説明

樹脂組成物

【課題】従来、設計が困難であった電気抵抗10〜1011Ωの領域において所望の電気抵抗値を得ることができ、さらに成型品測定箇所による電気抵抗のバラツキも顕著に小さい樹脂組成物および樹脂製構造部品を得る。
【解決手段】(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂40〜95重量%、
(b)ガラス転移温度が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂60〜5重量%、
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(c)エポキシ基およびまたはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーを0.3〜20重量%の割合でスチレンを主たる成分とするモノマーと共重合してなる共重合体1〜20重量部、さらに、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(d)平均繊維径20μm以下の繊維状無機フィラーを5〜100重量部、そしてさらに、(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛を3〜110重量部添加してなる樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野で利用できる導電レベルから帯電防止レベルまでの安定した電気抵抗値を有し、さらには、耐油性、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、剛性に優れた樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリフェニレンスルフィドは、その結晶性に起因して流動特性が良好で、耐熱性、耐水性及び電気特性(特に電気絶縁性)に優れるため電気・電子分野で広く利用されている。しかし、その流動特性のため成形材料としてはバリが発生しやすく、電気絶縁性から安定した導電及び帯電防止性を付与することが困難という欠点を有している。
【0003】
このためポリフェニレンスルフィドのこれらの欠点を解消する目的で各種樹脂及び導電性物質とブレンドまたはアロイ化する試みが数多く提案されている。
例えば、各種樹脂アロイにケッチェンブラックを添加し、体積抵抗率50KΩ・cm未満の樹脂組成物が開示されている。(特許文献1参照)
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、導電性カーボン、および有機シラン化合物からなる導電性樹脂組成物において、導電性カーボンとしてファーネスブラック、炭素繊維を用て表面固有抵抗10−7Ω以下を得る発明が開示されている。(特許文献2参照)
さらに、炭素繊維および/またはナノチューブ、樹脂さらにはカーボン粉末からなる樹脂組成物において、成形品が50Ω・cm以下の体積固有抵抗値を有する発明が開示されている。(特許文献3参照)
そして、2種の熱可塑性樹脂と導電性フィラーとを含有してなる電磁波遮蔽性樹脂組成物において、導電性フィラーとしてカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属粉、金属繊維、金属酸化物粉及び金属酸化物繊維を用い、1011Ωcm以上の体積抵抗率をする電磁波遮蔽性樹脂組成物が開示されている。(特許文献4参照)
そして、熱可塑性樹脂と特定の硬さを有する導電性カーボンブラックからなる表面抵抗率10〜1013(Ω)の導電性を有する熱可塑性樹脂組成物(特許文献5参照)、
炭素繊維と熱可塑性樹脂から構成され、体積固有抵抗値が10−3以上10未満又は10以上10以下(Ω・cm)の範囲内である成形品(特許文献6参照)が開示されている。
【0004】
つぎに、導電材料として公知である黒鉛であるが、前記の導電性フィラーに比べ固有電気抵抗値が大きいため多量に樹脂に添加しなければならず、物性への影響から導電樹脂材料としてはあまり検討されていないのが現状である。
【0005】
例えば、ポリフェニレンスルフィドとガラス転移温度140℃以上の非晶性熱可塑性樹脂及び特定の黒鉛からなる樹脂組成物が提案されている。(特許文献7参照)
そして、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテル及び混和剤としてエポキシ基および/またはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーとスチレンを主たる成分とするモノマーの共重合体を用い、さらに特定粒径の黒鉛からなる樹脂組成物が提案されている。(特許文献8参照)
また、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテル及びシラン系化合物に特定繊維径のガラス繊維、特定粒径の黒鉛からなる樹脂組成物が提案されている。(特許文献9参照)
さらに、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルに特定のカーボン繊維および特定粒径の黒鉛からなる樹脂組成物が提案されている。(特許文献10参照)
しかし、これらに提案されている樹脂組成物は機械的物性、導電性および放熱性等の改良がなされているものの、電気抵抗値10〜1011Ωが得られ、かつ成型品の測定部位による電気抵抗値のバラツキも小さい樹脂組成物については何ら解決策の開示がなされていない。
この様な現状において、近年の事務機器分野や情報機器分野等のフレームシャーシをはじめとする機構部品において静電気による塵やゴミの付着を防ぐ為に帯電防止性能を必要としたり、樹脂を電気端子の一部とするため導電性が必要な樹脂の要求が多くなっている。
【0006】
そして帯電防止性能は必要だがショートサーキットの危険があるため導電性は必要ない、あるいはその逆の要求もあり、さらには成型品の形状設計の観点から様々な場所に導電経路を設けるため電気抵抗値の箇所によるバラツキを小さくすることが強く求められている。それに加えて小型、軽量、精密化に伴う成型品の薄肉化の為、より高いレベルの成型流動性、剛性、耐熱性の要求もあり、従来の技術ではこれらの要求全てを満足することはできなかった。
【特許文献1】特表2002−544308号公報
【特許文献2】特開平6−220323号公報
【特許文献3】特開2002−226713号公報
【特許文献4】特開平10−204305号公報
【特許文献5】特開2004−210846号公報
【特許文献6】特開2004−285147号公報
【特許文献7】特開2003−268236号公報
【特許文献8】特開2005−060529号公報
【特許文献9】特開2005−105024号公報
【特許文献10】特開2004−137401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテル及び混和剤からなる樹脂組成物の優れた成形流動性及び機械的物性を損なうことなく、導電性及び帯電防止性に優れさらに成型品の電気抵抗値の箇所によるバラツキを改善した樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、このような現状に鑑み、ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂、混和剤および無機フィラーからなる樹脂組成物において、鋭意検討の結果、特定の繊維状無機フィラー及び特定の黒鉛を特定量用いることで、導電性樹脂組成物において従来バラツキが大きく、設計が困難であった電気抵抗値10〜1011Ωの領域において所望の抵抗値を得ることができ、さらに成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキも顕著に小さくすることが出来ることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1] (a)ポリフェニレンスルフィド樹脂40〜95重量%、
(b)ガラス転移温度が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂60〜5重量%、
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(c)エポキシ基およびまたはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーを0.3〜20重量%の割合でスチレンを主たる成分とするモノマーと共重合してなる共重合体1〜20重量部、
さらに、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(d)平均繊維径20μm以下の繊維状無機フィラーを5〜100重量部、
そしてさらに、(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛を3〜110重量部添加してなる樹脂組成物、
[2] (b)成分がポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である[1]記載の樹脂組成物、
[3] (b)成分がポリフェニレンエーテル100重量%またはポリフェニレンエーテル/スチレン系樹脂=30〜99重量%/70〜1重量%のいずれか1つの構成比である[1]に記載の樹脂組成物、
[4] (d)繊維状無機フィラーがガラス繊維である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[5] (d)繊維状無機フィラーが平均繊維径4〜10μmのガラス繊維である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[6] (a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(d)繊維状無機フィラーの添加量が、10〜80重量部である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[7] (e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、(e−1)最大の平均板径が15〜25μmの鱗片状黒鉛及び、(e−2)最小の平均板径が3〜10μm鱗片状黒鉛で構成されていることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[8] (e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、(e−1)最大の平均板径を有する鱗片状黒鉛/(e−2)最小の平均板径を有する鱗片状黒鉛の平均板径の比が3〜10である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[9] (e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、(e−1)最大の平均板径を有する鱗片状黒鉛の配合量/(e−2)最小の平均板径を有する鱗片状黒鉛の配合量の比が0.14〜0.75である[1]〜[8]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[10] (a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(e)鱗片状黒鉛の添加量が、8〜60重量部である[1]〜[9]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を提供するものである。
さらには、この樹脂組成物において、
[11] (a)〜(c)成分の全量を(a)成分の融点以上で溶融混練し、次いで(d)成分および(e)成分を供給し、さらに(a)成分の融点以上で溶融混練を続けて行うことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
[12] [1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂組成物にて成形された樹脂製構造部品に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来、設計が困難であった電気抵抗値10〜1011Ωの領域において所望の電気抵抗値を得ることができ、さらに成型品測定箇所による電気抵抗のバラツキも顕著に小さい樹脂組成物および樹脂製構造部品を得ることが出来る。
このため、本発明の樹脂組成物は、広く射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形、圧縮成型により目的に応じた電気・電子部品、光学機器機構部品、光源ランプ周り部品、電磁シールド用シートまたはフィルム、ハードディスク内部部品、プリンター部品、コピー機部品、自動車ランプ部品、自動車ラジエタータンク部品または自動車エンジンルーム内部品の成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPSと略記する)は、基本的にはパラフェニレンスルフィド骨格を70モル%以上、好ましくは90モル%以上からなるポリフェニレンスルフィドである。
【0012】
なお、本発明で用いることの出来るPPSは構成単位であるアリーレン基が1種であるホモポリマーであっても良く、加工性や耐熱性の観点から、2種以上の異なるアリーレン基を混合して用いて得られるコポリマーであっても良い。中でも、主構成要素としてp−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂が、加工性、耐熱性に優れ、かつ、工業的に入手が容易なことから好ましい。
【0013】
これら上記したPPSの製造方法は、通常、ハロゲン置換芳香族化合物、例えばp−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムまたは硫化水素と水酸化ナトリウムあるいはナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させる方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合等が挙げられるが、中でもN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当である。なお、これらの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第2513188号明細書、特公昭44−27671号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特開昭61−225217号公報および米国特許第3274165号明細書、英国特許第1160660号明細書さらに特公昭46−27255号公報、ベルギー特許第29437号明細書、特開平5−222196号公報、等に記載された方法やこれら特許等に例示された先行技術の方法で得ることが出来る。
【0014】
そして本発明のPPSは、上記の製造方法で重合したリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下リニア型PPS)及びこのリニア型PPSをさらに酸素の存在下でPPSの融点以下の温度で加熱処理し酸化架橋を促進してポリマー分子量、粘度を適度に高めた架橋型(半架橋型も含む)ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、架橋型PPSと略記する。)のどちらでも良く、さらにリニア型PPSと架橋型PPSを併用してもよい。
【0015】
また、本発明で用いるPPSは300℃における溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/D=10/1で6分間保持した値)は、好ましくは0.1〜1,000Pa・sであり、さらに好ましくは10〜1,000Pa・sである。
【0016】
かかる(a)成分の配合量は、耐熱性、成形流動性、耐溶剤性および耐衝撃性の観点から40〜95重量%である。
つぎに本発明の(b)成分であるガラス転移温度が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂とは、この条件を満たすものであればよく、具体例としてはポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられるが、なかでもポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂が特に適しており、中でもポリフェニレンエーテル樹脂が特に好ましい。
【0017】
さらに、ポリフェニレンエーテル樹脂について以下に詳細を述べる。
ポリフェニレンエーテル(以下、単にPPEと略記)は、本発明の樹脂組成物において耐熱性(荷重撓み温度:DTUL)、および難燃性を付与するうえで重要な成分の一つであり、該PPEは、結合単位(式1):
【0018】
【化1】


(ここで、R1,R2,R3,およびR4はそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい)からなり、還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)が、0.15〜2.0の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜1.0の範囲にあるホモ重合体および/または共重合体である。
【0019】
このPPEの具体的な例としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0020】
かかるPPEの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号、特公昭52−17880号公報および特開昭50−51197号公報および同63−152628号公報等に記載された方法で容易に製造できる。
【0021】
さらに、本発明の(b)成分として、ポリフェニレンエーテル/スチレン樹脂=30〜99重量%/70〜1重量%のいずれか1つの構成比でスチレン樹脂を添加したものも好適に用いることが出来る。代表的なスチレン樹脂としては、スチレン系化合物の単独重合体、2種以上のスチレン系化合物の共重合体およびそれらスチレン系化合物の重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなるゴム変性スチレン樹脂が挙げられ、これら2種以上の混合物も好適に用いることができる。
【0022】
かかる(b)非晶性熱可塑性樹脂の配合量は、耐熱性、成形流動性、耐溶剤性および耐衝撃性の観点から60〜5重量%である。
つぎに本発明の(c)成分は、(a)成分のPPSと(b)成分のガラス転移温度が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を混合する際の混和剤として作用し、本発明の樹脂組成物に優れた機械的物性を与える効果を奏するものである。
かかる(c)成分としては、エポキシ基及び/又はオキサゾリル基を有する不飽和モノマーと残量がスチレンを主たる成分とするモノマーとを共重合してなる共重合体であり、ここで言うスチレンを主たる成分とするモノマーとは、スチレンモノマーと共重合可能な他のモノマーであれば何ら問題なく使用でき、その割合が少なくともスチレンモノマーを65重量%以上含むことを意味するものである。
【0023】
具体的には、エポキシ基および/またはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーとスチレンモノマーの共重合体、エポキシ基および/またはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーとスチレン/アクリロニトリル=90〜75重量%/10〜25重量%の共重合体が挙げられる。
【0024】
上記のエポキシ基含有不飽和モノマーとしては、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、グリシジルイタコネート等が挙げられ、中でもグリシジルメタアクリレートが好ましい。また、オキサゾリル基含有不飽和モノマーとしては、ビニルオキサゾリン化合物があり、その中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手でき好ましく使用できる。
【0025】
これら、エポキシ基および/またはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーと共重合する他の不飽和モノマーとしては、スチレン等のビニル芳香族化合物、アクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、かかるスチレンモノマーを少なくとも65重量%以上含むことが必須である。
また、相溶化効果、機械的物性の観点から エポキシ基および/またはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーは、(c)成分の共重合体中に0.3〜20重量%、好ましくは、1〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。
【0026】
これら共重合可能な不飽和モノマーを共重合して得られる(c)成分の共重合体の例として、例えば、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルオキサゾリン共重合体、スチレン−ビニルオキサゾリン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
【0027】
この(c)成分の配合量は、混和剤としての効果および未溶融物発生、成形品の耐衝撃性、成形流動性の観点から(a)成分、(b)成分100重量部に対して1〜20重量部である。
つぎに本発明で(d)成分として用いる平均繊維径20μm以下の繊維状無機フィラーとは、繊維状であれば公知の無機フィラーを用いることが出来る。
具体的な繊維状無機フィラーとしては、ガラス繊維(ガラス長繊維、チョップドストランドガラス繊維)、アルミナ繊維、セラミック繊維、石膏繊維、ワラストナイト、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、珪酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。なかでも平均繊維径が20μm以下のガラス繊維が好ましく、さらに平均繊維径が4〜10μmであるガラス繊維が最も好ましい。
これらの無機フィラーはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪族金属塩等の表面処理剤で処理した物や、インターカレーション法によりアンモニウム塩等による有機化処理した物や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂をバインダーとして処理した物でも構わない。
【0028】
上記の(d)成分の配合量は、電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキを小さくすること、耐衝撃性および機械的物性の観点から(a)成分、(b)成分100重量部に対し5〜100重量部、好ましくは、10〜80重量部の範囲より選ばれることが好ましい。
さらに、本発明の(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛とは、その平均粒径が30μm以下の鱗片状黒鉛であり、本発明の樹脂組成物に電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキを小さくする効果を奏するものである。
かかる特徴を有する(d)成分の黒鉛は、固定炭素が90%以上の人造黒鉛、天然黒鉛のいずれかであり、その形状は鱗状、鱗片状である。その粒径はJISM8511の「天然黒鉛の工業分析及び試験法」に準拠した篩分析法により、平均粒径30μm以下である必要がある。かかる平均粒径を30μm以下にすることで、得られた樹脂組成物およびその成型品の電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキを小さくすることができる。
【0029】
さらに、2種以上の鱗片状黒鉛の組み合わせにおいて、
1.最大の平均粒径を有する鱗片状黒鉛の平均粒径が15〜25μmであり、さらに最小の平均粒径を有する鱗片状黒鉛の平均粒径が3〜10μmとする。
2.平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、最大の平均板径を有する鱗片状黒鉛の平均板径/最小の平均板径を有する鱗片状黒鉛の平均板径の比が3〜10とする。
3.平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、最大の平均板径を有する鱗片状黒鉛の配合量/最小の平均板径を有する鱗片状黒鉛の配合量の比が0.14〜0.75とする。
ことで、最も電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキが小さい樹脂組成物およびその成型品となり得る。
これら本発明で用いる特定粒子に制御された黒鉛は、通常、天然黒鉛、人造黒鉛を機械的粉砕方法、例えば、グレンミル、ビクトリーミル、スタンプミル、ボールミル、ジェットミル、高速回転ミル等の粉砕機を用いて得ることができる。これらの方法で得られた黒鉛は、さらに樹脂への分散効果を高めるために、黒鉛表面をシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪族金属塩等の表面処理剤で処理した物や、インターカレーション法によりアンモニウム塩等による有機化処理した物や、さらにウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂をバインダーとして処理した物でも構わない。
この(e)成分の黒鉛の配合量は、上記した(a)〜(b)成分で構成される樹脂組成物100重量部に対して、3〜110重量部、より好ましくは、8〜60重量部である。かかる配合量が3重量部以上であれば、得られる樹脂組成物に導電性(帯電防止性:電気抵抗値10E+11Ω以下)を付与でき、配合量が110重量部以下においては導電性(電気抵抗値10E+03Ω以上)を付与することができる。この配合量を3〜110重量部とすることにより、所望の電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキが小さい樹脂組成物およびその成型品を得ることができる。
【0030】
本発明では、上記の成分の他に本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて他の付加的成分、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、縮合有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、造核剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ポリアクリロニトリル繊維、アラミド繊維等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0031】
本発明の樹脂組成物の製造法は、種々の溶融混機を用いて製造することができ、これらの方法を行う溶融混練機として例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズなどが挙げられる。
【0032】
押出機を用いた本発明の好ましい態様を以下に述べる。押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は20以上60以下の範囲であり、好ましくは30以上50以下の範囲である。押出機は原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2〜第4原料供給口を設け、さらにその下流に第2真空ベントを設けたものが好ましい。なかでも、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口の間にニーディングセクションを設け、また第2〜第4原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。第2〜第4原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものでは無いが、押出機第2〜第4原料供給口開放口よりの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方が安定で好ましい。特に、本発明の樹脂組成物のように粉体、フィラー等が多く含まれる場合は、押出機サイドから供給する強制サイドフィーダーの方がより好ましく、強制サイドフィーダーを第2〜第4原料供給口に設け、これら粉体、フィラー等を分割して供給するのがより好ましい。そして、押出機第2〜第4原料供給口の上部開放口は同搬する空気を抜くため開放とすることもできる。この際の溶融混練温度、スクリュー回転数は特に限定されるものではないが、通常溶融混練温度300〜350℃、スクリュー回転数100〜1200rpmの中から任意に選ぶことができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、
1.上記した(a)成分〜(c)成分を第一供給口より供給し、次いで(d)成分および(e)成分を第二供給口より溶融混練状態下に供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法。
2.(a)成分の一部及び(b)〜(c)成分を第一供給口より供給し、次いで(a)成分の残量、(d)成分及び(e)成分を第二供給口より溶融混練状態下に供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法。
3.(a)成分〜(e)成分の全量を第1原料供給口より供給し、溶融混練を行う方法等が挙げられる。
【0034】
特に、上記1及び2の製造方法で得られる樹脂組成物は3の製造方法と比べ、耐熱性、耐衝撃性及び剛性に優れ、さらに電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキに優れた樹脂組成物が得られるため、より好ましい。
【0035】
このような製造方法を取ることにより、得られる樹脂組成物は(a)成分〜(e)成分が各々優れた均一分散形態をとることができ、これらの相溶化剤である(c)成分の配合効果を最も顕著に発現させ、(d)成分の繊維状無機フィラーの溶融混練中の破砕を抑え、さらに(e)成分の黒鉛が樹脂成分中に均一分散し、電気抵抗値および成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキを小さくし、さらに耐熱性、剛性及び耐衝撃性が優れる樹脂組成物を得ることが出来る。
【0036】
このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、従来の導電性付与剤を含むポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物の欠点であった成型品測定箇所による電気抵抗値のバラツキを著しく改善できる。 このため、本発明の樹脂組成物は、広く射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形、圧縮成形により目的に応じた各種部品の成形体として成形できる。
本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、これらの実施例により限定されるものではない。
【0037】
(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂
a1:溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/D=10/1で6分間保持した後測定した値。)が50Pa・sのリニア型PPS。
a2:溶融粘度が60Pa・sの架橋型PPS。
【0038】
(b)ガラス転移温度が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂
b1:2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.40のPPE。
b2:アタクチックポリスチレン。(PSJ社製 商標:ポリスチレン680)
【0039】
(c)成分の相溶化剤
c1:グリシジルメタクリレートを5重量%含有するスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体。(重量平均分子量110,000)
c2:2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを5重量%含有するスチレン−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体。(重量平均分子量146,000)
【0040】
(d)繊維状無機フィラー
d1:平均繊維径13μ、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
d2:平均繊維径6.5μ、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
d3:平均繊維径6.5μ、エポキシシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
【0041】
(e)鱗片状黒鉛
e1:平均粒径3μの鱗片状黒鉛。
e2:平均粒径5μの鱗片状黒鉛。
e3:平均粒径10μの鱗片状黒鉛。
e4:平均粒径20μの鱗片状黒鉛。
e5:平均粒径30μの鱗片状黒鉛。
e6:平均粒径60μの鱗片状黒鉛。
e7:平均粒径130μの鱗片状黒鉛。
e8:平均粒径20μ、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、鱗片状黒鉛。
【0042】
(f)その他成分
f−1:平均繊維径6μ、エポキシシラン系カップリング剤で表面処理した、炭素繊維。
f−2:平均粒径20μの粒子状黒鉛。
f−3:平均粒径18nmであるアセチレンブラック。
f−4:導電性カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製ケッチェンブラックEC600JD)
【実施例】
【0043】
[実施例1〜19および比較例1〜12]
二軸押出機ZSK−40(WERNER&PFLEIDERER社製)を用い原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流に第2原料供給口および第3原料供給口を設け、さらにその下流に真空ベントを設けた。また、第2供給口および第3原料供給口への原材料供給方法は、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する。上記のように設定した押出機を用い、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂、(c)混和剤、(d)繊維状無機フィラー、(e)黒鉛および(f)その他成分を表1および表2に示した組成で配合し、押出温度300〜320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量80kg/時間の条件にて溶融混練しペレットとして得た。
【0044】
このペレットを用いて310℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度130℃の条件で150mm角×厚み3mmの平板試験片およびASTM−1号試験片金型を用いて曲げ試験用テストピース、アイゾット衝撃試験用テストピースおよび荷重撓み温度測定用テストピースを射出成形した。
【0045】
また、ASTM−1号引張試験片テストピース金型を用い、ショートショット圧力(ゲージ圧)を測定し、成形流動性の評価とした。
【0046】
つぎに、平板試験片を用い、下記の方法で電気抵抗値を測定した。
【0047】
超絶縁計(SM8213:東亜ディーケーケー製)と陰電極と陽電極の2本のコンタクトプローブ電極を接続し、電圧100V、時間7秒の条件下で、平板試験片表面上のプローブ間抵抗値を測定した。測定電極端子を接触させる部分には導電性のペースト等は塗布しない。コンタクトプローブ電極は、コンタクトプローブ(NP84、先端形状パターンA:(株)ミスミ製)をリセプタクル(NR84:(株)ミスミ製)に接続したものを用い、陰電極と陽電極は中心から中心までの距離を10mmとした。測定箇所は、平板試験片の図−1に示す3カ所について射出成形時にゲートからの樹脂の流動方向及びその垂直方向を測定し、5枚の平板試験片を測定した。 帯電防止性能の安定性は、これら30点(3箇所×2方向×5枚)の測定値の最大値と最小値の乗数の幅で判定した。
さらに、それぞれのテストピースで曲げ試験用テスト(ASTM D−790に準拠:測定温度23℃)、アイゾット(厚み1/8、ノッチ付き)衝撃強度(ASTM D−256に準拠:測定温度23℃)および荷重撓み温度(ASTM D−648:1.82MPa荷重)を測定した。これらの結果を成形流動性、電気抵抗値の評価と併せて表1および表2に載せた。
【0048】
表1および表2より、本発明の樹脂組成物は導電レベルから帯電防止レベルまでの安定した電気抵抗値及び優れた物性バランスを有する樹脂組成物が得られるが、本発明の組成の範囲外である場合、安定した電気抵抗値及び優れた物性バランスを有する樹脂組成物が得られないことが明らかになった。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の樹脂組成物は、例えばコンピューター、コンパクト・ディスク・リードオンリーメモリ(CDROM)、コンパクト・ディスク・レコーダブル(CDR)、コンパクト・ディスク・リライタブル(CDRW)、デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル・−R規格(DVD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル・+R規格(DVD+RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク・リードオンリーメモリ(DVDROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク・ランダムアクセスメモリ(DVDRAM)、デジタル・バーサタイル・ディスク・レコーダブル・−R規格(DVD−R)、デジタル・バーサタイル・ディスク・レコーダブル・+R規格(DVD+R)等のシャーシーやキャビネット、光ピックアップスライドベース等の光学機器機構部品、光源ランプ周り部品、金属フィルム積層基板用シートまたはフィルム、ハードディスク内部部品、光ファイバ用コネクタフェルール、レーザービームプリンター内部部品、インクジェットプリンター内部部品、コピー機内部部品、テレビ、ビデオ、冷蔵庫、工業用部品用途では各種ポンプケーシング等、自動車ラジエタータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品や自動車ランプ部品、さらに自動車、電気自動車およびハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品の成形品の少なくとも1つの部品として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例で測定された電気抵抗値の測定箇所の説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂40〜95重量%、
(b)ガラス転移温度が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂60〜5重量%、
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(c)エポキシ基およびまたはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーを0.3〜20重量%の割合でスチレンを主たる成分とするモノマーと共重合してなる共重合体1〜20重量部、
さらに、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(d)平均繊維径20μm以下の繊維状無機フィラーを5〜100重量部、
そしてさらに、(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛を3〜110重量部添加してなる樹脂組成物。
【請求項2】
(b)成分がポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(b)成分がポリフェニレンエーテル100重量%またはポリフェニレンエーテル/スチレン系樹脂=30〜99重量%/70〜1重量%のいずれか1つの構成比である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(d)繊維状無機フィラーがガラス繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(d)繊維状無機フィラーが平均繊維径4〜10μmのガラス繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(d)繊維状無機フィラーの添加量が、10〜80重量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、(e−1)最大の平均板径が15〜25μmの鱗片状黒鉛及び、(e−2)最小の平均板径が3〜10μmの鱗片状黒鉛で構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、(e−1)最大の平均板径を有する鱗片状黒鉛/(e−2)最小の平均板径を有する鱗片状黒鉛の平均板径の比が3〜10である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(e)平均板径30μm以下の平均板径の異なる2種以上の鱗片状黒鉛が、(e−1)最大の平均板径を有する鱗片状黒鉛の配合量/(e−2)最小の平均板径を有する鱗片状黒鉛の配合量の比が0.14〜0.75である請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、(e)鱗片状黒鉛の添加量が、8〜60重量部である請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
(a)〜(c)成分の全量を(a)成分の融点以上で溶融混練し、次いで(d)成分および(e)成分を供給し、さらに(a)成分の融点以上で溶融混練を続けて行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物にて成形された樹脂製構造部品。

【図1】
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【公開番号】特開2008−7663(P2008−7663A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180607(P2006−180607)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】