説明

樹脂製品の製造システム

【課題】樹脂製品がより低コストに且つ効率的に製造可能な製造システムを提供する。
【解決手段】基材を成形する成形装置10a,10bと、そこから基材を取り出す基材取出し装置36、32と、基材の表面に金属薄膜を形成して、中間製品を得る金属薄膜形成装置12と、そこに基材を搬入する基材搬入装置152と、金属薄膜形成装置12から中間製品を取り出す中間製品取出し装置152と、中間製品に塗膜を形成して、樹脂成形品を得る塗膜形成装置14と、そこに中間製品を搬入する中間製品搬入装置239と、基材を移送する第一及び第二の移送装置16と、基材取出し装置36,32の作動を制御する第一の制御装置44と、中間製品取出し装置152及び金属薄膜形成装置12の作動を制御する第二の制御装置204と搬入装置239の作動を制御する第三の制御装置254とを含んで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製品の製造システムに係り、特に、樹脂成形品からなる基材の表面上に金属薄膜と塗膜とが積層形成されてなる樹脂製品を製造するシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成形品からなる基材の表面上に、スパッタリングにより金属薄膜が形成されてなる樹脂製品が、知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この樹脂製品の基材と金属薄膜との間には、通常、所定の塗膜からなるアンダーコート層が形成されて、金属薄膜の基材表面への付着性の向上等が図られている。また、金属薄膜上には、金属薄膜の保護のために、透明な塗膜からなるトップコート層が形成されている。そして、そのような樹脂製品は、例えば、自動車内装部品や家具、建築材、家電製品、携帯電子機器等に、金属製品の代替品等として、多く利用されている。また、金属薄膜を電極膜として利用したタッチパネルの部品等としても使用されている。
【0003】
一方、アンダーコート層を省略して、基材の表面上に、金属薄膜をスパッタリングにより直接に形成する、所謂ダイレクトスパッタ方式によって製造された樹脂製品も、提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。この樹脂製品では、例えば、基材の表面に微細な凹部等が形成されているときに、それらの凹部等が厚肉のアンダーコート層にて埋まってしまうことがないため、樹脂製品の表面上において、繊細で且つ緻密な意匠の表現が可能となる。それ故、金属薄膜がダイレクトスパッタ方式にて基材表面上に形成された樹脂製品は、アンダーコート層を有する従来品では得られない優れた意匠性が発揮されるのであり、そのメリットを生かして、より広い分野での使用が見込まれている。
【0004】
ところで、そのようなダイレクトスパッタ方式により基材表面上に金属薄膜が形成された樹脂製品は、一般に、以下のようにして製造されている。
【0005】
すなわち、かかる樹脂製品の製造に際しては、樹脂製品を製造するための作業スペースが、成形エリアと金属薄膜形成エリアと塗膜形成エリアとに分割されている。そして、成形エリアには、基材を成形するための射出成形装置等の成形装置が設置されており、金属薄膜形成エリアには、成形装置にて成形された基材の表面上に金属薄膜を形成するスパッタリング装置等の金属薄膜形成装置が設置されている。塗膜形成エリアには、基材表面上に所定の塗料を塗布し、それを乾燥させる等して、金属薄膜上に塗膜を積層形成する塗装・乾燥ブースが設置されている。また、それら成形エリアと金属薄膜形成エリアと塗膜形成エリアとの間には、コンベア等の移送ラインが設置されている。
【0006】
そして、先ず、成形装置によって基材が成形され、それが、自動取出し機にて成形装置から取り出された後、移送ラインにて、成形エリアから金属薄膜形成エリアに移送される。金属薄膜形成エリアに移送された基材は、移送ラインでの移送可能な限度数を超えないように、金属薄膜形成エリアに設けられた仮置き棚に、作業員の手作業によって、一時、ストックされる。そして、ストックされた基材が予め設定された数量に達したら、それらの基材が、スパッタリング装置内に、作業員の手作業によって収納される。その後、スパッタリング装置内の基材の表面に金属薄膜が形成される。これによって、基材の表面に金属薄膜をスパッタリングにより直接に形成してなる中間製品が、一挙に複数個作製される。次いで、それら複数個の中間製品が、作業員の手作業により、スパッタリング装置内から取り出されて、仮置き棚にストックされる。その後、仮置き棚にストックされた複数の中間製品が塗膜形成エリアに、逐次、移送される。そして、塗膜形成エリアに移送された中間製品が予め設定された数量となったら、作業員の手作業によって、各中間製品が、それを保持する塗装用ジグに取り付けられる。その後、塗装用ジグが取り付けられた中間製品が塗装ブース内に送り込まれて、中間製品に対する塗装・乾燥が行われる。これによって、中間製品の金属薄膜上に塗膜が形成されて、目的とする樹脂製品が作製される。その後、それら作製された樹脂製品が、作業員の手作業によって、塗装ブース内から取り出されると共に、塗装用ジグから取り外されて、運搬台車等により、検査室に運び込まれる。そして、そこで、作業者の目視検査等にて、良品の選別を行う。これにより、良好な品質の樹脂製品が得られることとなるのである。
【0007】
このように、基材表面上に金属薄膜と塗膜とが積層形成されてなる樹脂製品の従来の量産方式では、金属薄膜形成エリアと塗膜形成エリアとにおいて、人手の掛かる作業が多く行われていた。そのため、樹脂製品の製造に際して人件費が嵩み、それが、樹脂製品の製造コストの削減にとって大きな障害となっていた。しかも、金属薄膜形成エリアと塗膜形成エリアでは、基材や中間製品が、予め定められた数に達するまで中間在庫として保管されるようになっていた。それ故、基材や中間製品の移送ライン上だけでなく、中間在庫の保管場所の温度や湿度、清浄度等を管理するための大がかりな設備が必要となり、それが、樹脂製品の製造コストを圧迫していた。
【0008】
また、例えば、形状や大きさが異なるために成形サイクルや金属薄膜及び塗膜の成膜サイクルが互いに異なる複数種類の樹脂製品を、上記のような多くの人手が掛かる従来方式により、複数の成形装置を用いて次々と製造する際には、以下の如き問題が生じていた。
【0009】
すなわち、複数種類の樹脂製品を製造する場合、各成形装置や金属薄膜形成装置、塗膜形成装置の1回の稼働時間が、成形乃至は作製される基材や中間製品、樹脂製品の種類毎にそれぞれ異なる。しかも、同じ種類の基材や中間製品、樹脂製品を成形乃至は作製する際にも、それら各装置の1回の稼働時間が厳密には一定となっておらず、多少、変動することがある。そのため、成形エリアでの基材の成形開始から、基材や中間製品が金属薄膜形成エリアや塗膜形成エリアに到達するまでの時間にバラツキが生ずる。それ故、従来方式で複数種類の樹脂製品を製造する場合には、それらの時間のバラツキに対応するために、各装置の稼働率や各エリアに配置される作業人員の人数を変更しなければならず、それによって、作業員による手作業が極めて非効率的で煩雑なものとなってしまうことが避けられなかった。しかも、各エリアでの各装置の処理能力の違いを吸収するための中間在庫も必要となる。従って、複数種類の樹脂製品の従来方式での製造に際しては、その生産性やコスト性が、単一種類の樹脂製品を製造する場合よりも劣るものとなってしまう可能性が、極めて高かったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−174921号公報
【特許文献2】特開2010−89399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、樹脂成形品からなる基材の表面上に金属薄膜と塗膜とが積層形成されてなる樹脂製品の製造システムであって、製造されるべき樹脂製品の種類数に拘わらず、製造過程での人的作業と中間在庫とを無くすことで、目的とする樹脂製品をより低コストに且つ効率的に製造可能とした製造システムの新規な構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0013】
<1> 樹脂成形品からなる基材の表面上に金属薄膜が形成されると共に、該金属薄膜上に塗膜が積層形成されてなる樹脂製品の製造システムであって、(a)前記基材を成形する成形装置と、(b)該成形装置にて成形された前記基材の表面上に前記金属薄膜をスパッタリングにより形成して、中間製品を得る金属薄膜形成装置と、(c)前記中間製品の前記金属薄膜上に塗膜を形成して、前記樹脂製品を得る塗膜形成装置と、(d)前記成形装置と前記金属薄膜形成装置との間に並んで配置されて、前記基材を支持する複数の支持ステーションを有すると共に、それら複数の支持ステーションが、該基材を該成形装置側から該金属薄膜形成装置側に向かって順送りに送り出すための機構をそれぞれ備え、更に、該基材の送出し方向において互いに隣り合って配置された二つの支持ステーションのうちの該送出し方向下流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該基材の送出し作動を完了してから、それらのうちの該送出し方向上流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該基材の送出し作動を開始するように構成された第一の移送装置と、(e)前記金属薄膜形成装置と前記塗膜形成装置との間に並んで配置されて、前記中間製品を支持する複数の支持ステーションを有すると共に、それら複数の支持ステーションが、該中間製品を該金属薄膜形成装置側から該塗膜形成装置側に向かって順送りに送り出すための機構をそれぞれ備え、更に、該中間製品の送出し方向において互いに隣り合って位置する二つの支持ステーションのうちの該送出し方向下流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該中間製品の送出し作動を完了してから、それらのうちの該送出し方向上流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該中間製品の送出し作動を開始するように構成された第二の移送装置と、(f)前記成形装置内から前記基材を取り出して、前記第一の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで予め定められた箇所に位置する第一支持ステーションに支持させる基材取出し装置と、(g)前記第一の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで、前記第一支持ステーションよりも前記基材の送出し方向下流側に位置する第二支持ステーションに支持された前記基材を、前記金属薄膜形成装置に搬入する基材搬入装置と、(h)前記金属薄膜形成装置内から前記中間製品を取り出して、前記第二の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで予め定められた箇所に位置する第三支持ステーションに、該取り出された中間製品を支持させる中間製品取出し装置と、(i)前記第二の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで、前記第三支持ステーションよりも前記中間製品の送出し方向下流側に位置する第四支持ステーションに支持された前記中間製品を前記塗膜形成装置に搬入する中間製品搬入装置と、(j)前記第一支持ステーションの前記送出し機構による送出し作動が完了したときに、前記基材取出し装置が作動するように、該基材取出し装置の作動を制御する第一の制御装置と、(k)前記第三支持ステーションの前記送出し機構による送出し作動が完了したときに、前記中間製品取出し装置が作動すると共に、それに連動して、前記基材搬入装置と前記金属薄膜形成装置とが作動するように、それら中間製品取出し装置と基材搬入装置と金属薄膜形成装置のそれぞれの作動を制御する第二の制御装置と、(l)前記塗膜形成装置が停止したときに、前記中間製品搬入装置の作動が停止するように、該中間製品搬入装置の作動を制御する第三の制御装置とを有することを特徴とする、樹脂製品の製造システム。
【0014】
<2> 前記成形装置を複数有して、それら複数の成形装置が、各成形装置毎に、前記基材の互いに形状が異なる別種類のものをそれぞれ成形するように構成されている一方、前記金属薄膜形成装置が、該複数種類の基材の表面上に前記金属薄膜をそれぞれ形成することにより、互いに形状の異なる複数種類の前記中間製品を作製するようになっている上記態様<1>に記載の、樹脂製品の製造システム。
【0015】
<3> (a)前記基材を保持した状態で、前記第一の移送装置にて移送される第一保持ジグの複数と、(b)該複数の第一保持ジグに対して、それぞれ一つずつ、前記基材を保持可能に設けられ、該基材の保持構造が、該基材の種類に応じて互いに異なる構造とされた複数種類の第一保持部と、(c)前記複数の第一保持ジグを収納すると共に、該収納された複数の第一保持ジグのうちから任意のものを取り出して、それを前記第一の移送装置の前記支持ステーション上に送り出し得るように構成された第一ジグストッカと、(d)前記複数種類の基材の成形順と同じ順に、それらの基材を保持可能な保持構造を有する前記第一保持部を備えた前記第一保持ジグが、前記第一ジグストッカから、順次、取り出されるように、該複数種類の基材の成形順序に基づいて、該第一保持ジグの該第一ジグストッカからの取出し順序を決定する第一決定手段とを、更に有している上記態様<2>に記載の、樹脂製品の製造システム。
【0016】
<4> 前記複数の成形装置にて前記複数種類の基材が成形される毎に、該成形される基材の種類に対応した複数種類の基材成形信号が、該複数の成形装置からそれぞれ出力される一方、かかる複数種類の基材成形信号に基づいて、前記第一決定手段が、前記第一ジグストッカから取り出される前記第一保持ジグの種類を決定するようになっている上記態様<3>に記載の、樹脂製品の製造システム。
【0017】
<5> 前記第一保持部が、前記第一保持ジグの本体に対して一軸回りに回転可能に設けられる一方、該第一保持部を回転させる第一回転機構が前記金属薄膜形成装置に設けられて、該金属薄膜形成装置での前記基材に対する前記金属薄膜の形成操作が、該第一回転機構による該第一保持部の回転によって該基材を回転させつつ行われるようになっており、更に、該金属薄膜が形成された前記中間製品を保持する該第一保持部を予め定められた基準回転位置に位置させる第一位置決め機構が設けられている上記態様<3>又は<4>に記載の、樹脂製品の製造システム。
【0018】
<6> 前記基材搬入装置にて前記金属薄膜形成装置内に搬入される前記基材の種類を判別して、該搬入される基材の種類に対応した複数種類の判別信号を出力する第一判別手段と、該基材の種類毎に予め設定された、該金属薄膜形成装置内での前記金属薄膜の形成操作に係る複数種類の成膜条件の中から、該金属薄膜形成装置内に搬入される該基材の種類に応じた成膜条件を、該第一判別手段から出力される該判別信号に基づいて選択して、決定する第二決定手段とを有し、該金属薄膜形成装置内に搬入される該基材に対して、その種類に対応した成膜条件で、該金属薄膜を形成し得るようになっている上記態様<2>乃<5>のうちの何れか一つに記載の、樹脂製品の製造システム。
【0019】
<7> (a)前記中間製品を保持した状態で、前記塗膜形成装置内に搬入される第二保持ジグの複数と、(b)該複数の第二保持ジグに対して、それぞれ一つずつ、前記中間製品を保持可能に設けられ、該中間製品の保持構造が、該中間製品の種類に応じて互いに異なる構造とされた複数種類の第二保持部と、(c)前記複数の第二保持ジグを収納すると共に、該収納された複数の第二保持ジグのうちから任意のものを取り出して、それを前記塗膜形成装置内に搬入可能状態と為し得るように構成された第二ジグストッカと、(d)前記複数種類の中間製品の作製順と同じ順に、それらの中間製品を保持可能な保持構造を有する前記第二保持部備えた前記第二保持ジグが、前記第二ジグストッカから、順次、取り出されるように、該複数種類の中間製品の作製順序に基づいて、該第二保持ジグの該第二ジグストッカからの取出し順序を決定する第三決定手段とを、更に有している上記態様<2>乃至<6>のうちの何れか一つに記載の、樹脂製品の製造システム。
【0020】
<8> 前記複数の成形装置にて前記複数種類の基材が成形される毎に、該成形される基材の種類に対応した複数種類の基材成形信号が、該複数の成形装置からそれぞれ出力される一方、かかる複数種類の基材成形信号に基づいて、前記第三決定手段が、前記第二ジグストッカから取り出される前記第二保持ジグの種類を決定するようになっている上記態様<7>に記載の、樹脂製品の製造システム。
【0021】
<9> 前記第二保持ジグを一軸回りに回転させる第二回転機構が前記塗膜形成装置に設けられて、該塗膜形成装置での前記中間製品に対する前記塗膜の形成操作が、該第二回転機構による該第二保持ジグの回転によって該中間製品を回転させつつ行われるようになっており、更に、該塗膜が形成された前記樹脂製品を保持する該第二保持ジグを予め定められた基準回転位置に位置させる第二位置決め機構が設けられている上記態様<7>又は<8>に記載の、樹脂製品の製造システム。
【0022】
<10> 前記中間製品搬入装置にて前記塗膜形成装置内に搬入される前記中間製品の種類を判別して、該搬入される中間製品の種類に対応した複数種類の判別信号を出力する第二判別手段と、該中間製品の種類毎に予め設定された、該塗膜形成装置内での前記塗膜の形成操作に係る複数種類の成膜条件の中から、該塗膜形成装置内に搬入される該中間製品の種類に応じた成膜条件を、該第二判別手段から出力される該判別信号に基づいて選択して、決定する第四決定手段とを有し、該塗膜形成装置内に搬入される該中間製品に対して、その種類に対応した成膜条件で、該塗膜を形成し得るようになっている上記態様<2>乃至<9>のうちの何れか一つに記載の、樹脂製品の製造システム。
【0023】
<11> 前記金属薄膜形成装置の1回の金属薄膜形成操作で作製される前記中間製品の個数が、前記成形装置の1回の成形操作で成形される前記基材の個数と同じ数とされている上記態様<1>乃至<10>のうちの何れか一つに記載の、樹脂製品の製造システム。
【0024】
<12> 樹脂成形品からなる基材の表面上に金属薄膜が形成されると共に、該金属薄膜上に塗膜が積層形成されてなる樹脂製品の製造方法であって、(a)前記基材を成形する成形装置と、(b)該成形装置にて成形された前記基材の表面上に前記金属薄膜をスパッタリングにより形成して、中間製品を得る金属薄膜形成装置と、(c)前記中間製品の前記金属薄膜上に塗膜を形成して、前記樹脂製品を得る塗膜形成装置と、(d)前記成形装置と前記金属薄膜形成装置との間に並んで配置されて、前記基材を支持する複数の支持ステーションを有すると共に、それら複数の支持ステーションが、該基材を該成形装置側から該金属薄膜形成装置側に向かって順送りに送り出すための機構をそれぞれ備え、更に、該基材の送出し方向において互いに隣り合って配置された二つの支持ステーションのうちの該送出し方向下流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該基材の送出し作動を完了してから、それらのうちの該送出し方向上流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該基材の送出し作動を開始するように構成された第一の移送装置と、(e)前記金属薄膜形成装置と前記塗膜形成装置との間に並んで配置されて、前記中間製品を支持する複数の支持ステーションを有すると共に、それら複数の支持ステーションが、該中間製品を該金属薄膜形成装置側から該塗膜形成装置側に向かって順送りに送り出すための機構をそれぞれ備え、更に、該中間製品の送出し方向において互いに隣り合って位置する二つの支持ステーションのうちの該送出し方向下流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該中間製品の送出し作動を完了してから、それらのうちの該送出し方向上流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該中間製品の送出し作動を開始するように構成された第二の移送装置と、(f)前記成形装置内から前記基材を取り出して、前記第一の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで予め定められた箇所に位置する第一支持ステーションに支持させる基材取出し装置と、(g)前記第一の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで、前記第一支持ステーションよりも前記基材の送出し方向下流側に位置する第二支持ステーションに支持された前記基材を、前記金属薄膜形成装置内に搬入する基材搬入装置と、(h)前記金属薄膜形成装置内から前記中間製品を取り出して、前記第二の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで予め定められた箇所に位置する第三支持ステーションに、該取り出された中間製品を支持させる中間製品取出し装置と、(i)前記第二の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで、前記第三支持ステーションよりも前記中間製品の送出し方向下流側に位置する第四支持ステーションに支持された前記中間製品を前記塗膜形成装置内に搬入する中間製品搬入装置とを有する製造システムを用いて、前記成形装置による前記基材の成形工程と、前記金属薄膜形成装置による該基材の表面上への前記金属薄膜の形成工程と、前記塗膜形成装置による前記中間製品の該金属薄膜上への前記塗膜の形成工程とを、その順番で実施すると共に、それら成形工程と金属薄膜形成工程と塗膜形成工程とを、全て同一の所要時間で実施するか、又は、後工程が前工程よりも短い所要時間で実施することを特徴とする樹脂製品の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
すなわち、本発明に従う樹脂製品の製造システムにおいては、基材の成形と、基材表面上への金属薄膜の形成と、中間製品の金属薄膜上への塗膜の形成と、基材成形エリアから金属薄膜形成エリアへの移送と、金属薄膜形成エリアから塗膜形成エリアへの移送とが、全て自動化されている。それ故、基材の成形から樹脂製品の完成に至るまで、人的作業が有利に省略され得る。
【0026】
そして、本発明システムでは、塗膜形成装置が停止したときに、中間製品搬入装置が自動的に停止する。また、このとき、第二の移送装置における複数の支持ステーションのうちで、中間製品を支持していないものが存在する間は、第二の移送装置と中間製品取出し装置と金属薄膜形成装置と基材搬入装置の作動が何れも継続される。そして、第二の移送装置の支持ステーションの全てに中間製品が支持されると、それらの装置が自動的に停止する。更に、基材搬入装置が停止したときには、第一の移送装置における複数の支持ステーションのうちで、基材を支持していないものが存在する間は、第一の移送装置と基材取出し装置と成形装置の作動が何れも継続されるものの、第一の移送装置の支持ステーションの全てに基材が支持されると、それらの装置が自動的に停止する。また、第一の移送装置と第二の移送装置において、基材や中間製品の移送方向に隣り合う二つの支持ステーションのうちで下流側に位置する支持ステーション上に基材や中間製品が支持されている間は、上流側に位置する支持ステーション上の基材や中間製品が送り出されることがない。
【0027】
それ故、本発明システムにおいては、1種類の樹脂製品を製造する場合にあっても、複数種類の樹脂製品を製造する場合にあっても、ライン上の装置の何れかに何等かのトラブル等が発生して、その装置の1回の稼働時間が予定の時間を超えたり、或いはその装置が停止したときに、基材や中間製品が、各装置に余分に送り出されたり、成形装置が基材を余分に成形することが、有利に回避され得る。そして、それによって、トラブル等の発生時に、余分な基材や中間製品をライン上とは別の箇所に移して、中間在庫として確保する必要もない。
【0028】
また、本発明システムでは、成形サイクルや金属薄膜及び塗膜の成膜サイクルが互いに異なる複数種類の樹脂製品を、順次、製造する場合に、ライン上の各装置の1回の稼働時間が、製造されるべき樹脂製品(基材や中間製品を含む)の種類毎に異なるために、或いは各装置の1回の稼働時間の誤差のために、基材の成形開始から中間製品や樹脂製品の作製完了までの時間にバラツキが生じても、各装置を一時的に自動停止させたり、第一及び第二の移送装置の支持ステーション上で基材や中間製品を一時的に自動で待機させたりすることによって、そのような時間のバラツキが効果的に吸収され得る。それ故、複数種類の樹脂製品を製造する際にも、ライン上から基材や中間製品を別の箇所に移して、中間在庫として一時的に確保する必要がない。
【0029】
従って、このような本発明に従う樹脂製品の製造システムを用いれば、基材表面上に金属薄膜と塗膜とが積層形成されてなる樹脂製品の製造に際して、製造されるべき樹脂製品の種類数に拘わらず、その製造過程での人的作業と中間在庫の発生とを有利に無くすこと出来、それによって、人件費を効果的に削減し得ると共に、中間在庫を保管するための大がかりな設備や大きな保管スペースを有利に省略することが出来る。そして、その結果として、目的とする樹脂製品を、より低コストに且つ効率的に製造することが可能となるのである。
【0030】
また、上記した樹脂製品の製造方法によっても、製造されるべき樹脂製品の種類数に拘わらず、その製造過程での人的作業と中間在庫の発生とを有利に無くすことが出来る。それによって、目的とする樹脂製品を、より低コストに且つ効率的に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に従う樹脂製品の製造システムの一実施形態を概略的に示す説明図である。
【図2】図1に示された製造システムが有する移送ラインの平面説明図である。
【図3】一部切欠図を含む図2のIII矢視説明図である。
【図4】図2及び図3に示された移送ライン上を、基材や中間製品を保持しつつ移送される第一基材保持装置の断面説明図である。
【図5】図4に示された第一基材保持装置の平面説明図である。
【図6】図2及び図3に示された移送ライン上を、基材や中間製品を保持しつつ移送される第二基材保持装置の断面説明図である。
【図7】図6に示された第二基材保持装置の平面説明図である。
【図8】図4に示された第一基材保持装置の背面説明図である。
【図9】図1に示された製造システムが有する第一収納装置を示す、一部切欠図を含む側面説明図である。
【図10】図1に示された製造システムが有する金属薄膜形成装置を示す断面説明図である。
【図11】図1に示された製造システムが有する塗膜形成装置の循環装置と、かかる循環装置にて塗膜形成装置内を循環させられる第一中間製品保持装置及び第二中間製品保持装置を示す説明図である。
【図12】図11における XII矢視説明図である。
【図13】図1に示された製造システムが有する第三収納装置を示す一部切欠図を含む側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0033】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する樹脂製品の製造システムの一実施形態が、その平面形態において概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の製造システムは、樹脂成形品からなる基材(図示せず)を成形する成形装置を構成する第一の射出成形装置10a及び第二の射出成形装置10bと、それら第一及び第二の2台の射出成形装置10a,10bにてそれぞれ成形された基材の表面に金属薄膜を形成して、中間製品(図示せず)を作製する金属薄膜形成装置12と、金属薄膜形成装置12にて作製された中間製品の金属薄膜上に塗膜を形成して、目的とする樹脂製品(図示せず)を得る塗膜形成装置14と、第一及び第二の射出成形装置10a,10bにて成形された基材や金属薄膜形成装置12にて作製された中間製品を移送する移送ライン16とを備えている。そして、第一及び第二の射出成形装置10a,10bが設置されたエリアが成形エリア18とされている一方、金属薄膜形成装置12が設置されたエリアが金属薄膜形成エリア20とされ、また、塗膜形成装置14が設置されたエリアが塗膜形成エリア22とされ、更に、移送ライン16が設置されたエリアが移送エリア24とされている。
【0034】
より詳細には、成形エリア18に設置された第一の射出成形装置10aと第二の射出成形装置10bは、それぞれ、射出成形機26a,26bと金型装置28a,28bと型締装置30a,30bとを備えた従来より公知の構造を有している。そして、それら第一の射出成形装置10aと第二の射出成形装置10bのそれぞれの金型装置28a,28bが、成形キャビティの形状が互いに異なる成形用金型を各々有している。それによって、第一の射出成形装置10aと第二の射出成形装置10bが、互いに異なる形状を有する樹脂成形品からなる基材を、それぞれ形成するようになっている。なお、以下からは、便宜上、第一の射出成形装置10aにて成形される基材を、基材Aと言い、第二の射出成形装置10bにて成形される基材を、基材Bと言うこととする。
【0035】
また、成形エリア18には、第一の射出成形装置10aにて成形された基材Aと、第二の射出成形装置10bにて成形された基材Bの2種類の基材をそれぞれ搬送するための搬送コンベア32が設置されている。この搬送コンベア32は、公知の構造を有し、ここでは、ベルトコンベアにて構成されている。そして、かかる搬送コンベア32の搬送ベルト上には、基材Aと基材Bとをそれぞれ支持する複数の支持ジグ34(図1に二点鎖線で示す)が、互いに一定の距離を隔てて固定されている。即ち、搬送コンベア32は、搬送ベルトの走行に伴って、それに固定された複数の支持ジグ34を移動させ、それにより、それら複数の支持ジグ34にて支持された基材Aや基材Bを搬送し得るようになっている。
【0036】
さらに、成形エリア18には、第一の射出成形装置10aにて成形された基材Aを、第一の射出成形装置10aから自動的に離型させる第一の基材離型装置36aと、第二の射出成形装置10bにて成形された基材Bを、第二の射出成形装置10bから自動的に離型させる第二の基材離型装置36bとが、それぞれ設置されている。ここでは、第一の射出成形装置10aと第一の基材離型装置36aとにて、1個の成形装置が、また、第二の射出成形装置10bと第二の基材離型装置36bとにて、別の1個の成形装置が構成されている。
【0037】
第一の基材離型装置36aと第二の基材離型装置36bは、自動ゲートカット機(図示せず)とロボットアーム38a,38bとをそれぞれ備えた、互いに同一の構造を有している。自動ゲートカット機は、第一及び第二射出成形装置10a,10bの各金型装置28a,28bの成形金型からエジェクタ機構等にて押し出された基材Aや基材Bに固着されたままのゲート部分を自動的に切断可能な公知の構造を備えている。ロボットアーム38a,38bは、自動ゲートカット機にてゲートカットされた基材Aや基材Bを把持し、それらの基材A,Bを金型装置28a,28b内から離型させて、前記搬送コンベア32の支持ジグ34に支持させ得るように構成されている。
【0038】
なお、本実施形態では、第一の基材離型装置36aのロボットアーム38aにて把持されて、第一の射出成形装置10a(金型装置28a)から離型させられた基材Aが、搬送コンベア32の基材搬送方向の上流端となる始端位置において、かかる始端位置に配置された支持ジグ34に支持されるようになっている。一方、第二の基材離型装置36bのロボットアーム38bにて把持されて、第二の射出成形装置10b(金型装置28b)から離型させられた基材Bは、搬送コンベア32の基材搬送方向の中間部位となる中間位置において、かかる中間位置に配置された支持ジグ34に支持されるようになっている。また、搬送コンベア32においては、1個の支持ジグ34が、上記始端位置に配置されたときに、別の1個の支持ジグ34が、上記中間位置に配置され、また、更に別の1個の支持ジグ34が、搬送コンベア32の基材搬送方向の下流端となる終端位置に配置されるように、各支持ジグ34の配置間隔が設定されている。
【0039】
そして、成形エリア18内において、かかる搬送コンベア32上の始端位置と中間位置とにそれぞれ対応位置する二箇所には、搬送コンベア32上に固定された支持ジグ34にて支持された基材Aや基材Bを検出するための基材検出センサ39a,39bが、それぞれ設置されている。また、搬送コンベア32上の終端位置に対応位置する成形エリア18内の一箇所には、搬送コンベア上に固定された支持ジグ34を検出するための支持ジグ検出センサ40と、かかる支持ジグ34に支持された基材Aや基材Bを検出するための基材検出センサ39cの両方が設置されている。
【0040】
かくして、搬送コンベア32上の始端位置と中間位置と終端位置の三箇所に基材A又は基材Bが存在するか否かが、3個の基材検出センサ39a,39b,39cにて、常時、監視され、また、搬送コンベア上の終端位置に支持ジグ34が存在するか否かが、支持ジグ検出センサ40にて、常時、監視されるようになっている。なお、基材検出センサ39a,39b,39cと支持ジグ検出センサ40としては、何れも従来より公知の構造を有するものが使用可能であって、例えば、光電センサやレーザセンサ、非接触式センサ、センサカメラ等が使用される。
【0041】
また、成形エリア18には、搬送コンベア32の下流端となる終端位置にまで搬送された基材Aや基材Bを、搬送コンベア32上から移送ライン16上に移動させるための移動装置41が設けられている。この移動装置41は、公知の構造のロボットアーム42を有している。ロボットアーム42は、搬送コンベア32の終端位置に位置する支持ジグ34に支持された基材A又は基材Bを把持して、支持ジグ34から取り外し得るように構成されており、また、支持ジグ34から取り外した基材A又は基材Bを、移送ライン16上に支持される、後述する、第一保持ジグとしての第一基材保持装置52や第二基材保持装置53に保持させ得るようになっている。
【0042】
さらに、成形エリア18には、成形エリア用制御装置44が設置されている。そして、成形エリア18内に設置される各装置から様々な信号が成形エリア用制御装置44に入力され、それに基づいて、それら各装置の作動が、成形エリア用制御装置44によって制御されるようになっている。
【0043】
すなわち、成形エリア用制御装置44には、第一及び第二の射出成形装置10a,10bの成形金型の開閉時に、金型装置28a,28b又は型締装置30a,30bから、型開き信号と型閉じ信号とが入力されるようになっている。また、基材検出センサ39a,39b,39cからは、基材検出信号が、更に、支持ジグ検出センサ40からは、支持ジグ検出信号が、成形エリア用制御装置44に、それぞれ入力されるようになっている。
【0044】
そして、支持ジグ検出センサ40から成形エリア用制御装置44への支持ジグ検出信号の入力に基づいて、支持ジグ34が搬送コンベア32上の終端位置に位置していることを、成形エリア用制御装置44が認識するようになっている。また、それによって、支持ジグ34が搬送コンベア32上の始端位置と中間位置にも位置していることを、成形エリア用制御装置44が、同時に認識するようになっている。更に、そのようにして、成形エリア用制御装置44が、搬送コンベア32上の始端位置と中間位置での支持ジグ34の存在を認識したときに、それらの始端位置と中間位置とに対応位置する2個の基材検出センサ39a,39bからの基材検出信号の入力がない場合において、搬送コンベア32上の始端位置と中間位置に位置する支持ジグ34にて基材Aや基材Bが何等支持されていないことを、成形エリア用制御装置44が判断するようになっている。
【0045】
そして、成形エリア用制御装置44が、支持ジグ検出信号と基材検出信号とに基づいて、搬送コンベア32上の始端位置と中間位置での支持ジグ34の存在を認識すると共に、それら始端位置と中間位置の支持ジグ34にて基材Aや基材Bが支持されていないと判断し、且つ型開き信号と型閉じ信号の入力に基づいて、成形金型の型開き状態を判断したときに、第一及び第二の基材離型装置36a,36bの作動の開始が、成形エリア用制御装置44にて許可されるようになっている。また、それら第一及び第二の基材離型装置36a,36bのそれぞれからは、1回の作動が完了する毎に、作動完了信号が、成形エリア用制御装置44に出力されるようになっている。
【0046】
また、成形エリア用制御装置44では、第一及び第二の基材離型装置36a,36bからの作動完了信号の入力順序に基づいて、第一及び第二の射出成形装置10a,10bの作動開始当初からの基材Aと基材Bの成形順序が把握されるようになっている。このとき、成形エリア用制御装置44からは、そこで把握される基材Aと基材Bの成形順序を信号化した基材成形順序検出信号が、後述する移送エリア用制御装置66に出力されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、第一及び第二の基材離型装置36a,36bから出力される作動完了信号によって、各成形装置から出力される基材成形信号が構成されている。
【0047】
なお、成形エリア用制御装置44が、搬送コンベア32上の中間位置での基材Aや基材Bの存在を認識したものの、その始端位置には基材Aが存在しないと判断した際には、かかる始端位置に支持ジグ34が存在し、且つ成形金型の型開き中であるとの判断の下で、第一の基材離型装置36aの作動のみが、成形エリア用制御装置44にて許可されるようになっている。一方、成形エリア用制御装置44が、搬送コンベア32上の始端位置での基材Aの存在を認識したものの、その中間位置には基材Aや基材Bが存在しないと判断した際には、かかる中間位置に支持ジグ34が存在し、且つ成形金型の型開き中であるとの判断の下で、第二の基材離型装置36bの作動のみが、成形エリア用制御装置44にて許可されるようになっている。
【0048】
また、第一及び第二の基材離型装置36a,36bのそれぞれの1回の作動開始から終了まで(基材Aや基材Bのゲートカットから搬送コンベア32上の支持ジグ34への支持まで)の間は、成形エリア用制御装置44によって、搬送コンベア32の作動が、一旦、停止させられるようになっている。更に、成形エリア用制御装置44が、搬送コンベア32上の終端位置に対応位置する基材検出センサ39cからの基材検出信号の入力により、搬送コンベア32上の終端位置に基材Aや基材Bが存在していると判断したときには、搬送コンベア32の作動が停止させられるようになっている。つまり、搬送コンベア32上の終端位置に位置する支持ジグ34にて基材Aや基材Bが支持されていないときに限って、搬送コンベア32による基材Aや基材Bの搬送が行われるようになっているのである。
【0049】
一方、移送エリア24に設置された移送ライン16は、図1に示されるように、成形エリア18と金属薄膜形成エリア20と塗膜形成エリア22とにて周りが取り囲まれるように配置されている。そして、成形エリア18の直近位置から金属薄膜形成エリア20の直近位置との間に延びる部分からなる基材移送ライン部と、金属薄膜形成エリア20の直近位置と塗膜形成エリア22の直近位置との間に延びる部分からなる中間製品移送ライン部と、塗膜形成エリア22の直近位置と成膜エリア18の直近位置との間に延びる部分からなる保持ジグ移送ライン部とを有している。
【0050】
これにより、移送ライン16が、搬送コンベア32上から移送ライン16上に移動させられた基材Aや基材Bを保持する第一基材保持装置52や第二基材保持装置53(何れも、図1に二点鎖線で示す)を、移送エリア24内において、成形エリア18と金属薄膜形成エリア20と塗膜形成エリア22のそれぞれの直近位置の間で循環させ得るようになっている。
【0051】
また、図2に示されるように、移送ライン16は、互いに並行して延びる第一ローラコンベア54aと第二ローラコンベア54bとを備えている。それら第一及び第二ローラコンベア54a,54bは、架台55a,55bと、それらの架台55a,55bに取り付けられた駆動ローラ56a,56bとを備え、互いに同一の構造とされている。駆動ローラ56a,56bは、架台55a,55bにそれぞれ固定された、図示しない駆動モータの駆動に伴って、一方向に、常時、回転駆動するようになっている。但し、第一ローラコンベア54aの駆動ローラ56aと第二ローラコンベア54bの駆動ローラ56bとは、回転駆動方向が互いに逆方向とされている。それによって、第一ローラコンベア54aによる第一及び第二基材保持装置52,53の搬送方向と、第二ローラコンベア54bによる第一及び第二基材保持装置52,53の搬送方向とが、互いに逆方向とされている。
【0052】
また、第一ローラコンベア54aにおいては、第一及び第二基材保持装置52,53の移送方向(図2の白抜きの矢印方向)始端側と終端側に位置する架台55aの長さ方向両側の端部に、平板形状を呈する始端側ストッパ57aと終端側ストッパ58aとが、上方に突出するように、それぞれ固設されている。更に、第一ローラコンベア54aにおける第一及び第二基材保持装置52,53の移送方向中間部において、かかる移送方向に互いに所定距離を隔てた4箇所には、平板状の中間ストッパ59がそれぞれ1個ずつ配置されている。そして、それらが、第一ローラコンベア54aの始端側から順に、第一中間ストッパ59a,第二中間ストッパ59b,第三中間ストッパ59c,第四中間ストッパ59dとされている。
【0053】
これにより、第一ローラコンベア54aが、始端側ストッパ57aと第一中間ストッパ59aとにて挟まれた部分と、第一乃至第四中間ストッパ59a〜59dのうちの互いに隣り合うものの間に挟まれた三つの部分と、第四中間ストッパ59dと終端側ストッパ58aとにて挟まれた部分の合計五つの部分に区切られている。そして、そのような五つの部分が、第一ローラコンベア54aの始端側から順に、始端側支持ステーション60a,中間第一支持ステーション60b,中間第二支持ステーション60c,中間第三支持ステーション60d,終端側支持ステーション60eとされている。
【0054】
一方、第二ローラコンベア54bにあっては、第一及び第二基材保持装置52,53の移送方向の始端縁と終端縁とに位置する架台55bの長さ方向両側の端部に、始端側ストッパ57bと終端側ストッパ58bとが、それぞれ固設されている。また、第一及び第二基材保持装置52,53の移送方向中間部において、かかる移送方向に互いに所定距離を隔てた4箇所には、中間ストッパ59が、それぞれ1個ずつ配置され、それらが、第二ローラコンベア54bの始端側から順に、第一中間ストッパ59e,第二中間ストッパ59f,第三中間ストッパ59g,第三中間ストッパ59hとされている。更に、第二ローラコンベア54bでは、始端側ストッパ57bと終端側ストッパ58bと第一乃至第四中間ストッパ59e,59f,59g,59hとにて五つの部分に区切られて、それら五つの部分が、第二ローラコンベア54bの始端側から順に、始端側支持ステーション60f,中間第一支持ステーション60g,中間第二支持ステーション60h,中間第三支持ステーション60i,終端側支持ステーション60jとされている。
【0055】
また、第一ローラコンベア54aと第二ローラコンベア54bの始端側、中間第一乃至中間第四、及び終端側支持ステーション60a〜60jは、何れも、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53のうちの何れか一方を支持可能とされている。更に、それら各支持ステーション60a〜60jには、前記駆動ローラ56a,56bの複数個ずつが、それぞれ配置されている。
【0056】
そして、図1及び図2に示されるように、かかる移送ライン16においては、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eから第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gまでの間に位置する各支持ステーション60e〜60gが、第一及び第二の射出成形装置10a,10bと金属薄膜形成装置12との間に並んで配置されている。また、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gから第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aまでの間に位置する各支持ステーション60g〜60aが、金属薄膜形成装置12と塗膜形成装置14との間に並んで配置されている。更に、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aから終端側支持ステーション60eまでの間に位置する各支持ステーション60a〜60eが、塗膜形成装置14と第一及び第二の射出成形装置10a,10bとの間に並んで配置されている。
【0057】
これによって、移送ライン16における第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eから第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gまでの間の部分が、成形エリア18の直近位置から金属薄膜形成エリア20の直近位置との間に延びる、第一の移送装置としての前記基材移送ライン部とされている。また、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gから第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aまでの間の部分が、金属薄膜形成エリア20の直近位置と塗膜形成エリア22の直近位置との間に延びる、第二の移送装置としての前記中間製品移送ライン部とされている。更に、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aから終端側支持ステーション60eまでの間の部分が、塗膜形成エリア22の直近位置と成膜エリア18の直近位置との間に延びる前記保持ジグ移送ライン部とされている。
【0058】
ところで、第一及び第二ローラコンベア54a,54bの第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hは、何れも、架台55a,55bに対して、上下動可能に取り付けられている。そして、その上下動に伴って、各支持ステーション60a〜60jの上面(第一及び第二基材保持装置52,53の支持面)から所定高さで突出する突出位置と、かかる上面から何等突出しないように引き込まれる引込位置との間において、突出/引込作動されるようになっている。なお、そのような第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hの突出/引込作動は、例えば、第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hに対して、架台55a,55bにそれぞれ設置された図示しない電動モータの正逆方向への回転駆動力が、ピニオンとラックの組合せによる歯車機構等(図示せず)により、上下方向への駆動力として伝達されることによって、容易に実現される。
【0059】
かくして、第一及び第二ローラコンベア54a,54bでは、第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hが引き込まれたときに、始端側及び中間第一乃至中間第三支持ステーション60a〜60d,60f〜60iに支持された第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、それら各支持ステーション60a〜60d,60f〜60iにそれぞれ設けられた複数のローラ54a,54bの回転によって、終端側支持ステーション60e,60j側に移送されるようになっている。また、第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hが突出しているときには、各ローラ54a,54bが常時回転しているにも拘わらず、始端側及び中間第一乃至中間第三ステーション60a〜60d,60f〜60iに支持された第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hに当接して、終端側支持ステーション60e,60j側に移送されないようになっている。
【0060】
すなわち、第一及び第二ローラコンベア54a,54bにおいては、第一乃至第四中間ストッパ59a〜59hの突出/引込作動に応じて、始端側及び中間第一乃至中間第三ステーション60a〜60d,60f〜60iに支持された第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、終端側支持ステーション60e,60j側に位置する次の支持ステーション60に、順送りに移送される(送り出される)ようになっている。
【0061】
具体的に例示すると、第一中間ストッパ59aが突出位置に位置しているときには、始端側支持ステーション60aに支持された第一又は第二基材保持装置52,53が始端側支持ステーション60aに止められ、第一中間ストッパ59aが突出位置から引き込まれると、始端側支持ステーション60aに支持された第一又は第二基材保持装置52,53が中間第一支持ステーション60bに移送される。そして、かかる第一及び第二基材保持装置52,53が、中間第一支持ステーション60bに移送されたときに、第二中間ストッパ59bが突出位置に位置していると、第一又は第二基材保持装置52,53が中間第一支持ステーション60bに止められ、第二中間ストッパ59bが引き込まれると、中間第二支持ステーション60cに移送される。そうして、各中間ストッパ59a〜59dの突出位置からの引込作動により、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、現在支持されている支持ステーション60から次の支持ステーション60に、一つずつ、順に移送されていくようになっているのである。なお、終端側支持ステーション60e,60jにまで移送された第一基材保持装置52や第二基材保持装置52は、終端側ストッパ58a,58bとの当接によって、第一及び第二ローラコンベア54a,54b上から転落することなく、終端側支持ステーション60e,60j上での支持状態が維持される。
【0062】
また、図2及び図3に示されるように、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eと、第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fとの間には、2本の移送用ベルト62a,62aが、回転端を水平方向両側に有した状態で架け渡されている。
【0063】
すなわち、終端側支持ステーション60eと始端側支持ステーション60fとの間には、それらに跨って、水平方向に延びる支持フレーム61aが、配置されている。また、支持フレーム61aの長さ方向両端部(終端側支持ステーション60e側の端部と始端側支持ステーション60f側の端部)における幅方向両側部位には、水平方向に突出する回転軸(図示せず)がそれぞれ設けられて、それらの回転軸に対して、プーリ64aが、それぞれ取り付けられている。そして、それら4個のプーリ64a,64a,64a,64aのうち、支持フレーム61aの長さ方向両側において、その幅方向一方側にそれぞれ位置する2個のプーリ64a,64aと、幅方向他方側にそれぞれ位置する残りの2個のプーリ64a,64aとに対して、移送用ベルト62aが、それぞれ架け渡されている。また、支持フレーム61aの長さ方向一方側に位置する2個のプーリ64a,64aが、図示しない駆動モータにより、同期して回転駆動させられるようになっている。これにより、2本の移送用ベルト62a,62aが、駆動モータの駆動に基づいて、同一速度で走行するようになっている。また、その走行方向が、各プーリ64aよりも上側に位置するベルト部分を、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60e側から第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60f側に向かって走行させる方向とされている。
【0064】
また、支持フレーム61aは、図示しない昇降機構にて昇降(上下動)させられるようになっている。それによって、4個のプーリ64a,64a,64a,64aと、それらに架け渡された2本の移送用ベルト62a,62aとが、一斉に昇降するようになっている。なお、支持フレーム61aが上昇したときには、2本の移送用ベルト62a,62aの各プーリ64aよりも上側に位置する部分が、終端側及び始端側支持ステーション60e,60fにそれぞれ設置された複数の駆動ローラ56a,56bよりも所定寸法だけ高い高さに位置させられる。そして、支持フレーム61aが下降したときには、2本の移送用ベルト62a,62aの各プーリ64aよりも上側に位置する部分が、それら複数の駆動ローラ56a,56bよりも所定寸法だけ低い高さに位置させられる。即ち、2本の移送用ベルト62a,62aは、支持フレーム61aの昇降に伴って、終端側及び始端側支持ステーション60e,60fの上面(第一及び第二基材保持装置52,53を支持する移送ライン16の上面)から突出する位置(図3に二点鎖線で示される位置)と、そこから引き込まれた位置(図3に実線で示される位置)との間で上下動させられるようになっているのである。
【0065】
なお、支持フレーム61aを昇降させるための機構は、公知の構造により実現される。例えば、第一ローラコンベア54aの架台55aに設置された空気圧シリンダ(図示せず)を支持フレーム61aに連結して、かかる空気圧シリンダの突出/引込作動に伴って、支持フレーム61aを昇降させる構造等が、かかる昇降機構の構造として採用されるのである。
【0066】
一方、第二ローラコンベア54bの終端側支持ステーション60jと、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aとの間にも、2本の移送用ベルト62b,62bが、回転端を水平方向両側に有した状態で架け渡されている。それらの2本の移送用ベルト62b,62bは、終端側支持ステーション60eと始端側支持ステーション60fとの間に架け渡された2本の移送用ベルト62a,62aと同様な構造とされている。
【0067】
それによって、2本の移送用ベルト62b,62bが、図示しない駆動モータの駆動に基づいて、同一速度で走行するようになっている。また、その走行方向が、支持フレーム61bに設けられた各プーリ64bよりも上側に位置するベルト部分を、第二ローラコンベア54bの終端側支持ステーション60jから第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60a側に向かって走行させる方向とされている。更に、2本の移送用ベルト62b,62bの各プーリ64bよりも上側に位置する部分が、支持フレーム61bの昇降によって、終端側及び始端側支持ステーション60j,60aの上面(第一及び第二基材保持装置52,53を支持する移送ライン16の上面)から突出する位置(図3に二点鎖線で示される位置)と、そこから引き込まれた位置(図3に実線で示される位置)との間で上下動させられるようになっているのである。
【0068】
かくして、2本の移送用ベルト62a,62aが、移送ライン16の上面から突出して、回転駆動することにより、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eに支持された第一基材保持装置52又は第二基材保持装置53が、2本の移送用ベルト62a,62aにて支持されつつ、第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fに移送されるようになっている。そして、そのような第一又は第二基材保持装置52,53の移送が完了すると同時に、2本の移送用ベルト62a,62aが移送ライン16の上面から引き込まれることにより、第一又は第二基材保持装置52,53が、第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fにて支持されるようになっている。
【0069】
またそれと同様に、2本の移送用ベルト62b,62bが、回転駆動すると共に、移送ライン16の上面から突出/引込作動することによって、第一又は第二基材保持装置52,53が、第二ローラコンベア54bの終端側支持ステーション60jから第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aに移送され、そこで支持されるようになっている。
【0070】
このように、移送ライン16では、第一ローラコンベア54aと第二ローラコンベア54bにそれぞれ設けられた駆動ローラ56a,56bと、移送用ベルト62a,62bと、始端側及び終端側ストッパ57a,57b,58a,58bと、中間ストッパ59a〜59hとの協働により、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第一ローラコンベア54aの5個の支持ステーション60a〜60e上と第二ローラコンベア54bの5個の支持ステーション60f〜60j上とを、第一ローラコンベア54aの始端部から終端部へ、更に第二ローラコンベア54bの始端部から終端部へと向かう流れで、一つずつ順送りに移送可能とされて、巡回され得るように構成されているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、駆動ローラ56a,56bと、移送用ベルト62a,62bと、始端側及び終端側ストッパ57a,57b,58a,58bと、中間ストッパ59a〜59hとにて、送出し機構が構成されている。
【0071】
そして、図1に示されるように、基材A又は基材Bを成形エリア18内の搬送コンベア32から移送ライン16上に移動させる前記移動装置41が、前記搬送コンベア32の終端位置と第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eとの間に設置されている。
【0072】
かくして、搬送コンベア32の終端位置にまで搬送された基材A又は基材Bが、かかる移動装置41のロボットアーム42にて、終端側支持ステーション60e上に支持される第一基材保持装置52又は第二基材保持装置53に保持させられるようになっている。そして、それによって、基材A又は基材Bが、それらを保持する第一又は第二基材保持装置52,53と共に、移送ライン16上を、各基材保持装置52,53の移送方向と同一方向において、順送りに移送されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、成形エリア18に設置された第一及び第二の基材離型装置36a,36bと搬送コンベア32と移動装置41とにて、基材取出し装置が構成されている。また、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eにて、第一支持ステーションが構成されている。
【0073】
また、図1及び図2から明らかなように、移送エリア24内の移送ライン16の周囲には、光電センサや赤外線センサ等からなる基材保持装置検出センサ63が、各支持ステーション60a〜60jに対してそれぞれ1個ずつ対応位置するように設置されている。更に、移送エリア24には、それら各基材保持装置検出センサ63からの基材保持装置検出信号が入力される移送エリア用制御装置66が設置されている。
【0074】
かかる移送エリア用制御装置66は、各基材保持装置検出センサ63から入力される基材保持装置検出信号に基づいて、各支持ステーション60a〜60j上に第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が支持されているか否かを、また、支持されているものが第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とのうちの何れであるかを、各支持ステーション60a〜60j毎に常に監視して、判断するようになっている。更に、移送エリア用制御装置66では、各支持ステーション60a〜60j上に支持されているのが第一基材保持装置52であるか第二基材保持装置53であるかの判断に基づいて、各支持ステーション60a〜60j上に第一又は第二基材保持装置52,53にて保持されているものが基材Aと基材Bの何れであるかを把握するようになっている。
【0075】
そして、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aと中間第一乃至第三支持ステーション60b〜60dに支持されているときと、それらが第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fと中間第一乃至第三支持ステーション60g〜60iに支持されているときには、先ず、第一又は第二基材保持装置52,53を支持する支持ステーション60よりも下流側において、かかる支持ステーション60と隣り合って位置する次の支持ステーション60に、第一又は第二基材保持装置52,53が支持されているか否かが、基材保持装置検出センサ63と移送エリア用制御装置66にて判断される。そこで、それが否と判断されると、第一又は第二基材保持装置52,53を支持する支持ステーション60と次の支持ステーション60との間に設置された中間ストッパ59が、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で引込作動する。そうして、第一又は第二基材保持装置52,53が、支持されている支持ステーション60上から、次の支持ステーション60上に送り出されるようになっているのである。
【0076】
また、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eに支持されているときには、先ず、第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60f上に第一又は第二基材保持装置52,53が支持されているか否かが、基材保持装置検出センサ63と移送エリア用制御装置66にて判断される。そこで、否と判断されると、終端側支持ステーション60eと始端側支持ステーション60fとの間に架設された2本の移送ベルト62a,62aが、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で回転駆動すると共に、上昇する。そして、それにより、終端側支持ステーション60e上の第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、始端側支持ステーション60f上に送り出されるようになっているのである。
【0077】
さらに、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第二ローラコンベア54bの終端側支持ステーション60jに支持されているときには、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60a上に第一及び第二基材保持装置52,53が支持されているか否かが、基材保持装置検出センサ63と移送エリア用制御装置66にて判断される。そこで、否と判断されると、終端側支持ステーション60jと始端側支持ステーション60aとの間に架設された2本の移送ベルト62b,62bが、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で回転駆動すると共に、上昇する。そして、それにより、終端側支持ステーション60j上の第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、始端側支持ステーション60a上に送り出されるようになっているのである。
【0078】
また、第一又は第二基材保持装置52,53を支持している一つの支持ステーション60と、それよりも第一又は第二基材保持装置52,53の移送方向下流側において、第一又は第二基材保持装置52,53を支持している別の支持ステーション60との間に、第一又は第二基材保持装置52,53を何等支持していない支持ステーション60が複数存在することが基材保持装置検出センサ63と移送エリア用制御装置66にて判断された場合には、第一又は第二基材保持装置52,53を支持している二つの支持ステーション60,60の間に位置する全ての中間ストッパ59の引込作動が一斉に行われ、或いはそれらの支持ステーション60,60の間に位置する全て移送用ベルト62aの回転駆動及び昇降作動が行われる。
【0079】
これによって、上流側に位置する一つの支持ステーション60に支持されている第一又は第二基材保持装置52,53が、その一つの支持ステーション60と、第一又は第二基材保持装置52,53を支持した状態で下流側に位置する別の支持ステーション60との間に位置する各支持ステーション60毎に一旦停止させられることなく、それらを通過して、かかる別の支持ステーション60の一つ手前(上流側)の支持ステーション60まで、一挙に移送されるようになっているのである。
【0080】
さらに、ここでは、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60e上に、第一又は第二基材保持装置52,53が支持されていることが基材保持装置検出センサ63と移送エリア用制御装置66にて判断されたときに、移送エリア用制御装置66から成形エリア用制御装置44に基材移動許可信号が出力されるようになっている。そして、そのような成形エリア用制御装置44への基材移動許可信号に基づいて、移動装置41が、成形エリア用制御装置44の作動制御の下で作動させられる。
【0081】
これにより、終端側支持ステーション60e上に、第一又は第二基材保持装置52,53が支持されているときに限って、成形エリア18内の搬送コンベア32の終端位置にある支持ジグ34に支持された基材A又は基材Bが、移動装置41にて、終端側支持ステーション60e側に移動させられると共に、かかる終端側支持ステーション60e上の第一又は第二基材保持装置52,53に保持させられるようになっているのである。
【0082】
なお、搬送コンベア32の作動により終端位置まで次々と搬送される基材A又は基材Bを、移動装置41にて、終端側支持ステーション60e上の第一又は第二基材保持装置52,53に逐次保持させる操作が連続して実施される場合には、終端側支持ステーション60e上の第一又は第二基材保持装置52,53が、第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fに移送された後に、次回の移動装置41による基材A又は基材Bの移動操作が行われるように、移動装置41が、移送エリア用制御装置66と成形エリア用制御装置44によって間接的に或いは直接的に作動制御される。
【0083】
すなわち、終端側支持ステーション60e上の第一又は第二基材保持装置52,53が、それらに保持された基材A又は基材Bと共に、第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fに送り出されて、その送出しが完了したときに、移送エリア用制御装置66から成形エリア用制御装置44に、移送操作の完了信号が出力される。そして、そのような完了信号に基づいて、移動装置41が、成形エリア用制御装置44の制御の下で作動し、それによって、次回の移動装置41による基材A又は基材Bの移動操作が行われるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、成形エリア用制御装置44にて、第一の制御装置が構成されている。
【0084】
また、移送ライン16の移送により、第一又は第二基材保持装置52,53が、終端側支持ステーション60e上に移送されたときに、基材A又は基材Bが搬送コンベア32の終端位置に位置していても、移動装置41による基材A又は基材Bの第一又は第二基材保持装置52,53への保持操作が必ず実施されるものではない。場合によっては、そのような保持操作が行われることなく、第一又は第二基材保持装置52,53が、基材A又は基材Bを何等保持しない状態で、第二ローラコンベア54bの下側支持ステーション60fに送り出されることがある。この基材A又は基材Bを保持していない第一又は第二基材保持装置52,53の終端側支持ステーション60fからの送出しは、後述するように、金属薄膜形成装置12から取り出された中間製品を第一又は第二基材保持装置52,53にて保持させる必要がある場合に実施される。
【0085】
ところで、図2に示されるように、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gには、4本の押上げピン67,67,67,67と、2本の突上げピン68,68とが、それぞれ、配置されている。それら4本の押上げピン67,67,67,67は、中間第一支持ステーション60gの四隅に配置されている。また、2本の突上げピン68,68は、第二ローラコンベア54bの幅方向一方側(図2の上側)に位置する2本の押上げピン67,67の内側に、それらと並んで配置されている。そして、それらの押上げピン67と突上げピン68は、何れも、架台55に設置された、図示しない空気圧シリンダ等のアクチュエータに連結されている。これにより、かかるアクチュエータの突出/引込作動に伴って、各押上げピン67と突上げピン68のそれぞれの先端部が、中間第一支持ステーション60gの上面から突出/引込させられるようになっている。
【0086】
また、ここでは、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60g上に、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が支持されていることが、中間第一支持ステーション60gに対応位置する基材保持装置検出センサ63にて検出されると、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で、アクチュエータが突出/引込作動させられるようになっている。そして、突上げピン68の中間第一支持ステーション60g上面からの突出ストロークが、各押上ピン67のそれよりも大きくされている。
【0087】
従って、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gにまで移送されてきたときに、4本の押上げピン67,67,67,67が中間第一支持ステーション60gの上面から突出し、それによって、第一及び第二基材保持装置52,53の全体が、各押上げピン67の突出ストローク分だけ、押し上げられるようになっている。また、そのような第一及び第二基材保持装置52,53全体の押上げ状態下で、2本の突上げピン68,68も、中間第一支持ステーション60gの上面から突出して、後述する第一及び第二基材保持装置52,53の各ケーシング94だけが、各突上げピン68の突出ストローク分だけ、更に押し上げられるようになっている。
【0088】
一方、上記の如き構造とされた移送ライン16にて移送される第一基材保持装置52と第二基材保持装置53は、図4乃至図8に示されるように、パレット70と、第一保持ジグ本体としての基材保持ジグ72とを備えた、互いに同一の基本構造を有している。そして、基材Aや基材Bを保持する部位のみが、互いに異なる構造とされている。なお、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53は、それぞれの背面形態が同一とされている。そのため、第一基材保持装置52の背面形態を示す図8に対して、第二基材保持装置53が有する部材乃至は部位の符号を括弧付きで付すことにより、第二基材保持装置53の背面形態を示す図を省略して、かかる図8を援用しつつ、第二基材保持装置53の構造を説明する。
【0089】
第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とがそれぞれ有するパレット70は、全体として、長手矩形の平板形状を有している。かかるパレット70の長さ方向中間部には、2個の脚部と天板部とを備えたテーブル74が固設されており、このテーブル74の天板部の上面が、パレット70の幅方向に延びる水平面76とされている。
【0090】
また、図4及び図6に示されるように、パレット70の長さ方向(図4及び図6中、左右方向)の一端部には、ベース部78と支持部80とを一体的に備えたギヤ用ブラケット82が、ベース部78において、パレット70上に載置された状態で、固設されている。このギヤ用ブラケット82の支持部80には、公知の構造を有する第一非接触ギヤ84aと第二非接触ギヤ84bとが両端に取り付けられた回転軸86が、パレット70の長さ方向に延びるように支持されている。一方、ベース部78は、その上面が水平面からなる基準面87とされており、かかる基準面87には、2個の位置決めピン88,88が、パレット70の幅方向(図8の左右方向)両側から上方に突出するように、一体的に立設されている。また、ギヤ用ブラケット82が固設される、パレット70の長さ方向一端部の幅方向両端側には、パレット70とギヤ用ブラケット82のベース部78とを貫通して延びる突上げピン挿通孔90が、それぞれ1個ずつ、穿設されている。なお、図4乃至図6中、92は、パレット70に対して、その軽量化のために穿設された肉抜け部である。
【0091】
そして、図4乃至図8に示されるように、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53の各パレット70には、基材保持ジグ72が、ギヤ用ブラケット82のベース部78の基準面87上に載置されている。
【0092】
図4、図6、及び図8から明らかなように、基材保持ジグ72は、下方に向かって開口する矩形の筐体形状を呈するケーシング94を有している。このケーシング94の下方への開口部には、2個の内フランジ部96,96が一体形成されている。それら2個の内フランジ部96,96は、ケーシング94の長さ方向(図8中、左右方向)両側に位置する開口縁部から、ケーシング94の中心軸に直角な方向において、開口部の内側にそれぞれ延び出している。そして、それら2個の内フランジ部96,96には、位置決め孔98が、それぞれ1個ずつ穿設されている。
【0093】
また、図示されてはいないものの、ケーシング94の外面には、移送ライン16の周囲に設置された、光電センサや赤外線センサ等からなる基材保持装置検出センサ63からの発射光を反射する反射部が、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53との間で互いに異なる箇所に設けられている。これにより、基材保持装置検出センサ63からの発射光に対する反射光の有無や、かかる反射光の反射位置の違い等に基づいて、各支持ステーション60a〜60jに、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が支持されているか否かと、支持された基材保持装置52,53の種類、更には基材保持装置52,53にて保持された基材Aや基材Bの種類等が、検出されるようになっている。
【0094】
さらに、ケーシング94の幅方向(図4及び図6中、左右方向)において互いに対向する2個の側壁部のうちの一方の下端部には、切欠部100が設けられている。更に、他方の側壁部には、2個の回転軸102,102が、かかる側壁部を貫通して延びるように、水平方向に並んで支持されている。また、それら各回転軸102のケーシング94内への突入側の端部には、公知の構造を有する第三非接触ギヤ104が、それぞれ取り付けられている。
【0095】
そして、そのようなケーシング94が、切欠部100内に、ギヤ用ブラケット82の支持部80を嵌合させ、且つギヤ用ブラケット82のベース部78の基準面87上に対して、2個の内フランジ部96,96を重ね合わせた状態で、ギヤ用ブラケット82に載置されている。これにより、ケーシング94のギヤ用ブラケット82への載置状態下で、基材保持ジグ72(ケーシング94)が、その中心軸が鉛直方向に延出させた状態で配置されるようになっている。
【0096】
また、そのようなケーシング94のギヤ用ブラケット82への載置状態下では、ギヤ用ブラケット82の支持部80に支持された回転軸86の一端側に取り付けられた第一非接触ギヤ84aが、ケーシング94内に突入し、ケーシング94内に位置する第三非接触ギヤ104と非接触で近接配置されている。一方、回転軸86の他端側に取り付けられた第二非接触ギヤ84bは、パレット70の長さ方向の端縁から外方に突出して配置されている。そして、この第二非接触ギヤ84bは、前記金属薄膜形成装置12の外側面に設けられた、図示しない駆動モータによって回転駆動する、後述の駆動用非接触ギヤ123の回転駆動によって、第一非接触ギヤ84aと共に回転駆動するようになっている(図10参照)。また、それら第一及び第二非接触ギヤ84a,84bの回動駆動に伴って、第三非接触ギヤ104も回転駆動するようになっている。
【0097】
そして、図4乃至図7に示されるように、第三非接触ギヤ104が取り付けられる回転軸102のケーシング94外への突出側端部には、第一基材保持装置52では、基材Aを保持可能な第一基材保持部106が、また、第二基材保持装置53では、基材Bを保持可能な第二基材保持部108が、それぞれ固定されている。そして、これら第一基材保持部106と第二基材保持部108が、ここでは、第一保持部を構成し、上記したように、互いに異なる構造とされているのである。
【0098】
すなわち、図4及び図5に示される如く、第一基材保持部106は、回転軸102のケーシング94外への突出端に固定される固定部110と、かかる固定部110に突設された取付突起112とを有している。また、取付突起112の側面には、半球状の係止突起114が、突出/引込可能に設けられている。この係止突起114は、取付突起112の側面から引き込まれた際に、取付突起112に内蔵のばね部材(図示せず)にて、外方への突出方向に付勢されるようになっている。そして、そのような第一基材保持装置106の取付突起112が、図4及び図5に二点鎖線で示される基材Aに設けられた取付凹部内に嵌入されるようになっている。その際、係止突起114が、基材Aに対して、図示しないばね部材による付勢状態で係止される。
【0099】
かくして、基材Aの取付凹部内への取付突起112の嵌入によって、基材Aが、第一基材保持部106に対して、取り外し可能に取り付けられるようになっている。また、係止突起114の基材Aへの係止により、かかる基材Aの第一基材保持部106に対する取付状態が容易には解消されないようになっている。そして、そのようにして第一基材保持部106に取り付けられた基材Aが、第三非接触ギヤ104の回転に伴って、第一基材保持部106と共に、回転軸102回りに一体回転し得るようになっているのである。
【0100】
一方、図6及び図7に示される如く、第二基材保持部108は、回転軸102のケーシング94外への突出端に固定される固定部116と、かかる固定部116に突設された取付部118とを有している。また、取付部118には、上方に向かって開口する取付凹部120が設けられており、かかる取付凹部120の側面には、半球状の係止突起122が、突出/引込可能に設けられている。この係止突起122は、第一基材保持部106の取付突起112に設けられた係止突起114と同一の構造を有している。そして、図6及び図7に二点鎖線で示される基材Bが、第二基材保持部108の取付凹部120内に嵌入されるようになっている。
【0101】
かくして、第二基材保持部108の取付凹部120内への基材Bの嵌入によって、基材Bが、第二基材保持部108に対して、取り外し可能に取り付けられ、また、係止突起122の基材Bへの係止により、かかる基材Bの第二基材保持部108に対する取付状態が容易には解消されないようになっている。そして、そのようにして第二基材保持部108に取り付けられた基材Bが、第三非接触ギヤ104の回転に伴って、第二基材保持部108と共に、回転軸102回りに一体回転し得るようになっているのである。
【0102】
なお、第一基材保持部106の取付突起112と第二基材保持部108の取付部118は、それぞれの下面が平坦面とされている。そして、それら取付突起112と取付部118とが、その下面において、パレット70に設けられた前記テーブル74の水平面76に重ね合わされている。それ故、テーブル74の水平面76に対する取付突起112や取付部118の重合せ状態が解消されない限り、第一基材保持部106及びそれに保持される基材Aの回転軸102回りの回転と、第二基材保持部108及びそれに保持される基材Bの回転軸102回りの回転とが、阻止されるようになっている。また、それによって、第一基材保持部106及びそれに保持される基材Aの回転軸102回りの回転位置(周方向位置)と、第二基材保持部108及びそれに保持される基材Bの回転軸102回りの回転位置(周方向位置)とが、取付突起112や取付部118とテーブル74の水平面76との重合せ状態下において、常に一定の基準回転位置となるように構成されている。
【0103】
さらに、図示されてはいないものの、第一基材保持部106の取付突起112と第二基材保持部108の取付部118には、それぞれ、ライン等の所定のマークが付されている。また、ケーシング94にも、ライン等の所定のマークが付されている。そして、第一及び第二基材保持部106,108が前記基準回転位置に位置しているときには、取付突起112と取付部118のそれぞれのマークとケーシング94のマークとが、予め定められた位置で、特定の方向に並ぶように設定されている。従って、それら取付突起112と取付部118のそれぞれのマークと、ケーシング94のマークの位置関係を確認することにより、第一及び第二基材保持部106,108が基準回転位置に位置しているか否かが、容易に把握されるようになっている。
【0104】
そして、図2に示されているように、第二ローラコンベア54bの中間第二支持ステーション60hと第一ローラコンベア54aとの間には、例えば、センサカメラ等からなるマーク検出センサ121が設置されている。このマーク検出センサ121は、中間第一支持ステーション60gに、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が支持されているときに、第一基材保持部106の取付突起112のマーク及び第二基材保持部108の取付部118のマークと、ケーシング94のマークとの位置関係、具体的には、それらのマークが所定の位置で特定の方向に並んでいるか、或いは位置ズレしているか、また、位置ズレしていれば、周方向のどちらの方向にどれだけの角度で位置ズレしているのかを信号化して、移送エリア用制御装置66に出力するようになっている。
【0105】
一方、前記金属薄膜形成装置12の外側面には、図示しない駆動モータによって回転駆動する駆動用非接触ギヤ123が、中間第一支持ステーション60gの側方に対応位置するように設置されている(図10参照)。そして、取付突起112や取付部118のマークとケーシング94のマークとが位置ズレしているときには、かかる駆動用非接触ギヤ123が、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で、マーク検出センサ121からの入力信号に基づく回転量だけ、回転駆動させられる。それによって、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53の前記第一及び第二非接触ギヤ84a,84bが回転し、それに伴って、第三非接触ギヤ104が回転する。その結果、第一基材保持部106や第二基材保持部108が、基準回転位置まで回転させられるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、マーク検出センサ121と、駆動用非接触ギヤ123と、それを回転駆動させる駆動モータと、第一乃至第三非接触ギヤ84a,84b,104と、テーブル74とによって、第一位置決め機構が構成されている。
【0106】
また、前記したように、第二ローラコンベア54bの中間第一ステーション60gに配設された4個の押上げピン67,67,67,67は、中間第一ステーション60gの上面から突出したときに、第一及び第二基材保持装置52,53の各パレット70の四隅に当接することにより、それら第一及び第二基材保持装置52,53の全体を押し上げるようになっている。
【0107】
かくして、第一及び第二基材保持装置52,53が中間第一ステーション60gに支持されたときに、各押上げピン67による押上げにより、第一及び第二基材保持装置52,53の第二非接触ギヤ84bが、金属薄膜形成装置12の外側面に設置された駆動用非接触ギヤ123と近接配置されるようになる。そして、それにより、駆動用非接触ギヤ123の回転に伴う第二非接触ギヤ84bの回転駆動が可能とされる。即ち、第一及び第二基材保持装置52,53が各押上げピン67にて押し上げられることにより、初めて、前記した第一基材保持部106や第二基材保持部108の基準回転位置への回転が可能な状態となるのである。
【0108】
また、中間第一支持ステーション60gに配設された2個の突上げピン68,68は、中間第一ステーション60gの上面から突出したときに、第一及び第二基材保持装置52,53に、パレット70とギヤ用ブラケット82のベース部78とを貫通して設けられた突上げピン挿通孔90,90を挿通する。そして突上げピン挿通孔90,90を挿通した各突上げピン68,68先端部が、第一及び第二基材保持装置52,53における基材保持ジグ72の各ケーシング94に一体形成された内フランジ部96,96に当接して、基材保持ジグ72を、パレット70から押し上げるようになっている。
【0109】
かくして、突上げピン68,68の突上げによる基材保持ジグ72のパレット70からの押上げに伴って、第一基材保持部106の取付突起112と第二基材保持部108の取付部118とが、パレット70に設けられた前記テーブル74の水平面76から上方に離間させられるようになっている。そして、それにより、第一基材保持部106及びそれに保持される基材Aの回転軸102回りの回転と、第二基材保持部108及びそれに保持される基材Bの回転軸102回りの回転とが許容されるようになっている。
【0110】
一方、図1乃至図3に示されるように、移送エリア24には、上記のような構造を備えた第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とを、それぞれ別個に、複数個ずつ収納する、第一ジグストッカとしての第一収納装置124及び第二収納装置126が設けられている。第一収納装置124は、移送ライン16の第一ローラコンベア54aの側方において、中間第二支持ステーション60cと対応する箇所に設置されている。また、第二収納装置126は、移送ライン16の第一ローラコンベア54aの側方において、中間第三支持ステーション60dと対応する箇所に設置されている。なお、それら第一収納装置124と第二収納装置126は互いに同一の構造を有している。そのため、以下には、第一収納装置124の構造のみを説明し、第二収納装置126については、第一収納装置124と同一構造の部材及び部位について、図2及び図9に同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0111】
図2及び図9に示されるように、第一収納装置124は、架台128と竪形フレーム130とを有している。架台128は、中間第三支持ステーション60c側を除く三方に位置する3個の側壁部を備えた横断面コ字状の筐体からなっている。竪形フレーム130は、上下方向に平行に延びる4本の支柱部132,132,132,132が、それらの上端部と下端部とにおいて、幾つかの柱状連結部134にて相互に組み付けられて構成された矩形の枠状形態を有している。
【0112】
かかる竪形フレーム130の高さ方向に一定の間隔を開けた4箇所には、板状支持突起136が、それぞれ4個ずつ、各支柱部132から内側に突出するように固設されている。これにより、4個の第一基材保持装置52,52,52,52が、それぞれのパレット70の四隅を4個の板状支持突起136,136,136,136にて支持されて、上下方向に1列に並べられた状態で、竪形フレーム130内に収納され得るようになっている。即ち、竪形フレーム130内には、第一基材保持装置52を収納する収納スペース137が、上下方向に1列に並んで、四つ設けられているのである。なお、竪形フレーム130に設けられる板状支持突起136や収納スペース137の個数は、適宜に変更可能である。
【0113】
また、そのような竪形フレーム130の1本の支柱部132の外面には、上下方向に延びるラック138が、支柱部132の全長に満たない長さをもって固設されている。
【0114】
一方、架台128の内側には、枠状案内部(図示せず)が固設されている。この枠状案内部は、内周寸法が、竪形フレーム130の外周寸法よりも一周り大くされている。また、架台128の内周面の周上の一箇所には、ピニオン(図示せず)を内蔵したギヤボックス142が設置されている。なお、このギヤボックス142内のピニオンは、図示しない駆動モータによって、正逆方向に回転駆動させられるようになっている。
【0115】
そして、竪形フレーム130が、枠状案内部にて案内されつつ、上下方向に移動可能な状態で、架台128の内側に収容されている。また、かかる収容状態下で、竪形フレーム130のラック138が、ギヤボックス142内のピニオンに螺合している。かくして、図示しない駆動モータによるピニオンの正逆方向への回転駆動に伴って、竪形フレーム130が、架台128内を昇降させられるようになっている。
【0116】
なお、竪形フレーム130が架台128内で上死点に位置しているときには、竪形フレーム130内に上下方向に並んで形成された4個の収納スペース137,137,137,137のうち、最も下側に位置する収納スペース137の下部が、中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さ位置とされる。一方、竪形フレーム130が架台128内で下死点に位置しているときには、竪形フレーム130内で最も上側に位置する収納スペース137の下部が、中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さ位置とされる。そして、図示しない駆動モータが一定の回転量だけ回転駆動する毎に、各収納スペース137が、中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さ位置とされるようになっている。
【0117】
また、架台128と中間第二支持ステーション60cとの間には、2本の移送用ベルト144,144が、回転端を水平方向両側に有した状態で架け渡されている。それらの2本の移送用ベルト144,144は、第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eと第二ローラコンベア54bの始端側支持ステーション60fとの間や、第二ローラコンベア54bの終端側支持ステーション60jと第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aとの間に、それぞれ2本ずつ架け渡された移送用ベルト62a,62bと同様な構造により、走行及び昇降可能とされている。
【0118】
すなわち、架台128と中間第二支持ステーション60cとに跨って延びる支持フレーム146の長さ方向両端に、2個ずつ取り付けられた4個のプーリ148,148,148,148に対して、2本の移送用ベルト144,144が、架台128と中間第二支持ステーション60c間に延びるように巻き掛けられている。そして、架台128側に設置された2個のプーリ148,148が図示しない駆動モータにて同期して回転駆動することによって、2本の移送用ベルト144,144が、同じ速度で走行するようになっている。なお、ここでは、かかる駆動モータが正逆方向に回転駆動するようになっており、それが正回転したときに、2本の移送用ベルト144,144の各プーリ148よりも上側に位置する部分が、架台128側から中間第二支持ステーション60c側に向かって走行する一方、逆回転したときに、それとは反対側に走行するようになっている。
【0119】
また、2本の移送用ベルト144,144の各プーリ148よりも上側に位置する部分は、支持フレーム146の昇降によって、中間第二支持ステーション60cの上面(第一及び第二基材保持装置52,53の支持面)から突出する位置と、かかる上面から下方に引き込まれた位置との間で上下動させられるようになっている。この支持フレーム146を昇降させるための機構は、例えば、第一収納装置124と第一ローラコンベア54aのそれぞれの架台128,55aに設置された空気圧シリンダ(図示せず)を支持フレーム146に連結し、そして、かかる空気圧シリンダの突出/引込作動に伴って、支持フレーム146を昇降させる構造等において実現される。
【0120】
そして、上記のような構造とされた第一収納装置124内と、それと同一構造を有する第二収納装置126内とにそれぞれ収納された第一基材保持装置52と第二基材保持装置53は、移送エリア用制御装置66の制御下で、第一及び第二収納装置124,126内からそれぞれ自動的に取り出されて、中間第二支持ステーション60c上と中間第三支持ステーション60d上とに移動し、そこで支持されるようになっている。なお、前述したように、第一収納装置124と第二収納装置126とが同一の構造とされている。それ故、以下には、第一収納装置124内からの第一基材保持装置52の自動的な取出し構造についてのみ説明し、第二収納装置126内からの第二基材保持装置53の自動的な取出し構造に関しては省略する。
【0121】
すなわち、第一収納装置124内から第一基材保持装置52を自動的に取り出す際には、先ず、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とが中間第二支持ステーション60c上に何等支持されているか否かが、中間第二支持ステーション60cに対応位置して設置された基材保持装置検出センサ63と移送エリア用制御装置66とにて判断される(図1参照)。そして、そこで、それが否と判断されると、竪形フレーム130が、移送エリア用制御装置66の制御の下で昇降して、図9に示されるように、第一基材保持装置52が収納されている収納スペース137が中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さに位置するように配置される。このとき、第一基材保持装置52が収容されている収納スペース137が、既に、中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さ位置にあるときには、竪形フレーム130の昇降は行われない。
【0122】
なお、ここでは、第一収納装置124の竪形フレーム130に設けられた4個の収納スペース137,137,137,137内のどれに第一基材保持装置52が収納されているかが、移送エリア用制御装置66にて常に把握されている。そのため、第一基材保持装置52が収納されている収納スペース137を中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さに位置させるように、竪形フレーム130を昇降させる際には、移送エリア用制御装置66が把握している第一基材保持装置52の収納データに基づいて、竪形フレーム130の昇降方向と昇降量とが、移送エリア用制御装置66にて決定される。
【0123】
次に、図9に二点鎖線で示されるように、2本の移送用ベルト144,144が上昇して、かかる収納スペース137内に収納された第一基材保持装置52が、4個の板状支持突起136,136,136,136上から2本の移送用ベルト144,144上に移行し、それらに支持される。そして、その状態下で、図示しない駆動モータの正回転駆動に伴って、2本の移送用ベルト144,144が走行することにより、第一基材保持装置52が、第一収納装置124(収納スペース137)内から取り出されて、中間第二支持ステーション60c上に移動させられる。その後、2本の移送用ベルト144,144の走行が停止すると共に、それら2本の移送用ベルト144,144が下降する。これによって、第一収納装置124内から取り出された第一基材保持装置52が、中間第二支持ステーション60c上に支持されるようになる。
【0124】
また、第一基材保持装置52は、中間第二支持ステーション60cにまで移送されてきたときに、移送エリア用制御装置66の制御下で、中間第二支持ステーション60c上から第一収納装置124内に自動的に収納されるようになっている。一方、第二基材保持装置53は、中間第三支持ステーション60dにまで移送されてきたときに、移送エリア用制御装置66の制御下で、中間第三支持ステーション60d上から第二収納装置126内に自動的に収納されるようになっている。なお、第一基材保持装置52の第一収納装置124内への自動的な収納構造と、第二基材保持装置53の第二収納装置126内への自動的な収納構造とは、同一の構造とされている。それ故、以下には、前者の構造のみについて説明し、後者の構造に関しては、その説明を省略する。
【0125】
すなわち、第一基材保持装置52が上流側から移送されてきて、中間第二支持ステーション60cに支持されたことが、基材保持装置検出センサ63にて検出されると、先ず、第一基材保持装置52が収納されていない収納スペース137が中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さに位置するように、竪形フレーム130が昇降させられる。このとき、第一基材保持装置52が収容されていない収納スペース137が、既に、中間第二支持ステーション60cの上面と略同じ高さ位置にあるときには、竪形フレーム130の昇降は行われない。
【0126】
次に、2本の移送用ベルト144,144が上昇して、中間第二支持ステーション60c上に支持された第一基材保持装置52が、2本の移送用ベルト144,144上に移行して、それらに支持される。そして、その状態において、2本の移送用ベルト144,144が、図示しない駆動モータの逆回転駆動に伴って、第一基材保持装置52を第一収納装置124内から取り出す際と逆の方向に走行することにより、第一基材保持装置52が、中間第二支持ステーション60c上から収納スペース137内に移動させられる。その後、2本の移送用ベルト144,144の走行が停止すると共に、それら2本の移送用ベルト144,144が下降する。これによって、収納スペース137内に移動した第一基材保持装置52が、4個の板状支持突起136,136,136,136に支持される。そうして、第一基材保持装置52が、所定の収納スペース137の各板状支持突起136にて支持された状態で、第一収納装置52内に収納されるようになる。
【0127】
なお、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が上流側から中間第二支持ステーション60cや中間第三支持ステーション60dにまで移送されてきたときには、それらが、必ず、第一収納装置124内や第二収納装置126内に自動的に収納されるものではない。場合によっては、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53が、第一収納装置124内や第二収納装置126内に収納されずに、そのまま、終端側支持ステーション60e側に移送されることもある。
【0128】
また、ここでは、中間第二支持ステーション60cや中間第三支持ステーション60dに対応位置する基材装置検出センサ63,63と移送エリア用制御装置66とが協働することで、第一基材保持装置52が、中間第三支持ステーション60d上から第二収納装置126内に自動的に収納されることや、第二基材保持装置53が、中間第二支持ステーション60c上から第一収納装置124内に自動的に収納されることが防止されるようになっている。
【0129】
そして、本実施形態では、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とを第一収納装置124内と第二収納装置126内から取り出すに際して、特に、前記第一及び第二の射出成形装置10a,10bにて成形された基材Aと基材Bの成形順序に従って、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とが、第一及び第二収納装置124,126内から順番に自動的に取り出されるようになっている。
【0130】
すなわち、前記したように、移送エリア用制御装置66には、第一の射出成形装置10aと第二の射出成形装置10bにて成形された基材Aと基材Bの成形順序を信号化した基材成形順序検出信号が、成形エリア用制御装置44より、基材A及び基材Bの成形開始当初から、逐次、入力される。また、移送エリア用制御装置66では、かかる基材成形順序検出信号に基づいて、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とが第一収納装置124内と第二収納装置126内から取り出される順序と、基材Aと基材Bの成形される順序とが互いに一致するように、第一及び第二収納装置124,126内からの第一及び第二基材保持装置52,53の取出し順序が決定される。そして、かくして決定された第一及び第二基材保持装置52,53の取出し順序に従って、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とが、移送エリア用制御装置66による制御の下で、第一及び第二収納装置124,126内から取り出されて、中間第二支持ステーション60c上や中間第三支持ステーション60d上に支持されるようになっているのである。このことから明らかなように、ここでは、移送エリア用制御装置66にて、第一決定手段が構成されている。
【0131】
そして、第一収納装置124内や第二収納装置126内から自動的に取り出された第一基材保持装置52や第二基材保持装置53は、中間第二支持ステーション60c上や中間第三支持ステーション60d上から、終端側支持ステーション60eに移送される。
【0132】
なお、基材A又は基材Bの成形順序(第一及び第二基材保持装置52,53の取出し順序)に従って、第一収納装置124内や第二収納装置126内から第一基材保持装置52や第二基材保持装置53を取り出す前に、次に取り出すべき第一又は第二基材保持装置52,53が、上流側から中間第二支持ステーション60c上や中間第三支持ステーション60d上に移送されてきたときには、第一又は第二収納装置124,126内から第一又は第二基材保持装置52,53が取り出されずに、中間第二支持ステーション60c上や中間第三支持ステーション60d上の第一又は第二基材保持装置52,53が、そのまま、終端側支持ステーション60eに移送されることとなる。
【0133】
かくして、本実施形態では、第一及び第二の射出成形装置10a,10bによる基材Aや基材Bの成形が開始されると、基材Aを保持する第一基材保持装置52と基材Bを保持する第二基材保持装置53とが、基材Aと基材Bの成形順序に従って、終端側支持ステーション60eに移送される。そして、そこで、搬送コンベア32の終端部にまで搬送された基材Aや基材Bが、その成形順序通りに、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53に保持させられるようになっているのである。
【0134】
一方、図1に示されるように、金属薄膜形成エリア20に設置された金属薄膜形成装置12は、スパッタリング装置150と移載機152とを有している。スパッタリング装置150は、第二ローラコンベア54b(移送ライン16)の中間第一支持ステーション60gの側方において、それに対応して、配置されている。移載機152は、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gとスパッタリング装置150との間に介在するように、配置されている。
【0135】
より具体的には、図10に示されるように、スパッタリング装置150は、真空室154を有している。この真空室154は、その内圧が、図示しない真空ポンプによって、常時、減圧状態とされている。また、そのような真空室154の天板部155には、左側窓部156と右側窓部158が設けられている。
【0136】
真空室154内には、円形の回転テーブル160が、真空室154の中心部を上下方向に延びる回転軸162回りに回転可能に設置されている。また、この回転軸162は、電動モータ等からなる、正逆方向に回転駆動可能な回転駆動装置164に連結されている。更に、回転テーブル160には、透孔166が形成されている。この透孔166は、図10に明示されてはいないものの、回転テーブル160の周方向に、その半周分を超える周方向長さで延びる形状を有し、周方向の両端側部分が、前記天板部155の左側及び右側窓部156,158に対応位置している。
【0137】
さらに、真空室154内の回転テーブル160よりも上側における左側及び右側窓部156,158に対応する位置には、支持台168が、上下方向に移動可能に、それぞれ1個ずつ配置されている。それら各支持台168は、回転テーブル160の透孔166の周方向両端部をそれぞれ挿通して上下方向に延びるロッド部170,170を備えた昇降機172,172によって昇降させられるようになっている。
【0138】
そして、支持台168,168は、昇降機172,172にて上昇させられることにより、上面の外周部において、左側窓部156や右側窓部158の下側開口の周縁部位に当接して、それら左側及び右側窓部156,158の下側開口をそれぞれ閉塞するようになっている。また、図10に二点鎖線で示されるように、支持台168,168が昇降機172,172にて下降させられたときには、下面の外周部において、透孔166の上側開口の周縁部位に係合して、回転テーブル160に保持されるようになっている。
【0139】
かくして、支持台168,168の昇降機172,172による昇降に伴って、左側及び右側窓部156,158が、それぞれ閉塞又は開放されるようになっている。また、支持台168,168が回転テーブル160に保持された状態下で、例えば、回転テーブル160が正逆方向に半回転させられる毎に、支持台168,168の位置が、左側窓部156に対応する位置と右側窓部158に対応する位置との間で、交互に入れ替わるようになっている。
【0140】
一方、真空室154の天板部155における左側及び右側窓部156,158の開口周縁部には、左側筒壁部174と右側筒壁部176とが、それぞれ一体的に立設されている。そして、右側筒壁部176は、その上側開口部が、蓋体178によって気密に覆蓋されている。かくして、右側窓部158が支持台168にて閉塞されることにより、右側筒壁部176内が真空室154と遮断されて、スパッタリング室180が画成されるようになっている。
【0141】
蓋体178の上方には、マイクロ波を発生させて、スパッタリング室180内にプラズマを発生させるマグネトロン回転機182が設置されている。また、蓋体178の下面には、スパッタリング粒子を放出するターゲット184が固定されている。
【0142】
さらに、右側筒壁部176には、回転軸186が貫通して、配置されている。この回転軸186の右側筒壁部176(スパッタリング室180)内に突入する一端部には、非接触ギヤ188が固定されている。そして、回転軸186の他端部は、天板部155上に固定された駆動ユニット190に内蔵の駆動モータ(図示せず)に接続されている。また、かかる駆動ユニット190内には、回転軸186を軸方向に移動させる移動機構が設けられている。これにより、右側筒壁部176内の非接触ギヤ188が、駆動ユニット190内の駆動モータの駆動に伴って回転駆動させられるようになっている。また、右側筒壁部176内での非接触ギヤ188の位置が、駆動ユニット190に内蔵の移動機構により、図10に二点鎖線で示される位置と実線で示される位置との間で、水平方向に変動させられるようになっている。
【0143】
一方、移載機152は、スパッタリング装置150の天板部155の左側端部(第二ローラコンベア54b側の端部)上に、上下方向に延びるように取り付けられた回転軸192と、かかる回転軸192から左右方向に延び出した支持バー194と、支持バー194の左右の両端部に対して、上下方向に移動可能にそれぞれ取り付けられた昇降ロッド196,196と、それら各昇降ロッド196,196の下端部にそれぞれ固定されたジグチャッカー198,198とを有している。また、それら2個のジグチャッカー198,198のうちの一方が、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gの上方に配置されている一方、それらのうちの他方が、天板部155の左側筒壁部174(左側窓部156)の上方に配置されている。
【0144】
そして、回転軸192が、図示しない電動モータ等の回転駆動装置に連結されており、この回転駆動装置の作動に伴って、支持バー194が、回転軸192回りに回転させられるようになっている。これにより、支持バー194が回転軸192回りに半回転させられる毎に、2個のジグチャッカー198,198の位置が、中間第一支持ステーション60g上の位置と天板部155の左側筒壁部174上の位置との間で、交互に入れ替わるようになっている。
【0145】
また、2個の昇降ロッド196,196が、それぞれの上端部において、図示しない昇降機に連結されており、それによって、それらの昇降ロッド196,196の下端部にそれぞれ固定されたジグチャッカー198,198が、昇降機の作動に伴って、上下動させられるようになっている。更に、各ジグチャッカー198には、図示しないエア吸引ポンプに接続された吸着器200が設けられている。そして、この吸着器200が、エア吸引ポンプの作動により、第一又は第二基材保持装置52,53の基材保持ジグ72を吸着して、保持するようになっている。また、エア吸引装置の作動停止により、かかる吸着器200による基材保持ジグ72の保持状態が、解消されるようになっている。
【0146】
かくして、かかる移載機152においては、図10に示されるように、第二ローラコンベア54bの中間第二支持ステーション60gに支持された第一基材保持装置52の基材保持ジグ72(中間第二支持ステーション60gに第二基材保持装置53が支持されているときには、その第二基材保持装置53の基材保持ジグ72)を、ジグチャッカー198の吸着器200にて保持した状態で、支持バー194を半回転させると共に、昇降ロッド196を昇降させることにより、ジグチャッカー198にて保持された基材保持ジグ72を、中間第二支持ステーション60g上に支持された第一基材保持装置52のギヤ用ブラケット82のベース部78上と、左側筒壁部174にて囲まれた左側窓部156を閉塞する支持台168上との間で移送し得るようになっている。
【0147】
また、ジグチャッカー198にて保持された基材保持ジグ72を支持台168上に載置した際には、左側筒壁部174の上側開口がジグチャッカー198にて覆蓋される。このとき、左側筒壁部174の内側空間が、ジグチャッカー198と支持台168にて密閉される。これによって、密閉された左側筒壁部174の内側空間にて、ロードロック室202が形成されるようになっている。なお、このロードロック室202は、図示しない真空ポンプにより、真空室154とは独立して減圧されて、所望の真空状態とされるように構成されている。かくして、後述する基材保持ジグ72のスパッタリング室180内や中間第二支持ステーション60g上への移送が、真空室154の真空状態を解消することなく、効率的且つ迅速に実施されるようになっている。
【0148】
また、図1に示されるように、金属薄膜形成エリア20には、上記の如き構造とされた金属薄膜形成装置12と共に、金属薄膜形成エリア用制御装置204が設置されている。この金属薄膜形成エリア用制御装置204には、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gと中間第二支持ステーション60hにそれぞれ対応して配置された2個の基材保持装置検出センサ63,63から出力される基材保持装置検出信号が、入力されるようになっている。
【0149】
そして、そのような各基材保持装置検出センサ63,63からの基材保持装置検出信号の入力に基づいて、金属薄膜形成装置12が、金属薄膜形成エリア用制御装置204にて制御されつつ、作動するようになっている。また、それによって、中間第一支持ステーション60g上の第一又は第二基材保持装置52,53に保持される基材A又は基材Bがスパッタリング装置150内に搬送されて、それら基材A又は基材Bの表面に対する金属薄膜の形成工程が、実施されるようになっているのである。なお、以下に、金属薄膜形成工程を実施する際の金属薄膜形成装置12の作動を説明するが、ここでも、図10の記載に従って、基材Aの表面に金属薄膜を形成する際の金属薄膜形成装置12の作動を例にして、説明する。
【0150】
すなわち、基材Aを基材保持ジグ72にて保持した第一基材保持装置52が、移送ライン16により、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gにまで移送されてくると、基材保持装置検出信号が、中間第一支持ステーション60gに対応位置する基材保持装置検出センサ63から、移送エリア用制御装置66と金属薄膜形成エリア用制御装置204とに入力される(図1参照)。
【0151】
このとき、基材保持検出信号の移送エリア用制御装置66への入力によって、前記したように、中間第一支持ステーション60gに設置された前記4本の押上げピン67,67,67,67と2本の突上げピン68,68とが、それぞれ突出作動して、中間第一支持ステーション60gに支持された基材保持装置52のパレット70が押し上げられると共に、基材保持ジグ72が、パレット70よりも更にもう一段押し上げられる。そして、それにより、第二非接触ギヤ84bが、移載機152の側面に設けられた前記駆動用非接触ギヤ123に接近位置して、かかる駆動用非接触ギヤ123の回転による第一基材保持装置52の第一基材保持部106の回転が可能な状態とされる。また、第一基材保持部106の取付突起112が、パレット70に設けられたテーブル74の水平面76から離間して、第一基材保持部106と基材Aとが、回転軸102回りに一体回転可能な状態とされる。
【0152】
一方、基材保持装置検出信号の金属薄膜形成エリア用制御装置204への入力により、移載機152が、金属薄膜形成エリア用制御装置204による作動制御の下で作動し、中間第一支持ステーション60g上に支持された第一基材保持装置52の基材保持ジグ72が、ジグチャッカー198の吸着器200にて吸着されて、保持される。そして、ジグチャッカー198の回転軸192回りの回転と、昇降作動とによって、基材保持ジグ72が、基材Aを保持したまま、第一基材保持装置52のギヤ用ブラケット82のベース部78上から、スパッタリング装置150の左側筒壁部174内に移動させられて、左側窓部156を閉塞する支持台168上に支持される。そうして、基材保持ジグ72とそれに保持された基材Aとが金属薄膜形成装置12内に搬入される。
【0153】
このとき、吸着器200による保持状態が解消されると共に、左側筒壁部174の上側開口部がジグチャッカー198にて閉塞されて、左側筒壁部174内にロードロック室202が形成される。また、それまで左側筒壁部174上に配置されていたジグチャッカー198が、中間第一支持ステーション60g上に移動する。なお、かかる移載機152の作動は、中間第一支持ステーション60gに支持された基材保持装置52のパレット70と基材保持ジグ72の押し上げ作動が完了した後に、実施される。
【0154】
さらに、ロードロック室202が形成されると、その内部が減圧される。そして、ロードロック室202の内圧が真空室154の内圧と同程度の圧力とされたら、昇降機172,172の昇降作動と回転テーブル160の回転とによって、基材保持ジグ72を支持している支持台168が、左側窓部156から右側窓部158に移動させられて、右側窓部158が、かかる支持台168にて閉塞される。これによって、右側筒壁部176の内側空間にてスパッタリング室180が形成されると共に、かかるスパッタリング室180内に、基材Aが、基材保持ジグ72に保持された状態で収容される。
【0155】
そして、基材Aと基材保持ジグ72がスパッタリング室180内に収容されると、駆動ユニット190が作動して、スパッタリング室180内に位置する非接触ギヤ188が、回転駆動すると共に、図10に二点鎖線で示される位置から実線で示される位置にまで移動して、基材保持ジグ72のケーシング94内に突入させられる。このケーシング94内での非接触ギヤ188の回転駆動により、ケーシング94内に位置する第三非接触ギヤ104が回転駆動し、それに伴って、基材保持ジグ72と基材Aとが回転軸102回りに一体回転させられる。このことから明らかなように、本実施形態では、駆動ユニット190と回転軸102,186と第三非接触ギヤ104と非接触ギヤ188とにて、第一回転機構が構成されている。
【0156】
また、基材Aと基材保持ジグ72がスパッタリング室180内に収容されると、スパッタリング室180内に、図示しないガス導入口を通じて、所定のスパッタリングガスが導入される一方、マグネトロン回転機182にてマイクロ波が発生させられる。これにより、スパッタリング室180内で、基材Aを回転させつつ、スパッタリングが実施されて、基材Aの表面の全面に、スパッタリング膜からなる金属薄膜が形成される。そうして、基材Aの表面に金属薄膜を形成してなる中間製品が作製されるようになっているのである。
【0157】
また、本実施形態では、上記の如きスパッタリング操作が開始される前に、先ず、中間第一支持ステーション60gに対応配置された基材保持装置検出センサ63から金属薄膜形成エリア用制御装置204に入力される基材保持装置検出信号に基づいて、スパッタリング装置150のスパッタリング室180内に位置する基材の種類(ここでは、基材A)が、金属薄膜形成エリア用制御装置204にて判別される。次に、金属薄膜形成エリア用制御装置204に記憶された、基材の種類(基材A又は基材B)毎に異なる金属薄膜(スパッタリング膜)の成膜条件(例えば、成膜時間等)の中から、スパッタリング室180内に位置する基材の種類に応じた成膜条件が、金属薄膜形成エリア用制御装置204により選択されて、決定される。そして、そのようにして決定された成膜条件下で、基材(ここでは、基材A)表面に対するスパッタリング操作が行われるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、金属薄膜形成エリア用制御装置204によって、第一判別手段と第二決定手段とが構成されている。勿論、それら第一判別手段と第二決定手段とを別個の制御装置等にて、それぞれ構成することも可能である。なお、以下からは、基材Aの表面に金属薄膜が形成されてなる中間製品を中間製品Aと言い、また、基材Bの表面に金属薄膜が形成されてなる中間製品を中間製品Bと言うこととする。
【0158】
そして、そのような基材Aの表面に対する金属薄膜の形成操作(中間製品Aの作製操作)が終了したら、金属薄膜形成装置12が、金属薄膜形成エリア用制御装置204による制御下において、基材Aと基材保持ジグ72とをスパッタリング室180内に収容するまでの順序とは逆の順序で作動させられる。これによって、中間製品Aが、基材保持ジグ72に保持された状態で、中間第一支持ステーション60g上に支持される第一基材保持装置52のギヤ用ブラケット82のベース部78上に戻される。これらのことから明らかなように、本実施形態では、基材搬入装置と中間製品取出し装置が、移載機152によって構成されている。また、第二支持ステーションと第三支持ステーションが、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gにて構成されている。
【0159】
なお、上記の説明では、1個の基材Aが、金属薄膜形成装置12内へ搬入されて、金属薄膜が形成されることにより、中間製品Aが作製され、そして、それが金属薄膜形成装置12内から取り出されるまでの流れを説明した。しかしながら、本実施形態においては、移載機152による基材Aの金属薄膜形成装置12内への搬入操作と中間製品Aの金属薄膜形成装置12内からの取出し操作とが同時に行われる一方、それらの操作と同時進行で、基材A表面に対するスパッタリング操作が行われるようになっている。
【0160】
それ故、図10に示されるように、金属薄膜形成装置12の連続作動状態下では、スパッタリング装置150のスパッタリング室180内に、金属薄膜が形成されるべき、或いは金属薄膜を形成中の基材Aが収容され、また、スパッタリング装置150の左側窓部156を閉塞する支持台168には、次に金属薄膜が形成されるべき基材A、又は、金属薄膜形成装置12内から取り出されるべき中間製品Aが、支持されて、待機させられるようになっている。更に、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gには、次に金属薄膜形成装置12内に搬入されるべき基材Aが、基材保持ジグ72に保持された状態で、第一基材保持装置52に支持されて、待機させられるようになっているのである。なお、このときには、スパッタリング室180内や支持台168上に位置する基材Aや中間製品Aを、移送ライン16の中間第一支持ステーション60gまで移送してきた第一基材保持装置52は、既に下流側に移送されている。
【0161】
ところで、第一基材保持装置52が中間第一支持ステーション60gに支持されて、待機している間は、前記した各押上ピン67と各突上げピン68とが、突出したままの状態とされる。この状態は、中間製品Aとそれを保持する基材保持ジグ72が、金属薄膜形成装置12内から取り出されて、第一基材保持装置52上に戻されるまで維持される。
【0162】
そして、スパッタリング装置150から取り出された基材保持ジグ72が、中間第一支持ステーション60gに支持されている第一基材保持装置52のギヤ用ブラケット82のベース部78上に戻されると、先ず、前記マーク検出センサ121からの入力信号に基づいて、駆動用非接触ギヤ123が、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で、所定量だけ回転する。それにより、第三非接触ギヤ104が回転して、第一基材保持部106が、基準回転位置まで回転させられる。そうして、第一基材保持部106に保持された基材Aが、スパッタリング装置150内に搬入される前の回転位置とされる。
【0163】
次に、各突上げピン68が引込作動する。それにより、基材保持ジグ72が下降して、第一基材保持部106の取付突起112が、パレット70に設けられたテーブル74の水平面76に当接させられる。そうして、第一基材保持部106の回転軸102回りの回転が阻止されるようになる。
【0164】
その後、各押上ピン67が引込作動する。これにより、第一基材保持装置52全体が下降する。そうして、第一基材保持装置52が移送ライン16上を移送される際に、基材保持ジグ72から突出して位置する第二非接触ギヤ84bが、移載機152の側壁部から突出して位置する駆動用非接触ギヤ123に接触しないように、それら第二非接触ギヤ84bと駆動用非接触ギヤ123とが離間させられる。そして、そのような各押上ピン67の引込作動の後、中間第一支持ステーション60gに支持された第一基材保持装置52が、中間製品Aとそれを保持する基材保持ジグ72を支持した状態で、中間第二支持ステーション60hに送り出されることとなる。
【0165】
なお、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53とは、基材保持ジグ72の構造が互いに異なるものの、その他の構造は同一とされている。そのため、基材Aに対するスパッタリング操作と基材Bに対するスパッタリング操作の両方を行う場合、支持台168上に支持された中間製品を取り出すときに、それに代えて、基材をスパッタリング装置150内に搬入しないならば、中間第一支持ステーション60g上に支持される基材保持装置は、第一基材保持装置52と第二基材保持装置53の何れであっても良い。しかしながら、支持台168上に支持された中間製品に代えて、基材をスパッタリング装置150内に搬入するならば、搬入されるべき基材の種類に応じて、中間第一支持ステーション60g上に支持される基材保持装置の種類が、金属薄膜形成エリア用制御装置204によって決定される。
【0166】
そして、本実施形態では、金属薄膜形成装置12を連続的に作動させる場合、中間製品A又は中間製品Bとそれらを保持する基材保持ジグ72とがギヤ用ブラケット82のベース部78上に戻された第一又は第二基材保持装置52,53が、中間第一支持ステーション60gから中間第二支持ステーション60hに送り出された後、別の第一又は第二基材保持装置52,53が、始端側支持ステーション60fから中間第一支持ステーション60gに移送される。そして、それらの移送操作が完了したときに、移載機152による中間製品A又は中間製品Bの金属薄膜形成装置12内からの取出し操作が、行われるようになっている。
【0167】
また、その際、中間第一支持ステーション60gに移送されてきた第一又は第二基材保持装置52,53に基材A又は基材Bが保持されている場合には、移載機152の作動による中間製品A又は中間製品Bの金属薄膜形成装置12内からの取出し操作の実施と同時に、基材A又は基材Bの金属薄膜形成装置12内への搬入操作が行われることとなる。
【0168】
すなわち、移載機152の支持バー194の一端に設けられたジグチャッカ198の吸引器200に基材A又は基材Bが吸着される一方、その他端に設けられたジグチャッカ198の吸引器200に中間製品A又は中間製品Bが吸着される。そして、その状態で支持バー194が回転軸192回りに回転することで、基材A又は基材Bの金属薄膜形成装置12内への搬入操作と、中間製品A又は中間製品Bの金属薄膜形成装置12内からの取出し操作とが、同時に行われるようになっているのである。また、金属薄膜形成装置12内に搬入された基材A又は基材Bには、スパッタリング装置150によるスパッタリング操作が実施される。
【0169】
このような移送ライン16と金属薄膜形成装置12との連動した作動と、金属薄膜形成装置12内での移載機152とスパッタリング装置150の連動した作動は、金属薄膜形成エリア用制御装置204の制御の下で実施される。このことから明らかなように、本実施形態では、金属薄膜形成エリア用制御装置204にて、第二の制御装置が構成されているのである。
【0170】
一方、図1に示されるように、塗膜形成エリア22に設置された塗膜形成装置14は、中間製品Aや中間製品Bを支持して、塗膜形成エリア22の全体に循環させる循環装置206と、かかる循環装置206の途中に設けられた塗装室208及び乾燥室210とを有している。
【0171】
より詳細には、循環装置206は、図11及び図12に示されるように、チェーンコンベア212を有している。このチェーンコンベア212は、塗膜形成装置14内の全体に点在するように配置された、上下方向に延びる回転軸回りに回転する複数のスプロケット(図示せず)に噛合して、塗膜形成エリア22全体に行き渡るように配置されている。そして、それら複数のスプロケットのうちの幾つかが、図示しない駆動モータにて同一方向に回転駆動することによって、チェーンコンベア212が、一方向(図1の矢印方向)に走行しつつ、塗膜形成装置14内を循環するようになっている。
【0172】
また、そのようなチェーンコンベア212には、円柱形状を呈する複数の支持ピン214が、互いに一定の間隔を隔てて、一体的に立設されている。そして、それら各支持ピン214に対して、第二保持ジグとしての第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218が、中間製品Aや中間製品Bを保持した状態で、それぞれ支持されている。
【0173】
第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218は、何れも、保持装置本体220,224と、中間製品Aや中間製品Bを保持する、第二保持部としての中間製品保持部222,226とを一体的に有している。そして、第一及び第二中間製品保持装置216,218の各保持装置本体220,224が互いに同一の構造とされている一方、それらの各中間製品保持部222,226が互いに異なる構造とされている。
【0174】
すなわち、第一及び第二中間製品保持装置216,218の各保持装置本体220,224は、全体として、上下方向に延びるロッド形態を有し、その下端部に、横断面円形状の嵌合凹部228が設けられている。また、それら保持装置本体220,224の軸方向中間部には、スプロケット230が、同軸的に配された状態で一体形成されている。そして、各保持装置本体220,224の嵌合凹部228に対して、チェーンコンベア212の支持ピン214が嵌合されることにより、第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218とが、何れも、支持ピン214によって、その中心軸回りに回転可能に支持されるようになっている。
【0175】
また、第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218の各中間製品保持部222,226は、何れも、それぞれの保持装置本体220,224の上端部に一体形成されている。そして、第一中間製品保持装置216の中間製品保持部222は、中間製品A(基材A)に設けられた取付凹部に嵌入可能な矩形のブロック形状を呈し、その側面には、半球状の係止突起232が、突出/引込可能に設けられている。この係止突起232は、第一及び第二基材保持装置52,53の第一及び第二基材保持部106,108に設けられた係止突起114と同様な構造を有している。そして、中間製品保持部222が中間製品Aの取付凹部内に嵌入したときに、係止突起232が、図示しないばね部材による付勢状態で係止し、それによって、中間製品Aが、中間製品保持部222に対して、取り外し可能に取り付けられて、保持されるようになっている。
【0176】
一方、第二中間製品保持装置218の中間製品保持部226は、中間製品B(基材B)の一部が嵌入可能な取付凹部234が設けられており、かかる取付凹部234の側面には、半球状の係止突起236が、突出/引込可能に設けられている。この係止突起236は、第一中間製品保持部装置216の中間製品保持部222に設けられた係止突起232と同一の構造を有している。そして、中間製品Bの一部が中間製品保持部226の取付凹部234内に嵌入されたときに、係止突起236が、図示しないばね部材による付勢状態で係止し、それによって、中間製品Bが、中間製品保持部226に対して、取り外し可能に取り付けられて、保持されるようになっている。
【0177】
かくして、循環装置206は、第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218の各中間製品保持部222,226に保持された中間製品Aや中間製品Bを、チェーンコンベア212の走行により、塗膜形成装置14の全体に亘って、一方向(図1の矢印方向)に循環させ得るようになっている。
【0178】
また、ここでは、移送ライン16における第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aに対して直近に位置する循環装置206の周上の一箇所が、搬入箇所237とされている。そして、かかる搬入箇所237と第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aとの間には、ロボットアーム238を有する搬入装置239が設置されている。
【0179】
さらに、循環装置206の搬入箇所237の側方には、かかる搬入箇所237に位置する中間製品保持装置の種類(第一中間製品保持装置216又は第二中間製品保持装置218)を検出する中間製品保持装置検出センサ241aと、搬入箇所237に位置する第一中間製品保持装置216又は第二中間製品保持装置218とが、中間製品A又は中間製品Bを保持しているか否かを検出する中間製品検出センサ243aとが、設置されている。それら2種類の検出センサ241a,243aは、その検出信号を、塗膜形成エリア22内に設置された塗膜形成エリア用制御装置254に出力するようになっている。なお、ここでは、中間製品保持装置検出センサ241aと中間製品検出センサ243aとが、例えば、センサカメラ等にて構成されている。
【0180】
そして、中間製品Aや中間製品Bが、第一基材保持装置52や第二基材保持装置53にて保持された状態で、移送ライン16により、始端側支持ステーション60aにまで移送されてきたときに、搬入装置239のロボットアーム238が、それら中間製品Aや中間製品Bを、第一又は第二基材保持装置52,53から取り外して、循環装置206の搬入箇所237に搬入し、更に、かかる搬入箇所237に位置している第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218に保持させるようになっている。中間製品Aや中間製品Bが取り外された第一基材保持装置52や第二基材保持装置53は、移送ライン16により、下流側に移送される。
【0181】
なお、中間製品Aや中間製品Bの搬入操作は、中間製品Aや中間製品Bを何等保持していない第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218が搬入箇所237に位置していることが、中間製品保持装置検出センサ241aと中間製品検出センサ243aとにて検出されたときに限って、塗膜形成エリア用制御装置254の制御の下で、搬入装置239が作動することによって、実施される。これらのことから明らかなように、本実施形態では、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aにて、第四支持ステーションとされており、また、搬入装置239にて、中間製品搬入装置が構成されている。
【0182】
また、図1に示されるように、循環装置206の側方には、第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218とを、それぞれ別個に、複数個ずつ収納する、第二ジグストッカとしての第三収納装置240と第四収納装置242が設置されている。それら第三及び第四収納装置240,242は、循環装置206による中間製品Aや中間製品Bの移送方向(循環方向)において、前記搬入箇所237よりも上流側に配置されている。なお、それら第三収納装置240と第四収納装置242は互いに同一の構造を有している。それ故、以下には、第三収納装置240の構造のみを説明し、第四収納装置242については、その説明を省略する。
【0183】
図13に示されるように、第三収納装置240は、架台244と、かかる架台244内に昇降可能に収容された竪形フレーム246と、架台244と循環装置206のチェーンコンベア212との間に配置された自動出入れ装置247とを有している。なお、この第三収納装置240では、竪形フレーム246の昇降構造が、前記した第一及び第二収納装置124,126における竪形フレーム130の昇降構造、即ち、図示しない駆動モータにより正逆方向に回転駆動する、ギヤボックス142内のピニオン(図示せず)にラック138を噛合させた歯車機構と駆動モータの組合せからなる昇降構造と同様な構造とされている。
【0184】
竪形フレーム246には、循環装置206側に向かって水平に延びる支持アーム248が、上下方向に所定距離を隔てた複数箇所に、それぞれ1個ずつ設けられている。更に、それら各支持アーム248の先端には、支持ピン250が突設されている。そして、それら複数の支持アーム248の各支持ピン250が、第一中間製品保持装置216の保持装置本体220の嵌合凹部228に嵌合することにより、複数の第一中間製品保持装置216が、各支持アーム248にて支持された状態で、竪形フレーム246内に収納されている。なお、竪形フレーム246に設けられる支持アーム248の個数は、適宜に変更可能である。
【0185】
一方、自動出入れ装置247は、上下動及び鉛直方向に延びる回転軸回りに回転可能なロボットアーム252を有している。そして、このロボットアーム252が、第三収納装置240の竪形フレーム246に支持された第一中間製品保持装置216を把持した状態で、上昇してから回転することによって、かかる第一中間製品保持装置216が、支持アーム248による支持状態が解消されると共に、第三収納装置240内から取り出されて、循環装置206のチェーンコンベア212側に移動させられる。そして、その状態において、ロボットアーム252が下降することによって、第一中間製品保持装置216が、チェーンコンベア212に設けられた支持ピン214にて支持させられるようになっている。
【0186】
また、それとは逆に、ロボットアーム252が、チェーンコンベア212の支持ピン214にて支持された第一中間製品保持装置216を把持した状態で、上昇してから回転することによって、第一中間製品保持装置216が、チェーンコンベア212の支持ピン214による支持状態が解消されて、竪形フレーム246内に移動させられる。更に、その状態から、ロボットアーム252が下降することによって、第一中間製品保持装置216が、支持アーム248に支持されて、第三収納装置240内に収納されるようになっている。
【0187】
そして、本実施形態では、循環装置206のチェーンコンベア212の走行方向における第三及び第四収納装置240,242よりも上流側に配置された、センサカメラ等からなる中間製品保持装置検出センサ241bと前記塗膜形成エリア用制御装置254とが協働して、第三収納装置240と第四収納装置242の作動を制御するようになっている。
【0188】
すなわち、チェーンコンベア212上を第三及び第四収納装置240,242側に向かって移送されていくのが、第一中間製品保持装置216であるか、又は第二中間製品保持装置218であるかが、中間製品保持装置検出センサ241bにて検出され、それが塗膜形成エリア用制御装置254に出力される。
【0189】
そして、そのような中間製品保持装置検出センサ241bからの検出信号が、第一中間製品保持装置216の検出信号であった場合には、塗膜形成エリア用制御装置254の作動制御により、第三収納装置240の竪形フレーム246が、第一中間製品保持装置216を収納可能な位置にまで昇降させられる一方、自動出入れ装置247が作動する。これによって、循環装置206の第三収納装置240との対応位置にまで第一中間製品保持装置216が移送されてきたときに、かかる第一中間製品保持装置216が、第三収納装置240に収納されるようになっている。
【0190】
また、中間製品保持装置検出センサ241bからの検出信号が、第二中間製品保持装置218の検出信号であった場合には、第四収納装置242の竪形フレーム246と自動出入れ装置247とが、塗膜形成エリア用制御装置254の制御の下で作動する。これによって、循環装置206の第四収納装置242との対応位置にまで移送されてきた第二中間製品保持装置218が、第四収納装置242に収納されるようになっている。
【0191】
一方、第三及び第四収納装置240,242から第一及び第二中間製品保持装置216,218が取り出される際には、搬入装置239によって循環装置206の搬入箇所237に搬入される中間製品A又は中間製品Bの搬入順に従って、第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218とが、搬入箇所237に移送されるように、第三及び第四収納装置240,242の作動が、塗膜形成エリア用制御装置254にて制御されるようになっている。
【0192】
すなわち、前記成形エリア用制御装置44から、基材Aと基材Bの成形順序を信号化した基材成形順序検出信号が、塗膜形成エリア用制御装置254に入力されるようになっている。一方、塗膜形成エリア用制御装置254では、入力される基材成形順序検出信号に基づいて、金属薄膜形成装置12で作製される中間製品Aと中間製品Bの作製順序が判断され、また、その順序が、循環装置206の搬入箇所237に搬入される中間製品Aと中間製品Bの搬入順序として判断される。更に、そこで判断された搬入順序に従って、第三収納装置240と第四収納装置242からの第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218の取出し順序が決定される。そして、そのような取出し順序に従って、第三及び第四収納装置240,242が、塗膜形成エリア用制御装置254の制御の下で作動する。それによって、循環装置206の搬入箇所237に搬入される中間製品A又は中間製品Bの搬入順に従って、第一中間製品保持装置216と第二中間製品保持装置218とが、搬入箇所237に位置するように、循環装置206にて移送されるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、塗膜形成エリア用制御装置254にて、第三決定手段が構成されている。
【0193】
なお、そのような第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218の搬入箇所237への移送時においても、前記した第一基材保持装置52や第二基材保持装置53の終端側支持ステーション60eへの移送時と同様に、循環装置206の第三又は第四収納装置240,242との対応位置にまで移送されてきた、第一又は第二中間製品保持装置216,218が、第三又は第四収納装置240,242内に収納されることなく、そのまま、搬入箇所237まで移送される場合もある。これは、塗膜形成エリア用制御装置254にて判断されることとなる。
【0194】
一方、塗装室208は、循環装置206による中間製品Aや中間製品Bの移送方向(循環方向)において、搬入箇所237の下流側で、且つ乾燥室210よりも上流側に設置されている。そして、この塗装室208内には、公知の構造を有する複数の塗装ガン258が、循環装置206による中間製品Aや中間製品Bの移送方向に沿って、一列に並べられている。また、それら複数の塗装ガン258の中には、ノズルの高さ位置が異なるものも、幾つか含まれている。ここでは、塗装工程の実施に際して、ノズル位置の異なる塗装ガン258の間で塗液を噴射するものが、塗膜形成エリア用制御装置254にて選択されることによって、大きさが互いに異なる中間製品に対する塗装がスムーズに実施されるようになっている。
【0195】
また、図12に示されるように、塗装室208内には、チェーンベルト260が、循環装置206のチェーンコンベア212に平行して延びるように配置されている。そして、チェーンコンベア212に設けられた複数の支持ピン214にて支持された第一及び第二中間製品保持装置216,218が、チェーンコンベア212の走行(駆動)により塗装室208内に進入したときに、それらの第一及び第二中間製品保持装置216,218に一体形成されたスプロケット230が、チェーンベルト260に噛合するようになっている。これによって、第一及び第二中間製品保持装置216,218が、チェーンコンベア212の走行に伴って塗装室208内を移動するときに、それら第一及び第二中間製品保持装置216,218の全体、更にはそれらに保持された中間製品Aや中間製品Bが、第一及び第二中間製品保持装置216,218の中心軸回りに回転させられるようになっている。
【0196】
かくして、第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218に保持された中間製品Aや中間製品Bが、チェーンコンベア212の走行によって塗装室208内に進入すると、かかる塗装室208内において、それら中間製品Aや中間製品Bが、第一及び第二中間製品保持装置216,218の中心軸回りに回転しつつ、各塗装ガン258から噴射される塗液にて、中間製品Aや中間製品Bの表面の全面が塗装されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、チェーンコンベア212とチェーンベルト260とスプロケット230とにて、第二回転機構が構成されている。
【0197】
一方、図1に示されるように、塗装室208よりも下流側に位置する乾燥室210内では、チェーンコンベア212が、蛇行しながら走行するようになっている。これによって、塗装室208内で塗装された中間製品Aや中間製品Bが、乾燥室210内において、十分な時間を掛けて乾燥させられるようになっている。かくして、中間製品Aや中間製品Bに塗膜が形成されてなる、目的とする樹脂製品が作製されるようになっているのである。なお、以下からは、中間製品Aの表面に塗膜が形成されてなるものを樹脂製品Aと言い、中間製品Bの表面に塗膜が形成されてなるものを樹脂製品Bと言う。
【0198】
ところで、図1から明らかなように、塗膜形成エリア22には、塗装室208内への進入口付近には、センサカメラ等からなる中間製品検出センサ243bが設置されている。この中間製品検出センサ243bは、塗装室208の手前で、チェーンコンベア212の走行により、塗装室208内に次に進入するのが中間製品Aであるか中間製品Bであるかを検出して、その検出信号を塗膜形成エリア用制御装置254に出力するようになっている。
【0199】
そして、本実施形態では、上記の如き中間製品Aや中間製品Bに対する塗膜形成操作が、塗膜形成エリア用制御装置254の制御下において、中間製品Aと中間製品Bとの間で異なる条件で、自動的に実施されるようになっている。
【0200】
すなわち、塗膜形成操作の実施に際しては、先ず、中間製品検出センサ243bから塗膜形成エリア用制御装置254に入力される中間製品検出信号に基づいて、塗装室208内に進入する中間製品の種類(中間製品A又は中間製品B)が、塗膜形成エリア用制御装置254にて判別される。次に、塗膜形成エリア用制御装置254に記憶された、中間製品の種類毎に異なる塗膜の成膜条件(例えば、ノズル位置の異なる塗装ガン258の選択や塗膜の種類や色等)の中から、塗装室208内に進入した中間製品の種類に応じた成膜条件が、塗膜形成エリア用制御装置254により、選択されて、決定される。そして、そのようにして決定された成膜条件下で、中間製品表面に対する塗膜形成操作が、塗装室208内への進入順に行われるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、塗膜形成エリア用制御装置254によって、第二判別手段と第四決定手段とが構成されている。勿論、それら第二判別手段と第四決定手段とを別個の制御装置等にて、それぞれ構成することも可能である。
【0201】
また、塗膜室208と乾燥室210との間には、第一及び第二中間製品保持装置216,218の各中間製品保持部222,226の回転位置を検出する回転位置検出センサ264と、それら各中間製品保持部222,226を、その中心軸回りに回転させる回転機構(図示せず)が設けられている。
【0202】
回転位置検出センサ264は、例えばセンサカメラ等からなり、塗膜室208から取り出された第一及び第二中間製品保持装置216,218の各中間製品保持部222,226の回転位置を検出し、それを塗膜形成エリア用制御装置254に出力するようになっている。ここでは、かかる回転位置が、例えば、各中間製品保持部222,226が有する湾曲部分の位置等によって検出されるようになっている。また、回転機構は、例えば、各保持装置本体220,224等に設けられたスプロケット230に噛合可能な、塗装室208内のチェーンベルト260とは別個で、それとは独立して作動するチェーンベルト等が採用され得る。
【0203】
一方、塗膜形成エリア用制御装置254では、そのような回転位置検出信号に基づいて、各中間製品保持部222,226の回転位置を予め設定された基準回転位置とさせるのに必要な回転量が決定され、その信号が、回転機構に出力されるようになっている。そして、かかる回転量決定信号に基づいて、各中間製品保持部222,226が、塗膜形成エリア用制御装置254にて決定された回転量だけ、回転機構により回転させられる。そうして、それら各中間製品保持部222,226の回転位置が、乾燥室210内に進入する前に、予め設定された基準回転位置とされるようになっているのである。このことから明らかなように、ここでは、回転位置検出センサ264と回転機構と塗膜形成エリア用制御装置254とにて、第二位置決め機構が構成されている。
【0204】
かくして、塗装室208内で、回転させられつつ、中間製品Aや中間製品Bの表面に塗膜が形成されてなる樹脂製品Aや樹脂製品Bの回転位置が、塗膜の形成後に、常に一定の位置とされるようになる。そして、それによって、後述する製品取外し装置266のロボットアーム268が、樹脂製品Aや樹脂製品Bを、常に一定の位置で把持し得るようになっているのである。
【0205】
そして、図1に示されるように、乾燥室210よりも下流側には、ロボットアーム268を有する製品取外し装置266が設置されている。乾燥室210から取り出された樹脂製品Aや樹脂製品Bは、かかる樹脂製品取外し装置266のロボットアーム268にて第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218から取り外されて、ベルトコンベア等からなる製品送り装置270上に移動させられる。そして、それら製品送り装置270上の樹脂製品Aや樹脂製品Bは、検査室272に送られ、そこで不良の有無が検査されるようになっている。
【0206】
そして、上記の如き構造とされた本実施形態の樹脂製品の製造システムにあっては、互いに形状が異なる、目的とする2種類の樹脂製品Aと樹脂製品Bを、以下のようにして製造するようになっている。
【0207】
すなわち、先ず、第一及び第二の射出成形装置10a,10bにて、互いに形状が異なる2種類の基材Aと基材Bとを、任意の順番で、順次、成形する。そして、成形された基材Aと基材Bとを、その成形順に、搬送コンベア32で、その終端位置にまで搬送する。そして、それら基材Aと基材Bとを、移動装置41にて、搬送コンベア32の終端位置から、移送ライン16の第一ローラコンベア54aの終端側支持ステーション60eに移動させると共に、そこに支持されている第一基材保持装置52や第二基材保持装置53に保持させる。
【0208】
その後、基材A又は基材Bを保持した第一基材保持装置52や第二基材保持装置53を、移送ライン16にて、第二ローラコンベア54bの中間第一支持ステーション60gにまで移送する。次に、かかる中間第一支持ステーション60g上の第一及び第二基材保持装置52,53に保持された基材Aや基材Bを金属薄膜形成装置12内に搬入する。そして、そこで、それら基材Aや基材Bの表面に金属薄膜を形成して、互いに形状の異なる2種類の中間製品Aや中間製品Bを得る。その後、かくして得られた中間製品Aや中間製品Bを移送ライン16の中間第一支持ステーション60g上に支持された第一基材保持装置52(のパレット70)や第二基材保持装置53(のパレット70)に戻して、それらに保持させる。
【0209】
次に、中間製品Aや中間製品Bを保持する第一基材保持装置52や第二基材保持装置53を、移送ライン16にて、第一ローラコンベア54aの始端側支持ステーション60aにまで移送させる。そして、それら第一基材保持装置52や第二基材保持装置53に保持された中間製品Aや中間製品Bを、搬入装置239にて、始端側支持ステーション60a上から、循環装置206の搬入箇所237に移動させて、塗膜形成装置14に搬入すると共に、かかる搬入箇所237に支持されている第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218に保持させる。
【0210】
その後、中間製品A又は中間製品Bを保持した第一中間製品保持装置216や第二中間製品保持装置218を、循環装置206にて、塗膜形成装置14内を循環させる。そして、その途中で、塗装室208内において、中間製品Aや中間製品Bの表面に塗膜を形成した後、中間製品Aや中間製品Bの表面に形成された塗膜を乾燥室210内で乾燥させ、それによって、目的とする、互いに形状の異なる樹脂製品Aや樹脂製品Bを得るのである。
【0211】
そして、かくの如き構造とされた本実施形態の樹脂製品の製造システムでは、塗膜形成装置14の循環装置206の作動(チェーンコンベア212の走行)が停止したときに、塗膜形成エリア用制御装置254による制御の下で、搬入装置239の作動が停止するようになっている。即ち、ここでは、塗膜形成エリア用制御装置254にて、第三の制御装置が構成されている。また、塗装室208内の塗装ガン258による塗液の噴射と、乾燥室210の乾燥機(図示せず)の作動とが、通常運転時の作動停止以外の状態で停止した場合には、塗膜形成エリア用制御装置254による制御の下で、循環装置206の作動が停止するようになっている。
【0212】
一方、前記したように、金属薄膜形成装置12の移載機152によって中間製品A又は中間製品Bが戻された第一又は第二基材保持装置52,53が、ライン16の中間第一支持ステーション60gから中間第二支持ステーション60hに送り出されないと、移載機152の作動が停止すると共に、スパッタリング装置150の作動も停止するようになっている。
【0213】
また、第一又は第二基材保持装置52,53が、移送ライン16の中間第一支持ステーション60gから移送されないために、それよりも上流側の始端側支持ステーション60f上と終端側支持ステーション60e上の第一又は第二基材保持装置52,53が移送されずに、各支持ステーション60f,60e上に滞ると、成形エリア18の移動装置41の作動が停止し、更に、第一及び第二の射出成形装置10a,10bの作動も停止するようになっている。
【0214】
上記の説明から明らかなように、本実施形態の樹脂製品の製造システムにあっては、2種類の基材Aと基材Bの成形から樹脂製品Aと樹脂製品Bの製造までの全ての工程が自動化されており、それによって、各工程の実施に際しての人的作業が効果的に排除され得る。
【0215】
そして、かかる本実施形態システムでは、成形エリア用制御装置44と移送エリア用制御装置66と金属薄膜形成エリア用制御装置204と塗膜形成エリア用制御装置254とが協働して、全ての装置の作動を制御している。
【0216】
それ故、基材Aや基材Bの成形工程と、基材Aや基材Bの金属薄膜形成装置12への移送工程と、金属薄膜形成装置12による中間製品Aや中間製品Bの作製工程と、中間製品Aや中間製品Bの塗膜形成装置14への移送工程と、塗膜形成装置14による樹脂製品Aや樹脂製品Bの作製工程のうちの何れかの工程が、何等かのトラブルの発生によって所定の所要時間を超えたり、或いは停止したときに、かかる何れかの工程よりも、工程の流れ方向において下流側の工程に掛かる装置の作動は継続されるものの、それよりも上流側の工程に掛かる全ての装置の作動が停止するようになっている。そのため、トラブル等の発生時に、余分な基材や中間製品が成形乃至は作製されることがなく、従って、それら余分な基材や中間製品を移送ライン16とは別の箇所に移して、中間在庫として確保する必要もない。
【0217】
また、例えば、2種類の基材Aと基材Bの成形サイクルや、2種類の中間製品Aと中間製品Bの作製サイクルが互いに異なるために、目的とする樹脂製品Aと樹脂製品Bとの間において、それぞれの作製開始から作製完了までの時間にバラツキが生じても、各装置を一時的に自動停止させたり、或いは移送ライン16上で基材や中間製品を一時的に自動で待機させたりすることによって、そのような時間のバラツキが効果的に吸収され得る。それ故、2種類の樹脂製品Aと樹脂製品Bを製造する際にも、移送ライン16上から基材や中間製品を別の箇所に移して、中間在庫として一時的に確保する必要がない。
【0218】
従って、このような本実施形態に係る樹脂製品の製造システムによれば、1種類の樹脂製品を製造する場合は勿論、互いに形状が異なり、また製造過程での各工程の実施サイクルが互いに異なる2種類の樹脂製品Aと樹脂製品Bとを製造する場合においても、その製造過程での人的作業と中間在庫の発生とを有利に無くすこと出来る。そして、それによって、樹脂製品Aと樹脂製品Bの製造に掛かる人件費を効果的に削減し得ると共に、中間在庫を保管するための大がかりな設備や大きな保管スペースを有利に省略することが出来る。そして、その結果として、目的とする樹脂製品を、その種類数に拘わらず、より低コストに且つ効率的に製造することが可能となるのである。
【0219】
また、本実施形態においては、前述の如き構造を備えた第一乃至第四収納装置124,126,240,242を有し、そして、それらの各収納装置124,126,240,242内に、第一及び第二基材保持装置52,53と第一及び第二中間製品保持装置216,218が、移送エリア用制御装置66と塗膜形成エリア用制御装置254のそれぞれの制御の下で、基材Aと基材Bの成形順に取り出されるようになっている。これによって、基材A及び基材Bを第一及び第二基材保持装置52,53に保持させる操作と、中間製品A及び中間製品Bを第一及び第二中間製品保持装置216,218に保持させる操作、ひいては目的とする樹脂製品A及び樹脂製品Bの製造に係る種々の操作が、極めて円滑に且つ効率的に実施され得ることとなる。
【0220】
さらに、本実施形態では、基材Aと基材Bとに対する金属薄膜形成操作が、金属薄膜形成エリア用制御装置204にて制御された金属薄膜形成装置12の作動により、それぞれの基材の種類に応じた適切な条件で実施されるようになっている。また、中間製品Aと中間製品Bとに対する塗膜形成操作も、塗膜形成エリア用制御装置254にて制御された塗膜形成装置14の作動により、それぞれの中間製品の種類に応じた適切な条件で実施されるようになっている。これによって、目的とする樹脂製品A及び樹脂製品Bが、よりスムーズに且つ効率的に製造され得るのである。
【0221】
更にまた、本実施形態においては、中間製品Aや中間製品Bを保持する第一基材保持部106や第二基材保持部108が、金属薄膜形成装置12内から取り出された後、移送エリア用制御装置66の作動制御の下で基準回転位置まで回転させられるようになっている。これによって、中間製品Aや中間製品Bが、搬入装置239のロボットアーム238にて確実に把持され、以て、移送ライン16の始端側支持ステーション60a上から塗膜形成装置14への中間製品Aや中間製品Bの搬入が、よりスムーズに実施され得る。
【0222】
ところで、成形エリア用制御装置44と移送エリア用制御装置66と金属薄膜形成エリア用制御装置204と塗膜形成エリア用制御装置254とによる各装置の作動制御により、基材Aや基材Bの成形工程と中間製品Aや中間製品Bの作製工程と樹脂製品Aや樹脂製品Bの製造工程とを、全て同一の所要時間で実施するように為しても良い。また、中間製品Aや中間製品Bの作製工程の所要時間を、樹脂製品Aや樹脂製品Bの製造工程の所要時間よりも短く為し、且つ基材Aや基材Bの成形工程の所要時間を、中間製品Aや中間製品Bの作製工程の所要時間よりも短く為すようにしても良い。なお、各工程の所要時間に差を設ける場合には、それらの所要時間の差は特に限定されるものではなく、例えば、基材や中間製品、樹脂製品のそれぞれの大きさや、金属薄膜及び塗膜の成膜条件等に応じて、適宜に決定されるところである。
【0223】
これによれば、樹脂製品の製造時間よりも中間製品の作製時間を短くでき、しかも、中間製品の作製時間よりも基材の成形時間を短くできる。従って、樹脂製品を得るまでの間に、余分な中間在庫としての基材や中間製品が生ずることが有利に解消され、以て、目的とする樹脂製品が、より低コストに且つ効率的に製造され得るのである。
【0224】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0225】
例えば、移送ライン16を、成形エリア18の直近位置から金属薄膜形成エリア20の直近位置との間に延びる部分からなる基材移送ライン部と、金属薄膜形成エリア20の直近位置と塗膜形成エリア22の直近位置との間に延びる部分からなる中間製品移送ライン部の互いに独立した別個の装置とし、それら別個の装置にて、第一の移送装置と第二の移送装置を構成することもできる。
【0226】
なお、その場合には、第二支持ステーションと第三支持ステーションとが、互いに独立した別個のものとなる。また、例えば、塗膜形成エリア22の直近位置と成膜エリア18の直近位置との間に延びる部分からなる保持ジグ移送ライン部を更に別個に設け、ここに、第一収容装置124と第二収納装置126とを設置しても良い。
【0227】
さらに、移送ライン16を、ベルトコンベア等のローラコンベア以外の公知の搬送装置にて構成することも可能である。
【0228】
更にまた、各支持ステーション毎に、互いに別個のアクチュエータにて作動する順送り機構を公知の構造により設置しても良い。
【0229】
また、基材を保持する第一保持ジグや中間製品を保持する第二保持ジグのそれぞれの構造も、例示のものに、何等限定されるものではない。なお、第一及び第二移送装置が、保持ジグなしで、基材や中間製品を移送可能に構成されるのであれば、それら第一保持ジグや第二保持ジグを省略することもできる。
【0230】
成形エリア用制御装置44と移送エリア用制御装置66と金属薄膜形成エリア用制御装置204と塗膜形成エリア用制御装置254とを、それら各制御装置44,66,204,254のそれぞれの機能のうちの少なくとも二つの機能を兼ね備えた一つ乃至三つのものにて構成することもできる。
【0231】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0232】
10a 第一の射出成形装置 10b 第二の射出成形装置
12 金属薄膜形成装置 14 塗膜形成装置
16 移送ライン 41 移動装置
44 成形エリア用制御装置 52 第一基材保持装置
53 第二基材保持装置 60a〜60j 支持ステーション
66 移送エリア用制御装置 72 基材保持ジグ
124 第一収納装置 126 第二収納装置
150 スパッタリング装置 152 移載機
204 金属薄膜形成エリア用制御装置 216 第一中間製品保持装置
218 第二中間製品保持装置 239 搬入装置
240 第三収納装置 242 第四収納装置
254 塗膜形成エリア用制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品からなる基材の表面上に金属薄膜が形成されると共に、該金属薄膜上に塗膜が積層形成されてなる樹脂製品の製造システムであって、
前記基材を成形する成形装置と、
該成形装置にて成形された前記基材の表面上に前記金属薄膜をスパッタリングにより形成して、中間製品を得る金属薄膜形成装置と、
前記中間製品の前記金属薄膜上に塗膜を形成して、前記樹脂製品を得る塗膜形成装置と、
前記成形装置と前記金属薄膜形成装置との間に並んで配置されて、前記基材を支持する複数の支持ステーションを有すると共に、それら複数の支持ステーションが、該基材を該成形装置側から該金属薄膜形成装置側に向かって順送りに送り出すための機構をそれぞれ備え、更に、該基材の送出し方向において互いに隣り合って配置された二つの支持ステーションのうちの該送出し方向下流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該基材の送出し作動を完了してから、それらのうちの該送出し方向上流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該基材の送出し作動を開始するように構成された第一の移送装置と、
前記金属薄膜形成装置と前記塗膜形成装置との間に並んで配置されて、前記中間製品を支持する複数の支持ステーションを有すると共に、それら複数の支持ステーションが、該中間製品を該金属薄膜形成装置側から該塗膜形成装置側に向かって順送りに送り出すための機構をそれぞれ備え、更に、該中間製品の送出し方向において互いに隣り合って位置する二つの支持ステーションのうちの該送出し方向下流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該中間製品の送出し作動を完了してから、それらのうちの該送出し方向上流側に位置する支持ステーションの該送出し機構が、該中間製品の送出し作動を開始するように構成された第二の移送装置と、
前記成形装置内から前記基材を取り出して、前記第一の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで予め定められた箇所に位置する第一支持ステーションに支持させる基材取出し装置と、
前記第一の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで、前記第一支持ステーションよりも前記基材の送出し方向下流側に位置する第二支持ステーションに支持された前記基材を、前記金属薄膜形成装置に搬入する基材搬入装置と、
前記金属薄膜形成装置内から前記中間製品を取り出して、前記第二の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで予め定められた箇所に位置する第三支持ステーションに、該取り出された中間製品を支持させる中間製品取出し装置と、
前記第二の移送装置における前記複数の支持ステーションのうちで、前記第三支持ステーションよりも前記中間製品の送出し方向下流側に位置する第四支持ステーションに支持された前記中間製品を前記塗膜形成装置に搬入する中間製品搬入装置と、
前記第一支持ステーションの前記送出し機構による送出し作動が完了したときに、前記基材取出し装置が作動するように、該基材取出し装置の作動を制御する第一の制御装置と、
前記第三支持ステーションの前記送出し機構による送出し作動が完了したときに、前記中間製品取出し装置が作動すると共に、それに連動して、前記基材搬入装置と前記金属薄膜形成装置とが作動するように、それら中間製品取出し装置と基材搬入装置と金属薄膜形成装置のそれぞれの作動を制御する第二の制御装置と、
前記塗膜形成装置が停止したときに、前記中間製品搬入装置の作動が停止するように、該中間製品搬入装置の作動を制御する第三の制御装置と、
を有することを特徴とする、樹脂製品の製造システム。
【請求項2】
前記成形装置を複数有して、それら複数の成形装置が、各成形装置毎に、前記基材の互いに形状が異なる別種類のものをそれぞれ成形するように構成されている一方、前記金属薄膜形成装置が、該複数種類の基材の表面上に前記金属薄膜をそれぞれ形成することにより、互いに形状の異なる複数種類の前記中間製品を作製するようになっている請求項1に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項3】
(a)前記基材を保持した状態で、前記第一の移送装置にて移送される第一保持ジグの複数と、(b)該複数の第一保持ジグに対して、それぞれ一つずつ、前記基材を保持可能に設けられ、該基材の保持構造が、該基材の種類に応じて互いに異なる構造とされた複数種類の第一保持部と、(c)前記複数の第一保持ジグを収納すると共に、該収納された複数の第一保持ジグのうちから任意のものを取り出して、それを前記第一の移送装置の前記支持ステーション上に送り出し得るように構成された第一ジグストッカと、(d)前記複数種類の基材の成形順と同じ順に、それらの基材を保持可能な保持構造を有する前記第一保持部を備えた前記第一保持ジグが、前記第一ジグストッカから、順次、取り出されるように、該複数種類の基材の成形順序に基づいて、該第一保持ジグの該第一ジグストッカからの取出し順序を決定する第一決定手段とを、更に有している請求項2に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項4】
前記複数の成形装置にて前記複数種類の基材が成形される毎に、該成形される基材の種類に対応した複数種類の基材成形信号が、該複数の成形装置からそれぞれ出力される一方、かかる複数種類の基材成形信号に基づいて、前記第一決定手段が、前記第一ジグストッカから取り出される前記第一保持ジグの種類を決定するようになっている請求項3に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項5】
前記第一保持部が、前記第一保持ジグの本体に対して一軸回りに回転可能に設けられる一方、該第一保持部を回転させる第一回転機構が前記金属薄膜形成装置に設けられて、該金属薄膜形成装置での前記基材に対する前記金属薄膜の形成操作が、該第一回転機構による該第一保持部の回転によって該基材を回転させつつ行われるようになっており、更に、該金属薄膜が形成された前記中間製品を保持する該第一保持部を予め定められた基準回転位置に位置させる第一位置決め機構が設けられている請求項3又は請求項4に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項6】
前記基材搬入装置にて前記金属薄膜形成装置内に搬入される前記基材の種類を判別して、該搬入される基材の種類に対応した複数種類の判別信号を出力する第一判別手段と、該基材の種類毎に予め設定された、該金属薄膜形成装置内での前記金属薄膜の形成操作に係る複数種類の成膜条件の中から、該金属薄膜形成装置内に搬入される該基材の種類に応じた成膜条件を、該第一判別手段から出力される該判別信号に基づいて選択して、決定する第二決定手段とを有し、該金属薄膜形成装置内に搬入される該基材に対して、その種類に対応した成膜条件で、該金属薄膜を形成し得るようになっている請求項2乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項7】
(a)前記中間製品を保持した状態で、前記塗膜形成装置内に搬入される第二保持ジグの複数と、(b)該複数の第二保持ジグに対して、それぞれ一つずつ、前記中間製品を保持可能に設けられ、該中間製品の保持構造が、該中間製品の種類に応じて互いに異なる構造とされた複数種類の第二保持部と、(c)前記複数の第二保持ジグを収納すると共に、該収納された複数の第二保持ジグのうちから任意のものを取り出して、それを前記塗膜形成装置内に搬入可能状態と為し得るように構成された第二ジグストッカと、(d)前記複数種類の中間製品の作製順と同じ順に、それらの中間製品を保持可能な保持構造を有する前記第二保持部備えた前記第二保持ジグが、前記第二ジグストッカから、順次、取り出されるように、該複数種類の中間製品の作製順序に基づいて、該第二保持ジグの該第二ジグストッカからの取出し順序を決定する第三決定手段とを、更に有している請求項2乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項8】
前記複数の成形装置にて前記複数種類の基材が成形される毎に、該成形される基材の種類に対応した複数種類の基材成形信号が、該複数の成形装置からそれぞれ出力される一方、かかる複数種類の基材成形信号に基づいて、前記第三決定手段が、前記第二ジグストッカから取り出される前記第二保持ジグの種類を決定するようになっている請求項7に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項9】
前記第二保持ジグを一軸回りに回転させる第二回転機構が前記塗膜形成装置に設けられて、該塗膜形成装置での前記中間製品に対する前記塗膜の形成操作が、該第二回転機構による該第二保持ジグの回転によって該中間製品を回転させつつ行われるようになっており、更に、該塗膜が形成された前記樹脂製品を保持する該第二保持ジグを予め定められた基準回転位置に位置させる第二位置決め機構が設けられている請求項7又は請求項8に記載の、樹脂製品の製造システム。
【請求項10】
前記中間製品搬入装置にて前記塗膜形成装置内に搬入される前記中間製品の種類を判別して、該搬入される中間製品の種類に対応した複数種類の判別信号を出力する第二判別手段と、該中間製品の種類毎に予め設定された、該塗膜形成装置内での前記塗膜の形成操作に係る複数種類の成膜条件の中から、該塗膜形成装置内に搬入される該中間製品の種類に応じた成膜条件を、該第二判別手段から出力される該判別信号に基づいて選択して、決定する第四決定手段とを有し、該塗膜形成装置内に搬入される該中間製品に対して、その種類に対応した成膜条件で、該塗膜を形成し得るようになっている請求項2乃至請求項9のうちの何れか1項に記載の、樹脂製品の製造システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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