説明

樹脂製建具

【課題】火炎に晒されてもガラスが外れにくい樹脂製建具を提供する。
【解決手段】室内外を連通する開口を閉塞可能であり、枠組みされた樹脂製の框体内にガラスを備えた樹脂製建具であって、前記ガラスと前記框体との間に設けられて前記ガラスを支持する樹脂製のセッティングブロックと、前記セッティングブロックと、前記ガラスの端面と互いに間隔を隔てて対向する金属製のブロック部材とが、室内外方向と直交する見付け方向に並べて配置され、前記ガラスの室内または室外に臨む一方の面と対面する第1対面部と、前記ガラスの室内または室外に臨む他方の面と対面する第2対面部を有し、前記框体に取り付けられたガラス保持金具と、を有し、前記ガラスの端面と前記ブロック部材との間隔は、前記第1対面部及び前記第2対面部と前記ガラスとが対面している部位における前記ガラスの端面からの幅より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスを備えた樹脂製建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスを備えた樹脂製建具としては、例えば、合成樹脂製の窓框下辺部の上面部に配置された金属製のアングル状部材と帯状部材とを用いてガラスを保持する樹脂製建具が知られている。このような建具は、アングル状部材と帯状部材とに挟まれてガラスが設けられており、ガラスはアングル状部材上に設けられた緩衝部材に支持されるとともに、アングル状部材と帯状部材とを裏打ち部材に固定するビスが締め込まれることによりアングル状部材と帯状部材とに挟まれて窓框下辺部に保持されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3365609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製建具において防火性能が問われる場合には、所定の防火試験において建具の一方側から火炎に晒された状態にて所定時間内に、他方側に炎の噴出がないこと、また、他方側から一方側の炎が見えないこと(貫通しないこと)等が要求される。ところで、ガラスが支持されている緩衝部材が樹脂製の場合には、緩衝部材が火炎により溶融されて変形したり消失したりするとガラスが移動して、ガラス端部がアングル状部材と帯状部材との間から抜けてガラスが外れしてしまい、容易に貫通してしまう虞があるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎に晒されてもガラスが外れにくい樹脂製建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の樹脂製建具は、室内外を連通する開口を閉塞可能であり、枠組みされた樹脂製の框体内にガラスを備えた樹脂製建具であって、前記ガラスと前記框体との間に設けられて前記ガラスを支持する樹脂製のセッティングブロックと、前記セッティングブロックと、前記ガラスの端面と互いに間隔を隔てて対向する金属製のブロック部材とが、室内外方向と直交する見付け方向に並べて配置され、前記ガラスの室内または室外に臨む一方の面と対面する第1対面部と、前記ガラスの室内または室外に臨む他方の面と対面する第2対面部を有し、前記框体に取り付けられたガラス保持金具と、を有し、前記ガラスの端面と前記ブロック部材との間隔は、前記第1対面部及び前記第2対面部と前記ガラスとが対面している部位における前記ガラスの端面からの幅より小さいことを特徴とする樹脂製建具である。
【0007】
このような樹脂製建具によれば、框体に固定された固定金具の第1対面部と、固定金具に係止される係止金具の第2対面部とにガラスが挟まれるので、樹脂製建具が火炎に晒されたとしてもガラスが脱落しにくい樹脂製建具を提供することが可能である。
【0008】
また、セッティングブロックと見付け方向に並べて金属製のブロック部材が設けられているので、セッティングブロックが火炎にて消失した場合には、ガラスの端面とブロック部材と接触する位置までガラスが移動する。このガラスの移動量は、第1対面部及び第2対面部とガラスとが対面している部位におけるガラスの端面からの幅より小さいので、セッティングブロックが火炎にて消失したとしても、ガラスは第1対面部及び第2対面部の対面している部位にて保持される。このため、樹脂製建具が火炎に晒されたとしても、ガラスが脱落することを防止することが可能である。
【0009】
かかる樹脂製建具であって、前記ガラス保持金具は、前記第1対面部を備え前記框体に固定される固定金具と、前記第2対面部を備え前記固定金具に係止される係止金具と、を有していることが望ましい。
このような樹脂製建具によれば、ガラスの一方の面と対面する第1対面部と、ガラスの他方の面と対面する第2対面部とが、固定金具と係止金具との互いに異なる部材に設けられており、係止金具は框体に固定された固定金具に係止されるようにガラス保持金具が構成されているので、框体に固定された固定金具の第1対面部にガラスを対面させて配置した後に、第2対面部をガラスと対面させつつ固定金具に係止することが可能である。このため、ガラスの両面とそれぞれ対向する第1対面部と第2対面部とを有するガラス保持金具にてガラスを容易に保持することが可能である。
【0010】
かかる樹脂製建具であって、前記ガラスは、室内外方向に対面して互いに間隔を隔てた2枚の耐熱強化ガラスの周端部にシール部材を介して一体に形成された複層ガラスであることが望ましい。
このような樹脂製建具によれば、ガラスが、2枚の耐熱強化ガラスを互いに間隔を隔てて対面させた複層ガラスであり、2枚の耐熱強化ガラスの周端部にシール部材を介して一体に形成されているので、より耐熱性及び防火性に優れた樹脂製建具を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、火炎に晒されてもガラスが外れにくい樹脂製建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る樹脂製建具を室内側から見た外観図である。
【図2】本実施形態に係る樹脂製建具の縦断面図である。
【図3】本実施形態に係る樹脂製建具の縦断面図である。
【図4】障子上部の構成を説明するための縦断面図である。
【図5】セッティングブロック、移動防止ブロック、ガラス保持金具、熱膨張性黒鉛が設けられている様子を示す斜視図である。
【図6】図1におけるA−A断面図である。
【図7】図1におけるB−B断面図である。
【図8】図1におけるC−C断面図である。
【図9】ガラス保持金具を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る樹脂製建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の樹脂製建具1は、図1に示すような開き窓用の樹脂製建具1であって、建物等にて室内外を連通する開口を形成する枠体10と、枠体10に支持されて開口を閉塞可能な障子20とを有しており、障子20は見付け方向における一端側にて回動自在に枠体10に支持され、他端側に開閉操作用のハンドル5を有している。本実施形態においては、室内側から見て左側にて上下の框が回動自在に支持されており、障子の右側の框にハンドル5が設けられている。
【0014】
以下の説明においては、樹脂製建具1を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、枠体10を構成する枠部材12及び障子20の框体21を構成する框部材22については、枠組みされた枠体10及び框体21の状態にて、枠体10及び框体21に囲まれた内周側を内側、枠体10及び框体21の外周側を外側として示す。例えば、上側の枠部材12及び框部材22であれば、上面側を外側、下面側を内側として示す。
【0015】
枠体10は、上下に配置される横枠10a、10bと左右に配置される縦枠10c、10dとが枠組みされて形成されている。上下の横枠10a、10b及び左右の縦枠10c、10dは、樹脂製の押出成形部材であり、同一の枠部材12が所定の長さに切断されて形成されている。このため、横枠10a、10b及び縦枠10c、10dの断面形状は同一であり、横枠10a、10b及び縦枠10c、10dの端部が45度に切断され、横枠10a、10bの端部と縦枠10c、10dの端部とが突き合わされて接合されることにより枠体10を構成している。
【0016】
枠部材12は、図2、図3に示すように、長手方向に連通する中空部材であり、内部に金属製の補強部材7が設けられた枠本体部13と、枠組みされた枠体10の状態にて、枠本体部13の室内側の部位から障子20側、すなわち枠体10の内側に突出された枠内側突出部14と、枠本体部13から室外側に向かって突出された室外側突出部15と、を有している。
枠内側突出部14の室外に臨む面14aの先端側には、樹脂製のシール材8が設けられている。
【0017】
障子20は、上下に配置される横框21a、21bと左右に配置される縦框21c、21dとが枠組みされた框体21と、框体21にて囲まれた領域内に取り付けられるガラス50と、框体21とともにガラス50の周端部を保持する押縁6と、を有している。
【0018】
ガラス50は、2枚の耐熱強化ガラス51を互いに間隔を隔てて対面させて一体に形成された複層ガラスである。2枚の耐熱強化ガラス51の周端部側における対面する部位には、2枚の耐熱強化ガラス51の間隔を保持するためのスペーサー54が全周に亘って介在されている。そして、間隔を隔てて対面された2枚の耐熱強化ガラス51における、スペーサー54より外周側は、耐熱強化ガラス51の周端部とスペーサー54とによりスペーサー54側を底として外方に向かって開放された溝状をなしており、溝状をなす外周部分にシール部材としてのシール剤52が充填されている。
【0019】
框体21の上下の横框21a、21b及び左右の縦框21c、21dは、樹脂製の押出成形部材であり、同一の框部材22が所定の長さに切断されて形成されている。このため、横框21a、21b及び縦框21c、21dの断面形状は同一であり、横框21a、21b及び縦框21c、21dの端部が45度に切断され、横框21a、21bの端部と縦框21c、21dの端部とが突き合わされて接合されることにより框体21を構成している。
【0020】
框部材22は、長手方向に連通する中空部材であり、図4に示すように、大小2つの中空部を有し、大きな中空部23bの内部に金属製の補強部材7が設けられた框本体部23と、枠組みされた框体21の状態にて、框本体部23の室外側の部位からガラス50側、すなわち框体21の内側に突出された框内側突出部24と、框本体部23の室外側の部位から枠体10側、すなわち框体21の外側に突出された框外側突出部25と、框本体部23から室内側に向かって突出された室内側突出部26と、を有している。
框外側突出部25の室内に臨む部位25aの先端側には、樹脂製のシール材8が設けられている。
【0021】
補強部材7は、框部材22の長手方向に沿って設けられる棒状の部材であり、断面が「コ」字状をなしている。「コ」字状をなす補強部材7の対面する2つの壁部7aと、2つの壁部7aを繋ぐ底部7bは、框本体部23の中空部23bにおける外周側面のほぼ半分の領域23c、内周側面23d、及び屋外側面23eと僅かに間隔を隔てて対向するとともに外周側面のほぼ半分の領域23c、内周側面23d、及び屋外側面23eとの間に、シート状の熱膨張性部材としての熱膨張性黒鉛9が介在されており、外周側面の残りほぼ半分の領域23fは壁部7aに当接され、対面する2つの壁部7aと外周側面の当接されたほぼ半分の領域23f及び内周側面23dがビス止めされている。ここで、熱膨張性黒鉛9は、加熱されると膨張するが、膨張した後の熱膨張性黒鉛9は他の部材を支持するような剛性及び強度を有していない部材である。
【0022】
框内側突出部24は、ガラス50の周端部と対向し、押縁6とともにガラス50の周端部を狭持する部位であり、框内側突出部24の室内側に臨む面24a、すなわちガラス50と対向する部位にビード53が設けられている。室内側突出部26の内周側の部位には、押縁6が嵌合される押縁嵌合部26aが設けられている。このため、框本体部23、框内側突出部24、及び、押縁6にて形成される凹部が、ガラス50の周端部が収容される収容部20aとなる。
【0023】
障子20の収容部20aには、図5に示すように、ガラス50の面内方向の移動を規制するためのセッティングブロック30、セッティングブロック30が消失したときにガラス50の移動を抑えるためのブロック部材としての移動防止ブロック32と、ガラス50が外れることを防止するためのガラス保持金具55と、框内側突出部24の室内側に臨む面24a及び框本体部23の内側に臨む内側面23aに貼り付けられた熱膨張性黒鉛9とが設けられている。
【0024】
セッティングブロック30は、直方体状をなす樹脂製の部材であり、樹脂製建具1を室内側から見たときに、図1に示すように、右上のコーナー部と左下のコーナー部とに接着されている。具体的には、上側の横框(上框)21aの右端側と右側の縦框(右框)21dの上端側、及び、下側の横框(下框)21bの左端側と左側の縦框(左框)21cの下端側にそれぞれ、框本体部23の内側面23aとガラス50の端部との間に介在されている。
【0025】
下框21bとガラス50との間に設けられたセッティングブロック30は、見込み方向の幅がガラス50の厚みより広く形成されており、図6に示すように、ガラス50が有する2枚の耐熱強化ガラス51がいずれも載置されている。上框21a、左框21c、右框21dとガラス50との間に設けられたセッティングブロック30は、見込み方向の幅がガラス50の厚みより狭く形成されており、図7に示すように、ガラス50が有する2枚の耐熱強化ガラス51のうちの1枚の端部と当接している。
【0026】
移動防止ブロック32は、直方体状をなす金属製の部材であり、下框21bに設けられたセッティングブロック30と見付け方向に並べて、セッティングブロック30より下框21bの端部側に、また、右框21dに設けられたセッティングブロック30と上下方向に並べて、セッティングブロック30より下側に配置され、框本体部23に収容された補強部材7にビス止めされている。
【0027】
移動防止ブロック32は、図6に示すように、見込み方向の幅が下框21b側に設けられたセッティングブロック30の幅とほぼ同じ幅に形成されており、下框21b側に設けられた移動防止ブロック32はガラス50が降下した際にはガラス50が有する2枚の耐熱強化ガラス51がいずれも載置可能に形成されている。
【0028】
また、移動防止ブロック32の厚み、すなわち、ガラス50と対向する面32aと框本体部23の内側面23aとの距離は、セッティングブロック30厚み、すなわち、ガラス50端面50aと框本体部23の内側面23aとの距離より短く形成され、移動防止ブロック32の上面には熱膨張性黒鉛9が設けられている。そして、セッティングブロック30が火炎等にて溶融したり消失しない状態では、移動防止ブロック32上に設けられた熱膨張性黒鉛9の上面がセッティングブロック30の上面より框本体部23側に位置しており、移動防止ブロック32上の熱膨張性黒鉛9とガラス50の端面50aとが接触しないように構成されている。
【0029】
ガラス保持金具55は、図8、図9に示すように、框部材22に固定される固定金具56と、固定金具56に設けられた係止部56aに係止される係止金具58とが対をなして構成され、上框21a及び下框21bとガラス50との間にそれぞれ2つずつ、左框21c及び右框21dとガラス50との間にそれぞれ5つずつ設けられている。
【0030】
上框21a及び下框21bとガラス50との間には、見付け方向の中央から割り振られて左右に1つずつ配置され、左框21c及び右框21dとガラス50との間には、上下方向におけるほぼ中央に1つと上下に2つずつほぼ均等な間隔にて配置されている。以下、ガラス保持金具55の説明は、ガラス保持金具55が下框21bに取り付けられた状態にて、上下となる方向を上下方向とし、室内外方向となる方向を見込み方向として説明する。このため、例えば、以下のガラス保持金具55の説明において上方は框体21の内側方向に相当し、下方は框体21の外側方向に相当する。
【0031】
下框21bに固定された固定金具56は、框部材22の長手方向に間隔を隔てて配置され框部材22における框本体部23の内側面23aに当接される2つの座板部56bと、2つの座板部56bにおける見込み方向の室外側の縁同士を繋ぎ座板部56bとほぼ直角をなす第1対面部としての側壁部56cと、2つの座板部56bの間に設けられ側壁部56cから見込み方向において室内側に突出された平板部56dと、を有している。また、側壁部56cの室内側の面には、熱膨張性黒鉛9が貼り付けられている。
【0032】
座板部56bには、固定金具56を框部材22に固定するためのビスが貫通される固定孔56eが形成されている。平板部56dは、座板部56bとほぼ平行に形成され、固定金具56が框部材22に固定された際に、座板部56bより上方、すなわち内側面23aから上方に離れた側に位置するように形成されている。座板部56bと平板部56dとは上下方向において重ならないように形成されるとともに、座板部56bの上面と平板部56dの下面との間には、係止金具58が挿入可能な間隔を有している。また、平板部56dには、矩形状の貫通孔でなり係止金具58を係止するための係止部56aが設けられている。
【0033】
係止金具58は、座板部56bと平板部56dとの間に挿入される挿入板部58aと、係止金具58が固定金具56に係止された際に側壁部56cとほぼ平行な状態にてガラス50と対向する第2対面部としての対向板部58bと、対向板部58bの下縁と挿入板部58aの室内側の縁とを連結し、対向板部58b及び挿入板部58aとのなす角度がほぼ45度をなす連結部58cと、挿入板部58aのほぼ中央に設けられ固定金具56の係止部56aに係止される係止片58dと、を有している。
【0034】
係止片58dは、室外側から室内側に向かって挿入板部58aから離れる方向に傾斜するように、挿入板部58aから切り起こされて形成されている。また、係止金具58の上面には、挿入板部58aの係止片58dより室内側の部位に熱膨張性黒鉛9が設けられている。
【0035】
そして、框部材22に固定金具56が固定された状態にてガラス50がセッティングブロック30に載置された後に、係止金具58の挿入板部58aが座板部56bと平板部56dとの間に挿入されて係止金具58が係止される。このとき挿入板部58aが挿入されて係止片58dが平板部56dと接触し、さらに係止金具58を固定金具56側に押圧することにより係止片58dが下方に押されて弾性変形しつつ挿入板部58aが座板部56bと平板部56dとの間に進入していく。
【0036】
その後、係止片58dが係止部56aの下に至ると、押し曲げられていた係止片58dが弾性により復帰して係止部56aに係止される。このように係止金具58が固定金具56に、係止された状態にて、固定金具56の側壁部56cがガラス50の室外側の面と対面し、係止金具58の対向板部58bがガラス50の室内側の面と対面して、ガラス50が保持される。
【0037】
ガラス50がガラス保持金具55に保持された状態では、側壁部56cがガラス50の室外側の面と対面している掛かり代L2、または、係止金具58の対向板部58bがガラス50の室内側の面と対面している掛かり代L3のいずれか小さい方が、セッティングブロック30に載置されたガラス50の端面と移動防止ブロック32のガラス50との対向面との間隔L1より大きくなるように構成されている。ここで、掛かり代とは、ガラス50の端面50aとガラス50と対面している側壁部56cまたは対向板部58bのガラス50の中央側の縁56f、58eとの距離を示している。
【0038】
熱膨張性黒鉛9は、例えば、幅が約25mmの帯状の部材であり、図5〜図8に示すように、框本体部23の内側面23a及び框内側突出部24の室内側に臨む部位においてビード53が設けられていない部位に敷き詰めるように貼り付けられている。下框21bに設けられたセッティングブロック30は、ガラス50を支持するために見込み方向の幅が広く形成されているが、上框21a、左框21c、右框21dに設けられたセッティングブロック30は見込み方向の幅が狭いため、熱膨張性黒鉛9が下框21b側より幅広く設けられている。このとき、上框21a、左框21c、右框21dに設けられたセッティングブロック30には、ガラス50が有する2枚の耐熱強化ガラス51のうちの一方のみが当接されており、セッティングブロック30と見込み方向に隣接して設けられている熱膨張性黒鉛9は、2枚の耐熱強化ガラス51の間に充填されたシール剤52と対面するように設けられている。
【0039】
このように、内側面23a及び框内側突出部24の室内側に臨む部位に熱膨張性黒鉛9を設けることにより、移動防止ブロック32や係止金具58に設けられた熱膨張性黒鉛9とともに、框体21の繋がった収容部20a内に全周に亘って熱膨張性黒鉛9が設けられている。
【0040】
上記枠部材12が枠組みされた枠体10に、上記框部材22が枠組みされた框体21が支持されて、障子20が閉じられると、枠体10の枠内側突出部14に設けられたシール材8に、框体21における框本体部23の室内側の面23gが全周に亘って当接され、框体21の框外側突出部25に設けられたシール材8に、枠体10における枠本体部13の室外側の面13aが全周に亘って当接されて、枠体10にて形成されている開口が閉塞される。
【0041】
本実施形態の樹脂製建具1によれば、框体21に固定された固定金具56の側壁部56cと、固定金具56に係止される係止金具58の対向板部58bとにガラス50が挟まれるので、樹脂製建具1が火炎に晒されたとしてもガラス50が脱落しにくい樹脂製建具1を提供することが可能である。また、金属製の移動防止ブロック32がセッティングブロック30と見付け方向に並べて設けられているので、例えば下框21bに設けたセッティングブロック30が火炎にて消失した場合には、ガラス50の端面50aと移動防止ブロック32との間隔L1が、ガラス50が移動する移動距離となる。このガラス50の移動距離L1は、側壁部56cとガラス50とが対面している部位におけるガラス50の端面50aからの幅L2、及び、対向板部58bとガラス50とが対面している部位におけるガラス50の端面50aからの幅L3より短いので、セッティングブロック30が火炎にて消失したとしても、ガラス50は側壁部56c及び対向板部58bの対面している部位にて保持される。このため、樹脂製建具1が火炎に晒されたとしても、ガラス50上端部が上框21aに設けられたガラス保持金具55から外れて脱落することを防止することが可能である。
【0042】
また、ガラス50の室外側の面と対面する側壁部56cと、ガラス50の室内側の面と対面する対向板部58bとが、固定金具56と係止金具58との互いに異なる部材に設けられており、係止金具58は框体21に固定された固定金具56に係止されるようにガラス保持金具55が構成されているので、框体21に固定された固定金具56の側壁部56cにガラス50を対面させて配置した後に、対向板部58bをガラス50と対面させつつ固定金具56に係止することが可能である。このため、ガラス50の両面とそれぞれ対向する側壁部56cと対向板部58bとを有するガラス保持金具55にてガラス50容易に取り付けて保持することが可能である。
【0043】
ところで、固定金具56に係止される係止金具58は固定されていないため、框体21に固定されている固定金具56より位置が決まりにくく取り付け誤差が生じ易い。このため、係止金具58に設けられた対向板部58bの方が側壁部56cより、ガラス50と対面している部位におけるガラス50の端面50aからの距離、すなわち、ガラス50と対面している幅が大きくなるように構成することにより、対向板部58bとガラス50との対面する部位を十分に確保することが可能である。
【0044】
また、ガラスは2枚の耐熱強化ガラス51を互いに間隔を隔てて対面させた複層ガラスであり、2枚の耐熱強化ガラス51の周端部にシール剤52を介して一体に形成されているので、より耐熱性及び防火性に優れた樹脂製建具1を提供することが可能である。
【0045】
また、上框21a、左框21c、右框21dに設けられたセッティングブロック30は2枚の耐熱性強化ガラス51の一方に当接されており、熱膨張性黒鉛9は2枚の耐熱性強化ガラス51の間に設けられたシール剤52と対向している。このため、2枚の耐熱性強化ガラス51が一体となった複層ガラスの位置を規制しつつ、熱膨張性黒鉛9が膨張した際には、少なくとも上框21a、左框21c、右框21dの収容部20aに収容されたガラス50のシール剤52が露出している部位を、膨張した熱膨張性黒鉛9にて覆うことが可能である。このため、火炎がシール剤52に到達しないのでシール剤52が加熱されにくく、シール剤52からの可燃ガスの発生を防止し、燃焼が促進されることを抑えることが可能である。
【0046】
上記実施形形態においては、セッティングブロック30及び移動防止ブロック32を、室内側から障子20を見て右上のコーナー部と左下のコーナー部とに設けた例について説明したが、これに限るものではなく、例えば、左上のコーナー部と右下のコーナー部とに設けても構わない。
【0047】
上記実施形態においては、開き窓用の樹脂製建具1を例に挙げて説明したが、これに限らず、引き違い窓や片引き窓および上げ下げ窓などのスライド形式の窓や、嵌殺し窓などの枠体が形成する開口を閉塞可能な障子を備えた樹脂製建具1であれば構わない。
【0048】
上記実施形態においては、ガラスとして複層ガラスを用いた例について説明したが、単板状のガラスや合わせガラスなどであっても構わない。
【0049】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 樹脂製建具、10 枠体、20 障子、21 框体、
30 セッティングブロック、32 移動防止ブロック、
50 ガラス、51 耐熱強化ガラス、52 シール剤、
55 ガラス保持金具、56 固定金具、
56a 係止部、56c 側壁部、58 係止金具、
58b 対向板部、58d 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を連通する開口を閉塞可能であり、枠組みされた樹脂製の框体内にガラスを備えた樹脂製建具であって、
前記ガラスと前記框体との間に設けられて前記ガラスを支持する樹脂製のセッティングブロックと、
前記セッティングブロックと、前記ガラスの端面と互いに間隔を隔てて対向する金属製のブロック部材とが、室内外方向と直交する見付け方向に並べて配置され、
前記ガラスの室内または室外に臨む一方の面と対面する第1対面部と、前記ガラスの室内または室外に臨む他方の面と対面する第2対面部を有し、前記框体に取り付けられたガラス保持金具と、を有し、
前記ガラスの端面と前記ブロック部材との間隔は、前記第1対面部及び前記第2対面部と前記ガラスとが対面している部位における前記ガラスの端面からの幅より小さいことを特徴とする樹脂製建具。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製建具であって、
前記ガラス保持金具は、前記第1対面部を備え前記框体に固定される固定金具と、
前記第2対面部を備え前記固定金具に係止される係止金具と、を有していることを特徴とする樹脂製建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の樹脂製建具であって、
前記ガラスは、室内外方向に対面して互いに間隔を隔てた2枚の耐熱強化ガラスの周端部にシール部材を介して一体に形成された複層ガラスであることを特徴とする樹脂製建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−248837(P2010−248837A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101433(P2009−101433)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】