説明

止水板の取付装置

【目的】 長期間に亘って止水板を確実に取付けできて漏れが発生しないようにする。
【構成】 表面11aに溝部12を有する取付基板11を地下構造物10に埋設して設け、この取付基板11の溝部12に取付金具13の取付基部20を嵌合してその支持凹部22と取付基板11の表面11aで止水板14の取付部15を弾性圧縮変形させて狭持し、その取付金具13を取付基板11に溶接して固着することで止水板14の取付部15の狭持が長期間弛むことがないようにする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、沈埋トンネルを構成する沈埋函等の水中構造物相互やボックスカルバート、樋函、洞道等の地下構造物相互の柔結合部に止水板を取付ける装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
沈埋トンネルは複数の沈埋函を順次結合したものであり、その沈埋函相互の柔結合部は例えば、図1に示すように沈埋函1の端面1a相互間に設けられたゴムガスケット2と沈埋函1の内周壁1b相互間に取着された止水板3とで止水している。
また、ボックスカルバート、樋函、洞道等の地下構造物の柔結合物においても前述と同様に止水板3を取着して止水している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
かかる止水板の取付装置は図1に示すように、沈埋函1に埋設したボルト4にナット5をネジ合して止水板3の端縁部を沈埋函1に押しつけて取付けているので、長期間の使用によるボルト4、ナット5の腐食、電蝕により締付力が弱くなって漏れが発生するし、ボルト4に作用する高応力によるボルト4の折損によっても漏れが発生する。
【0004】
そこで、本考案は前述の課題を解決できるようにした止水板の取付装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
所定の幅と厚さを有する板状で幅方向両端部に断面略円形の取付部15を有する止水板14と、取付基部20と支持部21により略C字状の支持凹部22を有する取付金具13と、地下構造物10に埋設されて表面11aに溝部12を有する取付基板11を備え、取付金具13の取付基部20を取付基板11の溝部12に嵌合して、前記止水板14の幅方向両端部の取付部15を取付金具13の支持凹部22と取付基板11の表面11aで弾性圧縮変形してそれぞれ狭持し、その各取付金具13を取付基板11に溶接して固着して成る止水板の取付装置。
【0006】
【作 用】
止水板14の取付部15を取付金具13の支持凹部22と取付基板11の表面11aで弾性圧縮変形して狭持し、その取付金具13を取付金具11に溶接して固着したから、長期間使用しても止水板14の取付部15の狭持が弛むことなく止水板14を長期間に亘って確実に取付けできて漏れが発生することがない。
【0007】
【実 施 例】
図2に示すように、沈埋函等の地下溝造部物10の対向端部には、その地下構造物10の製造時に取付基板11が埋設してある。この取付基板11の表面11aが地下構造物10の表面10aと面一になって止水板取付面となり、その取付基板11に形成した溝部12に取付金具13が嵌合して溶接固着されその相対向する取付金具13,13に止水板14の幅方向両端部が支持されて止水板14が対向した地下構造物10,10間に跨って取付けてある。
前記止水板14はゴム材料等によって所定の幅と厚さを有する長尺板状となっており、その幅方向両端部には断面形状が厚さより大径な略円形の取付部15を長手方向に亘って一体的に有する。
前記取付金具13は取付基板11の溝部12に嵌合する取付基部20と、この取付基部20と連続した略C字状の支持部21によって略C字状の支持凹部22を有する断面形状となり、取付金具13の支持凹部22と取付基板11の表面11aで前記止水板14の取付部15を挾持するようにしてある。
【0008】
次に止水板14の取付作業を説明する。
地下構造物10を対向して設置した後に止水板14の幅方向両端部の取付部15を取付基板11の表面11aに載置し、取付金具13の取付部20を取付基板11の溝部12に嵌合して取付金具13の支持凹部22と取付基板11の表面11aで弾性圧縮変形して強固に狭持し、この取付金具13を取付基板11に溶接して個着する。
なお、取付金具13の支持部21と取付基板11の表面11aに亘って補強ステー23を溶接しても良い。
【0009】
図3は第2実施例を示し、取付基板11の溝12を幅広として幅方向一端部12aを略V字状とし、取付金具13の取付基部20を幅広で幅方向一端部20aをくさび形状とし、このくさび形状の幅方向一端部20aを溝12における略V字状の幅方向一端部12aに密嵌し、その取付基部20の幅方向他端部20bと取付基板11を溶接て固着してある。
このようにすれば、取付基板20と取付基板11の溶接部Aが止水板14と遠く離れ、溶接時の熱が止水板14に伝えられることを低減できる。
図3において、止水板14の取付部15には補強布16が設けてある。
【0010】
【考案の効果】
止水板14の取付部15を取付金具13の支持凹部22と取付基板11の表面11aで弾性圧縮変形して狭持し、その取付金具13を取付基板11に溶接して固着したから、長期間使用しても止水板14の取付部15の狭持が弛むことがなく止水板14を長期間に亘って確実に取付できて漏れが発生することがない。
また、地下構造物の設置現場で取付金具13を取付基板11に溶接して固着すれば良いから、その旋工性が優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の断面図である。
【図2】本考案の実施例を示す断面図である。
【図3】本考案の第2実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10…地下構造物、11…取付基板、11a…表面、12…溝部、13…取付金具、14…止水板、15…取付部、20…取付基部、21…支持部、22…支持凹部。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 所定の幅と厚さを有する板状で幅方向両端部に断面略円形の取付部15を有する止水板14と、取付基部20と支持部21により略C字状の支持凹部22を有する取付金具13と、地下構造物10に埋設されその表面11aに前記取付基部20が嵌合する溝部12を有する取付基板11を備え、前記取付金具13の取付基部20を取付基部11の溝部12に嵌合して止水板14の幅方向両端部の取付部15を取付金具13の支持部凹部22と取付基部11の表面11aで弾性圧縮変型してそれぞれ狭持し、その各取付金具13を取付基板11に溶接して固着して成る止水板の取付装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】実開平6−12598
【公開日】平成6年(1994)2月18日
【考案の名称】止水板の取付装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−55171
【出願日】平成4年(1992)7月15日
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(591084126)株式会社テーシーアイ (1)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)