説明

正倒立噴出可能な液体噴出器

【課題】正立時も倒立時も確実に液の噴出が可能であり、しかも構造が簡単であり、従来の蓄圧式の液体噴出器に簡単な改良を施すことで形成できる優れた正倒立噴出可能な液体噴出器を提案する。
【解決手段】第1逆止弁30を有し、筒壁に還流孔25を有するシリンダB2に対して、蓄圧式の吐出弁52を有する作動部材B3を装着し、シリンダB2外周に上部を嵌合させ、倒立時に上流から下流への流れを遮断する第2逆止弁60を備え、更に、還流孔25から第1逆止弁30と第2逆止弁60との間に連通させる還流路61を設けた筒状のアダプターB4を備え、正立時には第2逆止弁60、第1逆止弁30を介してシリンダB2内に液が供給され、倒立時にはアダプターB4の開口より還流路61、第1逆止弁30を介してシリンダB2内に液が供給され、正立時にシリンダB2内の液の一部を還流路61に供給する還流機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は正倒立噴出可能な液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
正立状態だけでなく、倒立させた状態でも液の噴出が可能な正倒立噴出可能な噴出器が種々提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
上記特許文献1に記載された噴出器は、シリンダの下端にシリンダカバーを介して、上方ボール弁を備えた上側ブッシュ、及び、下方ボール弁を備えた下側ブッシュをブッシュカバー内に収納したものを嵌着した複雑な構造をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−143617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は正立時も倒立時も確実に液の噴出が可能であり、しかも構造が簡単であり、従来の蓄圧式の液体噴出器に簡単な改良を施すことで形成できる優れた正倒立噴出可能な液体噴出器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上流から下流への一方的流通が可能な第1逆止弁30を下部に備えるとともに、筒壁に還流孔25を穿設したシリンダB2と、シリンダB2に対して上方付勢状態で押し込み可能に装着するとともに、蓄圧式の吐出弁52を備えた作動部材B3と、シリンダB2外周に上部を嵌合させるとともに、倒立時に上流から下流への流れを遮断する第2逆止弁60を下部に備え、且つ、還流孔25から第1逆止弁30と第2逆止弁60との間に連通させる還流路61をシリンダB2との間に設けた筒状のアダプターB4とを備え、正立時には作動部材B3の上下動により第2逆止弁60、第1逆止弁30を介してシリンダB2内に液が供給され、倒立時には作動部材の上下動によりアダプターB4の開口より還流路61、第1逆止弁30を介してシリンダB2内に液が供給され、正立時の作動部材B3の上下動によりシリンダB2内の液の一部を還流路61に供給する還流機構を備えている。
【0007】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、還流機構を、シリンダB2の内面所定位置に設けた環状凹部24と、作動部材B3の下端部に設けた小径ピストン42と、小径ピストン42上方所定位置の作動部材B3外周に設けた補助ピストン45とで構成し、作動部材B3の押し下げ時の小径ピストン42が環状凹部24に差し掛かった後にシリンダB2内の液の一部が小径ピストン42と環状凹部24との隙間から補助ピストン45の下方に位置する還流孔25を介して還流路61に導入される。
【0008】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、アダプターB4の上端部の還流孔25対向位置に、還流路61と連通する液溜り用空間67を設けた。
【0009】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、アダプターB4の内周下部に、内面をシリンダB2外周に近接させた縦リブ63を周方向複数突設した。
【0010】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、第1逆止弁30を、シリンダB2下部に形成された第1逆止弁座22と、第1逆止弁座22上に載置された玉状の第1逆止弁体29とで構成し、第1逆止弁座22上方のシリンダ周壁部20内に周方向複数嵌着した支持板28によりシリンダB2内中央に支持された整流用の棒体27下面と、第1逆止弁座22上面との間を第1逆止弁体29の移動が可能に設け、第2逆止弁60は、アダプターB4の筒壁62下部に突設した第2逆止弁座64と、正立時その下方の係止突起66上に液の流通が可能に係止された玉状の第2逆止弁体65とで構成した。
【0011】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第5の手段のいずれかの手段に於いて、作動部材B3は、シリンダB2内を摺動する小径ピストン42を下部外周に、大径ピストン43を上部外周にそれぞれ突設するとともに、先端を吐出弁体44に形成し、且つ、シリンダB2内から大径ピストン43上方に至る流路46を備えた連通管B3a と、大径ピストン43が摺動する大径シリンダ50を備えるとともに、連通管B3a 先端の吐出弁体44が圧接する吐出弁座51とで蓄圧式の吐出弁52を構成し、且つ、大径シリンダ50内から吐出弁52を介して噴出口53に連通させる噴出路54を備えた噴出ヘッドB3b とを備え、蓄圧式の吐出弁52が、シリンダB2と大径シリンダ50との径差により生じる液圧で開口する如く構成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シリンダB2の一部の構造を変更し、シリンダB2に筒状のアダプターB4を装着するという極めて簡単な構造変更により、正立時にも倒立時にも安定した液の噴出が可能な正倒立噴出可能な液体噴出器を得られる。
【0013】
還流機構を、シリンダB2の内面所定位置に設けた環状凹部24と、作動部材B3の下端部に設けた小径ピストン42と、小径ピストン42上方所定位置の作動部材B3外周に設けた補助ピストン45とで構成し、作動部材B3の押し下げ時の小径ピストン42が環状凹部24に差し掛かった後にシリンダB2内の液の一部が小径ピストン42と環状凹部24との隙間から補助ピストン45の下方に位置する還流孔25を介して還流路61に導入される如く構成した場合には、構造が極めて簡単に効率の良い還流を行える。

【0014】
アダプターB4の上端部の還流孔25対向位置に、還流路61と連通する液溜り用空間67を設けた場合には、還流孔25から排出される還流液が一時液溜り用空間67内に溜まって狭い還流路61に円滑に導入される。
【0015】
第1逆止弁30を、シリンダB2下部に形成された第1逆止弁座22と、第1逆止弁座22上に載置された玉状の第1逆止弁体29とで構成し、第1逆止弁座22上方のシリンダ周壁部20内に周方向複数嵌着した支持板28によりシリンダB2内中央に支持された整流用の棒体27下面と、第1逆止弁座22上面との間を第1逆止弁体29の移動が可能に設け、第2逆止弁60は、アダプターB4の筒壁62下部に突設した第2逆止弁座64と、正立時その下方の係止突起66上に液の流通が可能に係止された玉状の第2逆止弁体65とで構成した場合には、各第1逆止弁30、第2逆止弁60の構造が簡単で組み付け操作も簡単となる。
【0016】
作動部材B3は、シリンダB2内を摺動する小径ピストン42を下部外周に、大径ピストン43を上部外周にそれぞれ突設するとともに、先端を吐出弁体44に形成し、且つ、シリンダB2内から大径ピストン43上方に至る流路46を備えた連通管B3a と、大径ピストン43が摺動する大径シリンダ50を備えるとともに、連通管B3a 先端の吐出弁体44が圧接する吐出弁座51とで蓄圧式の吐出弁52を構成し、且つ、大径シリンダ50内から吐出弁52を介して噴出口53に連通させる噴出路54を備えた噴出ヘッドB3b とを備え、蓄圧式の吐出弁52が、シリンダB2と大径シリンダ50との径差により生じる液圧で開口する如く構成した場合には、従来のこの種の構造をそのまま使用できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】正倒立噴出可能な液体噴出器の半断面図である。(実施例1)
【図2】ポンプを容器体に装着した状態の液体噴出器の要部拡大半断面図である。(実施例1)
【図3】プライミング時の液体噴出器の要部拡大半断面図である。(実施例1)
【図4】倒立状態の液体噴出器の要部拡大半断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、容器体AにポンプBを装着して形成された液体噴出器1の一例を示す。
【0020】
容器体Aは、胴部2より肩部3を介して口頸部4を起立している。
【0021】
ポンプBは、装着キャップB1と、シリンダB2と、作動部材B3と、アダプターB4と、パイプB5とを備えている。
【0022】
装着キャップB1は、口頸部4外周に嵌合させる周壁10の上端縁よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11の内周縁部より係止筒12を、その外方より案内筒13をそれぞれ立設している。
【0023】
シリンダB2は、上下端を開口した筒状をなし、周壁部20上端より外方へフランジ21を突設している。本例では、周壁部20の下端部が小径部20a に形成され、小径部20a の上端より上方へ拡がるテ−パ状の下部傾斜部20b を介して中径部20c を上方へ延設し、中径部20c の上端より上方へ拡がるテ−パ状の上部傾斜部20d を介して大径部20e を延設し、大径部20e の上端縁よりフランジ21を延設している。また、下部傾斜部20b の内面下部を第1逆止弁座22に形成し、上部には上面が上向き段部23をなす突部を周設している。更に、上部傾斜部20d の下端部内面には、還流機構を構成する環状凹部24を凹設しており、環状凹部24上方所定位置の大径部20e には還流孔25を穿設している。また、還流孔25の上方所定位置の大径部20e には外気導入孔26を穿設している。
【0024】
シリンダB2内中央部には液の流通が可能に整流用の棒体27を支持している。この棒体27は、上向き段部23上面に下面を、シリンダB2内面に外面をそれぞれ嵌着した支持板28を、外周下端部に周方向複数突設した棒状をなしている。また、第1逆止弁座22上には玉状の第1逆止弁体29を載置して第1逆止弁30を構成しており、この第1逆止弁体29は、整流用の棒体27下面と第1逆止弁座22上面との間を移動が可能に装着されている。この様に構成されたシリンダB2は、装着キャップB1の頂壁11裏面にフランジ21を嵌着して一体化しており、装着キャップB1を口頸部4外周に嵌合することで、パッキンpを介してフランジ21を口頸部4上面に液密に圧接し、周壁部20を容器体A内に垂下した状態で装着される。
【0025】
作動部材B3は、シリンダB2に対して上方付勢状態で押し込み可能に装着している。本例に於ける作動部材B3は、連通管B3a と、噴出ヘッドB3b とを備えている。
【0026】
連通管B3a は、下部を筒状部40に、上部を棒状部41に形成され、筒状部40の外周下部より、シリンダB2内を摺動する環状の小径ピストン42を突周設している。また、棒状部41の外周上部より環状の大径ピストン43を突周設している。更に、棒状部41の先端は円錐状に形成して吐出弁体44を構成している。また、小径ピストン42と大径ピストン43との中間部所定位置である筒状部40外周にシリンダB2内周を摺動する還流機構を構成する補助ピストン45を突設している。この補助ピストン45は外気導入孔26の上方位置から還流孔25の上方位置までの上下動が可能に装着されている。更に、シリンダB2内から連通管B3a 内を介して後述する大径シリンダ内に連通する流路46を備えている。尚、本例では連通管B3a を二部材で形成している。また、筒状部40の下面と整流用の棒体27の各支持板28上面との間にコイルスプリングsを介在させている。
【0027】
噴出ヘッドB3b は、大径ピストン43が摺動する大径シリンダ50を備えるとともに、連通管B3a 先端の吐出弁体44が圧接する吐出弁座51とで蓄圧式の吐出弁52を構成し、且つ、大径シリンダ50内から吐出弁52を介して噴出口53に連通させる噴出路54を備えている。また、外周壁55下端を係止筒12と案内筒13との間に押し下げが可能に望ませ、大径シリンダ50の下端外周に突設した係合突条を係止筒12の内周上部に突周設した係止突条に係止させて上方への抜け出しを防止している。
【0028】
そして、噴出ヘッドB3b を押し下げることで作動部材B3を押し下げると、シリンダB2及び大径シリンダ50内が加圧され、この際シリンダB2と大径シリンダ50との径差により生じる液圧で吐出弁52が開口する如く構成している。
【0029】
アダプターB4は、シリンダB2外周に上部を嵌合させるとともに、倒立時に上流から下流への流れを遮断する第2逆止弁60を下部に備え、且つ、還流孔25から第1逆止弁30と第2逆止弁60との間に連通させる還流路61をシリンダB2との間に設けた筒状をなしている。
【0030】
本例では、筒壁62の下端部を小径の第1筒壁部62a とし、第1筒壁部62a の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第1傾斜部62b を介して第2筒壁部62c を延設し、第2筒壁部62c の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第2傾斜部62d を介して第3筒壁部62e を上方へ延設し、更に、第3筒壁部62e の上端より上方へ拡がるテ−パ状の第3傾斜部62f を介して第4筒壁部62g を上方へ延設している。
【0031】
そして、第1筒壁部62a の上端部をシリンダB2の小径部20a 外周に、内面に周方向複数設けた縦リブ63を介して嵌合させ、第1傾斜部62b を下部傾斜部20b 外方へ、第2筒壁部62c を中径部20c 外方へ、第2傾斜部62d を上部傾斜部20d 外方へ、第3筒壁部62e を大径部20e 外方へ、第4筒壁部62g を還流孔25外方の大径部20e 外方へ、それぞれ位置させ、シリンダB2との間に還流路61を形成する隙間をあけてシリンダB2外周にアダプターB4を嵌着している。尚、第4筒壁部62g はその他の傾斜部や筒壁部と比較してシリンダB2との間に大きな隙間を形成する如く大径に形成し、装着時にその内方に液溜り用空間67を形成している。液溜り用空間67は還流孔25からの排出が可能な位置に設けている。尚、本例では還流路61を縦リブ63でアダプターB4を支持することで円周状に形成しているが、これに限らず、収容液の粘度等の物性を考慮して縦溝状に形成することも当然可能である。
【0032】
また、第1筒壁部62a 下端部には、パイプB5の上端を嵌着して容器体A内の下部へ下端を垂下している。
【0033】
また、第1筒壁部62a 内面のパイプB5とシリンダ小径部20a との間には、その上部に第2逆止弁座64を突設しており、第2逆止弁座64下方には玉状の第2逆止弁体65を液の流通が可能に係止する係止突起66を突設しており、第2逆止弁座64と第2逆止弁体65とで第2逆止弁60を構成している。
【0034】
上記の如く構成された液体噴出器1を使用する場合について説明する。図1の状態は正立状態であり、容器体Aに対してポンプBを装着した直後の状態である。この状態では図2の要部拡大図で示す如く、容器体A内の液面aと同レベルまで還流路61内に液が満たされる(液面b)。この状態から作動部材B3を上下動させると、図3に示す如く、シリンダB2内にも液が充填されて噴出が可能な状態となる。このプライミングの際に還流路61内の液も吸引されるが、作動部材B3の下降時に小径ピストン42が環状凹部24に差し掛かると、シリンダB2内の液の一部が小径ピストン42と環状凹部24との隙間から補助ピストン45の下方に位置する還流孔25を介して還流路61に排出されて還流路61内の液面bが上方まで上昇する。
【0035】
この様に液の噴出が可能となった状態から作動部材B3を押し下げると、シリンダB2内が加圧され、シリンダB2内と流路46を介して連通する大径シリンダ50内も加圧される。この際シリンダB2と大径シリンダ50の径差により大径シリンダ50内の圧がシリンダB2内の圧より大きくなるため、連通管B3a が噴出ヘッドB3b に対して下方へ移行し、吐出弁52が開いて加圧液が噴出路54を介して噴出口53より噴出される。作動部材B3の押圧を解除すると、コイルスプリングsの作用で作動部材B3は上昇し、負圧化したシリンダB2内に、パイプB5、シリンダB2の小径部20a を介し、第1逆止弁30を開いて容器体A内の液がシリンダB2内に導入される。
【0036】
一方、作動部材B3の上昇時には還流路61内の液も一部がシリンダB2内に吸引されるが、作動部材B3の下降時に小径ピストン42が環状凹部24に差し掛かった後に上記と同様に一部の加圧液が還流孔25を介して還流路61内に供給されるため、還流路61内の液が枯渇することはない。また、還流孔25からの液は液溜り用空間67に一端排出されるため、そこから狭い還流路61に円滑に液が導入される。
【0037】
また、液体噴出器1を倒立させると、図4に示す如く、第2逆止弁60が閉じ、容器体A内と還流路61を介してシリンダB2内が連通する。この状態から作動部材B3を押し込むと、シリンダB2内が加圧されて第1逆止弁体29が第1逆止弁座22に圧接されて第1逆止弁30が閉じ、また、シリンダB2内と流路46を介して連通する大径シリンダ50内も加圧される。従って正立状態と同様に連通管B3a が噴出ヘッドB3b に対して離間方向へ移行し、吐出弁52が開いて加圧液が噴出路54を介して噴出口53より噴出される。作動部材B3の押圧を解除すると、コイルスプリングsの作用で作動部材B3は下降し、負圧化したシリンダB2内に、アダプターB4の筒壁62の開口部より、還流路61、自重で下降した第1逆止弁体29により開放された第1逆止弁30を介して容器体A内の液が導入される。
【0038】
また、図4の状態から再び液体噴出器1を正立させれば上記正立状態に戻る。
【符号の説明】
【0039】
1…液体噴出器
A…容器体
2…胴部,3…肩部,4…口頸部
B…ポンプ
B1…装着キャップ
10…周壁,11…頂壁,12…係止筒,13…案内筒
B2…シリンダ
20…周壁部,20a …小径部,20b …下部傾斜部,20c …中径部,20d …上下傾斜部,
20e …大径部,21…フランジ,22…第1逆止弁座,23…上向き段部,24…環状凹部,
25…還流孔,26…外気導入孔,27…整流用の棒体,28…支持板,29…第1逆止弁体,
30…第1逆止弁
B3…作動部材
B3a …連通管
40…筒状部,41…棒状部,42…小径ピストン,43…大径ピストン,44…吐出弁体,
45…補助ピストン, 46…流路
B3b …噴出ヘッド
50…大径シリンダ,51…吐出弁座,52…吐出弁,53…噴出口,54…噴出路,55…外周壁
B4…アダプター
60…第2逆止弁,61…還流路,62筒壁,62a …第1筒壁部,62b …第1傾斜部,
62c …第2筒壁部,62d …第2傾斜部,62e …第3筒壁部,62f …第3傾斜部,
62g …第4筒壁部
63…縦リブ,64…第2逆止弁座,65…第2逆止弁体,66…係止突起,67…液溜り用空間
B5…パイプ
p…パッキン
s…コイルスプリング
a…液面
b…液面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流への一方的流通が可能な第1逆止弁(30)を下部に備えるとともに、筒壁に還流孔(25)を穿設したシリンダ(B2)と、シリンダ(B2)に対して上方付勢状態で押し込み可能に装着するとともに、蓄圧式の吐出弁(52)を備えた作動部材(B3)と、シリンダ(B2)外周に上部を嵌合させるとともに、倒立時に上流から下流への流れを遮断する第2逆止弁(60)を下部に備え、且つ、還流孔(25)から第1逆止弁(30)と第2逆止弁(60)との間に連通させる還流路(61)をシリンダ(B2)との間に設けた筒状のアダプター(B4)とを備え、正立時には作動部材(B3)の上下動により第2逆止弁(60)、第1逆止弁(30)を介してシリンダ(B2)内に液が供給され、倒立時には作動部材の上下動によりアダプター(B4)の開口より還流路(61)、第1逆止弁(30)を介してシリンダ(B2)内に液が供給され、正立時の作動部材(B3)の上下動によりシリンダ(B2)内の液の一部を還流路(61)に供給する還流機構を備えていることを特徴とする正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項2】
還流機構を、シリンダ(B2)の内面所定位置に設けた環状凹部(24)と、作動部材(B3)の下端部に設けた小径ピストン(42)と、小径ピストン(42)上方所定位置の作動部材(B3)外周に設けた補助ピストン(45)とで構成し、作動部材(B3)の押し下げ時の小径ピストン(42)が環状凹部(24)に差し掛かった後にシリンダ(B2)内の液の一部が小径ピストン(42)と環状凹部(24)との隙間から補助ピストン(45)の下方に位置する還流孔(25)を介して還流路(61)に導入される請求項1記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項3】
アダプター(B4)の上端部の還流孔(25)対向位置に、還流路(61)と連通する液溜り用空間(67)を設けた請求項2に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項4】
アダプター(B4)の内周下部に、内面をシリンダ(B2)外周に近接させた縦リブ(63)を周方向複数突設した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項5】
第1逆止弁(30)を、シリンダ(B2)下部に形成された第1逆止弁座(22)と、第1逆止弁座(22)上に載置された玉状の第1逆止弁体(29)とで構成し、第1逆止弁座(22)上方のシリンダ周壁部(20)内に周方向複数嵌着した支持板(28)によりシリンダ(B2)内中央に支持された整流用の棒体(27)下面と、第1逆止弁座(22)上面との間を第1逆止弁体(29)の移動が可能に設け、第2逆止弁(60)は、アダプター(B4)の筒壁(62)下部に突設した第2逆止弁座(64)と、正立時その下方の係止突起(66)上に液の流通が可能に係止された玉状の第2逆止弁体(65)とで構成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。
【請求項6】
作動部材(B3)は、シリンダ(B2)内を摺動する小径ピストン(42)を下部外周に、大径ピストン(43)を上部外周にそれぞれ突設するとともに、先端を吐出弁体(44)に形成し、且つ、シリンダ(B2)内から大径ピストン(43)上方に至る流路(46)を備えた連通管(B3a)と、大径ピストン(43)が摺動する大径シリンダ(50)を備えるとともに、連通管(B3a)先端の吐出弁体(44)が圧接する吐出弁座(51)とで蓄圧式の吐出弁(52)を構成し、且つ、大径シリンダ(50)内から吐出弁(52)を介して噴出口(53)に連通させる噴出路(54)を備えた噴出ヘッド(B3b)とを備え、蓄圧式の吐出弁(52)が、シリンダ(B2)と大径シリンダ(50)との径差により生じる液圧で開口する如く構成した請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の正倒立噴出可能な液体噴出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−245463(P2011−245463A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124448(P2010−124448)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】