説明

次亜塩素酸水溶液

【課題】貯留した液体を濃縮させてしまう加湿器などの装置において使用されたときに、当該装置の機能低下を抑制するとともに、除菌・消臭効果の低下を抑制することができる次亜塩素酸水溶液を提供する。
【解決手段】次亜塩素酸ナトリウム水溶液16は、次亜塩素酸ナトリウム貯留部7に貯留された次亜塩素酸ナトリウムと、塩酸貯留部9に貯留された酸と、処理水4(水道水を除く。)と、を原料に含み、pH5〜pH7を呈するものである。処理水4は、原水から、少なくともカルシウム及びマグネシウムが除去されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌や消臭などに使用される弱酸性の次亜塩素酸水溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸ナトリウムと塩酸や酢酸などの酸とを原料に含み、pH5.5〜pH6.5程度の弱酸性に調整されることによって、扱いやすく且つ殺菌効果が高い次亜塩素酸水溶液が知られている。
【0003】
特開平4−94793号公報には、次亜塩素酸ナトリウムを添加した水と、塩酸を添加した水とを、pHが3〜7になるように混合する次亜塩素酸含有殺菌水の製造方法が記載されている。水は、硬度=153.2ppm、ナトリウム=15.5ppmの井戸水が使用される。
【0004】
特開2000−197689号公報には、次亜塩素酸含有水溶液を霧化させて殺菌対象の室内へ放出させ、室内を殺菌・脱臭する室内殺菌・脱臭装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−94793号公報
【特許文献2】特開2000−197689号公報
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平4−94793号公報に記載された次亜塩素酸含有殺菌水を、特開2000−197689号公報に記載された室内殺菌・脱臭装置において継続して使用すると、次亜塩素酸含有殺菌水の原料の井戸水に含まれる硬度成分によって、室内殺菌・脱臭装置内に徐々にスケールが析出してしまうため、室内殺菌・脱臭装置の機能低下を招いてしまう。さらに、析出したスケールと次亜塩素酸含有殺菌水とが化学反応して次亜塩素酸含有殺菌水の組成を変化させてしまうため、次亜塩素酸含有殺菌水の殺菌効果を低下させてしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、貯留した液体を濃縮させてしまう加湿器などの装置において使用されたときに、当該装置の機能低下を抑制するとともに、除菌・消臭効果の低下を抑制することができる次亜塩素酸水溶液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明の次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、次亜塩素酸ナトリウムと、酸と、処理水(水道水を除く。)と、を原料に含み、pH5〜pH7を呈する。処理水は、原水から、少なくともカルシウム及びマグネシウムが除去されたものである。
【0010】
酸とは、例えば塩酸や酢酸である。原水とは、例えば水道水や井戸水であり、カルシウムやマグネシウムやシリカを含むものである。
【0011】
処理水中のカルシウム及びマグネシウムは、例えば、合計含有量が1mg/L以下まで除去される。
【0012】
上記構成では、pH5〜pH7を呈する次亜塩素酸水溶液であるため、扱いやすく、且つ、対象物に接触させることによって除菌や消臭などの高い効果を得ることができる。
【0013】
次亜塩素酸水溶液は、貯留部と放出部とを有する空気加湿装置などの装置に使用することができる。貯留部は、液体を貯留する。放出部は、貯留部に貯留された液体が供給され、当該液体を空気に放出させるために気化や蒸発などする機能を備える。
【0014】
次亜塩素酸水溶液を空気加湿装置の貯留部に貯留して空気加湿装置の周囲を加湿することによって、加湿された箇所の除菌・消臭効果を得ることができる。
【0015】
また、貯留部や放出部において次亜塩素酸水溶液の除菌効果が発揮されるため、水垢などのスライムが発生し難い。
【0016】
ここで、空気加湿装置は、液体を気化や蒸発などさせる機能を放出部に備えるため、放出部において次亜塩素酸水溶液を濃縮させてしまう。しかし、次亜塩素酸水溶液の原料の処理水からカルシウム及びマグネシウムが除去されているため、次亜塩素酸水溶液が濃縮されてしまっても、スケールが析出し難い。このため、空気加湿装置の機能低下を抑制することができる。
【0017】
また、スケールが析出し難いため、スケールと次亜塩素酸水溶液との化学反応の発生量が増大せず、次亜塩素酸水溶液の組成が維持される。従って、次亜塩素酸水溶液の除菌・消臭効能の低下を抑制することができる。
【0018】
また、処理水は、原水から、カルシウム及びマグネシウムが合計含有量1mg/L以下まで除去され、さらにシリカが含有量1mg/L以下まで除去されたものであってもよい。
【0019】
上記構成では、スケールとなり得る成分が処理水中にほとんど含まれていない。このため、次亜塩素酸水溶液を空気加湿装置に使用したときに、スケールの析出量を最小限に抑えることができる。従って、空気加湿装置の機能低下を確実に抑制することができる。また、次亜塩素酸水溶液とスケールとの化学反応の発生を最小限に抑えることができ、次亜塩素酸水溶液の組成が確実に維持されるため、次亜塩素酸水溶液の除菌・消臭効果の低下を確実に抑制することができる。
【0020】
また、次亜塩素酸水溶液は、処理水を99質量%以上含む構成であってもよい。
【0021】
上記構成では、次亜塩素酸水溶液に99質量%以上含まれている処理水からカルシウム及びマグネシウムが除去されている。このため、次亜塩素酸水溶液を空気加湿装置に使用したときに、スケールがほとんど析出しない。従って、空気加湿装置の機能低下をより確実に抑制することができるとともに、次亜塩素酸水溶液の除菌・消臭効果の低下をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、貯留した液体を濃縮させてしまう加湿器などの装置において使用されたときに、当該装置の機能低下を抑制するとともに、除菌・消臭効果の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る処理水の製造方法を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る次亜塩素酸水溶液の製造方法を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る次亜塩素酸水溶液が使用される空気加湿装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0025】
図1は本実施形態に係る処理水の製造方法を示すブロック図であり、図2は本実施形態に係る次亜塩素酸水溶液の製造方法を示すブロック図であり、図3は本実施形態に係る次亜塩素酸水溶液が使用される空気加湿装置を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る処理水4は、原水1を水処理装置2に通水したものである。水処理装置2は、イオン交換処理部3を備える。イオン交換処理部3には、イオン交換樹脂が充填されている。本実施形態では、カチオン樹脂が充填されている。これにより、本実施形態では、処理水4のカルシウム及びマグネシウムの合計含有量は0.1mg/L程度に除去される。
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る次亜塩素酸水溶液16は、処理水4を原料として次亜塩素酸水溶液製造装置5において製造される。
【0028】
次亜塩素酸水溶液製造装置5は、処理水注入口6と、次亜塩素酸ナトリウム貯留部7と、第1水溶液生成部8と、塩酸貯留部9と、第2水溶液生成部10と、pH調整部11と、濃度調整部15と、を備える。
【0029】
処理水注入口6は、処理水4が注入される。次亜塩素酸ナトリウム貯留部7は、次亜塩素酸ナトリウムを貯留する。本実施形態では、次亜塩素酸ナトリウム貯留部7に、食品添加物として販売されている6%の次亜塩素酸ナトリウムが貯留される。第1水溶液生成部8は、次亜塩素酸ナトリウム貯留部7に貯留された次亜塩素酸ナトリウムを、処理水注入口6から供給された処理水4によって希釈して、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を生成する。塩酸貯留部9は、塩酸を貯留する。本実施形態では、塩酸貯留部9に、食品添加物として販売されている9%の塩酸が貯留される。第2水溶液生成部10は、塩酸貯留部9に貯留された塩酸を、処理水注入口6から供給された処理水4によって希釈して、塩酸水溶液を生成する。
【0030】
pH調整部11は、第1流入量調整部12と、第2流入量調整部13と、pH検出部14と、を有する。第1流入量調整部12には、第1水溶液生成部8から次亜塩素酸ナトリウム水溶液が供給される。また、第1流入量調整部12では、第1水溶液生成部8から供給される次亜塩素酸ナトリウム水溶液の流入量が、pH検出制御部14によって制御される。第2流入量調整部13には、第2水溶液生成部10から塩酸水溶液が供給される。また、第2流入量調整部13では、第2水溶液生成部10から供給される塩酸水溶液の流入量が、pH検出制御部14によって制御される。pH検出制御部14には、第1流入量調整部12から次亜塩素酸ナトリウム水溶液が流入し、第2流入量調整部13から塩酸水溶液が流入する。また、pH検出制御部14では、pHを検出し、検出したpHに基づいて第1流入量調整部12の流入量と、第2流入量調整部13の流入量とを調整する。本実施形態では、pH検出制御部がpH6に制御する。
【0031】
pH調整部11においてpHが調整された水溶液は、濃度調整部15へ流入する。濃度調整部15は、塩素濃度を検出する塩素濃度検出部と、流入量制御部とを有する。塩素濃度検出部は、塩素濃度を検出する。流入量制御部は、塩素濃度検出部が検出した塩素濃度に基づいて、pH調整部11から流入する水溶液を、処理水注入口から流入する処理水4で希釈し、水溶液の塩素濃度を所定の濃度に調整する。本実施形態では、pH調整部11において50mg/Lに調整される。
【0032】
なお、本実施形態では、次亜塩素酸水溶液製造装置5の外面に濃度選択スイッチ(図示省略)が配置され、操作者が塩素濃度を50mg/Lと、100mg/Lと、200mg/Lとから選択することができる。濃度調整部15は、濃度選択スイッチにおいて選択された一の塩素濃度に水溶液を調整する。
【0033】
濃度調整部15において調整された水溶液は、本実施形態の次亜塩素酸水溶液16であり、供給口(図示省略)から次亜塩素酸水溶液製造装置5の外へ次亜塩素酸水溶液16が供給される。供給口から供給される次亜塩素酸水溶液16は、例えば、所定量の容器やスプレーボトルなどに充填されてパッケージされる。
【0034】
図3に示すように、本実施形態に係る次亜塩素酸水溶液16は、空気加湿装置17に使用される。空気加湿装置17は、貯留部18と、放出部19と、空気吸入口20と、送風部21と、加湿空気排出口22と、を備える。貯留部18は、次亜塩素酸水溶液16を貯留する。放出部19は、貯留部18に貯留された次亜塩素酸水溶液16が所定量流入し、次亜塩素酸水溶液16を不織布によって給水して気化させる。空気吸入口20は、放出部19と送風部21とが配置された空間に外気を取り込む開口である。送風部21は、放出部19が気化させた次亜塩素酸水溶液16を、空気吸入口20から取り込まれた空気とともに、加湿空気排出口22へ送風する。加湿空気排出口22は、送風部21によって送風された空気を外部へ排出する。これらにより、加湿空気排出口22からは、気化された次亜塩素酸水溶液16を含む空気が排出される。
【0035】
本実施形態の塩素濃度50mg/L次亜塩素酸水溶液16には、次亜塩素酸ナトリウムが約0.083質量%含まれ、塩酸が約0.056質量%含まれ、処理水4が約99.86質量%含まれる。
【0036】
また、本実施形態において、塩素濃度100mg/Lの次亜塩素酸水溶液を製造すると、次亜塩素酸ナトリウムが約0.16質量%含まれ、塩酸が約0.11質量%含まれ、処理水4が約99.72質量%含まれる。
【0037】
また、本実施形態において、塩素濃度200mg/Lの次亜塩素酸水溶液を製造すると、次亜塩素酸ナトリウムが約0.33質量%含まれ、塩酸が約0.22質量%含まれ。処理水4が約99.44質量%含まれる。
【0038】
このように、本実施形態では、次亜塩素酸水溶液16に処理水が99質量%以上含まれる。
【0039】
なお、本実施形態では、原水として水道水を使用したが、これに限らず、原水として井戸水や河川の水や雨水などを使用してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、カルシウム及びマグネシウムなどを除去するために、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換処理部3に通水するが、これに限らず、イオン交換膜を使用するもの、逆浸透膜を使用するもの、蒸留するもの、電気分解するもの、沈殿させるもの、凝集するものなど、他の手段によって、カルシウム及びマグネシウムなどを除去してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、酸として塩酸を使用したが、これに限らず、酸として、酢酸や、クエン酸、コハク酸、その他の酸を使用してもよい。なお、塩酸又は/及び酢酸が好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、9%の塩酸を使用したが、これに限らずどのような濃度の塩酸であってもよい。また、他の酸を使用する場合もどのような濃度の酸であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、次亜塩素酸水溶液16の原料として、食品添加物として販売されている次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を使用しているが、これは、カルシウムやマグネシウムやシリカなどの不純物の含有量が少ない原料が望ましいことを考慮したものである。すなわち、次亜塩素酸水溶液16の原料となる次亜塩素酸ナトリウムや酸もまた、本発明に係る処理水4と同様に、少なくともカルシウム及びマグネシウムが除去されていることが望ましい。
【0044】
また、本実施形態では、次亜塩素酸水溶液16のpHの値がpH6に調整されるが、これに限らず、次亜塩素酸水溶液16のpHの値は、pH5〜pH7に調整されてもよい。なお、次亜塩素酸水溶液16のpHは、pH5.5〜pH6.5に調整されることが好ましく、本実施形態のようにpH6に調整されることが特に好ましい。
【0045】
また、本実施形態では、処理水4のカルシウム及びマグネシウムの合計含有量は、0.1mg/L程度であるが、これに限らない。処理水4のカルシウム及びマグネシウムの合計含有量は、好ましくは1mg/L以下であり、さらに好ましくは0.1mg/L以下であり、特に好ましくは0.01mg/L以下である。
【0046】
また、本実施形態で製造される次亜塩素酸水溶液16の塩素濃度は、50mg/Lと100mg/Lと200mg/Lの3つの値から選択された一の値であるが、これに限らず、次亜塩素酸水溶液16の塩素濃度は、用途に応じた所望の濃度であればよく、上記の濃度以外の値でもよい。
【0047】
また、本実施形態では、次亜塩素酸水溶液が処理水を99質量%以上含む構成であるが、これに限らず、次亜塩素酸水溶液が処理水を異なる値の質量%含む構成であってもよい。具体的には、使用する次亜塩素酸ナトリウムの濃度、酸の濃度、次亜塩素酸水溶液に必要な塩素濃度によって処理水の質量割合は変化する。
【0048】
また、本実施形態では、次亜塩素酸水溶液16を、空気加湿装置17に使用したが、これに限らず、貯留部と放出部とを有する装置に使用することができる。貯留部は、液体を貯留する。放出部は、貯留部に貯留された液体が供給され、当該液体を空気中へ放出する液体放出機能を有する。液体放出機能は、蒸発、気化、霧化、噴霧、散布など方法を問わない。かかる液体放出機能を備えるため、放出部は当該液体を濃縮させてしまう。貯留部と放出部とを備える装置は、空気加湿装置の他、液体を散布する洗浄装置や、ボイラ装置、冷却装置などがある。
【0049】
なお、本発明では、水道水を直接処理水として使用せず、水道水を使用する場合は原水としてカルシウムやマグネシウムを除去してから使用する。ここで、水道水の硬度は、現行法では上限値が300mg/Lであり下限値が定められていないため、0mg/L〜300mg/Lの範囲で許容されている。このため、使用する地域やその時々によって供給される水道水の硬度が低い場合もあるが高い場合もある。従って、本発明では、そのような意図しない硬度が供給され得る水道水は、処理水として使用しない。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の次亜塩素酸水溶液16は、pH6を呈する次亜塩素酸水溶液16であるため、扱いやすく、且つ、対象物に接触させることによって除菌や消臭などの高い効果を得ることができる。
【0051】
また、次亜塩素酸水溶液16を空気加湿装置17の貯留部に貯留して空気加湿装置17の周囲を加湿することによって、加湿された箇所の除菌・消臭効果を得ることができる。
【0052】
また、貯留部18や放出部19において次亜塩素酸水溶液16の殺菌効果が発揮されるため、水垢などのスライムが発生し難い。
【0053】
ここで、空気加湿装置17は、液体を気化させる機能を放出部19に備えるため、放出部19において次亜塩素酸水溶液16を濃縮させてしまう。しかし、次亜塩素酸水溶液16の原料の処理水4からカルシウム及びマグネシウムが除去されているため、次亜塩素酸水溶液16が濃縮されてしまっても、スケールが析出し難い。このため、空気加湿装置17の機能低下を抑制することができる。
【0054】
また、スケールが析出し難いため、スケールと次亜塩素酸水溶液16との化学反応の発生量が増大せず、次亜塩素酸水溶液16の組成が維持される。従って、次亜塩素酸水溶液16の除菌・消臭効能の低下を抑制することができる。
【0055】
また、次亜塩素酸水溶液16に99質量%以上含まれている処理水4からカルシウム及びマグネシウムが除去されている。このため、次亜塩素酸水溶液16を空気加湿装置17に使用したときに、スケールがほとんど析出しない。従って、空気加湿装置17の機能低下をより確実に抑制することができるとともに、次亜塩素酸水溶液16の除菌・消臭効果の低下をより確実に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、原水1からマグネシウム及びカルシウムを除去し軟水化した水を処理水4として使用したが、マグネシウムとカルシウムとシリカとを除去し純水化した水を処理水4として使用してもよい。シリカを除去した処理水4を得るには、例えば、本実施形態の水処理装置2のイオン交換処理部3にさらにアニオン樹脂も充填して、原水1を水処理装置2へ通水する。処理水4のシリカの含有量は、好ましくは1mg/L以下であり、さらに好ましくは0.1mg/L以下であり、特に好ましくは0.01mg/L以下である。
【0057】
係る構成では、スケールとなり得る成分が処理水4中にほとんど含まれていない。このため、次亜塩素酸水溶液16を空気加湿装置17に使用したときに、スケールの析出量を最小限に抑えることができる。従って、空気加湿装置17の機能低下を確実に抑制することができる。また、次亜塩素酸水溶液16とスケールとの化学反応の発生を最小限に抑えることができ、次亜塩素酸水溶液16の組成が確実に維持されるため、次亜塩素酸水溶液16の除菌・消臭効果の低下を確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・原水
3・・・・イオン交換処理部
4・・・・処理水
7・・・・次亜塩素酸ナトリウム貯留部
9・・・・塩酸貯留部
16・・・次亜塩素酸水溶液
17・・・空気加湿装置
18・・・貯留部
19・・・放出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸ナトリウムと、酸と、処理水(水道水を除く。)と、を原料に含み、pH5〜pH7を呈する次亜塩素酸水溶液であって、
前記処理水は、
原水から、少なくともカルシウム及びマグネシウムが除去されたものである
ことを特徴とする次亜塩素酸水溶液。
【請求項2】
請求項1に記載の次亜塩素酸水溶液であって、
前記処理水は、
カルシウム及びマグネシウムの合計含有量が1mg/L以下である
ことを特徴とする次亜塩素酸水溶液。
【請求項3】
請求項2に記載の次亜塩素酸水溶液であって、
前記処理水は、
原水から、さらにシリカが除去されたものであり、
シリカの含有量が1mg/L以下である
ことを特徴とする次亜塩素酸水溶液。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の次亜塩素酸水溶液であって、
前記次亜塩素酸水溶液は、
前記処理水を99質量%以上含む
ことを特徴とする次亜塩素酸水溶液。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の次亜塩素酸水溶液であって、
前記次亜塩素酸水溶液は、
液体を貯留可能な貯留部と、当該貯留部に貯留された液体が供給されて、供給された液体を空気中に放出する放出部と、を有する装置の前記貯留部に貯留される
ことを特徴とする次亜塩素酸水溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−1702(P2013−1702A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146665(P2011−146665)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(591069709)三葉化工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】