機器移動システム
【課題】機器移動システムにおいて、所定の移動面に沿って任意の機器を任意方向に自律的に移動可能とする。
【解決手段】機器移動システム1は、所定の移動面Sに沿って移動することができる移動ユニット2を備える。移動ユニット2は、任意の機器10が搭載される移動体11と、移動体11に一体的に設けられたアクチュエータ3と、移動体11を移動面Sに拘束する拘束装置13とを備える。アクチュエータ3は、電磁力に基づく衝撃を発生し、移動体11を衝撃力の方向に移動させる。拘束装置13は、移動ユニット2を移動面Sに対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する。機器10が受電機器に給電する給電用1次コイルであり、受電機器が移動面Sの上方の任意位置に載置されると、移動ユニット2が受電機器の下部に移動し、給電用1次コイルを受電機器の位置に移動して給電でき、給電場所に融通性を持たせることができる。
【解決手段】機器移動システム1は、所定の移動面Sに沿って移動することができる移動ユニット2を備える。移動ユニット2は、任意の機器10が搭載される移動体11と、移動体11に一体的に設けられたアクチュエータ3と、移動体11を移動面Sに拘束する拘束装置13とを備える。アクチュエータ3は、電磁力に基づく衝撃を発生し、移動体11を衝撃力の方向に移動させる。拘束装置13は、移動ユニット2を移動面Sに対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する。機器10が受電機器に給電する給電用1次コイルであり、受電機器が移動面Sの上方の任意位置に載置されると、移動ユニット2が受電機器の下部に移動し、給電用1次コイルを受電機器の位置に移動して給電でき、給電場所に融通性を持たせることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電用1次コイルなどの機器を移動する機器移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の電気機器などを所定位置に移動する機器移動装置として、例えば、非接触給電システムにおける給電用の1次コイルを含む機器を、広い給電面上の任意の位置に置かれた受電機器の2次コイルの直下部に移動させる装置がある。ここで、非接触給電システムについて述べると、受電機器と給電装置との間に、互いの種類、大きさ、個数などについて1対1対応が有る場合、例えば、電動歯ブラシや携帯電話などに対する専用の給電装置を備えた非接触給電システムが実用化されている。これらのシステムでは、1次コイルと2次コイルとが互いに確実に位置決めされるように、受電機器を位置決めするガイドが給電装置側に設けられていたり、受電機器を置く位置を視覚的に明示する印やLEDインジケータなどが設けられている。近年、ある程度広い範囲の任意の位置に受電機器を置くだけで給電装置の1次コイルを受電機器の2次コイルの下部に自動的に導くしくみを備えたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−81945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるようなシステムは、モータを使った2軸のアクチュエータによってXY面内で1次コイルを移動させるものであり、アクチュエータの構造は大がかりであり、給電装置の小型化や低コスト化が難しい。さらに、受電機器を置ける広い面積があるにもかかわらず、一度に給電できる受電機器は1つのみであり、設置効率が低い。これは、アクチュエータ構造が大きく、受電機器を置くことができる範囲の下部空間全面に広がっているため、1つの1次コイルを動かすアクチュエータの動作範囲内に、他の1次コイルを動かすアクチュエータを設置できないことによる。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、所定の移動面に沿って任意の機器を任意方向に自律的に移動させることができる機器移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の機器移動システムは、任意の機器が搭載され、その機器と共に所定の移動面に沿って移動する移動体と、移動体に一体的に設けられ、電力供給により電磁力に基づく衝撃を発生し、その衝撃力を駆動力にして該移動体を衝撃力の方向に移動させるアクチュエータと、移動体とアクチュエータによって構成される移動ユニットを移動面に対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する拘束手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この機器移動システムにおいて、アクチュエータは、移動体に複数設けられ、移動ユニットは、複数のアクチュエータの駆動力によって移動面に沿って回転移動または2自由度の直進移動をするものとすることができる。
【0008】
この機器移動システムにおいて、拘束手段は、移動ユニットと移動面との間に磁力による引力を発生させる磁性体、電磁石、または永久磁石を備えて構成することができる。
【0009】
この機器移動システムにおいて、拘束手段は、移動ユニットにおける移動面とは反対側にあって移動ユニットを移動面との間に挟み込む押圧板を備えて構成することができる。
【0010】
この機器移動システムにおいて、移動ユニットが移動面に複数備えられ、それぞれ個別に移動するものとすることができる。
【0011】
この機器移動システムにおいて、移動面における移動ユニットの位置を検出する位置センサと、アクチュエータへの供給電力を制御することによりアクチュエータを制御する制御部と、をさらに備え、制御部は、位置センサから位置データを受け取り、その位置データに基づいて移動ユニットを所定の目標位置に移動させるようにアクチュエータを制御するものとすることができる。
【0012】
この機器移動システムにおいて、機器は、非接触給電用の1次コイルであり、移動体が移動する領域内に1次コイルによって給電される2次コイルを持つ受電機器が配置されたとき、その受電機器の位置を検出する機器センサを備え、制御部は、機器センサから受電機器の位置データを受け取り、その受電機器の位置に移動ユニットを移動させ、1次コイルから受電機器に給電を行うものとすることができる。
【0013】
この機器移動システムにおいて、1次コイルは、複数のコイルをアレイ状に配置して成り、制御部は、給電の際に受電機器の2次コイルの面積に合わせて1次コイルの使用数を調整するものとすることができる。
【0014】
この機器移動システムにおいて、1次コイルは、径の異なる複数のコイルを同心状に配置して成り、制御部は、給電の際に受電機器の2次コイルの面積に合わせて1次コイルの使用数を調整するものとすることができる。
【0015】
この機器移動システムにおいて、制御部は、1次コイルを複数使用するとき、それらのコイルに加える電圧または電流を互いに同期させるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の機器移動システムによれば、移動ユニットがアクチュエータによる自律駆動によって移動自在に移動するので、移動範囲の増大に対して移動のための機構が大型化することがなく、小型、低コストのシステムを実現できる。また、移動ユニットが、他励的駆動ではなく自律駆動によって移動するので、複数の移動ユニット間相互の駆動機構の干渉問題がなくなり、同一システム内に複数の移動ユニットを導入して複数の機器を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る機器移動システムの構成図。
【図2】(a)は同機器移動システムを構成する移動ユニットの移動の様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの他方向への移動の様子を示す斜視図。
【図3】(a)は同機器移動システムを構成する他の移動ユニットの直進移動の様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの回転移動の様子を示す斜視図。
【図4】(a)は同機器移動システムを構成するさらに他の移動ユニットの直進移動の様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの他方向への移動の様子を示す斜視図、(c)は同移動ユニットの回転移動の様子を示す斜視図。
【図5】(a)は同機器移動システムを構成する移動ユニットが壁面に拘束されて移動する様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットと壁面の断面図。
【図6】同機器移動システムを構成する移動ユニットを移動面に拘束する例を示す側面図。
【図7】(a)は同機器移動システムを構成する移動ユニットを押圧板によって移動面に拘束する例を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの側面図。
【図8】同機器移動システムを構成する移動ユニットを移動面に拘束する他の例を示す側面図。
【図9】同機器移動システムを構成する移動ユニットを移動面に拘束するさらに他の例を示す斜視図。
【図10】(a)(b)は同機器移動システムを構成する移動ユニットに適用されるアクチュエータの左向き動作を説明する断面図、(c)(d)は同アクチュエータの右向き動作を説明する断面図。
【図11】(a)は同移動ユニットに適用される他のアクチュエータの断面図、(b)は同アクチュエータの動作原理を説明する模式図。
【図12】(a)(b)は同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの左向き動作を説明する断面図、(c)は同アクチュエータを左向きに動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図13】(a)(b)は同アクチュエータの右向き動作を説明する断面図、(c)は同アクチュエータを右向きに動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図14】(a)(b)は同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの動作を説明する断面図、(c)は同アクチュエータの動作原理を説明する模式図。
【図15】(a)は同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの平面断面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図。
【図16】(a)〜(c)は同アクチュエータの動作例を示す一部断面の側面図。
【図17】(a)(b)は同アクチュエータを動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図18】同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの断面図。
【図19】(a)(b)は同アクチュエータの部分拡大断面図。
【図20】(a)〜(d)は同アクチュエータの動作の様子を示す一部断面側面図。
【図21】(a)は第2の実施形態に係る機器移動システムにおける移動ユニットの動作を説明する斜視図、(b)は同移動ユニットが目標位置に移動した様子を示す斜視図。
【図22】(a)は同機器移動システムにおける複数の移動ユニットが給電用の1次コイルを備えて移動面上に配置されている様子を示す斜視図、(b)は同移動システムのタッチパネル上に受電用の2次コイルが載置された様子を示す斜視図、(c)は同移動ユニットが同受電用の2次コイルの下に移動した様子を示す斜視図。
【図23】同機器移動システムにおける移動ユニットが複数のアレイ状配置の給電用1次コイルを備えている様子を示す斜視図。
【図24】(a)は2つの給電用1次コイルを備えた移動ユニットが大面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットが小面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図。
【図25】(a)は同心の2つの給電用1次コイルを備えた移動ユニットが大面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットが小面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る機器移動システムについて図面を参照して説明する。図1乃至図4は本発明の第1の実施形態に係る機器移動システム1を示す。機器移動システム1は、図1に示すように、所定の移動面Sに沿って移動することができる移動ユニット2を備える。この移動ユニット2は、任意の機器10が搭載される移動体11と、移動体11に一体的に設けられたアクチュエータ3と、移動体11を移動自在に移動面Sに拘束する拘束装置13(拘束手段)とを備える。また、機器移動システム1は、アクチュエータ3を制御する制御部14を備えている。アクチュエータ3は、電力供給により電磁力に基づく衝撃を発生し、その衝撃力を駆動力にして移動体11を衝撃力の方向(アクチュエータの動作軸の方向)に移動させる。アクチュエータ3は、衝撃力を駆動力とするものであり、この意味で、インパクトアクチュエータとも呼ばれる。移動ユニット2は拘束装置13によって移動面Sに拘束されて移動面Sに沿って移動する。機器10は移動ユニット2の移動に伴って移動される。移動面Sは、平面に限らず3次元空間における任意の曲面とすることもでき、さらに、1次元の面、つまり3次元空間における任意の曲線を移動面Sとすることができる。拘束装置13は、移動ユニット2を移動面Sに対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する。例えば、拘束装置13は、移動ユニット2を移動面Sに向けて押し付ける圧力としての拘束力F、または、移動面Sの裏面側から移動ユニット2を引き付ける引力としての拘束力Fを、機械的に発生したり、電磁気的に発生したりする。制御部14は、アクチュエータ3に供給する駆動用の電力を制御し、その制御によって、移動ユニット2の移動を制御する。アクチュエータ3が1つだけ備えられる場合に、移動ユニット2は移動面Sに沿って直進移動を行い、そのアクチュエータ3が双方向移動のものであれば前進後退の直進移動を行い、単方向移動のものであれば1方向の直進移動のみを行う。
【0019】
移動ユニット2は、複数の複数のアクチュエータ3を備えることができる。例えば、図2(a)(b)に示すように、2つのアクチュエータ3を、互いに動作軸を直交させて備えることにより、2自由度の直進移動の合成によって、2次元面内の移動を行うことができる。一方のアクチュエータ3のみを駆動させると、移動ユニット2が移動面S上をそのアクチュエータの衝撃方向に直進する。他方のアクチュエータ3のみを駆動させると、同じくその衝撃方向に直進する。移動面Sが直交x、y座標軸の設定された平面であって目標地点に移動ユニット2を移動させて位置決めするとき、目標地点に対してx、y方向の移動によって目標地点に移動し、2つ同時に駆動させると斜め方向に移動する。なお、2つのアクチュエータ3の動作軸は、それぞれ移動体11の中心を通るように配置しており、これにより、回転力が発生しないで純粋に直進力だけが発生することになる。
【0020】
また、図3(a)(b)に示すように、2つのアクチュエータ3を、互いに動作軸を並列させて移動体11の中心の両側に備えている場合、1自由度の直進移動とその場回転運動との合成によって、2次元面内の移動を行うことができる。2つのアクチュエータ3を同じ向きに衝撃力を入れて駆動させると、移動ユニット2が移動面S上を衝撃方向に直進する。2つのアクチュエータ3を互いに逆向きに駆動させると、偶力により移動ユニット2がその場回転して向きを変える。移動面S上の目標位置に位置決めするとき、目標地点に向けて向きを変えて直進することで、目標までの最短距離を移動することができる。
【0021】
また、図4(a)(b)(c)に示すように、3つのアクチュエータ3を備えることができる。この例では、2つのアクチュエータ3を互いに動作軸方向を並列させて移動体11の中心の両側に配置し、これらに対して動作軸方向を直交させた1つのアクチュエータ3を移動体11の中心に配置している。このような配置を有する移動ユニット2は、図2に示した移動ユニット2の動作と、図3に示した移動ユニット2の動作の両方の動作を行うことができる。すなわち、並列した2つのアクチュエータ3を、同じ向きに駆動させると、移動ユニット2が移動面S上を衝撃方向に直進する。2つのアクチュエータ3を、それぞれ逆向きに駆動させると、偶力により移動ユニット2がその場回転して向きを変える。他の1つを独立して駆動させることで、移動ユニット2が真横に駆動される。アクチュエータ3の数を増やすことにより、移動の自由度が増え、移動ユニット2は、より短い時間で移動面S上を移動でき、位置決めすることができる。
【0022】
機器移動システム1によれば、移動ユニット2が他励的駆動ではなくアクチュエータ3による自律駆動によって移動するので、移動範囲の増大に対して移動のための機構が大型化することがない。また、複数の移動ユニット2間の相互の駆動機構の干渉問題がないので、複数の移動ユニット2を導入して複数の機器10を移動させることができる。また、広い範囲の面上で、外部からの駆動用の伝達機構を用いることなく移動ユニット2、従って機器10の移動や位置決めを自在に行うことができる。本システムの使用形態は、次のようなものが考えられる。機器10が他の機器へ給電するための1次コイルを有し、該他の機器が受電機器として2次コイルを有し、機器10の移動面Sに対向する面上に受電機器が位置する。このような構成にあって、制御部14の制御により、移動ユニット2が移動し、機器10が受電機器の下面側に移動され、受電機器に給電することができる。機器10を受電機器の位置に自在に移動でき、給電場所に融通性を持たせることができる。
【0023】
図5、図6は、拘束装置13の具体例を示す。これらの拘束装置13は、移動ユニット2と移動面Sとの間に磁力による引力を発生させる磁性体、電磁石、または永久磁石を備えて成るものである。すなわち、図5(a)(b)に示すように、拘束装置13は、移動体11の内部に備えた磁石13aと、表面を移動面Sとする磁性体13b例えば鉄板と、によって構成されている。移動ユニット2は、磁石13aと磁性体13bとの間の引力によって、移動面Sに拘束される。なお、移動面Sは、磁性体13bの表面そのものとするのではなく、磁性体13bの表面に介在させた非磁性体の表面を移動面Sとすることができる。また、移動体11と移動面Sとの接触面には、適宜の摩擦力が存在する必要がある。移動面Sは、重力の作用の有無にかかわらず、水平面の他に、斜面、壁面、天井面などとすることができ、移動ユニット2はそのような移動面Sに拘束されて移動することができる。磁石13aは、永久磁石でもよく、電磁石でもよく、また、磁極の配置は、有効な拘束力としての引力を発生できる配置であればよい。また、図6に示すように、移動体11の内部に備えた磁性体13dと、移動面Sの下部に配列した磁石13eと、によって拘束装置13を構成するようにしてもよい。
【0024】
図7(a)(b)は、拘束装置13の他の例を示す。この拘束装置13は、移動ユニット2における移動面Sとは反対側にあって移動ユニット2を移動面Sとの間に挟み込む押圧板13cを備えて成るものである。押圧板13cを移動中の移動ユニット2に柔軟に押圧して拘束力Fを発生するためのバネやゴムなどの弾性体からなる付勢緩衝部材を別途備えてもよい。移動面Sと押圧板13cとは、間に移動ユニット2を挟んだ状態で、水平ばかりでなく、垂直壁面や、他の任意の傾斜を持たせた配置とすることができる。アクチュエータ3を搭載した移動ユニット2は、2枚の板に挟まれて板との摩擦力で保持される。この場合、2枚の板の一方の板の面、または両方の板の面を移動面Sとみなすことができる。2枚の板の一方の板の面を移動面Sとする場合、他方の板との間には摩擦をなくすことにより、例えば、車輪構造を備えることにより、移動面Sとの間の摩擦力の設定が容易となる。アクチュエータ3を駆動させると、その衝撃力により移動ユニット2が、任意角度の移動面S上を移動し、目標位置に向けて進むことができる。
【0025】
図8は、拘束装置13のさらに他の例を示す。この拘束装置13は、移動ユニット2の上部から変形自在のシート13fを被せて、シート13fからの圧力によって移動ユニット2を機械的に移動面Sに押さえ込んで拘束する。移動ユニット2は、シート13fと移動面Sとの隙間を、シート13fを押しのけながら移動する。拘束力Fは、シート13fの背後から、例えば、水圧や空気圧などを作用させて、流体による圧力を拘束力Fとして用いることができる。また、シート13fをゴム磁石で構成し、移動面Sを鉄板で構成して、磁力による引力を拘束力Fとしてもよい。さらに、シート13fと移動面Sとの間で静電気を発生させ、静電気による吸着力を拘束力Fとしてもよい。また、図9は、拘束装置13のさらに他の例を示す。この拘束装置13は、移動面Sに対向する空間に設けた支持部13gと、支持部13gから移動ユニット2に延びる屈曲自在の拘束腕13hと、を備えて成るものである。拘束腕13hは、移動ユニット2の移動に追随して変形し、その作用点を移動させつつ、移動ユニット2に拘束力Fを作用させて移動ユニット2を移動面Sに押さえて拘束する。
【0026】
(渦電流式のインパクトアクチュエータ)
以下、図10乃至図20によって、アクチュエータ3の構成と動作原理を詳細説明する。図10は渦電流式のアクチュエータ3を示す。アクチュエータ3は、図10(a)に示すように、互いに離間し同軸に対向配置して一体化された左右の電磁コイル31と、電磁コイル31の間に配置された弾性体30と、各電磁コイル31と弾性体30との間に配置された2つの導電体32と、を備えている。各導電体32は、それぞれ少なくとも弾性体30の伸縮する範囲内で電磁コイル31の軸方向に沿って移動自在に構成されている。電磁コイル31は、その中心軸上に配置された軸棒31aによって一体化され、それぞれコイル枠31bに納められている。導電体32は、例えばアルミニュームなどの良導電体から成るドーナツ状の金属円板であって、軸棒31aによって移動方向が拘束されている。弾性体30は、アクチュエータ3が非駆動状態のとき、導電体32を電磁コイル31に近接させるように伸張している。導電体32と電磁コイル31の近接の度合いは、導電体32に必要な渦電流を発生できる距離であればよい。弾性体30は、例えばコイルバネや板バネ、ゴムなどを用いて構成することができる。アクチュエータ3は、電磁コイル31と導電体32を1つずつ含む組を、軸棒31aに沿って弾性体30の両側に、互いに対称配置となるように備えている。
【0027】
上記構成のアクチュエータ3の動作を説明する。アクチュエータ3は、移動体11に衝撃を与えることにより移動体11を軸棒31aの方向に移動させる。衝撃によって発生する力を衝撃力または衝撃と称する。電磁コイル31は、電力を与えられることにより、衝撃の発生源となる。移動体11は、左方の組の動作によって左方に移動され、右方の組の動作によって右方に移動される。そこで、まず、左方の組の動作を説明する。左方の導電体32は、左方の電磁コイル31の通電によって導電体32に発生する渦電流に起因して発生する反発力によって、図10(a)に示すように、右方に反発移動される。すると、弾性体30は、移動する導電体32により圧縮され、その後、その伸張力によって導電体32を左方へ押し戻す。この時点で、電磁コイル31の通電はオフされている。従って、導電体32は、図10(b)に示すように、左方の電磁コイル31に衝突し、その衝突によって左方に向かう衝撃が発生する。移動体11は、この衝撃によって左方に押されて左方に移動する。制御部14(図1参照)は、必要な渦電流とこれに起因する反発力とが得られるように電流を一気に流すように電磁コイル31への電力制御を行い、導電体32と電磁コイル31との衝突が邪魔されないように電力をオフする。また、制御部14は、このような通電を繰り返すことにより、移動体11に反復して衝撃を与えて移動体11をパルス的に左方へ移動させる。図10(c)(d)は、右方の組の動作によって移動体11を右方に移動する場合を示す。その動作は、図10(a)(b)の場合の動作を左右に反転したものと考えることができる。衝撃による移動体11の一方向への移動には、後戻りを防止する機構が必要であり、その機構として移動体11の下面と移動面Sとの間の摩擦力が用いられ、その摩擦力は拘束装置13による拘束力Fに基づいて発生する(図1参照)。この摩擦力のことは、後述する他のアクチュエータ3においても同様である。
【0028】
上述のように、アクチュエータ3は、左方と右方のいずれの方向であっても移動体11を移動させることができ、移動ユニット2を、小型・軽量・安価に実現することができる。弾性体30は、時間をかけて圧縮されることにより、衝撃を和らげるダンパの役割をしている。なお、このアクチュエータ3において、一方(右方)の電磁コイル31と導電体32などの組を除いた構成として片側駆動のアクチュエータを構成することができる。片側駆動のアクチュエータ3は、両側駆動(往復駆動)のアクチュエータ3よりも小型に構成できるので、狭い空間に複数を分散させて配置することができる融通性がある。
【0029】
(永久磁石式のインパクトアクチュエータ)
図11は他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図11(a)に示すように、上述の図10に示したアクチュエータ3において、2つの導電体32を、それぞれに対応して配置される2つの永久磁石33によって置き換えたものである。永久磁石33は、電磁コイル31の通電によって流れるコイル電流と永久磁石33の磁界との相互作用による反発力によって反発移動される。永久磁石33は、導電体32と同様にドーナツ円板状であって、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。この永久磁石33は、電磁コイル31に流れる電流の向きによって、図11(b)に示すように、斥力を受けたり、引力を受けたり(不図示)する。なお、図11(b)には、磁力線を矢印曲線によって示している。
【0030】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、例えば、左方の電磁コイル31と永久磁石33との組について説明する。アクチュエータ3は、永久磁石33に斥力を与えるように電磁コイル31に電流を流し、その後、電流をオフすると、永久磁石33は右方において弾性体30によって受け止められた後、弾性体30によって跳ね返されて、元の電磁コイル31に衝突する。つまり、アクチュエータ3は、上述の渦電流に起因して発生する反発力に代えて、電磁コイル31の通電によって流れるコイル電流と永久磁石33の磁界との相互作用による反発力を用いるものである。図10に示したものと、図11に示したものの折衷構成として、導電体32と永久磁石33とを1つずつ有するものとすることもできる。この構成の場合、左右の動作や構成が互いに対称的になるとは限らない。逆に、対称的にならないことを利用して、往復動作の特性を違えて、コストや動作特性の最適化を図ることもできる。
【0031】
このアクチュエータ3において、左右の永久磁石33の互いの磁気反発力によって、弾性体30の反発力を代替させて、弾性体30を除去することができる(不図示)。この場合、2つの永久磁石33が互いに近づく場合には、相互の磁気反発力のダンピング効果によって衝突の衝撃が和らげられる。2つの永久磁石33が互いに離反する場合には、相対移動中の永久磁石33が相互に磁力を及ぼして、電磁コイル31に衝突するまでの間、その移動速度を加速し続ける。このことを考慮して、左右の組の間隔は適宜設定される。以上のように永久磁石33と電磁コイル31との反発力を用いるアクチュエータは、渦電流による場合よりもより大きな衝撃を発生させて1回で大きな移動を行える。また、渦電流による場合のジュール熱による発熱がない点、安定にエネルギ効率良く動作できる。
【0032】
(単コイル式のインパクトアクチュエータ)
図12および図13はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図12(a)に示すように、電磁コイル31と、永久磁石33と、ストッパ34と、電磁コイル31に通電する電流を時間制御する制御部14(図1)と、を備えている。永久磁石33は、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって電磁コイル31に対して相対移動する。ストッパ34は、永久磁石33の相対移動の範囲を制限するように電磁コイル31と一体化されて被衝突体をなす。このアクチュエータ3では、電磁コイル31への通電により、永久磁石33が被衝突体(すなわち、電磁コイル31とストッパ34のいずれか)と衝突することにより衝撃が発生する。被衝突体は、永久磁石33が衝突する相手(相対移動の相手)を示す用語として用いている。電磁コイル31は、コイル枠に納められ、その中心軸上に配置された軸棒31aによってストッパ34に一体化されている。永久磁石33は、ドーナツ円板状であって、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。この永久磁石33は、電磁コイル31に流れる電流の向きによって、斥力を受けたり、引力を受けたりする。
【0033】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、移動体11を左方に移動させる場合について、図12(a)(b)(c)を参照して説明する。制御部14は、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御することにより、電磁コイル31による引力(J<0、時間t3)と斥力(J>0、時間t5)によって永久磁石33を往復移動させ、引力によって永久磁石33を電磁コイル31に衝突させる。すなわち、永久磁石33は、図12(a)に示すように電磁コイル31とストッパ34の間にある位置から、図12(c)の時間t3における引力によって左方に移動し、図12(b)に示すように電磁コイル31に衝突する。その後、永久磁石33は、図12(c)の時間t5における斥力によって、図12(a)に示す位置に復帰する。このような永久磁石33の動作(時間t3,t5における動作)が繰り返され、移動体11が左方にパルス的に移動する。図12(c)は、永久磁石33が図12(b)に示すように電磁コイル31側にある初期状態から、時間t2における斥力によって動作を開始する例を示す。時間t1,t4は駆動調整時間である。
【0034】
移動体11を右方に移動させる場合について、図13(a)(b)(c)を参照して説明する。図13(a)は、図12(a)と同じ図である。制御部14は、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御することにより、電磁コイル31による斥力(J>0、時間t4)と引力(J<0、時間t5)によって永久磁石33を往復移動させ、斥力によって永久磁石33をストッパ34に衝突させる。すなわち、永久磁石33は、図13(a)に示すように電磁コイル31とストッパ34の間にある位置から、図13(c)の時間t4における斥力によって右方に移動し、図13(b)に示すようにストッパ34に衝突する。その後、永久磁石33は、図13(c)の時間t5における引力によって、図13(a)に示す位置に復帰する。この永久磁石33の動作(時間t4,t5における動作)が繰り返され、移動体11が右方にパルス的に移動する。ここで、図13(c)の時間t1,t2における永久磁石33の動作を説明する。時間t1では、永久磁石33が初期状態にあると仮定する。初期状態は、コイル電流Jがゼロであり、永久磁石33が電磁コイル31とストッパ34との中間位置(図13(a)の状態)ではなく、永久磁石33が、前述の図12(b)に示すように、電磁コイル31側にある状態である。永久磁石33は、その初期状態において移動範囲の左端にある。永久磁石33が左端の初期状態から右方に移動してストッパ34に衝突する最初の衝突では、時間t2に示すように、コイル電流Jは漸増した後、一定値となるコイル電流Jが流される。時間t2の始めにコイル電流Jを漸増させるのは、急激な離反に起因する反動による移動体11の左方への移動を抑制するためである。
【0035】
上記のように、移動体11は、永久磁石33が左方の電磁コイル31に衝突することによって左方に移動され、永久磁石33が右方のストッパ34に衝突することによって右方に移動される。従って、移動体11を左方に移動させる場合には、永久磁石33がストッパ34に衝突しないように電磁コイル31からの磁気力を永久磁石33に及ぼす必要がある。逆に、移動体11を右方に移動させる場合には、永久磁石33が電磁コイル31に衝突しないように電磁コイル31からの磁気力を永久磁石33に及ぼす必要がある。コイル電流Jを制御する制御部14は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動の一方向において衝突を発生させ、その一方向とは反対方向において衝突を回避させると共に相対移動の方向を反転させる。制御部14は、一方向における衝撃のみを反復して発生させるように、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御する。このような制御部14とアクチュエータ3とを備えた移動体11は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動のいずれの向きにおいても衝突による衝撃を発生させることができるので、移動体11の往復移動を実現することができる。また、アクチュエータ3が1つの電磁コイル31に永久磁石33とストッパ34とを組み合わせて成るので、小型かつ簡単な構成となる。
【0036】
(コイル移動式のインパクトアクチュエータ)
図14はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図14(a)に示すように、上述の図12(a)に示したアクチュエータ3において、電磁コイル31と永久磁石33とを互いに入れ替え、ストッパ34を別途の永久磁石33に置き換えたものである。すなわち、アクチュエータ3は、互いに離間して同軸配置され軸棒31aの両端に固定された円板状の2つの永久磁石33と、軸棒31aに沿って移動自在とされた電磁コイル31と、を備えている。電磁コイル31は、コイル枠に納められ、中心軸上を軸棒31aによって挿通されている。2つの永久磁石33は、軸棒31aによってストッパ34に一体化されて被衝突体(この場合、電磁コイル31が衝突する相手)をなす。電磁コイル31は、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって、2つの永久磁石33に対して相対移動する。その相対移動の範囲は被衝突体によって(両端の永久磁石33によって)制限される。2つの永久磁石33は、ドーナツ円板状であり、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。
【0037】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、図14(b)(c)により、移動体11を左方に移動させる場合について説明する。上述のような永久磁石33の間に挟まれた電磁コイル31は、通電されると、図14(c)に示すように、一方の永久磁石33から斥力を受け、他方の永久磁石33から引力を受ける。従って、電磁コイル31は、電磁コイル31に流す電流の向きによって、左方または右方のいずれかに移動方向を選択することができる。そこで、制御部14によって、電磁コイル31のコイル電流を時間制御することにより、図14(b)に示すように、電磁コイル31を左方の永久磁石33に衝突させて移動体11を左方に移動させることができる。同様に、電磁コイル31を右方の永久磁石33に衝突させて移動体11を右方に移動させることができる。制御部14は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動の一方向において衝突を発生させ、その一方向とは反対方向において衝突を回避させると共に相対移動の方向を反転させる。制御部14は、一方向における衝撃のみを反復して発生させるように電磁コイル31に通電する電流を時間制御する。制御部14は、このような制御を繰り返すことにより、移動体11を左方、同様に右方へパルス的に移動させる。
【0038】
(ボイスコイル式のインパクトアクチュエータ)
図15、図16、および図17はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図15(a)(b)(c)に示すように、矩形の磁気回路35の対向する内面にそれぞれ配設された矩形平板状の永久磁石33と、2つの永久磁石33の間で移動自在に配設された電磁コイル31とを備えている。そして、電磁コイル31と2つの永久磁石33とは互いに組み合わされてボイスコイル構造とされている。電磁コイル31は、磁気回路35の内部に設けられた磁気回路が挿通(その挿通方向をX軸方向とする)され、この磁気回路部分は各永久磁石33の対向磁極となっている。電磁コイル31は、上部を回転軸受31cによって回動自在に支持されている。また、電磁コイル31の下部には、ハンマ34aが電磁コイル31の一部として設けられている。磁気回路35の外周におけるX軸方向の両端には、ハンマ34aが衝突可能な位置に、ストッパ34が設けられている。永久磁石33とストッパ34とが一体化されて被衝突体が形成されている。
【0039】
永久磁石33による磁界は、X軸方向に直交する水平方向に設定されている。従って、この磁界中に配設された電磁コイル31に通電されると、電磁コイル31は、そのコイル電流の向きに従って、X軸の正方向(右矢印方向)、またはその反対の負方向に移動させる力を受ける。そこで、図16(a)に示すように、電磁コイル31が左向きの力を受けると、電磁コイル31が左側に振り子運動をして、ハンマ34aが左側のストッパ34に衝突し、移動体11が左方向に移動される。アクチュエータ3の動作を図16(a)(b)に示す状態間で反復して行うために、制御部14は、電磁コイル31に通電する電流を、図17(a)に示す時間変化となるように時間制御する。コイル電流Jは、例えば、正弦関数をコイル電流Jの正方向にシフトさせた関数形になっている。電磁コイル31は、このコイル電流Jの正側では、図16(a)に示すように、左方に振れて左方で衝突し、コイル電流Jの負側では、図16(b)に示すように、中立点に戻り、その後、コイル電流Jの時間変化に従って、左方への移動と衝突を繰り返す。また、アクチュエータ3の動作を図16(b)(c)に示す状態間で反復して行って移動体11を右方に移動する場合、コイル電流Jは、図17(b)に示すように、正弦関数をコイル電流Jの負方向にシフトさせた時間変化とされる。
【0040】
上述の、図12乃至図17によって説明したアクチュエータ3は、より一般的に、次のように表現することができる。すなわち、アクチュエータ3は、対象物に衝撃を与えることにより該対象物を移動させる装置である。アクチュエータ3は、電磁コイル31と、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって電磁コイル31に対して相対移動する永久磁石33と、ストッパ34と、を備えている。ストッパ34は、前記相対移動の範囲を制限するように電磁コイル31または永久磁石33のいずれかと一体化されて被衝突体を構成している。このようなアクチュエータ3は、電磁コイル31への通電により、被衝突体と被衝突体に一体化されなかった電磁コイル31または永久磁石33のいずれかとが衝突することにより前記衝撃が発生されるものである。永久磁石33とストッパ34とが被衝突体をなす場合が図12の例である。また、ストッパ34として2個目の永久磁石33を設けて、2つの永久磁石33によって被衝突体をなす場合が図14の例である。また、永久磁石33と2つのストッパ34とによって被衝突体をなす場合が図15、図16の例である。このように、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動のいずれの向きにおいても衝突による衝撃を発生させることができるので、移動体11の往復移動を容易に実現することができる。また、アクチュエータ3が1つの電磁コイル31に、永久磁石33とストッパ34とを組み合わせて成るので、小型かつ簡単な構成となる。
【0041】
(中立点復帰式のインパクトアクチュエータ)
図18、図19、および図20はさらに他のアクチュエータ3を示す。アクチュエータ3は、図18に示すように、電磁コイル31と、その両端に配置したステータ35aと、これらの電磁コイル31およびステータ35aの中心軸上を往復移動する軸棒31aに一体化されて成る移動質量体3a(可動子3a)と、を備えている。移動質量体3aは、電磁コイル31およびステータ35aに対して相対運動を行う。移動質量体3aは、軸棒31aと、ステータ35aの内径側にそれぞれ配置された2つの永久磁石33と、両永久磁石33間に挿入された鉄心35bと、両永久磁石33の両端に配置されたヨーク35cと、2つの衝突頭片37と、衝撃増強錘36と、を備えている。一方のヨーク35cには衝突頭片37が直接接して配置され、他方のヨーク35cには衝突頭片37を介在させて他の衝突頭片37が配置されている。アクチュエータ3は、電磁コイル31、ステータ35a、および移動質量体3aを内蔵する外筒(シールドケース38)と、シールドケース38の両端に配置されて軸棒31aを軸支する軸受板39とをさらに備えている。電磁コイル31およびステータ35aはシールドケース38の内壁に固定されている。図18は、電磁コイル31が通電されていない状態を示す。この状態において、移動質量体3aは、永久磁石33、鉄心35b、ヨーク35c、およびステータ35aによって生じる磁場に起因する引力によって中立点に位置している。
【0042】
軸棒31aは、電磁コイル31およびステータ35aと同心である。軸棒31aを除く移動質量体3aの各構成物は、軸棒31aと同心になるように配置されて、軸棒31aと一体化されている。鉄心35bは、その長さが電磁コイル31の長さと同等である。換言すれば、鉄心35bは、両ステータ35aの間に収まる長さを有する。また、鉄心35bは、円筒の両端部に鍔部を備えた形状を有し、中央部の径が両端部の径よりも小さく形成されている。これにより、鉄心35bの両端部とこれらに近接する各ステータ35aとの間に、磁気抵抗の低い磁気回路が形成される。永久磁石33は、リング形状を有し、その厚み方向(中心軸方向)に磁化されている。2つの永久磁石33は、互いに磁極の方向を逆向きにして鉄心35bの両端に配置されている。永久磁石33の厚みはステータ35aの厚みよりも薄く、永久磁石33およびヨーク35cの厚みの合計はステータ35aの厚みよりも厚い。
【0043】
図18に示す中立状態において、2つの衝突頭片37とこれらに対向する各軸受板39との距離Dは、互いに等距離とされている。軸受板39は、衝突頭片37によって衝突される被衝突体であり、軸棒31aに一体化されて成る移動質量体3aの、電磁コイル31およびステータ35aに対する相対運動の移動範囲を制限する。すなわち、移動質量体3aの可動範囲は距離Dの2倍である(図19参照)。この距離Dは、移動質量体3aがいずれかの衝突頭片37に衝突した位置から、移動質量体3aが永久磁石33とステータ35aとの相互の引力によって中立点に復帰することができる距離以内に設定されている。
【0044】
図19によってアクチュエータ3の動作原理を説明する。電磁コイル31に一定方向に電流を流すと、例えば、図19(a)に磁力線Bで模式的に示すように、磁場が発生する。電磁コイル31の磁場は、2つの永久磁石33の一方による磁場を弱め、他方による磁場を強める。従って、電磁コイル31が発生する磁場によって、永久磁石33、鉄心35b、およびヨーク35cに作用する磁力に非対称性が生じ、移動質量体3aは、白抜き矢印で示すように移動する。電磁コイル31に前記一定方向とは逆方向に電流を流すと、図19(b)に示すように、移動質量体3aは、前記とは逆方向に移動する。また、図19(a)(b)の状態において、コイル電流を切って電磁コイル31による磁場を除くと、移動質量体3aは、永久磁石33とステータ35aとの相互の引力によって、前述の図18に示すように、中立点に復帰する。
【0045】
図20によってアクチュエータ3による左方向への移動の一連の動作を説明する。図20(a)に示すように、アクチュエータ3を移動体11を介して、面Sに載置する。アクチュエータ3と移動体11とは互いに一体化されている。この状態で、電磁コイル31は励磁されてなく、移動質量体3aは、中立点にあり、移動体11の左方先端は位置x0にある。電磁コイル31に電流を流すと、図20(b)に示すように、移動質量体3aが移動して軸受板39に衝突し、その衝撃によってアクチュエータ3と共に移動体11が移動し、その先端は位置x1に至る。衝撃の大きさは、電磁コイル31に流す電流の大きさとその立ち上がりの速さに依存し、より急激かつより大電流を流すことにより、より大きな衝撃を発生させることができる。衝突後に電磁コイル31に流す電流を停止すると、アクチュエータ3の内部の移動質量体3aが、図20(c)に示すように、中立点に復帰する。この復帰移動は、永久磁石33の磁気力によってゆっくり行われるので、移動体11と面Sとの間の静止摩擦力を超えるような反動はなく、移動体11の移動はない。また、永久磁石33の磁気力調整や面Sとの摩擦力調整などの条件設定を行うことにより、中立点への復帰の際に移動体11の移動が発生しないようにできる。以下、電磁コイル31に再び電流を流すことにより、図20(d)に示すように、移動体11の先端がさらに移動して位置x2に至る。アクチュエータ3は、このような動作の繰り返しによって、移動体11を、間欠的に移動させることができる。以上に述べたいずれのアクチュエータ3も小型に構成することができ、このようなアクチュエータ3を移動体11に備えることにより、移動ユニット2を、モータや駆動力伝達装置などを用いる場合に比べて小型・軽量・安価に実現することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図21乃至図25は第2の実施形態の機器移動システム1を示す。本実施形態の機器移動システム1は、図21(a)(b)に示すように、機器(不図示)を搭載して2次元移動する移動ユニット2を平面から成る移動面Sに配置し、移動ユニット2の上方に移動面Sと平行に配置されたタッチパネル4を備えて構成されている。移動面Sとタッチパネル4とは、全体でテーブルのような形状の位置決めシステムを形成し、移動面Sとタッチパネル4には共通の座標軸XYが設定されている。タッチパネル4は、例えば、上面が抵抗膜方式のタッチパネルであって、上面に圧力が加えられたとき、その圧力が加えられた位置を検出するものであり、その検出結果であるXY座標値による位置情報を外部に送信する送信部41を備えている。タッチパネル4は、例えば、上面に物体5が置かれると、その位置を検出し、その位置情報を送信部41によって出力する。タッチパネル4は、抵抗膜方式以外の種々の方式のものを用いることができる。
【0047】
移動ユニット2は、供給電力を制御することによりアクチュエータ3を制御する制御部14と、電源15(電池)と、移動面Sにおける自己位置を検出する位置センサ21と、タッチパネル4の送信部41から送信される情報を受信する受信部22とを備えている。送信部41と受信部22との通信は、無線通信でもよく、有線通信でもよい。電源15は、制御部14の回路電源や、アクチュエータ3の駆動電源として用いられる。制御部14は、位置センサ21から位置データを受け取り、その位置データに基づいて移動ユニット2を所定の目標位置に移動させるようにアクチュエータ3を制御する。目標位置は、例えば、タッチパネル4の上面に載せられた物体5の位置に対応する移動面S上の位置Pであり、その位置情報は送信部41と受信部22とを介して、制御部14に伝達される。移動ユニット2が、位置Pに達すると、移動ユニット2に搭載されて移動ユニット2と共に移動する機器(不図示)が、物体5の下部に位置することになる。
【0048】
位置センサ21は、自己位置を(X,Y)座標値として取得するものであり、ロータリエンコーダ、加速度計、慣性センサなどを備えてデットレコニング(相対的自己位置推定)可能に構成されている。また、自己位置には自己の姿勢情報を含めることができ、例えば、X軸に対する自己の正面方向の傾き角度θを含めて、(X,Y,θ)座標値を自己位置の情報とする。位置センサ21は、適宜、位置と姿勢の初期値を取得することができる。例えば、制御部14が、移動ユニット2を、X軸に対する角度が設定された所定の壁まで移動させ、その壁に押し付けることにより、移動ユニット2の姿勢を初期化し、位置センサ21における姿勢情報を初期化することができる。位置センサ21は、2つの壁、例えば、XY軸にそれぞれ平行に設けた配置位置が既知の2つの壁を用いることにより、移動ユニット2の位置と姿勢の両方の初期値を取得することができる。位置センサ21は、移動面Sまたは移動面Sの周囲に配置されたマーカを読み取る構成や、磁気センサを備えて地磁気や機器移動システム1に配置した位置検出用磁気発生装置(磁石など)の磁気を検出する構成とすることができる。位置センサ21は、これらの構成により、自己位置と姿勢を検知したり初期化したりすることができる。また、位置センサ21は、外部からの信号を受信部22によって受信して自己位置と姿勢を検知するようにしてもよい。外部からの信号は、GPS信号のように、複数位置からの信号であってその信号によって自己位置を検出できる信号とすることができる。また、位置センサ21は、移動ユニット2に組み込む必要はなく、移動ユニット2の外部からその位置と姿勢を検知して位置情報を送信する構成を機器移動システム1に備えて、その位置情報を移動ユニット2が受信部22によって受信するようにしてもよい。位置センサ21は、これらの種々の構成を組み合わせて構成することができる。
【0049】
次に、図22により機器移動システム1の具体例とその動作を説明する。機器移動システム1は、図22(a)に示すように、移動ユニット2が移動面Sに3つ(一般に、任意個数)備えられ、それぞれ個別に目標位置に向かって移動する。機器10は非接触給電用の1次コイル10aであり、上述の物体5は受電機器5であり、受電機器5は1次コイル10aによって給電される2次コイル5aを有する。機器10には、給電に使用する電力を外部から受け取るための電力線(不図示)が接続されており、その電力線は、移動ユニット2の移動を妨げない構成とされている。このような電力線が接続される場合に、移動ユニット2はこれを電源とすることができるので、電源15を備えなくてもよい。逆に、電源15を給電用電力源とすることもでき、この場合には外部からの電力線は不要となる。図22(b)に示すように、タッチパネル4上面に受電機器5が置かれたとき、タッチパネル4は受電機器5の位置を検出し、送信部41を介して移動ユニット2に位置情報を送信する。すなわち、タッチパネル4は、受電機器5の位置を検出する機器センサとして機能する。すると、図22(c)に示すように、移動ユニット2の制御部14は、機器センサ4から受電機器5の位置データを受け取り、その受電機器5の位置(目標位置)に移動ユニット2を移動させ、1次コイル10aから受電機器5の2次コイル5aに給電を行う。
【0050】
移動ユニット2が複数存在する場合、これらが競合する無駄を抑え、相互干渉を防止するため、各移動ユニット2の動作状態の情報を機器移動システム1の全体で共有したり、移動ユニット2間で固定的または動的に優先順位を設定して対処する。そこで、システム全体の制御を行う制御部を機器移動システム1に備えたり、各移動ユニット2間やタッチパネル4などとの相互の通信手段を備えたりしてもよい。機器移動システム1は、このような構成を備えることにより、複数の移動ユニット2が同時に各々の目標位置(受電機器5の位置)に移動し位置決めして受電機器5に給電する。
【0051】
機器移動システム1を非接触給電に用いる本実施形態によれば、受電する位置を固定することなく、広い面積のいずれの位置でも受電機器5が受電できる給電システムを実現できる。また、本実施形態によれば、広い給電可能面積を備えることができ、複数の受電機器に対して同時に給電(充電)できる。さらに、移動ユニット2が、他励的駆動ではなく、アクチュエータ3による自律駆動によって移動するので、1次コイルと2次コイルとの位置あわせが精密にでき、漏れ磁束も少なく磁気結合が良好になり、高効率の伝送ができる。このようなシステムを、表現を変えて述べると次のようになる。コイル間の電磁誘導でワイヤレス充電が可能な充電テーブル(表面がタッチパネル4)がある。充電テーブル内部の平面(移動面S)上に、アクチュエータ3と位置センサ21とを搭載した送電コイルのユニット(移動ユニット2)が3体(一般に複数体)ある。受電用の2次コイル5a(受電コイル)が入っている受電機器5を2つ、充電テーブルに置くと、テーブルの位置センサ(タッチパネル4)が、置かれた場所を検知し移動ユニット2に目標地を送信する。2つの移動ユニット2は、それぞれ近いほうの受電機器5を自ら判断して検知し、アクチュエータ3を駆動させ、それぞれの目標とする受電コイルのある方向に進む。移動ユニット2が目標位置に位置決めすると、アクチュエータ3は停止され、ワイヤレス充電が行なわれる。一方の移動ユニット2の進路に他方の移動ユニット2がある場合、互いにぶつからないように避けて移動する。複数の移動ユニット2の相互の衝突防止を行うために、例えば、相互に現在位置情報や移動目標位置情報を送信し、移動経路が交差する場合に、所定の優先順位に従って一方が停止したり進路変更したり、相互に進路変更したりする構成とすることができる。そのような送受信手段、経路交差判断手段、進路変更手段などを、別途備えたり、制御部14内に備えたりすることができる。
【0052】
図23、図24は、機器移動システム1を非接触給電に用いる場合における1次コイル10aの変形例を示す。図23に示す1次コイル10aは、複数のコイルをアレイ状に配置して成り、制御部14(不図示)は、給電の際に受電機器5の2次コイル5aの面積に合わせて1次コイル10aの使用数を調整する。また、制御部14は、1次コイル10aを複数使用するとき、それらのコイルに加える電圧または電流を互いに同期させて、同じ波形、同じタイミングで給電させる。例えば、図24(a)に示すように、1次コイルが、2つの1次コイル10aから成り、2次コイル5aの大きさ(面積)が、2つの1次コイル10aを合わせた大きさと同等程度の場合には、2つの1次コイル10aを用いて給電する。この場合、2つの1次コイル10aに加える電圧または電流を互いに同期させることにより、電磁結合を効率よく行わせて給電する。また、図24(b)に示すように、2次コイル5aの大きさが、1つの1次コイル10aの大きさと同等の場合には、片方の1次コイル10aを用いて給電する。このようなアレイ状の1次コイル10aとその使用方法により、2次コイル5aの仕様が異なる種々の受電機器5に対して柔軟に対応でき、例えば、大電力の受電機器には複数の1次コイル10aから同時に給電することができ、効率良く給電することができる。
【0053】
図25(a)(b)は、機器移動システム1を非接触給電に用いる場合における1次コイルの他の変形例を示す。この1次コイルは、径の異なる複数のコイルを同心状に配置して成り、制御部14は、給電の際に受電機器5の2次コイルの面積に合わせて1次コイルの使用数を調整することことができる。例えば、図25(a)に示すように、1次コイルが、中心から渦巻状に形成された1次コイル10aと、1次コイル10aの外側に渦巻状に形成された1次コイル10aとから成り、2つの互いに同心のコイルが全体として平面渦巻きコイルを形成している。2次コイル5aの大きさが、外側の1次コイル10aの大きさと同等程度の場合には、内側と外側の両方の1次コイル10aを用いて給電する。また、図25(b)に示すように、2次コイル5aの大きさが、内側の1次コイル10aの大きさと同等の場合には、内側の1次コイル10aだけを用いて給電する。このような同心状の1次コイル10aとその使用方法により、2次コイル5aの仕様が異なる種々の受電機器5に対して柔軟に対応でき、大電力の受電機器には複数の1次コイル10aから同時に給電して効率を上げることができ、効率良く給電することができる。
【0054】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。拘束装置13の構成は、上述した各種の構成を互いに複合した構成とすることができる。移動ユニット2の構成は、アクチュエータ3と移動体11とを区別するものではなく、アクチュエータ3そのものが移動体11を構成するものであってもよい。また、移動ユニット2と機器10との関係は、移動ユニット2に機器10を搭載する関係だけでなく、機器10にアクチュエータ3を備えた構成であってもよく、この場合には、機器10またはアクチュエータ3が移動体11となり得る。いずれの場合にも、機器10がアクチュエータ3によって移動面Sに沿って移動する構成となる。また、機器移動システム1を非接触給電に用いる場合に、1次コイルと2次コイルの磁気結合の程度を測定し、位置あわせを最適化するため移動ユニット2を移動させる信号を移動ユニット2の制御部14に対して出力する位置調整手段を機器10に備えてもよい。機器移動システム1は、非接触給電に限らず、種々の産業上の利用が可能である。例えば、機器10を照明装置とし、所定のパターンで自動的に移動させ点灯させたり、移動ユニット2に遠隔制御用の受信機または送受信機を備えて移動面S上の任意の位置において所定の表示を動的に行わせたりする表示装置を構成することができる。移動ユニット2に機器10として清掃手段を備え、移動面S上を自在に移動して、移動面Sまたはこれに近接する他の面を自動清掃する装置を構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 機器移動システム
10 機器
10a 1次コイル
11 移動体
13 拘束装置(拘束手段)
13a 磁石(電磁石、永久磁石)
13b 磁性体
13c 押圧板
13d 磁性体
13e 磁石(電磁石、永久磁石)
14 制御部
2 移動ユニット
21 位置センサ
3 アクチュエータ
4 タッチパネル(機器センサ)
5 受電機器
5a 2次コイル
P 位置、目標位置
S 移動面
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電用1次コイルなどの機器を移動する機器移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の電気機器などを所定位置に移動する機器移動装置として、例えば、非接触給電システムにおける給電用の1次コイルを含む機器を、広い給電面上の任意の位置に置かれた受電機器の2次コイルの直下部に移動させる装置がある。ここで、非接触給電システムについて述べると、受電機器と給電装置との間に、互いの種類、大きさ、個数などについて1対1対応が有る場合、例えば、電動歯ブラシや携帯電話などに対する専用の給電装置を備えた非接触給電システムが実用化されている。これらのシステムでは、1次コイルと2次コイルとが互いに確実に位置決めされるように、受電機器を位置決めするガイドが給電装置側に設けられていたり、受電機器を置く位置を視覚的に明示する印やLEDインジケータなどが設けられている。近年、ある程度広い範囲の任意の位置に受電機器を置くだけで給電装置の1次コイルを受電機器の2次コイルの下部に自動的に導くしくみを備えたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−81945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるようなシステムは、モータを使った2軸のアクチュエータによってXY面内で1次コイルを移動させるものであり、アクチュエータの構造は大がかりであり、給電装置の小型化や低コスト化が難しい。さらに、受電機器を置ける広い面積があるにもかかわらず、一度に給電できる受電機器は1つのみであり、設置効率が低い。これは、アクチュエータ構造が大きく、受電機器を置くことができる範囲の下部空間全面に広がっているため、1つの1次コイルを動かすアクチュエータの動作範囲内に、他の1次コイルを動かすアクチュエータを設置できないことによる。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、所定の移動面に沿って任意の機器を任意方向に自律的に移動させることができる機器移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の機器移動システムは、任意の機器が搭載され、その機器と共に所定の移動面に沿って移動する移動体と、移動体に一体的に設けられ、電力供給により電磁力に基づく衝撃を発生し、その衝撃力を駆動力にして該移動体を衝撃力の方向に移動させるアクチュエータと、移動体とアクチュエータによって構成される移動ユニットを移動面に対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する拘束手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この機器移動システムにおいて、アクチュエータは、移動体に複数設けられ、移動ユニットは、複数のアクチュエータの駆動力によって移動面に沿って回転移動または2自由度の直進移動をするものとすることができる。
【0008】
この機器移動システムにおいて、拘束手段は、移動ユニットと移動面との間に磁力による引力を発生させる磁性体、電磁石、または永久磁石を備えて構成することができる。
【0009】
この機器移動システムにおいて、拘束手段は、移動ユニットにおける移動面とは反対側にあって移動ユニットを移動面との間に挟み込む押圧板を備えて構成することができる。
【0010】
この機器移動システムにおいて、移動ユニットが移動面に複数備えられ、それぞれ個別に移動するものとすることができる。
【0011】
この機器移動システムにおいて、移動面における移動ユニットの位置を検出する位置センサと、アクチュエータへの供給電力を制御することによりアクチュエータを制御する制御部と、をさらに備え、制御部は、位置センサから位置データを受け取り、その位置データに基づいて移動ユニットを所定の目標位置に移動させるようにアクチュエータを制御するものとすることができる。
【0012】
この機器移動システムにおいて、機器は、非接触給電用の1次コイルであり、移動体が移動する領域内に1次コイルによって給電される2次コイルを持つ受電機器が配置されたとき、その受電機器の位置を検出する機器センサを備え、制御部は、機器センサから受電機器の位置データを受け取り、その受電機器の位置に移動ユニットを移動させ、1次コイルから受電機器に給電を行うものとすることができる。
【0013】
この機器移動システムにおいて、1次コイルは、複数のコイルをアレイ状に配置して成り、制御部は、給電の際に受電機器の2次コイルの面積に合わせて1次コイルの使用数を調整するものとすることができる。
【0014】
この機器移動システムにおいて、1次コイルは、径の異なる複数のコイルを同心状に配置して成り、制御部は、給電の際に受電機器の2次コイルの面積に合わせて1次コイルの使用数を調整するものとすることができる。
【0015】
この機器移動システムにおいて、制御部は、1次コイルを複数使用するとき、それらのコイルに加える電圧または電流を互いに同期させるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の機器移動システムによれば、移動ユニットがアクチュエータによる自律駆動によって移動自在に移動するので、移動範囲の増大に対して移動のための機構が大型化することがなく、小型、低コストのシステムを実現できる。また、移動ユニットが、他励的駆動ではなく自律駆動によって移動するので、複数の移動ユニット間相互の駆動機構の干渉問題がなくなり、同一システム内に複数の移動ユニットを導入して複数の機器を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る機器移動システムの構成図。
【図2】(a)は同機器移動システムを構成する移動ユニットの移動の様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの他方向への移動の様子を示す斜視図。
【図3】(a)は同機器移動システムを構成する他の移動ユニットの直進移動の様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの回転移動の様子を示す斜視図。
【図4】(a)は同機器移動システムを構成するさらに他の移動ユニットの直進移動の様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの他方向への移動の様子を示す斜視図、(c)は同移動ユニットの回転移動の様子を示す斜視図。
【図5】(a)は同機器移動システムを構成する移動ユニットが壁面に拘束されて移動する様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットと壁面の断面図。
【図6】同機器移動システムを構成する移動ユニットを移動面に拘束する例を示す側面図。
【図7】(a)は同機器移動システムを構成する移動ユニットを押圧板によって移動面に拘束する例を示す斜視図、(b)は同移動ユニットの側面図。
【図8】同機器移動システムを構成する移動ユニットを移動面に拘束する他の例を示す側面図。
【図9】同機器移動システムを構成する移動ユニットを移動面に拘束するさらに他の例を示す斜視図。
【図10】(a)(b)は同機器移動システムを構成する移動ユニットに適用されるアクチュエータの左向き動作を説明する断面図、(c)(d)は同アクチュエータの右向き動作を説明する断面図。
【図11】(a)は同移動ユニットに適用される他のアクチュエータの断面図、(b)は同アクチュエータの動作原理を説明する模式図。
【図12】(a)(b)は同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの左向き動作を説明する断面図、(c)は同アクチュエータを左向きに動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図13】(a)(b)は同アクチュエータの右向き動作を説明する断面図、(c)は同アクチュエータを右向きに動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図14】(a)(b)は同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの動作を説明する断面図、(c)は同アクチュエータの動作原理を説明する模式図。
【図15】(a)は同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの平面断面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図。
【図16】(a)〜(c)は同アクチュエータの動作例を示す一部断面の側面図。
【図17】(a)(b)は同アクチュエータを動作させる際に電磁コイルに流す電流の時間変化グラフ。
【図18】同移動ユニットに適用されるさらに他のアクチュエータの断面図。
【図19】(a)(b)は同アクチュエータの部分拡大断面図。
【図20】(a)〜(d)は同アクチュエータの動作の様子を示す一部断面側面図。
【図21】(a)は第2の実施形態に係る機器移動システムにおける移動ユニットの動作を説明する斜視図、(b)は同移動ユニットが目標位置に移動した様子を示す斜視図。
【図22】(a)は同機器移動システムにおける複数の移動ユニットが給電用の1次コイルを備えて移動面上に配置されている様子を示す斜視図、(b)は同移動システムのタッチパネル上に受電用の2次コイルが載置された様子を示す斜視図、(c)は同移動ユニットが同受電用の2次コイルの下に移動した様子を示す斜視図。
【図23】同機器移動システムにおける移動ユニットが複数のアレイ状配置の給電用1次コイルを備えている様子を示す斜視図。
【図24】(a)は2つの給電用1次コイルを備えた移動ユニットが大面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットが小面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図。
【図25】(a)は同心の2つの給電用1次コイルを備えた移動ユニットが大面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図、(b)は同移動ユニットが小面積の受電用の2次コイルに給電する様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る機器移動システムについて図面を参照して説明する。図1乃至図4は本発明の第1の実施形態に係る機器移動システム1を示す。機器移動システム1は、図1に示すように、所定の移動面Sに沿って移動することができる移動ユニット2を備える。この移動ユニット2は、任意の機器10が搭載される移動体11と、移動体11に一体的に設けられたアクチュエータ3と、移動体11を移動自在に移動面Sに拘束する拘束装置13(拘束手段)とを備える。また、機器移動システム1は、アクチュエータ3を制御する制御部14を備えている。アクチュエータ3は、電力供給により電磁力に基づく衝撃を発生し、その衝撃力を駆動力にして移動体11を衝撃力の方向(アクチュエータの動作軸の方向)に移動させる。アクチュエータ3は、衝撃力を駆動力とするものであり、この意味で、インパクトアクチュエータとも呼ばれる。移動ユニット2は拘束装置13によって移動面Sに拘束されて移動面Sに沿って移動する。機器10は移動ユニット2の移動に伴って移動される。移動面Sは、平面に限らず3次元空間における任意の曲面とすることもでき、さらに、1次元の面、つまり3次元空間における任意の曲線を移動面Sとすることができる。拘束装置13は、移動ユニット2を移動面Sに対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する。例えば、拘束装置13は、移動ユニット2を移動面Sに向けて押し付ける圧力としての拘束力F、または、移動面Sの裏面側から移動ユニット2を引き付ける引力としての拘束力Fを、機械的に発生したり、電磁気的に発生したりする。制御部14は、アクチュエータ3に供給する駆動用の電力を制御し、その制御によって、移動ユニット2の移動を制御する。アクチュエータ3が1つだけ備えられる場合に、移動ユニット2は移動面Sに沿って直進移動を行い、そのアクチュエータ3が双方向移動のものであれば前進後退の直進移動を行い、単方向移動のものであれば1方向の直進移動のみを行う。
【0019】
移動ユニット2は、複数の複数のアクチュエータ3を備えることができる。例えば、図2(a)(b)に示すように、2つのアクチュエータ3を、互いに動作軸を直交させて備えることにより、2自由度の直進移動の合成によって、2次元面内の移動を行うことができる。一方のアクチュエータ3のみを駆動させると、移動ユニット2が移動面S上をそのアクチュエータの衝撃方向に直進する。他方のアクチュエータ3のみを駆動させると、同じくその衝撃方向に直進する。移動面Sが直交x、y座標軸の設定された平面であって目標地点に移動ユニット2を移動させて位置決めするとき、目標地点に対してx、y方向の移動によって目標地点に移動し、2つ同時に駆動させると斜め方向に移動する。なお、2つのアクチュエータ3の動作軸は、それぞれ移動体11の中心を通るように配置しており、これにより、回転力が発生しないで純粋に直進力だけが発生することになる。
【0020】
また、図3(a)(b)に示すように、2つのアクチュエータ3を、互いに動作軸を並列させて移動体11の中心の両側に備えている場合、1自由度の直進移動とその場回転運動との合成によって、2次元面内の移動を行うことができる。2つのアクチュエータ3を同じ向きに衝撃力を入れて駆動させると、移動ユニット2が移動面S上を衝撃方向に直進する。2つのアクチュエータ3を互いに逆向きに駆動させると、偶力により移動ユニット2がその場回転して向きを変える。移動面S上の目標位置に位置決めするとき、目標地点に向けて向きを変えて直進することで、目標までの最短距離を移動することができる。
【0021】
また、図4(a)(b)(c)に示すように、3つのアクチュエータ3を備えることができる。この例では、2つのアクチュエータ3を互いに動作軸方向を並列させて移動体11の中心の両側に配置し、これらに対して動作軸方向を直交させた1つのアクチュエータ3を移動体11の中心に配置している。このような配置を有する移動ユニット2は、図2に示した移動ユニット2の動作と、図3に示した移動ユニット2の動作の両方の動作を行うことができる。すなわち、並列した2つのアクチュエータ3を、同じ向きに駆動させると、移動ユニット2が移動面S上を衝撃方向に直進する。2つのアクチュエータ3を、それぞれ逆向きに駆動させると、偶力により移動ユニット2がその場回転して向きを変える。他の1つを独立して駆動させることで、移動ユニット2が真横に駆動される。アクチュエータ3の数を増やすことにより、移動の自由度が増え、移動ユニット2は、より短い時間で移動面S上を移動でき、位置決めすることができる。
【0022】
機器移動システム1によれば、移動ユニット2が他励的駆動ではなくアクチュエータ3による自律駆動によって移動するので、移動範囲の増大に対して移動のための機構が大型化することがない。また、複数の移動ユニット2間の相互の駆動機構の干渉問題がないので、複数の移動ユニット2を導入して複数の機器10を移動させることができる。また、広い範囲の面上で、外部からの駆動用の伝達機構を用いることなく移動ユニット2、従って機器10の移動や位置決めを自在に行うことができる。本システムの使用形態は、次のようなものが考えられる。機器10が他の機器へ給電するための1次コイルを有し、該他の機器が受電機器として2次コイルを有し、機器10の移動面Sに対向する面上に受電機器が位置する。このような構成にあって、制御部14の制御により、移動ユニット2が移動し、機器10が受電機器の下面側に移動され、受電機器に給電することができる。機器10を受電機器の位置に自在に移動でき、給電場所に融通性を持たせることができる。
【0023】
図5、図6は、拘束装置13の具体例を示す。これらの拘束装置13は、移動ユニット2と移動面Sとの間に磁力による引力を発生させる磁性体、電磁石、または永久磁石を備えて成るものである。すなわち、図5(a)(b)に示すように、拘束装置13は、移動体11の内部に備えた磁石13aと、表面を移動面Sとする磁性体13b例えば鉄板と、によって構成されている。移動ユニット2は、磁石13aと磁性体13bとの間の引力によって、移動面Sに拘束される。なお、移動面Sは、磁性体13bの表面そのものとするのではなく、磁性体13bの表面に介在させた非磁性体の表面を移動面Sとすることができる。また、移動体11と移動面Sとの接触面には、適宜の摩擦力が存在する必要がある。移動面Sは、重力の作用の有無にかかわらず、水平面の他に、斜面、壁面、天井面などとすることができ、移動ユニット2はそのような移動面Sに拘束されて移動することができる。磁石13aは、永久磁石でもよく、電磁石でもよく、また、磁極の配置は、有効な拘束力としての引力を発生できる配置であればよい。また、図6に示すように、移動体11の内部に備えた磁性体13dと、移動面Sの下部に配列した磁石13eと、によって拘束装置13を構成するようにしてもよい。
【0024】
図7(a)(b)は、拘束装置13の他の例を示す。この拘束装置13は、移動ユニット2における移動面Sとは反対側にあって移動ユニット2を移動面Sとの間に挟み込む押圧板13cを備えて成るものである。押圧板13cを移動中の移動ユニット2に柔軟に押圧して拘束力Fを発生するためのバネやゴムなどの弾性体からなる付勢緩衝部材を別途備えてもよい。移動面Sと押圧板13cとは、間に移動ユニット2を挟んだ状態で、水平ばかりでなく、垂直壁面や、他の任意の傾斜を持たせた配置とすることができる。アクチュエータ3を搭載した移動ユニット2は、2枚の板に挟まれて板との摩擦力で保持される。この場合、2枚の板の一方の板の面、または両方の板の面を移動面Sとみなすことができる。2枚の板の一方の板の面を移動面Sとする場合、他方の板との間には摩擦をなくすことにより、例えば、車輪構造を備えることにより、移動面Sとの間の摩擦力の設定が容易となる。アクチュエータ3を駆動させると、その衝撃力により移動ユニット2が、任意角度の移動面S上を移動し、目標位置に向けて進むことができる。
【0025】
図8は、拘束装置13のさらに他の例を示す。この拘束装置13は、移動ユニット2の上部から変形自在のシート13fを被せて、シート13fからの圧力によって移動ユニット2を機械的に移動面Sに押さえ込んで拘束する。移動ユニット2は、シート13fと移動面Sとの隙間を、シート13fを押しのけながら移動する。拘束力Fは、シート13fの背後から、例えば、水圧や空気圧などを作用させて、流体による圧力を拘束力Fとして用いることができる。また、シート13fをゴム磁石で構成し、移動面Sを鉄板で構成して、磁力による引力を拘束力Fとしてもよい。さらに、シート13fと移動面Sとの間で静電気を発生させ、静電気による吸着力を拘束力Fとしてもよい。また、図9は、拘束装置13のさらに他の例を示す。この拘束装置13は、移動面Sに対向する空間に設けた支持部13gと、支持部13gから移動ユニット2に延びる屈曲自在の拘束腕13hと、を備えて成るものである。拘束腕13hは、移動ユニット2の移動に追随して変形し、その作用点を移動させつつ、移動ユニット2に拘束力Fを作用させて移動ユニット2を移動面Sに押さえて拘束する。
【0026】
(渦電流式のインパクトアクチュエータ)
以下、図10乃至図20によって、アクチュエータ3の構成と動作原理を詳細説明する。図10は渦電流式のアクチュエータ3を示す。アクチュエータ3は、図10(a)に示すように、互いに離間し同軸に対向配置して一体化された左右の電磁コイル31と、電磁コイル31の間に配置された弾性体30と、各電磁コイル31と弾性体30との間に配置された2つの導電体32と、を備えている。各導電体32は、それぞれ少なくとも弾性体30の伸縮する範囲内で電磁コイル31の軸方向に沿って移動自在に構成されている。電磁コイル31は、その中心軸上に配置された軸棒31aによって一体化され、それぞれコイル枠31bに納められている。導電体32は、例えばアルミニュームなどの良導電体から成るドーナツ状の金属円板であって、軸棒31aによって移動方向が拘束されている。弾性体30は、アクチュエータ3が非駆動状態のとき、導電体32を電磁コイル31に近接させるように伸張している。導電体32と電磁コイル31の近接の度合いは、導電体32に必要な渦電流を発生できる距離であればよい。弾性体30は、例えばコイルバネや板バネ、ゴムなどを用いて構成することができる。アクチュエータ3は、電磁コイル31と導電体32を1つずつ含む組を、軸棒31aに沿って弾性体30の両側に、互いに対称配置となるように備えている。
【0027】
上記構成のアクチュエータ3の動作を説明する。アクチュエータ3は、移動体11に衝撃を与えることにより移動体11を軸棒31aの方向に移動させる。衝撃によって発生する力を衝撃力または衝撃と称する。電磁コイル31は、電力を与えられることにより、衝撃の発生源となる。移動体11は、左方の組の動作によって左方に移動され、右方の組の動作によって右方に移動される。そこで、まず、左方の組の動作を説明する。左方の導電体32は、左方の電磁コイル31の通電によって導電体32に発生する渦電流に起因して発生する反発力によって、図10(a)に示すように、右方に反発移動される。すると、弾性体30は、移動する導電体32により圧縮され、その後、その伸張力によって導電体32を左方へ押し戻す。この時点で、電磁コイル31の通電はオフされている。従って、導電体32は、図10(b)に示すように、左方の電磁コイル31に衝突し、その衝突によって左方に向かう衝撃が発生する。移動体11は、この衝撃によって左方に押されて左方に移動する。制御部14(図1参照)は、必要な渦電流とこれに起因する反発力とが得られるように電流を一気に流すように電磁コイル31への電力制御を行い、導電体32と電磁コイル31との衝突が邪魔されないように電力をオフする。また、制御部14は、このような通電を繰り返すことにより、移動体11に反復して衝撃を与えて移動体11をパルス的に左方へ移動させる。図10(c)(d)は、右方の組の動作によって移動体11を右方に移動する場合を示す。その動作は、図10(a)(b)の場合の動作を左右に反転したものと考えることができる。衝撃による移動体11の一方向への移動には、後戻りを防止する機構が必要であり、その機構として移動体11の下面と移動面Sとの間の摩擦力が用いられ、その摩擦力は拘束装置13による拘束力Fに基づいて発生する(図1参照)。この摩擦力のことは、後述する他のアクチュエータ3においても同様である。
【0028】
上述のように、アクチュエータ3は、左方と右方のいずれの方向であっても移動体11を移動させることができ、移動ユニット2を、小型・軽量・安価に実現することができる。弾性体30は、時間をかけて圧縮されることにより、衝撃を和らげるダンパの役割をしている。なお、このアクチュエータ3において、一方(右方)の電磁コイル31と導電体32などの組を除いた構成として片側駆動のアクチュエータを構成することができる。片側駆動のアクチュエータ3は、両側駆動(往復駆動)のアクチュエータ3よりも小型に構成できるので、狭い空間に複数を分散させて配置することができる融通性がある。
【0029】
(永久磁石式のインパクトアクチュエータ)
図11は他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図11(a)に示すように、上述の図10に示したアクチュエータ3において、2つの導電体32を、それぞれに対応して配置される2つの永久磁石33によって置き換えたものである。永久磁石33は、電磁コイル31の通電によって流れるコイル電流と永久磁石33の磁界との相互作用による反発力によって反発移動される。永久磁石33は、導電体32と同様にドーナツ円板状であって、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。この永久磁石33は、電磁コイル31に流れる電流の向きによって、図11(b)に示すように、斥力を受けたり、引力を受けたり(不図示)する。なお、図11(b)には、磁力線を矢印曲線によって示している。
【0030】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、例えば、左方の電磁コイル31と永久磁石33との組について説明する。アクチュエータ3は、永久磁石33に斥力を与えるように電磁コイル31に電流を流し、その後、電流をオフすると、永久磁石33は右方において弾性体30によって受け止められた後、弾性体30によって跳ね返されて、元の電磁コイル31に衝突する。つまり、アクチュエータ3は、上述の渦電流に起因して発生する反発力に代えて、電磁コイル31の通電によって流れるコイル電流と永久磁石33の磁界との相互作用による反発力を用いるものである。図10に示したものと、図11に示したものの折衷構成として、導電体32と永久磁石33とを1つずつ有するものとすることもできる。この構成の場合、左右の動作や構成が互いに対称的になるとは限らない。逆に、対称的にならないことを利用して、往復動作の特性を違えて、コストや動作特性の最適化を図ることもできる。
【0031】
このアクチュエータ3において、左右の永久磁石33の互いの磁気反発力によって、弾性体30の反発力を代替させて、弾性体30を除去することができる(不図示)。この場合、2つの永久磁石33が互いに近づく場合には、相互の磁気反発力のダンピング効果によって衝突の衝撃が和らげられる。2つの永久磁石33が互いに離反する場合には、相対移動中の永久磁石33が相互に磁力を及ぼして、電磁コイル31に衝突するまでの間、その移動速度を加速し続ける。このことを考慮して、左右の組の間隔は適宜設定される。以上のように永久磁石33と電磁コイル31との反発力を用いるアクチュエータは、渦電流による場合よりもより大きな衝撃を発生させて1回で大きな移動を行える。また、渦電流による場合のジュール熱による発熱がない点、安定にエネルギ効率良く動作できる。
【0032】
(単コイル式のインパクトアクチュエータ)
図12および図13はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図12(a)に示すように、電磁コイル31と、永久磁石33と、ストッパ34と、電磁コイル31に通電する電流を時間制御する制御部14(図1)と、を備えている。永久磁石33は、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって電磁コイル31に対して相対移動する。ストッパ34は、永久磁石33の相対移動の範囲を制限するように電磁コイル31と一体化されて被衝突体をなす。このアクチュエータ3では、電磁コイル31への通電により、永久磁石33が被衝突体(すなわち、電磁コイル31とストッパ34のいずれか)と衝突することにより衝撃が発生する。被衝突体は、永久磁石33が衝突する相手(相対移動の相手)を示す用語として用いている。電磁コイル31は、コイル枠に納められ、その中心軸上に配置された軸棒31aによってストッパ34に一体化されている。永久磁石33は、ドーナツ円板状であって、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。この永久磁石33は、電磁コイル31に流れる電流の向きによって、斥力を受けたり、引力を受けたりする。
【0033】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、移動体11を左方に移動させる場合について、図12(a)(b)(c)を参照して説明する。制御部14は、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御することにより、電磁コイル31による引力(J<0、時間t3)と斥力(J>0、時間t5)によって永久磁石33を往復移動させ、引力によって永久磁石33を電磁コイル31に衝突させる。すなわち、永久磁石33は、図12(a)に示すように電磁コイル31とストッパ34の間にある位置から、図12(c)の時間t3における引力によって左方に移動し、図12(b)に示すように電磁コイル31に衝突する。その後、永久磁石33は、図12(c)の時間t5における斥力によって、図12(a)に示す位置に復帰する。このような永久磁石33の動作(時間t3,t5における動作)が繰り返され、移動体11が左方にパルス的に移動する。図12(c)は、永久磁石33が図12(b)に示すように電磁コイル31側にある初期状態から、時間t2における斥力によって動作を開始する例を示す。時間t1,t4は駆動調整時間である。
【0034】
移動体11を右方に移動させる場合について、図13(a)(b)(c)を参照して説明する。図13(a)は、図12(a)と同じ図である。制御部14は、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御することにより、電磁コイル31による斥力(J>0、時間t4)と引力(J<0、時間t5)によって永久磁石33を往復移動させ、斥力によって永久磁石33をストッパ34に衝突させる。すなわち、永久磁石33は、図13(a)に示すように電磁コイル31とストッパ34の間にある位置から、図13(c)の時間t4における斥力によって右方に移動し、図13(b)に示すようにストッパ34に衝突する。その後、永久磁石33は、図13(c)の時間t5における引力によって、図13(a)に示す位置に復帰する。この永久磁石33の動作(時間t4,t5における動作)が繰り返され、移動体11が右方にパルス的に移動する。ここで、図13(c)の時間t1,t2における永久磁石33の動作を説明する。時間t1では、永久磁石33が初期状態にあると仮定する。初期状態は、コイル電流Jがゼロであり、永久磁石33が電磁コイル31とストッパ34との中間位置(図13(a)の状態)ではなく、永久磁石33が、前述の図12(b)に示すように、電磁コイル31側にある状態である。永久磁石33は、その初期状態において移動範囲の左端にある。永久磁石33が左端の初期状態から右方に移動してストッパ34に衝突する最初の衝突では、時間t2に示すように、コイル電流Jは漸増した後、一定値となるコイル電流Jが流される。時間t2の始めにコイル電流Jを漸増させるのは、急激な離反に起因する反動による移動体11の左方への移動を抑制するためである。
【0035】
上記のように、移動体11は、永久磁石33が左方の電磁コイル31に衝突することによって左方に移動され、永久磁石33が右方のストッパ34に衝突することによって右方に移動される。従って、移動体11を左方に移動させる場合には、永久磁石33がストッパ34に衝突しないように電磁コイル31からの磁気力を永久磁石33に及ぼす必要がある。逆に、移動体11を右方に移動させる場合には、永久磁石33が電磁コイル31に衝突しないように電磁コイル31からの磁気力を永久磁石33に及ぼす必要がある。コイル電流Jを制御する制御部14は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動の一方向において衝突を発生させ、その一方向とは反対方向において衝突を回避させると共に相対移動の方向を反転させる。制御部14は、一方向における衝撃のみを反復して発生させるように、電磁コイル31に通電するコイル電流Jを時間制御する。このような制御部14とアクチュエータ3とを備えた移動体11は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動のいずれの向きにおいても衝突による衝撃を発生させることができるので、移動体11の往復移動を実現することができる。また、アクチュエータ3が1つの電磁コイル31に永久磁石33とストッパ34とを組み合わせて成るので、小型かつ簡単な構成となる。
【0036】
(コイル移動式のインパクトアクチュエータ)
図14はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図14(a)に示すように、上述の図12(a)に示したアクチュエータ3において、電磁コイル31と永久磁石33とを互いに入れ替え、ストッパ34を別途の永久磁石33に置き換えたものである。すなわち、アクチュエータ3は、互いに離間して同軸配置され軸棒31aの両端に固定された円板状の2つの永久磁石33と、軸棒31aに沿って移動自在とされた電磁コイル31と、を備えている。電磁コイル31は、コイル枠に納められ、中心軸上を軸棒31aによって挿通されている。2つの永久磁石33は、軸棒31aによってストッパ34に一体化されて被衝突体(この場合、電磁コイル31が衝突する相手)をなす。電磁コイル31は、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって、2つの永久磁石33に対して相対移動する。その相対移動の範囲は被衝突体によって(両端の永久磁石33によって)制限される。2つの永久磁石33は、ドーナツ円板状であり、中心側から外周側に向けて半径方向に磁化されている。本例の場合、中心側がS極で外周側がN極であるが、逆極性とすることができる。
【0037】
上記構成のアクチュエータ3の動作を、図14(b)(c)により、移動体11を左方に移動させる場合について説明する。上述のような永久磁石33の間に挟まれた電磁コイル31は、通電されると、図14(c)に示すように、一方の永久磁石33から斥力を受け、他方の永久磁石33から引力を受ける。従って、電磁コイル31は、電磁コイル31に流す電流の向きによって、左方または右方のいずれかに移動方向を選択することができる。そこで、制御部14によって、電磁コイル31のコイル電流を時間制御することにより、図14(b)に示すように、電磁コイル31を左方の永久磁石33に衝突させて移動体11を左方に移動させることができる。同様に、電磁コイル31を右方の永久磁石33に衝突させて移動体11を右方に移動させることができる。制御部14は、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動の一方向において衝突を発生させ、その一方向とは反対方向において衝突を回避させると共に相対移動の方向を反転させる。制御部14は、一方向における衝撃のみを反復して発生させるように電磁コイル31に通電する電流を時間制御する。制御部14は、このような制御を繰り返すことにより、移動体11を左方、同様に右方へパルス的に移動させる。
【0038】
(ボイスコイル式のインパクトアクチュエータ)
図15、図16、および図17はさらに他のアクチュエータを示す。アクチュエータ3は、図15(a)(b)(c)に示すように、矩形の磁気回路35の対向する内面にそれぞれ配設された矩形平板状の永久磁石33と、2つの永久磁石33の間で移動自在に配設された電磁コイル31とを備えている。そして、電磁コイル31と2つの永久磁石33とは互いに組み合わされてボイスコイル構造とされている。電磁コイル31は、磁気回路35の内部に設けられた磁気回路が挿通(その挿通方向をX軸方向とする)され、この磁気回路部分は各永久磁石33の対向磁極となっている。電磁コイル31は、上部を回転軸受31cによって回動自在に支持されている。また、電磁コイル31の下部には、ハンマ34aが電磁コイル31の一部として設けられている。磁気回路35の外周におけるX軸方向の両端には、ハンマ34aが衝突可能な位置に、ストッパ34が設けられている。永久磁石33とストッパ34とが一体化されて被衝突体が形成されている。
【0039】
永久磁石33による磁界は、X軸方向に直交する水平方向に設定されている。従って、この磁界中に配設された電磁コイル31に通電されると、電磁コイル31は、そのコイル電流の向きに従って、X軸の正方向(右矢印方向)、またはその反対の負方向に移動させる力を受ける。そこで、図16(a)に示すように、電磁コイル31が左向きの力を受けると、電磁コイル31が左側に振り子運動をして、ハンマ34aが左側のストッパ34に衝突し、移動体11が左方向に移動される。アクチュエータ3の動作を図16(a)(b)に示す状態間で反復して行うために、制御部14は、電磁コイル31に通電する電流を、図17(a)に示す時間変化となるように時間制御する。コイル電流Jは、例えば、正弦関数をコイル電流Jの正方向にシフトさせた関数形になっている。電磁コイル31は、このコイル電流Jの正側では、図16(a)に示すように、左方に振れて左方で衝突し、コイル電流Jの負側では、図16(b)に示すように、中立点に戻り、その後、コイル電流Jの時間変化に従って、左方への移動と衝突を繰り返す。また、アクチュエータ3の動作を図16(b)(c)に示す状態間で反復して行って移動体11を右方に移動する場合、コイル電流Jは、図17(b)に示すように、正弦関数をコイル電流Jの負方向にシフトさせた時間変化とされる。
【0040】
上述の、図12乃至図17によって説明したアクチュエータ3は、より一般的に、次のように表現することができる。すなわち、アクチュエータ3は、対象物に衝撃を与えることにより該対象物を移動させる装置である。アクチュエータ3は、電磁コイル31と、電磁コイル31への通電によって生じる電磁作用によって電磁コイル31に対して相対移動する永久磁石33と、ストッパ34と、を備えている。ストッパ34は、前記相対移動の範囲を制限するように電磁コイル31または永久磁石33のいずれかと一体化されて被衝突体を構成している。このようなアクチュエータ3は、電磁コイル31への通電により、被衝突体と被衝突体に一体化されなかった電磁コイル31または永久磁石33のいずれかとが衝突することにより前記衝撃が発生されるものである。永久磁石33とストッパ34とが被衝突体をなす場合が図12の例である。また、ストッパ34として2個目の永久磁石33を設けて、2つの永久磁石33によって被衝突体をなす場合が図14の例である。また、永久磁石33と2つのストッパ34とによって被衝突体をなす場合が図15、図16の例である。このように、電磁コイル31と永久磁石33の相対移動のいずれの向きにおいても衝突による衝撃を発生させることができるので、移動体11の往復移動を容易に実現することができる。また、アクチュエータ3が1つの電磁コイル31に、永久磁石33とストッパ34とを組み合わせて成るので、小型かつ簡単な構成となる。
【0041】
(中立点復帰式のインパクトアクチュエータ)
図18、図19、および図20はさらに他のアクチュエータ3を示す。アクチュエータ3は、図18に示すように、電磁コイル31と、その両端に配置したステータ35aと、これらの電磁コイル31およびステータ35aの中心軸上を往復移動する軸棒31aに一体化されて成る移動質量体3a(可動子3a)と、を備えている。移動質量体3aは、電磁コイル31およびステータ35aに対して相対運動を行う。移動質量体3aは、軸棒31aと、ステータ35aの内径側にそれぞれ配置された2つの永久磁石33と、両永久磁石33間に挿入された鉄心35bと、両永久磁石33の両端に配置されたヨーク35cと、2つの衝突頭片37と、衝撃増強錘36と、を備えている。一方のヨーク35cには衝突頭片37が直接接して配置され、他方のヨーク35cには衝突頭片37を介在させて他の衝突頭片37が配置されている。アクチュエータ3は、電磁コイル31、ステータ35a、および移動質量体3aを内蔵する外筒(シールドケース38)と、シールドケース38の両端に配置されて軸棒31aを軸支する軸受板39とをさらに備えている。電磁コイル31およびステータ35aはシールドケース38の内壁に固定されている。図18は、電磁コイル31が通電されていない状態を示す。この状態において、移動質量体3aは、永久磁石33、鉄心35b、ヨーク35c、およびステータ35aによって生じる磁場に起因する引力によって中立点に位置している。
【0042】
軸棒31aは、電磁コイル31およびステータ35aと同心である。軸棒31aを除く移動質量体3aの各構成物は、軸棒31aと同心になるように配置されて、軸棒31aと一体化されている。鉄心35bは、その長さが電磁コイル31の長さと同等である。換言すれば、鉄心35bは、両ステータ35aの間に収まる長さを有する。また、鉄心35bは、円筒の両端部に鍔部を備えた形状を有し、中央部の径が両端部の径よりも小さく形成されている。これにより、鉄心35bの両端部とこれらに近接する各ステータ35aとの間に、磁気抵抗の低い磁気回路が形成される。永久磁石33は、リング形状を有し、その厚み方向(中心軸方向)に磁化されている。2つの永久磁石33は、互いに磁極の方向を逆向きにして鉄心35bの両端に配置されている。永久磁石33の厚みはステータ35aの厚みよりも薄く、永久磁石33およびヨーク35cの厚みの合計はステータ35aの厚みよりも厚い。
【0043】
図18に示す中立状態において、2つの衝突頭片37とこれらに対向する各軸受板39との距離Dは、互いに等距離とされている。軸受板39は、衝突頭片37によって衝突される被衝突体であり、軸棒31aに一体化されて成る移動質量体3aの、電磁コイル31およびステータ35aに対する相対運動の移動範囲を制限する。すなわち、移動質量体3aの可動範囲は距離Dの2倍である(図19参照)。この距離Dは、移動質量体3aがいずれかの衝突頭片37に衝突した位置から、移動質量体3aが永久磁石33とステータ35aとの相互の引力によって中立点に復帰することができる距離以内に設定されている。
【0044】
図19によってアクチュエータ3の動作原理を説明する。電磁コイル31に一定方向に電流を流すと、例えば、図19(a)に磁力線Bで模式的に示すように、磁場が発生する。電磁コイル31の磁場は、2つの永久磁石33の一方による磁場を弱め、他方による磁場を強める。従って、電磁コイル31が発生する磁場によって、永久磁石33、鉄心35b、およびヨーク35cに作用する磁力に非対称性が生じ、移動質量体3aは、白抜き矢印で示すように移動する。電磁コイル31に前記一定方向とは逆方向に電流を流すと、図19(b)に示すように、移動質量体3aは、前記とは逆方向に移動する。また、図19(a)(b)の状態において、コイル電流を切って電磁コイル31による磁場を除くと、移動質量体3aは、永久磁石33とステータ35aとの相互の引力によって、前述の図18に示すように、中立点に復帰する。
【0045】
図20によってアクチュエータ3による左方向への移動の一連の動作を説明する。図20(a)に示すように、アクチュエータ3を移動体11を介して、面Sに載置する。アクチュエータ3と移動体11とは互いに一体化されている。この状態で、電磁コイル31は励磁されてなく、移動質量体3aは、中立点にあり、移動体11の左方先端は位置x0にある。電磁コイル31に電流を流すと、図20(b)に示すように、移動質量体3aが移動して軸受板39に衝突し、その衝撃によってアクチュエータ3と共に移動体11が移動し、その先端は位置x1に至る。衝撃の大きさは、電磁コイル31に流す電流の大きさとその立ち上がりの速さに依存し、より急激かつより大電流を流すことにより、より大きな衝撃を発生させることができる。衝突後に電磁コイル31に流す電流を停止すると、アクチュエータ3の内部の移動質量体3aが、図20(c)に示すように、中立点に復帰する。この復帰移動は、永久磁石33の磁気力によってゆっくり行われるので、移動体11と面Sとの間の静止摩擦力を超えるような反動はなく、移動体11の移動はない。また、永久磁石33の磁気力調整や面Sとの摩擦力調整などの条件設定を行うことにより、中立点への復帰の際に移動体11の移動が発生しないようにできる。以下、電磁コイル31に再び電流を流すことにより、図20(d)に示すように、移動体11の先端がさらに移動して位置x2に至る。アクチュエータ3は、このような動作の繰り返しによって、移動体11を、間欠的に移動させることができる。以上に述べたいずれのアクチュエータ3も小型に構成することができ、このようなアクチュエータ3を移動体11に備えることにより、移動ユニット2を、モータや駆動力伝達装置などを用いる場合に比べて小型・軽量・安価に実現することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図21乃至図25は第2の実施形態の機器移動システム1を示す。本実施形態の機器移動システム1は、図21(a)(b)に示すように、機器(不図示)を搭載して2次元移動する移動ユニット2を平面から成る移動面Sに配置し、移動ユニット2の上方に移動面Sと平行に配置されたタッチパネル4を備えて構成されている。移動面Sとタッチパネル4とは、全体でテーブルのような形状の位置決めシステムを形成し、移動面Sとタッチパネル4には共通の座標軸XYが設定されている。タッチパネル4は、例えば、上面が抵抗膜方式のタッチパネルであって、上面に圧力が加えられたとき、その圧力が加えられた位置を検出するものであり、その検出結果であるXY座標値による位置情報を外部に送信する送信部41を備えている。タッチパネル4は、例えば、上面に物体5が置かれると、その位置を検出し、その位置情報を送信部41によって出力する。タッチパネル4は、抵抗膜方式以外の種々の方式のものを用いることができる。
【0047】
移動ユニット2は、供給電力を制御することによりアクチュエータ3を制御する制御部14と、電源15(電池)と、移動面Sにおける自己位置を検出する位置センサ21と、タッチパネル4の送信部41から送信される情報を受信する受信部22とを備えている。送信部41と受信部22との通信は、無線通信でもよく、有線通信でもよい。電源15は、制御部14の回路電源や、アクチュエータ3の駆動電源として用いられる。制御部14は、位置センサ21から位置データを受け取り、その位置データに基づいて移動ユニット2を所定の目標位置に移動させるようにアクチュエータ3を制御する。目標位置は、例えば、タッチパネル4の上面に載せられた物体5の位置に対応する移動面S上の位置Pであり、その位置情報は送信部41と受信部22とを介して、制御部14に伝達される。移動ユニット2が、位置Pに達すると、移動ユニット2に搭載されて移動ユニット2と共に移動する機器(不図示)が、物体5の下部に位置することになる。
【0048】
位置センサ21は、自己位置を(X,Y)座標値として取得するものであり、ロータリエンコーダ、加速度計、慣性センサなどを備えてデットレコニング(相対的自己位置推定)可能に構成されている。また、自己位置には自己の姿勢情報を含めることができ、例えば、X軸に対する自己の正面方向の傾き角度θを含めて、(X,Y,θ)座標値を自己位置の情報とする。位置センサ21は、適宜、位置と姿勢の初期値を取得することができる。例えば、制御部14が、移動ユニット2を、X軸に対する角度が設定された所定の壁まで移動させ、その壁に押し付けることにより、移動ユニット2の姿勢を初期化し、位置センサ21における姿勢情報を初期化することができる。位置センサ21は、2つの壁、例えば、XY軸にそれぞれ平行に設けた配置位置が既知の2つの壁を用いることにより、移動ユニット2の位置と姿勢の両方の初期値を取得することができる。位置センサ21は、移動面Sまたは移動面Sの周囲に配置されたマーカを読み取る構成や、磁気センサを備えて地磁気や機器移動システム1に配置した位置検出用磁気発生装置(磁石など)の磁気を検出する構成とすることができる。位置センサ21は、これらの構成により、自己位置と姿勢を検知したり初期化したりすることができる。また、位置センサ21は、外部からの信号を受信部22によって受信して自己位置と姿勢を検知するようにしてもよい。外部からの信号は、GPS信号のように、複数位置からの信号であってその信号によって自己位置を検出できる信号とすることができる。また、位置センサ21は、移動ユニット2に組み込む必要はなく、移動ユニット2の外部からその位置と姿勢を検知して位置情報を送信する構成を機器移動システム1に備えて、その位置情報を移動ユニット2が受信部22によって受信するようにしてもよい。位置センサ21は、これらの種々の構成を組み合わせて構成することができる。
【0049】
次に、図22により機器移動システム1の具体例とその動作を説明する。機器移動システム1は、図22(a)に示すように、移動ユニット2が移動面Sに3つ(一般に、任意個数)備えられ、それぞれ個別に目標位置に向かって移動する。機器10は非接触給電用の1次コイル10aであり、上述の物体5は受電機器5であり、受電機器5は1次コイル10aによって給電される2次コイル5aを有する。機器10には、給電に使用する電力を外部から受け取るための電力線(不図示)が接続されており、その電力線は、移動ユニット2の移動を妨げない構成とされている。このような電力線が接続される場合に、移動ユニット2はこれを電源とすることができるので、電源15を備えなくてもよい。逆に、電源15を給電用電力源とすることもでき、この場合には外部からの電力線は不要となる。図22(b)に示すように、タッチパネル4上面に受電機器5が置かれたとき、タッチパネル4は受電機器5の位置を検出し、送信部41を介して移動ユニット2に位置情報を送信する。すなわち、タッチパネル4は、受電機器5の位置を検出する機器センサとして機能する。すると、図22(c)に示すように、移動ユニット2の制御部14は、機器センサ4から受電機器5の位置データを受け取り、その受電機器5の位置(目標位置)に移動ユニット2を移動させ、1次コイル10aから受電機器5の2次コイル5aに給電を行う。
【0050】
移動ユニット2が複数存在する場合、これらが競合する無駄を抑え、相互干渉を防止するため、各移動ユニット2の動作状態の情報を機器移動システム1の全体で共有したり、移動ユニット2間で固定的または動的に優先順位を設定して対処する。そこで、システム全体の制御を行う制御部を機器移動システム1に備えたり、各移動ユニット2間やタッチパネル4などとの相互の通信手段を備えたりしてもよい。機器移動システム1は、このような構成を備えることにより、複数の移動ユニット2が同時に各々の目標位置(受電機器5の位置)に移動し位置決めして受電機器5に給電する。
【0051】
機器移動システム1を非接触給電に用いる本実施形態によれば、受電する位置を固定することなく、広い面積のいずれの位置でも受電機器5が受電できる給電システムを実現できる。また、本実施形態によれば、広い給電可能面積を備えることができ、複数の受電機器に対して同時に給電(充電)できる。さらに、移動ユニット2が、他励的駆動ではなく、アクチュエータ3による自律駆動によって移動するので、1次コイルと2次コイルとの位置あわせが精密にでき、漏れ磁束も少なく磁気結合が良好になり、高効率の伝送ができる。このようなシステムを、表現を変えて述べると次のようになる。コイル間の電磁誘導でワイヤレス充電が可能な充電テーブル(表面がタッチパネル4)がある。充電テーブル内部の平面(移動面S)上に、アクチュエータ3と位置センサ21とを搭載した送電コイルのユニット(移動ユニット2)が3体(一般に複数体)ある。受電用の2次コイル5a(受電コイル)が入っている受電機器5を2つ、充電テーブルに置くと、テーブルの位置センサ(タッチパネル4)が、置かれた場所を検知し移動ユニット2に目標地を送信する。2つの移動ユニット2は、それぞれ近いほうの受電機器5を自ら判断して検知し、アクチュエータ3を駆動させ、それぞれの目標とする受電コイルのある方向に進む。移動ユニット2が目標位置に位置決めすると、アクチュエータ3は停止され、ワイヤレス充電が行なわれる。一方の移動ユニット2の進路に他方の移動ユニット2がある場合、互いにぶつからないように避けて移動する。複数の移動ユニット2の相互の衝突防止を行うために、例えば、相互に現在位置情報や移動目標位置情報を送信し、移動経路が交差する場合に、所定の優先順位に従って一方が停止したり進路変更したり、相互に進路変更したりする構成とすることができる。そのような送受信手段、経路交差判断手段、進路変更手段などを、別途備えたり、制御部14内に備えたりすることができる。
【0052】
図23、図24は、機器移動システム1を非接触給電に用いる場合における1次コイル10aの変形例を示す。図23に示す1次コイル10aは、複数のコイルをアレイ状に配置して成り、制御部14(不図示)は、給電の際に受電機器5の2次コイル5aの面積に合わせて1次コイル10aの使用数を調整する。また、制御部14は、1次コイル10aを複数使用するとき、それらのコイルに加える電圧または電流を互いに同期させて、同じ波形、同じタイミングで給電させる。例えば、図24(a)に示すように、1次コイルが、2つの1次コイル10aから成り、2次コイル5aの大きさ(面積)が、2つの1次コイル10aを合わせた大きさと同等程度の場合には、2つの1次コイル10aを用いて給電する。この場合、2つの1次コイル10aに加える電圧または電流を互いに同期させることにより、電磁結合を効率よく行わせて給電する。また、図24(b)に示すように、2次コイル5aの大きさが、1つの1次コイル10aの大きさと同等の場合には、片方の1次コイル10aを用いて給電する。このようなアレイ状の1次コイル10aとその使用方法により、2次コイル5aの仕様が異なる種々の受電機器5に対して柔軟に対応でき、例えば、大電力の受電機器には複数の1次コイル10aから同時に給電することができ、効率良く給電することができる。
【0053】
図25(a)(b)は、機器移動システム1を非接触給電に用いる場合における1次コイルの他の変形例を示す。この1次コイルは、径の異なる複数のコイルを同心状に配置して成り、制御部14は、給電の際に受電機器5の2次コイルの面積に合わせて1次コイルの使用数を調整することことができる。例えば、図25(a)に示すように、1次コイルが、中心から渦巻状に形成された1次コイル10aと、1次コイル10aの外側に渦巻状に形成された1次コイル10aとから成り、2つの互いに同心のコイルが全体として平面渦巻きコイルを形成している。2次コイル5aの大きさが、外側の1次コイル10aの大きさと同等程度の場合には、内側と外側の両方の1次コイル10aを用いて給電する。また、図25(b)に示すように、2次コイル5aの大きさが、内側の1次コイル10aの大きさと同等の場合には、内側の1次コイル10aだけを用いて給電する。このような同心状の1次コイル10aとその使用方法により、2次コイル5aの仕様が異なる種々の受電機器5に対して柔軟に対応でき、大電力の受電機器には複数の1次コイル10aから同時に給電して効率を上げることができ、効率良く給電することができる。
【0054】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。拘束装置13の構成は、上述した各種の構成を互いに複合した構成とすることができる。移動ユニット2の構成は、アクチュエータ3と移動体11とを区別するものではなく、アクチュエータ3そのものが移動体11を構成するものであってもよい。また、移動ユニット2と機器10との関係は、移動ユニット2に機器10を搭載する関係だけでなく、機器10にアクチュエータ3を備えた構成であってもよく、この場合には、機器10またはアクチュエータ3が移動体11となり得る。いずれの場合にも、機器10がアクチュエータ3によって移動面Sに沿って移動する構成となる。また、機器移動システム1を非接触給電に用いる場合に、1次コイルと2次コイルの磁気結合の程度を測定し、位置あわせを最適化するため移動ユニット2を移動させる信号を移動ユニット2の制御部14に対して出力する位置調整手段を機器10に備えてもよい。機器移動システム1は、非接触給電に限らず、種々の産業上の利用が可能である。例えば、機器10を照明装置とし、所定のパターンで自動的に移動させ点灯させたり、移動ユニット2に遠隔制御用の受信機または送受信機を備えて移動面S上の任意の位置において所定の表示を動的に行わせたりする表示装置を構成することができる。移動ユニット2に機器10として清掃手段を備え、移動面S上を自在に移動して、移動面Sまたはこれに近接する他の面を自動清掃する装置を構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 機器移動システム
10 機器
10a 1次コイル
11 移動体
13 拘束装置(拘束手段)
13a 磁石(電磁石、永久磁石)
13b 磁性体
13c 押圧板
13d 磁性体
13e 磁石(電磁石、永久磁石)
14 制御部
2 移動ユニット
21 位置センサ
3 アクチュエータ
4 タッチパネル(機器センサ)
5 受電機器
5a 2次コイル
P 位置、目標位置
S 移動面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の機器が搭載され、その機器と共に所定の移動面に沿って移動する移動体と、
前記移動体に一体的に設けられ、電力供給により電磁力に基づく衝撃を発生し、その衝撃力を駆動力にして該移動体を前記衝撃力の方向に移動させるアクチュエータと、
前記移動体と前記アクチュエータによって構成される移動ユニットを前記移動面に対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する拘束手段と、を備えることを特徴とする機器移動システム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記移動体に複数設けられ、
前記移動ユニットは、前記複数のアクチュエータの駆動力によって前記移動面に沿って回転移動または2自由度の直進移動をすることを特徴とする請求項1に記載の機器移動システム。
【請求項3】
前記拘束手段は、前記移動ユニットと前記移動面との間に磁力による引力を発生させる磁性体、電磁石、または永久磁石を備えて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機器移動システム。
【請求項4】
前記拘束手段は、前記移動ユニットにおける前記移動面とは反対側にあって前記移動ユニットを前記移動面との間に挟み込む押圧板を備えて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機器移動システム。
【請求項5】
前記移動ユニットが前記移動面に複数備えられ、それぞれ個別に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の機器移動システム。
【請求項6】
前記移動面における前記移動ユニットの位置を検出する位置センサと、
前記アクチュエータへの供給電力を制御することにより該アクチュエータを制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記位置センサから位置データを受け取り、その位置データに基づいて前記移動ユニットを所定の目標位置に移動させるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の機器移動システム。
【請求項7】
前記機器は、非接触給電用の1次コイルであり、
前記移動体が移動する領域内に前記1次コイルによって給電される2次コイルを持つ受電機器が配置されたとき、その受電機器の位置を検出する機器センサを備え、
前記制御部は、前記機器センサから前記受電機器の位置データを受け取り、その受電機器の位置に前記移動ユニットを移動させ、前記1次コイルから前記受電機器に給電を行うことを特徴とする請求項6に記載の機器移動システム。
【請求項8】
前記1次コイルは、複数のコイルをアレイ状に配置して成り、
前記制御部は、給電の際に前記受電機器の2次コイルの面積に合わせて前記1次コイルの使用数を調整することを特徴とする請求項7に記載の機器移動システム。
【請求項9】
前記1次コイルは、径の異なる複数のコイルを同心状に配置して成り、
前記制御部は、給電の際に前記受電機器の2次コイルの面積に合わせて前記1次コイルの使用数を調整することを特徴とする請求項7に記載の機器移動システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記1次コイルを複数使用するとき、それらのコイルに加える電圧または電流を互いに同期させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の機器移動システム。
【請求項1】
任意の機器が搭載され、その機器と共に所定の移動面に沿って移動する移動体と、
前記移動体に一体的に設けられ、電力供給により電磁力に基づく衝撃を発生し、その衝撃力を駆動力にして該移動体を前記衝撃力の方向に移動させるアクチュエータと、
前記移動体と前記アクチュエータによって構成される移動ユニットを前記移動面に対して移動自在かつ摩擦力が発生するように機械力または電磁気力により拘束する拘束手段と、を備えることを特徴とする機器移動システム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記移動体に複数設けられ、
前記移動ユニットは、前記複数のアクチュエータの駆動力によって前記移動面に沿って回転移動または2自由度の直進移動をすることを特徴とする請求項1に記載の機器移動システム。
【請求項3】
前記拘束手段は、前記移動ユニットと前記移動面との間に磁力による引力を発生させる磁性体、電磁石、または永久磁石を備えて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機器移動システム。
【請求項4】
前記拘束手段は、前記移動ユニットにおける前記移動面とは反対側にあって前記移動ユニットを前記移動面との間に挟み込む押圧板を備えて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機器移動システム。
【請求項5】
前記移動ユニットが前記移動面に複数備えられ、それぞれ個別に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の機器移動システム。
【請求項6】
前記移動面における前記移動ユニットの位置を検出する位置センサと、
前記アクチュエータへの供給電力を制御することにより該アクチュエータを制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記位置センサから位置データを受け取り、その位置データに基づいて前記移動ユニットを所定の目標位置に移動させるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の機器移動システム。
【請求項7】
前記機器は、非接触給電用の1次コイルであり、
前記移動体が移動する領域内に前記1次コイルによって給電される2次コイルを持つ受電機器が配置されたとき、その受電機器の位置を検出する機器センサを備え、
前記制御部は、前記機器センサから前記受電機器の位置データを受け取り、その受電機器の位置に前記移動ユニットを移動させ、前記1次コイルから前記受電機器に給電を行うことを特徴とする請求項6に記載の機器移動システム。
【請求項8】
前記1次コイルは、複数のコイルをアレイ状に配置して成り、
前記制御部は、給電の際に前記受電機器の2次コイルの面積に合わせて前記1次コイルの使用数を調整することを特徴とする請求項7に記載の機器移動システム。
【請求項9】
前記1次コイルは、径の異なる複数のコイルを同心状に配置して成り、
前記制御部は、給電の際に前記受電機器の2次コイルの面積に合わせて前記1次コイルの使用数を調整することを特徴とする請求項7に記載の機器移動システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記1次コイルを複数使用するとき、それらのコイルに加える電圧または電流を互いに同期させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の機器移動システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−20589(P2013−20589A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155824(P2011−155824)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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