説明

機器

【課題】柔軟なモジュールの起動を可能とした機器を提供すること目的とする。
【解決手段】少なくとも1つ以上のインタフェース手段と、前記インタフェース手段を選択するためのインタフェース選択手段と、機器固有の機能を実現する機能手段を備えた機器において、機器の認証を行うための認証手段を備え、機器が立ち上がった際に、前記インタフェース手段の中から、前記認証手段を利用するものが起動されているという起動条件が成立している場合に限り、前記認証手段を起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つ以上のインタフェース手段と、前記インタフェース手段を選択するためのインタフェース選択手段と、機器固有の機能を実現する機能手段を備えた機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも1つ以上のインタフェース手段と、前記インタフェース手段を選択するためのインタフェース選択手段と、機器固有の機能を実現する機能手段を備えた機器、例えば、特許文献1のように、システム全体の起動・停止を制御するという責務を持った機構を有し、その機構の振る舞いについて記述されたが提案されている。
【特許文献1】特開2002−320130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来装置では、システム全体を起動・停止する機構を有していても、特定のモジュールのみを起動・停止させるための機構は有してない。機器が、その特定のモジュールを使用しないような設定になっている場合には、それを起動しないようにすることが望ましいが、そのような融通がきかない。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、柔軟なモジュールの起動を可能とした機器を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つ以上のインタフェース手段と、前記インタフェース手段を選択するためのインタフェース選択手段と、機器固有の機能を実現する機能手段を備えた機器において、機器の認証を行うための認証手段を備え、機器が立ち上がった際に、前記インタフェース手段の中から、前記認証手段を利用するものが起動されているという起動条件が成立している場合に限り、前記認証手段を起動するようにしたものである。
【0006】
また、前記起動条件は、さらに、前記インタフェース手段に対応したデバイスが、当該インタフェース手段に装着されているという条件を含むものである。
【0007】
また、前記起動条件は、さらに、前記インタフェース選択手段により選択されたインタフェース手段が、前記認証手段を利用するものが起動されているという条件を含むものである。
【0008】
また、前記認証手段が立ち上がっている状態で、前記インタフェース選択手段が選択するインタフェース手段が、前記認証手段を利用しないものに変更されると、前記認証手段を停止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明によれば、認証モジュールを完全に利用しないようなインターフェースが機器に存在し、ユーザーが、そのインターフェースを選択した場合には、その認証モジュールを起動させないようにすることができるので、機器のリソースを有効活用できるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明を実現するための機器のハードウェア構成を示した図である。
【0012】
同図において、CPU(中央処理装置)1により、認証モジュール(後述)の立ち上げ処理を行う。不揮発性メモリ2により、機器の設定を保持する。オペレーションパネル3により、機器の設定を行う。また、複数のインタフェースIF1,IF2,…(IF)が、CPU1のバス4に接続されている。
【0013】
オペレーションパネル3での機器の設定の方法としては、例えば、オペレーションパネル3上にソフトキーボード等を表示させ、それをもとに設定を行う方法や、ハードキーボードを別途用意して、オペレーションパネル3はハードキーボードによる設定の結果を表示させることで設定を行う方法等がある。
【0014】
インターフェースIFとしては、たとえば、無線LANインターフェースや、有線LANインターフェース、USBインターフェース等がある。特に、無線LAN通信においては、IEEE802.1xにて規定された認証方式にしたがって認証を行うという機会が多いという点から、無線LANインターフェースが望ましい。
【0015】
図2は、本発明を実現するための文書生成装置のソフトウェア構成を示した図である。
【0016】
この場合、認証モジュールにより、機器の認証を行う。特に、無線LAN通信を行う場合には、認証モジュールとしては、たとえば、WPAサプリカント機能を持ったモジュール12が挙げられる。立ち上げ担当モジュール11により、WPAサプリカント12(認証モジュール)の立ち上げを行う。
【0017】
また、ライブラリ13は、により、ユーザにより設定された設定値を、ドライバインターフェース14を介して取得する。ドライバ15により、インターフェースIFに対応したデバイスの有無を検知する。
【0018】
ここで、無線LANのセキュリティ機能について説明する。
【0019】
まず、WPAとWPA2について説明する。
【0020】
WPA/WPA2とは、WiFi Allianceにて定められた、無線LANのセキュリティ方式の規格である。WPA/WPA2ともに、それ以前に存在していたWEPというセキュリティー方式よりもセキュリティー強度が大きい。
【0021】
WPAでは、WEPに替わって、IEEE802.1xに準拠したユーザー認証機能が加わったことや、TKIPと呼ばれる暗号化プロトコルを採用していることなどの改善がなされている。また、AESと呼ばれる暗号化プロトコルも、オプションとして採用している。
【0022】
WPA2では、WPAと比較して、WPAではオプションとしていたAESを、必須として採用しているなどの改善がなされている。
【0023】
また、WPAにおける認証方式として、WPA認証とWPA−PSK認証の2種類があり、WPA2における認証方式として、WPA2認証とWPA2−PSK認証の2種類がある。
【0024】
WPA認証およびWPA2認証では、認証サーバー(例えば、RADIUSサーバー)が必要であり、クライアントは認証されるようにするためにそのサーバーと認証に必要な通信を行い、ユーザー名・パスワードおよび電子証明書等を用いて認証する。
【0025】
WPA−PSK認証およびWPA2−PSK認証では、クライアントとアクセスポイントに、事前共有キーすなわちPSK(Pre−Shared Key)を設定し、それを用いて認証する。
【0026】
また、サプリカントとは、IEEE802.1xに準拠したユーザー認証を実現するために、クライアント側で必要なソフトウェアである。ここで言うクライアントとは、ユーザー認証を行うMFPおよびLPである。
【0027】
また、WEPとは、無線通信における、セキュリティー方式の中の1つである。40ビットもしくは128ビットの秘密鍵を用いて暗号化通信を行うが、その鍵に脆弱性が発見されており、セキュリティーの強度は、WPAおよびWPA2と比較して小さい。また、WPAおよびWPA2では、WEPをサポートしない。
【0028】
また、無線LANにおける通信方式には、アドホックモードとインフラストラクチャーモードの2種類がある。アドホックモードとは、無線クライアント同士で通信をする方式である。インフラストラクチャーモードとは、アクセスポイントを経由してネットワークに接続する方式である。WPAではアドホックモードをサポートせず、WPA2ではアドホックモードをオプションとしてサポートする。
【0029】
図3は、本発明の一実施例にかかり、立ち上げ担当モジュール11がWPAサプリカント12の立ち上げる際の処理の一例を示している。
【0030】
まず、ユーザーが機器の電源をオンにしたことにより、立ち上げ担当モジュールが立ち上がる(処理101)。
【0031】
次に、立ち上げ担当モジュール11は、WPAサプリカント12を立ち上げるための条件を判定する(処理102、判断103)。その条件を満たしている場合は(判断103の結果がYES)、WPAサプリカント12を起動する(処理104)。
【0032】
このようにして、本実施例では、機器を認証させない場合には、認証モジュールの立ち上げを制限できるという効果がある。さらに、ユーザが機器を認証させたい場合にのみ、認証モジュールを起動でき、認証モジュールを未使用時には、認証モジュール起動分だけの機器のメモリー使用量が減るということで、機器のメモリーが有効利用できるという。
【0033】
図4は、無線LANインターフェースの選択状況を判断し、WPAサプリカント12の立ち上げを行う処理の一例を示している。
【0034】
まず、ユーザーが機器の電源をオンにしたことにより、立ち上げ担当モジュール11が立ち上がる(処理201)。次に、無線LANインターフェースの選択状況を確認する(処理202、判断203)。その結果として、無線LANインターフェースが選択されている場合(判断203の結果がYES)、認証モジュール(WPAサプリカント12)を立ち上げる(処理204)。
【0035】
例えば、ネットワークインターフェースとして、有線LANインターフェースと無線LANインターフェースの2種類の中からどちらかを選択するようなつくりであったとする。
【0036】
その場合には、機器が立ち上がった際に、無線LANインターフェースが選択されていれば、WPAサプリカントを立ち上げ、有線LANインターフェースが選択されていれば、WPAサプリカントを立ち上げない。
【0037】
図4に示してあるとおりにWPAサプリカントが立ち上がるためには、ユーザーはあらかじめ、無線LANインターフェースを選択していなければならない。
【0038】
図5は、オペレーションパネル3からインターフェースを選択する画面を示した図である。
【0039】
画面上に、「有線LAN」・「無線LAN」が表示されており、ユーザーは、これら2つの項目の中から、どれか1つを選択することで、インターフェースを選択する。
【0040】
このようにして、本実施例では、機器の電源をオンにした場合、無条件で認証モジュールが立ち上がることを制限できるという効果がある。さらに、不必要に認証モジュールが立ち上がることによる、機器のメモリーの無駄な消費を防ぐことができるという効果もある。
【0041】
図6は、本発明のさらに他の実施例にかかる処理の一例を示している。この場合、無線LAN通信を行う場合を想定している。
【0042】
図6は、無線LANインターフェースに対応したデバイスの有無を判断し、WPAサプリカントの立ち上げ処理を行う処理の図を示している。
【0043】
ユーザーが機器の電源をオンにしたことにより、立ち上げ担当モジュール11が立ち上がる(処理301)。次に、無線LANインターフェースの選択状況を確認する(処理302、判断303)。
【0044】
無線LANインターフェースが選択されていることを確認した後に(判断303の結果がYES)、無線LANインターフェースに対応したデバイスが挿入されているかを確認する(判断304)。確認の結果が真である場合(判断304の結果がYES)は、WPAを立ち上げることができる(処理305)。
【0045】
このようにして、本実施例では、認証モジュールが必要なインターフェースが選択されている場合であっても、認証モジュールが立ち上がることを制限できるという効果がある。さらに、不必要に認証モジュールが立ち上がることによる、機器のメモリーの無駄な消費を防ぐことができるという効果もある。
【0046】
次に、本発明の別な実施例について説明する。本実施例は、無線LAN通信を行う場合である。
【0047】
また、機器の設定には色々あるが、ここでは、無線LANパラメーターに焦点をおいて説明する。
【0048】
無線LANパラメーターとしては、たとえば、セキュリティー方式や、通信モード、SSID等がある。
【0049】
セキュリティー方式とは、「なし」・「WEP」・「WPA」の3とおり存在し、ユーザーは、これらの中から1つを、セキュリティー方式として選択する。「なし」とは、セキュリティー方式として、WEP・WPAともに使用しないという意味である。無線LANのセキュリティー方式として「WPA」が選択された場合は、WPAもしくはWPA−PSKもしくはWPA2もしくはWPA2−PSKの4つの認証方式の中からどれか1つの認証方式にてWPAサプリカントが動作する。
【0050】
無線LAN通信を行う場合、機器を認証させて通信する場合と機器を認証させずに通信する場合とがある。前者の場合、セキュリティー方式として「WPA」を選択することになる。後者の場合、セキュリティー方式として「なし」もしくは「WEP」を選択することになる。
【0051】
通信モードとは、「アドホックモード」と「インフラストラクチャーモード」の2とおり存在する。
【0052】
特に、選択されたセキュリティー方式によって、WPAサプリカント(認証モジュール)を使用するか使用しないかが分かれるという点から、セキュリティー方式の設定が、望ましい。
【0053】
図7は、本実施例にかかり、無線LANインターフェースがWPAサプリカントを必要とする設定になっているかを判断し、WPAサプリカントを立ち上げる場合の処理の一例を示している。
【0054】
ユーザーが機器の電源をオンにしたことにより、立ち上げ担当モジュール11が立ち上がる(処理401)。次に、無線LANインターフェースの選択状況を確認する(処理402、判断403)。
【0055】
無線LANインターフェースが選択されていることを確認した後(判断403の結果がYES)に、認証モジュール(WPAサプリカント)を必要とする設定になっているかを確認する(判断404)。
【0056】
セキュリティー方式として「WPA」が選択されている場合(判断404の結果がYES)は、無線LANインターフェースがWPAサプリカントを必要とするために、立ち上げ担当モジュールはWPAサプリカントを起動する(処理405)。
【0057】
また、この場合は、WPAサプリカントが立ち上がるためには、ユーザーはあらかじめ、セキュリティー方式として「WPA」を選択していなければならない。
【0058】
図8は、オペレーションパネル3からセキュリティー方式を選択する画面を示した図である。
【0059】
画面上に、「なし」・「WEP」・「WPA」が表示されており、ユーザーは、これら3つの項目の中から、どれか1つを選択することで、セキュリティー方式を選択する。 このようにして、本実施例では、認証モジュールが必要であるような設定になっている場合にのみ、認証モジュールを立ち上げることができるという効果がある。さらに、不必要に認証モジュールが立ち上がることによる、機器のメモリーの無駄な消費を防ぐことができるという効果もある。
【0060】
次に、本発明にかかるさらに他の実施例について説明する。この場合、無線LAN通信を行う場合を想定している。
【0061】
図9は、機器が利用しているインターフェースが認証モジュールを必要としなくなった場合に、認証モジュールの停止を行う処理の図を示している。
【0062】
まず、立ち上げ担当モジュールが、不揮発性メモリーの値が変更されたかどうかの監視を開始する(処理501)。
【0063】
そこに、ユーザーが、無線LANに関するパラメーターの設定を、オペレーションパネル3を用いて行う(処理502,503)。
【0064】
機器が、セキュリティーモードがWPAに設定されており、WPAサプリカント12が起動している状態で、ユーザーが、セキュリティー方式を含めた無線LANに関するパラメーターの設定を終了した後に、立ち上げ担当モジュール11が、不揮発性メモリーの値が変更されたことを検知する(処理504)。
【0065】
立ち上げ担当モジュール11は、WPAサプリカント12を停止するかどうかの判定を行う。変更前と変更後で無線LANに関するパラメーターに変更がある場合(判断505の結果がYES)は、まず、不揮発性メモリ2に、変更後の無線LANパラメータを書き込む(処理506)。
【0066】
その後に、変更されたパラメータが、セキュリティー方式であり、その値が「なし」もしくは「WEP」であるかを判定する(判断507)。判定の結果が真であれば、認証モジュールを停止させる(処理508)。
【0067】
このようにして、本実施例では、機器が認証モジュールを使用している間に、認証モジュールが必要でないような設定に変化した場合には、認証モジュールをシャットダウンできるという効果がある。さらに、不必要に認証モジュールが立ち上がることによる、機器のメモリーの無駄な消費を防ぐことができる。また、機器の設定が変更されたことを自動的に検知できるようになる。
【0068】
なお、本発明は、上述した構成のものに限らず、PC周辺機器であれば、適宜な構成を備えた装置について、同様にして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明を実現するための機器のハードウェア構成を示した図。
【図2】本発明を実現するための文書生成装置のソフトウェア構成を示した図。
【図3】本発明の一実施例にかかり、立ち上げ担当モジュール11がWPAサプリカント12の立ち上げる際の処理の一例を示したフローチャート。
【図4】無線LANインターフェースの選択状況を判断し、WPAサプリカント12の立ち上げを行う処理の一例を示したフローチャート。
【図5】オペレーションパネル3からインターフェースを選択する画面を示した概略図。
【図6】本発明のさらに他の実施例にかかる処理の一例を示したフローチャート。
【図7】無線LANインターフェースがWPAサプリカントを必要とする設定になっているかを判断し、WPAサプリカントを立ち上げる場合の処理の一例を示したフローチャート。
【図8】オペレーションパネル3からセキュリティー方式を選択する画面を示した概略図。
【図9】機器が利用しているインターフェースが認証モジュールを必要としなくなった場合に、認証モジュールの停止を行う処理の一例を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
1 CPU(中央処理装置)
2 不揮発性メモリ
3 オペレーションパネル
IF,IF1,IF2,… インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のインタフェース手段と、前記インタフェース手段を選択するためのインタフェース選択手段と、機器固有の機能を実現する機能手段を備えた機器において、
機器の認証を行うための認証手段を備え、
機器が立ち上がった際に、前記インタフェース手段の中から、前記認証手段を利用するものが起動されているという起動条件が成立している場合に限り、前記認証手段を起動することを特徴とする機器。
【請求項2】
前記起動条件は、さらに、前記インタフェース手段に対応したデバイスが、当該インタフェース手段に装着されているという条件を含むことを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記起動条件は、さらに、前記インタフェース選択手段により選択されたインタフェース手段が、前記認証手段を利用するものが起動されているという条件を含むことを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項4】
前記認証手段が立ち上がっている状態で、前記インタフェース選択手段が選択するインタフェース手段が、前記認証手段を利用しないものに変更されると、前記認証手段を停止するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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