説明

機器収納キャビネット

【課題】奥行き方向のスペースがない場合の設置や天井に密着させての設置が可能な機器収納キャビネットを提供する。
【解決手段】
上下側面板と底板とからなる本体と、この本体の開放された前面及び左右側面を閉塞すると共に係止手段を設けたカバーとからなり、上下側面板は両端部及び前面の断面が略L字となるように形成した曲げ部と、底板に沿って伸延させると共に固定手段を設けた伸延部とを備え、カバーは少なくとも曲げ部との当接箇所を断面が略コ字状となるように形成した当接部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を収納するキャビネット、特にカバー差込式のキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機器収納キャビネットには特許文献1に示すような、上下側面板42及び底板43から成る本体41と、前面板及び左右側面板を有し前記本体41の開放された前面及び左右側面を閉塞するカバー44とを備え、前記前面板の上下何れか一方に前記本体41に係止操作する平面ハンドルを設け、他方に握持手段を設けたものがある。
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているような機器収納キャビネットでは、カバーを装着する際にはカバーを傾ける必要があるため縦方向にスペースが必要となるという欠点があり、このためキャビネットを天井に密着させて取り付けることができないという欠点がある。
【0004】
又、カバーを完全に取り外さなければ内部に取り付けた機器のメンテナンスが行えないという欠点がある。
【0005】
その他の方法として、本体開口の周縁を断面がL字状となるように形成し、カバーを前面からスライドさせて取り付ける方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−039750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した方法では、カバーの着脱を行う際にはカバーを完全に本体から手前側に引き出す必要があり、奥行き方向の設置スペースとしては、本体とカバーの奥行きの合計以上の奥行きが必要となるという欠点がある。
【0008】
又、本体開口の周縁をL字状に形成した場合であっても、カバーを完全に取り外さなければ内部に取り付けた機器のメンテナンスが行えないという欠点は解決されない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するためになされた本発明の機器収納キャビネットは、上下側面板と底板とからなる本体と、この本体の開放された前面及び左右側面を閉塞すると共に係止手段を設けたカバーとからなり、上下側面板は両端部及び前面の断面が略L字となるように形成した曲げ部と、左右方向へ伸延させると共に固定手段を設けた伸延部とを備え、カバーは少なくとも曲げ部との当接箇所を断面が略コ字状となるように形成した当接部を備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明の機器収納キャビネットによれば、係止手段を解除した状態で、カバーを手前にスライドさせることで側面にドライバー等の工具を入れるスペースができるため、ここから固定手段を外して上下側面板の着脱が可能である。
【0011】
又、カバーをあらかじめ取り付けておいた上下側面板を底板に固定することで、カバーが本体から抜け切らないような奥行き方向の狭い設置スペースであっても、キャビネットの設置や内部に取り付けた機器のメンテナンスが可能である。
【0012】
又、上下側面板は取り外すことが可能であるため、キャビネットを天井に密着させての設置も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1における機器収納キャビネットの分解斜視図である。
【図2】図2は図1におけるA部の拡大斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施例1におけるカバーを手前に引き出した際の斜視図である。
【図4】図4は図3におけるX−Xで切ったB部を矢印方向から見た際の拡大断面図である。
【図5】図5は従来技術における、特許文献1に記載の電気機器収納箱のカバー装着時の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、カバーを完全に取り外す必要をなくすことで奥行きのスペースが狭い場所での設置も可能にした。
【実施例1】
【0015】
上下側面板2、12、22、32と底板3、23とからなる本体1、21、31と、この本体1、21、31の開放された前面及び左右側面を閉塞すると共に係止手段5、25を設けたカバー4、24、34とからなり、上下側面板2、12、22、32は両端部及び前面の断面が略L字となるように形成した曲げ部6、16、26、36と、底板3、23と平行に左右方向へ伸延させると共にダルマ穴による固定手段8、18、28を設けた伸延部7、17、27とを備え、カバー4、24、34は少なくとも曲げ部6、16、26、36との当接箇所を断面が略コ字状となるように形成した当接部9、29、39を備えた。カバー4、24、34には前面の上下二箇所に係止手段5、25を設け、前面にハンドル部、内側に留め金具を備え、ハンドルを回すことによって留め金具が回転し、上下側面板2、12、22、32にカバー4、24、34が係止・解除される。カバー4、24、34の上下・左右方向の寸法は本体1、21、31より小さい寸法とする。これにより、係止手段5、25を解除した状態で、カバー4、24、34を手前にスライドさせることで側面にドライバー等の工具を入れるスペースができるため、ここから固定手段8、18、28を外して上下側面板2、12、22、32の着脱が可能となる。又、カバー4、24、34をあらかじめ取り付けておいた上下側面板2、12、22、32を底板3、23に固定することで、カバー4、24、34が本体1、21、31から抜け切らないような奥行き方向の狭い設置スペースであっても、キャビネットの設置や内部に取り付けた機器のメンテナンスが可能となる。又、上下側面板2、12、22、32は取り外すことが可能であることに加え、カバー4、24、34の上下・左右方向の寸法を本体1、21、31より小さい寸法とすることでカバー4、24、34が天井や壁面に干渉せず、キャビネットを天井に密着させて設置することが可能となる。又、ダルマ穴による固定手段8、18、28としたため、上下側面板2、12、22、32を取り付けてからビス等による固定が可能となる。又、曲げ部6、16、26、36に当接部9、29、39との接触面に樹脂などによる耐摩耗性部材10、20、30、40を貼り付けることで本体1、21、31やカバー4、24、34の磨耗を防ぐことが可能となる。
【0016】
なお、固定手段については本実施例におけるダルマ穴によるものに限定されるものではなく、上下側面板を固定する手段であって、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0017】
又、伸延部についても本実施例における左右方向への伸延に限定されるものではなく、上下側面板を固定するためであって、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
カバーを手前にスライドさせてできる側面のスペースから、上下側面板の取り外しを行うことが可能となり、カバーを本体から完全に取り外すことなくキャビネットの設置及び内部機器のメンテナンスを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
1、21、31、41 本体
2、12、22、32、42 上下側面板
3、23、43 底板
4、24、34、44 カバー
5、25 係止手段
6、16、26、36 曲げ部
7、17、27 伸延部
8、18、28 固定手段
9、29、39 当接部
10、20、30、40 耐磨耗性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下側面板と底板とからなる本体と、該本体の開放された前面及び左右側面を閉塞すると共に係止手段を設けたカバーとからなり、前記上下側面板は両端部及び前面の断面が略L字となるように形成した曲げ部と、底板に沿って伸延させると共に固定手段を設けた伸延部とを備え、前記カバーは少なくとも前記曲げ部との当接箇所を断面が略コ字状となるように形成した当接部を備えたことを特徴とする機器収納キャビネット。
【請求項2】
前記本体において、前記カバーとの接触面に耐摩耗性部材を貼り付けたことを特徴とする請求項1に記載の機器収納キャビネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−119623(P2011−119623A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278025(P2009−278025)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】