説明

機密漏洩防止方法

【課題】 書類の他に磁気記録または光媒体を介してデータが記録された装置等を処理するにあたって、一括して機密の漏洩を防止し、リサイクルも可能とする。
【解決手段】 廃棄の対象となる装置に記録されているデータを、廃棄の対象となる装置を有する顧客2のもとで消去し、データの消去後、顧客にデータが消去されたことを証明する機密漏洩防止方法。顧客のもとで装置に記録されているデータを消去するため、第三者に機密が漏洩することがなく、証明書等の発行により、顧客側の管理責任者の責任範囲を明確にできる。データは、磁気的、光学的に記録されるものを含み、データが消去された後の装置を再生処理し、再生処理後、顧客に装置が再生されたことを証明するようにしてもよい。顧客へのデータ消去、装置の再生処理の証明を、書面や通信手段を介して証明用データを送信することにより行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密漏洩防止方法に関し、特に、機密書類に加え、磁気記録または光媒体を介してデータが記録された装置等を処理する際に、一括して機密の漏洩を防止し、リサイクルも可能とする機密漏洩防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事業所等で発生する機密書類、古紙等については、定期的に焼却処理したり、シュレッダーで処理した後、可燃ごみとして処理されていた。
【0003】
しかし、例えば、機密書類を直接焼却処理する場合には、消却場所までの運搬中に機密が漏洩するおそれがあった。また、焼却場において確実に処理されたことを確認するため、立会を要する等の問題があった。また、書類をシュレッダーで処理する場合にも、シュレッダーを操作する必要があり、人件費及びシュレッダーの運転コストも掛かる。さらに、上記処理方法では、書類をリサイクルすることもできないという問題があった。
【0004】
そこで、本出願人は、各事業所においてその場で機密書類等をリサイクル可能に裁断処理し、機密書類を裁断処理したことを証明する証明書を当該事業所の担当者に手渡すとともに、裁断処理した処理物を製紙会社等でリサイクルし、リサイクルしたことを証明する証明書を前記事業所の担当者に送付し、機密の漏洩を確実に防止しながら、書類のリサイクルを可能とするシステムを運営してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年、個人情報保護の重要性が叫ばれる中、本人の意図しない個人情報の不正な流用を防止し、個人情報を扱う事業者に一定の義務を課す個人情報保護法も施行されるに至り、上記機密書類のみならず、パーソナルコンピュータ(PC)のハードディスク(HD)やフロッピーディスク(FD)に磁気記録されているデータや、CD、DVD等の光メディアに記録されているデータについても、各装置が不要となった際等には、機密の漏洩を確実に防止しながら、リサイクルを可能とする必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、書類のみならず、磁気記録または光媒体を介してデータが記録された装置等を処理するにあたって、一括して機密の漏洩を防止し、リサイクルも可能とする機密漏洩防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、機密漏洩防止方法であって、廃棄の対象となる装置に記録されているデータを、廃棄の対象となる装置を有する顧客のもとで消去し、データの消去後、該顧客にデータが消去されたことを証明することを特徴とする。
【0008】
そして、本発明によれば、廃棄の対象となる装置を有する顧客のもとで廃棄の対象となる装置に記録されているデータを消去するため、第三者に機密が漏洩することがなく、データの消去後、顧客にデータが消去されたことを証明するため、顧客側の管理責任者の責任範囲を明確にすることができる。
【0009】
前記機密漏洩防止方法において、前記データは、廃棄の対象となる装置に磁気的または光学的に記録されているものであってもよい。これによって、磁気的にデータが記録されたHDやFD、光学的にデータが記録されたCD、DVD等を対象とすることができる。
【0010】
前記機密漏洩防止方法において、前記データが消去された後の装置を再生処理し、再生処理後、前記顧客に装置が再生されたことを証明するようにしてもよい。これによって、装置のリサイクル率を高め、顧客も環境型社会に貢献することができる。
【0011】
前記機密漏洩防止方法において、前記顧客へのデータ消去の証明及び/または装置の再生処理の証明を、書面を介して及び/または通信手段を介して証明用データを送信することにより行うことができる。例えば、顧客の事業所等のその場で書面を発行してもよく、インターネットのホームページ等を介して顧客が証明書を取得するようにしてもよい。
【0012】
前記機密漏洩防止方法において、前記廃棄対象となる装置を有する顧客の機密書類を、該顧客のもとで裁断し、裁断後、該顧客に機密書類が裁断したことを証明するようにしてもよい。これによって、機密書類及び種々の媒体を介して記録された機密データを一括して処理することができる。
【0013】
前記機密漏洩防止方法において、前記裁断後の書類を再生処理し、再生処理後、前記顧客に書類が再生されたことを証明するようにしてもよい。これによって、書類のリサイクル率を高め、顧客も環境型社会の実現に貢献することができる。
【0014】
前記機密漏洩防止方法において、前記顧客への機密書類裁断の証明及び/または書類の再生処理の証明を、書面を介して及び/または通信手段を介して証明用データを送信することにより行うことができる。この点は、上記装置を処理する場合と同様である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、書類のみならず、磁気記録または光媒体を介してデータが記録された装置等を処理するにあたって、一括して機密の漏洩を防止し、リサイクルも可能とする機密漏洩防止方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明にかかる機密漏洩防止方法を実施するシステムの一例を示し、この機密漏洩防止システム1は、機密書類を裁断し、磁気記録等されたデータを消去する処理業者3と、裁断された書類、処理された装置等の再生処理を行う再生業者4とで運営される。
【0017】
顧客2の事業所等には、顧客名簿、営業情報、個人情報、財務帳票等の機密書類、またはデータが記録され、不要となったFD、CD、DVD等を投入するための鍵付きの保管箱2aが設けられ、顧客は、保管箱2aに機密書類等を投入する。保管箱2aは、投入する物品の種類毎に複数設けることが好ましい。
【0018】
処理業者3は、例えば、車両に大型のシュレッダー等の処理装置を備え、定期的または顧客2の要請により顧客2のもとに出向き、保管箱2a内に保管されている機密書類等をその場で裁断し、データが記録されている装置等のデータを消去する。ここで、機密書類の裁断にあたっては、再生処理可能なように書類をランダムにちぎるようにして裁断し、データが記録されている装置等の処理については、磁気消去装置でデータを消去したり、特殊な超音波を利用して光媒体を破壊したり、物理的に装置全体を破壊する。
【0019】
例えば、再生処理可能なように書類を裁断するには、ドイツ国HMS社製シュレッダー(DIN規格の機密保持認定基準でランク1)を用いることができる。また、データの消去にあたっては、オリエント測器コンピュータ株式会社製磁気メディア消去マシン(HC−6000G)、HDD破壊マシン(HC−BREAKS2000)、CD・DVD・ICチップ破壊マシン(MC−1000)を使用することができる。
【0020】
機密書類の裁断、装置のデータの消去が完了すると、その場で顧客に対して目視または検査装置等によって機密書類の裁断及びデータの消去の完了を確認してもらい、データの消去等が完了していることを証明する証明書を発行して手渡す。これによって、顧客2以外の第三者に秘密が漏洩することがなく、顧客2側の管理責任者の責任範囲を明確にすることができる。
【0021】
次に、裁断された書類、データが消去された装置等(以下「処理物」という)は、再生業者4にもたらされ、再生業者4によって再生処理される。処理物が書類の場合には、再生業者4は、製紙業者であり、処理物を再生品として再生紙が回収される。一方、処理物がHD、FD、CDやDVD等の場合には、再生業者4は、例えば、PCメディアのリサイクル工場であり、オリエント測器コンピュータサービス株式会社等で実施している公知の技術によって、再生品としてプラスチック製容器、再生DVD等が回収される。
【0022】
再生が完了すると、再生業者4は、処理物が再生されたことを証明する証明書を発行して顧客2に郵送する。これによって、顧客2は、廃棄された書類、装置がリサイクルされたことを外部に証明することができ、顧客2にとっても環境型社会に貢献していることを示すことができる。
【0023】
本システムの基本的なフローは上記のとおりであるが、顧客2の事業所等で不要となったPC等を廃棄する場合には、保管箱2aを介することなく直接処理業者3に渡し、その場で処理してもらうようにすることができる。
【0024】
また、データを消去した後のHD、FD、CD、DVD、PC等は、処理業者3が再生業者4に搬送しなくとも、顧客2が再生業者4に直接搬送したり、他の輸送業者によって再生業者4まで配送してもらうこともできる。
【0025】
さらに、処理業者3及び再生業者4が顧客2に付与する証明書の代わりに、処理業者3及び再生業者4が処理または再生が完了した後、インターネットのホームページ等にデータを入力し、顧客2がアクセスして証明書をダウンロードするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる機密漏洩防止方法を実施するための一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0027】
1 機密漏洩防止システム
2 顧客
2a 保管箱
3 処理業者
4 再生業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄の対象となる装置に記録されているデータを、廃棄の対象となる装置を有する顧客のもとで消去し、データの消去後、該顧客にデータが消去されたことを証明することを特徴とする機密漏洩防止方法。
【請求項2】
前記データは、廃棄の対象となる装置に磁気的または光学的に記録されていることを特徴とする請求項1に記載の機密漏洩防止方法。
【請求項3】
前記データが消去された後の装置を再生処理し、再生処理後、前記顧客に装置が再生されたことを証明することを特徴とする請求項1または2に記載の機密漏洩防止方法。
【請求項4】
前記顧客へのデータ消去の証明及び/または装置の再生処理の証明を、書面を介して及び/または通信手段を介して証明用データを送信することにより行うことを特徴とする請求項1、2または3に記載の機密漏洩防止方法。
【請求項5】
前記廃棄対象となる装置を有する顧客の機密書類を、該顧客のもとで裁断し、裁断後、該顧客に機密書類が裁断したことを証明することを特徴とする機密漏洩防止方法。
【請求項6】
前記裁断後の書類を再生処理し、再生処理後、前記顧客に書類が再生されたことを証明することを特徴とする請求項5記載の機密漏洩防止方法。
【請求項7】
前記顧客への機密書類裁断の証明及び/または書類の再生処理の証明を、書面を介して及び/または通信手段を介して証明用データを送信することにより行うことを特徴とする請求項5または6に記載の機密漏洩防止方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−72779(P2006−72779A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256400(P2004−256400)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(500392999)株式会社アールディーヴィシステムズ (2)
【Fターム(参考)】