説明

歩行リハビリテーション方法及び器械

少なくとも一つの不完全な歩行要素を特定することと、前記不完全な歩行要素をリハビリテーション器械(300)を使用して個別に運動させることと、前記不完全な歩行要素を、少なくとも一つの別の歩行要素と協調して、前記リハビリテーション器械を使用して運動させることと、からなる歩行リハビリテーションの方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2004年2月5日に出願された米国仮出願第60/542,022号、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,428号、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,429号、及び、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,442号の米国特許法119条(e)に基づく利益を主張するものであり、これらの開示内容は参照により本願に取り込まれるものである。本願はまた、2004年4月29日に出願された米国仮出願第60/566,078号、2004年4月29日に出願された第60/566,079号、2004年4月25日に出願された米国仮出願第60/604,615号にも関連する。本願はまた、本願と同日に同一の出願人によって出願された、「音楽リハビリテーション」、「神経筋刺激」、「精密運動制御リハビリテーション」、「リハビリテーション運動並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、と題し、代理人整理番号第414/04396号、414/04400号、414/04401号、414/04213号、414/04404、及び414/04405号をそれぞれ有するPCT出願にも関連する。これら出願の開示内容は参照により本願に組み込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、リハビリテーションのための方法及び器械に関連する。
【背景技術】
【0003】
脳卒中、事故、その他の病状が、人が歩行(例えば、歩き方や走り方)をコントロールする能力を失う原因となることがある。長期にわたるリハビリテーションの間、患者は患者の歩行及び移動運動に寄与する体部位をコントロールする方法を再び学習する。
【0004】
リハビリテーションを提供するための1つのシステムが米国特許第No. 6,666,831号(「831号特許」)に記載されている。831号特許は、ロボット外骨格及びロボット外骨格を駆動するための制御システム(ロボット外骨格の製造方法、使用方法、及びその制御システムを含む)を記載している。ロボット外骨格は、その内部に組み込まれ、制御システムへフィードバックを提供するセンサをもつ。修正する圧力及びガイドを提供するために、脚が正常歩行から逸脱すると、脚自体の動作からのフィードバックが使用される。時間に対して位置が感知され、正常歩行プロファイルと比較される。年齢、体重、身長、及びその他の変数に対する母集団の研究に基づいて、様々な正常プロファイルが取得される。
【0005】
リハビリテーションを提供する別のシステムが、米国特許第6,689,075号(「075号特許」)に記載されている。075号特許は、患者を車椅子から持ち上げて、患者をトレッドミルまで移動し、トレッドミルの上に患者を降ろすための、動力リフト手段を支持する支持構造を記載している。その上にミラーを備えた制御パネルが支持構造の一端に支持され、タッチスクリーン式データ入力/表示装置がパネルによって支持される。2つの類似した筐体がトレッドミルの両側に配置される。各筐体は、トレッドミルへのアクセスを容易にするために、旋回してトレッドミルから離れることのできる支持アームを旋回可能に支持する。各支持アームは第1の従属アームを旋回可能に支持し、第2の従属アームはそこから旋回可能に支持される。第1及び第2の従属アームを旋回軸に対して独立に動かすために、一対のサーボモータが各支持アームによって支持され、第1及び第2の従属アームに駆動可能に接続される。第1のアタッチメント・カフは、患者の脚に膝のちょうど上で取り付けるために、第1の従属アームに接続される。第2のアタッチメント・カフは、患者の足首に取り付けるために、第2の従属アームに接続される。支持アームは上下方向に調節可能であり、アタッチメント・カフは水平方向に調節可能である。第1のアタッチメント・カフは上下方向に調節可能であり、第2のアタッチメント・カフはその従属アームに対して上下方向に浮く。制御手段は、サーボモータ及びトレッドミルのための駆動手段に接続される。サーボモータは、患者の両脚を望ましい歩き方で動かすために、トレッドミルと従属アームとを協調して動作させるように従属アームを動かす。装置の膝ジョイントの起こり得るオーバートラベルのみならず、ホームポジションを感知するためのセンサ手段も備えられている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、第1の接触点としての足部を使って患者をリハビリテーションすることに関連する。足部に焦点を合わせることは、バランス・トレーニングに役立つ。一部の実施形態において、足部に焦点を合わせた運動は、座位のままでリハビリテーション活動を行うことを可能にする。片足でも、両足でも、任意選択的に患者とリハビリテーション・システムとの接触点として利用することができる。本発明の一部の実施形態において、リハビリテーションの一部として、少なくとも一つの足部を足首でX、Y、及びZ軸回りに回転させる。本発明の一部の実施形態において、足首を焦点として使用すると、装置をより小さくすることができる。
【0007】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、患者の歩行を改善するための、選択的かつ段階的な患者のリハビリテーションに関連する。患者の歩行の様々な実効的な要素を特に標的にし、患者の歩行改善を達成するために運動させることができる。
【0008】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランスを保つこと、障害物を乗り越えること、階段を上ること、斜面を上る動き、及び速度を変えること、からなるグループから複雑な歩行要素が選択される、歩行リハビリテーションの方法が提供される。
【0009】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の片側がリハビリテーションのために選択される。
【0010】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、特に歩行リハビリテーションについて、患者が座位のままリハビリテーションを受ける能力を患者に提供することに関連する。本発明は、車椅子のアクセスを提供するシステムを任意選択的に含む。代替的に、上下に動き、様々な方向に回転し、任意選択的に独立した背部支持具を含むアクティブ椅子が提供される。また、座位の患者のためにデザインされた特別な運動も提供される。任意選択的に、立位運動によってリハビリテーションが促進される。
【0011】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、一連のリハビリテーション・システムに患者が出入りすることを容易にする。一部の例では、例えば、大柄の患者や車椅子を受け入れるために観音開きする機能を様々なリハビリテーション・システムに与えることによって、出入りを容易にすることができる。別の例示的な実施形態では、椅子の背もたれが患者をすくい上げて、それによって、脇支持具が有っても無くても、患者を滑り落とし、及び、滑り入れることを可能にし、及び/又は、患者を前に押してリハビリテーション療法専用椅子の中へ入れる。更なる例示的な実施形態では、患者を配置へ動かすためにベルトが使用される。任意選択的に、脇支持具を備えた調節可能な棒が患者をリハビリテーション位置へ持ち上げることができ、又は代替的に患者を運動姿勢に傾ける椅子が提供される。任意選択的に、患者はリハビリテーション・システムによって支援されて立位になる。
【0012】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、制御可能な体重支持のためのハーネスと、付加的に腰のリハビリテーションを提供することに関連する。任意選択的に、ハーネスは少なくとも一つのシートと組み合わせて使用される。任意選択的に、ハーネスは少なくとも一つの脇支持具と組み合わせて使用される。
【0013】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、歩行をリハビリテーションするために、車椅子、松葉杖、スキーのストック、ハイキング用杖、又は歩行器を組み合わせて使用するリハビリテーション・システムを提供することに関する。
【0014】
本発明の一つの例示的な実施形態において、広い可動域で及び/又は複数の軸に対して患者を再訓練するリハビリテーション療法が提供される。
【0015】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションを促進するために、運動中に患者にフィードバックが提供される。任意選択的に、フィードバックは患者の認知状態に適応している。
【0016】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、持ち運びでき、及び/又は小さな診療所、老人ホーム、住宅、職場などの場所での使用に適した小さなサイズの、特に歩行リハビリテーションのための、リハビリテーション・システムを提供することに関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、スーツケースで持ち運びできるリハビリテーション・システムが提供される。任意選択的に、両側から使用できるリハビリテーションが提供される。
【0017】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、足部運動用の機構に関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、フットペダルはX軸及びZ軸の両方向に動くことができる。任意選択的に、例えばベルトを使用して、各軸方向の直線運動のためのモータが提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、この機構は、いつ患者の体重がペダルの上に乗せられなくなり、従って、加わる力が減ったかを検出する。本発明の一つの例示的な実施形態において、床との接触を模擬してペダルがX軸に沿って動くときに、ペダルはトラックによって支持されるため、モータ動力が軽減される。逆に、ペダルが「床」の高さよりも上にあるときには、患者の重さは通常は比較的に軽いので、比較的に小型のモータを使用することができる。恐らくは、一部の患者では、より大きな動力が必要となるが、「床」の高さにない足部に体重を乗せる患者に対しては任意選択的により低い正確さが用いられる。
【0018】
従って、
少なくとも一つの不完全な歩行要素を特定することと、
前記不完全な歩行要素をリハビリテーション器械を使用して個別に運動させることと、
前記不完全な歩行要素を、少なくとも一つの別の歩行要素と協調して、前記リハビリテーション器械を使用して運動させることと、
からなる、歩行リハビリテーションの方法が、本発明の一つの例示的な実施形態により提供される。任意選択的に、歩行要素は、脚、足部、腰、胴、肩、頭部、手、及び腕からなるグループから選択される。
【0019】
本発明の一つの例示的な実施形態において、この方法は複雑な歩行を訓練することを含む。任意選択的に、複雑な歩行は、バランス保持、障害物の乗り越え、後進、階段での動き、旋回、斜面での動き、及び速度変化からなるグループから選択される。
【0020】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記歩行リハビリテーションは座って行われる。任意選択的に、前記歩行リハビリテーションは車椅子に乗って行われる。
【0021】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記歩行リハビリテーションは、運動に役立つようにデザインされた物体を利用して行われる。任意選択的に、前記物体は、歩行器、松葉杖、スキーのストック、散歩用杖、又は杖からなるグループから選ばれる。
【0022】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、
運動中に少なくとも一つの歩行要素の位置を検出することと、
検出された少なくとも一つの歩行要素の位置を記録することと、
少なくとも一つの歩行要素の前記位置の記録を表示することと、
記録の表示に基づいて少なくとも一つの歩行要素を運動させることと、
からなる、歩行リハビリテーションの方法も提供される。任意選択的に、歩行要素は、脚、足部、腰、胴、肩、頭部、手、及び腕からなるグループから選択される。任意選択的に、前記検出のために少なくとも一つの位置センサが使用される。代替的に又は付加的に、前記検出のために少なくとも一つの光学式感知装置が使用される。代替的に又は付加的に、前記検出のために、少なくとも一つの位置センサと、少なくとも一つの光学式感知装置が使用される。代替的に又は付加的に、前記位置の記録は、リハビリテーションを受けている人によって行われる運動に関するものである。代替的に又は付加的に、前記位置の記録は、リハビリテーションを受けていない人によって行われる運動に関するものである。
【0023】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は前記位置の記録と比較して分析される。任意選択的に、前記分析に基づいて追加の運動が行われる。
【0024】
また、本発明の例示的な実施形態により、
表面に垂直な平面内を動くことに適合したモータ付きペダルと、
前記ペダルが前記表面に近接していてかつ平行な直線を動くとき、前記ペダル及び少なくとも40kgの患者の体重を支持することに適合したトラックと、
からなる、リハビリテーション用器械も提供される。
【0025】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、
平面と略平行なX軸上で器械の構成要素に運動を提供する第1のモータと、
表面に略垂直なZ軸上で器械の構成要素に運動を提供する第2のモータと、
前記第1及び第2のモータに動作可能に接続され、複数の軸の周りで回転する、少なくとも一つのフットペダル構成要素と、
からなる、リハビリテーション用器械も提供される。任意選択的に、この器械は、前記Z軸を最小値にしたまま前記X軸に沿って前記ペダルが移動するときに、患者の体重を支持するためのトラックを備える。代替的に又は付加的に、この器械はフット・レストを備え、患者の体重が前記フットレストに載せられると、前記第1及び第2のモータは前記フットペダル構成要素に提供する原動力の大きさを変える。
【0026】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器械は水中で使用することに適合している。
【0027】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器械は可搬式である。
【0028】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルは、患者の足部によって少なくとも一つの場所に加えられる患者の力を測定して分析するための圧力センサを備えている。
【0029】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルは、前記軸に垂直なY軸に沿って伸縮する能力を有する。本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルの回転及び伸縮機能を利用して、患者が仮想の曲線経路を辿りながら、旋回が訓練される。
【0030】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フット・レストはトレッドミルである。
【0031】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フット・レストは、第2のモータ付きフットペダルである。任意選択的に、前記器械は、前記患者の体重の配置に応じて前記ペダルの各々への力を変える。
【0032】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器械は、装置安定性強化のために伸長する脚支持具を更に備える。
【0033】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルは器械のどちら側にも取り付け可能である。
【0034】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルのZ軸方向の行程は、20〜50センチメートルである。
【0035】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルは、前記フットペダルの底部にて前記器械に接続されている。
【0036】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記フットペダルは義足を受け入れることに適合している。
【0037】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記第2のフットペダルは義足を受け入れることに適合している。
【0038】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の歩行補助具の使用に基づいて、前記モータは前記器械の少なくとも一部の構成要素への動きを変化させる。任意選択的に、前記歩行補助具は、杖、松葉杖、スキーのストック、散歩用杖、又は歩行器からなるグループから選ばれる。
【0039】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記患者は、座位のまま、前記器械と共に運動する。
【0040】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、
患者の足部を動かすことに適合した少なくとも一つの要素と、
少なくとも一つの脇支持具と、
前記支持具に支持された患者を座った姿勢から立った姿勢へと動かすように、前記脇支持具を動かすことに適合した少なくとも1つのモータと、
からなる、歩行訓練用器械も提供される。
【0041】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、
患者の足部を動かすことに適合した少なくとも一つの要素と、
座面を有する少なくとも一つの椅子と、
前記座面を傾斜させることに適合した少なくとも一つのモータと、
からなる、歩行訓練用器械も提供される。任意選択的に、前記シートは傾斜時に持ち上がる。代替的に又は付加的に、前記椅子は垂直軸の周りを回転する。代替的に又は付加的に、前記器械は背もたれを備え、前記椅子が前記モータによって動かされるときに、前記シートと前記背もたれとの関係が変化する。任意選択的に、前記椅子は、少なくとも一つの胴体支持具を備える。代替的に又は付加的に、前記背もたれはジョイントで連結されている。
【0042】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、
患者の足部にペダルを取り付けることと、
前記患者をリハビリテーションするために前記ペダルを回転することを自動的に制御することと、
からなる、歩行リハビリテーション方法も提供される。任意選択的に、前記回転は少なくとも2軸での回転である。代替的に又は付加的に、この方法は、前記回転中に前記足部の並進運動を自動的に制御することを含む。
【0043】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記回転を制御することは、回転範囲を制限することを含む。代替的に又は付加的に、前記回転を制御することは、回転角を制限することを含む。代替的に又は付加的に、前記回転を制御することは、回転に抵抗力を加えることを含む。代替的に又は付加的に、前記回転を制御することは、前記回転を起こすことを含む。代替的に又は付加的に、前記回転を制御することは、前記回転を開始することと、所望量が完了するまで回転が継続することを許容することと、を含む。
【0044】
本発明の一つの例示的な実施形態において、2つの足部を同時にリハビリテーションすることを含む。
【0045】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ペダルは表面に垂直な平面内で可動であり、前記回転を前記自動的に制御することは前記平面内の前記ペダルの運動に応答している。
【0046】
図と共に以下の例示的な実施形態の記載を参照して、本発明の非限定的な実施形態を説明する。概して図は一定の縮尺で記載されておらず、どの寸法も例示でしかなく、必ずしもこれに限定されるものではない。図において、1つ以上の図に現れる同一の構造、要素、又は部分は、それが現れる全ての図において、可能な限り同じ又は類似の番号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に図1を参照すると、本発明の一つの例示的な実施形態における歩行リハビリテーションの方法を説明するフローチャート100が示されている。アクション102にて、歩行リハビリテーションは、個々の患者の歩行における不完全な要素の特定から始まる。任意選択的に、患者の歩行を回復するために必要なリハビリテーションの範囲をリハビリテーション補助者が評価することを助ける様々な任意選択的な検査及び/又は運動を患者は受ける。任意選択的に、ここに記載される方法及び器械、及び/又は既知の方法及び器械と共に、検査が行われる。本発明の一部の例示的な実施形態において、歩行の要素には、足部と足首の動き、脚の動き、腰の動き、肩の動き、腕の動き、及びより高等な要素(例えばバランス、障害の克服、速度の変化等)を含む。任意選択的に、ここに記載される方法及び器械を使用して、これら要素の一つ以上がリハビリテーションを受ける。患者の基準歩行が評価された後で、アクション103にて治療目標が設定される。なお、アクション102での初期評価の前か後のどちらかで目標を設定することもできる。更に、例えば、患者の経過、リハビリテーションの選択肢、及び/又はリハビリテーション医薬の進歩、の一つ以上に応じて患者がリハビリテーションする場合に、治療過程の中で治療目標を変更することができる。一度不完全な要素が特定されると、アクション104にて、恐らくはコントロール及び/又は筋力の増進を目的に、これらの不完全な要素が任意選択的に個別に訓練される。任意選択的に、複数の要素が連続してトレーニングされる。つまり、各要素が次々とトレーニングされる。任意選択的に、要素の一部又は全部が並行してトレーニングされる。すなわち、複数の要素が同時にトレーニングされる。アクション105にて、患者のリハビリテーションの経過が任意選択的に再評価され、リハビリテーション過程の調整を行うことが可能になる。任意選択的に、インターネット等の通信ネットワークを経由してデータを中継することにより、患者のリハビリテーション運動は、遠隔地から観察され、及び/又は監督される。
【0048】
患者が歩行の各要素の修得を始めると、アクション106にて、これら要素の一部又は全部は、任意選択的に、一緒に訓練される。言い換えれば、任意選択的に、まず個々の要素を使用して、次に要素を追加して組み合わせて、患者の能力が強化される。患者のリハビリテーションの経過がアクション107にて任意選択的に再評価され、リハビリテーション過程の調整を行うことが可能になる。障害の克服や速度変化などの複雑な歩行特性は、任意選択的にアクション108にて訓練される。アクション110にて、患者のリハビリテーションの経過が再評価され、リハビリテーション治療過程の調整を行うことが可能になる。バランスは、歩行の一要素として、アクション104〜108の何れか又は全てにおいて任意選択的に訓練される。任意選択的に、アクション104〜108の何れか又は全てが、体重軽減器械を使って、又は水中で実行される。任意選択的に、アクション105、107及び110は、リハビリテーション過程の間はいつでも実行することができ、3回程度の再評価を含めるために、組み合わせ、又は拡張することができる。任意選択的に、何らかの理由(患者に休憩時間を与えることを含む)により、運動を中断及び再開することができる。患者及び/又は監督医療従事者に、器械を運転状態/非運転状態にするスイッチを提供することもできる。任意選択的に、リハビリテーション器械は、「デッドマン・スイッチ」のようなスイッチを使用して、何時でも停止させることができる。
【0049】
図2は、本発明の一つの例示的な実施形態における歩行リハビリテーションを説明するフローチャート200を表している。この実施形態の目的のために、アクション102での決定は、個々の患者の歩行における複数の欠陥(例えば、足部/足首、脚、腰、肩、腕、バランス)を指摘している。この例示的な実施形態における歩行リハビリテーションのプログラムは、患者の能力の段階的な発展に焦点を合わせている。従って、この方法は、アクション202にて、足部と足首の運動から開始する。本発明の一つの例示的な実施形態において、これらの足部と足首の運動は、患者の歩行リハビリテーションにおける基本構成要素である。論理的には、患者が立ち上がって、体重を両足で支えられるようにするために、足部と足首は最初にトレーニングされる必要がある。任意選択的に、足部と足首の運動は、座位から(例えば、車椅子から)行うことができる。本発明の一部の実施形態において、運動は、患者が特定の歩行(例えば、歩くこと、階段を上ること、スロープを歩いて上ること等)を達成することを助ける、予め選択した角度及び回転まで足部を動かすことを含み、運動はまた、特定の力をフットペダルに与えるように患者に要求すること、及び/又は、例えば、つま先から足首へ、あるいは左右に体重を移動するように要求することも含む。
【0050】
本発明の一つの例示的な実施形態において、少なくともこれらの運動を達成し得る器械が提供される。任意選択的に、これらの運動は複数の器械において行われる。本発明の一つの例示的な実施形態において、器械はロボット可動部(例えば、ロボットアーム)を備える。任意選択的に、運動器械は制御装置を備える。任意選択的に又は付加的に、制御装置はパーソナルコンピュータ又は専用の埋込式コンピュータである。本発明の一つの例示的な実施形態において、器械は少なくとも患者と器械の状態を監視するセンサを備える。任意選択的に、運動に関連するデータを遠隔値へ転送することを可能にするために、制御装置は通信ネットワーク(例えば、インターネットなど)に接続される。
【0051】
足部のコントロールと筋力が発達すると、歩行リハビリテーションはアクション204にて脚の運動を進める。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は立ち上がるために、足部と足首の運動から脚の運動へと進める。脚の運動は、任意選択的に座位から始められて立位へとレベルを上げる。代替的に、脚の運動は立位から始まる。本発明の別の実施形態において、脚の運動は、ハーネス等の体重軽減器械を患者に装着して行われる。患者の必要性、又はリハビリテーションに利用できる用具に応じて、どちらか一方の脚で、同時に両脚で、片脚だけで、又は同時には片脚だけで、脚の運動を行うことができる。本発明の一部の例示的な実施形態において、センサは、脚の動きを検出し、運動中に達成された脚の動きを推奨される脚の位置又は運動点と対比して分析する、リハビリテーション器械上に配置される。付加的に又は代替的に、駆動システムは、患者が起こす動作の位置と力/パワーを測定し、記録することができる。任意選択的に、脚の運動を行うために、患者の脚は、脚上の位置の代わりに、足部でリハビリテーション器械に取り付けられる。そのような取り付けは、バランス・トレーニングを支援することを含む、潜在的に多くの利点を提供する。例えば、脚に支持具を取り付けると、不自然で、恐らくはリハビリテーションを阻害する支持を患者に提供することになる。しかしながら、この支持具は通常は患者が立っている床から出てきているため、足部からの支持は自然であり、また通常のものである。
【0052】
本発明の一つの例示的な実施形態において、脚の運動は3つの基本的な動作モードで実行される。第1のモードは、リハビリテーション中の原動力が患者に由来するものである。このモードは、患者がリハビリテーションの終わりに近いときに、又は患者の患った部位のリハビリテーション目標を決定するために健康な体側又は要素が観察されているときに、おそらく使用される。第2の任意選択的な動作モードは、他動的なものである。すなわち、リハビリテーション器械は患者に原動力を提供する。このモードは、患者がリハビリテーションの初期にあって、リハビリテーション器械及び/又は麻痺した体部位を動かすには、まだ筋力が弱過ぎる、あるいは協調がとれていない、といった場合におそらく使用される。一つの例示的な実施形態において、患者がハーネスを装着して、このモードで運動が実行される。このような運動は、患者が負担する体重の大きさを軽減することができる。更に、安全上の利点もある(例えば、ハーネスで支持されている間は、患者は落下することがない)。ハーネスが患者の全体重を負担する実施形態においては、運動器械はトレーニングを手伝うための抵抗を提供することができる。任意選択的に、ハーネスが無い場合に、又は体重が部分的にのみハーネスに負担される場合に、器械は抵抗を提供する。患者に錘を取り付けることによって、普段の運動に抵抗を加えることもできる。第3の任意選択的なモードは、上記2つの組み合わせであり、これによって患者はリハビリテーション器械に支援されながらも原動力を提供する。この第3の任意選択的なモードにおいて、リハビリテーション器械は任意選択的に、器械の様々な構成要素(例えば、フットペダル)への患者の振る舞いに追加の力を提供する。任意選択的に、患者の立ち上がりを支援しているときの支持椅子702の場合のように、器械は患者を軽く突いて合図する。
【0053】
任意選択的に、上記3つのモードの何れにおいても、患者は支持され、又は部分的に支持されることがある。また、当然ながら、これらの3つの操作モードは、リハビリテーション過程のアクション202〜212の何れにも適用することができ、これらがリハビリテーションの初期及び終盤に適するように特徴付けられていても、患者をリハビリテーションするのに望ましい及び/又は必要なときには何時でもそれらのモードを使用することができる。
【0054】
なお、同じ運動(excercise)の中で、異なる動き(movement)に異なるモードを適用してもよい。例えば、フットペダルの並進運動中の正しい(又は正しく運動する)ペダルの回転がどのようなものになるかに従って角運動が制限される(又は抵抗を受ける)一方で、フットペダルの並進運動は、制限されていてもよいし、又は自由であってもよい。同様に、1軸又は2軸上の並進運動を、回転運動及び/又は患者の足部が加える力の効果に合致せざるを得ない場合がある。
【0055】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が脚、腰及び胴の3つを組み合わせて使用するリハビリテーションの必要性を評価するために、患者がこれら3つ全てを同時に使用することをリハビリテーションするために、及び、これらを協調して使用することにおける患者の進歩を確かめるために、脚の動作に対する腰及び胴の動きが測定される。
【0056】
アクション206にて、腰の動作の運動及び分析は、本発明の一つの例示的な実施形態における歩行リハビリテーションに含まれる。座ることから、立つこと、歩くことへと患者が経過するにつれて、適切な腰の動きが重要になる。患者がリハビリテーション運動を行うときに腰を監視するためのセンサを使用することが、腰の動きをリハビリテーションする一つの方法である。任意選択的に、その中に患者を縛り付けるハーネスのようなリハビリテーション器械にセンサが取り付けられる。患者が処置をとると、患者の揺動をハーネス・センサが検出する。この患者の動作は、バランスを喪失しているか、又は患者の各体部位によって十分に支持されていない可能性がある。揺動データの分析は、腰の角度及び位置に関する有益な情報を患者に提供することができる。一部の例示的な実施形態において、リハビリテーション中に腰の動作を支持及び測定するために、特別に改造された椅子が使用される。任意選択的に、麻痺した脚の他動運動を支援するために、患者が腰を動かす運動が提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、複数の反跳ワイヤと共にベルトが使用される。各ワイヤの長さが(例えば、エンコーダ又はポテンショメータによって)測定されるため、正確な腰の位置がシステムに提供される。任意選択的に、腰にガイドを提供するために、ワイヤは腰を支持及び/又は操作する。
【0057】
肩の動作がリハビリテーションされ、アクション208にて任意選択的に分析される。パフォーマンスの基準を提供するために、及び、この要素のリハビリテーションの経過を監視するために、光学式感知装置(例えば、カメラ等)及び/又はセンサを使用して、患者の肩の動きを検出して記録することができる。腰の実施形態と同様に、ワイヤを使用して肩の位置及び配置を測定することができ、また、任意選択的に肩の支持及び/又はマニピュレーションを提供することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の運動を制御装置に伝える位置センサが患者の身体に取り付けられる。センサは、任意選択的にワイヤレス式である。本発明の一部の例示的な実施形態において、患者が動作中に動く患者の体肢及び/又は患者に付着されたパッチを画像検出するために、カメラが使用される。記録された肩の運動は、分析のために、目標の運動プロファイル又は前回の患者の運動の記録と比較される。任意選択的に、この記録及び再生又は比較技術は、リハビリテーションの任意の段階で使用することができる。任意選択的に、リハビリテーション中に患者に提供されて、目標運動プロファイルとしての役割を果たす、予め記録された運動プロファイルを患者は手本にする。予め記録された運動プロファイルは、患者の動き又は別の患者の動きに基づいていてもよい。任意選択的に、運動プロファイルは制御装置によって生成される。
【0058】
肩は、患者の歩行において、例えば、腕の動きに関して、重要な役割を果たす。本発明の一つの例示的な実施形態において、腕と肩を組み合わせた運動を支援する関節ロボットアームが患者に装着される。任意選択的に、拘束手段を使用して、患者はロボットアームに取り付けられる。患者の身体の任意の部位を、適切なリハビリテーション運動を患者に提供するロボット支援に取り付けることができる。本発明の一部の例示的な実施形態において、患者にロボット支援が装着されるのではなく、むしろ運動ガイド用のロボット器械にしがみつく。運動は、腕と肩を様々な状況(例えば、歩く、階段を上る、等)で動くようにトレーニングする。任意選択的に、患者に提供される運動は、患者のリハビリテーションの必要性に応じて変更される。患者の腕と肩をスキーの動作で動かすことは、肩をリハビリテーションするための運動の一例である。患者の片側又は両側に、患者の上方及び/又は下方に、又は患者の前方及び/又は後方に、ロボット支援を任意選択的に提供することができる。任意選択的に、これらの配置を組み合わせてロボット支援が提供される。例えば、ロボットアームは患者の両側にそれぞれ配置されて、運動する患者に装着されるか、あるいは患者に握られる。患者が運動するときに、ロボットアームは(例えば、歩行中に)患者の腕を適切に動かすことを患者にガイドすることができる。
【0059】
本発明の一つの例示的な実施形態において、腕の動きはアクション210にてリハビリテーションを受ける。以前のリハビリテーション段階におけるように、階段、カメラ、センサ、又はロボットアームでさえも、腕の動作を検出及び/又は記録することができる。他動モードにおいては、リハビリテーションの必要な腕が、リハビリテーション器械によって、推奨される動作経路に沿って動かされる。支援モードにおいて、必要に応じてリハビリテーション器械からの入力を使って、患者は僅かな腕の動きを提供する。
【0060】
本発明の一つの例示的な実施形態において、アクション212は、歩行要素の一部又は全部が相互に協調するという状況の範囲内で、個々の歩行要素を強化する。例えば、本発明の一部の実施形態において、協調した脚と腕の動き(すなわち、左脚を前にすると、右腕が前なる)をトレーニングすることが望ましい。上述のように、患者は、例えば、様々な身体要素の組み合わせ運動をリハビリテーションするために、歩行や模擬スキー等の協調運動をすることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において行われる、別の組み合わせ運動は、旋回である。任意選択的に、運動中に患者にリズミカルな音楽を演奏することによって、協調運動及び/又は歩行を支援することができる。
【0061】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は片側の健全な体部位を動かして、それが(恐らくはフィルタをかけられて及び/又は患者のリハビリテーションの必要に応じて修正されて)記録され、次いで健全な運動がリハビリテーション器械によって麻痺した側に「再生」され、それによって、運動感覚のフィードバックを通じてリハビリテーションを受ける体部位に患者の自然な歩行が与えられる。任意選択的に、器械が麻痺した体部位に正常歩行を「再生」し、そのため患者は正常な運動の感覚を得て、次いで患者は、器械からの支援のもと、又は支援無しに、麻痺した体部位を使ってその運動を反復する。
【0062】
本発明の例示的な実施形態において、座りながら又は立ちながら、あるいはハーネス等の体重軽減器械から吊り下げられながら、これらの運動は実行される。また当然ながら、患者は様々な程度の歩行リハビリテーションを必要とし、従って幾つかの運動は必要とされないか、又は望ましくない。例えば、一部の患者は車椅子又は座位に拘束されず、あるいは片側のリハビリテーションのみを必要とするであろう。任意選択的に、少なくとも一つの体肢を失った患者は、少なくとも1つの義肢を利用して歩行をリハビリテーションする。
【0063】
任意選択的に、患者は運動に役立つように作られた物(例えば、車椅子、歩行器、松葉杖、スキーのストック、散歩用杖、又は杖)を使って、これらの運動を行う。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が車椅子を使用しているときには、図7及び図8に示す種類のような支持椅子は必要ではない。車椅子は器械上の位置に移動されて、車椅子に座った姿勢から運動を行うことができ、又はここに記載されるような非座位運動姿勢へと患者を支援して移すことができる。一部の例示的な実施形態において、器械のフレームは車椅子又は歩行器が入れるように扉を開く。松葉杖又は杖の支援が必要な患者は、歩行器具のためのサイドスペースを提供するのに十分に幅広く作られている器械内で運動することができる。なお、本発明の一部の例示的な実施形態において、器械と共に使用される歩行器具は、フットペダルが床から少し離れるために通常使用されるものよりも少し長くてもよい。
【0064】
本発明の一つの例示的な実施形態において、立位から始まる運動が提供される。ここに記載されるように、各体部位に加えられる力の位置及び大きさを含む、多様な患者パラメータが測定される。立位において、各脚がどの程度の体重を相対的に支持されているのかを測定することができる。付加的に又は代替的に、患者が支持無しに立つことができなければ、他の体部位によって負担される体重も測定される。立位運動の例では、患者は安定な立位から不安定な(すなわち、バランスを失った)立位へと促される。患者は次に、バランスのとれた立位を回復することによって運動する。任意選択的に、患者の体重の少なくとも一部がリハビリテーション器械によって支持される。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の姿勢の任意の欠陥を判断するために、患者の運動及び加える力が測定される。任意選択的に、リハビリテーションを促進するために、運動中に患者にフィードバックが提供される。例えば、運動中に片脚に過大な体重が乗せられた場合、その脚から少し体重を抜き、そのため別の脚に体重を加えるように、リハビリテーション器械は患者に合図する。本発明の一つの例示的な実施形態において、ここに記載されるように、フィードバックは患者の姿勢及び加えられる力の測定値に基づいている。
【0065】
本発明の一つの例示的な実施形態において、ここに記載されるようなリハビリテーション器械は、様々な活動(例えば、歩行やランニング)を行っているときの患者の歩行を測定するために、患者によって動かされる。患者は先ずリハビリテーション器械の中で運動姿勢に置かれ、次に特定の動作(例えば、徒歩)を始めるように支持を受ける。患者が動くと、器械は任意選択的にその運動を記録する。記録された運動は、患者の歩行における欠陥を特定するために、任意選択的に分析され、その結果、リハビリテーション・プログラムの準備に役立つ。付加的に又は代替的に、運動の記録は、例えば患者の改善の追跡のために、患者のパフォーマンスのベンチマークとして使用することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の動きを測定するために使用される器械は、運動を提供するために使用されるものと同じ器械である。任意選択的に、別個の機械が患者の運動を測定するために使用される。
【0066】
次に図3を参照すると、本発明の一つの例示的な実施形態によるポータブルサイズのリハビリテーション器械300の説明が提供されている。器械300は、図1及び図2に記載の方法と共に、任意選択的に、患者の歩行をリハビリテーションするために利用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、ポータブルサイズのリハビリテーション器械300は、X軸及びZ軸上で動作する。この実施形態において、X軸は、患者から見て、正のX軸が患者に向かって真直ぐ進む方向に延長することを意味する。この実施形態におけるZ軸は、患者から見て、上への運動は正のZ軸方向への運動であり、下への運動は負のZ軸方向への運動であることを意味する。器械300上には、3軸に沿った器械300の運動成分を提供するためのモータ302及び304が配置される。リハビリテーションされている患者はX軸及びZ軸の両方向へ動かすために提供されるフットペダル306に足部をストラップで固定する。X軸及びZ軸の運動に加え、本発明の一つの例示的な実施形態において、フットペダル306は、図3の矢印308及び310で表されるような複数の方向に回転する。任意選択的に、足部の付近及び/又は上の少なくとも一箇所に加えられる患者の力を測定および分析するために、フットペダル306は圧力センサを備えることができる。
【0067】
本発明の一つの例示的な実施形態において、フットペダル306は、図3のY軸に沿って伸長及び収縮する能力をもつ。患者が仮想曲線経路を辿るときに、フットペダル306の少なくとも回転及び伸長能力を利用して、患者の旋回が訓練される。任意選択的に、運動中に患者のスタンスを拡げることにより、旋回が訓練される。
【0068】
患者の足部の一方がフットペダル306の中にストラップで固定されているときに、他方の足部は、トレッドミルに似たトラック312の上で、又はフットペダル306に似た第2のフットペダルの上でも休息することができる。人が運動を開始するときに、足部は空中で前方へ動いているか、患者の体重を支持している。一つの例示的な実施形態において、トラック312の実装は、第1のセグメント(前方に動く)のためだけにモータの使用を許可する。このリハビリテーションの方法は、全体重が動かされる足によって支持されるのではなく、むしろトレッドミル上の足部によって負担されるため、任意選択的に、より小さなモータの使用を可能にする。この態様に伴う効果は、モータは前方に進む足部の重量を動かす必要があるのみで、全体重を動かす必要がなく、比較的に少ない消費電力を可能にすることである。一部の例示的な実施形態において、運動しない足部を収容できるように、トラック312をより広くすることもできる。そのような実施形態において、トラック312がトレッドミルに似た活動を別の足部に提供する一方で、X−Z機構は麻痺した足部を動かす。従って、本発明の一部の例示的な実施形態において、患者の片側のみが運動する。
【0069】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前述のように他の足部ではなくペダルを動かすためにトラック312が使用される(しかしながら、2つのトレッドミルが備えられていてもよい)。この実施形態においては、ペダルが最も低いZ位置にあるときに、患者が全体重をペダルに乗せることが予想される。ペダルの重さを支持するために、強力なZ軸モータを備えることの代わりに、又はそれに加えて、トラック312が使用される。任意選択的に、トラックはモータで駆動され、ペダルを動かす。図示されるベルト・トラックの代わりに、滑らかなレールが使用されてもよい。任意選択的に、レールは別の形状の(例えば、少し湾曲した)レールと交換可能である。任意選択的に、ペダルはスロット付きプレートを備え、スロット内を移動することが強いられる。任意選択的に、スロットは閉ループの輪郭をもつ。任意選択的に、プレートは交換可能である。任意選択的に、幅の狭いスロットが使用されれば、ペダルを動かすために単一のモータで足りることがある。
【0070】
任意選択的に、ペダルが持ち上げられているときに患者が体重をペダルに乗せると、患者は正しく歩行していないことを知らされ、モータは停止して患者の体重を支持する必要がない。代替的に又は付加的に、そのような患者が正確な運動を必要としていない可能性のある場合には、(例えば、ギアを使用して)力は正確さとトレードされる。
【0071】
器械300を使用している間に、患者は任意選択的に立位又は座位をとっていてもよい。例えば、座っている患者は、フットペダル306の回転能力を使って、足部及び下肢の筋力とコントロールを築くことができる。本発明の一部の例示的な実施形態において、器械300は転倒防止伸長脚を備える。この伸長脚は器械のみならず、器械内にストラップで固定された患者に安定性を提供する。任意選択的に、フットペダル306は、器械300のどちら側にも挿入することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、フットペダルを挿入する側面を切り替ることは、器械を実質的に動かす必要なくして患者の両側に対して運動の動きを提供することができる。一部の例示的な実施形態において、器械300は水中で使用されることに適合している。水中での使用は、水に敏感な器械の部品を防水加工することによって実現される。このことは、使用される任意のセンサを密閉すること、及び/又は防水加工したセンサを使用することを含む。任意選択的に、器械は豊富な水の供給を活用するために、水圧で動作することもできる。本発明の例示的な実施形態において、Z軸方向への移動はほんの数センチメートルであり、またX軸方向の移動(すなわち、ステップ)は約20〜50センチメートルのみであるから、器械は高さを低く、長さを比較的に短くすることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、器械の低姿勢は、椅子と一緒に使用することを可能にする。その結果、器械300の付加的任意選択的特徴は、器械がポータブルなことである。任意選択的に、フットペダル306には、不要な動作が患者に伝わることを防ぐために、スキーのビンディングの様な急速解除ビンディングを備える。従って、本発明の一部の実施形態において、患者の体重は脚に支持されていないため、低パワーのモータがリハビリテーション中の患者の脚を動かすために使用される。比較的に低いパワーのモータと、従って比較的に小型/軽量のモータの使用は、器械300の可搬性も向上させる。バッテリー及び/又はAC又はDC電源を含む(しかし、これに限定されない)、様々な動力源を使用することができる。
【0072】
本発明の一つの例示的な実施形態において、フットペダル306は、前述の装置300の機能を保持しつつ、図3に示されるように側面からではなく、フットペダルの底部から器械300に取り付けられている。
【0073】
任意選択的に、義肢(例えば、義足など)と一緒に器械300が使用される。義肢装具は、患者が器械300に乗る前に器械に固定されるか、別の方法では、患者が器械に乗る前に義肢装具が患者に取り付けられる。任意選択的に、リハビリテーション運動は義肢装具の使用のために変更される。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は生来の脚と義足の両方を一緒に運動させる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は義肢を他の体部位と協調して運動させる。本発明の一つの例示的な実施形態において、杖、松葉杖、又は歩行器等の歩行補助具の支援を使って運動が行われる。
【0074】
本発明の一つの例示的な実施形態による、両側配置のリハビリテーション器械の説明図を図4に示す。器械400は、図1及び図2に示される歩行リハビリテーションのための方法で使用することができる。この実施形態において、器械400は、左フットペダル402及び右フットペダル404を備える。任意選択的に、器械400はフットペダル402及び404のX軸及びY軸方向の運動を許容する。器械400はまた、一部の例示的な実施形態において、フレーム406も含む。歩行重心(walking point)に対する脚、腰、肩、及び/又は腕の動作を測定するために、センサは任意選択的にフレーム406に取り付けられる。動作記録の分析とリハビリテーションの計画策定のために、これらのセンサは任意選択的にデータ処理装置に動作可能に接続されている。一定の例示的な実施形態において、患者の運動を追跡するためにカメラが使用される。
【0075】
フレーム406は、一部の実施形態において、平均よりも身長が高い若しくは低い患者(例えば、子供)のために、上部構造408(垂直調節システム410を含んでもよい)を、又はハーネス602(図6に示す)、ハンガー、又は棒500(図5に示す)等の体重支持器を含むように変更される。本発明の一部の実施形態において、垂直調節システム410は、患者に様々なレベルの支持力を提供するように調整可能である。一部の例示的な実施形態において、フレーム406はディスプレイ・ユニット414も備える。ディスプレイ・ユニット414はテレビとして機能し、あるいは、特定の運動を模擬し、運動に関連するデータを画面表示し、バーチャル・リアリティ体験(例えば、ボールを蹴る、階段を上る、障害物を避ける等)を提供するゲームを取り込むこと、又は単に風景(例えば、公園での散歩)を普段の作業に投影することによって、患者のリハビリテーションに寄与することができる。任意選択的に、器械400は支持椅子702(図7及び図8に示す)を提供する。一部の例示的な実施形態において、器械400は水中で使用することができる。任意選択的に、実在の物が患者のリハビリテーションと共に使用される(例えば、実際のボールが患者に蹴られ、患者が乗り越えなければならない器械に階段が配置される)。
【0076】
本発明の一つの例示的な実施形態において、現在の標的の運動を考慮した標的運動プロファイルに基づいたフィードバックによって、患者のリハビリテーションは支援される。フィードバックは、ビープ音及び/又は視覚的合図、及びその他の類似の映像的及び音声的注意の形式であってもよい。このことは、歩幅を適切に判断できないために歩行困難になっているパーキンソン病の患者には特に有用である。フィードバックを通じて、適切な歩幅を再学習することができる。フィードバックは、任意選択的に、ここに記載される任意の方法及び/又は器械を用いて実施することができる。例えば、患者がディスプレイで見た動きを手本にする、又は予め記録した運動プロファイルを手本にする運動において、制御装置が患者の運動を感知して、目標運動プロファイルからの逸脱を計算し、目標プロファイルに従って動くように患者を促すときに、運動感覚のフィードバックによって患者は運動をガイドされる。任意選択的に、振動によって催促が実現される。任意選択的に、器械が実際に患者を動かす又は適切な方向に軽く突くことによって、催促が行われる。任意選択的に、様々なレベルのフィードバックと運動指示が、患者の認知状態に基づいて患者に提供される。例えば、低い認知能力の患者のために、より単純な指示及び/又はより強力なフィードバックが任意選択的に提供される。
【0077】
リハビリテーション器械400に乗ることが困難な患者に対応するために、器械400は、出入りをより便利にして、人間の助けの必要性を軽減するための特徴を任意選択的に取り入れる。本発明の一部の実施形態において、フレーム406の両側は、(特に患者が車椅子に拘束されている場合に)患者の出入りを可能にするために開くことができる。任意選択的に、患者が器械から「脱出」できるように、フレーム406の両側は運動中に開く。任意選択的に、患者を器械400内の運動姿勢に引き寄せるために、ベルトを使用することができる。図5は、脇支持具502と、棒500を上げ下げするための少なくとも一つのピストン(すなわちリニア・アクチュエータ)504を備えた棒500を使用して、患者が運動姿勢へどのように持ち上げることができるかを表している。最初に、患者が椅子506に座る。患者が座っている間に、患者の腕は脇支持具502の上に置かれる。棒500を持ち上げるために、次に少なくとも1つのピストン504を使用して患者が座位から持ち上げられる。脇支持具502からぶら下がった患者は、従って座位から持ち上げられる。一部の例示的な実施形態において、本発明は、患者に合図し、及び/又は患者を運動姿勢に持ち上げる椅子506を利用する。任意選択的に、ピストン508は椅子を上げ降ろしするために使用される。任意選択的に、椅子の後方が椅子の前方に対して上昇し、それによって運動姿勢に入るよう患者に「合図」する。任意選択的に、患者のリハビリテーションにおいて、椅子は全く使用されない。付加的に又は代替的に、患者のリハビリテーションにおいて、リハビリテーション器械の一部ではない椅子が使用される。
【0078】
図6は、患者の歩行をリハビリテーションするために、図1及び2に記載の方法で使用することのできるリハビリテーション器械600を表している。本発明の一部の例示的な実施形態において、器械600は、リハビリテーションを受ける患者の体重の一部又は全部を支持するハーネス602を備える。ハーネス602の一つの利用法は、患者がハーネスに取り付けられているときに、患者の歩行を測定して分析することである。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は部分的にハーネス602から吊り下げられて、前方へ歩く動作を始める。部分的な吊り下げは、患者がそれを狙って運動する目標体重を最初に特定することによって実現する。二番目に、圧力センサは患者が器械に及ぼす圧力を測定し、及び/又は目標体重が達成されるまで、患者が中に入ったハーネスが装置から離れている間、ハーネスに付けられた重量センサが作動する。本発明の一つの例示的な実施形態において、器械から離れたハーネスの動作は、運動中の不要な患者の動きを防ぐために、ゆっくりと遅延応答して行われる。患者が動いている間、ハーネス602(動作可能にセンサに取り付けられている)は患者の歩行を監視する。センサは、任意選択的に、患者の位置、加速、力、及び/又は速度を監視することができる。センサから出力されたデータは分析され、従って、制御装置又は医療従事者によって歩行の異常が検出される。この歩行のデータ分析結果から、どの部分について行う必要があるかを決定することができる。任意選択的に、患者の歩行をどのように改善するかについて、制御装置は助言指示を与える。任意選択的に、詳細な検討のために、患者の歩行がスローモーションで再生される。任意選択的に、歩行分析は神経回路網によって行われる運動の測定値との比較を含む。一部の例示的な実施形態において、ハーネス602にストラップで固定された患者は、少なくとも一つのピストン504を使用して、運動位置に持ち上げられる。任意選択的に、ピストン504は、運動中に患者に提供される支持の量を測定及び/又は調整する。ハーネス602の(任意選択的にピストン504を組み合わせた)別の使用方法は、リハビリテーションしている体肢で患者の全体重を負担することなく患者が運動することを可能にすることである。筋力とコントロールが患者に戻るにつれて、患者が全荷重を負担できるまで次第に荷重が増やされる。本発明の一つの例示的な実施形態において、運動への抵抗を増大させるために、運動ルーチンに負荷が加えられる。
【0079】
図7に戻ると、リハビリテーション器械700が支持椅子702と共に使用されている様子を見ることができる。本発明の代替的な実施形態において、椅子702は上下に動き、様々な方向に回転する能力を備え、また、独立した背部支持具を備える。本発明の例示的な実施形態において、椅子の位置を変更することは、器械の構成を基本的に変更する必要無しに、患者の様々な要素の運動を可能にする。上述の通り、椅子702は任意選択的に前傾して、患者を運動位置に出入りするのを支援することもできる。任意選択的に、椅子は自由な脚の動きを許容する。
【0080】
図8A〜8Cは、本発明の更なる付加的な実施形態における支持椅子702を表す。図8Aは、ピストン800によって下げることができる椅子を示す。椅子を下げることは、患者をリハビリテーション器械の中に入ることを支援し、又は歩行をリハビリテーションするための一定の運動に組み入れることができる。図8Bは、図8Aにおけるよりも高い位置にある椅子702を示している。本発明の例示的な実施形態において、椅子702は患者の個々の必要性に応じて上下に動く。支持椅子702に胴支持具802を任意選択的に含めることができると考えられる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者を椅子の中へ入れることができるように、胴支持具は開く。図8Cは、完全に「傾斜した」状態の支持椅子702を示しており、これにより、本発明の一部の例示的な実施形態において、傾斜した支持椅子によって、患者が運動姿勢(立位)に移ることが支援される。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子702、及び任意選択的に他のリハビリテーション器械が、患者を評価し、また、座位から立位へどのようにして起き上がるのかを患者に教えるために使用される。この運動の間、患者は任意選択的に患者の必要性に応じて支持され、部分的に支持され、又は支持されない。任意選択的に、椅子702は、運動前、運動中、又は運動後に患者が休息するために使用される。任意選択的に、椅子702をジンバルの上で支持することもできる。
【0081】
上述のように、本発明の例示的な実施形態において、患者のリハビリテーションの経過を正確に測定するために、様々なセンサを患者及び/又は様々なリハビリテーション器械の構成要素に取り付けることができる。この目的のために、多種多様なセンサを、単体でも、又は組み合わせても使用することができる。センサは2種類に大別することができる。第1は患者に関する(例えば、体部位の位置や、生理学的反応などの)センサであり、他方のセンサは、椅子の配置(例えば、椅子の構成部材の位置、向き)を測定するために使用される。
【0082】
リハビリテーション中に患者に関する情報を収集するために、センサが患者の身体に任意選択的に取り付けられる。例えば、腕、胸部、頭部、足部、手、及び/又は脚などの体部位に、位置センサが任意選択的に取り付けられる。これらの位置センサは、運動中の様々な体部位の位置を決定するために使用される。これらの位置の測定値の分析は、全体的な患者の運動(弱い体部位を強い体部位で過度に補償すること等を含む)を認識することに役立つ。
【0083】
患者のリハビリテーション中に任意選択的に使用される別のセンサのタイプは、感圧センサである。特定の位置(例えば、フットペダル306及び/又は患者に付けられた複数のセンサ)における患者の及ぼす圧力の測定を通して、患者がその体部位に安定性及び/又は身体制御をどの程度依存していたかが決定される。圧力センサが手、脚、足部、腕、後部、頭部、及び胴に付けられて、任意選択的に使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、収集された圧力データの分析は、患者の歩行がバランスを保っていかどうか、もしバランスを保っていなければ歩行のどこに欠陥があるのか、を明らかにする。片脚への過度の大きさの圧力は、例えば、患者が他方の脚を適切に使えないことを示す傾向がある。従って、欠陥を克服するために、患者のリハビリテーション・プログラムを両脚の使用のバランスに効果を発揮するように作ることができる。力は任意選択的に圧力センサを使用して測定することができる。標的に向けて伸展する患者は、患者が標的に及ぼすことのできる圧力(例えば、力)の大きさを検出する圧力センサを作動させることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、圧力センサは、筋力とバランスを両方とも組み合わせて測定するために使用される。
【0084】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば筋肉の緊張及び筋電図「EMG」センサ等の別のセンサが患者のリハビリテーションに対する生理学的反応を監視するために使用される。これらのセンサから得られた測定値の分析は、患者のどの部位が更なるリハビリテーションを必要としているのかを特定するのに役立ち、更なるリハビリテーション計画の策定を可能にする。任意選択的に、脈拍測定又は呼吸数センサが使用される。
【0085】
患者を監視するためのセンサに加えて又は代替して、本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション器械の動作を監視するためにセンサが任意選択的に提供される。センサはリハビリテーション器械の任意の構成要素の位置を追跡するために、任意選択的にこれらの構成要素に付着される。この目的のある種のセンサは磁気式位置検出センサである。超音波、モータ・エンコーダ、ポテンショメータ、及び光学式の位置センサも知られている。器械からのセンサ測定値を患者からのセンサ測定値と比較することも、特に有用である。このデータの比較分析は、器械からの特定の動きに対する患者の反応を示唆する。これら器械の動きに対する患者の応答の欠如は、更なるリハビリテーションが必要な部位を指摘する。
【0086】
任意選択的に、ここに記載される全ての方法及び器械は、子供、青年、大人、若年者及び高齢者で同様に使用することができる。任意選択的に、ここに記載される全ての方法及び器械は、患者の生理学的プロファイル(もしあれば、切断の要因も含む)に応じて変更される。任意選択的に、ここに記載される全ての方法及び器械は、少なくとも一つの体部位の電気的制御を必要とする患者(例えば、脊髄損傷患者など)による使用に適合している。
【0087】
歩行のトレーニングは、上述の個々の例によって限定されるものではない。特に、歩行リハビリテーションは、例えば、米国仮特許出願第60/566,079号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載の精密運動制御リハビリテーション方法を補うために使用することができる。精密運動制御のためには、患者は精密運動制御を適用しながら、特定の歩行を維持しなければならない。精密運動制御の各課題は、座ったままでも行うことができる。
【0088】
歩行リハビリテーションはまた、神経のリハビリテーションと組み合わせることもできる。例えば、米国特許出願第60/604,615号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、活動を開始すべきときを決定するためにニューロン感知(neuronal sensing )を使用する。歩行関連活動のためのフィードバックとして、EEG信号を使用することもできる。
【0089】
EMGを使用して歩行訓練を利用することもできる。例えば、米国仮特許出願第60/566,078号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)では、EMGに加えて、すなわち、いつEMGを行うべきかを決定するために、歩行感知を使用することができる。
【0090】
例えば、米国仮特許出願第60/633,442号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載のようなバランス・トレーニングと共に歩行訓練を利用することができる。ある例では、歩行訓練の前に又は歩行訓練の一部として、座位バランス・トレーニングが利用される。
【0091】
例えば、米国仮特許出願第60/633,429号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載のようなバランス・トレーニングのために、音楽を利用することができる。ある例では、両体側間のバランスを示すために音楽が使用される。過大な音量のチャネルが、過大な力を加えている体部位を示すために使用される。揺れが周期的な音を発生して、バランスを喪失したときに警報が大きさを増す一方で、バランス状態を示すために無音が使用されてもよい。
【0092】
本発明を、その実施形態の詳細な説明(例として提供し、本発明の範囲を限定するためのものではない)を用いて説明した。記載された実施形態は様々な特徴を含むが、その全てが本発明の全ての実施形態で必要とされるわけではない。本発明の一部の実施形態は、特徴の一部のみ又は特徴の可能な組み合わせを利用する。記載された本発明の多様な実施形態、及び、記載の実施形態に示されるものとは異なる特徴の組み合わせを含む本発明の実施形態が当業者に想到されるであろう。特許請求の範囲において使用される場合、用語“comprises”(「〜からなる」、「〜を含む」、「〜から構成される」、「〜を備える」等)、“includes”(「〜を含む」等)、“have”(「〜を有する」、「〜をもつ」等)及びその同根語は、「〜を含むが、これに限定されない」を意味する。また、便宜上男性代名詞を使用しているが、当然ながら装置は男性と女性の双方に適合している。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一つの例示的な実施形態による、患者の歩行リハビリテーションの方法を表すフローチャートである。
【図2】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション段階の経過を表すフローチャートである。
【図3】本発明の一つの例示的な実施形態による、ポータブルな側面リハビリテーション器械を説明する図である。
【図4】本発明の一つの例示的な実施形態による、両側面リハビリテーション器械を説明する図である。
【図5】本発明の一つの例示的な実施形態による、調整可能な操作棒を使用した両側面リハビリテーション器械を説明する図である。
【図6】本発明の一つの例示的な実施形態における、支持ハーネスと共に使用されているリハビリテーション器械の図である。
【図7】本発明の一つの例示的な実施形態における、支持椅子と共に使用されているリハビリテーション器械の図である。
【図8A】本発明の一つの例示的な実施形態における、支持椅子の様々な動作モードの1つの図である。
【図8B】本発明の一つの例示的な実施形態における、支持椅子の様々な動作モードの1つの図である。
【図8C】本発明の一つの例示的な実施形態における、支持椅子の様々な動作モードの1つの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの不完全な歩行要素を特定することと、
前記不完全な歩行要素をリハビリテーション器械を使用して個別に運動させることと、
前記不完全な歩行要素を、少なくとも一つの別の歩行要素と協調して、前記リハビリテーション器械を使用して運動させることと、
からなる、歩行リハビリテーションの方法。
【請求項2】
歩行要素が、脚、足部、腰、胴、肩、頭部、手、及び腕からなるグループから選択される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複雑な歩行を運動させることを更に含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複雑な歩行が、バランス保持、障害物を乗り越えること、後進、階段上の移動、旋回、斜面上の移動、及び速度変化からなるグループから選択される、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記歩行リハビリテーションは座って行われる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記歩行リハビリテーションは車椅子に乗って行われる、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記歩行リハビリテーションは、運動を支援するようにデザインされた物体を利用して行われる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物体は、歩行器、松葉杖、スキーのストック、散歩用杖、又は杖からなるグループから選ばれる、
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
運動中に少なくとも一つの歩行要素の位置を検出することと、
前記検出された少なくとも一つの歩行要素の位置を記録することと、
前記少なくとも一つの歩行要素の前記位置の記録を表示することと、
前記記録の前記表示に基づいて少なくとも一つの歩行要素を運動させることと、
からなる、歩行リハビリテーションの方法。
【請求項10】
歩行要素が、脚、足部、腰、胴、肩、頭部、手、及び腕からなるグループから選択される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記検出のために少なくとも一つの位置センサが使用される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記検出のために少なくとも一つの光学式感知装置が使用される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記検出のために、少なくとも一つの位置センサと、少なくとも一つの光学式感知装置が使用される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記位置の記録は、リハビリテーションを受けている人によって行われる運動に関するものである、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記位置の記録は、リハビリテーションを受けていない人によって行われる運動に関するものである、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記運動は前記位置の記録と比較して分析される、
ことを特徴とする、請求項9から15に記載の方法。
【請求項17】
前記分析に基づいて追加の運動が行われる、
ことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
表面に垂直な平面内を動くことに適合したモータ付きペダルと、
前記ペダルが前記表面に近接していてかつ平行な直線を動くとき、前記ペダル及び少なくとも40kgの患者の体重を支持することに適合したトラックと、
からなる、リハビリテーション用器械
【請求項19】
平面と略平行なX軸上で器械の構成要素に動きを提供する第1のモータと、
表面に略垂直なZ軸上で器械の構成要素に動きを提供する第2のモータと、
前記第1及び第2のモータに動作可能に接続され、複数の軸の周りで回転する、少なくとも一つのフットペダル構成要素と、
からなる、リハビリテーション用器械。
【請求項20】
前記X軸に沿って、前記Z軸を最小値にして、前記ペダルが移動するときに患者の体重を支持するためのトラックを備える、
ことを特徴とする、請求項19に記載の器械。
【請求項21】
フット・レストを備え、
患者の体重が前記フット・レストに載せられると、前記第1及び第2のモータは前記フットペダル構成要素に提供する原動力の大きさを変える、
ことを特徴とする、請求項19に記載の器械。
【請求項22】
前記器械は、水中で使用することに適合している、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項23】
前記器械は可搬式である、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項24】
前記フットペダルは、患者の足部によって少なくとも1つの場所に加えられる患者の力を測定して分析するための圧力センサを備えている、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項25】
前記フットペダルは、前記軸に垂直なY軸に沿って伸縮する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項26】
患者が仮想の湾曲した経路を辿るときに、前記フットペダルの回転及び伸長能力を利用して、旋回が訓練される、
ことを特徴とする、請求項25に記載の器械。
【請求項27】
前記フット・レストはトレッドミルである、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項28】
前記フット・レストは、第2のモータ付きフットペダルである、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項29】
前記器械は、前記患者の体重の配置に応じて前記ペダルの各々への動力を変える、
ことを特徴とする、請求項28に記載の器械。
【請求項30】
前記器械は、装置安定性強化のために伸長する脚支持具を更に備える、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項31】
前記フットペダルは、装置のいずれの側にも取り付け可能である、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項32】
前記フットペダルのZ軸方向の行程は、20〜50センチメートルである、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項33】
前記フットペダルは、前記フットペダルの底部にて前記器械に接続されている、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項34】
前記フットペダルは義足を受け入れることに適合している、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項35】
前記第2のフットペダルは義足を受け入れることに適合している、
ことを特徴とする、請求項28に記載の器械。
【請求項36】
前記モータは、患者の歩行補助具の使用に基づいて、前記器械の少なくとも一部の構成要素への動きを変化させる、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項37】
前記歩行補助具は、杖、松葉杖、スキーのストック、散歩用杖、又は歩行器からなるグループから選ばれる、
ことを特徴とする、請求項36に記載の器械。
【請求項38】
前記患者は、座位のまま、前記器械と共に運動する、
ことを特徴とする、請求項21に記載の器械。
【請求項39】
患者の足部を動かすことに適合した少なくとも一つの要素と、
少なくとも一つの脇支持具と、
前記支持具に支持された患者を座った姿勢から立った姿勢へと動かすように、前記脇支持具を動かすことに適合した少なくとも1つのモータと、
からなる、歩行訓練用器械。
【請求項40】
患者の足部を動かすことに適合した少なくとも一つの要素と、
座面を有する少なくとも一つの椅子と、
前記座面を傾斜させることに適合した少なくとも一つのモータと、
からなる、歩行訓練用器械。
【請求項41】
前記シートは傾斜時に持ち上がる、
ことを特徴とする、請求項40に記載の器械。
【請求項42】
前記椅子は垂直軸の周りを回転する、
ことを特徴とする、請求項40に記載の器械。
【請求項43】
背もたれを含み、前記椅子が前記モータによって動かされるときに、前記シートと前記背もたれとの関係が変化する、
ことを特徴とする、請求項41に記載の器械。
【請求項44】
前記椅子は、少なくとも一つの胴体支持具を備える、
ことを特徴とする、請求項43に記載の器械。
【請求項45】
前記背もたれはジョイントで連結されている、
ことを特徴とする、請求項43に記載の器械。
【請求項46】
患者の足部にペダルを取り付けることと、
前記患者をリハビリテーションするために前記ペダルを回転することを自動的に制御することと、
からなる、歩行リハビリテーション方法。
【請求項47】
前記回転は少なくとも2軸での回転である、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記回転中に前記足部の並進運動を自動的に制御することを含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記回転を制御することは、回転範囲を制限することを含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記回転を制御することは、回転角を制限することを含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記回転を制御することは、回転に抵抗力を加えることを含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記回転を制御することは、前記回転を起こすことを含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記回転を制御することは、前記回転を開始することと、所期値を達成するまで回転が継続することを許容することと、を含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
2つの足部を同時にリハビリテーションすることを含む、
ことを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記ペダルは表面に垂直な平面内で可動であり、前記回転を前記自動的に制御することは前記平面内の前記ペダルの運動に応答している、
ことを特徴とする、請求項46から54に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate


【公表番号】特表2007−520310(P2007−520310A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552011(P2006−552011)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000138
【国際公開番号】WO2005/074370
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506085468)モトリカ インク (11)