説明

歩行型作業機

【課題】作業効率を向上させた歩行型作業機を提供する。
【解決手段】モータ(駆動部)の駆動を操作するスイッチレバー(操作手段)13を備えたハンドル12と、ハンドル12を一端に設けたフレーム20と、フレーム20の他端に取り付けられた耕耘部(作業部)とを備え、ハンドル12が耕耘部の幅方向全域に設けられるとともに、スイッチレバー13が耕耘部の幅方向に渡ってハンドル12に設けられ、スイッチレバー13はそれぞれ外側端に貫通孔(回動支点)H3,H2を備える2つの操作部材13a,13bから構成される。操作部材13a,13bはそれぞれ内側端に形成された引掛凸部B1および長孔H1(合わせて連結部と称す)を介して連結され、2つの操作部材13a,13bのうち一方の操作部材13bに突起13cを備え、ハンドル12内に、突起13cが当接するとONとなるスイッチSWを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部の駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、そのハンドルを一端に設けたフレームと、そのフレームの他端に取り付けられた作業部とを備え、操作手段を操作して駆動部の駆動を伝達し作業を行う歩行型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歩行型耕耘機(歩行型作業機)は、モータの駆動を操作するクラッチレバー(操作手段)を備えたハンドルと、そのハンドルを一端に設けたフレームと、そのフレームの他端に取り付けられたロータリー耕耘爪を有する耕耘部(作業部)とを備え、クラッチレバーを操作してモータの駆動を伝達し耕耘作業を行う(例えば特許文献1)。なお、ハンドルが耕耘部の幅方向全域に設けられるとともに、クラッチレバーが耕耘部の幅方向に渡ってハンドルに設けられている。
【0003】
【特許文献1】特願2001−169602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし このような歩行型耕耘機では、クラッチレバーの一方寄りに突起を設けるとともに、ハンドルにその突起が当接するとONとなるスイッチを内蔵しているので、クラッチレバーを握る箇所によってはクラッチレバーの突起がスイッチに適切に当接せず、スイッチがONとならず、作業効率を低下させるという問題があった。
そこでこの発明の目的は、作業効率を向上させた歩行型作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、駆動部の駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、
該ハンドルを一端に設けたフレームと、
該フレームの他端に取り付けられた作業部とを備え、
前記操作手段を操作して前記駆動部の駆動を伝達し作業を行う歩行型作業機において、
前記ハンドルが前記作業部の幅方向全域に設けられるとともに、前記操作手段が前記作業部の幅方向に渡って前記ハンドルに設けられ、
前記操作手段は外側端に回動支点を備える2つの操作部材から構成され、前記2つの操作部材はそれぞれ内側端に形成された連結部を介して連結され、
前記2つの操作部材の一方に突起を備えるとともに、前記ハンドル内に、前記突起が当接するとONとなるスイッチを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歩行型作業機において、前記駆動部が電力にて駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、駆動部の駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、そのハンドルを一端に設けたフレームと、そのフレームの他端に取り付けられた作業部とを備え、操作手段を操作して駆動部の駆動を伝達し作業を行う歩行型作業機において、ハンドルが作業部の幅方向全域に設けられるとともに、操作手段が作業部の幅方向に渡ってハンドルに設けられ、操作手段は外側端に回動支点を備える2つの操作部材から構成され、2つの操作部材はそれぞれ内側端に形成された連結部を介して連結され、2つの操作部材の一方に突起を備えるとともに、ハンドル内に、突起が当接するとONとなるスイッチを備えるので、操作手段のどこを握って操作しても2つの操作部材が連動して動き、操作部材に設けられた突起が正確にスイッチに当接し、確実にONとすることができる。したがって、操作手段を握って操作する箇所によらず安定してON操作ができるので、作業効率を向上させた歩行型作業機を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、駆動部が電力にて駆動するので、バッテリーの交換が容易にでき、操作性のよい歩行型作業機を提供することができる。また、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどに比べて排気で空気を汚すことがなく、環境に配慮した歩行型作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明の歩行型作業機の一例としての歩行型耕耘機を示す正面図であり、図2は側面図である。
この例の歩行型耕耘機11は、2つの金属製棒状パイプからなる上部フレーム20Aと、その上部フレーム20Aとネジ21Aおよびナット21Bを介して取り付けられた金属製パイプを略コ字状に形成した下部フレーム20Bとを備える。2つの上部フレーム20Aはハンドル12を介して連結されている。ハンドル12の中央部にはスイッチレバー(操作手段)13が設けられている。また、下部フレーム20Bの両端部には耕耘部(作業部)19を備え、下部フレーム20Bの中間部にはバッテリー、制御部などを内蔵するとともにメインスイッチを斜板22bに設けた、ケース22を不図示のボルトにより取り付ける。なお、上部フレーム20Aと下部フレーム20Bとでフレーム20を構成する。
【0010】
上部フレーム20Aと下部フレーム20Bとは詳しくは次のように取り付けられている。すなわち、上部フレーム20Aの両端を幅方向に屈曲させて絞るとともに両端をつぶしてそのほぼ中央にそれぞれ貫通孔を開口する。一方、略コ字状に形成した下部フレーム20Bの2つの屈曲部より先端側にそれぞれ貫通孔を設ける。そして、上部フレーム20Aの貫通孔と下部フレーム20Bの貫通孔とを合わせて、ネジ21Aを内側より差し込む。上部フレーム20Aの外側に貫通させたネジ21Aの先端にはナット21Bをネジつける。このようにして、上部フレーム20Aと下部フレーム20Bとを取り付ける。
【0011】
耕耘部19は、ドラム状のロータ14と、そのロータ14の周面に形成された3つのステー15aにボルトなどで取り付けられた耕耘爪15とを備える。なお、図1においては周面に設けられた耕耘爪15の一部が示されている。
ロータ14の内部には、ロータ14を回転させるためのモータ(駆動部)が固設され、そのモータから駆動軸14aを延設する。2つの駆動軸14aの先端には雄ネジが形成されている。下部フレーム20Bの両端は、つぶされてそのほぼ中央にそれぞれ開口Oが形成される。この開口Oに駆動軸14aを取り付け、駆動軸14aの先端よりナット16をネジつけて、ロータ14を下部フレーム20Bに取り付ける。
【0012】
スイッチレバー13は詳しくは、図3(a),(b)に示すように構成されている。すなわち、ハンドル12には幅方向に渡って開口部12Oを形成し、そのハンドル12の内部には引掛凸部B2,B3を形成するとともにスイッチSWを備える。一方、プラスチック樹脂製の平板を略カギ状に成型した操作部材13a,13bの外側部には、操作部材13a,13bをそれぞれ引掛凸部B3,B2の周りに回動自在に取り付けるための貫通孔(回動支点)H3,H2を設ける。また、操作部材13aの内側部には引掛凸部B1を形成する。一方、操作部材13bの内側部には、この引掛凸部B1を遊嵌させる長孔H1を形成するとともに中央部には、スイッチSWに当接しうる突起13cを形成する。なお、引掛凸部B1と長孔H1とで連結部を構成する。
【0013】
そして、貫通孔H3を引掛凸部B3に引掛けるとともに、貫通孔H2を引掛凸部B2に引掛けて、操作部材13aと操作部材13bとをハンドル12に取り付ける。
さらに、長孔H1を引掛凸部B1に引掛けて操作部材13aと操作部材13bとを連結する。なお、操作部材13a,13bはコの字型のハンドル12の内側向きに開口部12Oにより突出するように取り付けられる。
また、上部フレーム20Aの先端にはネジ孔を設け、ハンドル12の両端部にはそのネジ孔に対応したネジ孔を設け、両者を貫通してボルトT1,T2にてハンドル12と上部フレーム20Aとを連結する。
さらに、連結された操作部材13a,13bは、ハンドル12の開口部12Oより一部が矢印方向に引っ込み自在に突出するようにそれぞれ板バネなどの弾性部材によって付勢する。そして、それらの板バネの一方を操作部材13a,13bに取り付けるとともに他方をハンドル12内部に取り付けてハンドル12内に設ける。なお、操作部材13a,13bを同一形状の部品とすれば製造コストを削減することができる。
【0014】
ケース22は図4に示すように、天板22aと斜板22bとを備え、斜板22bにはメインスイッチ30、インジケータID1,ID2とを備える。なお、図4は作業者が立った状態でハンドル12越しにケース22を見たときの図である。この図ではハンドル12および上部フレーム20Aは図示を省略している。
インジケータID1は、メインスイッチ30がONとなったときに点灯し、メインスイッチ30がOFFとなったとき消灯するようになっている。
インジケータID2は、メインスイッチ30がONとなっているときにケース22内に備えられているバッテリーの残量をHIとLOの間で針でアナログ的に表示するものである。
天板22aは蝶番を介してケース22と取り付けられており、バッテリーの交換時には天板22aを開いて行う。
なお、斜板22b上にインジケータID1,ID2を設けたので、作業者に対する視認性を向上させることができる。
【0015】
このように構成された歩行型耕耘機11を用いて耕耘作業をする方法について図1〜4を用いて説明する。
まず、メインスイッチ30を押下して電源をONにする。これによってインジケータID1が点灯するとともに、インジケータID2の針がバッテリーの残量を正確に示す。
次に、片手または両手でスイッチレバー13を握る。すると、操作部材13aが引掛凸部B3を支点として、操作部材13bが引掛凸部B2を支点として図3(b)中の矢印方向にそれぞれ回動し、操作部材13bに設けられた突起13cがスイッチSWに当接する。スイッチSWは突起13cが当接すると不図示の回路が導通してバッテリーの電力がロータ14内のモータに供給されるように構成されている。この構成は公知の技術によるものとする。
【0016】
なお、突起13cは操作部材13bにのみ形成されているが、操作部材13aと操作部材13bとが引掛凸部B1と長孔H1によって連結されているので、操作部材13aを握っても操作部材13bも合わせて回動するようになっている。また、長孔H1は、連結された2つの操作部材13a,13bがそれぞれ異なる回動支点(引掛凸部B2,B3)にて回動することから生じる位置的なひずみを解消するために長孔状に形成されている。したがって、操作部材13a,13bはスムーズに回動することができる。
【0017】
スイッチレバー13を握っている間はロータ14の外周に取り付けられた耕耘爪15が回転して耕作面を耕耘する。
耕耘作業を終了または一時停止するときは、スイッチレバー13を握っている手を緩める。すると、図3(b)において、不図示の板バネなどの弾性部材により操作部材13aが引掛凸部B3を支点として矢印と反対方向(反時計回り)に回動するとともに、操作部材13bが引掛凸部B2を支点として矢印と反対方向(時計回り)に回動する。これによって、突起13cがスイッチSWから離れ、不図示の回路の導通状態が解除されてモータへの電力の供給を停止し、ロータ14の回転が停止して耕耘作業が停止する。
そして、耕耘作業を終了するときはメインスイッチ30を押下してOFFにする。これによってインジケータID1が消灯するとともに、インジケータID2がOFFとなり、バッテリー残量の表示を停止する。
【0018】
なお、この例の歩行型耕耘機11は図5に示すように構成してもよい。すなわち、下部フレーム20Bの左右両方に溶接などによって尾輪フレーム31をそれぞれ取り付ける。尾輪フレーム31には尾輪34を支持するためのパイプ状の支持部32をスライド自在に取り付ける。支持部32に固設された板状の取付部32aには貫通孔を設け、その貫通孔に尾輪34の尾輪軸33を内側より貫通させて尾輪軸33の先端をナットにて締め付けて、尾輪34を支持部32に回転自在に取り付ける。なお、支持部32には不図示のリンチピンが設けられており、これを用いて支持部32を尾輪フレーム31の適当な位置に固定できるようになっている。
支持部32は尾輪フレーム31上を上下にスライド可能となっており、耕耘深さに応じて適宜、尾輪34と耕作面Gとの位置関係を調整できるものとする。したがって、耕深の調整が容易であり、作業負荷を低減することができる。
例えば、耕耘深さを深くしたいときは、図6に示すように尾輪フレーム31に沿って支持部32を上方に移動させる。このようにすると、尾輪フレーム31の先端が耕作面Gより深く差し込まれ、歩行型耕耘機11の進行方向に対してより強い抵抗を付与することができる。
なお、尾輪34の位置は、ロータ14の幅と同じであれば耕耘の仕上がりをいっそう良好にすることができる。
また、尾輪34はゴム製であってもよいし、樹脂製、鉄製などであってもよい。
【0019】
上述の例の歩行型耕耘機11は、ネジ21Aを回動中心として折り畳むことができるように構成されている。以下にその折り畳み方法を説明する。
まず、フレーム20の中間部にある2つのネジ21Aを緩め、上部フレーム20Aをネジ21Aを回動中心として図2中で反時計回りにネジ21Aを中心として回動させて折り畳み、格納状態とする。次に、ネジ21Aを締めつめて上部フレーム20Aを下部フレーム20Bに格納状態で固定する。この状態で収納場所に搬送して保管する。
また、収納場所に保管された歩行型耕耘機11を使用するときは、歩行型耕耘機11を保管場所から所望のセット位置に搬送する。次に、両側のネジ21Aを緩めて、上部フレーム20Aを図2中で時計回りにネジ21Aを中心として回動させて伸張状態にする。そして、ネジ21Aを締め付けて上部フレーム20Aを下部フレーム20Bに伸張状態で固定する。これによりフレーム20は折り畳み不可となる。
【0020】
以上、詳述したように、この発明の歩行型耕耘機11は、モータ(駆動部)の駆動を操作するスイッチレバー(操作手段)13を備えたハンドル12と、そのハンドル12を一端に設けたフレーム20と、そのフレーム20の他端に取り付けられた耕耘部(作業部)19とを備え、スイッチレバー13を操作してモータの駆動を伝達し作業を行い、ハンドル12が耕耘部19の幅方向全域に設けられるとともに、スイッチレバー13が耕耘部19の幅方向に渡ってハンドル12に設けられ、スイッチレバー13はそれぞれ外側端に貫通孔(回動支点)H3,H2を備える2つの操作部材13a,13bから構成され、2つの操作部材13a,13bはそれぞれ内側端に形成された引掛凸部B1および長孔H1(合わせて連結部と称す)を介して連結され、2つの操作部材13a,13bのうち一方の操作部材13bに突起13cを備えるとともに、ハンドル12内に、突起13cが当接するとONとなるスイッチSWを備える。また、モータが電力にて駆動する。
【0021】
なお、上述の例では、歩行型作業機の一例として農作業に用いる歩行型耕耘機について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、歩行型芝刈機などに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の歩行型作業機の一例としての歩行型耕耘機を示す正面図である。
【図2】図1に示す歩行型耕耘機の側面図である。
【図3】(a)は図1に示すハンドル付近の斜視図であり、(b)は(a)のA矢視断面図である。
【図4】図1の歩行型耕耘機をハンドル越しに見たときの平面図である。
【図5】図1の歩行型耕耘機の別の例を示す側面図である。
【図6】図5において尾輪を上方に配置した例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
11,31 歩行型耕耘機(歩行型作業機)
12 ハンドル
12O 開口部
13 スイッチレバー(操作手段)
13a,13b 操作部材
13c 突起
14 ロータ
14a 駆動軸
15 耕耘爪
15a ステー
16 ナット
19 耕耘部(作業部)
20 フレーム
20A 上部フレーム(フレーム)
20B 下部フレーム(フレーム)
21A ネジ(回動部)
21B ナット
22 ケース
22a 天板
22b 斜板
30 メインスイッチ
31 尾輪フレーム
32 支持部
32a 取付部
33 尾輪軸
34 尾輪
B1 引掛凸部(連結部)
B2,B3 引掛凸部
G 耕作面
H1 長孔(連結部)
H2,H3 貫通孔(回動支点)
ID1,ID2 インジケータ
O 開口
SW スイッチ
T1,T2 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部の駆動を操作する操作手段を備えたハンドルと、
該ハンドルを一端に設けたフレームと、
該フレームの他端に取り付けられた作業部とを備え、
前記操作手段を操作して前記駆動部の駆動を伝達し作業を行う歩行型作業機において、
前記ハンドルが前記作業部の幅方向全域に設けられるとともに、前記操作手段が前記作業部の幅方向に渡って前記ハンドルに設けられ、
前記操作手段は外側端に回動支点を備える2つの操作部材から構成され、前記2つの操作部材はそれぞれ内側端に形成された連結部を介して連結され、
前記2つの操作部材の一方に突起を備えるとともに、前記ハンドル内に、前記突起が当接するとONとなるスイッチを備えることを特徴とする、歩行型作業機。
【請求項2】
前記駆動部が電力にて駆動することを特徴とする、請求項1に記載の歩行型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−191806(P2006−191806A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3813(P2005−3813)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】