説明

樹脂結合吸着剤

【課題】強化された機械的特性を有し、高レベルの吸着特性を備えた改良型多機能性樹脂成形組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種の流体から保護する必要のある第2物品との組み合わせで前記少なくとも1種の流体用の樹脂結合吸着剤材料を含む物品であって、前記樹脂結合吸着剤材料が樹脂と前記少なくとも1種の流体用の吸着剤との混合物を含み、かつ前記少なくとも1種の流体は前記第2物品に対して破壊的であり、前記樹脂の全ては均質な樹脂である。前記樹脂が熱可塑性樹脂であり、かつ前記吸着剤がモレキュラーシーブ、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性炭、活性アルミナ、粘土、微粒子状金属、CO2放出陰イオンを含む塩、及びこれらの組み合わせからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、吸着剤によって保護される物品、並びにより詳細には、樹脂基剤中に添加剤を吸着させることを含む改良型射出成形組成物及びそれから製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂マトリクスへの吸着剤、例えば乾燥剤の組み込みが、さまざまな状況において明らかにされている。これらの樹脂のさまざまな方法による構造的又は機能的形状への形成が、一部の出願書類に記載されている。同様に、構造的成形樹脂に増量剤が添加されている。成形品の目的とする最終用途のために十分な強度を維持しながら、樹脂を増量し、コストを削減する目的で、コストの安いミネラル又は他の増量剤が樹脂含有組成物に添加されている。例えば硬度、引張変位などの成形樹脂の機械的特性を強化するために、ガラス繊維又はビーズなどの強化材を加えることも珍しいことではない。増量剤と同様に強化添加剤にも、申し分のない射出成形及び機械的特性を維持しながら所望の樹脂伸展効果又は成形品強化効果が実現される範囲があることがわかっている。
【0003】
それでもやはり、多くの最終用途に関して、強化添加剤を含む成形組成物は完全に満足のいくものではなかった。例えば、ガラス繊維及びガラスビーズなどの強化添加剤の添加レベルの比較的高い成形組成物は、最適な吸着性能のためにかかる成形組成物に導入される可能性のある吸着添加剤の添加率を制限するという影響を及ぼす。しかしながら、強化添加剤の添加量の対応する減少、及び吸着添加剤の添加量の増加により、硬度、引張強度及び他の機械的特性などの望ましい機械的特性が低下する可能性もあった。
【0004】
それゆえ、樹脂/吸着剤マトリクスの存在は、いくつかの難点に苦しむ。該材料はしばしば脆く、標準的な落下試験に耐えるには不十分である。さらに、微粒子上の材料はマトリクスから放出され、それによって部品性能及び/又は装置機能性を低下させる可能性がある。これらのマトリクス構造のために、水がより早い速度で吸着又は吸収され得、これは実際に一般的製造法にとって早すぎる可能性がある。言い換えると、環境条件は製造区域で制御されていないので、水を吸着する部品の能力は、装置への樹脂/吸着剤マトリクスの組み立てに先立ち使い果たされる可能性がある。外来樹脂の使用、追加的処理工程、及び界面を有する複数の樹脂材料の使用のために、樹脂/吸着剤マトリクスが存在することはしばしば製造及び使用にとって非常に高価である。さらに、結合剤として通常使用される材料のために、樹脂/吸着剤マトリクスが存在することは、互換性の問題をもたらす可能性がある。
従って、組成物及び製品が、樹脂の望ましい機械的特性を相殺することなく吸着添加剤の高い添加レベルを保持している改良型樹脂成形組成物、より詳細には、射出成形組成物及びそれから製造される製品が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の概要)
従って、本発明の主な目的は、強化された機械的特性を有し、高レベルの吸着特性を備えた改良型多機能性樹脂成形組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも1種の流体からの保護を必要とする第2物品との組み合わせで少なくとも1種の流体用樹脂結合吸着剤を含む物品を広範に含み、該樹脂結合吸着剤材料は樹脂と少なくとも1種の流体用吸着剤との混合物を含み、かつ該少なくとも1種の流体は該第2物品に対して破壊的であり、前記樹脂の全ては均質な樹脂である。樹脂は熱可塑性であってよく、かつ吸着剤はモレキュラーシーブ、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性炭、活性アルミナ、粘土、微粒子状金属、CO2放出陰イオンを含む塩、及びこれらの混合物からなる群から選択可能である。あるいは、吸着剤材料はゼオライトであってよい。少なくとも1種の流体は、腐食液、有機液、無機液、VI族液、及びVII族液からなる群から選択可能である。
【0007】
一実施態様において、吸着剤はモレキュラーシーブであり、かつ樹脂はポリアミド、ポリオレフィン、スチレン重合体、ポリエステル、及びこれらの均質混合物からなる群から選択される。別の実施態様において、樹脂はエチレン含有又はプロピレン含有同種重合体若しくは共重合体である。樹脂結合吸着剤材料は、カップリング剤又は相溶化剤の補助を受けて形成されてよく、該カップリング剤又は相溶化剤は化学的に該樹脂に適合性であり、かつ該吸着剤との接着又はカップリングを改善させ、各々の完全に樹脂によって囲まれるように個々の吸着剤粒子を均一に分散させる目的を有する。一実施態様において、カップリング剤又は相溶化剤は、反応剤及び非反応剤からなる群から選択される。さらなる実施態様において、相溶化剤は、アクリレート、ステアリン酸塩、ブロック共重合体、マレイン酸塩、エポキシ、シラン、チタン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施態様において、樹脂結合吸着剤材料は、約5パーセント(5%)〜約55パーセント(55%)の吸着剤、及び約45パーセント(45%)〜約95パーセント(95%)の樹脂を含む。別の実施態様において、樹脂結合吸着剤材料は、約25パーセント(25%)〜約55パーセント(55%)の吸着剤、及び約45パーセント(45%)〜約75パーセント(75%)の樹脂を含む。さらに別の実施態様において、樹脂結合吸着剤材料は、約35パーセント(35%)〜約42パーセント(42%)の吸着剤、及び約58パーセント(58%)〜約65パーセント(65%)の樹脂を含む。
【0008】
本発明の別の実施態様において、吸着剤は、圧縮、焼結又は成形によって形成された微粒子状吸着剤を含み、かつ前記吸着剤は前記樹脂の少なくとも一部のオーバーモールドをさらに含む。物品は、前記第2物品内に埋め込むための手段、又は第2物品に付着させるための手段をさらに含んでよい。該埋め込み用又は連結用の手段は、少なくとも1つのタブを含んでよいと同時に、該成形は熱及び/又は圧力の使用を含んでよい。さらに別の実施態様において、本発明は導電性材料を含んでよく、さらに別の実施態様において樹脂結合吸着剤材料は単一の樹脂を含む。
【0009】
さらに本発明は少なくとも1種の流体の樹脂結合吸着剤材料を含む物品に関し、該樹脂結合吸着剤材料は樹脂と少なくとも1種の流体の吸着剤との混合物を含み、該樹脂結合吸着剤材料は高密度ポリビニリデンクロライドを通る水蒸気透過性よりも大きく、かつ水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースを通る水蒸気透過性未満の蒸気透過性を有する。
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1種の流体が第1物品を損傷することから該第1物品を保護するための方法を含み、該方法は:i)樹脂と少なくとも1種の流体の吸着剤との混合物を含む樹脂結合吸着剤材料を形成する工程;ii)該樹脂結合吸着剤材料から第2物品を形成する工程;及び、iii)該第2物品を該第1物品に組み込む工程;を含む。
【0010】
本明細書に開示するように、樹脂結合吸着剤組成物から全体的に又は部分的に製造された製品を提供することは、本発明のさらなる主たる目的である。本発明の物品は、レンズ、回路基盤、筐体、ケース、フレーム、支持構造物、マウント構造、保持構造、シール材料、固相表面実装デバイス、電子チップパッケージング、電気通信末端、電子通信スイッチ、データ記憶デバイス、電子デバイス、電子-光学デバイス、スコープ、センサー、トランスミッター、アンテナ、レーダーユニット、光電池デバイス、ラジオ周波数同定デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体筐体、撮像デバイス、照準デバイス、携帯電話、目標捕捉及び誘導センサー、埋め込み可能な電子医療デバイス、付着型電子医療デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動検出回路、自動制御回路、ブレーキ制御システム、有害化学物質センサー、有害化学物質制御、計器、電子ディスプレイ、パソコン、プログラム可能な論理演算装置、医療診断装置、光センサー、運動センサー、熱センサー、セキュリティカメラ、柔軟な電子デバイス、照明器具、海洋計器、海洋光、外部航空機検出デバイス、外部航空機監視デバイス、外部航空機計測デバイス、動力工具検出デバイス、動力工具照準デバイス、動力工具計測デバイス、レーザー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0011】
本発明の目的に関して、明細書及び特許請求の範囲の「樹脂結合吸着剤」という表現は、樹脂の結晶性の消失により吸着剤と樹脂との間に生じる表面親和性を意味することを意図し、それによって表面張力が低下するために吸着剤は湿潤し、樹脂と混和可能となる。「樹脂結合吸着剤」という表現は、例えば吸着剤と樹脂との加熱を介して生じ得る、又は以下に詳細に議論される好適な、品質の良いカップリング剤、界面活性剤もしくは相溶化剤を介して結合し得る、樹脂と吸着剤の間の結合を包含することを意図する。さらに、樹脂/吸着剤材料の混合物中に使用されるような用語「樹脂」はマトリクス中の樹脂を意味し、ここで「吸着剤」は、それ自体が高分子材料又は樹脂性材料であり得る混入物質を実際に吸着又は吸収する材料を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
一般的当業者に理解されるように、用語「流体」は、分子が互いをこえて制限なくかつ面形成を壊すことなく流れることができる物質の集合体として定義される。「流体」は、例えば流体、気体及び蒸気を表現するために使用できる。さらに、本明細書で使用するCO2を放出する陰イオンの塩とは、炭酸、例えば炭酸塩及び炭酸水素塩よりも強い酸に接触するとCO2蒸気を放出する全ての塩をいう。高密度のポリビニリデンクロライドを通る水蒸気の透過性は本明細書において不透過性として定義し、一方で水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースを通る水蒸気の透過性は本明細書において実質的に透過性として定義する。本明細書に使用する水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースは、15パーセント(15%)までの水膨潤性とさせるが水溶解性をもたらすには不十分なヒドロキシ置換を有するセルロースを意味することを意図する。本明細書において使用する「蒸気透過性」とは先に記載したような透過率をいい、高密度のポリビニリデンクロライド又は水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースを通る、水以外の全ての蒸気又は気体の実際の透過性とは無関係である。用語「透過性」又は「不透過性」が本明細書において使用される場合、材料中の孔又は分子レベルのいずれかを通る材料を通る流体の移動をいうことが意図される。
【0013】
コストと生産性の理由から、該吸着特性が保存され、かつ該樹脂の成形特性が機械的特性を損なうことなく維持されるような方法で、吸着剤を樹脂、特に射出成形に好適な樹脂中に混和することが望ましい。驚くべきことに、本発明の新規成形組成物及びそれを用いて製造された部品は、従来の強化添加剤を必要とせずに、構造的、機械的及び吸着能力を有益的に兼ね備えた多機能性を有する。その結果として、強化添加剤を加えない本発明の新規成形組成物は、従来の吸着剤含有成形組成物よりも吸着剤添加率をより高くできることによる、より高い水分吸着能力によってさらに特徴づけられる。
【0014】
思いがけなくも、本発明の一部として、「樹脂結合吸着剤」成形組成物の吸着剤は、本発明の成形組成物を強化するという有益な効果を有すると同時に、ガラスビーズ、ガラス繊維といったものなどの従来の慣習的な補強添加剤を必要としないが水分吸着能力を保持することが発見された。このことは、該成形組成物の機械的特性を大幅に変えるという条件で起こる相殺なしに、該成形組成物の吸着特性を最大化するために吸着剤添加剤の添加率をより高くすることを可能にする。
【0015】
本発明は主として、吸着添加剤を含む成形樹脂の機械的特性が、具体的に言えばガラスビーズ及びガラス繊維などの強化添加剤の従来的必要性を排除できるという発見に関するものであると同時に、本発明は、水分吸着性-機械的特性を高める量の吸着剤を強化添加剤及び樹脂と組み合わせて含む多機能性吸着剤-樹脂成形組成物も意図し、該組成物において、機械的特性を強化するために通常必要とされるよりも少ない量の強化添加剤を使用することができる。すなわち、本発明は、乾燥剤含有成形組成物ではあるが、ガラス繊維及びガラスビースなどの強度を高める添加剤の量が減量されている乾燥剤含有成形組成物も提供する。これは、該成形品の強度特性を損なう可能性なく、該成形組成物の機械的特性を高めるであろう。より具体的には、吸着剤、強化添加剤及び樹脂の比例範囲は、吸着剤が約5〜約50重量%、強化添加剤が約0〜約15重量%、及び樹脂が約45〜約95重量%であり得る。さらに、その中に発泡剤を取り込み有している樹脂/吸着剤マトリクスは構造的完全性を維持すると同時に約30%にまで材料密度が減少していることが見出されている。
【0016】
本発明の一部として、限定範囲内で、該樹脂は、最新の高速射出成形加工を含むいくつかの技術により、さまざまな密封システム及びアセンブリ用部品を含む完全に機能的な構成部品へと加工し、形成することができることも見出されている。これらの後願では、例えば加水分解又は腐食といった水分による劣化からシステムもしくはアセンブリの繊細な材料あるいは構成部品を保護するために環境湿度及び吸気水分が吸着されることに加えて、本発明概念の構造的及び機能的特性が提供されている。
【0017】
上記に従って、本発明は、改良型機械的特性、申し分のない溶融物の取り扱い特性、及び十分な水分吸着特性を備えた、射出成形に好適な強化型構造樹脂組成物を含む。大部分の熱可塑性樹脂は、本発明の樹脂結合吸着剤組成物の使用に好適であり、かつホモ重合体及び2以上の単量体を含む共重合体を包含する。代表的な例には、ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン610などのポリアミド類が含まれる。他の代表例には、いくつか名前を挙げると:高密度及び低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニルの共重合体;ポリスチレン;ポリエステル、例えばPET;が含まれる。
【0018】
先に記載したように、本発明の一態様によれば、本発明の組成物は、約5〜約55重量%の吸着剤及びそれに平衡する量の樹脂、さらに特定すると、約25〜約45重量%の吸着剤及びそれに平衡する量の樹脂を含んでよい。さらに好ましい組成物は、約35〜約42重量%のモレキュラーシーブなどの吸着剤及びそれに平衡する量の樹脂を含んでよい。最も好ましい樹脂結合吸着剤組成物は、W. R. Grace 4A モレキュラーシーブ粉末などのモレキュラーシーブが40%配合され、E.I.duPont社から市販されているZytel(登録商標)101などの約60%のナイロン成形樹脂を含んでよい。本発明のモレキュラーシーブは、基準細孔径が4Åであり、かつ粒子径は約0.4〜約32μの範囲であり得る。しかしながら例えば3Å、5Å、又は10Åといった他の細孔径のモレキュラーシーブも同様に用いることができることには注意すべきである。
【0019】
一般に、本発明において有用でかつ機能的な吸着剤は、先に記載したように、モレキュラーシーブなどの特別な添加剤を用いずに機械的に樹脂に結合するものである。さらに他の吸着剤も、本発明によれば、好適な添加剤の使用を介して、すなわちカップリング剤又は相溶化剤を援用して、樹脂に結合させるために導入可能である。モレキュラーシーブに加えて、本発明の組成物において有用な他の代表的吸着剤には、シリカゲル、活性炭、活性アルミナ、粘土、他の天然ゼオライト類、及びそれらの組み合わせが含まれる。カップリング剤又は相溶化剤と共に機能することが見出されている吸着剤には、活性炭及び活性アルミナなどのメンバーが含まれる。
【0020】
相溶化剤として働く添加剤は、2つのカテゴリー、すなわち樹脂又は吸着剤と結合するもの、及び樹脂と吸着剤両方に若干の親和性を有し、かつ固体状態の界面活性剤として働くもののいずれかのカテゴリーに属する。反応性カップリング剤のそのような種類には、マレイン酸エステル、エポキシ及びシランが含まれる。より具体的には、反応性カップリング剤の代表的な例には、約2〜約5重量%の範囲の量で用いられる無水マレイン酸グラフト重合体が含まれる。特にそれらは、ポリプロピレン又はABS樹脂にグラフトされた無水マレイン酸のような代表的な例を含み得、後者はスチレン重合体とのカップリング剤として有用である。同様に、さまざまな官能基を付加されたシランも使用してよい。
【0021】
本発明は、吸着剤と樹脂との結合における、いわゆる非反応性型相溶化剤の使用も意図する。この代表的な例には、例えば吸着剤に対して約0.01〜約0.02重量%の範囲の金属(例えば、亜鉛又はナトリウム)、アクリレート、ステアリン酸塩及びブロック共重合体、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウムが含まれる。実際のレベルは表面積によって決定され、これは同様に粒子径に比例する。平均粒子径10μのモレキュラーシーブに対して、100ppmのステアリン酸アルミニウムが、ポリアミド樹脂との相溶化の典型的な開始濃度であろう。反応性及び非反応性のカップリング剤/相溶化剤の両方を用いて、樹脂マトリクスへのそれらの混和は界面を作り出さない。
【0022】
該樹脂結合吸着剤組成物は、普通の熟練当業者に一般的によく知られているプラスチック配合技術を使用して、本発明に従い製造することができる。好ましい吸着剤であるモレキュラーシーブは、粉末状の該吸着剤を選択された樹脂ビーズと共に、優れた混合特性を有するプラスチック押出成型機に注入することにより、例えばポリアミド、ポリオレフィン、又は同様の樹脂中に混和してよい。1軸スクリュー押出成型機を使用して樹脂及び吸着剤を混合してよいが、樹脂と吸着剤との混合物は一般的に、適切な樹脂結合吸着剤材料を製造するために2倍の混合を必要とする。2倍の混合の後でさえ、相分離がしばしば起こる。吸着剤のほぼ完全な分散を達成し、本発明の目的である優れた機械的及び物理的特性を作り上げるために、大規模な逆混合を備えた2軸スクリュー押出成型機で混合された樹脂結合吸着剤材料が必要であることが見出されている。換言すると、2軸スクリュー押出成型機を介して形成された樹脂結合吸着剤材料は樹脂マトリクス内での吸着剤の移動がほとんどないか又は全くなく、それゆえこれらの樹脂結合吸着剤材料は均質的な外観を維持することが示される。したがって、典型的には2軸スクリュー押出成型機を使用して、樹脂が溶融され、吸着剤が完全に混合されるにつれて、本発明の樹脂結合吸着剤材料が形成される。溶融混合物がDSC(示差走査熱量測定法)により決定される樹脂の融点を超えて加熱されることが必要条件である。つまり、本発明の樹脂結合吸着剤の製造において、該樹脂溶融物中の吸着剤の完全な混和を達成するために、全ての結晶性が完全に消失するポイントまで温度を上げる必要がある。例えば、DuPont社製のZytel(登録商標)101ポリアミド樹脂は、262℃を超えて加熱されるであろう。該押出成型樹脂は冷却され、次にペレット又は顆粒に切断されるか押しつぶされる。混合が高温で行われるために、吸着剤はこの処理時間中は水分を吸着しない傾向にあるが、構成部品へと成形され、作業環境に設置された場合にも、その吸着能力を保持している。
【0023】
該樹脂及び吸着剤が密接に結合している本発明の樹脂結合吸着剤システムにより実現されるさらにもうひとつの利点は、グラムあたりにすると、袋に入れた吸着剤を使用する吸着剤システム、すなわち単位体積あたりの吸着剤能力よりもより効果的であることである。吸着剤を詰めるために袋が用いられていた従来の方法によれば、例えば冷媒の流れに入るのを防ぐために、吸着剤を数珠つなぎにする必要があった。これには一般に15重量%の粉末の形態などの結合剤樹脂中で該吸着剤を接着させる必要があった。従って、40グラムの市販の吸着剤を袋に入れた場合、実際には、34グラムの吸着剤のみが該システムに導入されていた(6グラムのバインダーと共に)。対照的に、本発明の樹脂結合吸着剤では、吸着剤は構成部品が製造される成形樹脂中に直接配合されているために、追加の結合剤樹脂を必要としない。有利にも、本発明を用いると、中間の結合剤樹脂は必要なく、従来の袋に入れた吸着剤により達成されるよりも吸着剤添加率をより高めることが可能となる。
【0024】
次に先に記載した本発明の配合樹脂混合物はシート又はフィルムへと押し出されるか、若しくは部品形態で射出成形される。典型的な構成部品は、自動車空調システムの受液器で使用されているような冷媒蒸気液体分離装置である。ケイ酸塩で強化された樹脂の強度は、結果として構造的にしっかりとした成形構成部品をもたらす。そのようなものとして、該部品は自立し、現在取り付けられている金属又はプラスチック製の冷却構成部品と同様に、取り付けに適している。例えば、U字型アセンブリ100のそれぞれ端面図及び部分側断面図を示す図1及び2を参照されたい。本発明の樹脂結合吸着剤を材料とするライナー又はスリーブ110を形成するために本発明の組成物を使用するこの実施態様は、アキュムレータキャニスタ130の中にU字型チューブ120を包含している。このデザインはライナー110の露出された内表面を乾燥させる手段をもたらす。この実施態様は、先行技術の「バッフル」型アキュムレータ(図示せず)に代わるものである。
【0025】
あるいは、本発明に従って形成された樹脂は、溶融されて機能的吸着剤構成部品へと射出成形される代わりに、破砕されるか、そうでなければ断片状に成形又はペレット化した後にフロースルー型一体構造、又は例えばハードドライブ用の電子濾過のようなフロースルー型乾燥機の構成部品などに焼結された部品であってよい。この場合、該部品は射出成形されるのではなく、配合吸着剤添加樹脂から、受液器乾燥機アセンブリにおける用途などの目的とする用途のために十分な多孔性を有する機能的部品へと成形される。
【0026】
本発明の樹脂結合吸着剤から製造された部品は、先行技術の複数の構成部品を置換することに特によく適している。例えば、従来、冷却装置のさまざまな部品中に乾燥剤(これは容器に入っていない)を取り付けて固定するために、多くの特殊な構造物が開発されてきた。ビーズ状又は顆粒状のモレキュラーシーブ又は酸化アルミニウムを入れた、溶接又は縫製された袋が、流路内部に配置され得る。さらに、また具体的に言えば、据付の冷却用途に関しては、乾燥ブロック又は部分フィルターとしての機能を果たし得る硬い成形物を製造するために、ビーズ状又は顆粒状の乾燥剤は、加熱された金型中で好適な熱硬化樹脂又はセラミックバインダーと共に接着された。そのような構造物は、筐体内に組み込まれる。しかしながら、これらの解決策は、複雑な複数の部品を必要とした。本発明は、しかしながら、一体型の装置が両方の機能を同時に兼ね備えるように、乾燥剤の性能と部品の構造的用途とを一緒にする。
【0027】
例えば、本発明は、より多くの数の自動車への用途が見出され始めている、一体型受液器/脱水器/凝縮器のための使用が意図されている。そのような可動式の冷凍サイクル構成部品は、多くの理由から、基本的には乾燥機能と凝縮器を一体化させている。これはシステム構成部品の数を少なくするためにボンネット下の空間の有効利用を可能にし、また同時に接続金具及び連結部の数を少なくしてシステムの漏液の可能性を最小限に抑える。また、冷却効率に関して多少の性能向上ももたらす。現在の技術を、Oリング305及び306を有するアルミニウムネジ込みプラグ300、射出成形フィルター310、並びに乾燥剤袋320を示す図3と図4に図解している。このシステムを、図5に示されるような一体射出成形プラグ/フィルターアセンブリに交換することにより、Oリング510を備えた一体プラグ500が利用可能である。そのような場合、図6で示されるように、プラグ500を乾燥剤袋600と組み合わせることができる。図7は、組み立てられた装置の部分断面図を示す。
【0028】
より具体的には、図7は凝縮器710に隣接して配置された装置700を示す。装置700は受液器乾燥管730の中に配置された乾燥剤袋720を備えている。装置700の端は、一体型ネジ込みプラグ及びフィルター750を格納するフィルター管740である。Oリング705も示されている。乾燥剤袋720は、一体型ネジ込みプラグ及びフィルター750に、インターフェース760で接続されている。このデザインは個々の組み立て工程をすべて排除し、かつ先に記載したアルミニウムネジ込みプラグと比較して、部分品数のより少ない部品を作り出し得る。
【0029】
本発明を組み込んださらに別の実施態様が図8に示されており、これは自動車空調システムの受液器に使用されているような冷媒蒸気/液体分離装置の可動式冷凍アキュムレータの上部800を図示している。図8からわかるように、アキュムレータ上部800は、その中に埋め込まれているJ字管810を含む。この場合、これらの部分品のひとつ又は両方が、本発明の樹脂結合吸着剤組成物から成形されている。図9は、アキュムレータ上部800の頂部に置かれるキャップ900を図示している。そのようなアキュムレータ装置の好ましい実施態様では、上部800及びキャップ900の両方を射出成形した後に溶接するか、又は場合により半分ずつを射出ブロー成形し得る。該装置を完成させる下部(図示せず)もまた、本発明の樹脂結合吸着剤組成物から成形することができた。
本発明の樹脂結合吸着剤の利点を説明するために、以下の実験を実施した:
【実施例】
【0030】
(実施例1)
樹脂結合吸着剤の試験試料は、特許請求の範囲に記載されている発明に従って、以下のプロトコルを用いて調製した。樹脂は、ペレット型のものをサプライヤーから入手し(最も一般的なのは円筒形(直径0.03〜0.12インチ×長さ0.06〜0.25インチ(直径0.0762〜0.3048センチメートル×長さ0.1524〜0.635センチメートル))、他の型には涙滴型のものが含まれていた(0.06〜0.19インチ(0.1524〜0.4826センチメートル))。樹脂に対するモレキュラーシーブの比率は、構成部品の重量によって決定される。樹脂をポリ袋中、手で予め混合した(5〜15分)。この予め混合した樹脂を、Brabender単軸押出成型機のホッパーに流し込んだ。該樹脂及びモレキュラーシーブが押出成型機のバレルを通過するにつれて、スクリューからの動作がさらにそれらを混合しかつ溶融する。次に該樹脂結合吸着剤は、溶融材料のストランド一本を形成しながら、押出成型機の末端部から単一ストランド押出型(1つの丸穴)を通って出てくる。ナイロンベースの樹脂は、262℃を超えて加熱した。次に該ストランドを空冷した。該ストランドを細かく砕いた。該砕片を射出成形機のホッパーに入れ、部品を成形した。該部品を細かく砕き、射出成形機に再び導入し、検査のための引張試験片(ドッグボーン型)を射出成形した。上記のように、単軸押出成型機をこの実施例で使用したが、二軸押出成型機も樹脂と吸着剤との混合に使用することができ、そのような変更は特許請求の範囲に記載の発明の精神及び範囲内である。
【0031】
選択された樹脂は、最新の空調システムで使用されている冷媒、具体的にはR-134a及びR-152aに適合性であることが知られているものであった。該樹脂はまた、冷媒流中に同伴される圧縮器潤滑油とも適合性であった。乾燥剤は従来のシステムにおいて最も多く用いられているものと同じもの、すなわち3A又は4Aモレキュラーシーブであった。
比較のために、通常使用される強化ガラスビーズをほぼ同じ添加率で配合した。収縮を制御し、かつ機械的特性を均一に強化するために、重合体溶融物にガラスビーズを添加した。ガラスビーズは、成形後に等方性構造を生じ得るように機械的に樹脂と接着するので、この用途において効果的であった。
【0032】
表Iでは、配合された樹脂の機械的特性が、純粋な重合体及びガラス強化重合体と比較されている。
【表1】

【0033】
樹脂が強化された場合、硬度が増加し、それに伴って、材料がより金属様になるにつれて引張変位及び曲げ変位が急激に減少した。それに応じて、引張及び曲げ係数が著しく増加した。ガラス、並びに吸着剤強化ナイロン(ガラス強化なし)では、引張及び曲げ応力は実質的に維持された。この発見の重要な特徴及び意義は、ガラスにより強化されたナイロンと同様に、該吸着剤により強化されたナイロンの特性は、方向性及び程度の両方において純粋なナイロンとは異なるものであることであった。さらに、熱たわみ温度は上昇した。熱たわみ温度は、熱耐性の尺度である。この用語は当業者に公知である。それは、熱による経時的な変形に耐える材料の能力の指標である。熱たわみ温度の上昇のさらなる意味合いは、該吸着剤強化樹脂から成形された部品の使用温度が高くなることであった。
いずれの方向の引張及び曲げ係数も実質的に同じであるという事実からも明らかなように、吸着剤強化ナイロン樹脂(ガラス強化なし)から成形された構造物は等方性であることもわかった。さらなる証拠として、金型からの収縮は最小限かつ対称的である。
【0034】
(実施例2)
ポリプロピレン、すなわちHuntsmanポリプロピレン6106を含む組成物を使用して、さらなる実験を実施した。この樹脂も圧縮器潤滑油と同様に、冷媒に適合性であった。実施例1のナイロンと同様の方法、すなわち:60%ポリプロピレン樹脂及び40%モレキュラーシーブ4A型の割合で配合した。樹脂を174℃を超えて加熱した。該配合樹脂は、純粋な樹脂と比較して同様の有利な機械的特性を有し、かつ構造的にガラス強化樹脂に近い機能を果たす。その特性は表IIに要約されている。値は、表Iに記載されているものと同じ米国材料試験協会(ASTM)の基準により測定した。
【0035】
【表2】

【0036】
ポリプロピレンを強化した結果、硬度の増加、並びに引張及び曲げ係数の増加がもたらされた。これらの各特性に関して、吸着剤単独は、ガラスビーズ強化よりもさらに大きな強化効果を示した。それに応じて、引張変位及び曲げ変位は、材料がより硬くなるにつれて減少した。重ねて、吸着剤の効果は、ガラスビーズ強化と方向性は同じであったが、それよりも大きかった。引張及び曲げ応力は、吸着剤強化でわずかに減少した。しかしながら、その減少はガラス強化のものがより大きかった。ポリプロピレンを用いての吸着剤による強化は、ガラスビーズによる強化よりも概ね効果的であった。熱たわみ温度は上昇した。ここで再び、熱たわみ温度の上昇のさらなる意味合いは、該吸着剤強化樹脂から成形された部品の使用温度が高くなることであった。
同様に、いずれの方向の引張及び曲げ係数も実質的に同じであるという事実からも明らかなように、吸着剤強化ポリプロピレン樹脂から成形した構造物は等方性であることがわかった。さらなる証拠として、金型からの収縮は最小限かつ対称的である。
【0037】
(実施例3)
表IIIからも分かるように、吸着剤強化ナイロンでは、ナイロンニート(nylon neat)(純粋な重合体)又はガラスビーズ強化ナイロンと比較して、メルトフローが減少した。それにもかかわらず、メルトフローの減少は加工可能な範囲であり、ポリプロピレンよりも高かった。吸着剤強化ポリプロピレンのメルトフローは、ポリプロピレンニート(polypropylene neat)又はガラス強化ポリプロピレンと比較して、向上していた。
【表3】

【0038】
(実施例4)
部品重量の百分率としての水分吸着量は重要である。これは表IVに見ることができる。実際には、モレキュラーシーブはそれ自体の重量の約25%を吸着する。それならば、40%の重合体がそれ自体の重量の10%を吸着すると予想するのは理にかなっている。しかしながらナイロンの場合は、90%の相対湿度(RH)での吸着は13%に達したが、一方で80%のRH環境では10%に近い。これはおそらく、ナイロン自体による若干の水分吸着を加味した、吸着剤の作用の結果もたらされたものであろう。本体が、全体として10%を上回り吸着する事実は、重合体中で分散しているにもかかわらず、該吸着剤が、ナイロンの強化に加えて、吸着剤として十分機能したことを示している。実質的に、該吸着剤による相乗効果があった、すなわち該吸着剤は二役をこなした。表IVは、36〜38%のモレキュラーシーブ添加での吸着の結果を示す。
【0039】
【表4】

ポリプロピレンは疎水性であり、このため水分を吸着するにはより多くの時間がかかる。しかし成形樹脂として十分に機能的であると同時に、吸着剤として十分に機能的である。
【0040】
本発明の追加的用途は非常に多い。そのような用途には、空調又は冷却装置で使用される任意の樹脂結合型構成部品又は構造が含まれ得る。先に記載したように、実施例には、半々に射出成形されるか、溶接されるか、又は場合により射出ブロー成形されたJ字管、スリーブライナー、内部品若しくは内殻構造用のコーティング、共射出成形複合構造物、及びインサート成形されたフィルター-乾燥機アセンブリが含まれる。診断的用途には、試験紙基材、E-transケースのためのケース又は支持体、診断薬のための容器又は容器の構成部品が含まれるであろう。製薬的用途には、ベースもしくはクロージャー、又は容器自体の本体などの錠剤用容器の部品、底面支持体又は調剤補助のための容器首部分の挿入物などの錠剤用容器への挿入物、ブリスター包装又は他のコンパートメント包装から一度にひとつずつ、又は一度に2つずつの用量を投薬するために好適な熱成形シート又は多層構造の熱成形可能なシートの1層が含まれるであろう。薬瓶における使用のための一体型円筒形キャニスタも樹脂結合吸着剤材料から形成してよく、これにより滴下置換を微粒子状の吸着剤材料で充填された中空キャニスタに提供する。電子工学及び電子光学装置の用途には、通気口濾過体一式、暗視センサーユニット用の挿入物、又はリアビューカメラ本体用の挿入物などが含まれる。
【0041】
当然のことではあるが、密閉系及び密封包装用途における、乾燥剤が添加された射出成形可能な樹脂に関しては、多くの他の潜在的用途がある。また、当然のことながら、押出成型は射出成形よりも負担の少ない方法であるために、吸着剤が添加された射出成形樹脂は、棒状又は溝形、若しくは一定の断面を有する任意の他の形状へと押出成型することも可能である。
【0042】
これまで及び以下に記載の樹脂結合吸着剤は、先行技術材料の欠点を克服する。具体的には、本発明はより脆弱であり、例えば該樹脂結合吸着剤から形成された部品は部分的な失敗なく落下実験に合格することができ、該部品はより遅い速度で流体を吸着することによってその耐用期間を延ばし、かつ製造環境の効果を最小化し、該部品はゆっくりと再生することができ、吸着剤特性を構造的特徴と混合することによって、アッセンブリ内の多くの部品は減少する、すなわち1つの部品が2つの目的を果たすようなコスト削減が可能である。本発明の樹脂/吸着剤マトリクスは、従来型樹脂の使用、処理工程の少なさ、及び界面を作り出さない複数の樹脂材料の使用に起因して、製造及び使用のための費用がより安い。さらに、より古い金属筐体を樹脂結合吸着剤筐体に置換することができ、それにより水分又は他の流体の浸入に対して活性な障壁を提供し、先に記載したものよりも、よりさらに大きな柔軟性、低重量、及びコスト節減を提供する。
【0043】
電気的接合部を固定するためのはんだを加熱してリフロー(reflow)させるために回路基盤が加熱される場合、該基盤回路内に吸収される水分のために、該基板は損傷を被り得る。それゆえ、一実施態様において、樹脂結合吸着剤を使用して回路基盤を形成してよい。基盤材料中に混合されている吸着剤を有する回路基盤は乾燥を維持し、はんだのリフローの間の損傷を大幅に減少させるか又はなくす。樹脂結合吸着剤から形成された回路基盤を有する密封された電子デバイスの筐体内において、該密封された筐体内の他の構成部品は、該装置の耐用期間をこえて保護されるであろう。
【0044】
別の実施態様において、樹脂結合吸着剤を使用して、オーバーモールドされた加圧多形を形成させてよい。はじめに、吸着剤は、樹脂結合吸着剤材料を加圧、焼結、又は成形することにより成形される。加圧及び成形は、熱及び/又は圧力で達成され得る。次に、該吸着剤を、少なくとも部分的に該吸着剤を囲む構造保護樹脂でオーバーモールドする。該オーバーモールドは、タブ、又は密封型電子デバイス又はデータ記憶デバイス内に埋め込まれるか又は連結されるのに適した他の機構を含んでよい。先に記載した実施例のように、吸着剤は、保護されるデバイスの耐用期間を損傷又は制限し得る水分若しくは他の流体を吸着させるために選択される、全ての乾燥剤のクラスあるいは揮発性吸着剤のクラスであってよい。この実施態様において、オーバーモールド樹脂は、所望の特性を有する全ての適切な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であり得、そうでなければ保護されている密封電子デバイス又はデータ記憶デバイスに適合性である。
【0045】
さらに別の実施態様において、光学及び電子光学デバイスの構造的構成部品を形成するために、樹脂結合吸着剤を使用してよい。例えば、レンズ、レンズマウント、レンズ保持リング、アパーチャ、筐体などを樹脂結合吸着剤材料から形成し、その後、先に存在している部品を組み込むようにアッセンブリ内に組み込んでよい。それゆえ、この実施態様において、該樹脂結合吸着剤は、典型的にはレンズ又は他の光学表面を曇らせることにより像の質を低下させるアッセンブリ内の凝縮を妨げる。さらに、吸着剤が表示型、例えば特定の含水率より上で色が変化する場合、該当部分の状況は、該部品がまだ吸着可能であるかどうかについて、容易に明らかであろう。表示吸着剤材料を使用する場合、そのような材料を組み込んだデバイスは、ユーザが、例えば該部分の変化をユーザに知らせる必要性のある色変化を見ることのできる窓を含んでよい。
【0046】
さらに別の実施態様において、吸着剤能力を提供すると同時に、単に利用可能な空間を埋める構成要素を形成するために、樹脂結合吸着剤を使用してよい。それゆえ、予め存在するアセンブリ内に吸着剤を含むためのさらなる封入空間は必要でない。例えば、ハードドライブは、通常その筐体内に利用可能なほんのわずかな空間しかないが、該ドライブの寿命の延長に適切な環境を提供するために、吸着剤の能力はそれでも必要とされる。この実施態様に従って、複数の機能的な吸着剤を内部のドライブ構成部品に組み込んでよく、又は上記のように、オーバーモールドされた複数の形態として提供してよい。他の実施態様を用いた場合、吸着剤は、乾燥剤、揮発性有機吸着剤、揮発酸吸着剤又は酸素吸着剤を含んでよい。
【0047】
いくつかの電子デバイスは、非常に過酷な環境、例えば宇宙空間及び航空機での適用に使用できる。電子デバイスは、航空電子工学、並びに飛行機及び宇宙空間での適用において、通信システムに広範に使用される。水分及び他の揮発性物質は、そのようなデバイスの耐用期間に悪影響を及ぼし得る。センサー、トランスミッター、アンテナ、レーダーユニットなどの外部に取り付けられるデバイスは、そのようなデバイスの筐体内の水分の蒸発及び再凝集をもたらす気温変化並びに圧力変化のために、特に水分侵入の危険に曝されている。さらに、内部に埋め込まれたデバイスは、使用条件で変化する温度変化のために損傷しやすい。それゆえ、樹脂結合吸着剤物品は、これらの型のデバイスに含まれる場合に非常に有益である。
【0048】
同様に、自動電子機器は、砂漠から山の頂上、ツンドラまでの型で変化し得る環境で使用される。これらのデバイスは、例えばバックアップ、暗視カメラ、並びにセンサー及び内部に埋め込まれた制御回路、又は自動車若しくはトラックのボンネット下を含み得る。筐体又は内部品を形成するために樹脂結合吸着剤材料を使用することによって、水分の浸入は防ぐことができるか、又はその影響を緩和させ得る。さらに、電子制御ブレーキシステムは、これらのシステムが極端な温度に曝されるときの水分侵入から保護され得る。例えば、吸湿性で、かついくつかの電子制御装置と接触しているブレーキ液は、冬の気温摂氏0度(0℃)から、高度なブレーキ条件下、例えば大きな丘を降りているときの非常に短い時間での摂氏350度(350℃)まで変化し得る。ブレーキ液への水分侵入を防ぐことは、電子部品の耐用期間を延長させるのみならず、条件、すなわち水分含有量がブレーキ液内で増加するにつれて、その沸点が低下し、通常の操作条件下で該液体が蒸発してブレーキ力が本質的に失われるような条件を、より安全に維持させる。同様の様式で、ボート、RV、ATV、及び軍事用の起伏の多い地形用車両用の計器及び電子ディスプレイも、本発明が非常に有益であり得る過酷な環境に曝される。特に、海洋及び潜水艦での適用において、電子機器は腐食が促進される電解質溶液に曝される。同様の様式で、自動車用及び海洋用デバイスは、該デバイス内に樹脂結合吸着剤物品を組み込むことによって益を得る。
【0049】
監視デバイス及びセキュリティデバイス、例えば光/動き/熱センサー及びセキュリティカメラは、広い範囲の温度及び湿度で確実に稼動しなければならない。例えば、ニューヨーク、バッファローにある銀行に取り付けられた外部セキュリティカメラは、摂氏37度(37℃)と同じ高さの温度、及び摂氏マイナス23度(-23℃)と同じ低さの温度で見ることができる一方、経験する相対湿度レベルは95パーセント(95%)から20パーセント(20%)に至る。それゆえデバイスの筐体、又は内部構成部品を形成するために本発明の樹脂結合吸着剤を使用することは、これらのようなデバイスの耐用期間を延長させるのに有益である。
【0050】
電子デバイスが普及している別の苛酷な環境は、有害な化学製品の製造及び使用である。センサー、制御部及びスイッチギアは、有害性及び/又は腐食性の蒸気から保護されてはいるが、これらの環境で稼動しなければならない。それゆえ適切な吸着剤、例えば乾燥剤、活性炭、ゼオライト、粘土及び有機吸着剤を、そのようなデバイスの樹脂結合吸着剤筐体又は内部構成部品に使用することは、その耐用期間を延長させるであろう。同様に、パソコン(PC)及びプログラム可能な論理演算装置(PLC)の工業的使用は、厳しい工業的環境、例えば高湿度で稼動しなければならない。したがって、本発明の樹脂結合吸着剤からこれらのデバイスの筐体又は内部構成部品を形成することは、PC及びPLCの耐用期間を延長させるであろう。
【0051】
電子デバイスが普及してきているさらに別の苛酷な環境はヒトの身体の内部、すなわち埋め込み可能な及び/又は付着可能な電子医療デバイスである。これらの型のデバイスは、水分、生理食塩水環境、言い換えれば腐食条件が最適化されている環境で継続的かつ確実に機能しなければならない。適切な樹脂結合吸着剤筐体又は内部樹脂結合吸着剤部品は乾燥を保ち、かつこれらのデバイスの寿命及び信頼性を高め得る。埋め込み可能及び付着可能な医療デバイスに加えて、医療診断機器も、信頼できる作業条件、すなわち電子機器を乾燥条件に維持しなければならない。それゆえ、本発明を使用して筐体又は内部構成部品を形成することは、特に有益である。
【0052】
移動通信デバイス及び固定通信デバイスも、有害な及び苛酷な環境に曝される。末端部及びスイッチギアは、それらの筐体の内部が乾燥を保っていた場合に、より長い耐用期間を有し、維持費を低下させ得る。それゆえ、本発明から形成された筐体又は内部品は、該デバイスを乾燥に保ち得、それにより電流の漏れ及び漏電を最小化させ、デンドライト(dendrite)形成及び電気的/化学的腐食を阻害する。
【0053】
他の電子デバイス、例えばソーラーパネル又は昼/夜センサーは、他の克服すべき問題を提起する。商用の光電池デバイスは、平坦で、ほぼ全てが水分に感受性の高い光活性物質でコートされたガラスパネルから構成されている。該パネルは、サーモパンウインドウ(thermo-pane window)の様式で、互いに密封されている。封止剤を周囲に使用してよく、又は該パネルをフレーム内にはめ込んでもよい。さらに、電気的接続用の該パネル内のポート及び開口部は密封されなければならない。電気的接続用のフレーム素材又は装備品は、水分に感受性で壊れやすいソーラーパネルを封じ込めて保護するのに必要とされる機械的強度及び吸着剤特性を同時に提供し得る樹脂結合吸着剤から製造してよい。
【0054】
ラジオ周波数同定(RFID)デバイスは、半導体チップ及び関連する回路から製造される。回路基盤を使用することはできるが、インプリント型回路(imprinted circuitry)はより普及している。RFIDデバイス、特に有機RFIDデバイスはしばしば有害環境下で使用され、そこで該デバイスは、水分、酸素、又は揮発性化学物質のために品質が低下し得る。それゆえ、RFIDデバイスは、RFIDデバイスの寿命を延長し得る吸着添加剤、例えば乾燥剤又は酸素吸着剤により高められた特性を有する高分子樹脂から支持構造又は筐体を製造することにより改良されてよい。
【0055】
発光ダイオード(LED)及び液晶ダイオード(LCD)は、水感受性物質から製造される。特に、有機LED及びLCDは、高度に水感受性である。耐用期間を向上及び延長させるために、通常では薄いフィルム又はシート形態で、吸着剤材料がディスプレイに添加される。本発明に従い、構造支持体又は封止剤材料を樹脂結合吸着剤から製造することができ、それにより水分保護、すなわち耐用期間の延長が提供されると同時に、すでに存在する構成部品の構造的な据付又は封止機能性も提供される。同様の様式で、柔軟な電子ディスプレイは高度に水感受性である。それらの構成において使用される発色団は水感受性であり、それゆえ該ディスプレイ内に樹脂結合吸着剤を組み込むことによって安定化され得る。
【0056】
従来型の発光装置、例えば家庭用電灯及び自動車のヘッドランプでさえ、本発明を含有することにより益を得るであろう。レンズ上での凝結を防ぐことができ、それによりそのような装置のバルブ及び耐用期間を延長させると同時に、反射光の損失を削減する。
プラスチック製の筐体中に収められた固相表面実装電子デバイスは、該プラスチックの水透過性のために密封性ではないとみなされている。この基本的な問題は、損傷をもたらすソルダー・リフローサイクル(solder reflow cycle)の間の水蒸気圧変化であり、これは層間剥離、漏れ及び「ポップコーン化」をもたらし得る。最近では、低い水分感受性は、材料、パッケージデザイン、及び良い工程の選択で達成される。樹脂結合吸着剤の囲いは、水分の侵入を防ぎ、吸着剤が飽和するまで密封シールを効果的に保つ。そのようなデバイスの例は、これらに限定されないが、ラジオ周波数デバイス、ワイアレスデバイス、ローカルエリアネットワーク(LAN)デバイス及びブロードバンドデバイス、並びに電子チップ封入剤及び梱包剤を含む。
【0057】
上記のように、撮像デバイスは、部分劣化とは異なる問題を提起する。温度変化と組み合わされての水分の存在は、レンズ、又は撮像デバイスの窓上に凝結をもたらし得る。凝結は像の質を急速に低下させ、撮像デバイスを非機能的にさせ得る。使用環境が湿潤でかつ温度変化にさらされいる場合、そのようなデバイスは水分を制御する必要があることが知られている。それゆえ、樹脂結合吸着剤から製造された物品、例えばリングを保持するレンズ、アパーチャ、筐体などをアッセンブリ内に取り込んでよく、それにより構造的支持に加えて、吸着剤の能力が提供される。そのような光学デバイスは、対象を視認及び/又は感知する、例えば標的捕捉及び誘導センサー並びにシステムに使用してよい。これらのシステムにおいて、レーザー、及び他の感知デバイスは、標的捕捉及び誘導システムの重要な部分を形成し、それゆえピークの光学的性能、すなわち、光学表面上での凝結がないことを必要とする。
【0058】
吸着剤能力に加えて、樹脂結合吸着剤材料を他の材料、例えば静的消散(導電性)材料と混合し、それにより多機能性、例えば水分制御及び抗静的特性を提供することができる。したがって、これらの材料を、水分を吸着ずると同時に静的電荷を消失させることによる、任意の先に記載した電気的用途に使用することができる。
【0059】
図10は、本発明の実施態様であるデバイス11の断面図を示す。デバイス11は筐体12を含み、該筐体は第1壁14及び第2壁16、並びに段部18を含む。上記のように、筐体12は樹脂結合吸着剤から形成してよく、それにより流体の侵入は遅延又は防止される。段部18は、レンズ20にシートを提供し、一方で第1壁14は吸着剤物品22に取り付け位置を提供し、第2壁16は、回路基盤26を筐体12へとしっかりと固定するスタンドオフ24の取り付け位置を提供する。吸着剤物品22は、オーバーモールド樹脂30内に囲まれた吸着剤28を含む。オーバーモールド樹脂30は、締め具34を介して第1壁14へと吸着剤物品22を固定するために使用されるタブ32を含む。先に記載したように、回路基盤26も樹脂結合吸着剤から形成し、それにより筐体12内に吸着剤能力を提供してよい。デバイス11はさらに、ガスケット36及び保持リング38を含む。ガスケット36は段部18とレンズ20との間に配置され、一方保持リング38はガスケット36に前向きの力を与え、それによってガスケット36を押し付ける。ガスケット36の押し付けは筐体12を封止し、その中への流体の侵入を防ぐ。さらに、ガスケット36、保持リング38及び/又はレンズ20は、流体侵入からより高いレベルで保護し得る樹脂結合吸着剤材料から形成されてよい。デバイス11はさらに、レンズ20と回路基盤26との間に配置されるアパーチャ40を含む。アパーチャ40も樹脂結合吸着剤から形成し、それによりさらなる吸着剤能力を提供してよい。アパーチャ40は樹脂結合吸着剤材料から形成されているものとして示されているが、一般的当業者は、他の物品がそのような材料から形成され、及び例えばバッフル、締め具、又はスタンドオフなどのデバイス11内に組み込まれ得ることを理解するであろう。表面実装デバイス42は、接点44を介して回路基盤26へとしっかり固定されている。表面実装デバイス42はさらに囲い46を含む。典型的には、該囲いの材料はいくつかの流体に透過性であるので、表面実装デバイス42は密封されているとはみなされないであろう。それゆえ、樹脂結合吸着剤材料から囲い46を形成することによって、表面実装デバイス42は密封され得る。
【0060】
一般的当業者に認識されるように、デバイス11及びそれに含まれる構成部品は、図10に示す特定の実施態様には限定されない。例えば、筐体12は、レンズ20をもたない及び/又はアパーチャ40をもたない完全に密封された容器であってよい。それゆえ、デバイス11は樹脂結合吸着剤材料から形成される少なくとも1つの物品を含むことができることは本発明の精神及び範囲の中にあり、該物品は、レンズ、回路基盤、筐体、ケース、フレーム、支持構造物、マウント構造、保持構造、シール材料、固相表面実装デバイス、電子チップパッケージング、電気通信末端、電子通信スイッチ、データ記憶デバイス、電子デバイス、電子-光学デバイス、スコープ、センサー、トランスミッター、アンテナ、レーダーユニット、光電池デバイス、ラジオ周波数同定デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体筐体、撮像デバイス、照準デバイス、携帯電話、目標捕捉及び誘導センサー、埋め込み可能な電子医療デバイス、付着型電子医療デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動検出回路、自動制御回路、ブレーキ制御システム、有害化学物質センサー、有害化学物質制御、計器、電子ディスプレイ、パソコン、プログラム可能な論理演算装置、医療診断装置、光センサー、運動センサー、熱センサー、セキュリティカメラ、柔軟な電子デバイス、照明器具、海洋計器、海洋光、外部航空機検出デバイス、外部航空機監視デバイス、外部航空機計測デバイス、動力工具検出デバイス、動力工具照準デバイス、動力工具計測デバイス、レーザー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
本発明は特に、特に具体的な好ましい実施態様に関して記載してきたが、多くの別法、修飾、及び変更が当業者に明らかであることは明白である。従って、添付の特許請求の範囲は、いかなるそのような別法、修飾及び変更を、本発明の真の範囲及び精神に含まれるものとして包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
新規であると考えられる本発明の特徴、及び本発明の特徴的な要素は、添付の特許請求の範囲に詳細に説明されている。図面は例示の目的のみのために示され、必ずしも原寸に比例して描かれてはいない。しかし、本発明自体は、構成及び操作方法の両方に関しては、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、最もよく理解されるであろう。
【0063】
【図1】本発明に従うアキュムレータの端面図である。
【図2】本発明に従うアキュムレータの部分側断面図である。
【図3】先行技術に従う冷却装置のフィルター/乾燥剤袋/アルミニウム接続金具構成部品の分解図である。
【図4】図3の構成部品の側面図である。
【図5】本発明の構成部品で作製された一体型フィルター/接続金具である。
【0064】
【図6】乾燥剤袋と共に図5に示した装置の用途を示す説明図である。
【図7】凝縮器上部に使用されている、図5に示された部品の実施態様の横断面図を示す。
【図8】本発明に従って製造された、自動車空調システムの受液器に使用されているような冷媒蒸気/液体分離装置の可動式冷却アキュムレータバッフル部分を図解する。
【図9】図8の分離装置のためのキャップ部分を図解する。
【図10】本発明の実施態様の横断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の流体から保護する必要のある第2物品との組み合わせで前記少なくとも1種の流体用の樹脂結合吸着剤材料を含む物品であって、前記樹脂結合吸着剤材料が樹脂と前記少なくとも1種の流体用の吸着剤との混合物を含み、かつ前記少なくとも1種の流体は前記第2物品に対して破壊的であり、前記樹脂の全ては均質な樹脂である、前記物品。
【請求項2】
前記樹脂が熱可塑性樹脂であり、かつ前記吸着剤がモレキュラーシーブ、シリカゲル、イオン交換樹脂、活性炭、活性アルミナ、粘土、微粒子状金属、CO2放出陰イオンを含む塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記吸着剤材料がゼオライトを含む、請求項1記載の物品。
【請求項4】
前記吸着剤がモレキュラーシーブであり、かつ前記樹脂がポリアミド、ポリオレフィン、スチレン重合体、ポリエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の物品。
【請求項5】
前記樹脂がエチレン含有又はプロピレン含有ホモ重合体若しくは共重合体である、請求項1記載の物品。
【請求項6】
前記樹脂結合吸着剤材料がカップリング剤又は相溶剤の目的で形成され、該カップリング剤又は相溶剤は化学的に前記樹脂に適合性であり、かつ前記吸着剤との接着又はカップリングを向上させる、請求項1記載の物品。
【請求項7】
前記カップリング剤又は相溶剤が、反応剤及び非反応剤からなる群から選択される、請求項6記載の物品。
【請求項8】
前記相溶剤が、金属、アクリレート、ステアリン酸塩、ブロック重合体、マレイン酸塩、エポキシ、シラン、チタン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7記載の物品。
【請求項9】
前記樹脂結合吸着剤材料が、約5パーセント(5%)〜約55パーセント(55%)の吸着剤、及び約45パーセント(45%)〜約95パーセント(95%)の樹脂を含む、請求項1記載の物品。
【請求項10】
前記樹脂結合吸着剤材料が、約25パーセント(25%)〜約55パーセント(55%)の吸着剤、及び約45パーセント(45%)〜約75パーセント(75%)の樹脂を含む、請求項1記載の物品。
【請求項11】
前記樹脂結合吸着剤材料が、約35パーセント(35%)〜約42パーセント(42%)の吸着剤、及び約58パーセント(58%)〜約65パーセント(65%)の樹脂を含む、請求項1記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、レンズ、回路基盤、筐体、ケース、フレーム、支持構造物、マウント構造、保持構造、シール材料、固相表面実装デバイス、電子チップパッケージング、電気通信末端、電子通信スイッチ、データ記憶デバイス、電子デバイス、電子-光学デバイス、スコープ、センサー、トランスミッター、アンテナ、レーダーユニット、光電池デバイス、ラジオ周波数同定デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体筐体、撮像デバイス、照準デバイス、携帯電話、目標捕捉及び誘導センサー、埋め込み可能な電子医療デバイス、付着型電子医療デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動検出回路、自動制御回路、ブレーキ制御システム、有害化学物質センサー、有害化学物質制御、計器、電子ディスプレイ、パソコン、プログラム可能な論理演算装置、医療診断装置、光センサー、運動センサー、熱センサー、セキュリティカメラ、柔軟な電子デバイス、照明器具、海洋計器、海洋光、外部航空機検出デバイス、外部航空機監視デバイス、外部航空機計測デバイス、動力工具検出デバイス、動力工具照準デバイス、動力工具計測デバイス、レーザー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の物品。
【請求項13】
前記吸着剤が加圧、焼結、押し出し又は金型成形で形成された微粒子状吸着剤を含み、かつ前記吸着剤がさらに前記樹脂のオーバーモールドの少なくとも1部分を含む、請求項1記載の物品。
【請求項14】
前記第2物品内に埋め込む、又は前記第2物品に付着させる手段をさらに含む、請求項13記載の物品。
【請求項15】
前記埋め込み又は付着用の手段が、少なくとも1つのタブを含む、請求項14記載の物品。
【請求項16】
前記金型成形が、熱及び/又は圧力の使用を含む、請求項13記載の物品。
【請求項17】
電子導電体をさらに含む、請求項1記載の物品。
【請求項18】
前記樹脂結合吸着剤材料が、単一の樹脂を含む、請求項1記載の物品。
【請求項19】
前記少なくとも1種の液体が、腐食液、有機溶媒液、無機溶媒液、VI族液、及びVII族液からなる群から選択される、請求項1記載の物品。
【請求項20】
前記樹脂と吸着剤との前記混合物が、2軸スクリュー押出成型機によって形成される、請求項1記載の物品。
【請求項21】
少なくとも1種の流体用の樹脂結合吸着剤材料を含む物品であって、前記樹脂結合吸着剤材料が樹脂と前記少なくとも1種の流体用吸着剤との混合物を含み、前記樹脂結合吸着剤材料は高密度ポリビニリデンクロライドを通る水蒸気透過性よりも大きく、かつ水膨潤性水不溶性ヒドロキシセルロースを通る水蒸気透過性未満の蒸気透過性を有する、前記物品。
【請求項22】
前記物品が、レンズ、回路基盤、筐体、ケース、フレーム、支持構造物、マウント構造、保持構造、シール材料、固相表面実装デバイス、電子チップパッケージング、電気通信末端、電子通信スイッチ、データ記憶デバイス、電子デバイス、電子-光学デバイス、スコープ、センサー、トランスミッター、アンテナ、レーダーユニット、光電池デバイス、ラジオ周波数同定デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体筐体、撮像デバイス、照準デバイス、携帯電話、目標捕捉及び誘導センサー、埋め込み可能な電子医療デバイス、付着型電子医療デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動検出回路、自動制御回路、ブレーキ制御システム、有害化学物質センサー、有害化学物質制御、計器、電子ディスプレイ、パソコン、プログラム可能な論理演算装置、医療診断装置、光センサー、運動センサー、熱センサー、セキュリティカメラ、柔軟な電子デバイス、照明器具、海洋計器、海洋光、外部航空機検出デバイス、外部航空機監視デバイス、外部航空機計測デバイス、動力工具検出デバイス、動力工具照準デバイス、動力工具計測デバイス、レーザー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21記載の物品。
【請求項23】
前記吸着剤が加圧、焼結、押し出し又は金型成形で形成された微粒子状吸着剤を含み、かつ前記吸着剤がさらに前記樹脂のオーバーモールドの少なくとも1部分を含む、請求項21記載の物品。
【請求項24】
構造的構成部品内に埋め込む、又は構造的構成部品に付着させる手段をさらに含む、請求項23記載の物品。
【請求項25】
前記埋め込み又は付着用の手段が、少なくとも1つのタブを含む、請求項24記載の物品。
【請求項26】
前記金型成形が、熱及び/又は圧力の使用を含む、請求項23記載の物品。
【請求項27】
電子導電体をさらに含む、請求項21記載の物品。
【請求項28】
前記樹脂結合吸着剤材料が、単一の樹脂を含む、請求項21記載の物品。
【請求項29】
前記少なくとも1種の液体が、腐食液、有機溶媒液、無機溶媒液、VI族液、及びVII族液からなる群から選択される、請求項21記載の物品。
【請求項30】
前記樹脂と吸着剤との前記混合物が、2軸スクリュー押出成型機によって形成される、請求項21記載の物品。
【請求項31】
第1物品を損傷する少なくとも1種の流体から前記第1物品を保護する方法であって:
i)樹脂と前記少なくとも1種の液体用吸着剤との混合物を含む、前記樹脂結合吸着剤材料を形成する工程;
ii)前記樹脂結合吸着剤材料から第2物品を形成する工程;及び、
iii)前記第2物品を前記第1物品へと組み込む工程;
を含む、前記方法。
【請求項32】
前記第2物品が、レンズ、回路基盤、筐体、ケース、フレーム、支持構造物、マウント構造、保持構造、シール材料、固相表面実装デバイス、電子チップパッケージング、電気通信末端、電子通信スイッチ、データ記憶デバイス、電子デバイス、電子-光学デバイス、スコープ、センサー、トランスミッター、アンテナ、レーダーユニット、光電池デバイス、ラジオ周波数同定デバイス、発光ダイオード、液晶ダイオード、半導体筐体、撮像デバイス、照準デバイス、携帯電話、目標捕捉及び誘導センサー、埋め込み可能な電子医療デバイス、付着型電子医療デバイス、移動体通信デバイス、固定通信デバイス、自動検出回路、自動制御回路、ブレーキ制御システム、有害化学物質センサー、有害化学物質制御、計器、電子ディスプレイ、パソコン、プログラム可能な論理演算装置、医療診断装置、光センサー、運動センサー、熱センサー、セキュリティカメラ、柔軟な電子デバイス、照明器具、海洋計器、海洋光、外部航空機検出デバイス、外部航空機監視デバイス、外部航空機計測デバイス、動力工具検出デバイス、動力工具照準デバイス、動力工具計測デバイス、レーザー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31記載の物品。
【請求項33】
前記吸着剤が加圧、焼結、押し出し又は金型成形で形成された微粒子状吸着剤を含み、かつ前記吸着剤がさらに前記樹脂のオーバーモールドの少なくとも1部分を含む、請求項31記載の物品。
【請求項34】
構造的構成部品内に埋め込む、又は構造的構成部品内に付着させる手段をさらに含む、請求項33記載の物品。
【請求項35】
前記埋め込み又は付着用の手段が、少なくとも1つのタブを含む、請求項34記載の物品。
【請求項36】
前記金型成形が、熱及び/又は圧力の使用を含む、請求項33記載の物品。
【請求項37】
電子導電体をさらに含む、請求項31記載の物品。
【請求項38】
前記樹脂結合吸着剤材料が、単一の樹脂を含む、請求項31記載の物品。
【請求項39】
前記少なくとも1種の液体が、腐食液、有機溶媒液、無機溶媒液、VI族液、及びVII族液からなる群から選択される、請求項31記載の物品。
【請求項40】
前記樹脂と吸着剤との前記混合物が、2軸スクリュー押出成型機によって形成される、請求項31記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−163323(P2008−163323A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−315647(P2007−315647)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(507245858)ムルチソルブ テクノロギエス インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】