説明

橋梁に用いる伸縮装置及びその製造方法

【課題】橋梁の継手部における伸縮現象の影響を、舗装体に支障のない状態となるよう大幅に改善した橋梁に用いる伸縮装置及びその製造方法を提供。
【解決手段】橋梁の継手部に確保された遊間2を挟んで左右に位置する床版5同士又は路盤と床版の対向する上端面部に、閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部6を形成し、断面矩形状の切り欠き部への充填と遊間を跨ぐように形成し、かつ床版の切り欠きがされていない上面及び路盤の上面と面一となる弾性モルタル7を充填形成し、弾性モルタルの上面を舗装体8で密閉状に被覆することを特徴とする橋梁に用いる伸縮装置とその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架橋や道路橋などの橋梁の継手部における季節により変化する熱的伸縮を吸収緩和する橋台と桁端部の遊間あるいは、橋脚で支承された桁と桁(床版と床版)の間にできる遊間のそれぞれに設置する埋設型の伸縮装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の橋梁の継手部構造として、橋梁の継手部に確保された遊間の両側に位置する躯体の上面に幅方向両端を固定することで、前記遊間を跨ぐように防水シートを敷設し、該防水シートの幅方向中央に形成した下方へ突出するU字状湾曲部を前記遊間に挿入し、該U字状湾曲部の内側に弾性材料製のバックアップ材を挿入し、該バックアップ材の上側を含めて前記防水シートの上側に弾性を有する特殊舗装材を敷設し、その特殊舗装材の上側に、継手部の前後の舗装体と面一となるように舗装体を打設したことを特徴とする発明がある (特許文献1)。
【0003】
また、前記特許文献1に記載された請求項1に記載の橋梁の継手部構造は、前記バックアップ材が、中心に貫通孔を有した筒形をなしている発明である (特許文献1)。
さらに、前記特許文献1に記載された請求項2に記載の橋梁の継手部構造は、前記バックアップ材の周壁に、前記貫通孔に連通する導水孔が形成されている発明である (特許文献1)。
【0004】
さらにまた、前記特許文献1に記載された請求項2または3に記載の橋梁の継手部構造は、前記バックアップ材が円筒形をなしている発明である (特許文献1)。
また、前記特許文献1に記載された請求項1〜4のいずれか1項に記載の橋梁の継手部構造は、前記バックアップ材が、防水加工の施された樹脂の発泡成形体よりなる発明である (特許文献1)。
【0005】
さらに、前記特許文献1に記載された請求項1〜5のいずれか1項に記載の橋梁の継手部構造は、前記特殊舗装材の上側に打設された舗装体に前記遊間の延在方向に沿った切削目地を設け、その切削目地に弾性材を充填した発明である (特許文献1)。
さらにまた、前記特許文献1に記載された請求項6に記載の橋梁の継手部構造は、前記切削目地に充填された弾性材が、アスファルト系エマルジョン樹脂である発明である (特許文献1)。
【0006】
そして、前記特許文献1に記載された請求項1〜7のいずれか1項に記載の橋梁の継手部構造は、前記特殊舗装材として、アスファルト系エマルジョン樹脂をバインダーとした常温アスファルト合材を使用した発明である (特許文献1)。
さらに、前記特許文献1に記載された請求項1〜8のいずれか1項に記載の橋梁の継手部構造は、前記防水シートとして、アラミド繊維シートの防水加工品を使用した発明である (特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007‐46365
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の発明は、特殊舗装材や舗装体の遊間への脱落を防止することができるとともに特殊舗装材の弾性によって、橋梁の伸縮を内部吸収することができ、表層の舗装体に橋梁の伸縮の影響ができるだけ現れないようにすることができると記載されている。
【0009】
しかし、前記特許文献1の発明は、車両等が走行する舗装体の直下に設けた伸縮装置の機能を果たす特殊舗装材が橋梁の伸縮の影響を十分に内部吸収することができないという難点を有していたばかりではなく、特殊舗装材自体の強度不足で上記舗装体にかかる走行車両等の重量に十分耐えることができずに荷重強度に対する塑性変形が生じるという難点があった。
【0010】
また、特許文献1の発明では、防水シートと遊間を挟んだ左右の床版のコンクリートとの境界面や、特殊舗装材と舗装体の境界面に、プライマー(接着剤)が塗布されているために、特殊舗装材は橋梁の伸縮を直接受けることとなり、この点からも橋梁の伸縮を特殊舗装材で内部吸収するのに限界があった。
【0011】
さらに、前記特許文献1の発明は、左右の床版の継手部における遊間が狭い場合は、逆に円筒形状の発泡成形体からなるバックアップ材の装着が困難となる。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、橋梁の継手部における伸縮現象の影響を舗装体に支障のない状態となるよう大幅に改善した橋梁に用いる伸縮装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る橋梁に用いる伸縮装置は、橋梁の継手部に確保された遊間を挟んで左右に位置する床版同士又は路盤と床版の対向する上端面部に閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部を形成し、該断面矩形状の切り欠き部への充填と前記遊間を跨ぐように形成し、かつ前記床版の切り欠きがされていない上面及び路盤の上面と面一となる弾性モルタルを充填形成し、該弾性モルタルの上面を舗装体で密閉状に被覆することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタルは、ポアソン比が0.1〜0.5で、弾性係数が6.5×10〜1.0×104 N/mm2で、圧縮強度が0.1〜15.0 N/mm2で、曲げ強度が0.1〜12.0 N/mm2で、たわみ量が1.0〜20mmの特性を備えた材料であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタルは、その下部表面部と、上記切り欠いた床版上面ないし橋台上面との接触部の一部が相互にフリーとなるように付着分離材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記弾性モルタルの下部表面と、上記切り欠いた床版上面ないし橋台上面との接触面の間には、橋梁の伸縮に伴い前記弾性モルタルで分散吸収できる幅に亘って付着分離材を設けたことを特徴とする。
【0017】
上記弾性モルタル中の中間部位には、橋梁の伸縮に伴い生じる前記弾性モルタルへのひび割れの影響を防ぐためのひび割れ防止シートが一層又は複数層に埋設されていることを特徴とする。
【0018】
また、上記弾性モルタル中の中間部位には、ひび割れ防止シートの一層又は複数層を埋設するとともに該弾性モルタルの下部表面に防水を兼ねた付着分離材となる付着分離シートを設けたことを特徴とする。
【0019】
上記遊間部位が狭くない場合には、該遊間部位の下部に装填した円筒バックアップ材と弾性モルタル下面で囲まれた空間部に砂又は硅砂を充填したことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る橋梁に用いる伸縮装置の製造方法は、橋梁の継手部に確保された遊間を挟んで左右に位置する床版同士又は路盤と床版の対向する上端面に閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部を予め形成するステップと、橋梁の継手部に確保された遊間を弾性変形可能な材料で塞ぐステップと、前記断面矩形状の切り欠き部に面した遊間部位及び該遊間部位を挟んで左右の断面矩形状に切り欠いた床版上面に弾性モルタルが充満するように充填する前に、該弾性モルタルの下面と前記切り欠いた床版上面とが固着することがないように接触部の一部を相互にフリーとなるように付着分離材を敷設するステップと、両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部に弾性モルタルを充填するステップと、該弾性モルタルの中間部位に該弾性モルタルのひび割れを防止するためのひび割れ防止シートを一層又は複数層を埋設するステップと、該弾性モルタルを前記床版の上面、路盤の上面と面一となるように充填するステップとを備え、該弾性モルタルの上面は舗装体で密閉状に被覆されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る橋梁に用いる伸縮装置は、弾性モルタルの特性としてポアソン比、弾性係数、圧縮強度、曲げ強度及びたわみ量のそれぞれを実験上、許容される数値範囲に特定することにより橋梁の継手部における伸縮作用を舗装体に直接影響を及ぼすことなく弾性モルタル自体で分散吸収することができる。また、弾性モルタル自体によって継手部における伸縮作用を分散吸収することができることと相俟って舗装体にかかる車両等の走行荷重等によって弾性モルタルが変形することなく強度上、十分耐えるという弾性と強度という相矛盾する条件を同時に解決することができる。
【0022】
また、本発明は弾性モルタルの下面が、閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状に切り欠いた床版上面の遊間部を含む左右の一定範囲において接着させることなくフリーの状態となるように接着分離材を設けたので、橋梁の熱的伸縮に際して床版の伸縮と弾性モルタルが該床版に強い力で圧接状態に接していても遊間に面する床版が前後に伸縮するときに接着分離材の作用によって一種のすべり状態で移動することとなり、弾性モルタルとの一体的な伸縮運動を伴わずに分離した伸縮移動が行われる結果として弾性モルタルの持つ分散吸収能力と相俟って舗装体へのクラックや隆起現象が解消される。
【0023】
さらに、遊間を中心とした床板との付着分離幅相当部位に接着分離材として防水機能を備えたスライドシートを敷設することにより遊間に水が流れることが無くなりこの面からも舗装体へのクラックの発生や隆起現象の解消が図れる上に防水効果も発揮できる。
【0024】
特に、遊間の幅が狭い箇所では、発泡体からなる円筒状バックアップ材を使用することなく簡単に発泡樹脂材を充填するだけで済む。また、遊間の幅が狭い箇所では、ひび割れ防止シートも不要となる。
【0025】
一方では、遊間の幅が通常の幅若しくは広い幅である場合は、橋梁の伸縮も大きくなるので、弾性モルタル内の中間部位にひび割れ防止シートを敷設することにより弾性モルタル自体が分散吸収能を有する上に弾性モルタルのひび割れ防止が図られ、橋梁の伸縮に伴う舗装体への路面の変形が解消される。
【0026】
なお、本発明では橋梁の伸縮の影響を解消させるために弾性モルタルで行なっているが、その弾性モルタルの充填部位は床版に閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部であり、切り欠かかれない床版上面及び弾性モルタル上面には直接車両等が走行する舗装体が形成されるために、舗装体の補修工事においては舗装体だけを削り取るだけで済み、弾性モルタルは床版と同じ高さであり、舗装体の削り取り作業に弾性モルタルが削り取られることは無くそのまま使用できる。しかも従来の橋梁の継手部位には鋼材やゴム材が舗装体表面に表われているが、本発明では継手に代わって弾性モルタルの表面が舗装体で密閉状に覆われるので従来の継手に起因する車両等の走行時の振動に伴う環境騒音からも開放される。
【0027】
本発明の方法によれば、橋梁の継手部における伸縮に伴う舗装体のひび割れ等のトラブルが解消される上に、伸縮装置自体の交換も大幅に減少する結果、路面舗装の改修工事が大幅に減少し、無駄な国、地方自治体の予算の削減が図られ、かつ伸縮装置の取り付け作業も短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例を示す橋梁に用いる伸縮装置の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す橋梁に用いる伸縮装置の断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す橋梁に用いる伸縮装置の断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す橋梁に用いる伸縮装置の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す橋梁に用いる伸縮装置の断面図である。
【発明の実施の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図1及び図2において遊間2の幅は通常の間隔又は広い間隔の場合について説明しており、発泡体からなる円筒状のバックアップ材3及びその上に砂又は珪砂4を充填した場合について説明したが、遊間2の幅が狭い場合は図3乃至図5に示すようにその空間部に合成樹脂製発泡材からなる材料 (図示せず) 等を充填する。
【0030】
1は橋梁の継手部に用いる伸縮装置である。橋梁の継手部は橋脚で支承される床版5又は桁 (以下、床版という) の対向する端部同士の間に遊間2を設ける場合と橋台で床版5が支承される場合等多様な形態が考えられるがいずれの場合にも適用される。 本例では床版5の端部同士での場合について説明する。
【0031】
橋梁の継手部には伸縮装置1が設けられるが、確保された遊間2を挟んで左右に位置する床版5、5同士の対向する上端面には閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部6を予め工場等において形成しておく。遊間2には予め弾力性のある材料で充填し、その充填物の上面は断面矩形状の切り欠き部6を形成した床版5の底面5aと同じ高さに形成する (図3乃至図5参照) か、若干高めの平坦状に形成する (図1及び図2参照) 。
【0032】
床版5の閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部6には弾性モルタル7を充填する。弾性モルタル7は、ポアソン比が0.1〜0.5で、弾性係数が6.5×10〜1.0×104 N/mm2で、圧縮強度が0.1〜15.0 N/mm2で、曲げ強度が0.1〜12.0 N/mm2で、たわみ量が1.0〜20mmの特性を備えた材料である。弾性係数はより好ましくは6.5×10〜1.0×103 N/mm2 である。弾性モルタル7をこのような数値範囲に特定した理由は、橋梁の継手部における伸縮作用を舗装体に直接影響を及ぼすことなく弾性モルタル自体で分散吸収することができるようにすることと、舗装体にかかる車両等の走行荷重等によって弾性モルタルが変形することなく強度上も十分に耐えることができるという弾性と強度という相矛盾する条件を同時に解決するためである。
【0033】
弾性モルタル7の成分はバインダーと骨材 (粗材と中級材) とセメントとファイバーを主成分として含有している。各成分の体積比率は1対1の割合で配合すると、バインダーは1000g、骨材は粗粒発泡材(粗材)が100〜600gと粒状発泡材(中級材)が50〜400gと珪砂4号の骨材 (粗) が0〜900gと珪砂7号 (珪) とセメント30〜600gと所定繊維長のファイバーは20〜50gである。上記成分を配合する場合、弾性モルタル7自体が橋梁の継手部における伸縮作用を分散吸収する機能を発揮し得るとともに一方では舗装体上を走行する車両等の重量に耐える機械的特性を備えるように配慮する必要がある。しかし、本発明では弾性モルタル7の充填される空間は一種の密閉した空間である床版5の断面矩形状の切り欠き部とその切り欠き部を覆う舗装体8の下面で形成される閉空間に弾性モルタル7が充填形成されることも配慮する必要がある。
【0034】
弾性モルタル7は遊間2を挟んで左右に対向する床版5の閉空間部を形成するための両側壁を備えた上端面を断面矩形状に切り欠くように形成するとともに床版5の幅方向の前端部及び後端部の両側壁 (図示せず) は切り取らずに側壁として残す形状とする。すなわち、遊間2を挟んで左右に対向する床版5の上端面は断面矩形状に切り欠くように形成し、かつ床版5の幅方向の前端部及び後端部からなる前後の側壁 (図示せず) の形成によって上面が開放した容器形状の空間部が形成される。この容器形状の空間部の上面は切り欠かれていない床版5の上端面と同じ高さであり、面一に形成される。容器形状の空間部には弾性モルタル7が空間部全体を埋め尽くすようにして充填する。充填された弾性モルタル7の上面は舗装体8で被覆され、いわば閉空間に弾性モルタル7が充満した状態で充填される。舗装体8は図1乃至図5では高機能アスファルト合材8a (改質2型) を表層とし、基層にマスチックアスファルト合材 (改質2型) を使用した場合を示すが、この舗装体構造はこれに限定されない。
【0035】
弾性モルタル7中の中間部位の遊間2相当部位から左右の所定幅に亘り橋梁の伸縮に伴う弾性モルタル7へのひび割れの影響が想起される範囲に亘ってひび割れ防止シート9を1枚又は複数枚敷設する (図1及び図3参照) 。ひび割れ防止シート9として、本例ではアラミド3軸メッシュシート (芳香族ポリアミド繊維で引張り強度・弾力・耐熱性がきわめて大きい繊維) を使用したが、これに限定されるものではなくひび割れ防止が効果的になされれば他の材料やシートであっても良い。通常の橋梁の伸縮に伴うひび割れ現象は遊間2部位に相当する弾性モルタル7部分で生起することとなるので、弾性モルタル7自体で橋梁の伸縮現象を分散吸収できるが、より一層、効果的なひび割れを防止するという観点からひび割れ防止シート9を採用する。
【0036】
10は断面矩形状の切り欠き部6の底面に敷設したスライドシートで、弾性モルタル7と床版5との接触面が相互にフリーの状態で接している (図1乃至図4参照) 。従来のように接着剤やアンカーボルト等で両者を固定すると橋梁の熱的伸縮作用によって弾性モルタル7自体も連動することにより舗装体8へのひび割れに直接影響を及ぼすのを解消するためである。また、スライドシート10に代えて砂又は珪砂等の分離材11を使用しても良く (図5参照) 、さらには、図1乃至図4に示すようにスライドシート10と砂又は珪砂等の分離材11を併用しても良い。スライドシート10及び分離材11の敷設範囲は、遊間2相当部位から左右の弾性モルタル7の所定幅に亘り橋梁の伸縮に伴うひび割れの影響が想起される範囲で、かつそのひび割れを分散吸収できる範囲である。
【実施例1】
【0037】
弾性モルタルの成分として、バインダーはアルファーゾル(商品名) 1000gと、骨材 (粗) は粗粒発泡材150〜500gと、骨材 (中級) は粒状発泡材60〜300gと、骨材 (粗) は珪砂4号0〜85gと、骨材 (中級) 珪砂7号0〜700gと、普通ポルトランドセメント100〜600gと、太さ15μで12mm長のファイバー28〜64gを主成分として各成分の体積比率が1対1の割合で混合した。
遊間の間隙幅は80mmで、その空間部を円筒ウレタン成形体と珪砂4号を使用して埋めた。舗装体は改質2型アスファルト合材を使用した。
【0038】
弾性モルタルの性能試験結果は、ポアソン比が0.1〜0.5で、弾性係数は6.5×10〜1.0×103 N/mm2で、圧縮強度は0.1〜15.0 N/mm2 曲げ強度は0.1〜12.0 N/mm2 で、たわみ量は1.0〜20mmであった。
【実施例2】
【0039】
実施例1の弾性モルタル中の中間部位に1枚のアラミド3軸メッシュシートを遊間部位から左右の所定幅に亘り敷設し、さらに弾性モルタルの底面にスライドシート及び砂又は珪砂を敷設した。その結果、弾性モルタルの能力が一層発揮された。
【符号の説明】
【0040】
1 伸縮装置
2 遊間
3 バックアップ材
4 砂又は珪砂
5 床版
5a 底面
6 断面矩形状の切り欠き部
7 弾性モルタル
8 舗装体
8a 高機能アスファルト合材
8b マスチックアスファルト
9 ひび割れ防止シート
10 スライドシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の継手部に確保された遊間を挟んで左右に位置する床版同士又は路盤と床版の対向する上端面部に閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部を形成し、該断面矩形状の切り欠き部への充填と前記遊間を跨ぐように形成し、かつ前記床版の切り欠きがされていない上面及び路盤の上面と面一となる弾性モルタルを充填形成し、該弾性モルタルの上面を舗装体で密閉状に被覆することを特徴とする橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項2】
前記橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタルは、ポアソン比が0.1〜0.5で、弾性係数が6.5×10〜1.0×104 N/mm2で、圧縮強度が0.1〜15.0 N/mm2で、曲げ強度が0.1〜12.0 N/mm2で、たわみ量が1.0〜20mmの特性を備えた材料であることを特徴とする請求項1に記載する橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項3】
前記橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタルは、その下部表面部と、上記切り欠いた床版上面ないし橋台上面との接触部の一部が相互にフリーとなるように付着分離材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載する橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項4】
前記橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタルの下部表面と、上記切り欠いた床版上面ないし橋台上面との接触面の間には、橋梁の伸縮に伴い前記弾性モルタルで分散吸収できる幅に亘って付着分離材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載する橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項5】
前記橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタルの中間部位には、橋梁の伸縮に伴い生じる前記弾性モルタルへのひび割れの影響を防ぐためのひび割れ防止シートが一層又は複数層に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項6】
前記橋梁に用いる伸縮装置を構成する上記弾性モルタル中の中間部位には、ひび割れ防止シートの一層又は複数層を埋設するとともに該弾性モルタルの下部表面に防水を兼ねた付着分離材となる付着分離シートを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載する橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項7】
前記橋梁に用いる伸縮装置の上記遊間部位が狭くない場合には、該遊間部位の下部に装填した円筒バックアップ材と弾性モルタル下面で囲まれた空間部に砂又は硅砂を充填したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載する橋梁に用いる伸縮装置。
【請求項8】
橋梁の継手部に確保された遊間を挟んで左右に位置する床版同士又は路盤と床版の対向する上端面に閉空間部を形成するための両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部を予め形成するステップと、橋梁の継手部に確保された遊間を弾性変形可能な材料で塞ぐステップと、前記断面矩形状の切り欠き部に面した遊間部位及び該遊間部位を挟んで左右の断面矩形状に切り欠いた床版上面に弾性モルタルが充満するように充填する前に、該弾性モルタルの下面と前記切り欠いた床版上面とが固着することがないように接触部の一部を相互にフリーとなるように付着分離材を敷設するステップと、両側壁を備えた断面矩形状の切り欠き部に弾性モルタルを充填するステップと、該弾性モルタルの中間部位に該弾性モルタルのひび割れを防止するためのひび割れ防止シートを一層又は複数層を埋設するステップと、該弾性モルタルを前記床版の上面、路盤の上面と面一となるように充填するステップとを備え、該弾性モルタルの上面は舗装体で密閉状に被覆されていることを特徴とする橋梁に用いる伸縮装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−162981(P2011−162981A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25806(P2010−25806)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(510036218)
【出願人】(509001766)
【出願人】(505304735)
【出願人】(510036230)有限会社湘南テクノ (2)
【Fターム(参考)】