説明

機能性コーティング組成物、これを用いた機能性被膜及びそれらの製造方法

本発明は機能性被膜組成物に係り、さらに詳細には、水性、アルコール性、非水性樹脂バインダーと相容性の高い熱線遮断膜、近赤外線遮断膜、色補正膜、導電性膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、EC(electrochromic)膜、EL(electroluminescence)膜、絶縁膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜、光線吸収膜、高硬度膜、耐熱性膜などの機能性被膜組成物及びこれを用いた被膜、そしてこれらを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性被膜組成物に係り、さらに詳細には、水性及びアルコール系、非水系樹脂バインダーと相溶性の高い熱線遮断膜、近赤外線遮断膜、色補正膜、導電性膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、EC(electrochromic)膜、EL(electroluminescence)膜、絶縁膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜、光選択吸収膜、高硬度膜、耐熱性膜などのような機能性被膜組成物及びこれを用いた被膜、そしてこれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の機能性材料で構成された機能性被膜(functional film)を形成する方法には、真空プロセスを用いる方法、湿式プロセスを用いる方法などがある。真空プロセスを利用する方法には、スパッタリング(sputtering)、E−beam蒸着法、イオンプレーティング(ion plating)、レーザー削磨(laser abulation)などの物理的気相蒸着法(Physical Vapor Deposition)、熱的化学的気相蒸着法(Themal Chemical Vapor Deposition)、光化学的気相蒸着法、プラズマ化学的気相蒸着法などのような化学的気相蒸着法などが含まれる。湿式プロセスを利用する方法では、ゾル−ゲル法を用いたディップコーティング法(dip coating)、スピンコーティング法(spin coating)などを含む。
【0003】
しかし、真空プロセスを利用する方法は、複雑な製造過程及び装置設備を必要とし、高い製造費用をもたらす。一方、ゾル−ゲル法を利用した方法は、大部分の場合、高温での焼結過程(sintering)を要し、これによって、製造時間が長くなるため、フィルムの製造には限界がある。
【0004】
多くの機能性被膜のうち例えば、熱線遮断特性を示す被膜に対して説明する。熱線遮断効果を示す透明被膜は、ICや電子部品の誤作動防止、クレジットカードの偽造防止などの手段として、または窓などから室内、車内に流入する太陽エネルギーを減少させ、冷・暖房費用を軽減することができる手段として有用である。また、光ファイバ、ひさし板(Sun Visor)、PET容器、包装用被膜、めがね、纎維製品、加熱装置のピープホール(peep holes)、ヒータなどのような各種の製品に適用して製品に赤外線遮断効果を付与することができる。
【0005】
可視光線範囲380〜780nm波長の光を透過し、近赤外線範囲800〜2500nm波長の光を反射する従来の熱線遮断被膜を形成する方法では、(1)酸化スズと酸化アンチモンとを主成分とする薄膜をスプレー法(spray)によって形成する方法(特許文献1)、(2)錫ドープ酸化インジウム(以下、ITOと略記する)の薄膜を物理蒸着、化学蒸着、またはスパッタリング法などのような気相法によってガラス基板上に形成する方法、(3)フタロシアニン系(phthalocyanine)、アントラキノン (anthraquinone)系、ナフトキノン(naphthoquinone)系、シアニン(cyanine)系、ナフタロシアニン(naphthalocyanine)系、高分子縮合アゾ(condensed azo polymers)系、ピロール(pyrrol)系などの有機染料系の近赤外線吸収剤を有機溶媒と有機バインダーを用いて基板に塗布するか、被膜化する方法である。
【0006】
しかし、酸化スズと酸化アンチモンとを主成分とする薄膜をスプレー法(spray)によって形成する方法は、熱線遮断能力が低くて、厚膜(thick film)を要するようになり、したがって、可視光線透過率が低くなる欠点がある。一方、ITO薄膜を気相法によりガラス基板上に形成する方法は、高真空と精度の高い雰囲気制御が必要な装置を利用しなければならないため、コスト高になるだけでなく、被膜の大きさおよび形状においても制限があり、しかも、量産性が悪く、汎用性が乏しいなどの問題がある。そして有機染料系近赤外線吸収剤を有機溶媒と有機バインダーとを用いて基板に塗布するか、被膜化する方法は可視光領域の透過率が低く、濃い着色を有し、大部分690〜1000nm程度の限られた近赤外線領域のみを吸収するため、熱線遮断効率が不十分であるという問題点がある。
【0007】
また、酸化スズと酸化アンチモンとを主成分とする薄膜をスプレーによって形成する方法及びITO薄膜を気相法によりガラス基板上に形成する方法による熱線遮断被膜は、熱線遮断と同時に紫外線の遮断も可能であるが、被膜の表面抵抗が低くて、すなわち、電気伝導度が高くて携帯電話やTVやラジオなどの電波を反射して、受信が不可能になる問題がある。
【0008】
これら問題点を解決するための手段として、特許文献2、3及び4にはアンチモンドープ酸化錫(以下、ATOと略記する)をバインダー樹脂(binder resin)に混合させるか、有機溶剤にとかした樹脂バインダーに直接添加する方法及び有機バインダーと酸化スズ微粒子を有機溶剤と界面活性剤を添加して製造したコーティング組成物を塗布して、熱線遮断被膜を形成する方法が開示されている。しかし、この被膜によって十分な赤外線遮断機能を発現させるためには、厚い被膜が必要になり、このような厚い被膜は可視光線透過率が低く、透明性が低下するという欠点がある。
【0009】
特許文献5〜10にはITO微粒子を不活性ガス雰囲気中で処理、または製造することによって、熱線遮断能力が優れた粉末を製造する方法、及び有機溶媒を使用せずに水またはアルコール溶媒を用いて分散ゾルを作って、有機及び無機バインダーと混合して、1000nm以下で90%以上の熱線を遮断することができる熱線遮断被膜を形成する方法が開示されている。しかし、ITO微粒子は高価なインジウムを主成分とし、また、不活性ガス雰囲気で2次処理を実施することによって得られるので、微粒子の製造コストが非常に高くなり、汎用化には限界があり、また紫外線硬化型バインダー樹脂と混合する場合に、層分離が発生するか、凝集現象が発生して、貯蔵安定性が良くないという欠点がある。
【0010】
特許文献11〜16には第1熱線遮断微粒子(ATO、ITO)と第2熱線遮断組成物(近赤外線吸収剤または6ホウ素化物微粒子など)の分散ゾルを混合するか、それぞれのコーティング組成物を混合する方法により熱線遮断特性が優れた被膜を形成する方法が開示されている。しかし、この場合には、可視光線透過率が顕著に低下する現象を示すか、第2熱線遮断組成物の分散ゾル製造のとき、分散が容易ではないという欠点があって、熱線遮断被膜を低コストで量産することは不可能である。
【0011】
特許文献17〜23にはATO水性分散ゾル及びオーガニックATO(すなわち、ATOの親水性表面を疎水性に変換して、有機溶媒との相溶性を向上させたもの)の有機溶媒分散ゾル製造方法、及び水性バインダーと有機系バインダー樹脂に対して、それぞれの熱遮断被膜を形成する方法が開示されている。しかし、この場合に、水性ATOゾルは有機バインダー樹脂との相溶性が不足であり、オーガニックATOゾルは水系バインダー樹脂との相溶性が不十分であるという欠点がある。また、オーガニックATOゾルの場合に、水と親水性表面を疎水性表面に変化させるための第2の工程が必要となり、費用が増加するという欠点がある。
【0012】
したがって、低コストで優れた機能性を有する機能性被膜に対する開発が必要とされている。
【特許文献1】特開平3−103341号公報
【特許文献2】特開昭56−156606号公報
【特許文献3】特開昭58−117228号公報
【特許文献4】特開昭63−281837号公報
【特許文献5】特開平7−24957号公報
【特許文献6】特開平7−70363号公報
【特許文献7】特開平7−70481号公報
【特許文献8】特開平7−70482号公報
【特許文献9】特開平7−70445号公報
【特許文献10】特開平8−41441号公報
【特許文献11】特開平9−324144号公報
【特許文献12】特開平9−310031号公報
【特許文献13】特開平9−316115号公報
【特許文献14】特開平9−316363号公報
【特許文献15】特開平10−100310号公報
【特許文献16】特開平2000−169765号公報
【特許文献17】特開平6−262717号公報
【特許文献18】特開平6−316439号公報
【特許文献19】特開平6−257922号公報
【特許文献20】特開平 8−281860号公報
【特許文献21】特開平9−108621号公報
【特許文献22】特開平9−151203号公報
【特許文献23】米国特許第2002−0090507号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、低コストで量産可能な機能性被膜を形成する方法及びそれによって形成される機能性被膜組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的を達成するために、本発明は機能性微粒子を両性溶媒に均一に分散して機能性微粒子分散ゾル(両性溶媒分散ゾル)を形成する方法を提供する。機能性微粒子とは、機能性被膜を構成する微粒子を示す。前記機能性微粒子には、伝導性微粒子、強磁性微粒子、誘電体及び強誘電体微粒子、金属酸化物、硫化物、ホウ素化合物、窒化物、近赤外線遮断染料、2成分系、3成分系、及び4成分系無機顔料化合物などを含むが、これらに限定されない。
【0015】
熱線遮断膜を形成するために用いられる前記伝導性微粒子には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、ATO(Antimony doped Tin Oxide)、ITO(Indium doped Tin Oxide)、AZO(Antimony doped Zinc Oxide)、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Aluminum doped Zinc Oxide)などが包含されるが、これらに限定されない。
【0016】
磁性膜または強磁性膜を形成するために用いられる前記磁性または強磁性微粒子には、以下に限定されないが、γ−Fe、Fe、CO−FeO、バリウムフェライト(Barium ferrite)、α−Fe、Fe−CO、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Niなどが包含される。
【0017】
誘電体膜または強誘電体膜を形成するために用いられる前記誘電体または強誘電体微粒子は、マグネシウムチタン酸塩(Magnesium titanate)、チタン酸バリウム(Barium titanate)、チタン酸ストロンチウム(Strontium titanate)、チタン酸鉛(Lead titanate)、PZT(Lead zirconium titanate)、PLZT(Lead lanthanum zirconate titanate)、鉛含有ペロブスカイト化合物、マグネシウムシリケート系物質などを包含するが、これらに限定されない。
【0018】
前記金属酸化物には、FeO、Al、TiO、TiO、ZnO、ZrO、WOなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0019】
前記硫化物にはSiO、ZnSなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0020】
前記ホウ素化合物にはLaBが包含されるが、これらに限定されない。
【0021】
前記窒化物にはTiN、SiN、WiN、TaNなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0022】
前記近赤外線遮断染料には、フタロシアニン系、アントラキノン系、ナフトキノン系、シアニン系、ナフタロシアニン系、高分子縮合アゾ系、ピロール系などが包含されるが、これらに限定されない。
【0023】
前記2成分系、3成分及び4成分系無機顔料化合物には、Yellow(Ti−Sb−Ni、Ti−Sb−Cr)、Brown(Zn−Fe)、Red(Zn−Fe−Cr)、Green(Ti−Zn−Co−Ni、Co−Al−Cr−Ti)、Blue(Co−Al、Co−Al−Cr)、Black(Cu−Cr−Mn、Cu−Mn−Fe)などが包含されるが、これらに限定されない。
【0024】
前記機能性被膜には、例えば、 熱線遮断膜、近赤外線遮断膜、色補正膜、導電性膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、EC(electrochromic)膜、EL(electroluminescence)膜、絶縁膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜、光選択吸収膜、高硬度膜、耐熱性膜などが包含されるが、これらに限定されない。
【0025】
前記両性溶媒には、エチレングリコールモノメチルエーテル(ethylene glycol monomethyl ether )、エチレングリコールモノエチルエーテル(ethylene glycol monoethyl ether)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(ethylene glycol monopropyl ether)及びエチレングリコールモノブチルエーテル(ethylene glycol monobutyl ether)を包含される。
【0026】
前記機能性微粒子は約1〜80重量%の範囲であり、前記両性溶媒は約20〜99重量%の範囲である。好ましくは、前記機能性微粒子は約5乃至60重量%の範囲であり、前記両性溶媒は約40乃至95重量%である。
【0027】
前記両性溶媒中に均一に分散される前記機能性微粒子は、例えばその粒子直径が約100μm以下、好ましくは、1μm以下の大きさを有する。さらに好ましくは、前記機能性微粒子は、その直径が10〜100nmの大きさを有し、全ての粒子の60%以上が100nm以内の直径を有する。200nm以下の小さい大きさを有する粒子は可視光線領域の波長範囲で散乱を誘発せず、機能性被膜の透明性を維持させる。
【0028】
一般的に、機能性微粒子の分散に用いられる溶媒では、水、アルコールのような極性溶媒、またはトルエン、キシレンなどの非極性有機溶媒が用いられる場合が多い。このときに、用いられる溶媒が水やアルコールのような極性溶媒の場合、形成される分散ゾルは非水系バインダー樹脂に対して相容性がなくて用いられことができない。一方、非極性有機溶媒の場合、形成される分散ゾルは水性バインダー樹脂に対しては用いることができない。したがって、本発明の以前には多様なバインダー樹脂に1つの分散ゾルを利用することは不可能であった。また、機能性微粒子の場合、粉末の表面が親水性を示すので、非極性有機溶媒に分散する場合、粉末の親水性表面を疎水性に変化させる別途の粉末製造工程が必要になり、これは時間とコストの側面において、多くの短所を有していた。
【0029】
したがって、本発明においては、機能性微粒子を両性溶媒に分散して両性溶媒分散ゾルを製造することによって、機能性微粒子粉末の表面を疎水化する2次製造工程なしにすべてのバインダー樹脂と混合して用いることが可能になった。
【0030】
前記機能性微粒子を両性溶媒に分散させて両性溶媒分散ゾルを形成するときに、表面電荷調整剤、分散剤、またはこれらすべてを添加することができる。
【0031】
前記表面電荷調整剤には、例えば有機酸、無機酸、及び高分子酸などが包含されるが、これらに限定されない。有機酸には、酢酸、氷酢酸を包含されるが、これらに限定されない。無機酸には、塩酸、窒酸、燐酸、硫酸などが包含されるが、これらに限定されない。高分子酸には、ポリアクリル酸を含むが、これに限定されない。例えば、10wt%のアンチモンが含有されたATOに表面電荷調整剤として塩酸を用いる場合に、機能性微粒子1gに対して5×10−4〜3.5×10−3gの酸を用いることができる。
【0032】
一方、前記分散剤は、前記機能性微粒子周りの外被を厚くして、これを安定化させる。前記分散剤は、アミン価を有する分散剤、酸価を有する分散剤、中性の分散剤で区分することができるが、これらに限定されない。前記分散剤には、具体的には、Anti−Terra−203、Anti−Terra−204、Anti−Terra−205、Anti−Terra−206、Anti−Terra−U、Anti−Terra−U100、Anti−Terra−U80、BYK−154、BYK−220S、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−P105、BYK−9075、BYK−9076、BYK−9077、byklumen、Disperbyk、Disperbyk−101、Disperbyk−102、Disperbyk−103、Disperbyk−106、Disperbyk−107、Disperbyk−108、Disperbyk−109、Disperbyk−110、Disperbyk−111、Disperbyk−112、Disperbyk−115、Disperbyk−116、Disperbyk−130、Disperbyk−140、Disperbyk−142、Disperbyk−160、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−164、Disperbyk−166、Disperbyk−167、Disperbyk−169、Disperbyk−170、Disperbyk−171、Disperbyk−174、Disperbyk−176、Disperbyk−180、Disperbyk−181、Disperbyk−182、Disperbyk−183、Disperbyk−184、Disperbyk−185、Disperbyk−187、Disperbyk−190、Disperbyk−191、Disperbyk−192、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、Disperbyk−2050、Disperbyk−2070、Disperbyk−2150、Lactimon、Lactimon−WSなど(BYK Chemie GmbH)などが包含される。例えば、分散剤の使用量は機能性微粒子に対して重量比で1〜30wt%である。分散剤の使用量が1wt%より少ない場合、粘度低下効果、または貯蔵安全性が悪く、30wt%より多い場合、被膜の物性を低下させるおそれがある。
【0033】
前記表面電荷調整剤及び前記分散剤は、前記機能性微粒子を前記両性溶媒に分散させるときに、形成される機能性微粒子分散ゾルの表面特性を向上させ、分散がより効率的に行われるようにする。
【0034】
前記表面電荷調整剤は、静電気的反撥力(Electrostatic repulsion)によって機能性微粒子の分散を容易にする。分散ゾル(機能性被膜組成物)において、機能性微粒子は表面に電荷を有するようになり、表面電荷調整剤を用いて分散ゾル表面の電荷を強めることができ、またすべての微粒子が同じ電荷を有するようにすることができる。対イオン(counter−ion)はその周りを囲んで電気的2重層(electrical double layer)を形成し、該2重層が厚いほど分散ゾルはさらに安定化される。
【0035】
本発明に用いられた機能性微粒子の表面等電点(Isoelectric pointof the surface)は微粒子の種類及び状態によって異なるが、ATOの場合、pHiep=3.7であり、ITOはpHiep=8.5である。したがって、それぞれの懸濁液はATOの場合、pH>8、ITOはpH<6の条件で安定した状態で存在するようになる。分散に用いる表面電荷調整剤の量と種類は、伝導性微粒子の組成、種類及び添加量によって違いがあり、分散条件に適するように決めるのが望ましい。10wt%のアンチモンが含有されたATOに表面電荷調整剤として塩酸を用いる場合、微粒子1gに対して5×10−4〜3.5×10−3gの酸を用いることができる。
【0036】
ITO微粒子の場合、ATO微粒子と異なり、等電点が高いので、表面電荷の調整は分散ゾルの使用目的及び用途によって決められ、高濃度かつ低粘度の分散ゾルを製造する場合は、表面電荷を調整せずに、両性溶媒に分散し、分散剤を適用することが望ましい。本発明に表面電荷調整剤として使用可能な酸の種類には、有機酸、無機酸、高分子酸などがあり、有機酸の例には、酢酸または氷酢酸があり、無機酸の例には塩酸、硝酸、燐酸、硫酸などがあり、高分子酸の例にはポリアクリル酸などがある。しかし、これらの例に限定されない。
【0037】
一方、分散剤(Dispersing Agent)は立体障害効果(Steric hindrance)によって機能性微粒子の分散を容易にする。立体障害効果を与える分散剤は、次のような2つの特徴的な構造を有している。
【0038】
第1に、分散剤は伝導性微粒子の表面に吸着することができ、伝導性微粒子と親和力を有する官能基を1つまたは多数有しているため、顔料の表面に強く、かつ持続的に吸着する。
【0039】
第2に、相容性が優れた鎖部分(Hydrocarbon entities)があることから、伝導性微粒子に吸着した後、伝導性微粒子周りの両性溶媒に鎖をできる限り長く垂らす。このように鎖部分を両性溶媒に垂らし、伝導性微粒子の表面に吸着することを、立体障害効果または均質安定化(Entropic stabilization)と言うのである。
【0040】
分散剤の高分子部分と両性溶媒が相互作用して伝導性微粒子周りの外被(envelope)を厚くして、安定性をさらに高めるようになる。このような安定化方法により分散したゾルは、非水系バインダー樹脂と、溶媒を一部用いる水系バインダー樹脂の両方に用いることが可能である。分散剤は、単独で伝導性微粒子が両性溶媒に直接分散することを助けるか、または表面電荷調整剤とともに伝導性微粒子が両性溶媒に分散することを助ける。これによって、分散剤は両性溶媒に分散した分散ゾルに吸着して、静電気的反撥力や立体障害効果により微粒子と微粒子との間の間隔を一定に維持して、微粒子が凝集することを防止して、粘度を低下させる。
【0041】
本発明によって形成された機能性微粒子分散ゾルは、水系及びアルコール系、非水系樹脂バインダーと相溶性、安全性が優れている。また、本発明の機能性被膜形成用組成物は貯蔵安全性が優れている。
【0042】
上述した目的を解決するために、本発明は前記機能性微粒子分散ゾルを用いて機能性被膜を製造する方法を提供する。本発明の機能性被膜製造方法は、前記機能性微粒子分散ゾルとバインダー樹脂とを撹拌器を利用して均一に混合して、機能性被膜組成物を形成した後、これをコーティングすること、例えば各種のフィルム、プラスチック成形物、またはガラスにコーティングすること、を含む。
【0043】
前記機能性被膜組成物を透明性のある各種のフィルムまたはプラスチック成形物、またはガラスなどに塗布し、これを硬化させることによって、機能性被膜、例えば、 熱線遮断膜、近赤外線遮断膜、色補正膜、導電性膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、EC(electrochromic)膜、EL(electroluminescence)膜、絶縁膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜、耐熱性膜などの機能性被膜が製造される。
【0044】
各種のフィルム、プラスチック成形品、またはガラスなどへの機能性被膜組成物のコーティング方法には、スピンコーティング、ディップコーティング、ロ−ルコーティング、バーコーティング、スクリーン印刷、グラビア、マイクログラビア、オフセット印刷などが包含されるが、これらに限定されない。
【0045】
前記機能性微粒子分散ゾルとバインダー樹脂の混合割合は、重量比で97:3から30:70までの割合で混合することが可能であるが、好ましくは、95:5〜70:30で混合する方が良い。
【0046】
前記バインダー樹脂は特に制限されないが、透明性が優れた被膜を形成することができるものを用いることが望ましく、またバインダー樹脂の間に相容性がある場合、熱硬化、紫外線硬化などの硬化条件によって1種類または2種類以上を選択することが可能である。水系バインダー樹脂には、水溶性アルキド、ポリビニルアルコール、ポリブチルアルコール、またはアクリル、アクリルスチレン、酢酸ビニルなどの水性エマルジョン型バインダー樹脂が包含される。アルコール系バインダー樹脂には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのバインダー樹脂がある。非水系熱硬化型バインダー樹脂には、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ウレタン、メラミン、アルキド、ポリエステル、エポキシなどがあり、紫外線硬化型樹脂には、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタン変成アクリレートなどがある。
【0047】
バインダー樹脂の使用量はコーティング用機能性被膜組成物100重量部に対して1〜95wt%であるが、好ましくは、5〜40wt%である。
【0048】
本発明によって製造された機能性被膜は、水系、アルコール系または非水系バインダー樹脂の中に機能性微粒子が均一に分布されている構造を有する。これら機能性被膜は、基材の種類や機能性微粒子の種類及び添加剤などのような条件が同一であれば、用いた微粒子の量が多いほど優れた特性を示す。
【0049】
本発明の機能性被膜製造方法によると、機能性微粒子が両性溶媒に分散するため、有機バインダー樹脂だけでなく、水系及びアルコール系バインダー樹脂を用いる場合でも紫外線及び電子線を利用した硬化が可能である。さらに、熱硬化性及び常温硬化の方法により機能性被膜を製造することも可能である。
【0050】
本発明の機能性被膜製造方法において、機能性微粒子が両性溶媒に分散して形成された分散ゾルを化学線(紫外線、電子線など)に暴露して、容易に硬化させる目的で、光重合開始剤を添加することができる。このような光重合開始剤には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(1−hydroxy−cyclo−hexyl−phenyl−ketone) 、ベンジルジメチルケタール(benzyl−dimethyl−ketal) 、ヒドロキシジメチルアセトフェノン(hydroxy−dimethyl−aceto−phenon)、ベンゾイン(benzoin)、ベンゾインメチルエテル(benzoin−methyl−ether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoin−ethyl−ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoin−isopropyl−ether)、ベンゾインブチルエーテル(benzoin−buthyl−ether)、ベンジル(benzyl) 、ベンゾフェノン(benzophenone)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(2−hydroxy−2−methylpropiophenone) 、2、2−ジエトキシ−エトフェノン(2、2−diethoxy−ethophenone)、アントラキノン(anthraquinone)、クロロアントラキノン(chloroanthraquinone)、エチルアントラキノン(ethylanthraquinone)、ブチルアントラキノン(buthylanthraquinone)、2−クロロチオキサントン(2−chlorotioxanthone)、アルファ−クロロメチルナフタレン(alpha−chloromethylnaphthalene)、アントラセン(anthracene) などがあり、具体的にはLucirin(登録商標)(Basf Co.)、Darocur(登録商標) MBF、Igacure(登録商標)−184、Igacure(登録商標)−651、Igacure(登録商標)−819、Igacure(登録商標)−2005(Ciba Geigy Co.)などを例示することができ、1つまたはその以上の上記のような光重合開始剤を一定量取り合わせて用いることが可能である。このような光重合開始剤の割合は、分散ゾル100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部を用いることが良い。
【発明の効果】
【0051】
本発明では、機能性微粒子を両性溶媒に分散して両性溶媒分散ゾルを製造することによって、機能性微粒子粉末の表面を疎水化する2次製造工程なしに、すべてのバインダー樹脂と混合して用いることが可能になった。
【0052】
本発明によって形成された機能性微粒子分散ゾルは、水系、アルコール系、及び非水系樹脂バインダーと相容性及び安定性が優れている。また、本発明の機能性被膜形成用組成物は貯蔵安定性が優れている。
【0053】
本発明の機能性被膜製造方法によると、機能性微粒子が両性溶媒に分散するため、有機バインダー樹脂だけでなく、水系及びアルコール系バインダー樹脂を用いる場合においても、紫外線及び電子線を用いる硬化が可能である。さらに、熱硬化性及び常温硬化の方法により機能性被膜を製造することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
[機能性微粒子の製造]
〔第1実施形態:伝導性微粒子を用いた機能性微粒子分散ゾルの製造〕
ITO微粒子、または重量比で5%、10%、15%、20%のアンチモン(Sb)が含有されたATO微粒子40g〜130gと、両性溶媒70g〜160gとを混合した後、直径2mmのジルコニアボールが50vol%になるように充填して24時間分散させた。ここに添加剤として表面電荷調整剤を添加してpH調整を行った後、分散剤の役割を果たすAnti−Terra−UとDisperbyk−163、Disperbyk−180(BYK Chemie Co.)などを1〜20g添加して撹拌機を使用して均一に混合することによって、水系、アルコール系、及び非水系バインダー樹脂に対する混用性が良く且つ分散性が非常に優れたITO、ATO微粒子分散ゾルを製造した。ただし、紫外線硬化型樹脂バインダーと混合する場合は、光開始剤であるLucirin(登録商標)(basf Co.)、Darocur(登録商標) MBF、Igacure(登録商標)−184、Igacure(登録商標)−651、Igacure(登録商標)−819、Igacure(登録商標)−2005(Ciba Geigy Co.)などを1g〜20gを添加して分散ゾルを製造した。
【0055】
〔第2実施形態:ホウ素化合物を用いた機能性微粒子分散ゾルの製造〕
LaB微粒子5g〜100gと両性溶媒100g〜195gとを混合した後、直径2mmのジルコニアボールが50vol%になるように充填して24時間分散させた。ここに添加剤として表面電荷調整剤を添加してpH調整を行った後、分散剤の役割を果たすAnti−Terra−U(登録商標)とDisperbyk(登録商標)−163、Byketol−WS(登録商標)(BYK Chemie Co.)などを1g〜20gを添加して撹拌機を使用して均一に混合することによって、水系、アルコール系、及び非水系バインダー樹脂に対する混用性が良く、分散性が非常に優れたITO微粒子分散ゾルを製造した。ただし、紫外線硬化型樹脂バインダーと混合する場合は、開始剤であるLucirin(登録商標)(Basff Co.)、Darocur(登録商標) MBF、Igacure(登録商標)−184、Igacure(登録商標)−651、Igacure(登録商標)−819、Igacure(登録商標)−2005(Ciba Geigy Co.)などを1g〜20gを添加して分散ゾルを製造した。
【0056】
[第3実施形態:無機顔料微粒子を用いた機能性微粒子分散ゾルの製造]
Blue、Green、Red、Yellow、Orangeなどの無機顔料微粒子5g〜100gと両性溶媒100g〜195gとを混合した後、直径2mmのジルコニアボールが50vol%になるように充填して24時間分散させた。これにpH調整を行った後、分散剤の役割を果たすAnti−Terra−204(登録商標)とDisperbyk(登録商標)−181、Disperbyk(登録商標)−2000(BYK Chemie Co.)などを1g〜20gを添加して撹拌機を使用して均一に混合することによって、水系、アルコール系、及び非水系バインダー樹脂に対する混用性が良く、分散性が非常に優れたITO微粒子分散ゾルを製造した。ただ、紫外線硬化型樹脂バインダーと混合する場合は、開始剤であるLucirin(登録商標)(Basf Co.)、Darocur(登録商標) MBF、Igacure(登録商標)−184、Igacure(登録商標)−651、Igacure(登録商標)−819、Igacure(登録商標)−2005(Ciba Geigy Co.)などを1g〜20gを添加して分散ゾルを製造した。
【0057】
〔機能性微粒子及びバインダー樹脂を用いた機能性被膜の製造〕
[第4実施形態]
上述した第1、第2及び第3実施形態の機能性微粒子分散ゾルとアクリレート系の紫外線硬化樹脂から製造された硬化塗膜の体積比が機能性微粒子:バインダー=5:95から80:20の割合になるように調整した後、撹拌機で均一に混合することによって、機能性被膜組成物、すなわち紫外線硬化型機能性コーティング液を製造した。
【0058】
ポリエステル、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、環状オレフィン樹脂からなるフィルムまたはパネル、ガラスなどの適する基材 (substrate)に、製造した機能性被膜組成物をMeyer Rod#3〜20を使用して固形分の厚さが0.1〜10μmになるようにコーティングした後、熱風で乾燥して溶媒を揮発させ、100Wの高圧水銀ランプを使用して、コンベヤースピード20m/minの速度で照射して、コーティング被膜を硬化させて機能性被膜を製造した。
【0059】
このように製造した様々な機能性被膜に対する評価結果を下の表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
上記表1から分かるように、本発明に係る両性溶媒を用いて形成された機能性被膜の場合、用いられた微粒子の種類及び特性によって多様な機能性を発揮することが分かる。
【0062】
第1に、伝導性微粒子で形成された試料1、2の場合、可視光線透過度が高く、熱線遮断効果及び貯蔵安定性が優れていることが分かる。
【0063】
図1は上記表1における試料1、2に対する光透過スペクトルである。図示したように、優れた熱線遮断機能及び優れた可視光線透過機能を示すことが分かる。
【0064】
第2に、ホウ素化合物微粒子で形成された試料3の場合、特に近赤外線遮断効果が優れていることが分かる。
【0065】
図2は上記表1における試料3に対する光透過スペクトルである。図示したように、優れた近赤外線遮蔽機能及び優れた可視光線透過機能を示すことが分かる。
【0066】
第3に、多成分系で構成された無機顔料微粒子から形成された試料4〜7の場合、可視光線透過機能が高く、微粒子の構成成分及び割合によって多様な色相を発現し、低いヘイズ値を示すことが分かる。すなわち優れた光選択吸収機能を発揮することが分かる。
【0067】
図3は前記表1における試料4〜7に対する光透過スペクトルである。図示したように、優れた可視光線透過機能及び多様な色相を示すことが分かる。
【0068】
第4に、TiO微粒子で形成された試料8の場合、貯蔵安定性が優れており、可視光線透過度が高く、且つヘイズ値が低く、光触媒用被膜として用いることができる。
【0069】
本発明に係る両性溶媒、分散剤、及び酸を用いて機能性微粒子を分散する場合は、機能性微粒子の分散特性及び機能性コーティング液の貯蔵安定性が非常に優れていることが分かる。すなわち、本発明によると、両性溶媒を用いて製造されたコーティング液の場合、バインダー樹脂の種類にかかわらず、混用性が非常に優れていることが分かる。すなわち、アクリレート系の紫外線硬化樹脂を用いても、類似の結果を得ることができた。一方、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの非極性有機溶媒及び塩酸を用いる場合には、機能性微粒子が均一に分散しないことを確認した。非極性有機溶媒に分散させる場合に、機能性微粒子粉末の表面が疎水性ではない場合は、粉末の表面を疎水性に変化させる別途の粉末製造工程が必要になる。
【0070】
[第5実施形態]
第1、第2及び第3実施形態の機能性微粒子分散ゾルとアクリレート系熱硬化型樹脂から製造された硬化塗膜における体積比が機能性微粒子:バインダー=15:85から80:20の割合になるように調整した後、撹拌器で均一に混合することによって、熱硬化型熱線遮断コーティング液を製造した。
【0071】
[第6実施形態]
第1、第2及び第3実施形態の機能性微粒子分散ゾルを、ポリビニルアルコール(PVA)を蒸溜水またはアルコールに溶解させて製造した常温硬化型バインダー樹脂に混合した後、撹拌器で均一に混合することによって、常温硬化型熱線遮断コーティング液を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は 熱線遮断膜、近赤外線遮断膜、色補正膜、導電性膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、EC(electrochromic)膜、EL(electroluminescence)膜、絶縁膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜、光選択吸収膜、高硬度膜、耐熱性膜などの機能性被膜を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態1で得た伝導性微粒子ITO、ATOを含んだ被膜の光透過スペクトルである。
【図2】第2実施形態2で得たホウ素化合物(LaB)を含んだ被膜の光透過スペクトルである。
【図3】第3実施形態3で得た多成分系無機顔料微粒子を含んだ被膜の光透過スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性被膜形成のための組成物であって、
両性溶媒に均一に分散した機能性微粒子を含むことを特徴とする機能性被膜形成のための組成物。
【請求項2】
前記機能性微粒子には、伝導性微粒子、強磁性微粒子、誘電体及び強誘電体微粒子、金属酸化物、硫化物、ホウ素化合物、窒化物、近赤外線遮断染料、2成分系、3成分系及び4成分系無機顔料化合物が包含されることを特徴とする請求項1に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項3】
前記機能性微粒子が約0.1〜80重量%の範囲であり、前記両性溶媒は約20〜99.9重量%の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項4】
前記両性溶媒には、エチレングリコールモノメチルエーテル 、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びエチレングリコールモノブチルエーテルが包含されることを特徴とする請求項3に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項5】
前記機能性微粒子の表面電荷を調整するための酸をさらに含み、
前記酸には有機酸、無機酸、高分子酸が包含されることを特徴とする請求項1に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項6】
前記機能性微粒子を安定化させるための分散剤をさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項5に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項7】
前記分散剤は前記機能性微粒子に対して1〜30重量%で含まれ、前記分散剤にはアミン価を有する分散剤、酸価を有する分散剤及び中性の分散剤が包含されることを特徴とする請求項6に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項8】
非水系バインダー樹脂、水系またはアルコール系バインダー樹脂のうちのいずれか1つ以上のバインダー樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項9】
前記バインダー樹脂が約3〜70重量%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項10】
前記水系バインダー樹脂には 水溶性アルキド、ポリビニルアルコール、ポリブチルアルコール、またはアクリル、アクリルスチレン、酢酸ビニルが包含され、前記アルコール系バインダー樹脂には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールが包含され、非水系バインダー樹脂には、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ウレタン、メラミン、アルキド、ポリエステル、エポキシを含む熱硬化型バインダー樹脂と、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタン変成アクリレートを含む紫外線硬化型バインダー樹脂が包含されることを特徴とする請求項9に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項11】
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシ−ジメチルアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2、2−ジエトキシ−エトフェノン、アントラキノン、クロロアントラキノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン、2−クロロティオクサントン、アルファ−クロロメチルナフタレン、アントラセンを包含する光重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項12】
前記機能性微粒子は約200nm以下の直径を有し、約5〜70重量%の範囲であり、前記両性溶媒は約30〜95重量%の範囲を有することを特徴とする請求項8に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項13】
前記両性溶媒には、エチレングリコールモノメチルエーテル 、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びエチレングリコールモノブチルエーテルを含むことを特徴とする請求項12に記載の機能性被膜形成のための組成物。
【請求項14】
機能性被膜を形成するための組成物を形成する方法であって、
機能性微粒子を両性溶媒に均一に分散させることを含むことを特徴とする機能性被膜形成のための組成物形成方法。
【請求項15】
前記機能性微粒子は約200nm以下の直径で、約5〜70重量%の範囲であり、前記両性溶媒が約30〜95重量%の範囲となるように前記機能性微粒子を前記両性溶媒に分散させることを特徴とする請求項14に記載の機能性被膜形成のための組成物形成方法。
【請求項16】
分散剤と、前記伝導性微粒子の表面電荷を調整するための少なくとも1種の酸とを用いて、前記機能性微粒子を前記両性溶媒に分散させることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の機能性被膜形成のための組成物形成方法。
【請求項17】
前記機能性微粒子は、Sbの含有量が5〜20重量%であるATO微粒子であり、前記酸は、前記ATO微粒子1gに対して約5×10−4〜3.5×10−3g範囲で含まれ、前記分散剤は、前記伝導性微粒子に対して1〜30重量%で含まれ、前記分散剤は、アミン基を有する分散剤、酸基を有する分散剤及び中性の分散剤を含むことを特徴とする請求項16に記載の機能性被膜形成のための組成物形成方法。
【請求項18】
請求項16項に記載された組成物を用いて機能性被膜を形成する方法であって、
機能性微粒子を、非水系バインダー樹脂、水系またはアルコール系バインダー樹脂のうちのいずれか1つ以上のバインダー樹脂と混合してコーティング液を形成する段階と、
前記コーティング液を基板上に塗布する段階と、
紫外線または電子線を用いた化学線、または熱を用いて硬化させる段階とを含むことを特徴とする機能性被膜を形成する方法。
【請求項19】
前記バインダー樹脂が約3〜70重量%の範囲であることを特徴とする請求項18に記載の機能性被膜を形成する方法。
【請求項20】
前記基材は、ポリエステル、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、環状オレフィン樹脂からなるフィルムまたはパネルであり、紫外線によって硬化されることを特徴とする請求項18に記載の機能性被膜を形成する方法。
【請求項21】
請求項16に記載された方法によって製造されることを特徴とする機能性被膜。
【請求項22】
請求項18乃至21のいずれか一項に定義された方法によって製造されることを特徴とする機能性被膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−509271(P2008−509271A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525528(P2007−525528)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002033
【国際公開番号】WO2006/016729
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(507045649)
【Fターム(参考)】