説明

正から中立の酸素平衡を有する爆発性調合物を利用することによる、爆轟を通じたダイヤモンドを作り出すための方法

本発明は、様々な粒径のダイヤモンド−炭素を有する材料の創出のための方法および調合物を提供する。当該材料は、酸化剤として二酸化炭素、および爆轟のための燃料として粉末状マグネシウム等の材料を、使用する、爆発性調合物の爆轟の副生成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化剤(好ましくは二酸化炭素)と、当該酸化剤を発熱的に分解する材料(還元剤)とを伴う爆轟法からダイヤモンド材料を作り出す新規な方法、および当該混合物の衝撃感度を増加させる方法に関する。特に、本発明は、正の酸素平衡を有する爆発性調合物を使用する、ダイヤモンド材料を作り出す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries(2008年1月)によれば、2007年の工業用ダイヤモンドの消費は600,000,000カラットを超え、300,000,000ドルを超える価値があると試算された。このことは、天然ダイヤモンドよりむしろ合成ダイヤモンドが約90%の工業用途に用いられ、その主な用途が研磨工業にあることを示唆する。ダイヤモンド材料は、特殊切削工具を製造するために金属に融合される。
【0003】
十分に高い圧力で炭素原子を一斉に圧縮する際に、ダイヤモンドは生成される。爆発物で工業用ダイヤモンドを作り出す従来の手法は、炭素原子を一斉に圧縮する爆轟の圧力を用いることに基づく。この手法を用いると、炭素は爆発物、または爆発物を含む系に物理的に添加され、その爆発物は爆轟され、その爆風圧は添加された炭素をダイヤモンドの粉末に転化する。
【0004】
爆発物は、一般的には炭素と水素から成る燃料、および酸素源の爆轟可能な混合物である。爆轟の廃棄物は主に、二酸化炭素、水、および様々な窒素気体である。
【0005】
用語「酸素平衡」は、原料をCO、HO、Al、およびその他の酸化物に転化するのに必要な、爆発物中における燃料に対する酸素の比率を表す。調合物中における不十分な酸素は、全ての燃料に対する十分な酸素がないことを意味し、負の酸素平衡を有すると言われる。爆発物でダイヤモンドを作り出す従来の手法は、追加の炭素または不十分な酸素を用いるので、その混合は負の酸素平衡になると考えられる。
【0006】
従来の試みは、廃棄物を減らす問題、および、正の酸素平衡になる爆発物の手法から工業用ダイヤモンド製品を作り出す問題を解決できていない。例えば、爆発物を用いる工業用ダイヤモンドの創出は、炭素を爆発物に添加することによって実現される負の酸素平衡に基づいており、その調合物を爆轟させることは先行技術で開示されてきた。
【0007】
米国特許第5,353,708号(Stavrevら)は、研磨材料の製造のために用いることができる、超分散ダイヤモンドの製造方法について教示している。Stavrevによって教示された発明はダイヤモンドの製造を可能にするものの、その1つまたは複数の有機爆発物が化学量論的に負の酸素平衡を有するので、当該発明は正の酸素平衡を作り出す問題を解決していない。
【0008】
米国特許第5,916,955号(Vereschaginら)は、炭素、窒素、酸素、および組成物の不燃性不純物を含むダイヤモンド−炭素材料を製造する方法について教示しており、その表面は、酸素が欠乏した爆発物を爆轟させることによって、メチル基、カルボキシル基、ラクトン基、アルデヒド基、エーテル基、およびキノン基を含む。Vereschaginによって教示された発明はダイヤモンド−炭素材料の創出を可能にするものの、その爆発物が負の酸素平衡を有するので、当該発明は正の酸素平衡を創出する問題を解決していない。
【0009】
米国特許第5,482,695号(Guschinら)は、超硬材料を製造する方法について教示している。Guschinによって教示された発明はダイヤモンド製品を含む材料の製造を可能にするものの、その爆発が負の酸素平衡を有するので、当該発明は正の酸素平衡を用いる問題を解決していない。
【0010】
さらに、世界中に多数の合成ダイヤモンドの製造業者がおり、彼らの製品としては、ダイヤモンドのペースト、懸濁液、滑剤、および多くの用途を伴うさらなるものが挙げられる。所望であることは、温室効果ガスである二酸化炭素を消費し、かつ、ガソリン、油、および滑剤等の製品の消費を減らすためにも用いることができる、工業用ダイヤモンドを創出する安価な方法であり、これは製造費用を減らし、環境にさらに恩恵をもたらすだろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、好ましくは酸素源として二酸化炭素を用い、かつ、爆轟の際にその酸化剤を発熱的に分解する材料として粉末状マグネシウム金属等の還元剤を用いる、正の酸素平衡を有する爆発性調合物から、ダイヤモンド材料を作り出すための方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、廃物を減らすダイヤモンドを作り出すための方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、環境的恩恵を有する炭素製品を作り出す、二酸化炭素を処理する方法を提供することである。
【0014】
本発明に従い、本発明は、正から中性の酸素平衡を有する爆発性調合物の爆轟から、様々な大きさのダイヤモンドを有する材料を製造する方法であって、
(a)酸化剤と、前記酸化剤を爆轟の際に発熱的に分解する材料とを混合することによって、弾薬を調製するステップと、
(b)炭素に対して不活性であり、かつ爆轟の副生成物を冷却する媒体を含む環境内において、前記弾薬を爆轟させるステップと、
(c)炭素を含む爆轟の副生成物を、粒径および粒子相によって分離するステップと、
を含む方法を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、酸化剤と、前記酸化剤を分解する材料とを含む、ダイヤモンドを有する材料のための爆轟可能な調合物に関する。
【0016】
好適な一実施形態では、当該酸化剤は二酸化炭素であり、前記酸化剤を爆轟の際に発熱的に分解する材料は、アルミニウムまたはマグネシウム等の、粉末状金属または噴霧金属から成る群から選択される還元剤である。
【0017】
酸素平衡の原理は、ゼロの酸素平衡である爆発物が、酸素に対する燃料の完璧な平衡のために、最適なエネルギーを提供するという理解に基づく。本発明の場合では、最適なエネルギー出力は、約50:50の重量比の二酸化炭素と還元剤を用いて実現される。本発明の調合物に対する従来の酸素平衡の計算は重度の負の1を示唆するだろうが、還元剤に対する二酸化炭素の最もエネルギー的または化学量論的に完璧な混合もゼロの酸素平衡を有するはずである。
【0018】
爆発性調合物を二酸化炭素および還元剤の混合物に基づかせ、また、従来的にゼロの酸素平衡に関連する最大エネルギー出力の相違を考慮する本発明の手法により、二酸化炭素中の炭素はそれ故、解放エネルギーの基礎としての還元剤に対する任意の比率の二酸化炭素を用いる、爆発性調合物に対する酸素平衡の計算に含まれてはならない。本発明の非従来の酸化剤としての二酸化炭素の使用により、その酸素平衡は、二酸化炭素中の炭素がその計算に含まれないことを除けば、従来の方法で計算されなければならないだろう。
【0019】
好適な一実施形態にて本発明の調合物において用いられる二酸化炭素は大気圧で固体状態にあり、−78.5℃の温度ではドライアイスとして存在することもあるので、前記調合物の研究分野は「低温爆轟物理学」、つまりCDPと命名されている。
【0020】
図面では、ほんの一例として本発明の1つの実施形態を例解する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】水で充填され、本発明の方法の1つの実施形態に従う垂れ下がった弾薬を有する、円筒形の爆轟用井の側面図を示す。
【図2】本発明の方法の1つの実施形態に従う粉末状の還元剤と、液体二酸化炭素を混合するために用いられる高圧混合器の側面図である。
【図3】様々な状態の二酸化炭素(固体、液体、および気体)に対して、温度および圧力の組み合わせを例解する状態図である。
【図4】本発明の安定性および爆轟試験を例解するフローチャートである。
【図5】本発明で有効な変数パラメーターを例解する略図である。
【0022】
同様の参照番号が、同様の構成要素を示すために異なる図において用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は一般的に、爆発性調合物、および、10〜15重量%の炭素を生み出す前記爆発性調合物を爆轟させるための方法を提供する。当該弾薬は調製され、水中で爆轟され、副生成物が回収される。主にダイヤモンド結晶相内の炭素と、非晶相内の少量の炭素から成る得られたダイヤモンド材料は、酸化剤としての二酸化炭素、および二酸化炭素を発熱的に分解する燃料または還元剤を用いる、爆発性調合物の爆轟の副生成物である。二酸化炭素は通常爆轟の副生成物と見なされ、酸素源とは見なされない。
【0024】
爆轟反応では、その還元剤は酸素原子を二酸化炭素から取り払い、炭素を残す。爆轟力は、調合物の組成、その密度、弾薬の直径、爆轟の速度、爆轟に用いられる点火薬の大きさ、爆轟を開始するのに十分なエネルギーを転移させる任意の電気的または代替の熱的な手段または技術を含む爆轟法、副生成物の冷却速度、添加された化学増感剤の種類または濃度、酸素平衡、閉じ込めの種類、爆轟温度、および、爆轟の時点における外部の温度と圧力に応じて、この炭素の副生成物を様々な大きさの微細なダイヤモンドに圧縮する。
【0025】
マグネシウムおよびアルミニウム等の粉末状金属または噴霧金属は、本発明の調合物中における燃料としての使用に適切である。二酸化炭素のエネルギー減少に基づいている本発明の調合物の性質のために、用語「燃料」および「還元剤」は互いに交換可能である。本発明のいくつかの実施形態は、その他の還元剤、または還元剤の組み合わせを用いてよく、密度を制御するために真珠岩等の増量剤を必要とし、ならびに、当該調合物の反応速度、爆発性能、および衝撃感度に影響を及ぼすためにRDX等の化学増感剤の使用を必要とし得る。
【0026】
酸素平衡した爆発物は、当該調合物が全ての燃料を完全に消費するのに役立つ確実に十分な酸素を有することを意味する。ダイヤモンド材料を爆轟から作成する本発明の手法では、爆発物またはこれを含む系に過剰な炭素が添加され、それによって酸素が欠乏し、負の酸素平衡を有する系を作り出す。
【0027】
本発明は、二酸化炭素を酸素源として使用する爆発性調合物、本発明の弾薬を調製し爆轟させる方法、および、その方法を通じたダイヤモンドの生成に関する。本発明の調合物は、燃料または還元剤の酸素要求量に適合させるために必要な、少なくとも正確な量の二酸化炭素で調製され、このことは、本発明の調合物が正から中立の炭素平衡で作用することを意味する。
【0028】
酸素を含まない水で充填された爆轟用チャンバー等の、炭素の副生成物をその後の化学分解から保護する環境内で本発明の爆発性調合物を爆轟させることによって、高度な均質性を有する幅広いダイヤモンドを有する材料が発生する。小角散乱法および分析法は、炭素相の分布および粒径分布を決定するのに用いることができる。当該好適な実施形態では、弾薬は水中で爆轟され、爆轟後の残骸が回収される。水は、衝撃波を移送し、爆轟の副生成物を迅速に冷却する媒体として作用する。
【0029】
本発明の爆轟の副生成物が速く冷却されるか遅く冷却されるか(それぞれ、1分当たり200℃に対して1分当たり7,000℃の速度で)に関係なく、ダイヤモンドは爆轟法によって生じる。
【0030】
本発明の調合物は正から中立の酸素平衡を有し、二酸化炭素を発熱的に分解する任意の化学薬品、化合物、または元素を含み得る。本発明の調合物は、アルゴン気体または酸素を含まない水等の、炭素の副生成物に対して不活性な媒体で充填された環境内で爆轟される。水は、衝撃吸収剤、および、その物理的特性を最適化する速度で副生成物を冷却する冷却剤の両方として機能するので、水を不活性媒体として使用することは有利である。本発明の調合物、あるいは、爆轟する系、または前記調合物の爆轟に反応を示す系は、ダイヤモンド粉末、ニッケル、または、得られたダイヤモンドを有する材料の、切削工具を作成するための鋼等のその他の材料に結合する能力を改善する、任意のその他の材料も含んでよい。
【0031】
生成したダイヤモンドを有する材料は、約2.0〜3.0g/cmの密度範囲を有する。生成したダイヤモンドを有する材料の表面化学は、爆轟の最中および後の粒子表面上に形成する有機アルキル官能基量に関連する、様々な程度の吸湿性挙動を示す。主なメチル官能基は、例えば、当該材料に撥水性を与える。
【0032】
ダイヤモンドを有する材料の表面は、様々な非晶質炭素の重量百分率を示す。当該ダイヤモンドを有する材料は、40〜50Åの範囲内にあるナノ粒子より大きく、これに限定されない広範な粒径分布を有する。当該ダイヤモンドを有する材料は、統合ダイヤモンド、非ダイヤモンド粒子、および多結晶性ダイヤモンドからある程度成る。
【0033】
本発明によるダイヤモンドを有する材料を製造するための方法の1つの実施形態は、下記のステップから成る:
a.二酸化炭素、燃料、および潜在的に増感剤を混合することによって弾薬を調製し、金属パイプまたはボール紙の筒等の、円筒形に成形された容器をその混合物で充填する。以下のように混合を促進することができる:
i)大気圧で、破砕された二酸化炭素(ドライアイス)をその他の原料と物理的に混合物ことにより、または、
ii)大気圧で、新たに得られた液体二酸化炭素をその他の原料と混合することにより(高圧の容器から吸い出される場合、固体のドライアイスに変化する前の短期間に、二酸化炭素は液体として存在する)、または、
iii)原料が液体状態にある二酸化炭素に添加される高圧下で、混合を促進することができる。高圧の液体二酸化炭素およびその他の原料のスラリーは、高圧混合器内で大気圧に減圧され(図2を参照されたい)、これは、全ての原料が均一に分散した状態で当該調合物を硬化させる。減圧速度の制御は、最終的な弾薬の密度を操作するのに用いることができる。
b.当該弾薬は、炭素に対して不活性であり、爆轟の副生成物を冷却する媒体を含む環境内で爆轟される。
c.炭素を含む爆轟の副生成物は、粒径および粒子相(非晶質に対するダイヤモンド、およびその混合物)によって分離される。
【0034】
本発明の弾薬組立体におけるステップおよび原理(CDP弾薬)
1.調合物
本発明のCDPのマグネシウムとアルミニウム調合物は、爆発性混合物のためのエネルギー基準に適しており、これは必要に応じて反応速度を改善するために化学的に増感させることができる。
【0035】
a)マグネシウムに基づいて:
2Mg+CO→2MgO+C 放出されたエネルギー:8.75kJ/g(混合物)
52.5重量%のMg+47.5重量%のCO→ゼロの酸素平衡
b)アルミニウムに基づいて:
(4/3)Al+CO→(2/3)Al+C 放出されたエネルギー:9.05kJ/g(混合物)
45重量%のAl+55重量%のCO
比較:
TNTに対して放出されたエネルギー:4.10kJ/g
ニトログリセリンに対して放出されたエネルギー:6.38kJ/g
【0036】
本発明によるCDP調合物は、ニトログリセリンおよびTNT等の従来の爆発物より、調合物1g当たりより多くのエネルギーを与える。それ故、CDP調合物を爆轟する能力は、放出されたエネルギーの速度が爆轟の衝撃波を持続するのに十分速いかどうかに左右される。反応速度は、弾薬の直径、起爆量(点火薬または伝爆薬の大きさ)、弾薬の閉じ込め、密度、温度、および化学感応性に大きく影響される。RDXのような爆発物等の増感剤の添加により、反応速度が増加する。真珠岩またはガラスバルーン等の増量剤の添加は、密度を制御するのに用いることができる。CDP調合物は、液体二酸化炭素の粘性に影響を及ぼすか、または、その他の原料を完全に溶解または乳化するその能力に影響を及ぼす原料も含み得る。
【0037】
2.弾薬の寸法と閉じ込め
CDP調合物の爆発性能の調査は、4インチ×2.5フィートの追加の重いゲージパイプ(EH)を充填することから始まる。超重量ゲージ金属パイプ等の、著しく閉じ込められた円筒内では、内径が2〜4インチの採掘用爆発物の弾薬が適した起爆を伴って首尾よく爆轟するだろう。
【0038】
適した爆轟に要求される弾薬の長さを決定する際の確かな経験則は、8倍の直径(Katsabanis博士「爆発物技術(Explosives Technology)」)である。従って、内径が3インチである場合、その弾薬の長さは少なくとも8×3インチ=24インチ、つまり2フィートであるべきである。3.3インチの内径を有する4インチのEHパイプを用いる場合、弾薬の長さは少なくとも2.5フィートである。超重量ゲージパイプによって与えられた著しい閉じ込めで、より軽いゲージのパイプまたはボール紙の筒のような代替の輸送容器と比較した場合、爆轟を持続するのに要求される臨界直径が低下する。
【0039】
3.爆轟
本発明の調合物で充填されたパイプはCDP弾薬と呼ばれる。CDP弾薬を爆轟させる手段の1つの実施形態は、適切な大きさの伝爆薬および起爆剤を当該弾薬に装備することである。CDP弾薬を伴う目的は爆轟を開始する十分に強い衝撃波をCDP弾薬に与えることであり、最大衝撃は、その直径が当該弾薬の直径と密接に適合する十分に大きい伝爆薬によって伝播される。
【0040】
CDP弾薬の爆轟は、爆発物でパイプの内壁を裏打ちする際のように、または、CDP調合物で爆発物を包囲することによるように、弾薬の任意の部分を通じた放電、熱発火、発射体をそれに発射すること、それを例えば水圧機からの高圧に曝すこと、または、調合物に添加されたか、あるいは、爆轟手順と併用して用いられるかの何れかの追加の爆発物の使用等の、その他の手段によっても開始されてよい。
【0041】
追加の爆発物を用いる場合、CDP調合物は中立から負の酸素平衡を有する爆発物を使用する可能性があり、その全体の酸素平衡は、二酸化炭素原料中にある炭素を除けば、全ての原料を用いて計算されるだろう。
【0042】
爆轟速度またはVOD
CDP弾薬の爆轟圧の決定は、VODの測定を必要とする。試験毎にVODを決定および記録することは、爆発性能および副生成物の組成物に対する弾薬調製および爆轟法の効果を決定するのに用いることができるデータを提供する。
【0043】
MREL(www.mrel.comを参照されたい)製のHandiTrap II(連続爆発物VOD記録計)等の携帯機器は、この情報を測定および記録するために、Windows(登録商標)系コンピュータとともに用いることができる。探針が充填する前にCDP弾薬のパイプの中に挿入され、その探針は爆轟で消費される。
【0044】
5.ダイヤモンドに対する副生成物の分析
本発明の1つの実施形態は、副生成物を回収する爆轟用井と、試料分析のための分析実験室への接近手段とを必要とする。この手法を用いる場合、爆轟用容器内で一般的に1と示されるCDP弾薬は、図1で例解されるように、水3で充填された円筒形井2の中心に内在し、その後爆轟される。副生成物4は井の底に沈み、そこで、一部の水を流し濾過することによって副生成物が回収される。水溶性の陰イオン性重合体等の凝集剤は、副生成物の沈殿で支援するのに使用することができる。クイーンズ大学等の、必要な設備を有する任意の機関を通じて提供することができるサービスである、レーザ反射技術を用いることによって試料を分析することができる。
【0045】
6.高圧下におけるCDP弾薬の調製
弾薬調製の範囲における本発明の1つの実施形態は、高圧下で原料を混合することである。図2で例解して示唆されている原型は、混合および密度設定の両方のために用いることができる。
【0046】
固体原料をドライアイスで冷却した高圧混合器5に添加し、それに蓋を被せ、高圧の液体COを容器6に送り込み、その後、その内容物を磁性撹拌器7で撹拌することによって弾薬を調製する。その材料が十分に混合された時点で、当該混合器内の圧力を大気圧に下げるために弁8を開き、これによりそのスラリーを凝固させ、その原料を均質に懸濁させる。
【0047】
その混合物が完全に凝固した時点で、蓋9を安全に開けることができ、弾薬1を1つの固体片として取り出すことができる。混合する前にボール紙の筒を挿入することは、新たに調製した弾薬の容易な取り出しに役立ち、これをその後そのまま爆轟することができ、または所望の閉じ込めの金属パイプ(爆轟用容器)内に挿入することができる。減圧速度の制御は、最終的な弾薬密度を設定するために用いることができる。
【0048】
当該混合器の目的は、原料を首尾よく混合することができるように、COが液体状態にある環境を作り出すことである。図3で見られる温度相図は、COを液化する温度および圧力の組み合わせを決定するのに役立つ。
【0049】
CDP調合物を試験するステップは、図4〜5で例解されている反復過程である。RDX等の増感剤の使用は、反応速度を増加させる必要があることを試験が明らかにする段階のみで調査される。液体COの溶媒様の性質に基づいて、RDXおよびその他有機増感剤は様々な溶解度を示すだろう。有機増感剤の溶解性は、適切な界面活性剤を添加することによって促進することができる。
【0050】
CDP調合物は、混合相内における固体原料の均一な分布を保証する目的で、液体二酸化炭素の全体の粘性に影響を及ぼす作用物質を含んでよい。
【0051】
7.CDP―代替の用途
本発明の調合物は、工業用ダイヤモンド材料を作り出す以外の用途のために用いることができる。爆発物としては、CDP調合物は採炭業において「許容される爆薬」として使用できる。許容される爆薬用途のためにCDP調合物を使用する方法の1つの実施形態は、即時利用のための弾薬を調製すること、または、材料が硬化し爆発させる準備ができる掘削孔内へCDP調合物を直接送り込むことだろう。
【0052】
CDP調合物を伴う別の手法は推進剤の範囲にある。火花または火炎で点火された時、CDP調合物は非常に勢いよくかつ高温で燃焼する。過剰な二酸化炭素を当該調合物に添加すること、または、CDP調合物の固体核を固体二酸化炭素で裏打ちすることは、CDP調合物を燃焼させる熱が、非常に高い圧力を生み出すだろう任意の追加の二酸化炭素を蒸発させる可能性があるので、仕事をするように利用できるだろう相当な推進力を与えるだろう。
【実施例】
【0053】
CDP調合物の例
実施例1:燃料としてのマグネシウムに基づく反応および調合
52.5%Mg+47.5%CO→87.0%MgO+13%C
CDP調合物は、燃料を消費するのに要求されるCOの量を満たすか上回り、これは中立から正の酸素平衡をもたらすということに留意されたい。
【0054】
【表1】

爆発性増感剤は、混合物の総重量の10〜70%の範囲の割合で上記調合物に添加することができる。増感剤は、混合全体を通じて爆轟法を伝播するのに必要なエネルギーを加える。RDX等のゼロの酸素平衡を有する増感剤が、全体の酸素平衡に影響を及ぼさないので、好適である。
【0055】
必要な増感剤の量は、燃料源の組成および粒径に依存する。例えば、本発明の調合物中でマグネシウムを燃料として用いる場合、より粗挽きのマグネシウムがより高いエネルギー需要を反応に課し、これは増感剤によって利用可能となったエネルギーにより相殺される必要がある。
【0056】
実施例2.燃料としてのアルミニウムに基づく反応および調合
45%Al+55%CO→85%Al+15%C
CDP調合物は、燃料を消費するのに要求されるCOの量を満たすか上回り、これは中立から正の酸素平衡をもたらすということに留意されたい。
【表2】

【0057】
CDP試験
全ての弾薬を以下の手法で試験する:
a)4インチ×2.5フィートのEHパイプ、調合物は非増感
b)混合密度(〜1.5g/cc)および以下の密度(1.25g/ccおよび1.0g/cc)で試験する
c)VOD測定に基づき、必要であればRDXの濃度を変動させ、10%で開始し、5%の増分で増加する状態で、最もエネルギー的に反応性の高い密度を試験する
d)増感剤の百分率に応じてVODを決定する
e)増感剤の百分率に応じて炭素相および大きさ分布を決定する。
【0058】
試料を調製し、爆轟し、そのVODを測定する。3.3インチの内径を有する、4インチ×2.5インチのEHパイプで第1の試験を行う。最初の結果は、増感剤を含まない様々なCDP調合物にわたって爆発性能を明らかにする。試験が完了し、最良に進行する方法を示唆するので、VODの結果は今もなお指標となる。
【0059】
凝固速度および混合速度を制御することによって、弾薬密度を操作する。より大きい密度の制御が必要であると試験が明らかにする場合、その時真珠岩のような適切な増量剤を当該調合物に添加して密度を減らす。増量剤を添加することの1つの不利点は、調合物1g当たりのエネルギーの比例減少であり、このことでその後VODおよび爆轟圧は低下し得るだろう。
【0060】
初期の調合物の試験が反応速度を増加させる必要性を示唆する場合、代替の還元剤、より大きい直径のパイプを用いて、および、より高い割合のRDXまたは異なる増感剤を用いて試験を繰り返すことができる。爆発性のRDXは1g当たり所望のレベルのエネルギーを与え、より低温でより感度が高くなると、魅力的な増感剤の候補になる(ウィキペディア―RDX、特性(RDX, Properties))。液体COの有機溶媒様の性質に起因して、RDX等の炭素系増感剤は、特に界面活性剤の支援で容易に可溶になるはずである。増感剤の完全な溶解性は、原料の間のより大きい接触のために、CDP弾薬の全体の感度を増強する。
【0061】
多数の修正、変更、および適合が、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を逸脱せずに、上記の本発明の具体的な実施形態に対して可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正から中立の酸素平衡を有する爆発性調合物の爆轟から、様々な大きさのダイヤモンドを有する材料を製造する方法であって、下記のステップ:
(a)酸化剤と、前記酸化剤を爆轟の際に発熱的に分解する材料とを混合することによって、弾薬を調製するステップと、
(b)炭素に対して不活性であり、かつ爆轟の副生成物を冷却する媒体を含む環境内において、前記弾薬を爆轟させるステップと、
(c)炭素を含む爆轟の副生成物を、粒径および粒子相によって分離するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記酸化剤が二酸化炭素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤を発熱的に分解する材料が、粉末状金属または噴霧金属から成る群から選択される還元剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉末状金属または噴霧金属がアルミニウムまたはマグネシウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素が、破砕された二酸化炭素(ドライアイス)、液体二酸化炭素、または、高圧の液体二酸化炭素のスラリーから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記弾薬が、酸素を含まない水で充填された爆轟用チャンバー内に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
爆発性増感剤が前記弾薬に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸化剤、および、前記酸化剤を分解する材料を含む、ダイヤモンドを有する材料のための爆轟可能な調合物。
【請求項9】
衝撃波を持続することができ、かつ、二酸化炭素を還元剤とともにエネルギー放出のための基礎として用いる、請求項7に記載の爆轟可能な調合物。
【請求項10】
爆轟の副生成物として炭素を生み出し、かつ中立から正の炭素平衡を有する、請求項7または8に記載の爆轟可能な調合物。
【請求項11】
二酸化炭素および還元剤の可燃性調合物と、前記調合物を推進剤として用いることができるように、前記調合物を混合して調製する手段。
【請求項12】
請求項1〜7の何れかに記載の方法によって調製された、ダイヤモンドを有する材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−507784(P2011−507784A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538294(P2010−538294)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/CA2008/002198
【国際公開番号】WO2009/079758
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510172882)
【Fターム(参考)】