機器制御装置および方法
【課題】対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、十分な制御精度と応答性を得る。
【解決手段】機器制御値検索部14Dにより、センサ結果収集部14Aで収集した新たなセンサ結果からノード判定部14Cで得られた、新たなノード判定結果に基づいて、制御値DB13を検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録の場合には新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、機器制御部14Eで、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器22へ送信する。
【解決手段】機器制御値検索部14Dにより、センサ結果収集部14Aで収集した新たなセンサ結果からノード判定部14Cで得られた、新たなノード判定結果に基づいて、制御値DB13を検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録の場合には新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、機器制御部14Eで、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器22へ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワークにより取得したセンサ結果に基づいて、各制御機器を制御する機器制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサネットワークにより環境情報を取得し対象の状態を精度良く推定したり、さらにその情報に基づいて照明や空調などの環境制御機器を制御したりするシステムが開発されている。例えば、照明に人感センサを接続し、人の在不在に応じて照明を点灯したり消灯したりするものがある。
【0003】
このような、機器制御技術として、各センサノードから得られたセンサ結果と、各センサノードと対応する各制御機器を制御する際の諸条件下とについて、最適化問題算出処理を実行することにより、当該センサ結果に対応する機器制御値を高精度に算出する技術がある(例えば、特許文献1など参照)。これによれば、照明と人感センサが1対1に対応して、人感センサがONなら照明をON、人感センサがOFFなら照明をOFFというような制御を行うようなケースであっても、利用者の快適性を考慮し、対象領域全体で最適となる制御が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−249647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合には、十分な制御精度と応答性を得ることが難しいという問題点があった。
すなわち、従来技術によれば、各センサノードから収集したセンサ結果と、各センサノードと対応する各制御機器を制御する際の諸条件下とについて、最適化問題算出処理を実行する必要がある。このため、対象領域全体に配置されたすべての制御機器について、機器制御値を算出する必要があるため、その算出に時間がかかり、十分な応答性が得られない。また、最適化問題算出処理を簡素化すれば機器制御値の算出時間を短縮できるものの、十分な制御精度を得ることができない。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、十分な制御精度と応答性を得ることができる機器制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる機器制御装置は、複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集部と、センサ結果に基づいて、各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、センサノードごとに算出する機器制御値算出部と、センサ結果に基づいて、センサノードのうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定部と、任意のセンサ結果から機器制御値算出部で算出された各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定部で得られた各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶する制御値データベースと、センサ結果収集部で収集された新たなセンサ結果からノード判定部で得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値データベースを検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索部と、新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信する機器制御部とを備えている。
【0008】
この際、機器制御値算出部で、新たな機器制御値が未登録の場合、新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値データベースへ追加登録するようにしてもよい。
【0009】
また、機器制御値検索部で、新たな機器制御値が未登録の場合、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに関する機器制御値を、事象発生を検出したセンサノードと対応する制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し、機器制御部で、置換後の機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明にかかる機器制御方法は、センサ結果収集部が、複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集ステップと、機器制御値算出部が、センサ結果に基づいて、各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、センサノードごとに算出する機器制御値算出ステップと、ノード判定部が、センサ結果に基づいて、センサノードのうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定ステップと、制御値データベースが、任意のセンサ結果から機器制御値算出ステップで算出された各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定ステップで得られた各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶するステップと、機器制御値検索部が、センサデータ収集ステップで収集された新たなセンサ結果からノード判定ステップで得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値データベースを検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索ステップと、機器制御部が、新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信する機器制御ステップとを備えている。
【0011】
この際、機器制御値算出ステップに、新たな機器制御値が未登録の場合、新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値データベースへ追加登録するステップを含むようにしてもよい。
【0012】
また、機器制御値検索ステップに、新たな機器制御値が未登録の場合、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに関する機器制御値を、事象発生を検出したセンサノードと対応する制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するステップを含み、機器制御ステップに、置換後の機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信するステップを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各センサノードから収集した新たなセンサ結果に応じた、各制御機器を制御するための新たな機器制御値が、制御値データベースの検索処理で得られることになる。このため、新たなセンサ結果が得られるごとに、最適化問題算出処理を実行する場合と比較して、近傍の制御機器間における出力を滑らかに変化させるための新たな機器制御値を極めて短時間で得ることができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い応答性を得ることが可能となる。
【0014】
また、機器制御値を検索する際、事象発生が検出された反応ノードの近傍に位置する近傍ノードを特定したノード判定結果を用いるようにしたので、収集したセンサ結果そのもので機器制御値を検索する場合と比較して、極めて少ない誤差で類似機器制御値を検索することができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い制御精度を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態にかかる機器制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】制御値データベースの構成例である。
【図3】ノード判定例を示す説明図である。
【図4】機器制御値算出処理を示すフローチャートである。
【図5】機器制御処理を示すフローチャートである。
【図6】機器制御値(登録あり)の算出例である。
【図7】機器制御値(登録なし)の算出例である。
【図8】第2の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートである。
【図10】機器制御値(置換後)の算出例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる機器制御装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる機器制御装置の構成を示すブロック図である。
この機器制御装置10は、全体としてサーバ装置やPCなどの情報処理装置からなり、センサネットワーク20を構成する各センサノード21から収集したセンサ結果に基づいて、これらセンサノード21に対応する制御機器22を制御するための機器制御信号を生成し、各センサノード21へ送信する機能を有している。
【0017】
本実施の形態は、機器制御装置10に、センサ結果に基づいて、各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、センサノードごとに算出する機器制御値算出部と、センサ結果に基づいて、センサノードのうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定部と、任意のセンサ結果から機器制御値算出部で算出された各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定部で得られた各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶する制御値データベースとを設けたものである。
【0018】
そして、センサ結果収集部で収集された新たなセンサ結果からノード判定部で得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値データベースを検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得し、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信するようにしたものである。
【0019】
[機器制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる機器制御装置10の構成について詳細に説明する。
機器制御装置10には、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)11、記憶部12、制御値データベース(以下、制御値DBという)13、および演算処理部14が設けられている。
【0020】
通信I/F部11は、専用の無線通信回路からなり、センサノード21との間で、無線LAN、特定小電力無線、微弱無線、ZIGBEE(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)などのプロトコルを用いて無線データ通信を行うことにより、各センサノード21を識別するためのノードID、各センサノード21で検出されたセンサ結果、あるいは各センサノード21の近傍に位置する他のセンサノード21のノードIDなどの各種データを各センサノード21から受信する機能と、演算処理部14で生成した機器制御信号を各センサノード21へ送信する機能とを有している。なお、通信I/F部11に代えて機器制御装置10の外部に無線アクセスポイントを設けてもよい。これらの無線を利用した場合、無線通信距離は数mから数十mである。
【0021】
記憶部12は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部14で実行する処理に用いる各処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。記憶部12で記憶される主な処理情報としては、各センサノード21から収集したノードIDやセンサ結果、機器制御値、ノード判定結果、機器制御信号などがある。
【0022】
制御値DB13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部14で実行する処理に用いる、機器制御値とノード判定結果との組をそれぞれ記憶する機能を有している。この制御値DB13は、記憶部12の一部として構成してもよい。
【0023】
図2は、制御値データベースの構成例である。ここでは、各センサノード21から収集したセンサ結果ごとに、当該センサ結果が得られた際に各制御機器22へ送信すべき機器制御値と、当該センサ結果が得られた際に各センサノードの動作種別を判定して得られたノード判定結果とが、組として対応付けて登録されている。機器制御値およびノード判定結果は、演算処理部14で算出され、制御値DB13へ登録されるものであり、これら機器制御値およびノード判定結果の詳細については、演算処理部14の説明時に合わせて説明する。
【0024】
演算処理部14は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部12からプログラムを読み込んで実行することにより、各種の処理部を実現する機能を有している。
演算処理部14で実現される主な処理部として、センサ結果収集部14A、機器制御値算出部14B、ノード判定部14C、機器制御値検索部14D、および機器制御部14Eがある。
【0025】
センサ結果収集部14Aは、通信I/F部11を介してセンサノード21とデータ通信を行うことにより、これらセンサノード21で検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果、各センサノード21を識別するためのノードID、さらには各センサノード21の近傍に位置する他のセンサノード21のノードIDなどの各種データを各センサノード21から収集して記憶部12へ保存する機能を有している。
【0026】
例えば、機器制御装置10が照明制御システムとして用いられるケースでは、各センサノード21が各区画に設けられた人感センサからなり、各センサノード21に対応する制御機器22が、各区画の照明を制御する照明制御機器からなる場合、センサ結果としてそれぞれの区画に人が存在しているか否か、事象の発生有無として通知される。
【0027】
機器制御値算出部14Bは、センサ結果収集部14Aで得られたセンサ結果を記憶部12から取得し、このセンサ結果に基づいて、各センサノード21に対応付けられている制御機器22を制御するための機器制御値を、センサノード21ごとに算出する機能を有している。
上記照明制御システムのケースでは、各区画における人の有無を示すセンサ結果に応じて、各区画の照明機器に求められる明るさを示す機器制御値が算出される。
【0028】
このように、機器制御値は、制御機器22を制御するためのデータであるが、実際には制御機器22が制御対象とする機器に対して送信する量、例えば、照明であれば明るさ、空調であれば温度のような量であってもよく、あるいは制御機器22が実際に制御する電力であってもよい。前述した図2の例においては、機器制御値が0〜1の範囲に正規化されていることになる。
【0029】
ノード判定部14Cは、センサ結果収集部14Aで得られたセンサ結果を記憶部12から取得し、このセンサ結果に基づいて、各センサノード21の動作種別を判定する機能を有している。具体的には、センサノード21のうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定する機能と、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定する機能と、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定する機能とを有している。
【0030】
図3は、ノード判定例を示す説明図である。ここでは、N1〜N10の10個のセンサノード21が等間隔で一列に並んでおり、互いに隣接するセンサノード21がそれぞれの近傍に位置することを示しているものとし、これらセンサノード21のうちセンサノードN1,N5,N10でのみ事象発生が検出されたものとする。
この場合、事象発生の検出ありを「1」とし、事象発生の検出なしを「0」とした場合、センサ結果収集部14Aで得られるセンサ結果は、N1〜N10の順に、「1,0,0,0,1,0,0,0,0,1」と表現される。
【0031】
したがって、ノード判定部14Cは、これらセンサノード21のうち、N1,N5,N10を反応ノード判定し、その他のN2〜N4,N6〜N9を非反応ノードと判定する。さらに、ノード判定部14Cは、これら非反応ノードのうち、反応ノード1,N5,N10の近傍に位置するN2,N4,N6,N9を近傍ノードと判定する。
【0032】
これにより、各センサノード21のノード判定結果を示す値として、反応ノードを「1」とし、非反応ノードを「0」とし、近傍ノードを「0.5」とした場合、N1〜N10に関するノード判定結果は、「1,0.5,0,0.5,1,0.5,0,0,0.5,1」と表現される。なお、N1〜N10のうち、任意のセンサノードNが非反応ノードであり、この両側が反応ノードである場合、当該センサノードNは、両側の反応ノードから近傍ノードと判定されるが、これらノード判定結果の値自体は加算されるものではなく、当該センサノードNに対する最終的な判定に対して「0.5」という値が割り当てられる。
【0033】
近傍ノードの値は、制御値DB13の検索時に、どの程度、近傍ノードを考慮するかという重みに相当すると考えられる。例えば、近傍ノードの値を小さい値にすると、非反応ノードの値に近づくため、検索時における近傍ノードの考慮度合いは小さくなる。一方、近傍ノードの値を大きい値にすると、反応ノードの値に近づくため、検索時における近傍ノードの考慮度合いは大きくなる。このため、近傍ノードの値については、適用する制御対象の特徴や得られる精度に応じて、予め決定すればよい。
【0034】
機器制御値検索部14Dは、センサ結果収集部14Aで収集した新たなセンサ結果から得られた新たなノード判定結果を、ノード判定部14Cから取得する機能と、この新たなノード判定結果に基づいて制御値DB13を検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得する機能と、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得する機能とを有している。
【0035】
機器制御部14Eは、機器制御値検索部14Dで得られた新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成する機能と、これら機器制御信号を通信I/F部11から各センサノード21経由で各制御機器22へ送信する機能とを有している。機器制御信号は、センサノードや制御機器で扱いやすくするため、あるいは通信プロトコルに応じて、機器制御値を所定の式や形式に基づき変換したものである。
【0036】
[センサノード]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるセンサノード21の構成について詳細に説明する。
センサノード21は、全体としてRFIDなどの小型無線装置からなり、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)21A、センサ部21B、および機器インターフェース部(以下、機器I/F部という)21Cが設けられている。
【0037】
通信I/F部21Aは、専用の無線通信回路からなり、他のセンサノード21あるいは機器制御装置10との間で、無線LAN、特定小電力無線、微弱無線、ZIGBEE(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)などの近距離無線プロトコルを用いて、他のセンサノード21と無線データ通信および無線データ転送を行うことによりセンサネットワーク20を構築する機能と、自ノード21のノードID、自ノード21のセンサ部21Bで検出されたセンサ結果、あるいは自ノード21の近傍位置の他のセンサノード21のノードIDなどの各種データを、センサネットワーク20を介して機器制御装置10へ送信する機能と、センサネットワーク20を介して機器制御装置10から自ノード21の制御機器22に対する機器制御信号を受信する機能とを有している。
【0038】
センサ部21Bは、温度センサ、湿度センサ、衝撃を検出する振動センサなどの状態測定用センサに加え、自ノード21の近傍位置にある他センサノード21との間でノードIDを送受信することにより、他のセンサノードを検出する赤外線センサや電磁界センサなどのノード検出用センサを備えている。このノード検出用センサの感度に応じて、自ノード21の近傍位置範囲が決定される。
【0039】
すなわち、各センサノード21は、他のセンサノード21に対して自ノードIDを送信し、他センサノード21から他ノードIDを受信する。このプロセスはセンサノード21をある環境に配置した時に1度行うものでよいが、定期的にこのようなステップを行い、近傍のセンサノードを認識してもよい。そして、センサノード21は、自ノードIDとセンサ結果および受信した他センサノードのIDを機器制御装置10へ送信する。
【0040】
この際、センサ部21Bでのセンシングは定期的に行い、そのたびに機器制御装置10と通信してもよい。あるいは、任意のセンサノード21のセンサ部21Bが環境の変化を検出した時点で、センサ結果を機器制御装置10に送信し、これに応じて機器制御装置10が残りのセンサノード21へセンシングを要求し、各センサノード21からセンサ結果を収集するようにしてもよい。
【0041】
このようにして、機器制御装置10では、各センサノード21から通知された他ノードIDに基づき、当該センサノード21の近傍に位置する他センサノード21を確認することができる。これにより、センサノード21の位置が動的に変化する場合でも、各センサノード21間の最新の近傍位置関係を把握できる。なお、センサノード21の位置がある程度固定的であれば、どのセンサノード21が近傍位置関係にあるかを予め記憶部13に設定しておけばよく、この場合にはセンサノード21で他ノードIDを検出する必要もなく、これを機器制御装置10へ通知する必要もない。
【0042】
機器I/F部21Cは、専用のインターフェース回路からなり、通信I/F部21Aで受信した機器制御装置10からの機器制御信号に基づいて、自ノード21と接続されている制御機器22の動作を制御する機能を有している。
【0043】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる機器制御装置10の動作について説明する。
エアコンや照明などの環境制御機器の制御においては、省エネの観点からセンサによって環境を監視し、環境制御機器を制御することが望まれる。しかし、そのような省エネだけの観点から環境制御機器を制御すると必ずしも人の感性や快適性に適合しない場合がある。
【0044】
例えば、人の存在を検出して照明を制御する場合、人がいない場所は照明をオフするのが省エネの観点からは望ましいが、明るい場所から急に暗くなる場所があったりするといかにも不自然な照明といわざるを得ない。できるだけ自然にだんだん明るさが変化するような方が中にいる人にとって居住性が良いものと思われる。
【0045】
制御機器として照明を仮定すると、通常、人がいない場所では消灯し、人がいる場所では点灯する。ここで、照明は明るさを調節できる、すなわち調光機能を持つものを用いた場合、単なる点灯/消灯制御とは異なり、より自然かつ省エネ効果が得られる照明制御を実現できる。したがって、このようなケースでは、人が存在する場所の明るさは決まるが、人がいない場所の照明をどうするかが問題となる。
【0046】
本実施の形態では、次の式(1)で表される評価関数を、式(2)および式(3)の条件の下で最小にすることを考える。
【数1】
【数2】
【数3】
【0047】
これら式(1)〜(3)において、fiはセンサノードiと対応する制御機器への機器制御値、fjはセンサノードiの近傍にあるmi個のセンサノードと対応する制御機器への機器制御値である。また、aは、制御機器22全体の機器消費電力の下限値であり、bは制御機器22全体の機器消費電力の上限値である。また、ここでは、説明を簡単にするため、照明出力などの機器制御値と機器消費電力とが同一であるものと見なすが、実際には、機器制御値と機器消費電力との関係を示す関数gを別途設けて変換すればよい。
【0048】
式(1)は、隣接する制御機器22の機器制御値の差の自乗和を評価値Eとして算出する、いわゆる評価関数である。式(2)は、全体の機器消費電力合計の範囲を定める条件式である。式(3)は機器制御値あるいは消費電力は0以上であるという条件式である。
【0049】
ここで、式(2)は全体の消費電力の合計であるが、人がいる場所は通常、明るくしなければならないため、下限は必然的に決定する。よって、下限はセンサ結果に基づき決定される人がいる場所の機器の消費電力の合計であり、上限は予め設定された、許容される全体の消費電力である。
したがって、人がいない場所の照明の明るさを求めるということは、この式(2)および式(3)の条件下で、明るさの空間的滑らかさ、すなわち式(1)の評価値Eを最小とする各照明の明るさを計算するということになる。
【0050】
すなわち、各機器制御値fは0以上であり、かつ、その合計がある範囲、ここでは下限値aから上限値bまでの範囲内となるというの条件を満たしつつ、隣接するセンサノード21の機器制御値fの差の自乗和の合計Eが最小となるように、各制御機器に対する機器制御値が求められる。このような数学問題は最適化問題と呼ばれ、いくつか公知のコンピュータプログラムからなる算出手法を利用することにより解を求めることができるため、ここではその詳細について触れない。
【0051】
図4は、機器制御値算出処理を示すフローチャートである。
まず、機器制御値算出部14Bは、センサ結果収集部14Aで収集されたセンサ結果を記憶部12から取得するとともに(ステップ100)、予め設定されている上限値bを記憶部12から取得する(ステップ101)。
【0052】
続いて、機器制御値算出部14Bは、各センサノード21のセンサ結果のうちから、事象発生ありを示すセンサ結果の数を計数し、この計数結果から下限値aを算出する(ステップ102)。
この後、これら下限値aおよび上限値bで規定される式(2)と、式(3)条件下で、式(1)の評価値Eを最小とする、各センサノード21の機器制御値fiを、最適化問題算出手法を利用して計算し(ステップ103)、一連の機器制御値算出処理を終了する。
【0053】
次に、図5を参照して、機器制御装置10における機器制御動作について説明する。図5は、機器制御処理を示すフローチャートである。
機器制御装置10の演算処理部14は、定期的に、図5の機器制御処理を実行する。なお、制御値DB13には、ノード判定結果と機器制御値との組がいくつか登録されているものとする。
【0054】
まず、センサ結果収集部14Aは、各センサノード21から新たなセンサ結果を収集し(ステップ110)、ノード判定部14Cは、このセンサ結果に基づいて各センサノードの動作種別を判定する(ステップ111)。
続いて、機器制御値検索部14Dは、ノード判定部14Cで得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値DB13を検索する(ステップ112)。
【0055】
ここで、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値が見つかった場合(ステップ112:YES)、機器制御部14Eは、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して(ステップ113)、通信I/F部11から各センサノード21経由で各制御機器22へ送信し(ステップ114)、一連の機器制御処理を終了する。
【0056】
一方、ステップ112において、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録であった場合(ステップ112:NO)、機器制御値検索部14Dは、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果を特定して、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値を、新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得し(ステップ115)、前述したステップ113へ移行する。
【0057】
この際、機器制御値検索部14Dは、制御値DB13に登録されている各登録ノード判定結果と新たなノード判定結果との類似度を計算して、最も類似性の高いノード判定結果を類似ノード判定結果として特定する。
類似度については、例えば登録ノード判定結果に含まれるセンサノードごとの判定値を要素とする多次元ベクトルと、新たなノード判定結果に含まれるセンサノードごとの判定値を要素とする多次元ベクトルとの間のユークリッド距離などを用いて計算すればよい。
【0058】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、本実施の形態にかかる機器制御装置10の動作例について説明する。
ここでは、前述の図3に示したように、N1〜N10の10個のセンサノード21が直列に並んでおり、互いに隣接するセンサノード21がそれぞれの近傍に位置することを示しているものとする。また、制御値DB13には、ノード判定結果と機器制御値との組がいくつか登録されているものとする。
【0059】
まず、センサノード21のうちセンサノードN1,N5,N10でのみ事象発生が検出されたものとする。この場合、事象発生の検出ありを「1」とし、事象発生の検出なしを「0」とした場合、センサ結果収集部14Aで得られるセンサ結果は、N1〜N10の順に、「1,0,0,0,1,0,0,0,0,1」と表現される。
これにより、各ノードのノード判定結果を示す判定値として、反応ノードを「1」とし、非反応ノードを「0」とし、近傍ノードを「0.5」とした場合、N1〜N10に関するノード判定結果は、「1,0.5,0,0.5,1,0.5,0,0,0.5,1」と表現される。
【0060】
ここで、制御値DB13に、このノード判定結果に対応する機器制御値として「1,0.6,0.47,0.6,1,0.47,0.2,0.2,0.47,1」が登録されていた場合、この機器制御値に基づいて機器制御信号が生成され、各制御機器22へ送信されるものとなる。
【0061】
一方、センサノード21のうちセンサノードN1,N6,N10でのみ事象発生が検出されたものとする。この場合、センサ結果収集部14Aで得られるセンサ結果は、「1,0,0,0,0,1,0,0,0,1」と表現される。
これにより、各ノードのノード判定結果は、「1,0.5,0,0,0.5,1,0.5,0,0.5,1」と表現される。
【0062】
ここで、制御値DB13には、このノード判定結果に対応する機器制御値が登録されおらず、このノード判定結果に類似する類似ノード判定結果として「1,0.5,0,0.5,1,0.5,0,0,0.5,1」が特定された場合、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値「1,0.6,0.47,0.6,1,0.47,0.2,0.2,0.47,1」に基づいて機器制御信号が生成され、各制御機器22へ送信されるものとなる。
【0063】
図6は、機器制御値(登録あり)の算出例である。図7は、機器制御値(登録なし)の算出例である。図7の場合、センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されておらず、類似ノード判定結果から得られた類似機器制御値であるが、図6の機器制御値と比較して、ほぼ同様の機器制御値が得られていることがわかる。
【0064】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、機器制御装置10において、センサ結果収集部14Aで、複数のセンサノード21とデータ通信を行うことにより、これらセンサノード21で検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集し、機器制御値算出部14Bで、このセンサ結果に基づいて、各センサノード21に対応付けられている制御機器22を制御するための機器制御値を、センサノード21ごとに算出し、ノード判定部14Cで、上記センサ結果に基づいて、センサノード21のうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定し、制御値DB13で、任意のセンサ結果から機器制御値算出部14Bで算出された各制御機器22の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定部14Cで得られた各センサノード21に関するノード判定結果とを対応付けて記憶するようにしたものである。
【0065】
そして、機器制御値検索部14Dにより、センサ結果収集部14Aで収集された新たなセンサ結果からノード判定部14Cで得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値DB13を検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得し、機器制御部14Eで、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器22へ送信するようにしたものである。
【0066】
これにより、各センサノード21から収集した新たなセンサ結果に応じた、各制御機器22を制御するための新たな機器制御値が、制御値DB13の検索処理で得られることになる。このため、新たなセンサ結果が得られるごとに、前述の式(1)〜式(3)を用いた最適化問題算出処理を実行する場合と比較して、近傍の制御機器22間における出力を滑らかに変化させるための新たな機器制御値を極めて短時間で得ることができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い応答性を得ることが可能となる。
【0067】
また、機器制御値を検索する際、事象発生が検出された反応ノードの近傍に位置する近傍ノードを特定したノード判定結果を用いるようにしたので、収集したセンサ結果そのもので機器制御値を検索する場合と比較して、極めて少ない誤差で類似機器制御値を検索することができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い制御精度を得ることが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態では、各センサノード21に制御機器22を接続し、機器制御装置10からセンサノード21を経由して制御機器22へ機器制御信号を送信する場合を例として説明したが、この接続構成に限定されるものではない。例えば、制御機器22をセンサノード21とは別個に、所定の通信ネットワークを介して機器制御装置10に接続し、機器制御装置10から制御機器22へ、直接、機器制御信号を送信するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、理解を容易とするため、前述の図3に示したように、各センサノード21が一次元的に配置されている場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。各センサノード21が2次元的さらには3次元的に配置されている場合であっても、同様にして本実施の形態を適用できる。
【0070】
[第2の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる機器制御装置10について説明する。図8は、第2の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートであり、前述の図5と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0071】
本実施の形態では、制御値DB13の更新動作について説明する。
センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されていない場合、機器制御値算出部14Bで、ノード判定結果に対応する機器制御値を算出して、制御値DB13に登録すれば、これ以降において同一ノード判定結果が収集された際に、当該ノード判定結果と一致する機器制御値を制御値DB13から検索でき、高い制御精度が得られる。
【0072】
この際、機器制御値算出部14Bにおける機器制御値の算出には、処理時間を要する。本実施の形態では、センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されていない場合、類似機器制御値の検索とは別個に機器制御値を算出するようにしたものである。
すなわち、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、機器制御値検索部14Dでの類似機器制御値の検索とは別個に、機器制御値算出部14Bにおいて、当該新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値DB13へ追加登録するようにしたものである。
【0073】
具体的には、図8において、ステップ112において、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録であった場合(ステップ112:NO)、機器制御値検索部14Dは、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果を特定して、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値を、新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得する(ステップ115)。
【0074】
続いて、機器制御部14Eは、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して(ステップ200)、通信I/F部11から各センサノード21経由で各制御機器22へ送信する(ステップ201)。
この後、機器制御値算出部14Bは、ステップ110で収集した新たなセンサ結果に基づいて、前述した式(1)〜式(3)を用いた図4の機器制御値算出処理を実行して、新たな機器制御値を算出し(ステップ202)、得られた新たな機器制御値を、新たなノード判定結果と対応付けて制御値DB13へ追加登録する(ステップ203)。
【0075】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、機器制御値算出部14Bで、当該新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値DB13へ追加登録するようにしたものである。
したがって、類似ノード判定結果を用いた類似機器制御値の検索、および類似機器制御値に応じた機器制御信号の送信を遅らせることなく、制御値DB13を更新することができる。
【0076】
なお、機器制御値算出部14Bにおける新たな機器制御値の算出開始は、具体的には、類似機器制御値に応じた機器制御信号を送信した後であればよい。また、類似機器制御値の検索から機器制御信号の送信までの処理に要する演算処理部14の処理能力を十分に確保できるのであれば、ステップ112で新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録と判定された時点で、類似機器制御値の検索から機器制御信号の送信までの処理と並行して、機器制御値算出部14Bにおける新たな機器制御値の算出を開始してもよい。
【0077】
[第3の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる機器制御装置10について説明する。図9は、第3の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートであり、前述の図5と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
本実施の形態では、センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されていない場合に、制御値DB13から検索した類似機器制御値を補正する場合について説明する。
【0078】
前述の図7に示したように、類似機器制御値については、前述の図6に示した、新たなノード判定結果に対応する新たな機器制御値とほぼ同様の機器制御値が得られる。しかしながら、類似機器制御値においては、センサノードN5が反応ノードであるにも関わらず、機器制御値が「1」を示しておらず、明らかに誤差の発生要因となっていることがわかる。
本実施の形態では、類似機器制御値のうち、反応ノードに対応する機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するようにしたものである。
【0079】
すなわち、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、機器制御値検索部14Dにおいて、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに対応する類似機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し、機器制御部14Eで、この置換後の類似機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器22へ送信するようにしたものである。
【0080】
具体的には、図9のステップ112において、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録であった場合(ステップ112:NO)、機器制御値検索部14Dは、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果を特定して、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値を、新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得する(ステップ115)。
【0081】
この後、機器制御値検索部14Dにおいて、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに対応する類似機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し(ステップ300)、ステップ113へ移行する。
【0082】
図10は、機器制御値(置換後)の算出例である。ここでは、図7の類似機器制御値と比較して、センサノードN5の機器制御値が、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値、すなわち「1.0」に置換されている。これにより、図6の機器制御値と比較して、反応ノードN1,N5,N10のすべてにおいて、図6と同じ機器制御値が得られていることがわかる。
【0083】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、類似ノード判定結果により制御値DB13から検索した機器制御値のうち、反応ノードに対応する類似機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するようにしたので、各反応ノードにおける機器制御値を正確に得ることができ、結果として機器制御値全体の制御において誤差を少なくすることができる。
【0084】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0085】
10…機器制御装置、11…通信I/F部、12…記憶部、13…制御値DB、14…演算処理部、14A…センサ結果収集部、14B…機器制御値算出部、14C…ノード判定部、14D…機器制御値検索部、14E…機器制御部、20…センサネットワーク、21…センサノード、21A…通信I/F部、21B…センサ部、21C…機器I/F部、22…制御機器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワークにより取得したセンサ結果に基づいて、各制御機器を制御する機器制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサネットワークにより環境情報を取得し対象の状態を精度良く推定したり、さらにその情報に基づいて照明や空調などの環境制御機器を制御したりするシステムが開発されている。例えば、照明に人感センサを接続し、人の在不在に応じて照明を点灯したり消灯したりするものがある。
【0003】
このような、機器制御技術として、各センサノードから得られたセンサ結果と、各センサノードと対応する各制御機器を制御する際の諸条件下とについて、最適化問題算出処理を実行することにより、当該センサ結果に対応する機器制御値を高精度に算出する技術がある(例えば、特許文献1など参照)。これによれば、照明と人感センサが1対1に対応して、人感センサがONなら照明をON、人感センサがOFFなら照明をOFFというような制御を行うようなケースであっても、利用者の快適性を考慮し、対象領域全体で最適となる制御が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−249647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合には、十分な制御精度と応答性を得ることが難しいという問題点があった。
すなわち、従来技術によれば、各センサノードから収集したセンサ結果と、各センサノードと対応する各制御機器を制御する際の諸条件下とについて、最適化問題算出処理を実行する必要がある。このため、対象領域全体に配置されたすべての制御機器について、機器制御値を算出する必要があるため、その算出に時間がかかり、十分な応答性が得られない。また、最適化問題算出処理を簡素化すれば機器制御値の算出時間を短縮できるものの、十分な制御精度を得ることができない。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、十分な制御精度と応答性を得ることができる機器制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる機器制御装置は、複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集部と、センサ結果に基づいて、各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、センサノードごとに算出する機器制御値算出部と、センサ結果に基づいて、センサノードのうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定部と、任意のセンサ結果から機器制御値算出部で算出された各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定部で得られた各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶する制御値データベースと、センサ結果収集部で収集された新たなセンサ結果からノード判定部で得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値データベースを検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索部と、新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信する機器制御部とを備えている。
【0008】
この際、機器制御値算出部で、新たな機器制御値が未登録の場合、新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値データベースへ追加登録するようにしてもよい。
【0009】
また、機器制御値検索部で、新たな機器制御値が未登録の場合、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに関する機器制御値を、事象発生を検出したセンサノードと対応する制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し、機器制御部で、置換後の機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明にかかる機器制御方法は、センサ結果収集部が、複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集ステップと、機器制御値算出部が、センサ結果に基づいて、各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、センサノードごとに算出する機器制御値算出ステップと、ノード判定部が、センサ結果に基づいて、センサノードのうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定ステップと、制御値データベースが、任意のセンサ結果から機器制御値算出ステップで算出された各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定ステップで得られた各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶するステップと、機器制御値検索部が、センサデータ収集ステップで収集された新たなセンサ結果からノード判定ステップで得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値データベースを検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索ステップと、機器制御部が、新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信する機器制御ステップとを備えている。
【0011】
この際、機器制御値算出ステップに、新たな機器制御値が未登録の場合、新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値データベースへ追加登録するステップを含むようにしてもよい。
【0012】
また、機器制御値検索ステップに、新たな機器制御値が未登録の場合、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに関する機器制御値を、事象発生を検出したセンサノードと対応する制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するステップを含み、機器制御ステップに、置換後の機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信するステップを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各センサノードから収集した新たなセンサ結果に応じた、各制御機器を制御するための新たな機器制御値が、制御値データベースの検索処理で得られることになる。このため、新たなセンサ結果が得られるごとに、最適化問題算出処理を実行する場合と比較して、近傍の制御機器間における出力を滑らかに変化させるための新たな機器制御値を極めて短時間で得ることができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い応答性を得ることが可能となる。
【0014】
また、機器制御値を検索する際、事象発生が検出された反応ノードの近傍に位置する近傍ノードを特定したノード判定結果を用いるようにしたので、収集したセンサ結果そのもので機器制御値を検索する場合と比較して、極めて少ない誤差で類似機器制御値を検索することができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い制御精度を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態にかかる機器制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】制御値データベースの構成例である。
【図3】ノード判定例を示す説明図である。
【図4】機器制御値算出処理を示すフローチャートである。
【図5】機器制御処理を示すフローチャートである。
【図6】機器制御値(登録あり)の算出例である。
【図7】機器制御値(登録なし)の算出例である。
【図8】第2の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートである。
【図10】機器制御値(置換後)の算出例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる機器制御装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる機器制御装置の構成を示すブロック図である。
この機器制御装置10は、全体としてサーバ装置やPCなどの情報処理装置からなり、センサネットワーク20を構成する各センサノード21から収集したセンサ結果に基づいて、これらセンサノード21に対応する制御機器22を制御するための機器制御信号を生成し、各センサノード21へ送信する機能を有している。
【0017】
本実施の形態は、機器制御装置10に、センサ結果に基づいて、各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、センサノードごとに算出する機器制御値算出部と、センサ結果に基づいて、センサノードのうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定部と、任意のセンサ結果から機器制御値算出部で算出された各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定部で得られた各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶する制御値データベースとを設けたものである。
【0018】
そして、センサ結果収集部で収集された新たなセンサ結果からノード判定部で得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値データベースを検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得し、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器へ送信するようにしたものである。
【0019】
[機器制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる機器制御装置10の構成について詳細に説明する。
機器制御装置10には、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)11、記憶部12、制御値データベース(以下、制御値DBという)13、および演算処理部14が設けられている。
【0020】
通信I/F部11は、専用の無線通信回路からなり、センサノード21との間で、無線LAN、特定小電力無線、微弱無線、ZIGBEE(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)などのプロトコルを用いて無線データ通信を行うことにより、各センサノード21を識別するためのノードID、各センサノード21で検出されたセンサ結果、あるいは各センサノード21の近傍に位置する他のセンサノード21のノードIDなどの各種データを各センサノード21から受信する機能と、演算処理部14で生成した機器制御信号を各センサノード21へ送信する機能とを有している。なお、通信I/F部11に代えて機器制御装置10の外部に無線アクセスポイントを設けてもよい。これらの無線を利用した場合、無線通信距離は数mから数十mである。
【0021】
記憶部12は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部14で実行する処理に用いる各処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。記憶部12で記憶される主な処理情報としては、各センサノード21から収集したノードIDやセンサ結果、機器制御値、ノード判定結果、機器制御信号などがある。
【0022】
制御値DB13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部14で実行する処理に用いる、機器制御値とノード判定結果との組をそれぞれ記憶する機能を有している。この制御値DB13は、記憶部12の一部として構成してもよい。
【0023】
図2は、制御値データベースの構成例である。ここでは、各センサノード21から収集したセンサ結果ごとに、当該センサ結果が得られた際に各制御機器22へ送信すべき機器制御値と、当該センサ結果が得られた際に各センサノードの動作種別を判定して得られたノード判定結果とが、組として対応付けて登録されている。機器制御値およびノード判定結果は、演算処理部14で算出され、制御値DB13へ登録されるものであり、これら機器制御値およびノード判定結果の詳細については、演算処理部14の説明時に合わせて説明する。
【0024】
演算処理部14は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部12からプログラムを読み込んで実行することにより、各種の処理部を実現する機能を有している。
演算処理部14で実現される主な処理部として、センサ結果収集部14A、機器制御値算出部14B、ノード判定部14C、機器制御値検索部14D、および機器制御部14Eがある。
【0025】
センサ結果収集部14Aは、通信I/F部11を介してセンサノード21とデータ通信を行うことにより、これらセンサノード21で検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果、各センサノード21を識別するためのノードID、さらには各センサノード21の近傍に位置する他のセンサノード21のノードIDなどの各種データを各センサノード21から収集して記憶部12へ保存する機能を有している。
【0026】
例えば、機器制御装置10が照明制御システムとして用いられるケースでは、各センサノード21が各区画に設けられた人感センサからなり、各センサノード21に対応する制御機器22が、各区画の照明を制御する照明制御機器からなる場合、センサ結果としてそれぞれの区画に人が存在しているか否か、事象の発生有無として通知される。
【0027】
機器制御値算出部14Bは、センサ結果収集部14Aで得られたセンサ結果を記憶部12から取得し、このセンサ結果に基づいて、各センサノード21に対応付けられている制御機器22を制御するための機器制御値を、センサノード21ごとに算出する機能を有している。
上記照明制御システムのケースでは、各区画における人の有無を示すセンサ結果に応じて、各区画の照明機器に求められる明るさを示す機器制御値が算出される。
【0028】
このように、機器制御値は、制御機器22を制御するためのデータであるが、実際には制御機器22が制御対象とする機器に対して送信する量、例えば、照明であれば明るさ、空調であれば温度のような量であってもよく、あるいは制御機器22が実際に制御する電力であってもよい。前述した図2の例においては、機器制御値が0〜1の範囲に正規化されていることになる。
【0029】
ノード判定部14Cは、センサ結果収集部14Aで得られたセンサ結果を記憶部12から取得し、このセンサ結果に基づいて、各センサノード21の動作種別を判定する機能を有している。具体的には、センサノード21のうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定する機能と、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定する機能と、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定する機能とを有している。
【0030】
図3は、ノード判定例を示す説明図である。ここでは、N1〜N10の10個のセンサノード21が等間隔で一列に並んでおり、互いに隣接するセンサノード21がそれぞれの近傍に位置することを示しているものとし、これらセンサノード21のうちセンサノードN1,N5,N10でのみ事象発生が検出されたものとする。
この場合、事象発生の検出ありを「1」とし、事象発生の検出なしを「0」とした場合、センサ結果収集部14Aで得られるセンサ結果は、N1〜N10の順に、「1,0,0,0,1,0,0,0,0,1」と表現される。
【0031】
したがって、ノード判定部14Cは、これらセンサノード21のうち、N1,N5,N10を反応ノード判定し、その他のN2〜N4,N6〜N9を非反応ノードと判定する。さらに、ノード判定部14Cは、これら非反応ノードのうち、反応ノード1,N5,N10の近傍に位置するN2,N4,N6,N9を近傍ノードと判定する。
【0032】
これにより、各センサノード21のノード判定結果を示す値として、反応ノードを「1」とし、非反応ノードを「0」とし、近傍ノードを「0.5」とした場合、N1〜N10に関するノード判定結果は、「1,0.5,0,0.5,1,0.5,0,0,0.5,1」と表現される。なお、N1〜N10のうち、任意のセンサノードNが非反応ノードであり、この両側が反応ノードである場合、当該センサノードNは、両側の反応ノードから近傍ノードと判定されるが、これらノード判定結果の値自体は加算されるものではなく、当該センサノードNに対する最終的な判定に対して「0.5」という値が割り当てられる。
【0033】
近傍ノードの値は、制御値DB13の検索時に、どの程度、近傍ノードを考慮するかという重みに相当すると考えられる。例えば、近傍ノードの値を小さい値にすると、非反応ノードの値に近づくため、検索時における近傍ノードの考慮度合いは小さくなる。一方、近傍ノードの値を大きい値にすると、反応ノードの値に近づくため、検索時における近傍ノードの考慮度合いは大きくなる。このため、近傍ノードの値については、適用する制御対象の特徴や得られる精度に応じて、予め決定すればよい。
【0034】
機器制御値検索部14Dは、センサ結果収集部14Aで収集した新たなセンサ結果から得られた新たなノード判定結果を、ノード判定部14Cから取得する機能と、この新たなノード判定結果に基づいて制御値DB13を検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得する機能と、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得する機能とを有している。
【0035】
機器制御部14Eは、機器制御値検索部14Dで得られた新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成する機能と、これら機器制御信号を通信I/F部11から各センサノード21経由で各制御機器22へ送信する機能とを有している。機器制御信号は、センサノードや制御機器で扱いやすくするため、あるいは通信プロトコルに応じて、機器制御値を所定の式や形式に基づき変換したものである。
【0036】
[センサノード]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるセンサノード21の構成について詳細に説明する。
センサノード21は、全体としてRFIDなどの小型無線装置からなり、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)21A、センサ部21B、および機器インターフェース部(以下、機器I/F部という)21Cが設けられている。
【0037】
通信I/F部21Aは、専用の無線通信回路からなり、他のセンサノード21あるいは機器制御装置10との間で、無線LAN、特定小電力無線、微弱無線、ZIGBEE(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)などの近距離無線プロトコルを用いて、他のセンサノード21と無線データ通信および無線データ転送を行うことによりセンサネットワーク20を構築する機能と、自ノード21のノードID、自ノード21のセンサ部21Bで検出されたセンサ結果、あるいは自ノード21の近傍位置の他のセンサノード21のノードIDなどの各種データを、センサネットワーク20を介して機器制御装置10へ送信する機能と、センサネットワーク20を介して機器制御装置10から自ノード21の制御機器22に対する機器制御信号を受信する機能とを有している。
【0038】
センサ部21Bは、温度センサ、湿度センサ、衝撃を検出する振動センサなどの状態測定用センサに加え、自ノード21の近傍位置にある他センサノード21との間でノードIDを送受信することにより、他のセンサノードを検出する赤外線センサや電磁界センサなどのノード検出用センサを備えている。このノード検出用センサの感度に応じて、自ノード21の近傍位置範囲が決定される。
【0039】
すなわち、各センサノード21は、他のセンサノード21に対して自ノードIDを送信し、他センサノード21から他ノードIDを受信する。このプロセスはセンサノード21をある環境に配置した時に1度行うものでよいが、定期的にこのようなステップを行い、近傍のセンサノードを認識してもよい。そして、センサノード21は、自ノードIDとセンサ結果および受信した他センサノードのIDを機器制御装置10へ送信する。
【0040】
この際、センサ部21Bでのセンシングは定期的に行い、そのたびに機器制御装置10と通信してもよい。あるいは、任意のセンサノード21のセンサ部21Bが環境の変化を検出した時点で、センサ結果を機器制御装置10に送信し、これに応じて機器制御装置10が残りのセンサノード21へセンシングを要求し、各センサノード21からセンサ結果を収集するようにしてもよい。
【0041】
このようにして、機器制御装置10では、各センサノード21から通知された他ノードIDに基づき、当該センサノード21の近傍に位置する他センサノード21を確認することができる。これにより、センサノード21の位置が動的に変化する場合でも、各センサノード21間の最新の近傍位置関係を把握できる。なお、センサノード21の位置がある程度固定的であれば、どのセンサノード21が近傍位置関係にあるかを予め記憶部13に設定しておけばよく、この場合にはセンサノード21で他ノードIDを検出する必要もなく、これを機器制御装置10へ通知する必要もない。
【0042】
機器I/F部21Cは、専用のインターフェース回路からなり、通信I/F部21Aで受信した機器制御装置10からの機器制御信号に基づいて、自ノード21と接続されている制御機器22の動作を制御する機能を有している。
【0043】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる機器制御装置10の動作について説明する。
エアコンや照明などの環境制御機器の制御においては、省エネの観点からセンサによって環境を監視し、環境制御機器を制御することが望まれる。しかし、そのような省エネだけの観点から環境制御機器を制御すると必ずしも人の感性や快適性に適合しない場合がある。
【0044】
例えば、人の存在を検出して照明を制御する場合、人がいない場所は照明をオフするのが省エネの観点からは望ましいが、明るい場所から急に暗くなる場所があったりするといかにも不自然な照明といわざるを得ない。できるだけ自然にだんだん明るさが変化するような方が中にいる人にとって居住性が良いものと思われる。
【0045】
制御機器として照明を仮定すると、通常、人がいない場所では消灯し、人がいる場所では点灯する。ここで、照明は明るさを調節できる、すなわち調光機能を持つものを用いた場合、単なる点灯/消灯制御とは異なり、より自然かつ省エネ効果が得られる照明制御を実現できる。したがって、このようなケースでは、人が存在する場所の明るさは決まるが、人がいない場所の照明をどうするかが問題となる。
【0046】
本実施の形態では、次の式(1)で表される評価関数を、式(2)および式(3)の条件の下で最小にすることを考える。
【数1】
【数2】
【数3】
【0047】
これら式(1)〜(3)において、fiはセンサノードiと対応する制御機器への機器制御値、fjはセンサノードiの近傍にあるmi個のセンサノードと対応する制御機器への機器制御値である。また、aは、制御機器22全体の機器消費電力の下限値であり、bは制御機器22全体の機器消費電力の上限値である。また、ここでは、説明を簡単にするため、照明出力などの機器制御値と機器消費電力とが同一であるものと見なすが、実際には、機器制御値と機器消費電力との関係を示す関数gを別途設けて変換すればよい。
【0048】
式(1)は、隣接する制御機器22の機器制御値の差の自乗和を評価値Eとして算出する、いわゆる評価関数である。式(2)は、全体の機器消費電力合計の範囲を定める条件式である。式(3)は機器制御値あるいは消費電力は0以上であるという条件式である。
【0049】
ここで、式(2)は全体の消費電力の合計であるが、人がいる場所は通常、明るくしなければならないため、下限は必然的に決定する。よって、下限はセンサ結果に基づき決定される人がいる場所の機器の消費電力の合計であり、上限は予め設定された、許容される全体の消費電力である。
したがって、人がいない場所の照明の明るさを求めるということは、この式(2)および式(3)の条件下で、明るさの空間的滑らかさ、すなわち式(1)の評価値Eを最小とする各照明の明るさを計算するということになる。
【0050】
すなわち、各機器制御値fは0以上であり、かつ、その合計がある範囲、ここでは下限値aから上限値bまでの範囲内となるというの条件を満たしつつ、隣接するセンサノード21の機器制御値fの差の自乗和の合計Eが最小となるように、各制御機器に対する機器制御値が求められる。このような数学問題は最適化問題と呼ばれ、いくつか公知のコンピュータプログラムからなる算出手法を利用することにより解を求めることができるため、ここではその詳細について触れない。
【0051】
図4は、機器制御値算出処理を示すフローチャートである。
まず、機器制御値算出部14Bは、センサ結果収集部14Aで収集されたセンサ結果を記憶部12から取得するとともに(ステップ100)、予め設定されている上限値bを記憶部12から取得する(ステップ101)。
【0052】
続いて、機器制御値算出部14Bは、各センサノード21のセンサ結果のうちから、事象発生ありを示すセンサ結果の数を計数し、この計数結果から下限値aを算出する(ステップ102)。
この後、これら下限値aおよび上限値bで規定される式(2)と、式(3)条件下で、式(1)の評価値Eを最小とする、各センサノード21の機器制御値fiを、最適化問題算出手法を利用して計算し(ステップ103)、一連の機器制御値算出処理を終了する。
【0053】
次に、図5を参照して、機器制御装置10における機器制御動作について説明する。図5は、機器制御処理を示すフローチャートである。
機器制御装置10の演算処理部14は、定期的に、図5の機器制御処理を実行する。なお、制御値DB13には、ノード判定結果と機器制御値との組がいくつか登録されているものとする。
【0054】
まず、センサ結果収集部14Aは、各センサノード21から新たなセンサ結果を収集し(ステップ110)、ノード判定部14Cは、このセンサ結果に基づいて各センサノードの動作種別を判定する(ステップ111)。
続いて、機器制御値検索部14Dは、ノード判定部14Cで得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値DB13を検索する(ステップ112)。
【0055】
ここで、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値が見つかった場合(ステップ112:YES)、機器制御部14Eは、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して(ステップ113)、通信I/F部11から各センサノード21経由で各制御機器22へ送信し(ステップ114)、一連の機器制御処理を終了する。
【0056】
一方、ステップ112において、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録であった場合(ステップ112:NO)、機器制御値検索部14Dは、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果を特定して、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値を、新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得し(ステップ115)、前述したステップ113へ移行する。
【0057】
この際、機器制御値検索部14Dは、制御値DB13に登録されている各登録ノード判定結果と新たなノード判定結果との類似度を計算して、最も類似性の高いノード判定結果を類似ノード判定結果として特定する。
類似度については、例えば登録ノード判定結果に含まれるセンサノードごとの判定値を要素とする多次元ベクトルと、新たなノード判定結果に含まれるセンサノードごとの判定値を要素とする多次元ベクトルとの間のユークリッド距離などを用いて計算すればよい。
【0058】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、本実施の形態にかかる機器制御装置10の動作例について説明する。
ここでは、前述の図3に示したように、N1〜N10の10個のセンサノード21が直列に並んでおり、互いに隣接するセンサノード21がそれぞれの近傍に位置することを示しているものとする。また、制御値DB13には、ノード判定結果と機器制御値との組がいくつか登録されているものとする。
【0059】
まず、センサノード21のうちセンサノードN1,N5,N10でのみ事象発生が検出されたものとする。この場合、事象発生の検出ありを「1」とし、事象発生の検出なしを「0」とした場合、センサ結果収集部14Aで得られるセンサ結果は、N1〜N10の順に、「1,0,0,0,1,0,0,0,0,1」と表現される。
これにより、各ノードのノード判定結果を示す判定値として、反応ノードを「1」とし、非反応ノードを「0」とし、近傍ノードを「0.5」とした場合、N1〜N10に関するノード判定結果は、「1,0.5,0,0.5,1,0.5,0,0,0.5,1」と表現される。
【0060】
ここで、制御値DB13に、このノード判定結果に対応する機器制御値として「1,0.6,0.47,0.6,1,0.47,0.2,0.2,0.47,1」が登録されていた場合、この機器制御値に基づいて機器制御信号が生成され、各制御機器22へ送信されるものとなる。
【0061】
一方、センサノード21のうちセンサノードN1,N6,N10でのみ事象発生が検出されたものとする。この場合、センサ結果収集部14Aで得られるセンサ結果は、「1,0,0,0,0,1,0,0,0,1」と表現される。
これにより、各ノードのノード判定結果は、「1,0.5,0,0,0.5,1,0.5,0,0.5,1」と表現される。
【0062】
ここで、制御値DB13には、このノード判定結果に対応する機器制御値が登録されおらず、このノード判定結果に類似する類似ノード判定結果として「1,0.5,0,0.5,1,0.5,0,0,0.5,1」が特定された場合、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値「1,0.6,0.47,0.6,1,0.47,0.2,0.2,0.47,1」に基づいて機器制御信号が生成され、各制御機器22へ送信されるものとなる。
【0063】
図6は、機器制御値(登録あり)の算出例である。図7は、機器制御値(登録なし)の算出例である。図7の場合、センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されておらず、類似ノード判定結果から得られた類似機器制御値であるが、図6の機器制御値と比較して、ほぼ同様の機器制御値が得られていることがわかる。
【0064】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、機器制御装置10において、センサ結果収集部14Aで、複数のセンサノード21とデータ通信を行うことにより、これらセンサノード21で検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集し、機器制御値算出部14Bで、このセンサ結果に基づいて、各センサノード21に対応付けられている制御機器22を制御するための機器制御値を、センサノード21ごとに算出し、ノード判定部14Cで、上記センサ結果に基づいて、センサノード21のうち、事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、非反応ノードのうち反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定し、制御値DB13で、任意のセンサ結果から機器制御値算出部14Bで算出された各制御機器22の機器制御値と、当該センサ結果からノード判定部14Cで得られた各センサノード21に関するノード判定結果とを対応付けて記憶するようにしたものである。
【0065】
そして、機器制御値検索部14Dにより、センサ結果収集部14Aで収集された新たなセンサ結果からノード判定部14Cで得られた新たなノード判定結果に基づいて、制御値DB13を検索することにより、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値が未登録の場合には、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得し、機器制御部14Eで、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器22へ送信するようにしたものである。
【0066】
これにより、各センサノード21から収集した新たなセンサ結果に応じた、各制御機器22を制御するための新たな機器制御値が、制御値DB13の検索処理で得られることになる。このため、新たなセンサ結果が得られるごとに、前述の式(1)〜式(3)を用いた最適化問題算出処理を実行する場合と比較して、近傍の制御機器22間における出力を滑らかに変化させるための新たな機器制御値を極めて短時間で得ることができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い応答性を得ることが可能となる。
【0067】
また、機器制御値を検索する際、事象発生が検出された反応ノードの近傍に位置する近傍ノードを特定したノード判定結果を用いるようにしたので、収集したセンサ結果そのもので機器制御値を検索する場合と比較して、極めて少ない誤差で類似機器制御値を検索することができる。したがって、対象領域全体に配置された複数の制御機器を制御する場合でも、高い制御精度を得ることが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態では、各センサノード21に制御機器22を接続し、機器制御装置10からセンサノード21を経由して制御機器22へ機器制御信号を送信する場合を例として説明したが、この接続構成に限定されるものではない。例えば、制御機器22をセンサノード21とは別個に、所定の通信ネットワークを介して機器制御装置10に接続し、機器制御装置10から制御機器22へ、直接、機器制御信号を送信するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、理解を容易とするため、前述の図3に示したように、各センサノード21が一次元的に配置されている場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。各センサノード21が2次元的さらには3次元的に配置されている場合であっても、同様にして本実施の形態を適用できる。
【0070】
[第2の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる機器制御装置10について説明する。図8は、第2の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートであり、前述の図5と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0071】
本実施の形態では、制御値DB13の更新動作について説明する。
センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されていない場合、機器制御値算出部14Bで、ノード判定結果に対応する機器制御値を算出して、制御値DB13に登録すれば、これ以降において同一ノード判定結果が収集された際に、当該ノード判定結果と一致する機器制御値を制御値DB13から検索でき、高い制御精度が得られる。
【0072】
この際、機器制御値算出部14Bにおける機器制御値の算出には、処理時間を要する。本実施の形態では、センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されていない場合、類似機器制御値の検索とは別個に機器制御値を算出するようにしたものである。
すなわち、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、機器制御値検索部14Dでの類似機器制御値の検索とは別個に、機器制御値算出部14Bにおいて、当該新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値DB13へ追加登録するようにしたものである。
【0073】
具体的には、図8において、ステップ112において、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録であった場合(ステップ112:NO)、機器制御値検索部14Dは、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果を特定して、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値を、新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得する(ステップ115)。
【0074】
続いて、機器制御部14Eは、この新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して(ステップ200)、通信I/F部11から各センサノード21経由で各制御機器22へ送信する(ステップ201)。
この後、機器制御値算出部14Bは、ステップ110で収集した新たなセンサ結果に基づいて、前述した式(1)〜式(3)を用いた図4の機器制御値算出処理を実行して、新たな機器制御値を算出し(ステップ202)、得られた新たな機器制御値を、新たなノード判定結果と対応付けて制御値DB13へ追加登録する(ステップ203)。
【0075】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、機器制御値算出部14Bで、当該新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、新たなノード判定結果と対応付けて制御値DB13へ追加登録するようにしたものである。
したがって、類似ノード判定結果を用いた類似機器制御値の検索、および類似機器制御値に応じた機器制御信号の送信を遅らせることなく、制御値DB13を更新することができる。
【0076】
なお、機器制御値算出部14Bにおける新たな機器制御値の算出開始は、具体的には、類似機器制御値に応じた機器制御信号を送信した後であればよい。また、類似機器制御値の検索から機器制御信号の送信までの処理に要する演算処理部14の処理能力を十分に確保できるのであれば、ステップ112で新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録と判定された時点で、類似機器制御値の検索から機器制御信号の送信までの処理と並行して、機器制御値算出部14Bにおける新たな機器制御値の算出を開始してもよい。
【0077】
[第3の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる機器制御装置10について説明する。図9は、第3の実施の形態にかかる機器制御処理を示すフローチャートであり、前述の図5と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
本実施の形態では、センサ結果から得られたノード判定結果と対応する機器制御値が登録されていない場合に、制御値DB13から検索した類似機器制御値を補正する場合について説明する。
【0078】
前述の図7に示したように、類似機器制御値については、前述の図6に示した、新たなノード判定結果に対応する新たな機器制御値とほぼ同様の機器制御値が得られる。しかしながら、類似機器制御値においては、センサノードN5が反応ノードであるにも関わらず、機器制御値が「1」を示しておらず、明らかに誤差の発生要因となっていることがわかる。
本実施の形態では、類似機器制御値のうち、反応ノードに対応する機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するようにしたものである。
【0079】
すなわち、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、機器制御値検索部14Dにおいて、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに対応する類似機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し、機器制御部14Eで、この置換後の類似機器制御値に応じた機器制御信号を生成して各制御機器22へ送信するようにしたものである。
【0080】
具体的には、図9のステップ112において、新たなノード判定結果と対応する機器制御値が未登録であった場合(ステップ112:NO)、機器制御値検索部14Dは、新たなノード判定結果と類似する類似ノード判定結果を特定して、この類似ノード判定結果に対応する類似機器制御値を、新たな機器制御値として制御値DB13から検索して取得する(ステップ115)。
【0081】
この後、機器制御値検索部14Dにおいて、類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、反応ノードに対応する類似機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し(ステップ300)、ステップ113へ移行する。
【0082】
図10は、機器制御値(置換後)の算出例である。ここでは、図7の類似機器制御値と比較して、センサノードN5の機器制御値が、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値、すなわち「1.0」に置換されている。これにより、図6の機器制御値と比較して、反応ノードN1,N5,N10のすべてにおいて、図6と同じ機器制御値が得られていることがわかる。
【0083】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、新たなノード判定結果に対応する機器制御値が未登録の場合、類似ノード判定結果により制御値DB13から検索した機器制御値のうち、反応ノードに対応する類似機器制御値を、事象発生を検出したセンサノード21と対応する制御機器22に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するようにしたので、各反応ノードにおける機器制御値を正確に得ることができ、結果として機器制御値全体の制御において誤差を少なくすることができる。
【0084】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0085】
10…機器制御装置、11…通信I/F部、12…記憶部、13…制御値DB、14…演算処理部、14A…センサ結果収集部、14B…機器制御値算出部、14C…ノード判定部、14D…機器制御値検索部、14E…機器制御部、20…センサネットワーク、21…センサノード、21A…通信I/F部、21B…センサ部、21C…機器I/F部、22…制御機器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集部と、
前記センサ結果に基づいて、前記各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、前記センサノードごとに算出する機器制御値算出部と、
前記センサ結果に基づいて、前記センサノードのうち、前記事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、前記事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、前記非反応ノードのうち前記反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定部と、
任意のセンサ結果から前記機器制御値算出部で算出された前記各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果から前記ノード判定部で得られた前記各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶する制御値データベースと、
前記センサ結果収集部で収集された新たなセンサ結果から前記ノード判定部で得られた新たなノード判定結果に基づいて、前記制御値データベースを検索することにより、前記新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、前記新たな機器制御値が未登録の場合には、前記新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索部と、
前記新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信する機器制御部と
を備えることを特徴とする機器制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機器制御装置において、
前記機器制御値算出部は、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、前記新たなノード判定結果と対応付けて前記制御値データベースへ追加登録する
ことを特徴とする機器制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の機器制御装置において、
前記機器制御値検索部は、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、前記反応ノードに関する機器制御値を、前記事象発生を検出したセンサノードと対応する前記制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し、
前記機器制御部は、置換後の前記機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信する
ことを特徴とする機器制御装置。
【請求項4】
センサ結果収集部が、複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集ステップと、
機器制御値算出部が、前記センサ結果に基づいて、前記各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、前記センサノードごとに算出する機器制御値算出ステップと、
ノード判定部が、前記センサ結果に基づいて、前記センサノードのうち、前記事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、前記事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、前記非反応ノードのうち前記反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定ステップと、
制御値データベースが、任意のセンサ結果から前記機器制御値算出ステップで算出された前記各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果から前記ノード判定ステップで得られた前記各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶するステップと、
機器制御値検索部が、前記センサデータ収集ステップで収集された新たなセンサ結果から前記ノード判定ステップで得られた新たなノード判定結果に基づいて、前記制御値データベースを検索することにより、前記新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、前記新たな機器制御値が未登録の場合には、前記新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索ステップと、
機器制御部が、前記新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信する機器制御ステップと
を備えることを特徴とする機器制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の機器制御方法において、
前記機器制御値算出ステップは、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、前記新たなノード判定結果と対応付けて前記制御値データベースへ追加登録するステップを含む
ことを特徴とする機器制御方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の機器制御方法において、
前記機器制御値検索ステップは、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、前記反応ノードに関する機器制御値を、前記事象発生を検出したセンサノードと対応する前記制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するステップを含み、
前記機器制御ステップは、置換後の前記機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信するステップを含む
ことを特徴とする機器制御方法。
【請求項1】
複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集部と、
前記センサ結果に基づいて、前記各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、前記センサノードごとに算出する機器制御値算出部と、
前記センサ結果に基づいて、前記センサノードのうち、前記事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、前記事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、前記非反応ノードのうち前記反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定部と、
任意のセンサ結果から前記機器制御値算出部で算出された前記各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果から前記ノード判定部で得られた前記各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶する制御値データベースと、
前記センサ結果収集部で収集された新たなセンサ結果から前記ノード判定部で得られた新たなノード判定結果に基づいて、前記制御値データベースを検索することにより、前記新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、前記新たな機器制御値が未登録の場合には、前記新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索部と、
前記新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信する機器制御部と
を備えることを特徴とする機器制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機器制御装置において、
前記機器制御値算出部は、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、前記新たなノード判定結果と対応付けて前記制御値データベースへ追加登録する
ことを特徴とする機器制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の機器制御装置において、
前記機器制御値検索部は、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、前記反応ノードに関する機器制御値を、前記事象発生を検出したセンサノードと対応する前記制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換し、
前記機器制御部は、置換後の前記機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信する
ことを特徴とする機器制御装置。
【請求項4】
センサ結果収集部が、複数のセンサノードとデータ通信を行うことにより、これらセンサノードで検出された任意の事象の発生有無を示すセンサ結果を収集するセンサ結果収集ステップと、
機器制御値算出部が、前記センサ結果に基づいて、前記各センサノードに対応付けられている制御機器を制御するための機器制御値を、前記センサノードごとに算出する機器制御値算出ステップと、
ノード判定部が、前記センサ結果に基づいて、前記センサノードのうち、前記事象発生を検出したセンサノードを反応ノードと判定し、前記事象発生を検出しなかったセンサノードを非反応ノードと判定し、前記非反応ノードのうち前記反応ノードの近傍に位置するセンサノードを近傍ノードと判定するノード判定ステップと、
制御値データベースが、任意のセンサ結果から前記機器制御値算出ステップで算出された前記各制御機器の機器制御値と、当該センサ結果から前記ノード判定ステップで得られた前記各センサノードに関するノード判定結果とを対応付けて記憶するステップと、
機器制御値検索部が、前記センサデータ収集ステップで収集された新たなセンサ結果から前記ノード判定ステップで得られた新たなノード判定結果に基づいて、前記制御値データベースを検索することにより、前記新たなノード判定結果と対応する新たな機器制御値を取得し、前記新たな機器制御値が未登録の場合には、前記新たなノード判定結果と類似する新たな類似ノード判定結果と対応する類似機器制御値を新たな機器制御値として取得する機器制御値検索ステップと、
機器制御部が、前記新たな機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信する機器制御ステップと
を備えることを特徴とする機器制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の機器制御方法において、
前記機器制御値算出ステップは、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記新たなセンサ結果から新たな機器制御値を算出し、前記新たなノード判定結果と対応付けて前記制御値データベースへ追加登録するステップを含む
ことを特徴とする機器制御方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の機器制御方法において、
前記機器制御値検索ステップは、前記新たな機器制御値が未登録の場合、前記類似ノード判定結果と対応する機器制御値のうち、前記反応ノードに関する機器制御値を、前記事象発生を検出したセンサノードと対応する前記制御機器に対して送信すべき正規の機器制御値に置換するステップを含み、
前記機器制御ステップは、置換後の前記機器制御値に応じた機器制御信号を生成して前記各制御機器へ送信するステップを含む
ことを特徴とする機器制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−175334(P2012−175334A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34546(P2011−34546)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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