説明

機器操作装置

【課題】 一つの操作部によって多種類の操作機能を得ると共に、無駄な操作が行われたことを操作者に確実に報知可能となって、その操作性の向上を実現すること。
【解決手段】 操作ユニット10の操作部13は、半球形状の操作面13aを備えた形態となっており、球形状のホルダ部12内に、操作面13aを円形の開口部12aに臨ませた状態で収納される。操作部13は、操作面13aに係る半球形状の中心Cを支点に360度方向へ回動操作可能になっている。ホルダ部12内には、操作部13の操作位置を示す位置信号を出力する操作位置検出器15、動作状態で操作部13に対して操作方向と異なる方向の反力を付与するアクチュエータ16が設けられる。制御ユニット17は、操作部13が操作無効領域へ回動操作された場合に、アクチュエータ16を動作させることにより、操作部13に対して操作方向と異なる方向の反力を付与するというハプティック制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の機能が設定された機器の操作に好適する機器操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両にあっては、オーディオ装置、カーナビゲーション装置、エアコンのように種々の機能が設定された機器が搭載されるものであり、それらの機器の機能を選択的に動作させるために多数の操作スイッチが必要となる。しかし、多数の操作スイッチを設けるためには、大きな設置面積が必要になる、取り付けコストが増大する、操作性が悪化するなど、車両にとっては極めて好ましくない種々の問題が発生するため、近年では、例えば特許文献1に見られるような集中制御方式の操作装置を利用することが考えられている。
【0003】
即ち、この操作装置は、所定の回転軸を回転中心とするダイヤルトップによる回転操作と当該回転軸の複数方向への傾倒操作との双方を検出する複合ダイヤルを含んだ形態となっており、前記回転軸の回転角度や傾倒方向に応じて複数種類の操作制御が可能な構成とされている。
【特許文献1】特開2004−241143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成の操作装置では、複合ダイヤルの回転操作や傾倒操作が無効な状態が操作者側において的確に判断できないため、無駄な操作を繰り返す恐れがあるなど、操作性の向上を期待できないという問題点があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一つの操作部によって多種類の操作機能が得られると共に、無駄な操作が行われたことを操作者に確実に報知可能となって、その操作性の向上を実現できるなどの効果を奏する機器操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の手段によれば、半球形状の操作面を有した操作部は、その半球形状の中心を支点として360度方向に回動操作可能になっていると共に、この操作部の位置に応じた位置信号を出力する操作位置検出手段が設けられているから、例えば、予め設定した複数箇所の操作位置に複数の機器の操作機能をそれぞれ割り当てると共に、その操作位置を操作位置検出手段からの位置信号により特定するという構成を実現可能になる。従って、このような構成とすることによって、一つの操作部によって多種類の操作機能を得ることが可能になる。この結果、多数の操作スイッチを設ける必要がなくなるから、必要となる設置面積の減少、取り付けコストの低減、操作性の向上などを実現できるようになる。また、操作部が操作無効領域へ操作されたときには、ハプティック制御手段によりアクチュエータが動作されて、操作部に対して操作方向と異なる方向の反力が付与された状態、つまり操作部を通じて操作者の操作感触(力感覚)が刺激された状態となるから、無駄な操作が行われたことを操作者に確実に報知可能となって、その操作性の向上を実現できるようになる。
【0007】
請求項2記載の手段によれば、操作部がホームポジションにある状態において、ホルダ部の円形開口部から露出した半球形状の操作面の中心に突起部が位置された状態となるから、ホームポジションの認識が容易になるなど、操作部の操作性が向上するようになる。また、突起部が、操作部の操作時に引っ掛かり部分として機能することになるから、この面からも操作性が向上するようになる。
【0008】
請求項3記載の手段によれば、操作部を押下げ操作したときに機器操作に係るエンター信号が出力されることになるから、機器の操作性の向上を実現できるようになる。
【0009】
請求項4記載の手段によれば、補助スイッチの操作に応じて機器操作に係るエンター信号が出力されることになるから、機器の操作性の向上を実現できるようになる。また、当該補助スイッチは、操作部がホームポジションにある状態において、ホルダ部の円形開口部から露出した半球形状の操作面の中心に設けられているから、操作部がホームポジションから回動操作された状態でも容易に操作可能になる。
【0010】
請求項5記載の手段によれば、操作者は、操作部の操作を、その肘や手首をアームレストにより固定した安定な状態で行うことができるから、その操作性が向上することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を一人乗りの小型車両に適用した第1実施例について図1〜図8を参照しながら説明する。
図4には、一人乗り小型車両(以下、車両と呼ぶ)の形状が概略的に示されている。この図4おいて、車両1は、運転者H(本発明でいう操作者に相当)が乗り込む座席2の下側に4本の駆動輪3(図では3本のみ図示)が取付けられていると共に、座席2の上側にキャノピ4が回動軸(図示せず)を支点として矢印B1,B2方向へ往復回動可能に取付けられた形態となっている。
【0012】
キャノピ4は、フロントウィンドウとして機能するように一部が透明な部材から構成されており、運転者Hが乗降可能な開放位置(図示状態の位置)と、車両1が走行状態にあるときに運転者Hの顔を保護する閉鎖位置とにそれぞれ保持可能な構成となっている。尚、キャノピ4は、運転者Hの身体全体を保護するサイズのものであっても良い。また、座席2における運転者Hから見て左側の位置には左側アームレスト操作盤5が設けられ、座席2の右側の位置には右側アームレスト操作盤6が設けられている。
【0013】
図5には、上記左側アームレスト操作盤5の具体的な構成例が示されており、以下これについて説明する。尚、アームレスト操作盤5及び6は左右対称構造のものであって基本的には同一構成であるから、右側アームレスト操作盤6の構成については、その説明を省略する。
【0014】
図5において、左側アームレスト操作盤5は、運転者Hが座席2に着席した状態で肘や手首を置くことが可能な長尺形状のアームレスト7と、このアームレスト7の外側に配置された本体8と、この本体8にアーム9を介して支持された操作ユニット10(本発明でいう機器操作装置に相当)と、本体8の上面に複数のスイッチ要素を配置して構成されたスイッチポート11とを備えている。
【0015】
図1〜図3には、上記操作ユニット10の具体的な構成例及びこれに関連した電気的構成例が示されており、以下これについて説明する。
操作ユニット10全体の平面形状及び当該操作ユニット10上部の側面形状をそれぞれ示す図2及び図3において、操作ユニット10は、頂部に円形の開口部12aを備えた球形状のホルダ部12を備えており、その内部に操作部13を収納した構造となっている。この操作部13は、半球形状の操作面13aを備えた形態となっており、ホルダ部12内に、当該操作面13aを開口部12aに臨ませた状態で収納されている。また、操作部13の操作面13aの中央部には、半球形状の突起部13bが形成されている。
【0016】
図1には、操作ユニット10の模式的な断面構造例が示されていると共に、これに関連した電気的構成が機能ブロックの組み合わせにより示されている。この図1において、ホルダ部12内に収納された状態の操作部13は、操作面13aに係る半球形状の中心Cを支点に360度方向へ回動操作可能に設けられており、その非操作状態(回動操作が行われていない状態)では、突起部13bを開口部12aの中心に位置させたホームポジションへ自動復帰する構成となっている。尚、この自動復帰のための機構については具体的に図示しないが、ばねを利用した手段により容易に実現できる。また、操作部13は、下方へ押下げ操作可能な構造となっており、その押下げ操作に応じて、ホルダ部12内に配置されたエンタースイッチ14(本発明でいう信号発生手段に相当)がオンされて当該スイッチ14からエンター信号が出力される構成となっている。
【0017】
操作部13の下面には、下方へ延びるアーム部13cが一体に形成されており、ホルダ部12内には、当該アーム部13cの先端部分の位置(ひいては、操作部13の操作位置)を示す位置信号を出力するための操作位置検出器15(操作位置検出手段に相当)が設けられている。また、ホルダ部12内には、動作状態で前記操作部13に対して操作方向と異なる方向の反力を付与するためのアクチュエータ16が設けられている。
【0018】
上記操作ユニット10に接続された制御ユニット17(ハプティック制御手段に相当)は、マイクロコンピュータにより構成された制御回路18及び操作ユニット10による操作機能を実現するのに必要な情報を記憶したメモリ部19を主体に構成されている。この制御回路18には、操作ユニット10内のエンタースイッチ14からのエンター信号、操作位置検出器15からの位置信号、並びに機能選択切替部20からの機能選択信号、車両を走行可能状態に切替えるためのメインスイッチ(図示せず)からのオン信号、車両に設けられた車速センサ(図示せず)からの車速信号が、入力インタフェース21を介して与えられる構成となっている。尚、上記機能選択切替部20は、例えば前記スイッチポート11(図5参照)のスイッチ要素を利用して構成されるもので、操作ユニット10の操作対象となる車両搭載機器(オーディオ装置、カーナビゲーション装置、エアコンなど)を選択するための機能選択信号を出力する構成のものである。
【0019】
メモリ部19には、操作位置検出器15からの位置信号により示される操作部13の操作位置と、機能選択切替部20からの機能選択信号により選択された車両搭載機器に係る複数種類の操作機能項目毎の目標位置との関係を示すデータの他に、アクチュエータ16による出力の初期設定値や、操作位置検出器15からの位置信号の変化速度(操作部13の操作速度)に応じたアクチュエータ16の出力に係る補正値などを示すデータが記憶される。
【0020】
制御回路18は、入力インタフェース21を通じた入力信号(エンター信号、位置信号、機能選択信号、オン信号、車速信号)、メモリ部19の記憶データ、並びに予め設定されたプログラムに基づいて、表示装置22での表示制御及びアクチュエータ16の動作制御を、それぞれに対応した出力インタフェース23及びドライバ回路24を通じて行うと共に、操作ユニット10による操作内容に応じた制御信号(操作対象の車両搭載機器の動作を制御するための信号)を出力するように構成されている。尚、上記表示装置22は、例えば、キャノピ4に虚像投影を行うヘッドアップディスプレイにより構成することができる。
【0021】
上記のように構成された操作ユニット10の操作部13を操作する場合には、図6に示すように、肘や手首をアームレスト7に置いた状態の運転者Hが、その掌で操作部13を回動させることにより行うものである。
【0022】
さて、以下においては、制御ユニット17内の制御回路18による制御例について説明する。
即ち、制御回路18は、機能選択切替部20からの機能選択信号に応じた画面を表示装置22に表示する制御を行う。図7には、表示装置22による表示画面の一例が示されている。この表示例は、インテリジェント機能を備えたカーナビゲーション装置のためのメニュー画面を示すものであり、「MENU」の文字と共に、カーナビゲーション装置の機能設定、目的地設定、移動体通信の各機能の選択を行うための上下3個のアイコンa〜c、並びに具体的な目的地(カーディーラー、病院、ショップ(コンビニ店など))の選択を行うための上下3個のアイコンd〜fが、左右2列に表示され、さらに、各アイコンa〜fと対応付けた状態で「Function」、「POI(Point Of Interest)」、「Phone」、「Dealer」、「Hospital」、「Shop」の各文字がそれぞれ表示される。
【0023】
このようなメニュー画面が最初に表示された初期状態では、例えば、アイコンbが選択項目とされるものであり、そのアイコンbが強調表示された状態とされる。このような状態から、操作部13を押下げ操作した場合には、これによりエンタースイッチ14からエンター信号が出力されるのに伴い、制御回路18が、アイコンbに対応した機能(目的地設定)を有効化すると共に、表示装置22の表示画面を当該機能に応じた画面に切替える制御を行う。
【0024】
また、上記初期状態から選択項目を変更する場合には、操作ユニット10の操作部13を回動操作する。即ち、図7の状態から、操作部13を前方へ回動操作した場合には、これに伴い操作位置検出器15から位置信号が出力されるのに伴い、制御回路18が、選択項目を上方のアイコンaへ移動させる制御を行う。また、図7の状態から、操作部13を手前側へ回動操作した場合には、同様に、選択項目を下方のアイコンcへ移動させる制御が行われ、同状態から、操作部13を右方へ回動操作した場合には、選択項目を右方のアイコンeへ移動させる、といった制御が行われるものであり、以上のような制御が行われるのに応じて、操作ユニット10による選択項目変更操作を行い得るようになっている。このように選択された機能は、操作部13の押下げ操作に応じて前述同様に有効化されると共に、表示装置22の表示画面が当該機能に応じた画面に切替えられるものである。
【0025】
さらに、制御回路18は、操作部13が操作無効領域へ回動操作された場合には、アクチュエータ16を動作させることによって、当該操作部13に対して操作方向と異なる方向の反力を付与するというハプティック制御を行う構成となっている。本実施例の場合、上記操作無効領域とは、操作部13の操作方向について選択項目がない領域のことを指すものであり、例えば、図7においてアイコンaが選択項目として強調表示された状態では、そのアイコンaの上方領域及び左方領域を指すことになる。従って、この例のようにアイコンaが選択項目として強調表示された状態から、操作部13をさらに前方或いは左方へ回動操作した場合には、当該操作部13に対し反力が作用するなって、操作部13の操作感が重くなるものである。
【0026】
図8のフローチャートには、制御回路18による制御例が概略的に示されている。尚、このフローチャートは、機能選択信号による選択対象となる車両搭載機器が、オーディオ装置、カーナビゲーション装置、エアコンの3種類の場合の例である。
図8において、制御回路18は、車両を走行可能状態に切替えるための図示しないメインスイッチがオンされるまで、つまり、当該メインスイッチからオン信号が入力されるまで待機する(ステップA1)。メインスイッチがオンされたときには、操作ユニット10の操作位置検出器15からの位置信号についての初期値設定処理を行い(ステップA2)、機能選択切替部20により選択された機能が、オーディオ装置、カーナビゲーション装置、エアコンの何れであるかを判断する。
【0027】
選択された機能がカーナビゲーション装置であった場合には、車両の走行速度が規定値以下であるか否かを図示しない車速センサからの車速信号に基づいて判断する(ステップA4)。車両の走行速度が規定値を超えていた場合には、表示装置22に対して、操作ユニット10の操作が無効である旨を報知するための操作禁止画面を表示するステップA5、操作ユニット10を操作無効状態に切替えるステップA6を順次実行した後にステップA3へ戻る。
【0028】
これに対して、車両の走行速度が規定値以下であった場合には、表示装置22に対して、カーナビゲーション装置用のメニュー画面(図7参照)を表示するステップA7、操作ユニット10を操作有効状態に切替えるステップA8を順次実行した後に、操作応答処理ルーチンA9へ移行する。
【0029】
上記操作応答処理ルーチンA9では、前述したような操作ユニット10の操作に係る制御、つまり、操作部13の回動操作に応じたメニュー画面上での選択項目の移動制御及びこれに伴う強調表示対象のアイコンの変更制御、操作部13が操作無効領域へ回動操作された場合のハプティック制御を行うものである。この処理ルーチンA9の実行状態では、エンタースイッチ14からエンター信号の入力の有無を判断し(ステップA10)、入力された場合には、その時点での選択項目を実行する(ステップA11)。尚、エンター信号の入力前の時点で、機能選択切替部20により機能の選択状態が切替えられたときには、割り込みが掛けられて前記ステップA3が実行され、これに伴い新たに選択された機能についての処理が実行されるものである。
【0030】
上記選択項目の実行後には、当該選択項目に係る他の処理(例えば、カーナビゲーション装置の詳細な機能設定、目的地の詳細な設定処理など)を実行した後に、メインスイッチがオフされたか否かを判断する(ステップA12)。メインスイッチがオフされた場合には、所定の初期化ステップA13を実行した後に制御動作を終了するが、メインスイッチのオン状態が保持されたままであった場合には、ステップA3へ戻る。尚、上記他の処理の実行中に、機能選択切替部20により機能の選択状態が切替えられたときにも、前述同様に割り込みが掛けられて、新たに選択された機能についての処理が実行されるものである。
【0031】
一方、選択された機能がオーディオ装置であった場合には、表示装置22に対して、オーディオ装置用のメニュー画面(図示せず)を表示するステップA14、操作ユニット10を操作有効状態に切替えるステップA15を順次実行した後に、前述した操作ユニット10の操作に係るアイコンの変更制御及びハプティック制御を行うための操作応答処理ルーチンA16へ移行する。この操作応答処理ルーチンA16の実行状態では、エンタースイッチ14からエンター信号の入力の有無を判断し(ステップA17)、入力された場合には、その時点での選択項目を実行する(ステップA18)。尚、エンター信号の入力前の時点で、機能選択切替部20により機能の選択状態が切替えられたときには、割り込みが掛けられて前記ステップA3が実行され、これに伴い新たに選択された機能についての処理が実行されるものである。
【0032】
上記選択項目の実行後には、当該選択項目に係る他の処理(例えば、オーディオ装置の音源設定、ボリューム調整、選曲処理など)を実行した後に、前記ステップA12へ移行する。尚、上記他の処理の実行中に、機能選択切替部20により機能の選択状態が切替えられたときにも、前述同様に割り込みが掛けられて、新たに選択された機能についての処理が実行されるものである。
【0033】
さらに、選択された機能がエアコンであった場合には、表示装置22に対して、エアコン用のメニュー画面(図示せず)を表示するステップA19、操作ユニット10を操作有効状態に切替えるステップA20を順次実行した後に、前述した操作ユニット10の操作に係るアイコンの変更制御及びハプティック制御を行うための操作応答処理ルーチンA21へ移行する。この操作応答処理ルーチンA21の実行状態では、エンタースイッチ14からエンター信号の入力の有無を判断し(ステップA22)、入力された場合には、その時点での選択項目を実行する(ステップA23)。尚、エンター信号の入力前の時点で、機能選択切替部20により機能の選択状態が切替えられたときには、割り込みが掛けられて前記ステップA3が実行され、これに伴い新たに選択された機能についての処理が実行されるものである。
【0034】
上記選択項目の実行後には、当該選択項目に係る他の処理(例えば、エアコンの温度設定、内外気切替処理など)を実行した後に、前記ステップA12へ移行する。尚、上記他の処理の実行中に、機能選択切替部20により機能の選択状態が切替えられたときにも、前述同様に割り込みが掛けられて、新たに選択された機能についての処理が実行されるものである。
【0035】
要するに、上記した本実施例によれば、以下に述べるような作用・効果を奏するものである。
即ち、半球形状の操作面13aを有した操作部13は、その半球形状の中心Cを支点として360度方向に回動操作可能になっていると共に、この操作部13の位置に応じた位置信号を出力する操作位置検出器15が設けられているから、一つの操作部13によって多種類の操作機能を得ることが可能になる。この結果、多数の操作スイッチを設ける必要がなくなるから、必要となる設置面積の減少、取り付けコストの低減、操作性の向上などを実現できるようになる。また、操作部13が操作無効領域へ操作されたときには、制御ユニット17がアクチュエータ16を動作させることによって、当該操作部13に対して操作方向と異なる方向の反力を付与するというハプティック制御を行う構成となっている。従って、操作部13が操作無効領域へ操作された場合には、操作部13に対して操作方向と異なる方向の反力が付与された状態、つまり操作部13を通じて運転者H(操作者)に操作感触(力感覚)が刺激された状態となるから、無駄な操作が行われたことを運転者Hに確実に報知可能となって、その操作性の向上を実現できるようになる。
【0036】
また、操作部13の操作面13aの中央部には、半球形状の突起部13bが形成されており、操作部13は、その非操作状態(回動操作が行われていない状態)において上記突起部13bを開口部12aの中心に位置させたホームポジションへ自動復帰する構成となっている。つまり、操作部13がホームポジションにある状態において、ホルダ部12の円形開口部12aから露出した半球形状の操作面13aの中心に突起部13bが位置された状態となるから、ホームポジションの認識が容易になるものであり、操作部13が当該ホームポジションへ自動復帰することも相俟って、操作部13の操作性が向上するようになる。また、突起部13bが、操作部13の操作時に引っ掛かり部分として機能することになるから、この面からも操作性が向上するようになる。
【0037】
しかも、操作部13を押下げ操作したときには、エンタースイッチ14がオンされて当該スイッチ14から機器操作に係るエンター信号が出力されることになるから、機器の操作性の向上を実現できるようになる。さらに、運転者Hは、操作部13の操作を、その肘や手首をアームレスト7により固定した安定な状態で行うことができるから、その操作性が向上することになる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図9及び図10には前記第1実施例と同様の効果を奏する本発明の第2実施例が示されており、以下これについて第1実施例と異なる部分のみ説明する。
即ち、図9及び図10において、操作部13の操作面13aには、当該操作部13がホームポジションにある状態においてホルダ部12の開口部12aの中心に位置する部分に、円形の孔部13dが形成されていると共に、その孔部13dを囲んだ形態のリング状突起部13eが形成されている。上記孔部13d内には、圧縮コイルばね13fにより上方へ付勢された状態のエンターボタン13gが押込み操作可能に収納されている。図示しないが、操作部13内には、エンターボタン13gの押下げ操作に応じてオンされてエンター信号を発生する補助スイッチが設けられている。
【0039】
この構成によれば、操作部13がホームポジションにある状態において、ホルダ部12の円形開口部12aから露出した半球形状の操作面13aの中心にエンターボタン13gが設けられていると共に、このエンターボタン13gの操作に応じてオンされてエンター信号を発生する補助スイッチが設けられているから、機器の操作性の向上を実現できるようになる。
【0040】
(その他の実施の形態)
本発明は、上記した各実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような変形または拡張が可能である。
一人乗り小型車両のアームレスト操作盤に適用する構成に限らず、例えば、航空機などの他の乗物或いは遊園地用の乗物、人が乗込んで操作するゲームマシンなどのアームレスト操作盤に適用する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施例に係る操作ユニットの模式的な断面構造及びこれに関連する電気的構成を示す図
【図2】操作ユニット全体の平面図
【図3】操作ユニット上部の側面図
【図4】一人乗り小型車両の外観を概略的に示す斜視図
【図5】要部の斜視図
【図6】操作部の操作例を説明するための平面図
【図7】表示装置による表示画面の一例を示す図
【図8】制御ユニット内の制御回路による制御例を示すフローチャート
【図9】本発明の第2実施例を示す操作ユニット全体の平面図
【図10】操作ユニット上部を一部断面にして示す側面図
【符号の説明】
【0042】
1は一人乗り小型車両、5は左側アームレスト操作盤、6は右側アームレスト操作盤、7はアームレスト、10は操作ユニット、12はホルダ部、12aは開口部、13は操作部、13aは操作面、13bは突起部、14はエンタースイッチ(信号発生手段)、15は操作位置検出器(操作位置検出手段)、16はアクチュエータ、17は制御ユニット(ハプティック制御手段)、18は制御回路、22は表示装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種機器を操作するための機器操作装置において、
円形の開口部を備えたホルダ部と、
半球形状の操作面を有し、前記ホルダ部内に前記操作面を前記開口部に臨ませた状態で収納されると共に、その収納状態で前記半球形状の中心を支点として360度方向に回動操作可能に構成された操作部と、
この操作部の操作位置に応じた位置信号を出力する操作位置検出手段と、
動作されたときに前記操作部に対して操作方向と異なる方向の反力を付与するアクチュエータと、
前記操作部が操作無効領域へ操作されたときに前記アクチュエータを動作させる制御を行うハプティック制御手段と、
を備えたことを特徴とする機器操作装置。
【請求項2】
前記操作部の操作面には、当該操作部がホームポジションにある状態において前記開口部の中心に位置する部分に突起部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の機器操作装置。
【請求項3】
前記操作部は、押下げ操作可能に構成され、
前記操作部の押下げ操作に応じて機器操作に係るエンター信号を発生する信号発生手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の機器操作装置。
【請求項4】
前記操作部の操作面には、当該操作部がホームポジションにある状態において前記開口部の中心に位置する部分に補助スイッチが設けられ、
前記補助スイッチの操作に応じて機器操作に係るエンター信号を発生する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の機器操作装置。
【請求項5】
前記ホルダ部は、車両に設けられたアームレストに操作者の肘や手首を置いた状態で当該操作者が前記操作部を操作できる位置に設けられることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の機器操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−178862(P2006−178862A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373487(P2004−373487)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】