説明

欠陥ピクセルを検出する方法

本発明は、無数のピクセル素子を有する空間光変調器で少なくとも1つの欠陥ピクセルを検出する方法に関する。空間光変調器は検出器に描像される。前記空間光変調器内でピクセルの第1チェス盤パターンの中継された像は、前記検出器によって検出される。前記空間光変調器内で、第1チェス盤パターンに対して反転された第2チェス盤パターンの中継された像は、前記検出器によって検出される。前記第1および第2パターンの中継された像は、前記検出像とその理論的像との差を検出するために分析される。本発明は、無数のピクセル素子を有する空間光変調器で少なくとも1つの欠陥ピクセルを検出する方法に関する。空間光変調器は検出器に描像される。前記空間光変調器内でピクセルの第1チェス盤パターンの中継された像は、前記検出器によって検出される。前記空間光変調器内で、第1チェス盤パターンに対して反転された第2チェス盤パターンの中継された像は、前記検出器によって検出される。前記第1および第2パターンの中継された像は、前記検出像とその理論的像との差を検出するために分析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出方法に関し、特に空間光変調器で部分的または完全な欠陥があるピクセルを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のUVリソグラフィは、新しい高度に平行な書き込み概念を研究中である。光学MEMSデバイスを有する空間光変調器(SLM)はこのような可能性を提供する。SLMデバイスが紫外線光(UV)、遠紫外線光(DUV)および超紫外線光(EUV)を処理する能力を、特に強調しなければならない。
【0003】
SLMチップは、頂部に数百万個の個々にアドレス可能なピクセルを有するDRAM様CMOS回路を有することがある。前記ピクセルは、ミラー要素とアドレス電極との間の静電力のために偏向する。
【0004】
SLMチップの良好な性能のために、ほぼ全てのピクセルが一個一個作業し、さらに校正によって違いを補償できるほど十分に、印加電圧に対して同様に反応しなければならない。
【0005】
以前は、白色光干渉計を使用して、欠陥ピクセルのマップを生成していた。ソフトウェアが個々のピクセルを識別し、偏向角度を自動的に計算した。このような方法は、製造エラーばかりでなく、動作中に発生する追加のエラーも非常に良好に発見する。他方で、このような方法はかなり低速である。高い倍率が、多くの像を取得しなければならないことを意味するからである。SLMチップのサイズがますます拡大し、それによってピクセル数も増加しているので、分析すべきピクセルも増加している。SLMチップも、現在実行されているより高速の方法で分析することが好ましい。したがって、当技術分野で必要とされているのは、特定のSLMチップの欠陥ピクセルに関する情報を取得する、より迅速な方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、空間光変調器で、プロセス時間を短縮して欠陥ピクセルを検出する方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特にこの目的は、本発明の第1の態様によると、空間光変調器内で1つまたは複数の欠陥ピクセルを検出する方法で、前記空間光変調器を照明する電磁放射線源を提供する動作と、前記空間光変調器内に基準パターンを配置する動作と、前記空間光変調器を照明する動作と、検出器校正内で前記基準パターンの中継された像を検出することにより、前記空間光変調器内の基準ピクセルの位置を判断する動作と、前記空間光変調器に第1パターンを配置する動作と、前記空間光変調器を照明する動作と、前記検出器構成内で前記第1パターンの中継された像を検出する動作と、前記空間光変調器に少なくとも1つの第2パターンを配置する動作と、前記空間光変調器を照明する動作と、前記空間光変調器内で前記少なくとも1つの第2パターンの中継された像を検出する動作と、前記像とその理論的像との差を検出するために、前記第1パターンと前記少なくとも1つの第2パターンとの前記中継された像を分析する動作とを含む方法によって達成される。
【0008】
本発明による別の実施形態では、チェス盤のパターンであり、第1チェス盤パターンを第2チェス盤パターンに対して反転する。
【0009】
本発明によるさらに別の実施形態では、中継された像はCCDカメラによって検出される。
【0010】
本発明によるさらに別の実施形態では、SLMピクセルの投影はCCDピクセルより大きい。
【0011】
本発明によるさらに別の実施形態では、空間光変調器にある単独のピクセルは、前記検出器では改造されない。
【0012】
本発明によるさらに別の実施形態では、検出器と空間光変調器との間の空間フィルタは、前記検出器の解像度を変更させるような構成である。
【0013】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1および第2パターンのうち少なくとも1つは、前記パターンを少なくとも2回照明し、中継された像を別個に検出することによって検出される。
【0014】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1および第2パターンのうち少なくとも1つは、偏向していないピクセルと完全に偏向したピクセルのみで構成される。
【0015】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記完全に偏向したピクセルは、回折による最大程度の消光に対応する。
【0016】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される。
【0017】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される。
【0018】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記完全に偏向したピクセルは、回折による最大程度の消光に対応する。
【0019】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記部分的に偏向したピクセルは、回折による部分的消光に対応する。
【0020】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1および第2パターンはそれぞれ、複数回検出され、この場合前記パターン内のピクセルは、各検出事象の前に異なる偏向程度に設定される。
【0021】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、完全に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される。
【0022】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、第1部分的偏向状態および第2部分的偏向状態にあるピクセルで構成される。
【0023】
本発明は、無数のピクセル素子を有する空間光変調器内で少なくとも1つの欠陥ピクセルを検出する方法で、前記空間光変調器内で前記検出器によってピクセルの第1チェス盤パターンの中継された像を検出する動作と、前記空間光変調器内で前記検出器によって、第1チェス盤パターンに対して反転された、ピクセルの第2チェス盤パターンの中継された像を検出する動作と、前記検出像とその理論的像との差を検出するために、前記第1および第2チェス盤パターンの中継された像を分析する動作とを含む方法にも関する。
【0024】
本発明による別の実施形態では、CCDカメラが中継像を検出する。
【0025】
本発明によるさらに別の実施形態では、SLMピクセルはCCDピクセルより大きい。
【0026】
本発明によるさらに別の実施形態では、空間光変調器内の単独のピクセルは、前記検出器では解像されない。
【0027】
本発明によるさらに別の実施形態では、検出器と空間光変調器との間の空間フィルタは、前記検出器の解像度を変更させるような構成である。
【0028】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1および第2パターンのうち少なくとも1つは、前記パターンを少なくとも2回照明し、中継された像を別個に検出することによって検出される。
【0029】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、偏向していないピクセルと完全に偏向したピクセルのみで構成される。
【0030】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される。
【0031】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記完全に偏向したピクセルは、回折による最大程度の消光に対応する。
【0032】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記部分的に偏向したピクセルは、回折による部分的消光に対応する。
【0033】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1および第2パターンはそれぞれ、複数回検出され、この場合前記パターン内のピクセルは、各検出事象の前に異なる偏向程度に設定される。
【0034】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、完全に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される。
【0035】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記チェス盤パターンは、第1部分的偏向状態および第2部分的偏向状態にあるピクセルで構成される。
【0036】
さらに別の実施形態では、本発明はさらに、検出器ピクセル・グリッド内のSLM基準ピクセルを識別する動作を含む。
【0037】
本発明は、空間光変調器内で少なくとも1つの欠陥ピクセルを検出する方法で、規則的なチェス盤パターンが、検出器平面で均一な背景になり、欠陥ピクセルが、前記平面にて前記均一な背景での不規則部になり、検出器によって検出可能であるように、第1チェス盤パターンの像を不鮮明にする動作を含む方法にも関する。
【0038】
別の実施形態では、本発明はさらに、規則的なチェス盤パターンが、検出器平面で均一な背景になり、欠陥ピクセルが、前記平面にて前記均一な背景での不規則部になり、検出器によって検出可能であるように、第2パターンが前記第1パターンに対して反転される第2チェス盤パターンの像を不鮮明にする動作を含む。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態では、検出器はCCDカメラ34である。
【0040】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記CCDへのSLMピクセルの投影は、CCDピクセルより大きい。
【0041】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1または第2チェス盤パターンは、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態では、前記第1または第2チェス盤パターンは、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される。
【0043】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記充分に偏向したピクセルは、回折による最大程度の消光に対応する。
【0044】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記部分的に偏向したピクセルは、回折による部分消光に対応する。
【0045】
本発明によるさらに別の実施形態では、前記第1または第2チェス盤パターンは、充分に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される。
【0046】
さらに別の実施形態では、前記第1または第2チェス盤パターンは、第1部分偏向状態および第2部分偏向状態であるピクセルで構成される。
【0047】
さらに別の実施形態では、前記発明はさらに、検出器ピクセル・グリッドでSLM基準ピクセルを識別する動作を含む。
【0048】
本発明のさらなる特徴、およびその利点は、例示のみによって与えられ、したがって本発明を制限するものではない、以下で与えられる本発明の好ましい実施形態の詳細な説明、および添付の図1から図10から明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下の詳細な説明は、図面に関して行うものである。好ましい実施形態は、本発明を例示するために記載され、請求の範囲によって定義されるその範囲を制限するために記載されるものではない。以下の説明に対する様々な同価の変形が、当業者には認識される。
【0050】
さらに、好ましい実施形態は、アナログの空間光変調器(SLM)に関して説明される。例えばTexas instrumentsが作成するディジタル・マイクロミラー・デバイスDMDのようなディジタルSLMなど、アナログ以外のSLMが等しく適用可能である状況があることが、当業者には明白である。また、SLMは反射性または透過性ピクセルを有してよい。
【0051】
本発明は、SLMの欠陥を検出する方法に関する。このような方法は、前記空間光変調器(SLM)を使用して加工物にパターンを形成する場合に有用である。
【0052】
図1は、空間光変調器内で欠陥ピクセルを検出する光学試験ユニットを示す。光学試験ユニットは、リソグラフィ・パターン生成器と同様に構築される。光学試験ユニットは、レーザ源110、ビーム同質化および尖鋭化デバイス120、ミラー130、ビーム分割器150、空間光変調器140、フーリエ・レンズ160、空間フィルタ170、描像レンズ180、および空中像を監視する検出デバイス190を有する。
【0053】
レーザ源110は、248nmのDUVパルスを放射するエキシマ・レーザでよい。前記パルスは、同質化および尖鋭化デバイス120によって同質化され、尖鋭化される。前記デバイス120は、平面波がSLM140の表面を露光するように光学系を有する。アナログ空間光変調器のSLMピクセルの偏向角度は非常に小さく、SLMピクセルの形状が長方形で、辺が16マイクロメートルの長さである場合は、マイクロ・ラジアンの範囲であるので、その表面をブレーズド格子と見なさなければならない。ピクセルが偏向したどの区域でも、光が非ゼロ次に回折され、開口または空間フィルタ170によって吸収される。非常に少ない迷光のみが、対応する区域の検出デバイス190に到達する。検出デバイス190はCCDカメラでよい。フーリエ・レンズ160は、SLMの各ピクセル位置で性能が同じであることを保証する。ピクセルが偏向していない平坦な区域では、大部分の光がゼロ回折次として反射し、空間フィルタ170によって伝達され、描像レンズ180によって集束して、CCDカメラ190に明るい区域を生成する。これは、図1の点142で開始する実線構造で図示される。開始点142は、空間光変調器の1つまたは複数のピクセル素子でよい。
【0054】
偏向したSLMピクセルは、1次、2次、3次など、高い方の回折次数では無視できない光の量を回折する。空間フィルタ170は、所定の回折次数より高い回折次数を遮断し、これは例えば1回折次である。これは、図1の点144で開始する点線構造で図示される。点144は、偏向状態にある1つまたは複数のピクセルを表すことができる。ピクセルの偏向は、弱めあう干渉のために、ゼロ次に反射する特定量の光を消光する。偏向するピクセルが多いほど、光が多く消光し(小さい偏向のみの場合、最大消光の後に多少の強度が戻る)、特定の偏向程度で最大消光が達成される。開口170のサイズを拡大することにより、像は尖鋭化し、チェッカー盤パターンが均一なグレーの背景を与えなくなる。その理由は、高次回折が前記開口を通過するからである。開口170の増加は、これより小さい開口170の場合と同じ消光程度に到達するために、偏向程度にも影響し、開口が拡大すると、同じサイズのピクセル素子の場合と同じ消光レベルを達成するために、ピクセル素子がさらに偏向する必要がある。
【0055】
1つのSLMピクセルが約2×2のカメラ・ピクセルに描像されるように、光学的縮小を選択することができる。空間フィルタがあるために、光学系は単独のピクセルを完全には解像しない。長さ16μmの辺を有する単独の長方形SLMピクセルを完全には解像しない実施形態は、像平面、ここでは検出デバイス190に0.009の開口数NAを、オブジェクト平面、ここでは空間光変調器140に0.0045の開口数NAを有し、照明の波長は248nmである。別の縮小、ピクセルのサイズおよび波長では、前記NAが異なってよい。したがって、例えば「白」い背景での「黒」いピクセルなどの像は、不鮮明な暗い点として描像される。カメラの外観およびピーク値は、カメラ・ピクセル・グリッドに対するSLMピクセルの相対的位置によって決定される。図3から図8を参照。しかし、ピクセル値の合計は、この相対的位置合わせとはほぼ無関係である。欠陥ピクセルの位置は、複数のカメラ・ピクセル値の重心を計算することによって求められる。
【0056】
図3は、単独の欠陥SLMピクセル320と位置合わせされたカメラ・ピクセル310を示す。SLMピクセルの投影されたサイズは、カメラ・ピクセル・サイズの整数倍でない可能性が非常に高いので、SLMピクセルの一部は、カメラ・ピクセル上(およびその周囲)に対称形で存在し、他のSLMピクセルの中心は、カメラ・ピクセル間の境界でさらに広く存在する。SLMピクセルの大部分は、カメラ・ピクセル・グリッドに対する対称性がない任意の位置を有する。カメラ・ピクセルがSLMピクセルより小さい限り、これは本発明の検出方法の性能に影響しない。
【0057】
図5は、欠陥SLMピクセル320のカメラ・ピクセル310への照明を示す。図で見られるように、照明のサイズおよび形状は、SLMピクセルの実際のサイズとは異なる。これは、単独ピクセルを解像しない光学系の回折および特性の結果である。その結果、SLMピクセルの不明瞭な像になり、これは前記単独ピクセルを解像する光学系の場合より多数のカメラ・ピクセルに影響する。前記照明の重心は、様々なカメラ・ピクセルで検出された照明を比較することによって容易に求められる。
【0058】
図4は、欠陥SLMピクセル420の中心が、2つのカメラ・ピクセル410、412間の境界で比較的広く存在する場合の例を示す。
【0059】
図6は、欠陥SLMピクセル420のカメラ・ピクセル・グリッドへの照明を示す。図6で見られるように、照明のサイズおよび形状は図5で示したものと等しいが、唯一の違いは、前記カメラ・ピクセル・グリッドにおける前記照明の重心の位置である。
【0060】
図7は、図5で図示したように照明した場合の検出デバイス190からの出力を示す。図8は、図6で図示したように照明した場合の検出デバイス190からの出力を示す。
【0061】
座標変換により、欠陥SLMピクセルの絶対位置を計算することができる。この座標変換のパラメータを求めるために、数本の直線を有する像をSLMチップに書き込むことができる。これらは、ノイズおよび欠陥に非常に集約的であるハフ変換によって、CCDカメラ応答で認識することができる。
【0062】
市販のCCDカメラは、SLMチップ全体を1回で見るには小さすぎる。CCDカメラは1536×1024のピクセルを有してよく、これはSLMピクセルの一部、例えばSLMピクセルの数の約1/3をカバーするのに十分なだけである。したがって、前記SLMの一部のみしか1回に試験することができない。SLMをスライダに装着し、様々な位置にシフトして、各位置で試験を繰り返すことができる。
【0063】
図2は、本発明による試験手順の実施形態の流れ図を示す。欠陥ピクセルは、様々なカテゴリに分割することができる。ピクセルは、アドレス信号への反応が弱いか、反応しないことがある。これは、機械的または電気的な問題のこともある。SLMピクセルは常に偏向する。その理由は、ピクセルが電極に付着するか、前記ピクセルに取り付けたヒンジへの永続的損傷である。ピクセルは、電磁放射線をそれほど反射しない。その理由は、ピクセル上の埃粒子、製造欠陥、またはミラーへのレーザによる損傷である。最後に、隣接ピクセル間の電気的ショートカットが、前記ピクセルに常に同じ方法で欠陥を引き起こすことがある。
【0064】
上述したカテゴリの欠陥は、本発明の手順で発見されることもあり、この手順は、その最も単純なタイプではSLMの位置ごとに3つの像を有するだけである。1つの像は位置基準のために使用し、他の2つは欠陥ピクセルの検出に使用する。CCDカメラに対するSLMの位置決めは、以下のように実行することができる。チップに書き込むパターンの再現性の原理を使用して、黒い背景に白い線を規則的に書き込むことができる。チップの周囲の背景が暗いという事実のために、黒い背景上の白い線は、白い背景での黒い線より優れている。これで、チップの周囲を削除するために前処理が必要なくなる。線は、ハフ変換によって堅固な方法で認識することができ、ノイズからの独立性を可能にする。一次方程式で、交点、縮尺および角度などのパラメータを計算することができる。
【0065】
空間フィルタ170での描像光学系の解像度が有限であるので、欠陥がないチェス盤パターンを、カメラの均一なグレーの背景に移すことができる。単独の欠陥ピクセルは、それぞれ暗い点または明るい線として現れる。
【0066】
チェス盤パターンの応答しない単独のピクセルは、背景から容易に識別可能であるべき明るい点になる。このチェス盤パターン内で平坦であるように想定され、存在し得る応答しないピクセルは、常に反転したチェス盤パターン内で見いだされる。誤って偏向したピクセルまたは反射が不良なピクセルは、同様に暗い点を生成する。
【0067】
図2で示すような試験手順は、チップ位置の初期化210で開始し、これはSLMチップの特定の区域を調査することを意味する。その後、位置認識220のために、特徴的パターンをSLMに書き込む。位置認識は、SLMチップとCCDカメラとの位置合わせを含む。位置合わせが終了すると、SLMチップの欠陥検出を開始することができる。チェス盤パターンのピクチャをステップ230で撮影し、前記ピクチャをステップ240で分析する。ステップ250は、各種類のチェス盤パターンがSLMチップに書き込まれているかチェックする。書き込まれている場合は、260で単独の分析結果の比較を実行する。書き込まれていない場合は、255で次のパターンをSLMチップに書き込む。ステップ270は、SLMの各位置が調査されているかチェックする。調査されていない場合は、275で次の位置を分析する。調査されている場合は、結果から欠陥ピクセル・マップを構築する。
【0068】
チェス盤パターンを有して欠陥がないSLMは、検出器平面でCCDカメラによって検出され、均一なグレーのピクチャとしてカメラに現れる。検出器平面は、前記空間光変調器に対して、このような空間光変調器をプログラマブル・レチクル/マスクとして使用するパターン生成器の像平面と等しい距離、または同等の距離にある。欠陥は、欠陥のタイプに応じて周囲より暗い、または明るい汚点として現れる。ノイズの場合、これは一様ではなく、前記ノイズに汚点が隠れることがある。ノイズの性質(発生源、統計学的パラメータまたは決定性)を知ることが可能である場合は、前処理を使用して、前記ノイズの効果を軽減するか、消去することができる。時間の平均化は統計学的ノイズを軽減することができる。統計学的ノイズまたは経時変化する決定性ノイズのフィルタは、ノイズにタイプに依存する。ノイズが決定性であり、経時変化しない場合、ノイズを特徴付ける基準ピクチャを問題のノイズがあるピクチャから引くことができる。その理想は、像全体を満たす基準ミラーを有することである。
【0069】
SLMの中継されたパターンの理論的像と欠陥があるパターンとの比較が、分析ステップを実行する。検出したパターンの理論的パターンからの偏差は、欠陥ピクセルに対応する。
【0070】
図9は、典型的なチェス盤またはチェッカー盤パターンを示す。チェス盤パターンは、欠陥ピクセルを検出しようとする場合に、多くの利点を組み合わせる。1つのピクセルが、有すると想定される値を有しない場合、5つのピクセル(欠陥ピクセルおよびその隣接ピクセル)の点が、強度を十分に妨害し、CCDカメラに現れる。チェス盤パターンの別の利点は、対向するパターンがチェス盤でもあり、つまり任意の電圧で全部のピクセルの挙動を観察するために、2つのピクチャしか必要としない。本発明の方法では、少数の測定値のみで欠陥ピクセルを全て発見することが可能である。1つの実施形態では、これは、規則的なチェス盤パターンが検出器平面で一様な背景になるが、誤って偏向したピクセルまたは平坦なピクセルがこの一様な背景から明らかに突出するように、チェス盤パターン、およびその反転パターンの像を不鮮明にすることによって達成される。
【0071】
図10は、チェス盤パターンの欠陥ピクセル1010を示す。欠陥ピクセルは黒いピクセルとして現れる。つまり、充分に偏向する。これは隣接する偏向ピクセルと、偏向しないよう想定されるこのピクセルとの間の電気的ショートカットによって引き起こされることがある。
【0072】
図11は、別のチェス盤パターンの欠陥ピクセル1110を示し、このチェス盤パターンは、図10のチェス盤パターンに対して反転したパターンである。黒であるように想定される白い欠陥ピクセルは硬直し、偏向することができない。反射性が低いミラー(4つの黒いピクセルに囲まれたグレーのピクセル)は、CCDカメラでグレーの点として検出される。
【0073】
図9から図1は、黒いピクセルと白いピクセルであるチェス盤パターンのピクセルを示す。しかし、チェス盤パターンは、白とグレー、黒とグレー、または明るいグレーと暗いグレーであるピクセルで構築することができる。
【0074】
図12は、グレーの背景にある欠陥ピクセルの結果として生じる空中像の断面を示す。水平の線1220は、乱れていないチェッカー盤パターンの応答である背景強度を表す。黒であるように想定される追加のピクセル、つまり白いピクセル(図11参照)は、曲線1230で表され、白であるように想定される欠けたピクセル、つまり黒のピクセル(図10参照)は、曲線1210によって表される。図12の非対称性は、規則的なチェッカー盤パターンが、光の振幅の50%であるゼロ回折次で、25%の光の強度しか与えないという事実から来る。
【0075】
本発明を上記で詳述した好ましい実施形態および例に関して開示しているが、これらの例は制限的な意味ではなく、例示として意図されていることが理解される。解像および組み合わせが当業者には容易に想起され、この解像および組み合わせは本発明の精神および請求の範囲に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】欠陥SLMピクセルを検出する試験ユニットを示す。
【図2】本発明による試験手順の実施形態の流れ図を示す。
【図3】相互に中心同士で位置合わせされたカメラ・ピクセルとSLMピクセルの斜視図を示す。
【図4】相互に位置合わせされたカメラ・ピクセルとSLMピクセルの斜視図を示す。
【図5】図3のチップ・ピクセルから前記カメラ・ピクセルへの照明を示す。
【図6】図4のチップ・ピクセルから前記カメラ・ピクセルへの照明を示す。
【図7】図5の照明用のカメラの出力を示す。
【図8】図6の照明用のカメラの出力を示す。
【図9】チェッカー盤パターンを示す。
【図10】チェッカー盤パターンの欠陥オフ・ピクセルを示す。
【図11】チェッカー盤パターンの欠陥オン・ピクセルを示す。
【図12】欠陥の空中断面像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光変調器内で1つまたは複数の欠陥ピクセルを検出する方法で、
−前記空間光変調器を照明する電磁放射線源を提供する動作と、
−前記空間光変調器内に基準パターンを配置する動作と、
−前記空間光変調器を照明する動作と、
−検出器構成内で前記基準パターンの中継された像を検出することにより、前記空間光変調器内の基準ピクセルの位置を判断する動作と、
−前記空間光変調器に第1パターンを配置する動作と、
−前記空間光変調器を照明する動作と、
−前記検出器構成内で前記第1パターンの中継された像を検出する動作と、
−前記空間光変調器に少なくとも1つの第2パターンを配置する動作と、
−前記空間光変調器を照明する動作と、
−前記空間光変調器内で前記少なくとも1つの第2パターンの中継された像を検出する動作と、
−前記像とその理論的像との差を検出するために、前記第1パターンと前記少なくとも1つの第2パターンとの前記中継された像を分析する動作とを含む方法。
【請求項2】
前記第1および第2パターンがチェス盤のパターンであり、第1チェス盤パターンが第2チェス盤パターンに対して反転される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中継された像がCCDカメラによって検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
SLMピクセルの投影がCCDピクセルより大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
空間光変調器にある単独のピクセルが、前記検出器では解像されない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
検出器と空間光変調器との間の空間フィルタが、前記検出器の解像度を変更させるような構成である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2パターンのうち少なくとも1つが、前記パターンを少なくとも2回照明し、中継された像を別個に検出することによって検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2パターンのうち少なくとも1つが、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記充分に偏向したピクセルが、回折による最大程度の消光に対応する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記充分に偏向したピクセルが、回折による最大程度の消光に対応する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記部分的に偏向したピクセルが、回折による部分的消光に対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2パターンがそれぞれ、複数回検出され、前記パターン内のピクセルが、各検出事象の前に異なる偏向度に設定される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記チェス盤パターンが、充分に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記チェス盤パターンが、第1部分的偏向状態および第2部分的偏向状態にあるピクセルで構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
無数のピクセル素子を有する空間光変調器内で少なくとも1つの欠陥ピクセルを検出する方法で、
−前記空間光変調器内で前記検出器によってピクセルの第1チェス盤パターンの中継された像を検出する動作と、
−前記空間光変調器内で前記検出器によって、第1チェス盤パターンに対して反転されたピクセルの第2チェス盤パターンの中継された像を検出する動作と、
−前記検出像とその理論的像との差を検出するために、前記第1および第2チェス盤パターンの中継された像を分析する動作とを含む方法。
【請求項18】
中継した像がCCDカメラによって検出される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
SLMピクセルがCCDピクセルより大きい、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
空間光変調器内の単独のピクセルが、前記検出器では解像されない、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
検出器と空間光変調器との間の空間フィルタが、前記検出器の解像度を変更させるような構成である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2パターンのうち少なくとも1つが、前記パターンを少なくとも2回照明し、中継された像を別個に検出することによって検出される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記充分に偏向したピクセルが、回折による最大程度の消光に対応する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記部分的に偏向したピクセルが、回折による部分的消光に対応する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2パターンがそれぞれ、複数回検出され、前記パターン内のピクセルが、各検出事象の前に異なる偏向度に設定される、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記チェス盤パターンが、充分に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記チェス盤パターンが、第1部分的偏向状態および第2部分的偏向状態にあるピクセルで構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
さらに、
−検出器ピクセル・グリッド内のSLM基準ピクセルを識別する動作を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
空間光変調器内で少なくとも1つの欠陥ピクセルを検出する方法で、
−規則的なチェス盤パターンが、検出器平面で均一な背景になり、欠陥ピクセルが、前記平面にて前記均一な背景での不規則部になり、検出器によって検出可能であるように、第1チェス盤パターンの像を不鮮明にする動作を含む方法。
【請求項32】
さらに、
−規則的なチェス盤パターンが、検出器平面で均一な背景になり、欠陥ピクセルが、前記平面にて前記均一な背景での不規則部になり、検出器によって検出可能であるように、前記第1パターンに対して反転された第2チェス盤パターンの像を不鮮明にする動作を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記検出器がCCDカメラである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記CCDへのSLMピクセルの投影が、CCDピクセルより大きい、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記充分に偏向したピクセルが、回折による最大程度の消光に対応する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記部分的に偏向したピクセルが、回折による部分消光に対応する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記チェス盤パターンが、充分に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記チェス盤パターンが、第1部分偏向状態および第2部分偏向状態であるピクセルで構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項41】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと充分に偏向したピクセルのみで構成される、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記チェス盤パターンが、偏向していないピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記充分に偏向したピクセルが、回折による最大程度の消光に対応する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記部分的に偏向したピクセルが、回折による部分消光に対応する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記チェス盤パターンが、完全に偏向したピクセルと部分的に偏向したピクセルのみで構成される、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記チェス盤パターンが、第1部分的偏向状態および第2部分的偏向状態にあるピクセルで構成される、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
さらに、
検出器ピクセル・グリッドでSLM基準ピクセルを識別する動作を含む、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−516724(P2006−516724A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500746(P2006−500746)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000025
【国際公開番号】WO2004/063695
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(504095793)マイクロニック レーザー システムズ アクチボラゲット (50)
【出願人】(505250029)フラウンホーファー − ゲゼルシャフト ツル フェーデルング デル アンゲヴァントテン フォルシュング エー.ファォ. (6)
【Fターム(参考)】