を添加することもできる。増感剤は、特定のタイプまたは波長の光に対する感光剤の反応性を発現あるいは増大させる機能を有する成分である。このような増感剤としては、 例えば、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンツピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、チオキサンテン−9−オン、2‐イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4‐プロポキシチオキサントン、およびこれらの混合物等が挙げられる。このような増感剤の含有量は、前述した感光剤100重量部に対して、100重量部以下であるのが好ましく、20重量部以下であるのがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、上記成分の他、例えば、酸捕捉剤を含んでいてもよい。
【0054】
酸捕捉剤は、光の照射により発生した酸が、光を照射していない部位に拡散するのを防止する機能を有する成分である。すなわち、光を照射していない部位の不本意な硬化を防止する機能を有する成分である。
【0055】
このような酸捕捉剤を含むことにより、パターンニング精度をより高いものとすることができる。
【0056】
このような酸捕捉剤としては、例えば、トリ(n−プロピル)アミン、トリエチルアミン、下記一般式(III)で表される化合物、および、下記一般式(V)で表される化合物等に代表されるアミン(二級アミン、三級アミン)、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0057】
【化10】

[式中、Rは、H、または、アルキル基である。]
【0058】
【化11】

[式中、R10〜R14は、H、または、任意の2つがメチル基で残りがHである。]
【0059】
これらの中でも、上記一般式(III)で表される化合物、上記一般式(V)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を用いるのが好ましく、上記一般式(III)で表される化合物を用いるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物の光に対する感度を高いものとしつつ、光を照射していない部位の不本意な硬化をより効果的に防止することができる。
【0060】
このような酸捕捉剤の含有量は、前述した感光剤100重量部に対して、0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.02〜1重量部であるのがより好ましい。これにより、光を照射していない部位の不本意な硬化をさらに効果的に防止することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0061】
酸化防止剤は、望ましくない酸の発生や、樹脂組成物の自然酸化を防止する機能を有している。
【0062】
酸化防止剤としては、ニューヨーク州タリータウンのCiba Fine Chemicals社から入手可能なCiba(登録商標、以下同様である。) IRGANOX(登録商標、以下同様である。) 1076およびCiba IRGAFOS(登録商標、以下同様である。) 168が好適に用いられる。
【0063】
また、他の酸化防止剤としては、例えば、Ciba Irganox(登録商標、以下同様である。) 129、Ciba Irganox 1330、Ciba Irganox 1010、Ciba Cyanox(登録商標、以下同様である。) 1790、Ciba Irganox(登録商標) 3114、Ciba Irganox 3125等を用いることもできる。
【0064】
酸化防止剤の含有量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.5〜5重量部であるのがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、架橋促進剤を含んでいてもよい。
【0065】
架橋促進剤は、組成物中に添加することによってその架橋反応をより効果的なものとし、成形性や物理特性を改善する機能を有する成分である。
【0066】
架橋促進剤としては、例えば、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロピレングリコールジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビニルエーテル、および1,8−オクタンジオールビニルエーテル、およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、特に、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを用いるのが好ましい。
【0067】
架橋促進剤の含有量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜50重量部であるのが好ましく、1〜10重量部であるのがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、密着助剤を含んでいてもよい。
【0068】
密着助剤は、樹脂組成物を硬化させて得られた部材と、当該部材が設けられる基板との結合強度を向上させる機能を有する成分である。
【0069】
密着助剤としては、例えば、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび下記構造単位(IV)で示される化合物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
【化12】

[ここで、zは0、1または2であり、RはC〜C20の直鎖状、分枝鎖状、そして環状のアルキレン、2〜6個の炭素原子を含有するアルキレンオキシドおよびポリ(アルキレンオキシド)(ここで、前記反復基のアルキレン部分は2〜6個の炭素原子を含有し、そして前記ポリ(アルキレンオキシド)は50〜1000の分子量を有する)から選ばれる連結基であり、それぞれ存在するRの各々はC〜Cの直鎖状の、および分枝鎖状のアルキルから独立して選ばれ、そして存在するR18の各々は、HおよびC〜Cの直鎖状の、および分枝鎖状のアルキルから選ばれる。]
【0071】
上述した中でも、特に、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを用いるのが好ましい。
【0072】
密着助剤の含有量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜50重量部であるのが好ましく、1〜20重量部であるのがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
【0073】
溶剤は、樹脂組成物の塗布性を向上させる機能を有する成分である。
溶剤としては、例えば、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、脂環式環状エーテル、環状エーテル、アセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミド、脂肪族モノ−および脂肪族マルチビニルエーテル、脂環式モノ−およびマルチビニルエーテル、芳香族モノ−およびマルチビニルエーテル、環状カーボネート、これらを含む混合液等が挙げられる。
【0074】
溶剤の含有量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、50〜1000重量部であるのが好ましく、100〜300重量部であるのがより好ましい。
【0075】
次に、本発明の樹脂組成物が好適に適用される半導体装置の一例について説明する。
図1は、本発明の樹脂組成物が好適に適用される半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0076】
図1に示す半導体装置10は、CMOSイメージセンサであり、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、インターポーザー30上に接合されたスペーサ40と、スペーサ40に支持された透明基板50と、複数の導電性を有するボンディングワイヤ70とを有している。
【0077】
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・BTレジン等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
【0078】
インターポーザー30の上面(一方の面)には、銅等の導電性金属材料で構成される配線パターン(図示せず)が、所定形状で設けられている。
【0079】
ボンディングワイヤ70は、それぞれ、配線パターンの一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の側面から突出している。
また、インターポーザー30上には、半導体チップ20が設置されている。
【0080】
半導体チップ20は、受光面(機能面)21を有しており、半導体装置10の上側から入射した光を受光面21で受光し、電気信号に変化する機能を有している。
【0081】
半導体チップ20のボンディングワイヤ接合部(図示せず)からは、インターポーザー30上の配線パターンのボンディングワイヤ接合部(図示せず)に向かって、それぞれのボンディングワイヤ80が接続導通している。
【0082】
また、インターポーザー30上(配線パターンが形成されていない部位)には、スペーサ40が接合されている。
【0083】
このスペーサ40は、前述した本発明の樹脂組成物を用いて形成されたブロック体で構
成されている。
【0084】
このブロック体で構成されたスペーサ40には、当該スペーサ40を図1中上下方向(厚さ方向)に貫通する中空部41が形成されている。また、中空部41は、その内側に、インターポーザー30上の図示せぬ配線パターン、半導体チップ20およびボンディングワイヤ80を包含している。
【0085】
また、このスペーサ40の上端には、透明基板50が接合されている。これにより、中空部41は、インターポーザー30と透明基板50とで両端が封止されたものとなる。言い換えると、スペーサ40の内壁面と、インターポーザー30の上面と、透明基板50の下面とで閉空間(空隙)が形成される。このような閉空間が形成されることにより、半導体チップ20(特に受光面21)に異物が付着するのが防止される。
【0086】
上述したように、スペーサ40は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されるものであるため、半導体素子20の受光面21側の閉空間(空隙)が高い精度で規制される。
【0087】
また、このようなスペーサ40は、例えば、本発明の樹脂組成物をインターポーザー30上に、所定の厚さで塗布した後、スペーサ40となるべき部位に光を照射して、スペーサ40となるべき部位を硬化させた後、未硬化の樹脂組成物を除去することにより形成することができる。本発明の樹脂組成物は、光に対する感度が高く、パターンニング性に優れているため、所望の形状のスペーサ40を容易に形成することができる。
【0088】
なお、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたスペーサ40の上端と透明基板50とを接合する方法としては、例えば、パターニング後にスペーサ40の上端に接着剤を塗布して透明基板50と接合する方法や、樹脂組成物中に、光硬化後に熱圧着可能となる成分(例えばエポキシ化合物、オキセタニル化合物等)を添加しておき、光硬化後に透明基板50を熱圧着する方法等が挙げられる。
【0089】
以上、本発明の樹脂組成物について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0090】
例えば、本発明の樹脂組成物が適用される半導体装置は、上記のような構成のものに限定されない。
【0091】
また、本発明の樹脂組成物は、上述したようなスペーサの形成用として用いるだけでなく、例えば、半導体素子の保護膜や絶縁膜等の形成にも用いることができる。
【実施例】
【0092】
[1]樹脂組成物の製造
以下のようにして、樹脂組成物を製造した。
【0093】
(実施例1)
<ノルボルネン系重合体の調製>
フェネチルノルボルネン、グリシジルメチルエーテルノルボルネンおよびデシルノルボルネンから得られるフェネチル、グリシジルメチルエーテルおよびデシル反復単位を含むノルボルネン系重合体(下記一般式(II)で表される付加重合体)を以下のようにして調製した。
【0094】
【化13】

【0095】
110℃で18時間乾燥し、次いで窒素パージしたグローブボックス内に移した反応容器に、エチルアセテート(230g)、シクロヘキサン(230g)、フェネチルノルボルネン(14.17g、0.071mol)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(14.0g、0.100mol)およびデシルノルボルネン(39.50g、0.168mol)を加えた。乾燥N2流をこの溶液に30分間通すことによって、この反応媒体から酸素を取り除いた。パージが完了した後、8mlのトルエン中に溶解した1.50g(3.10mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを反応器中に注入した。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで過酢酸溶液(ニッケル触媒に基づく50mol当量、150mmol、130mlの脱イオン水で希釈された57mlの氷酢酸を、およそ100mlの脱イオン水で希釈された115mlの30重量%過酸化水素と混ぜ合わせて調製した)で処理し、さらに18時間撹拌した。
【0096】
撹拌を停止し放置し水層と溶媒層とを分離させた。その後水層を除去し、残った溶媒層に水のアリコートを加えることにより500mlの蒸留水で3回洗浄し、20分間撹拌し、放置し層に分離し、次いで水層を除去した。その後洗浄した溶媒層に過剰のアセトンを加え、ノルボルネン系重合体を析出させ、濾過により回収し、そして真空炉中60℃で一晩乾燥した。乾燥後、66.1gの乾燥したノルボルネン系重合体(転化率92%)を得た。ノルボルネン系重合体の分子量は、ポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=105,138、Mn=46,439、多分散性(PDI)は2.26であることを確認した。ノルボルネン系重合体の組成は、H−NMRを用いて測定し、20.2mol%のフェネチルノルボルネン、29.1mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび50.7mol%のデシルノルボルネンが取り込まれていることを確認した。
【0097】
<感光剤の調製>
下記式(I)で表される感光剤を以下のようにして調製した。
【0098】
【化14】

【0099】
ジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・ブロマイド19.0gをイオン交換水4000mlに溶解し、ナトリウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート水溶液(重量濃度3.99%)930.7gを室温にて40分かけて滴下し、滴下終了後室温のまま2時間攪拌した。析出物をろ過し、得られた固体をジクロロメタン250mlに溶解して水にて抽出洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、0℃に冷却してヘキサン1000mlを滴下した。生成した結晶をろ過し、ヘキサンで洗浄後、乾燥してジメチル(2−(4−メトキシナフチル)−2−オキソエチル)スルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(上記式(I)の化合物)を白色結晶として28.9g得た(収率58%)。
【0100】
<樹脂組成物の調製>
褐色広口瓶に、得られたノルボルネン系重合体:191.25gと、2−ヘプタノン(MAK):191gとを加えた。固形分が完全に溶解するまで溶液を混合し、次いで0.45ミクロンフィルターで濾過し微粒子を取り除いた。その溶液に、得られた感光剤:5.738gと、酸捕捉剤としての下記式(VI)で表される化合物0.0612gと、酸化防止剤としてのIrganox1076(Ciba社製):2.869gと、架橋促進剤としての1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(日本カーバイド工業社製):9.563g、密着助剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Sigma−Aldrich社製):9.563gを加えた。その溶液を18時間混合し、樹脂組成物を得た。
【0101】
【化15】

【0102】
(実施例2)
ノルボルネン系重合体の調製を以下のように行った以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
【0103】
<ノルボルネン系重合体の調製>
エチルアセテート(200g)、シクロヘキサン(200g)、フェネチルノルボルネン(5.06g、0.025mol)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(14.0g、0.077mol)およびデシルノルボルネン(33.6g、0.152mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、8mlのトルエン中に1.45g(3.00mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを溶解し、反応器中に注入した。上記の実施例1と同様に、反応を周囲温度で6時間撹拌し、次いで適切な過酢酸溶液と反応させ、洗浄した。上の実施例1と同様に、ノルボルネン系重合体を沈澱させ、回収した。乾燥後、49.2gの乾燥したノルボルネン系重合体(転化率90%)を得た。ノルボルネン系重合体の分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=84,631、Mn=33,762、多分散性インデックス(PDI)=2.51であることを確認した。ノルボルネン系重合体の組成は、H−NMRを用いて測定し、10.2mol%のフェネチルノルボルネン、31.5mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび58.3mol%のデシルノルボルネンが結合していることを確認した。
【0104】
(実施例3)
ノルボルネン系重合体の調製を以下のように行った以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
【0105】
<ノルボルネン系重合体の調製>
エチルアセテート(200g)、シクロヘキサン(200g)、フェネチルノルボルネン(2.36g、0.012mol)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(12.63g、0.070mol)およびデシルノルボルネン(35.6g、0.152mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、7mlのトルエン中に1.33g(2.74mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを溶解し、反応器中に注入した。上記の実施例1と同様に、反応を周囲温度で6時間撹拌し、次いで適切な過酢酸溶液と反応させ、洗浄した。上記の実施例1と同様に、ノルボルネン系重合体を沈澱させ、回収した。乾燥後、44.8gの乾燥したノルボルネン系重合体(転化率89%)を得た。ノルボルネン系重合体の分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=92,452、Mn=37,392、多分散性インデックス(PDI)=2.47であることを確認した。ノルボルネン系重合体の組成は、H−NMRを用いて測定し、6.5mol%のフェネチルノルボルネン、30.1mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび63.4mol%のデシルノルボルネンが結合していることがわかった。
【0106】
(実施例4)
ノルボルネン系重合体の調製を以下のように行った以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
【0107】
<ノルボルネン系重合体の調製>
エチルアセテート(290g)、シクロヘキサン(290g)、フェネチルノルボルネン(71.85g、0.364mol)およびグリシジルメチルエーテルノルボルネン(28.15g、0.156mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、18.0mlのトルエン中に3.15g(6.51mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを溶解し、反応器中に注入した。反応を周囲温度で18時間撹拌し、次いで過酢酸溶液(ニッケル触媒に基づく50mol当量、150mmol、約200mlの脱イオン水で希釈された100mlの氷酢酸を、約200mlの脱イオン水で希釈された200mlの30重量%過酸化水素と混ぜ合わせて調製した)で処理し、さらに18時間撹拌した。
【0108】
撹拌を停止して放置し、水層と溶媒層とを分離させた。次いで水層を除去し、残った溶媒層に水のアリコートを加えることにより500mlの水で3回洗浄し、20分間撹拌し、放置して層に分離し、次いで水層を除去した。洗浄した溶媒層に過剰のメタノールを加え、ノルボルネン系重合体を析出させ、濾過により回収し、そして真空炉中60℃で一晩乾燥した。乾燥後、93.0gの乾燥したノルボルネン系重合体(転化率93%)を得た。ノルボルネン系重合体の分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=61,937、Mn=29,053、多分散性インデックス(PDI)が2.13であることを確認した。ノルボルネン系重合体の組成は、H−NMRを用いて測定し、67.1mol%のフェネチルノルボルネン、32.9mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンが取り込まれていることがわかった。
【0109】
(実施例5)
酸捕捉剤を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
【0110】
(比較例)
感光剤として、Rhodorsil(登録商標)PI2074の4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:0.184gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
【0111】
[2]評価
<2.1>光解像(パターンニング)性
光解像性は、上記各実施例および比較例の樹脂組成物を用いて、以下の工程を通してパターンを形成し、そのパターンの形状および開口部の残渣を観察し、下記4段階の基準に基づいて評価した。
【0112】
パターン形成の工程としては、樹脂組成物を、8インチのウエハにスピンコート法で塗布した後、ホットプレートにて110℃で5分間乾燥し、膜厚約40μmの塗膜を得た。
【0113】
この塗膜にi線ステッパー露光機(Nikon(株)製)によりレチクルを通して500mJ/cmでダムを形成する部分(硬化させる部分)の露光を行った。その後、ホットプレートにて90℃で4分間、露光部の架橋反応を促進させるため加熱した。
【0114】
次に、シクロペンタノンに30秒間浸漬することによって未露光部を溶解除去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで20秒間リンスし、所望のパターンを成形した。
【0115】
◎:スカムが無く、外観も良好であった。
○:スカムが一部発生または外観が一部不良であった。
△:ダムに剥離が生じた。
×:現像できなかった。
【0116】
<2.2>パターン形成に必要な最低露光量(感度)の測定
上記各実施例および比較例の樹脂組成物を用いて、パターン形成に必要な最低露光量(感度)の測定を以下のようにして行った。
【0117】
上記<2.1>と同様にして塗膜を形成した。この塗膜を複数の領域に区分けし、i線ステッパー露光機(Nikon(株)製)によりレチクルを通して100mJ/cmから10mJ/cmきざみで、各領域ごとに異なる露光量となるように露光を行った。その後、ホットプレートにて90℃で4分間、露光部の架橋反応を促進させるため加熱した。
【0118】
次に、シクロペンタノンに30秒間浸漬することによって未露光部を溶解除去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで20秒間リンスし、パターンを成形した。
【0119】
100mJ/cmから10mJ/cmきざみで露光した各領域を、100mJ/cm露光した領域から順に観察し、所望の形状にパターンニングされ始める部位の露光量を、最低露光量とした。
これらの結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1からも分かるように、各実施例の樹脂組成物では、光に対する感度が高く、パターンニング性に優れたものであった。特に、前述した一般式(II)で表されるノルボルネン系重合体を用い、酸捕捉剤として前述した一般式(VI)で表される化合物を用いた実施例では、特に優れた結果が得られた。これに対して、比較例の樹脂組成物では、満足いく結果が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の樹脂組成物が好適に適用される半導体装置の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0123】
10 半導体装置
20 半導体チップ(半導体素子)
21 受光面(機能面)
30 インターポーザー(基板)
40 スペーサ
41 中空部
50 透明基板
70、80 ボンディングワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ基を有するノルボルネン系重合体と、下記一般式(I)で表される感光剤とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【化1】

【請求項2】
前記ノルボルネン系重合体は、付加重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記付加重合体は、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【化2】

[式中、a、b、cは1以上の整数である。また、R、Rは、H、C〜C25直鎖、分枝鎖、および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルケニルおよびアルキニルから選択される側基であり、ここで、いずれの側基も、O、NおよびSiから選ばれる1以上のヘテロ原子を含んでよい。]
【請求項4】
前記感光剤の含有量は、前記ノルボルネン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部である請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、酸捕捉剤を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記酸捕捉剤は、下記一般式(III)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物からなる群から選択される1種以上である請求項5に記載の樹脂組成物。
【化3】

[式中、Rは、H、または、アルキル基である。]
【化4】

[式中、R10〜R14は、H、または、任意の2つがメチル基で残りがHである。]
【請求項7】
前記酸捕捉剤の含有量は、前記感光剤100重量部に対して、0.01〜2重量部である請求項5または6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
半導体素子の機能面側に接合して設けられ、前記半導体素子の前記機能面側に形成される空隙を定めるためのスペーサの形成に用いる請求項1ないし7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
半導体素子の保護膜および絶縁膜の1つ以上として用いる請求項1ないし7のいずれかに記載の樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−280358(P2008−280358A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122951(P2007−122951)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】