歯型作成アセンブリおよび方法
歯型作成システムを使用して人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法および歯型作成システム。この歯型作成システムは、対向歯型ベース、歯型ベース、および鋳込治具を備える。鋳込治具は、鋳型支持部材および歯型支持部材を備える。鋳型は、鋳型の両側に形成された人間の対向する上下の歯の凹凸を含むことができる。この方法は、対向歯型ベースを鋳型支持部材に装着し、対向歯型ベースおよび鋳型の一側面上の歯の凹凸に第1の成形可能な材料を充填し、充填した第1の成形可能な材料を対合させ、歯型ベースを歯型支持部材に装着することを含むことができる。この方法はさらに、歯型ベースを鋳型の反対側の歯の凹凸と位置合せし、鋳型の反対側に第2の成形可能な材料を充填し、充填した第2の成形可能な材料を歯型ベースと対合させ、第1および第2の成形可能な材料を硬化して、対向する上下の歯の鋳型を含む歯型を形成することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、すべての加盟国を指定国として米国国民であり出願人のRonald E. Huffmanの名で2006年6月7日にPCT国際特許出願として出願されたものであり、2005年6月10日に出願された米国特許出願第11/150,849号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、歯型および歯型の形成方法に関する。本発明は、より詳細には、調整可能な歯型鋳込治具およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の歯の鋳型から歯型を作成するための伝統的な歯型鋳込治具および装置が従来から使用されている。通常、鋳型は、柔軟な成形用材料を患者に噛ませ、それを硬化して、患者の歯および歯肉と逆の凹凸を有する鋳型の凹部を作成することによって形成される。鋳型は、患者の歯肉線の全て、または任意の部分のものでもよい。次いで、鋳込み可能な材料が逆の凹凸に注入されて、患者の歯および歯肉のストーンレプリカまたは歯型が作成される。
【0004】
歯型鋳込治具の主な機能は、歯型を作成する場合に、人間の歯の鋳型を歯型ベースまたは特定の歯に関連するピンに対して適切な位置に支持することである。この機能は、人間の口内の上下両方の組の歯の凹凸を有する特別の歯の鋳型から歯型を作成する場合は特に難しいことがある。こうした特別の鋳型は「トリプルトレイ(triple tray)」と呼ばれることが多い。トリプルトレイは、人間の口の上または下の虫歯の歯型、および虫歯に対面する歯の対向歯型を同時に作成するのに最もよく使用される。
【0005】
周知の鋳込治具には多くの問題点があり、トリプルトレイなど特別の歯の鋳型に対処する装備がなされていない。周知の鋳込治具では、調整構造があったとしても、通常は扱いにくいものであり、正確な調整が難しい。さらに、通常はこうした鋳込治具の鋳型を保持する機能、またはピンあるいは歯型ベースを保持する機能だけが調整可能である。このように限られた調整性では、歯型を作成する場合に、鋳型とピンまたは歯型ベースの互いの正確な位置付けが難しい。
【0006】
周知の鋳込治具に関連する他の欠点には、鋳込治具の調整にかかる時間、および調整位置の再現ができないことがあげられる。また、周知の鋳込治具は、通常、たとえば口の大、中、小を反映するサイズなど、単一の鋳型および歯型ベースサイズ用に構成されている。また周知の鋳込治具の他の制約は、同じ鋳込治具で様々なタイプの歯型ベースに対処することに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、一般に、歯型作成システムに関し、人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法に関する。本開示は、より詳細には、調整可能な歯型鋳込治具、ならびに、鋳込治具、ピンロケータ、歯型ベース、および対向歯型ベースを使用して人間の歯の鋳型から歯型を作成する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、歯型ベース、対向歯型ベース、および鋳込治具を備える歯型作成システムに関する。歯型ベースは、人間の上または下の歯の少なくとも一部の歯型を装着するように構成された第1の歯型支持面を備える。対向歯型ベースは、歯型ベース上に装着された歯型から人間の口の反対側に位置合せされる人間の歯の少なくとも一部の対向歯型を装着するように構成された第2の歯型支持面を画定する。鋳込治具は、支持ベース、鋳型支持部材、および歯型支持部材を備える。鋳型支持部材は、支持ベースに装着され、スタンド、スタンド上で支持される鋳型プラットホーム、および支持ベースに対して鋳型プラットホームの方向を調整するように構成された調整構造を備える。プラットホームは対向歯型ベースを解放可能に装着するように構成される。歯型支持部材は支持ベースに装着され、歯型支持部材は歯型ベースを対向歯型ベースの全般的に垂直方向の上方の適切な位置で支持するように構成される。
【0009】
本発明の他の態様は、歯型作成システムを使用して人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法に関する。この歯型作成システムは、対向歯型ベース、歯型ベース、および鋳込治具を備える。鋳込治具は鋳型支持部材および歯型支持部材を備え、鋳型は鋳型の両側に形成された人間の対向する上下の歯の凹凸を含むことができる。この方法の工程は、対向歯型ベースを鋳型支持部材に装着する工程、対向歯型ベースおよび鋳型の一側面上の歯の凹凸に第1の成形可能な材料を充填する工程、対向歯型ベースと鋳型の一側面に充填した第1の成形可能な材料を対合させる工程、および歯型ベースを歯型支持部材に装着する工程を含む。この方法はさらに、歯型ベースを鋳型の反対側の歯の凹凸と位置合せする工程、鋳型の反対側に第2の成形可能な材料を充填する工程、充填した第2の成形可能な材料を歯型ベースと対合させる工程を含む。方法はさらに、第1および第2の成形可能な材料を硬化して、対向する上下の歯を含む歯型を形成する工程、および硬化した成形可能な材料から鋳型を取り外す工程を含む。
【0010】
本発明の他の態様は、底壁、第1の側壁、複数の保持ピン、ならびに第1および第2の取り付け構造を備える歯型ベースに関する。第1の側壁は連続して底壁から全般的に垂直方向に延びる。側壁は第1の側壁の上縁部に沿って上部支持面を画定する。底壁および第1の側壁は第1のキャビティを画定する。保持ピンは底壁からキャビティ内に全般的に垂直に延び、上部支持面の下に維持される。第1の取り付け構造は側壁の前端に画定され、第2の取り付け構造は側壁の後端に画定される。
【0011】
本発明の上記の要約は、本発明の各実施形態または全ての実装形態を記載することが意図されたものではない。以下の図面および詳細な説明によって、好ましい実装形態をより詳細に例示する。
【0012】
添付の図面と併せて本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば本発明をより完全に理解することができるであろう。
【0013】
本発明には多様な修正形態および変更形態が可能であるが、本発明の詳細を一例として図面で示し、詳細に記載する。しかし理解されるように、本発明は、記載した特定の実施形態に限定されるものではない。逆に、全ての修正形態、等価のもの、および変更形態が本発明の精神および範囲内に包含されるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、鋳込治具を使用して歯型および対応する対向歯型を作成する歯型作成システムならびに方法に適用することができるものである。本開示は、対向歯型を作成する際に使用する歯型ベース、およびその使用方法にも関する。具体的には、本開示は、複数の平面で調整可能な複数の調整機能を備える歯型鋳込治具を対象とする。開示した例示の鋳込治具は、様々なタイプの歯の鋳型から様々なタイプの歯型を作成するように構成される。本開示を限定するものではないが、本開示の様々な側面が以下に提供する例の論述から理解されるであろう。
【0015】
鋳込治具は、人間の歯の鋳型または凹凸から歯型を作成する際の補助として広範に使用されてきた。通常、鋳込治具は、人間の歯の鋳型、およびこの鋳型に隣接する歯型ベースを支持するものである。周知の鋳込治具は、歯型ベースを歯の鋳型に位置合せするための正確な調整が難しい。周知の鋳込治具は、有効に、同様の機能を繰り返し、以前に調整した位置に戻ることができない。周知の鋳込治具は、歯型を形成し、「トリプルトレイ」歯型(すなわち、人間の対向する上下の歯の凹凸を含む歯型)から関連する対向歯型を形成するのにも不十分である。本開示は、添付の図面を参照し、上記その他の従来技術の欠点に対処する、関連する鋳込治具および歯型ベースを備える歯型作成システムを提供する。
【0016】
図1は、対向する歯型を形成するための例示の歯型作成システム10を示す。システム10は、鋳込治具12、完全アーチ形状の対向歯型ベース16(「対向ベース」または「完全アーチ形状の対向ベース」)、およびピンロケータ18を備える。対向ベース16の構造を図4および5を参照して以下に提供する。ピンロケータ18は、歯型作成プロセスの最終工程で、歯型ベース20と鋳込治具10上で交換可能である(図15〜17を参照)。図2〜4は、患者の対向する上下の歯の凹凸を含む完全アーチ形状トリプルトレイの歯の鋳型14をさらに備える歯型作成システム10を示す。
【0017】
図6は四分円形状対向歯型ベース216(「四分円形状対向ベース」)を備える歯型作成システム10を示し、図7はさらに四分円形状対向歯型ベース216を有する四分円形状トリプルトレイの歯の鋳型214を示す図である。四分円形状対向ベース216の構造を以下で図6および8を参照して論じる。
【0018】
鋳込治具12は、ベース部材22、歯型ベース支持部材24、および鋳型支持部材26を備える。歯型ベース支持部材24は、ベース部材22に固定された第一部分28、ならびに第一部分にピボットロッド32、34および延長部36で旋回可能に固定された第二部分30を備える。鋳型支持部材26は、スタンド部38、鋳型プラットホーム40、およびプラットホーム支持部42を備える。スタンド部38は、鋳型プラットホーム40のベース部材22に対する位置を変更するために、X、Y平面でZ方向に調整可能である。鋳型プラットホーム40およびプラットホーム支持部42は共にスタンド部38に対して旋回式に調整可能である。したがって、鋳型支持部材26は、歯型の鋳込みおよび作成がしやすくなるように複数の方向に調整できるようにするものである。
【0019】
次に図9を参照すると、ベース部材22は、鋳型支持部材26をベース部材の上面44上の所与のXY位置(図1を参照)に係止または保持するために使用することができるロック機構46を備える。ロック機構46は、ピボット部材48、ピボットポイント50、ロック部52、レバー54、レバー54に固定されたカム部56(図3を参照)、およびレバーブラケット58を備える。ピボット部材48は、一端がピボットポイント50に固定され、反対側の端部付近でレバー54のカム部56によって係合される。ロック部52は、好ましくは、ピボットポイント50と、カム部56がピボット部材48と係合する場所との間の点でピボット部材に装着される。カム部56は、ピボットポイント50からできるだけ離れた点でピボット部材48と係合して、ロック部52を鋳型支持部材26から係合解除するのに最大てこ作用が生じるようにすることが好ましい。
【0020】
カム部56は、レバー54が回転するときに鋳型支持部材26からロック部52の係合を解除するのに必要な力を加える所定のカム面角度を有するカム面を備える。カム部56は、レバー54の回転を所定の回転範囲に制限するようにも構成される。レバーハンドル60は、ロック部52が係止位置に存在する場合は垂直位置に存在し、ロック部52を鋳型支持部材26から係合解除するには約90度回転される。他の実施形態では、レバー54をより大きいまたは小さい回転角度だけ回転して、ロック部52と係合させたり係合解除したりすることができる。さらに、レバーハンドル60をベースに対して任意の所望の位置に配置することができる。
【0021】
ロック部52は、鋳型支持部材26をベース部材22の上面44上の所与のX−Y位置に保持する十分強い磁力を持つ磁気材料を含むことができる。磁力の強さは、通常、鋳型支持部材26を所与の位置に保持して鋳型支持部材26の不測の動きを阻止するのに十分な強さであるが、鋳型支持部材26をベース部材22に対して調整するためにロック部が簡単に解放することができる強さである。
【0022】
他の実施形態では、ロック機構46を、鋳型支持部材26を所与のX−Y位置に係止するための様々な構成要素および構造を有するように様々に構成することができる。たとえば、ロック機構46はボールとソケット構成を備えることができ、ボールが鋳型支持部材に固定され、締めつけられると、ソケット部が鋳型支持部材26をベース部材22に固定位置に固定する。ロック機構22の他の例示の実施形態は、ナットを有するねじシャフトを備えることができ、ナットを締めつけることによって、鋳型支持部材26がベース部材に所望のX−Y位置に固定される。
【0023】
再び図1〜4を参照すると、歯型ベース支持部材24はさらに、歯型ベース20(図15〜17を参照)またはピンロケータ18を取り付けることができる取付プレート64を備える。取付プレート64は第二部分30に接続ポイント66、68で留め具、接着剤などで固定される。
【0024】
通常、第二部分42は、特別の取付プレートのサイズまたは特定の歯型ベースのサイズを取り付けるように構成される。たとえば、成人サイズの口用(大)、年少者サイズの口用(中)、および子供サイズの口用(小)の様々な取付プレートおよび歯型のサイズがある。ピボットロッド32を取り外し、第二部分30を適したサイズの第二部分と交換することによって、適したサイズの第二部分30を所与の鋳型のサイズに使用することができる。
【0025】
他の実施形態では、特定のサイズの第二部分30を第一部分28に永久に固定することができる。この構成は、大、中、または小の取付プレートおよび歯型ベースサイズごとに別個の鋳込治具を配置することができるようにするものである。
【0026】
図1〜4で示した歯型ベース支持部材24は、第二部分30が、図1〜4で示した第1の位置と、たとえば図15で示した第2の位置の間を移動することができるようにする。第二部分30は、第1の位置では、第二部分30によって支持される歯型ベース20またはピンロケータ18を歯の鋳型14に隣接するように方向付け、歯の鋳型14は鋳型プラットホーム40上に位置付けられる。第2の位置では、歯型ベース20またはピンロケータ18は歯の鋳型14から旋回式に取り外される。図1〜4で示した実施形態では、第二部分42は、第1と第2の位置の間で約180度旋回して、第2の位置では、歯型ベースまたはピンロケータが第1の全般的に下方に面した配置ではなく上方に面することができる。他の実施形態では、回転角度は約30度から約270度であり、好ましくは約100度から約180度である。
【0027】
第二部分30の第2の位置への移動によって、取付プレート、ピンロケータ、または歯型ベースを第二部分30に装着するために使用される接続ポイント66(図4を参照)など装着構造に簡単にアクセスすることができるようになる。また、第2の位置に存在する場合、より簡単に、歯型ベース内にピンを配置し、得られた歯型の内部にピンが適切に固定されるように、たとえばピンを歯型形成材料の層で予め覆うことによって、鋳型内に挿入するピンの準備をすることができるようになる。
【0028】
他の実施形態では、接続ポイント66を、様々な取付プレート、ピンロケータ、および歯型ベースを装着するように多様に構成することができる。たとえば、第二部分30に接続されるピースの設計に応じて、4つより多いまたは少ない図4で示した接続ポイント66が存在してもよい。
【0029】
ピンロケータ18は、取付プレートから迅速に解放される構造を有するように構成することができる点で、上記の米国特許および以下に列挙した特許出願に参照される歯型ベース構成に幾つかの点で類似するものである。ピンロケータ18は、広範なピンの数およびピン構成を含むことができる。ピンロケータ18は、ピンロケータ18を歯の鋳型の歯の凹凸に対して視覚による位置合せおよび位置付けが容易になるように、ピンロケータから延びる(歯型ベースのピンと比較して)比較的長いピンを備えることができる。歯型作成中に、鋳型がピンロケータに対して適切に位置付けられた後、かつ歯の鋳型に成形可能な材料が充填される前に、ピンロケータが歯型ベースと交換される。ピンロケータの全高(たとえば、ピンの長さにピンロケータのベース部の高さを加えたもの)がベースの全高(歯型ベースから延びるピンの長さに歯型ベースの高さを加えたもの)と実質的に等しいことが好ましい。等しい高さが得られると、歯の鋳型内の歯の凹凸に対するピンロケータのピンの位置の正確な調整によって、ピンロケータが歯型ベースと交換された場合に、歯型ベース内のピンに対応する同様の調整が得られる。ピンロケータ18の構造および機能に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている、公開された米国特許出願第2004−0029070−Al号および第2004−0029071−Al号に記載されている。
【0030】
次に図3、4、および10を参照すると、鋳型支持部材のスタンド部38は、スタンドベース70、スタンドベースに装着される中空部72、中空部72内に挿入可能なねじシャフト74、中空部72に固定されるナット76、および上面44のスタンドベース70から反対側でベース部材12に隣接して位置付けられる係合プレート78を備える。図10の分解図は、こうした様々な構造の相対位置付けおよび組立方法を示す。
【0031】
ナット76は中空部72に固定されるが、中空部72に対して回転可能である。ねじシャフト74はナット76の内側ねじと係合し、ナット76の回転によってねじシャフト74を中空部72内で移動させる。他の実施形態では、ナット76を省くことができ、中空部はシャフト74のねじと係合する内側ねじを備えることができる。
【0032】
スタンドベース70と係合プレート78は互いに固定され、スタンドベース70と係合プレート78の間に延びる接続部材80がベース部材22内に形成された中空部82内で移動することができるように構成される。この構成によって、ロック機構46がロック部52を係合プレート78から係合解除した場合に、スタンド部38がベース部材22に対してX−Y平面で移動することができるようになる。ロック部52が係合プレート78と係合した場合、スタンド部38が係止され、または他の方法で上面44に対して所与のX−Y位置に固定される。
【0033】
次に図11を参照すると、鋳型支持部材26は、ボール86、ソケット88、上部90、および下部92を備える鋳型プラットホームアジャスター84を含む。プラットホームアジャスター84は、鋳型プラットホーム40をスタンド部38および歯型ベース支持部材24に対して旋回式に調整できるようにする。ボール86およびソケット88は、上部90と下部92の間に保持される。ソケット88はアジャスターハンドル94で調整され、アジャスターハンドル94は回転によってソケット88を緩めたり締めつけたりすることができ、それによって、鋳型プラットホーム40を所望の旋回位置に調整することができる。下部92はスタンド部38のねじシャフト74に固定され、シャフト74の垂直方向の調整によって、鋳型プラットホーム40および鋳型プラットホームアジャスター84の位置も垂直方向に調整される。
【0034】
他の実施形態では、鋳型プラットホームアジャスター84を異なる構成にして、同じまたは同様の機能を実行するようにすることができる。たとえば、他の例示のアジャスターは、上部または下部部材を通して挿入して鋳型プラットホームを所与の旋回式に調整された位置に係止するボールおよび止めねじを備えることができる。他の例示の実施形態では、鋳型プラットホームをスタンド部にヒンジで取り付けて、図で示したボールとソケット構成による無限の旋回式調整ではなく、単一の運動平面で調整可能にすることができる。他の例では、アジャスターは、別個の運動平面の調整を可能にする2つ以上の別個のヒンジを備えることができ、各ヒンジは個々に固定されて、プラットホームをスタンドに対して複数の方向に調整することができるようになされる。
【0035】
鋳型プラットホーム40は、図1〜4、6および7で示した対向歯型ベース16、216を装着するように構成される。対向ベース16をプラットホーム40上で保持する助けとして、プラットホーム40は前停止部96、後停止部98、保持アーム99、100、101を備える。プラットホームは、プラットホーム支持部42の上面に形成された開口104と係合するプラットホームの下側の位置合せタブ102を備えることもできる(図3および4参照)。位置合せタブ102はプラットホーム40をスタンド部38に対して保持する助けをする。プラットホーム40はさらに、対向ベース16をプラットホーム40に装着する際に、前停止部96を対向ベース16の雌位置合せピン152(図4を参照)と位置合せする助けをする位置合せマーカ97を備える。
【0036】
保持アーム99、100、101は、対向ベース16、216の後ろ側に形成されたスロット148、248内に延びるサイズであり、そのように配置される。スロット148、248は、対向ベース16、216を、たとえば、使い捨て咬合器(たとえば図17で示した咬合器190)または他のタイプの装着デバイスに結合する構造を有する。対向ベース16のスロット148は、対向ベースの後ろ側を横切って連続して延び、3つの保持アーム99、100、101が全てスロット148内に延びるサイズである。対向ベース16は保持アーム99、100、101によって垂直に保持され、前停止部96および後停止部98によって横方向かつ長手方向に保持される。四分円形状対向ベース216(図6を参照)では、対向ベース216が鋳型プラットホーム40のどちら側に位置付けられるかによって、保持アーム99または101のうちの1つがスロット248内に延び、保持アーム100は対向ベース216の側縁部に沿ってスロットの外側に延びる。保持アーム99、101のうちの1つがスロット248の内部に、保持アーム101が対向ベース216の側面に沿って配置されるこの構成は、対向ベース216の横方向(X)および垂直方向(Z)の両方の移動を制限する助けをする。対向ベース216は停止部96、98によって長手方向(Y)に、かつ部分的に横方向に保持される。
【0037】
鋳型プラットホーム40は、鋳型プラットホームの下側から下方に突き出たスカート105を備える(図4を参照)。スカート105は、プラットホーム支持部42の外周の少なくとも一部の周りに延びるサイズである。スカート105は、位置合せタブ102が鋳型プラットホーム40をプラットホーム支持部42上で所定の横方向および長手方向の位置に保持する際の助けをする。代替実施形態では、鋳型プラットホーム40をプラットホーム支持部42に、たとえば、スナップ嵌め、締まり嵌め、留め具、ラッチ、または2つ以上の物品を比較的迅速に解放することができる他の周知の構造など、迅速解放構造で固定することができる。他の実施形態では、鋳型支持部材の他の構造は、迅速な解放または他の脱着可能な構成を使用して鋳込治具から脱着可能でもよい。たとえば、鋳型支持部材のスタンド部の多様な構造は脱着可能でもよく、鋳型支持部材全体が鋳込治具から簡単かつ迅速に脱着可能でもよい。
【0038】
鋳型支持部材の少なくとも鋳型プラットホームの脱着性は幾つかの理由で有利である。鋳型プラットホーム40自体の、または鋳型支持部の他の構造による、取り外しおよび取り付けは、鋳込治具を最適に使用する助けをすることができる。たとえば、鋳込治具を使用する歯型作成プロセスの幾つかの予備工程を鋳込治具の鋳型プラットホーム構造だけを使用して行うことができる。この工程を鋳型プラットホームを鋳込治具から取り外した状態で行うことができ、必要に応じて鋳型プラットホームを鋳込治具に取り付けることによって残りの工程を完了することができる。鋳型プラットホームを取り外した状態で行うことができる幾つかの工程の例には、対向歯型ベースの鋳型プラットホームへの装着、対向ベースおよび歯の鋳型への成形可能な材料の充填、充填した対向ベースと歯の鋳型の互いの係合状態への位置付け、および成形可能な材料の硬化が含まれる。したがって、複数の歯の鋳型および対向ベースを全て鋳込治具から取り外された別個の鋳型プラットホームに装着することができ、次いで、(歯の鋳型と対向ベースを適切に装着して用意した)用意された鋳型プラットホームを1つずつ鋳込治具に迅速に装着して、他の鋳込治具構造を使用して歯型を形成することができる。
【0039】
ピンロケータ18、取付プレート64、および歯型ベース20は、ソケットまたはボール取り付け構造108、110を備える。ボール構造108は半球形状の突起であり、半球形状の凹部またはソケット110内に少なくとも部分的に嵌まるように構成される。ボール108とソケット110の嵌合はスナップ嵌め接続部を提供することができる。図で示した実施形態では、ボールとソケット108、110は係止構成には係合せず、垂直および横方向の動きを制限するものである。ラッチ構造112、114は、その1つがピンロケータ18、取付プレート64、および歯型ベース20の前端に設けられており、ラッチ構造112、114の係合によりスナップ嵌めのしっかりした接続部が設けられる。一部の実施形態では、ボール構造をピンロケータ18および歯型ベース20と一体化し、ソケット構造を取付プレート64と一体化することができる。他の実施形態は、ピンロケータ18、取付プレート64、および歯型ベース20の対向する端部にラッチ構造112、114およびボールとソケット構造108、110の任意の組合せを備えることができる。取付プレート64とピンロケータ18と歯型ベース20の間の同じまたは同様の取り付け機能を実行する他の取り付け構造を他の実施形態に設けることができる。
【0040】
公開された米国特許出願第2004/0029070−Al号および第2004/0029071−Al号は歯型作成プロセスに関する詳細を開示しており、それによれば、歯の鋳型が一種の取り付け手段(たとえばプラスター、留め具など)を使用して鋳型支持部材の鋳型プラットホームに直接取り付けられる。本明細書で開示する歯型作成システムおよび方法は、鋳型プラットホーム40と歯の鋳型14、214の間に位置する対向歯型ベース16を備える。この方向付けにより、歯の鋳型14、214の高さが、ベース部材22および歯型ベース支持部24の第二部分30に対して対向ベース16、216の厚さに等しい距離だけ高くなる。この歯の鋳型の高さが高くなる結果、第二部分30の高さも高くなり、鋳型支持部材26に広範な垂直方向の調整が可能になる。
【0041】
歯型ベース支持部24の延長部36は、対向ベース16の厚さと実質的に同じ距離だけ第二部分30の高さを上げる。延長部36は、第一部分28の上面と対合して延長部36が完全に支持されるようにする構造を備える。延長部36は、第一部分28の対合する横方向の開口120に対して平行方向に横に延びる2組の開口116、118を含む。下方の組の開口116は第1のピボットロッド32を受けて延長部36を第一部分28に固定するように構成される。上方の組の開口118は、第2のピボットロッド34を受けて歯型ベース支持部24の第二部分30を延長部36に固定するように構成される。
【0042】
延長部36は、第1および第2の停止面122、124も備える。停止面122、124は、第二部分30と係合して、鋳型支持部材26および歯の鋳型14に隣接する第二部分30および第2の位置を画定し、第二部分30は鋳型支持部材26および歯の鋳型14から取り外される位置に180度回転される。他の実施形態では、停止面は、たとえば角度90°から180°など異なる回転角度を提供することができる。
【0043】
延長部36は、延長部が取り外された場合は第2004/0029070−Al号および第2004/0029071−Al号に記載されているように鋳型をプラットホームに直接装着し、または延長部36が第一部分28に加えられた場合は鋳型を対向ベース(たとえばベース16)に装着するように、鋳込治具12が使用されるようにする。他の実施形態では、第一部分28は延長部36の高さと等しい追加の高さを含むことができ、それによって延長部36が不要になるが、鋳込治具の使用が制限される可能性がある。他の実施形態では、たとえば鋳型支持部材26が追加の垂直方向の調整能力を有し、または歯型支持部24が他の垂直方向の調整構造を備える場合は、延長部36が不要である。
【0044】
図4および5を参照すると、完全アーチ形状の対向歯型ベース16は、外壁130、内壁132、および中間壁134を備える。外壁130および内壁132は、患者の歯肉線の曲率に全般的に従う。壁130、132、134は中間壁134の両側に第1および第2のキャビティ136、138を画定する。外壁130および内壁132は対向する第1および第2の支持面140、142も画定する。ラッチ受け部114は外壁130の前端に形成され、ソケット110およびスロット148は外壁130の後端に形成される。それぞれ複数のストーン保持ピン150および雌位置合せピン152が中間壁134から第1および第2のキャビティ136、138内に延びる。前部および後部の対の歯の位置合せマーカも対向ベース16の前端と後端の間で外壁130上に形成される。
【0045】
図6および8を参照すると、四分円形状対向歯型ベース216は、外壁230、内壁232、および中間壁234を備える。外壁230および内壁232は、患者の歯肉線の曲率に全般的に従う。壁230、232、234は中間壁234の両側に第1および第2のキャビティ236、238を画定する。外壁230および内壁232は対向する第1および第2の支持面240、242も画定する。一対のラッチ受け部212、213が外壁230の前端に形成され、ソケット210およびスロット248が外壁230の後端に形成される。それぞれ第1および第2組のストーン保持ピン250、251、ならびに第1および第2の雌位置合せピン252、253は中間壁234から第1および第2のキャビティ236、238内に延びる。前部および後部の対の歯の位置合せマーカも四分円形状対向ベース216の前端と後端の間で外壁230上に形成される。
【0046】
中間壁134、234は、第1と第2の支持面140、240と142、242の間に均等に間隔をおいて配置される。この均等の間隔によって、実質的に同じ体積のキャビティ136、236と138、238が作成される。中間壁の使用は、対向ベース16、216を使用して対向する歯型を形成するのに必要とされる成形可能な材料の全体量を減少する助けになる。中間壁は2つの別個のキャビティを作成し、各キャビティが特定の機能を果たすこともできる。四分円形状対向ベース216の場合は、キャビティ236、238の両方が、ストーン保持ピン260、251など歯型用のベースとしてストーンを保持するのに好ましい構造を備え、鋳型プラットホーム40に装着するための雌位置合せピン250、251も備える。この構成によって、対向ベース216が右側または左側の四分円形状対向歯型ベースとして機能することができるようになる。他の実施形態では、雌位置合せピン252、253の1つ、およびストーンピン250、251の1つが対向ベース16の構造と同様に取り外されて、対向ベース216が右側または左側だけの四分円形状歯型ベースとして機能する。
【0047】
完全アーチ形状対向ベース16の場合、第1のキャビティ136は、ストーンを歯型のベースとして保持するように構成され、第2のキャビティ138は鋳型プラットホーム40に装着するための雌位置合せピン150を備える。第2のキャビティ138はストーン保持ピン150を備えていないが、たとえば、対向ベース16をプラスターアッタチメント(たとえば、図19の咬合器192への四分円形状対向ベース216のプラスターアッタチメント)で咬合器に装着するために、成形可能な材料を充填し保持することができる。他の実施形態では、第2のキャビティ138は一組のストーンピンを備えることができ、雌位置合せピンを第1のキャビティ136に追加して、対向ベース16の両側を使用して成形可能な材料を歯型用のベースとして保持することができる。
【0048】
ストーンピン150、250、251は円柱形であり、別個の列に配置され、外壁130、230、および内壁132、232に隣接して延びる。他の実施形態では、ストーンピンは様々な形状、サイズ、数でもよく、キャビティ内の様々な位置に配置することができる。ストーンピンは、1つまたは複数の壁130、230、および132、232、ならびに134、234と一体に形成することもでき、または対向ベースに別個に固定し、あるいはそれから取り外し可能にすることができる。ピン150、250、251はベース16、216の様々な壁から様々な方向に延びることもできる。
【0049】
前部および後部の歯の位置合せマーカ154、254、および156、256は、上部および下部の鋳型の特定の歯の位置合せのための位置合せマーカである。通常、各組のマーカの第1のマーカが(対向ベース16、216の前から後ろに移動する際に)下の歯の鋳型の特定の歯の凹凸と位置合せされることが意図されている。各組のマーカの第2のマーカは上の歯の鋳型の特定の歯の凹凸と位置合せされることが意図されている。マーカ154、254、および156、256は、鋳込治具12およびピンロケータ18を使用せずに対向ベース上に歯型を形成する際に最も有用である。位置合せマーカ154、254、および156、256の使用に関してさらに詳細に以下に記載する。
【0050】
ラッチ受け部112、212、245およびソケット110、210は、対向ベース16、216をたとえば取付プレートまたは歯型作成システムの他の構造に取り付けるための取り付け構成の一例である。留め具、ブラケットなど他のタイプの取り付け手段、および迅速解放デバイスを対向ベース16、216と一体化し、またはその上で動作させて、同様の取り付け機能を果たすようにすることができる。
【0051】
対向ベース16、216の第2のキャビティ138、238を省き、キャビティ138、238内に位置付けられる雌位置合せピン152、252などの構造を他の位置に移動させることができる。たとえば、中間壁134、234、または外壁130、230の厚さを増加し、雌位置合せピン152、252、または同様の位置合せ部材を中間壁または外壁の内部に画定することができる。他の例では、雌位置合せピン152、252、または同様の位置合せ部材を外壁130、230、または内壁132、232の外側に位置付けて、位置合せピンが中間壁134、234の下ではなく側部に位置付けられるようにすることができる。一部の実施形態では、第2のキャビティ13、238を省いて、対向ベース16、216の高さを低くし、より平坦にすることができる。
【0052】
本明細書で示し記載した歯型ベースおよび取付プレートを任意の所望の歯型ベースまたは取付プレート構成と交換することができる。幾つかの例示の他の歯型ベースおよび取付プレートには、発行された特許および特許出願の以下のリストに示し記載された取付プレートおよび歯型ベースの一群の任意のものが含まれる。米国特許第D429,815号、第D430,672号、第D433,136号、第D433,754号、第D444,559号、第D443,363号、第D452,009号、第D452,010号、第D452,319号、第D452,320号、第D452,321号、第D452,322号、第D452,566号、第D452,567号、第D452,568号、第D456,904号、第D457,964号、第D457,963号、第D456,903号、第D457,636号、第D457,243号、第D456,902号、第D457,637号、第D464,432号、第D465,027号、第D464,431号、第D464,732号、第D464,733号、第D468,018号、第D468,431号、第D468,432号、第D481,797号、第D469,537号、第5,775,899号、第5,788,489号、第5,788,490号、第5,800,166号、第5,868,569号、第5,934,901号、第6,471,513号、第6,884,068号、および米国特許出願第29/216,697号、ならびに第29/216,696号であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。特許および特許出願のこの一群は、限定的ではないが、完全アーチ形状および四分円形状の歯の鋳型の作成用の取付プレートおよび歯型ベースに関連するものである。
【0053】
本開示の歯型作成システム(たとえば、歯型鋳込治具、対向歯型ベース、歯型ベース、およびピンロケータ)を使用する可能な歯型作成の一方法のさらに詳細な説明を図12〜19を参照して記載する。以下に記載した工程は、列挙した順序に厳密に従う必要はなく、開示された例の所期の目的を果たすことができるより多くのまたはより少ない工程と交換することができる。方法工程の大部分は鋳込治具およびピンロケータを使用して記載されているが、この工程の少なくとも一部を鋳込治具またはピンロケータを使用せずに行うことができる。対向ベース16、216は、鋳込治具およびピンロケータとは別に、歯型作成方法に特に有用である。
【0054】
鋳込治具12は、先ず、所与のサイズの歯の鋳型14に正しい取付プレート64および歯型ベース支持部材24の第二部分30を選択することによって用意される。次に、トリプルトレイの歯の鋳型および対向歯型ベースが歯型作成方法に使用される場合は、延長部36がピボットロッド34を使用して歯型ベース支持部24の第一部分28に取り付けられる。適切なサイズの第二部分30がピボットロッド32で延長部36に装着される。次いで、取付プレート64が取り付けられた第二部分30が、鋳型プラットホーム40の上方に垂直に方向付けられる第1の位置に移動される。
【0055】
次いで、保持アーム99、100、101を対向ベース16のスロット148内に挿入することによって、対向ベース16が鋳型プラットホーム40に装着され、鋳型プラットホーム40の前停止部96が対向ベース16の雌位置合せピン152内に挿入される。次いで、ピンロケータのピンが歯の鋳型14の上側の歯の凹凸と位置合せされた状態で、歯の鋳型14が対向ベース16とピンロケータ18の間の位置に手で保持される(図12を参照)。鋳型支持部材26は、歯の位置合せマーカ154、156が歯の鋳型14の下側の特定の歯の凹凸とほぼ位置合せされるように上記の様々な調整構造を使用して調整されるが、ピンロケータ18のピンは歯の鋳型14の上側の歯の凹凸と位置合せされたままである。マーカ154、156を使用する位置合せではなく、歯の鋳型14と対向ベース16の視覚による位置合せを行うことが可能である。歯の鋳型14の上側と下側の特定の歯の凹凸の位置を示すマーキングを歯の鋳型14の外面上に行ってマーカ154、156と位置合せしやすくすることができる。対向ベース16およびピンロケータ18が透明または半透明材料からなる場合は、視覚によって位置合せしやすくすることができる。
【0056】
ピンロケータ18は、歯型ベース20に装着することができるピンを含む歯型ベース20の相対位置および寸法を全て複製するものである。鋳型プラットホーム40の高さを調整して、ピンロケータ18のピンが歯の鋳型14の邪魔にならないようにし、歯の鋳型14は、鋳型14の上側の歯の凹凸がピンロケータ18のピンと概ね位置合せされるように配置される。
【0057】
次いで図13で示したように、対向ベース16の第1のキャビティ136および歯の鋳型14の下側の歯の凹凸に成形可能な材料M1が充填される。対向ベース16の充填を、たとえば、対向ベース16および鋳型プラットホーム40が鋳込治具に装着されている間、対向ベース16が鋳型プラットホーム40から取り外されている間、または対向ベース16が鋳型プラットホーム40に装着され、鋳型プラットホーム40が鋳込治具から取り外されている間に行うことができる。これらの幾つかの選択肢は、必要に応じて鋳込治具の使用を最適にするものである。対向ベース16および歯の鋳型14内の成形可能な材料M1は、歯の鋳型14の歯の凹凸と適切に位置合せされた位置合せマーカ154、156と互いに接触される。
【0058】
成形可能な材料M1が硬化した後、組み合わせた対向ベース16と歯の鋳型14が、鋳込治具上に装着された鋳型プラットホーム40上に再配置される。ピンロケータ18が図14で示した第1の位置に再び回転され、鋳型支持部材26が、正確に位置合せされるように精密に調整され、ピンロケータのピンが歯の鋳型14の歯の凹凸に対して間隔をおいて配置される。歯型ベース支持部24の第二部分30は第1の位置から第2の位置に向けて回転され、ピンロケータ18が歯型ベース20と交換される。
【0059】
図15で示した実施形態では、歯型ベース20は、歯型ベース20の歯型支持面から延びる複数のピン21を備える。歯型支持面および歯の鋳型14の上側の歯の凹凸は成形可能な材料M2で覆われ、または充填される(図14を参照)。次いで、第二部分30が第1の位置に戻るように回転され、第二部分の接触タブ31が延長部36の停止面122と係合する。この回転運動によって、図16で示したように、歯の鋳型14の成形可能な材料M2が歯型ベース20の成形可能な材料M2と対合する。
【0060】
ベース20および鋳型14が鋳込治具に装着されたとき、またはこうした部材の1つまたは両方が鋳込治具から取り外されたときに、歯型ベース20および歯の鋳型14の上部への成形可能な材料M2の充填または被覆を行うことができる。特に鋳型支持部26の調整された位置を正確に再現することができる場合、鋳込治具から離れた場所での材料M2の充填または被覆は、鋳込治具の使用を最適化する助けをすることができる。
【0061】
成形可能な材料M2が硬化した後、歯型ベース20および対向ベース16を鋳込治具から解放し、歯の鋳型14から解放して、得られた歯型300、302(図17を参照)を露出することができる。過剰な成形可能な材料M1、M2を歯型300、302から研磨して、歯型をたとえば図17で示した使い捨て咬合器190に装着することができる。咬合器190は、歯型ベース20および対向ベース16のスロット構造148と係合する接続部材192、194を備える。接続部材192、194をスロット148内に、たとえば、接着剤、スナップ嵌め接続、留め具、超音波溶接などで接続することができる。
【0062】
歯型300、302を咬合器に接続して歯の鋳型14を取り外すまで待機することによって、患者の実際の咬合を示す歯型300、302の正確な位置合せを確保することができる。こうした接続の維持により、歯型300、302を咬合器または他の装着構造に取り付けやすくすることもできる。たとえば、接続の維持は、対向ベース16および歯型ベース20に直接、または取付プレート164を介して、プラスターアタッチメントPが必要な図18および19で示した咬合器192に取り付けるのに有用である。
【0063】
図18は、プラスターアタッチメントPで咬合器192に装着された四分円形状対向ベース216に装着された歯型302を示す。プラスターPは下部アーム194に固定され、対向ベース216の下方または第2のキャビティ238内に延びる。図18で示した構成は、プラスターアタッチメントPが破壊されるまで歯型302の咬合器192への永久接続をもたらす。歯型302は、プラスターアタッチメントPを介して咬合器192に結合された場合、定位置にしっかり保持され、対向する歯型(たとえば歯型300)は上部アーム196に接続され、咬合器の調整が行われて歯型の互いの位置の調整が行われる。
【0064】
図19は、取付プレート64を有する咬合器192に装着される四分円形状対向ベース216に装着された歯型302を示す。取付プレート64はプラスターアタッチメントPで咬合器のアーム194に固定される。取付プレートは歯型302を咬合器から迅速かつ簡単に取り外しできるようにする。
【0065】
他の歯型作成システムでは、対向ベース16、216の第1のキャビティ136、236に第1の支持面140、142と同じ高さに成形可能な材料を充填することができ、成形可能な材料が硬化される。次に、歯の鋳型14、214に成形可能な材料を充填し、鋳型14、214の中で成形可能な材料が硬化されて、歯型が形成される。歯型が鋳型14、214から取り外され、下側(歯に対向する側)が平坦に研磨される。次いで、歯型が支持面140、142に、たとえば接着剤で固定される。こうすると、対向ベース16、216は追加の機能性を提供することができる。
【0066】
本明細書に記載した例示の鋳込治具の様々な構造および部品、ならびに他の構造の調整性を参照して、様々な運動方向および調整を本明細書に記載する。本明細書で使用するように「運動方向」は広範に定義されるものであり、たとえば回転運動、並進運動、および旋回運動、ならびにこのタイプの運動の範囲内のあらゆる方向の運動など、幾つかの異なるタイプの運動を含むものである。たとえば、X、Y、およびZ軸方向の並進運動、ならびにXY、XZ、およびYZ平面の並進運動がある。回転運動をXYZ座標系のコンテキストで定義することもできる。旋回運動は、回転運動と密接に関連しているが、たとえば、プラットホーム40とスタンド38のボールとソケット接続によって画定される単一点の周りのプラットホーム40の旋回運動など、本開示の幾つかの構造の動きを説明する際に有用である。
【0067】
歯型作成システム10の様々な構成要素を多様な材料で作成することができる。たとえば、ベース部材12、歯型支持部材14、および鋳型支持部材16に関連する構成要素の大部分を金属、合金、ポリマーベース材料、または、たとえばガラス繊維強化プラスチックなど強化ポリマーベース材料で作成することができる。対向ベース16、216、ピンロケータ18、および歯型ベース20は、透明または半透明材料からなり、それによって本明細書で論じた歯型作成プロセスに必要とされる様々な調整および位置合せ工程を行う際に、こうした構成要素を通して、またはその中を見ることができることが好ましい。
【0068】
上記の詳細、例、およびデータは、開示した例の構成物の製造および使用の完全な説明を提供するものである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の多くの実施形態を作成することができ、本発明は添付の特許請求の範囲にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】鋳込治具、完全アーチ形状対向歯型ベース、およびピンロケータを備える例示の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図2】完全アーチ形状の歯の鋳型をさらに備える図1の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図3】図2の歯型作成システムを示す正面、上面からの分解斜視図である。
【図4】図2の歯型作成システムを示す正面、底面からの分解斜視図である。
【図5】図1〜3の対向歯型ベースを示す後面、上面からの斜視図である。
【図6】四分円形状の対向歯型ベースを備える図1の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図7】四分円形状の歯の鋳型をさらに備える図6の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図8】図6の四分円形状対向歯型ベースを示す後面、底面からの斜視図である。
【図9】図1の鋳込治具ベース部材のロックアセンブリの構造を示す後面、底面からの斜視図である。
【図10】図1の鋳込治具鋳型支持スタンドの構造を示す斜視図である。
【図11】図1の鋳込治具鋳型支持プラットホームアジャスターの構造を示す斜視図である。
【図12】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図13】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図14】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図15】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図16】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図17】図12〜16で示した工程により組み合わせて使い捨て咬合器に結合された、完全アーチ形状対向歯型ベース、歯の鋳型、および歯型を示す後面からの斜視図である。
【図18】プラスターアタッチメントを有する咬合器に装着された四分円形状対向歯型ベースを示す正面からの斜視図である。
【図19】取付プレートがプラスターアタッチメントを有する咬合器に装着された、取付プレートを有する咬合器に装着される図18で示した四分円形状対向歯型ベースを示す正面からの斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、すべての加盟国を指定国として米国国民であり出願人のRonald E. Huffmanの名で2006年6月7日にPCT国際特許出願として出願されたものであり、2005年6月10日に出願された米国特許出願第11/150,849号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、歯型および歯型の形成方法に関する。本発明は、より詳細には、調整可能な歯型鋳込治具およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の歯の鋳型から歯型を作成するための伝統的な歯型鋳込治具および装置が従来から使用されている。通常、鋳型は、柔軟な成形用材料を患者に噛ませ、それを硬化して、患者の歯および歯肉と逆の凹凸を有する鋳型の凹部を作成することによって形成される。鋳型は、患者の歯肉線の全て、または任意の部分のものでもよい。次いで、鋳込み可能な材料が逆の凹凸に注入されて、患者の歯および歯肉のストーンレプリカまたは歯型が作成される。
【0004】
歯型鋳込治具の主な機能は、歯型を作成する場合に、人間の歯の鋳型を歯型ベースまたは特定の歯に関連するピンに対して適切な位置に支持することである。この機能は、人間の口内の上下両方の組の歯の凹凸を有する特別の歯の鋳型から歯型を作成する場合は特に難しいことがある。こうした特別の鋳型は「トリプルトレイ(triple tray)」と呼ばれることが多い。トリプルトレイは、人間の口の上または下の虫歯の歯型、および虫歯に対面する歯の対向歯型を同時に作成するのに最もよく使用される。
【0005】
周知の鋳込治具には多くの問題点があり、トリプルトレイなど特別の歯の鋳型に対処する装備がなされていない。周知の鋳込治具では、調整構造があったとしても、通常は扱いにくいものであり、正確な調整が難しい。さらに、通常はこうした鋳込治具の鋳型を保持する機能、またはピンあるいは歯型ベースを保持する機能だけが調整可能である。このように限られた調整性では、歯型を作成する場合に、鋳型とピンまたは歯型ベースの互いの正確な位置付けが難しい。
【0006】
周知の鋳込治具に関連する他の欠点には、鋳込治具の調整にかかる時間、および調整位置の再現ができないことがあげられる。また、周知の鋳込治具は、通常、たとえば口の大、中、小を反映するサイズなど、単一の鋳型および歯型ベースサイズ用に構成されている。また周知の鋳込治具の他の制約は、同じ鋳込治具で様々なタイプの歯型ベースに対処することに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、一般に、歯型作成システムに関し、人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法に関する。本開示は、より詳細には、調整可能な歯型鋳込治具、ならびに、鋳込治具、ピンロケータ、歯型ベース、および対向歯型ベースを使用して人間の歯の鋳型から歯型を作成する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、歯型ベース、対向歯型ベース、および鋳込治具を備える歯型作成システムに関する。歯型ベースは、人間の上または下の歯の少なくとも一部の歯型を装着するように構成された第1の歯型支持面を備える。対向歯型ベースは、歯型ベース上に装着された歯型から人間の口の反対側に位置合せされる人間の歯の少なくとも一部の対向歯型を装着するように構成された第2の歯型支持面を画定する。鋳込治具は、支持ベース、鋳型支持部材、および歯型支持部材を備える。鋳型支持部材は、支持ベースに装着され、スタンド、スタンド上で支持される鋳型プラットホーム、および支持ベースに対して鋳型プラットホームの方向を調整するように構成された調整構造を備える。プラットホームは対向歯型ベースを解放可能に装着するように構成される。歯型支持部材は支持ベースに装着され、歯型支持部材は歯型ベースを対向歯型ベースの全般的に垂直方向の上方の適切な位置で支持するように構成される。
【0009】
本発明の他の態様は、歯型作成システムを使用して人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法に関する。この歯型作成システムは、対向歯型ベース、歯型ベース、および鋳込治具を備える。鋳込治具は鋳型支持部材および歯型支持部材を備え、鋳型は鋳型の両側に形成された人間の対向する上下の歯の凹凸を含むことができる。この方法の工程は、対向歯型ベースを鋳型支持部材に装着する工程、対向歯型ベースおよび鋳型の一側面上の歯の凹凸に第1の成形可能な材料を充填する工程、対向歯型ベースと鋳型の一側面に充填した第1の成形可能な材料を対合させる工程、および歯型ベースを歯型支持部材に装着する工程を含む。この方法はさらに、歯型ベースを鋳型の反対側の歯の凹凸と位置合せする工程、鋳型の反対側に第2の成形可能な材料を充填する工程、充填した第2の成形可能な材料を歯型ベースと対合させる工程を含む。方法はさらに、第1および第2の成形可能な材料を硬化して、対向する上下の歯を含む歯型を形成する工程、および硬化した成形可能な材料から鋳型を取り外す工程を含む。
【0010】
本発明の他の態様は、底壁、第1の側壁、複数の保持ピン、ならびに第1および第2の取り付け構造を備える歯型ベースに関する。第1の側壁は連続して底壁から全般的に垂直方向に延びる。側壁は第1の側壁の上縁部に沿って上部支持面を画定する。底壁および第1の側壁は第1のキャビティを画定する。保持ピンは底壁からキャビティ内に全般的に垂直に延び、上部支持面の下に維持される。第1の取り付け構造は側壁の前端に画定され、第2の取り付け構造は側壁の後端に画定される。
【0011】
本発明の上記の要約は、本発明の各実施形態または全ての実装形態を記載することが意図されたものではない。以下の図面および詳細な説明によって、好ましい実装形態をより詳細に例示する。
【0012】
添付の図面と併せて本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば本発明をより完全に理解することができるであろう。
【0013】
本発明には多様な修正形態および変更形態が可能であるが、本発明の詳細を一例として図面で示し、詳細に記載する。しかし理解されるように、本発明は、記載した特定の実施形態に限定されるものではない。逆に、全ての修正形態、等価のもの、および変更形態が本発明の精神および範囲内に包含されるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、鋳込治具を使用して歯型および対応する対向歯型を作成する歯型作成システムならびに方法に適用することができるものである。本開示は、対向歯型を作成する際に使用する歯型ベース、およびその使用方法にも関する。具体的には、本開示は、複数の平面で調整可能な複数の調整機能を備える歯型鋳込治具を対象とする。開示した例示の鋳込治具は、様々なタイプの歯の鋳型から様々なタイプの歯型を作成するように構成される。本開示を限定するものではないが、本開示の様々な側面が以下に提供する例の論述から理解されるであろう。
【0015】
鋳込治具は、人間の歯の鋳型または凹凸から歯型を作成する際の補助として広範に使用されてきた。通常、鋳込治具は、人間の歯の鋳型、およびこの鋳型に隣接する歯型ベースを支持するものである。周知の鋳込治具は、歯型ベースを歯の鋳型に位置合せするための正確な調整が難しい。周知の鋳込治具は、有効に、同様の機能を繰り返し、以前に調整した位置に戻ることができない。周知の鋳込治具は、歯型を形成し、「トリプルトレイ」歯型(すなわち、人間の対向する上下の歯の凹凸を含む歯型)から関連する対向歯型を形成するのにも不十分である。本開示は、添付の図面を参照し、上記その他の従来技術の欠点に対処する、関連する鋳込治具および歯型ベースを備える歯型作成システムを提供する。
【0016】
図1は、対向する歯型を形成するための例示の歯型作成システム10を示す。システム10は、鋳込治具12、完全アーチ形状の対向歯型ベース16(「対向ベース」または「完全アーチ形状の対向ベース」)、およびピンロケータ18を備える。対向ベース16の構造を図4および5を参照して以下に提供する。ピンロケータ18は、歯型作成プロセスの最終工程で、歯型ベース20と鋳込治具10上で交換可能である(図15〜17を参照)。図2〜4は、患者の対向する上下の歯の凹凸を含む完全アーチ形状トリプルトレイの歯の鋳型14をさらに備える歯型作成システム10を示す。
【0017】
図6は四分円形状対向歯型ベース216(「四分円形状対向ベース」)を備える歯型作成システム10を示し、図7はさらに四分円形状対向歯型ベース216を有する四分円形状トリプルトレイの歯の鋳型214を示す図である。四分円形状対向ベース216の構造を以下で図6および8を参照して論じる。
【0018】
鋳込治具12は、ベース部材22、歯型ベース支持部材24、および鋳型支持部材26を備える。歯型ベース支持部材24は、ベース部材22に固定された第一部分28、ならびに第一部分にピボットロッド32、34および延長部36で旋回可能に固定された第二部分30を備える。鋳型支持部材26は、スタンド部38、鋳型プラットホーム40、およびプラットホーム支持部42を備える。スタンド部38は、鋳型プラットホーム40のベース部材22に対する位置を変更するために、X、Y平面でZ方向に調整可能である。鋳型プラットホーム40およびプラットホーム支持部42は共にスタンド部38に対して旋回式に調整可能である。したがって、鋳型支持部材26は、歯型の鋳込みおよび作成がしやすくなるように複数の方向に調整できるようにするものである。
【0019】
次に図9を参照すると、ベース部材22は、鋳型支持部材26をベース部材の上面44上の所与のXY位置(図1を参照)に係止または保持するために使用することができるロック機構46を備える。ロック機構46は、ピボット部材48、ピボットポイント50、ロック部52、レバー54、レバー54に固定されたカム部56(図3を参照)、およびレバーブラケット58を備える。ピボット部材48は、一端がピボットポイント50に固定され、反対側の端部付近でレバー54のカム部56によって係合される。ロック部52は、好ましくは、ピボットポイント50と、カム部56がピボット部材48と係合する場所との間の点でピボット部材に装着される。カム部56は、ピボットポイント50からできるだけ離れた点でピボット部材48と係合して、ロック部52を鋳型支持部材26から係合解除するのに最大てこ作用が生じるようにすることが好ましい。
【0020】
カム部56は、レバー54が回転するときに鋳型支持部材26からロック部52の係合を解除するのに必要な力を加える所定のカム面角度を有するカム面を備える。カム部56は、レバー54の回転を所定の回転範囲に制限するようにも構成される。レバーハンドル60は、ロック部52が係止位置に存在する場合は垂直位置に存在し、ロック部52を鋳型支持部材26から係合解除するには約90度回転される。他の実施形態では、レバー54をより大きいまたは小さい回転角度だけ回転して、ロック部52と係合させたり係合解除したりすることができる。さらに、レバーハンドル60をベースに対して任意の所望の位置に配置することができる。
【0021】
ロック部52は、鋳型支持部材26をベース部材22の上面44上の所与のX−Y位置に保持する十分強い磁力を持つ磁気材料を含むことができる。磁力の強さは、通常、鋳型支持部材26を所与の位置に保持して鋳型支持部材26の不測の動きを阻止するのに十分な強さであるが、鋳型支持部材26をベース部材22に対して調整するためにロック部が簡単に解放することができる強さである。
【0022】
他の実施形態では、ロック機構46を、鋳型支持部材26を所与のX−Y位置に係止するための様々な構成要素および構造を有するように様々に構成することができる。たとえば、ロック機構46はボールとソケット構成を備えることができ、ボールが鋳型支持部材に固定され、締めつけられると、ソケット部が鋳型支持部材26をベース部材22に固定位置に固定する。ロック機構22の他の例示の実施形態は、ナットを有するねじシャフトを備えることができ、ナットを締めつけることによって、鋳型支持部材26がベース部材に所望のX−Y位置に固定される。
【0023】
再び図1〜4を参照すると、歯型ベース支持部材24はさらに、歯型ベース20(図15〜17を参照)またはピンロケータ18を取り付けることができる取付プレート64を備える。取付プレート64は第二部分30に接続ポイント66、68で留め具、接着剤などで固定される。
【0024】
通常、第二部分42は、特別の取付プレートのサイズまたは特定の歯型ベースのサイズを取り付けるように構成される。たとえば、成人サイズの口用(大)、年少者サイズの口用(中)、および子供サイズの口用(小)の様々な取付プレートおよび歯型のサイズがある。ピボットロッド32を取り外し、第二部分30を適したサイズの第二部分と交換することによって、適したサイズの第二部分30を所与の鋳型のサイズに使用することができる。
【0025】
他の実施形態では、特定のサイズの第二部分30を第一部分28に永久に固定することができる。この構成は、大、中、または小の取付プレートおよび歯型ベースサイズごとに別個の鋳込治具を配置することができるようにするものである。
【0026】
図1〜4で示した歯型ベース支持部材24は、第二部分30が、図1〜4で示した第1の位置と、たとえば図15で示した第2の位置の間を移動することができるようにする。第二部分30は、第1の位置では、第二部分30によって支持される歯型ベース20またはピンロケータ18を歯の鋳型14に隣接するように方向付け、歯の鋳型14は鋳型プラットホーム40上に位置付けられる。第2の位置では、歯型ベース20またはピンロケータ18は歯の鋳型14から旋回式に取り外される。図1〜4で示した実施形態では、第二部分42は、第1と第2の位置の間で約180度旋回して、第2の位置では、歯型ベースまたはピンロケータが第1の全般的に下方に面した配置ではなく上方に面することができる。他の実施形態では、回転角度は約30度から約270度であり、好ましくは約100度から約180度である。
【0027】
第二部分30の第2の位置への移動によって、取付プレート、ピンロケータ、または歯型ベースを第二部分30に装着するために使用される接続ポイント66(図4を参照)など装着構造に簡単にアクセスすることができるようになる。また、第2の位置に存在する場合、より簡単に、歯型ベース内にピンを配置し、得られた歯型の内部にピンが適切に固定されるように、たとえばピンを歯型形成材料の層で予め覆うことによって、鋳型内に挿入するピンの準備をすることができるようになる。
【0028】
他の実施形態では、接続ポイント66を、様々な取付プレート、ピンロケータ、および歯型ベースを装着するように多様に構成することができる。たとえば、第二部分30に接続されるピースの設計に応じて、4つより多いまたは少ない図4で示した接続ポイント66が存在してもよい。
【0029】
ピンロケータ18は、取付プレートから迅速に解放される構造を有するように構成することができる点で、上記の米国特許および以下に列挙した特許出願に参照される歯型ベース構成に幾つかの点で類似するものである。ピンロケータ18は、広範なピンの数およびピン構成を含むことができる。ピンロケータ18は、ピンロケータ18を歯の鋳型の歯の凹凸に対して視覚による位置合せおよび位置付けが容易になるように、ピンロケータから延びる(歯型ベースのピンと比較して)比較的長いピンを備えることができる。歯型作成中に、鋳型がピンロケータに対して適切に位置付けられた後、かつ歯の鋳型に成形可能な材料が充填される前に、ピンロケータが歯型ベースと交換される。ピンロケータの全高(たとえば、ピンの長さにピンロケータのベース部の高さを加えたもの)がベースの全高(歯型ベースから延びるピンの長さに歯型ベースの高さを加えたもの)と実質的に等しいことが好ましい。等しい高さが得られると、歯の鋳型内の歯の凹凸に対するピンロケータのピンの位置の正確な調整によって、ピンロケータが歯型ベースと交換された場合に、歯型ベース内のピンに対応する同様の調整が得られる。ピンロケータ18の構造および機能に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれている、公開された米国特許出願第2004−0029070−Al号および第2004−0029071−Al号に記載されている。
【0030】
次に図3、4、および10を参照すると、鋳型支持部材のスタンド部38は、スタンドベース70、スタンドベースに装着される中空部72、中空部72内に挿入可能なねじシャフト74、中空部72に固定されるナット76、および上面44のスタンドベース70から反対側でベース部材12に隣接して位置付けられる係合プレート78を備える。図10の分解図は、こうした様々な構造の相対位置付けおよび組立方法を示す。
【0031】
ナット76は中空部72に固定されるが、中空部72に対して回転可能である。ねじシャフト74はナット76の内側ねじと係合し、ナット76の回転によってねじシャフト74を中空部72内で移動させる。他の実施形態では、ナット76を省くことができ、中空部はシャフト74のねじと係合する内側ねじを備えることができる。
【0032】
スタンドベース70と係合プレート78は互いに固定され、スタンドベース70と係合プレート78の間に延びる接続部材80がベース部材22内に形成された中空部82内で移動することができるように構成される。この構成によって、ロック機構46がロック部52を係合プレート78から係合解除した場合に、スタンド部38がベース部材22に対してX−Y平面で移動することができるようになる。ロック部52が係合プレート78と係合した場合、スタンド部38が係止され、または他の方法で上面44に対して所与のX−Y位置に固定される。
【0033】
次に図11を参照すると、鋳型支持部材26は、ボール86、ソケット88、上部90、および下部92を備える鋳型プラットホームアジャスター84を含む。プラットホームアジャスター84は、鋳型プラットホーム40をスタンド部38および歯型ベース支持部材24に対して旋回式に調整できるようにする。ボール86およびソケット88は、上部90と下部92の間に保持される。ソケット88はアジャスターハンドル94で調整され、アジャスターハンドル94は回転によってソケット88を緩めたり締めつけたりすることができ、それによって、鋳型プラットホーム40を所望の旋回位置に調整することができる。下部92はスタンド部38のねじシャフト74に固定され、シャフト74の垂直方向の調整によって、鋳型プラットホーム40および鋳型プラットホームアジャスター84の位置も垂直方向に調整される。
【0034】
他の実施形態では、鋳型プラットホームアジャスター84を異なる構成にして、同じまたは同様の機能を実行するようにすることができる。たとえば、他の例示のアジャスターは、上部または下部部材を通して挿入して鋳型プラットホームを所与の旋回式に調整された位置に係止するボールおよび止めねじを備えることができる。他の例示の実施形態では、鋳型プラットホームをスタンド部にヒンジで取り付けて、図で示したボールとソケット構成による無限の旋回式調整ではなく、単一の運動平面で調整可能にすることができる。他の例では、アジャスターは、別個の運動平面の調整を可能にする2つ以上の別個のヒンジを備えることができ、各ヒンジは個々に固定されて、プラットホームをスタンドに対して複数の方向に調整することができるようになされる。
【0035】
鋳型プラットホーム40は、図1〜4、6および7で示した対向歯型ベース16、216を装着するように構成される。対向ベース16をプラットホーム40上で保持する助けとして、プラットホーム40は前停止部96、後停止部98、保持アーム99、100、101を備える。プラットホームは、プラットホーム支持部42の上面に形成された開口104と係合するプラットホームの下側の位置合せタブ102を備えることもできる(図3および4参照)。位置合せタブ102はプラットホーム40をスタンド部38に対して保持する助けをする。プラットホーム40はさらに、対向ベース16をプラットホーム40に装着する際に、前停止部96を対向ベース16の雌位置合せピン152(図4を参照)と位置合せする助けをする位置合せマーカ97を備える。
【0036】
保持アーム99、100、101は、対向ベース16、216の後ろ側に形成されたスロット148、248内に延びるサイズであり、そのように配置される。スロット148、248は、対向ベース16、216を、たとえば、使い捨て咬合器(たとえば図17で示した咬合器190)または他のタイプの装着デバイスに結合する構造を有する。対向ベース16のスロット148は、対向ベースの後ろ側を横切って連続して延び、3つの保持アーム99、100、101が全てスロット148内に延びるサイズである。対向ベース16は保持アーム99、100、101によって垂直に保持され、前停止部96および後停止部98によって横方向かつ長手方向に保持される。四分円形状対向ベース216(図6を参照)では、対向ベース216が鋳型プラットホーム40のどちら側に位置付けられるかによって、保持アーム99または101のうちの1つがスロット248内に延び、保持アーム100は対向ベース216の側縁部に沿ってスロットの外側に延びる。保持アーム99、101のうちの1つがスロット248の内部に、保持アーム101が対向ベース216の側面に沿って配置されるこの構成は、対向ベース216の横方向(X)および垂直方向(Z)の両方の移動を制限する助けをする。対向ベース216は停止部96、98によって長手方向(Y)に、かつ部分的に横方向に保持される。
【0037】
鋳型プラットホーム40は、鋳型プラットホームの下側から下方に突き出たスカート105を備える(図4を参照)。スカート105は、プラットホーム支持部42の外周の少なくとも一部の周りに延びるサイズである。スカート105は、位置合せタブ102が鋳型プラットホーム40をプラットホーム支持部42上で所定の横方向および長手方向の位置に保持する際の助けをする。代替実施形態では、鋳型プラットホーム40をプラットホーム支持部42に、たとえば、スナップ嵌め、締まり嵌め、留め具、ラッチ、または2つ以上の物品を比較的迅速に解放することができる他の周知の構造など、迅速解放構造で固定することができる。他の実施形態では、鋳型支持部材の他の構造は、迅速な解放または他の脱着可能な構成を使用して鋳込治具から脱着可能でもよい。たとえば、鋳型支持部材のスタンド部の多様な構造は脱着可能でもよく、鋳型支持部材全体が鋳込治具から簡単かつ迅速に脱着可能でもよい。
【0038】
鋳型支持部材の少なくとも鋳型プラットホームの脱着性は幾つかの理由で有利である。鋳型プラットホーム40自体の、または鋳型支持部の他の構造による、取り外しおよび取り付けは、鋳込治具を最適に使用する助けをすることができる。たとえば、鋳込治具を使用する歯型作成プロセスの幾つかの予備工程を鋳込治具の鋳型プラットホーム構造だけを使用して行うことができる。この工程を鋳型プラットホームを鋳込治具から取り外した状態で行うことができ、必要に応じて鋳型プラットホームを鋳込治具に取り付けることによって残りの工程を完了することができる。鋳型プラットホームを取り外した状態で行うことができる幾つかの工程の例には、対向歯型ベースの鋳型プラットホームへの装着、対向ベースおよび歯の鋳型への成形可能な材料の充填、充填した対向ベースと歯の鋳型の互いの係合状態への位置付け、および成形可能な材料の硬化が含まれる。したがって、複数の歯の鋳型および対向ベースを全て鋳込治具から取り外された別個の鋳型プラットホームに装着することができ、次いで、(歯の鋳型と対向ベースを適切に装着して用意した)用意された鋳型プラットホームを1つずつ鋳込治具に迅速に装着して、他の鋳込治具構造を使用して歯型を形成することができる。
【0039】
ピンロケータ18、取付プレート64、および歯型ベース20は、ソケットまたはボール取り付け構造108、110を備える。ボール構造108は半球形状の突起であり、半球形状の凹部またはソケット110内に少なくとも部分的に嵌まるように構成される。ボール108とソケット110の嵌合はスナップ嵌め接続部を提供することができる。図で示した実施形態では、ボールとソケット108、110は係止構成には係合せず、垂直および横方向の動きを制限するものである。ラッチ構造112、114は、その1つがピンロケータ18、取付プレート64、および歯型ベース20の前端に設けられており、ラッチ構造112、114の係合によりスナップ嵌めのしっかりした接続部が設けられる。一部の実施形態では、ボール構造をピンロケータ18および歯型ベース20と一体化し、ソケット構造を取付プレート64と一体化することができる。他の実施形態は、ピンロケータ18、取付プレート64、および歯型ベース20の対向する端部にラッチ構造112、114およびボールとソケット構造108、110の任意の組合せを備えることができる。取付プレート64とピンロケータ18と歯型ベース20の間の同じまたは同様の取り付け機能を実行する他の取り付け構造を他の実施形態に設けることができる。
【0040】
公開された米国特許出願第2004/0029070−Al号および第2004/0029071−Al号は歯型作成プロセスに関する詳細を開示しており、それによれば、歯の鋳型が一種の取り付け手段(たとえばプラスター、留め具など)を使用して鋳型支持部材の鋳型プラットホームに直接取り付けられる。本明細書で開示する歯型作成システムおよび方法は、鋳型プラットホーム40と歯の鋳型14、214の間に位置する対向歯型ベース16を備える。この方向付けにより、歯の鋳型14、214の高さが、ベース部材22および歯型ベース支持部24の第二部分30に対して対向ベース16、216の厚さに等しい距離だけ高くなる。この歯の鋳型の高さが高くなる結果、第二部分30の高さも高くなり、鋳型支持部材26に広範な垂直方向の調整が可能になる。
【0041】
歯型ベース支持部24の延長部36は、対向ベース16の厚さと実質的に同じ距離だけ第二部分30の高さを上げる。延長部36は、第一部分28の上面と対合して延長部36が完全に支持されるようにする構造を備える。延長部36は、第一部分28の対合する横方向の開口120に対して平行方向に横に延びる2組の開口116、118を含む。下方の組の開口116は第1のピボットロッド32を受けて延長部36を第一部分28に固定するように構成される。上方の組の開口118は、第2のピボットロッド34を受けて歯型ベース支持部24の第二部分30を延長部36に固定するように構成される。
【0042】
延長部36は、第1および第2の停止面122、124も備える。停止面122、124は、第二部分30と係合して、鋳型支持部材26および歯の鋳型14に隣接する第二部分30および第2の位置を画定し、第二部分30は鋳型支持部材26および歯の鋳型14から取り外される位置に180度回転される。他の実施形態では、停止面は、たとえば角度90°から180°など異なる回転角度を提供することができる。
【0043】
延長部36は、延長部が取り外された場合は第2004/0029070−Al号および第2004/0029071−Al号に記載されているように鋳型をプラットホームに直接装着し、または延長部36が第一部分28に加えられた場合は鋳型を対向ベース(たとえばベース16)に装着するように、鋳込治具12が使用されるようにする。他の実施形態では、第一部分28は延長部36の高さと等しい追加の高さを含むことができ、それによって延長部36が不要になるが、鋳込治具の使用が制限される可能性がある。他の実施形態では、たとえば鋳型支持部材26が追加の垂直方向の調整能力を有し、または歯型支持部24が他の垂直方向の調整構造を備える場合は、延長部36が不要である。
【0044】
図4および5を参照すると、完全アーチ形状の対向歯型ベース16は、外壁130、内壁132、および中間壁134を備える。外壁130および内壁132は、患者の歯肉線の曲率に全般的に従う。壁130、132、134は中間壁134の両側に第1および第2のキャビティ136、138を画定する。外壁130および内壁132は対向する第1および第2の支持面140、142も画定する。ラッチ受け部114は外壁130の前端に形成され、ソケット110およびスロット148は外壁130の後端に形成される。それぞれ複数のストーン保持ピン150および雌位置合せピン152が中間壁134から第1および第2のキャビティ136、138内に延びる。前部および後部の対の歯の位置合せマーカも対向ベース16の前端と後端の間で外壁130上に形成される。
【0045】
図6および8を参照すると、四分円形状対向歯型ベース216は、外壁230、内壁232、および中間壁234を備える。外壁230および内壁232は、患者の歯肉線の曲率に全般的に従う。壁230、232、234は中間壁234の両側に第1および第2のキャビティ236、238を画定する。外壁230および内壁232は対向する第1および第2の支持面240、242も画定する。一対のラッチ受け部212、213が外壁230の前端に形成され、ソケット210およびスロット248が外壁230の後端に形成される。それぞれ第1および第2組のストーン保持ピン250、251、ならびに第1および第2の雌位置合せピン252、253は中間壁234から第1および第2のキャビティ236、238内に延びる。前部および後部の対の歯の位置合せマーカも四分円形状対向ベース216の前端と後端の間で外壁230上に形成される。
【0046】
中間壁134、234は、第1と第2の支持面140、240と142、242の間に均等に間隔をおいて配置される。この均等の間隔によって、実質的に同じ体積のキャビティ136、236と138、238が作成される。中間壁の使用は、対向ベース16、216を使用して対向する歯型を形成するのに必要とされる成形可能な材料の全体量を減少する助けになる。中間壁は2つの別個のキャビティを作成し、各キャビティが特定の機能を果たすこともできる。四分円形状対向ベース216の場合は、キャビティ236、238の両方が、ストーン保持ピン260、251など歯型用のベースとしてストーンを保持するのに好ましい構造を備え、鋳型プラットホーム40に装着するための雌位置合せピン250、251も備える。この構成によって、対向ベース216が右側または左側の四分円形状対向歯型ベースとして機能することができるようになる。他の実施形態では、雌位置合せピン252、253の1つ、およびストーンピン250、251の1つが対向ベース16の構造と同様に取り外されて、対向ベース216が右側または左側だけの四分円形状歯型ベースとして機能する。
【0047】
完全アーチ形状対向ベース16の場合、第1のキャビティ136は、ストーンを歯型のベースとして保持するように構成され、第2のキャビティ138は鋳型プラットホーム40に装着するための雌位置合せピン150を備える。第2のキャビティ138はストーン保持ピン150を備えていないが、たとえば、対向ベース16をプラスターアッタチメント(たとえば、図19の咬合器192への四分円形状対向ベース216のプラスターアッタチメント)で咬合器に装着するために、成形可能な材料を充填し保持することができる。他の実施形態では、第2のキャビティ138は一組のストーンピンを備えることができ、雌位置合せピンを第1のキャビティ136に追加して、対向ベース16の両側を使用して成形可能な材料を歯型用のベースとして保持することができる。
【0048】
ストーンピン150、250、251は円柱形であり、別個の列に配置され、外壁130、230、および内壁132、232に隣接して延びる。他の実施形態では、ストーンピンは様々な形状、サイズ、数でもよく、キャビティ内の様々な位置に配置することができる。ストーンピンは、1つまたは複数の壁130、230、および132、232、ならびに134、234と一体に形成することもでき、または対向ベースに別個に固定し、あるいはそれから取り外し可能にすることができる。ピン150、250、251はベース16、216の様々な壁から様々な方向に延びることもできる。
【0049】
前部および後部の歯の位置合せマーカ154、254、および156、256は、上部および下部の鋳型の特定の歯の位置合せのための位置合せマーカである。通常、各組のマーカの第1のマーカが(対向ベース16、216の前から後ろに移動する際に)下の歯の鋳型の特定の歯の凹凸と位置合せされることが意図されている。各組のマーカの第2のマーカは上の歯の鋳型の特定の歯の凹凸と位置合せされることが意図されている。マーカ154、254、および156、256は、鋳込治具12およびピンロケータ18を使用せずに対向ベース上に歯型を形成する際に最も有用である。位置合せマーカ154、254、および156、256の使用に関してさらに詳細に以下に記載する。
【0050】
ラッチ受け部112、212、245およびソケット110、210は、対向ベース16、216をたとえば取付プレートまたは歯型作成システムの他の構造に取り付けるための取り付け構成の一例である。留め具、ブラケットなど他のタイプの取り付け手段、および迅速解放デバイスを対向ベース16、216と一体化し、またはその上で動作させて、同様の取り付け機能を果たすようにすることができる。
【0051】
対向ベース16、216の第2のキャビティ138、238を省き、キャビティ138、238内に位置付けられる雌位置合せピン152、252などの構造を他の位置に移動させることができる。たとえば、中間壁134、234、または外壁130、230の厚さを増加し、雌位置合せピン152、252、または同様の位置合せ部材を中間壁または外壁の内部に画定することができる。他の例では、雌位置合せピン152、252、または同様の位置合せ部材を外壁130、230、または内壁132、232の外側に位置付けて、位置合せピンが中間壁134、234の下ではなく側部に位置付けられるようにすることができる。一部の実施形態では、第2のキャビティ13、238を省いて、対向ベース16、216の高さを低くし、より平坦にすることができる。
【0052】
本明細書で示し記載した歯型ベースおよび取付プレートを任意の所望の歯型ベースまたは取付プレート構成と交換することができる。幾つかの例示の他の歯型ベースおよび取付プレートには、発行された特許および特許出願の以下のリストに示し記載された取付プレートおよび歯型ベースの一群の任意のものが含まれる。米国特許第D429,815号、第D430,672号、第D433,136号、第D433,754号、第D444,559号、第D443,363号、第D452,009号、第D452,010号、第D452,319号、第D452,320号、第D452,321号、第D452,322号、第D452,566号、第D452,567号、第D452,568号、第D456,904号、第D457,964号、第D457,963号、第D456,903号、第D457,636号、第D457,243号、第D456,902号、第D457,637号、第D464,432号、第D465,027号、第D464,431号、第D464,732号、第D464,733号、第D468,018号、第D468,431号、第D468,432号、第D481,797号、第D469,537号、第5,775,899号、第5,788,489号、第5,788,490号、第5,800,166号、第5,868,569号、第5,934,901号、第6,471,513号、第6,884,068号、および米国特許出願第29/216,697号、ならびに第29/216,696号であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。特許および特許出願のこの一群は、限定的ではないが、完全アーチ形状および四分円形状の歯の鋳型の作成用の取付プレートおよび歯型ベースに関連するものである。
【0053】
本開示の歯型作成システム(たとえば、歯型鋳込治具、対向歯型ベース、歯型ベース、およびピンロケータ)を使用する可能な歯型作成の一方法のさらに詳細な説明を図12〜19を参照して記載する。以下に記載した工程は、列挙した順序に厳密に従う必要はなく、開示された例の所期の目的を果たすことができるより多くのまたはより少ない工程と交換することができる。方法工程の大部分は鋳込治具およびピンロケータを使用して記載されているが、この工程の少なくとも一部を鋳込治具またはピンロケータを使用せずに行うことができる。対向ベース16、216は、鋳込治具およびピンロケータとは別に、歯型作成方法に特に有用である。
【0054】
鋳込治具12は、先ず、所与のサイズの歯の鋳型14に正しい取付プレート64および歯型ベース支持部材24の第二部分30を選択することによって用意される。次に、トリプルトレイの歯の鋳型および対向歯型ベースが歯型作成方法に使用される場合は、延長部36がピボットロッド34を使用して歯型ベース支持部24の第一部分28に取り付けられる。適切なサイズの第二部分30がピボットロッド32で延長部36に装着される。次いで、取付プレート64が取り付けられた第二部分30が、鋳型プラットホーム40の上方に垂直に方向付けられる第1の位置に移動される。
【0055】
次いで、保持アーム99、100、101を対向ベース16のスロット148内に挿入することによって、対向ベース16が鋳型プラットホーム40に装着され、鋳型プラットホーム40の前停止部96が対向ベース16の雌位置合せピン152内に挿入される。次いで、ピンロケータのピンが歯の鋳型14の上側の歯の凹凸と位置合せされた状態で、歯の鋳型14が対向ベース16とピンロケータ18の間の位置に手で保持される(図12を参照)。鋳型支持部材26は、歯の位置合せマーカ154、156が歯の鋳型14の下側の特定の歯の凹凸とほぼ位置合せされるように上記の様々な調整構造を使用して調整されるが、ピンロケータ18のピンは歯の鋳型14の上側の歯の凹凸と位置合せされたままである。マーカ154、156を使用する位置合せではなく、歯の鋳型14と対向ベース16の視覚による位置合せを行うことが可能である。歯の鋳型14の上側と下側の特定の歯の凹凸の位置を示すマーキングを歯の鋳型14の外面上に行ってマーカ154、156と位置合せしやすくすることができる。対向ベース16およびピンロケータ18が透明または半透明材料からなる場合は、視覚によって位置合せしやすくすることができる。
【0056】
ピンロケータ18は、歯型ベース20に装着することができるピンを含む歯型ベース20の相対位置および寸法を全て複製するものである。鋳型プラットホーム40の高さを調整して、ピンロケータ18のピンが歯の鋳型14の邪魔にならないようにし、歯の鋳型14は、鋳型14の上側の歯の凹凸がピンロケータ18のピンと概ね位置合せされるように配置される。
【0057】
次いで図13で示したように、対向ベース16の第1のキャビティ136および歯の鋳型14の下側の歯の凹凸に成形可能な材料M1が充填される。対向ベース16の充填を、たとえば、対向ベース16および鋳型プラットホーム40が鋳込治具に装着されている間、対向ベース16が鋳型プラットホーム40から取り外されている間、または対向ベース16が鋳型プラットホーム40に装着され、鋳型プラットホーム40が鋳込治具から取り外されている間に行うことができる。これらの幾つかの選択肢は、必要に応じて鋳込治具の使用を最適にするものである。対向ベース16および歯の鋳型14内の成形可能な材料M1は、歯の鋳型14の歯の凹凸と適切に位置合せされた位置合せマーカ154、156と互いに接触される。
【0058】
成形可能な材料M1が硬化した後、組み合わせた対向ベース16と歯の鋳型14が、鋳込治具上に装着された鋳型プラットホーム40上に再配置される。ピンロケータ18が図14で示した第1の位置に再び回転され、鋳型支持部材26が、正確に位置合せされるように精密に調整され、ピンロケータのピンが歯の鋳型14の歯の凹凸に対して間隔をおいて配置される。歯型ベース支持部24の第二部分30は第1の位置から第2の位置に向けて回転され、ピンロケータ18が歯型ベース20と交換される。
【0059】
図15で示した実施形態では、歯型ベース20は、歯型ベース20の歯型支持面から延びる複数のピン21を備える。歯型支持面および歯の鋳型14の上側の歯の凹凸は成形可能な材料M2で覆われ、または充填される(図14を参照)。次いで、第二部分30が第1の位置に戻るように回転され、第二部分の接触タブ31が延長部36の停止面122と係合する。この回転運動によって、図16で示したように、歯の鋳型14の成形可能な材料M2が歯型ベース20の成形可能な材料M2と対合する。
【0060】
ベース20および鋳型14が鋳込治具に装着されたとき、またはこうした部材の1つまたは両方が鋳込治具から取り外されたときに、歯型ベース20および歯の鋳型14の上部への成形可能な材料M2の充填または被覆を行うことができる。特に鋳型支持部26の調整された位置を正確に再現することができる場合、鋳込治具から離れた場所での材料M2の充填または被覆は、鋳込治具の使用を最適化する助けをすることができる。
【0061】
成形可能な材料M2が硬化した後、歯型ベース20および対向ベース16を鋳込治具から解放し、歯の鋳型14から解放して、得られた歯型300、302(図17を参照)を露出することができる。過剰な成形可能な材料M1、M2を歯型300、302から研磨して、歯型をたとえば図17で示した使い捨て咬合器190に装着することができる。咬合器190は、歯型ベース20および対向ベース16のスロット構造148と係合する接続部材192、194を備える。接続部材192、194をスロット148内に、たとえば、接着剤、スナップ嵌め接続、留め具、超音波溶接などで接続することができる。
【0062】
歯型300、302を咬合器に接続して歯の鋳型14を取り外すまで待機することによって、患者の実際の咬合を示す歯型300、302の正確な位置合せを確保することができる。こうした接続の維持により、歯型300、302を咬合器または他の装着構造に取り付けやすくすることもできる。たとえば、接続の維持は、対向ベース16および歯型ベース20に直接、または取付プレート164を介して、プラスターアタッチメントPが必要な図18および19で示した咬合器192に取り付けるのに有用である。
【0063】
図18は、プラスターアタッチメントPで咬合器192に装着された四分円形状対向ベース216に装着された歯型302を示す。プラスターPは下部アーム194に固定され、対向ベース216の下方または第2のキャビティ238内に延びる。図18で示した構成は、プラスターアタッチメントPが破壊されるまで歯型302の咬合器192への永久接続をもたらす。歯型302は、プラスターアタッチメントPを介して咬合器192に結合された場合、定位置にしっかり保持され、対向する歯型(たとえば歯型300)は上部アーム196に接続され、咬合器の調整が行われて歯型の互いの位置の調整が行われる。
【0064】
図19は、取付プレート64を有する咬合器192に装着される四分円形状対向ベース216に装着された歯型302を示す。取付プレート64はプラスターアタッチメントPで咬合器のアーム194に固定される。取付プレートは歯型302を咬合器から迅速かつ簡単に取り外しできるようにする。
【0065】
他の歯型作成システムでは、対向ベース16、216の第1のキャビティ136、236に第1の支持面140、142と同じ高さに成形可能な材料を充填することができ、成形可能な材料が硬化される。次に、歯の鋳型14、214に成形可能な材料を充填し、鋳型14、214の中で成形可能な材料が硬化されて、歯型が形成される。歯型が鋳型14、214から取り外され、下側(歯に対向する側)が平坦に研磨される。次いで、歯型が支持面140、142に、たとえば接着剤で固定される。こうすると、対向ベース16、216は追加の機能性を提供することができる。
【0066】
本明細書に記載した例示の鋳込治具の様々な構造および部品、ならびに他の構造の調整性を参照して、様々な運動方向および調整を本明細書に記載する。本明細書で使用するように「運動方向」は広範に定義されるものであり、たとえば回転運動、並進運動、および旋回運動、ならびにこのタイプの運動の範囲内のあらゆる方向の運動など、幾つかの異なるタイプの運動を含むものである。たとえば、X、Y、およびZ軸方向の並進運動、ならびにXY、XZ、およびYZ平面の並進運動がある。回転運動をXYZ座標系のコンテキストで定義することもできる。旋回運動は、回転運動と密接に関連しているが、たとえば、プラットホーム40とスタンド38のボールとソケット接続によって画定される単一点の周りのプラットホーム40の旋回運動など、本開示の幾つかの構造の動きを説明する際に有用である。
【0067】
歯型作成システム10の様々な構成要素を多様な材料で作成することができる。たとえば、ベース部材12、歯型支持部材14、および鋳型支持部材16に関連する構成要素の大部分を金属、合金、ポリマーベース材料、または、たとえばガラス繊維強化プラスチックなど強化ポリマーベース材料で作成することができる。対向ベース16、216、ピンロケータ18、および歯型ベース20は、透明または半透明材料からなり、それによって本明細書で論じた歯型作成プロセスに必要とされる様々な調整および位置合せ工程を行う際に、こうした構成要素を通して、またはその中を見ることができることが好ましい。
【0068】
上記の詳細、例、およびデータは、開示した例の構成物の製造および使用の完全な説明を提供するものである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の多くの実施形態を作成することができ、本発明は添付の特許請求の範囲にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】鋳込治具、完全アーチ形状対向歯型ベース、およびピンロケータを備える例示の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図2】完全アーチ形状の歯の鋳型をさらに備える図1の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図3】図2の歯型作成システムを示す正面、上面からの分解斜視図である。
【図4】図2の歯型作成システムを示す正面、底面からの分解斜視図である。
【図5】図1〜3の対向歯型ベースを示す後面、上面からの斜視図である。
【図6】四分円形状の対向歯型ベースを備える図1の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図7】四分円形状の歯の鋳型をさらに備える図6の歯型作成システムを示す正面、上面からの斜視図である。
【図8】図6の四分円形状対向歯型ベースを示す後面、底面からの斜視図である。
【図9】図1の鋳込治具ベース部材のロックアセンブリの構造を示す後面、底面からの斜視図である。
【図10】図1の鋳込治具鋳型支持スタンドの構造を示す斜視図である。
【図11】図1の鋳込治具鋳型支持プラットホームアジャスターの構造を示す斜視図である。
【図12】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図13】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図14】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図15】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図16】図2で示した歯型作成システムおよび歯型ベースを使用して歯型を形成する例示の方法工程を示す図である。
【図17】図12〜16で示した工程により組み合わせて使い捨て咬合器に結合された、完全アーチ形状対向歯型ベース、歯の鋳型、および歯型を示す後面からの斜視図である。
【図18】プラスターアタッチメントを有する咬合器に装着された四分円形状対向歯型ベースを示す正面からの斜視図である。
【図19】取付プレートがプラスターアタッチメントを有する咬合器に装着された、取付プレートを有する咬合器に装着される図18で示した四分円形状対向歯型ベースを示す正面からの斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の上下の歯の少なくとも一部の歯型を装着するように構成された第1の歯型支持面を有する歯型ベースと、
前記歯型ベース上に装着された歯型から患者の口内の反対側に位置合せされる人間の歯の少なくとも一部の対向する歯型を装着するように構成された第2の歯型支持面を画定する対向歯型ベースと、
鋳込治具であって、
支持ベース、
前記支持ベースに装着される鋳型支持部材であって、スタンド、前記スタンド上で支持される鋳型プラットホーム、および前記支持ベースに対して前記鋳型プラットホームを調整するように形状付けられ構成された調整部を備え、前記プラットホームが前記対向歯型ベースを解放可能に装着するように構成される鋳型支持部材、および
前記支持ベースに装着される歯型支持部材であって、前記歯型ベースを前記対向歯型ベースの全般的に垂直方向の上方の位置で支持するように構成された歯型支持部材を備える鋳込治具とを含む、歯型作成システム。
【請求項2】
前記歯型支持部材が前記支持ベースに装着された第一部分および前記第一部分に旋回式に装着された第二部分を備える、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項3】
前記歯型支持部材が前記第一と第二の部分の間に位置付けられる延長部材をさらに備え、前記延長部材が前記プラットホームに対して前記第二部分の垂直方向の高さを上げるように構成される、請求項2に記載の歯型作成システム。
【請求項4】
前記延長部材が前記対向歯型ベースの高さと実質的に等しい高さを有する、請求項3に記載の歯型作成システム。
【請求項5】
前記プラットホームが着脱可能である、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項6】
前記プラットホームが前記鋳込治具に対して前記対向歯型ベースを保持するように構成された少なくとも第1および第2の位置合せ部材を備える、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項7】
前記第1の位置合せ部材が前記対向歯型ベースと係合する円筒形の突起として構成され、前記第2の位置合せ部材が前記対向歯型ベースの端面内に形成されたスロットと係合するように構成された少なくとも1つの突起を含む、請求項6に記載の歯型作成システム。
【請求項8】
前記歯型ベースおよび前記対向歯型ベースのうちの少なくとも1つが、対向する第1および第2の端部、前記第1の端部内に画定されたラッチ凹部、および前記第2の端部内に画定された半球形状凹部を含み、前記ラッチ凹部がスナップ嵌め接続部のラッチ突起と係合するように構成され、前記半球形状凹部がボールとソケット接続部の半球形状突起によって係合されるように構成される、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項9】
歯型作成システムを使用して人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法であって、前記歯型作成システムが対向歯型ベース、歯型ベース、および鋳込治具を備え、前記鋳込治具が鋳型支持部材および歯型支持部材を備え、前記鋳型が前記鋳型の両側に形成された患者の対向する上下の歯の凹凸を含み、前記方法が、
前記対向歯型ベースを前記鋳型支持部材に装着する工程と、
前記対向歯型ベースおよび前記鋳型の一側面上の歯の凹凸に第1の成形可能な材料を充填し、前記充填された第1の成形可能な材料を対合させる工程と、
前記歯型ベースを前記歯型支持部材に装着する工程と、
前記歯型ベースと前記鋳型の反対側の歯の凹凸を位置合せする工程と、
前記鋳型の反対側に第2の成形可能な材料を充填し、前記充填された第2の成形可能な材料を前記歯型ベースと対合させる工程と、
前記第1および第2の成形可能な材料を硬化して、対向する上下の歯を含む歯型を形成する工程と、
前記鋳型を前記硬化した成形可能な材料から取り外す工程とを含む方法。
【請求項10】
前記システムがピンロケータをさらに備え、前記方法が、前記ピンロケータを前記歯型支持部材に装着し、前記ピンロケータのピンを前記鋳型の前記反対側の前記歯と位置合せし、前記歯型ベースを前記歯型支持部材に装着する前に前記ピンロケータを取り外すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記鋳型支持部材がスタンドおよびプラットホームを備え、前記プラットホームが前記スタンドに旋回式に装着され、前記プラットホームが前記対向歯型ベースを解放可能に装着するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記歯型ベースを前記鋳型の反対側の歯の凹凸と位置合せする場合に前記スタンドを垂直方向に調整して前記プラットホームの垂直位置を変更することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プラットホームが第1および第2の部材を備え、前記第1の部材がボールとソケット接続部で前記スタンドに結合されて旋回運動を行い、前記第2の部材が全般的に平坦な装着面および前記対向歯型ベースを支持し保持するように構成された複数の取り付け部材を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記歯型ベースが前記歯型支持部材に、前記歯型ベースの一端でボールとソケット接続部で、前記歯型ベースの反対側の端部でスナップ嵌めラッチ接続部で装着される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳込治具が、前記鋳型支持部材に対して前記歯型支持部材の高さを前記対向歯型ベースの高さと実質的に等しい距離だけ上げるように構成された歯型支持部材延長部をさらに備え、前記方法が、前記歯型ベースを前記歯型支持部材に装着する工程の前に前記延長部を前記歯型支持部材に装着する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
底壁と、
前記底壁から全般的に垂直に上方に延び、側壁の上縁部に沿って上部支持面を画定する連続した側壁であって、前記底壁および前記側壁が第1のキャビティを画定する、連続した側壁と、
前記底壁から前記キャビティ内に全般的に垂直に上方に延びる複数の保持ピンと、
前記側壁の前端に画定された第1の取り付け構造および前記側壁の後端に画定された第2の取り付け構造とを備える、歯型ベース。
【請求項17】
前記底壁から垂直に下方に延びる第1の装着位置合せ部材をさらに備える、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項18】
前記側壁および前記底壁が単一ピースとして一体的に形成される、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項19】
前記第1のラッチ構造がスナップ嵌め接続用に構成されたラッチ凹部を含み、前記第2のラッチ構造がボールとソケット接続用に構成された半球形状凹部または半球形状突起を含む、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項20】
前記底壁から全般的に垂直に下方に延び、第2の側壁の底縁部に沿って底部支持面を画定する第2の連続した側壁をさらに備え、前記底壁および前記第2の側壁が前記底壁によって前記第1のキャビティから分離された第2のキャビティを画定する、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項21】
前記底壁から前記第2のキャビティ内に全般的に垂直に下方に延びる複数の保持ピンをさらに備える、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項22】
前記底壁から前記第1のキャビティ内に垂直に上方に延びる第2の装着位置合せ部材をさらに備える、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項23】
前記側壁の外側に面する表面内に形成された位置合せ部材をさらに備え、前記位置合せ部材が歯の鋳型の所定の歯を位置合せするための案内を提供する、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項24】
前記側壁の後端内に形成されたスロットをさらに備え、前記スロットが前記対向歯型ベースを咬合器に取り付けるように構成される、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項25】
平坦な装着面を画定するベース部材と、
前記装着面から垂直に延び、歯型ベースを着脱可能に装着するための取り付け構造を備える歯型ベース支持部材と、
前記装着面から垂直に延びる鋳型支持部材とを備え、前記鋳型支持部材は、前記ベース部材に調整可能に固定され、着脱可能な鋳型プラットホームを備え、前記鋳型プラットホームは対向歯型ベースを装着するように構成され、前記鋳型支持部材は前記歯型ベース支持部材に対して前記鋳型プラットホームの位置を変更するために前記歯型ベース支持部材に対して垂直方向に調整可能であり、
前記歯型ベース支持部材が前記鋳型プラットホームに対して前記歯型ベース支持部材の高さを上げるように構成された延長部材をさらに備え、前記対向歯型ベースが人間の歯の鋳型の第1の側面から歯型を支持するように構成され、前記歯型ベースが前記鋳型の第2の側面から歯型を支持するように構成される、歯型鋳込治具。
【請求項26】
前記鋳型支持部材が前記ベース部材の前記装着面に対して少なくとも2つの平面で調整可能である、請求項25に記載の鋳込治具。
【請求項27】
前記鋳型プラットホームが、鋳型装着面、ならびに前記鋳型装着面から延びる少なくとも第1および第2の位置合せ部材を備え、前記第1および第2の位置合せ部材が前記対向歯型ベースを前記鋳型プラットホームに結合するように構成される、請求項25に記載の鋳込治具。
【請求項28】
前記鋳型支持部材が、前記鋳型プラットホームと前記ベース部材の間に結合されるスタンドをさらに備え、前記スタンドが、前記ベース部材に対して前記鋳型プラットホームの高さを変更するように垂直方向に調整可能であり、前記鋳型プラットホームが調整可能なボールとソケット接続部によって前記スタンドに接続される、請求項25に記載の鋳込治具。
【請求項1】
人間の上下の歯の少なくとも一部の歯型を装着するように構成された第1の歯型支持面を有する歯型ベースと、
前記歯型ベース上に装着された歯型から患者の口内の反対側に位置合せされる人間の歯の少なくとも一部の対向する歯型を装着するように構成された第2の歯型支持面を画定する対向歯型ベースと、
鋳込治具であって、
支持ベース、
前記支持ベースに装着される鋳型支持部材であって、スタンド、前記スタンド上で支持される鋳型プラットホーム、および前記支持ベースに対して前記鋳型プラットホームを調整するように形状付けられ構成された調整部を備え、前記プラットホームが前記対向歯型ベースを解放可能に装着するように構成される鋳型支持部材、および
前記支持ベースに装着される歯型支持部材であって、前記歯型ベースを前記対向歯型ベースの全般的に垂直方向の上方の位置で支持するように構成された歯型支持部材を備える鋳込治具とを含む、歯型作成システム。
【請求項2】
前記歯型支持部材が前記支持ベースに装着された第一部分および前記第一部分に旋回式に装着された第二部分を備える、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項3】
前記歯型支持部材が前記第一と第二の部分の間に位置付けられる延長部材をさらに備え、前記延長部材が前記プラットホームに対して前記第二部分の垂直方向の高さを上げるように構成される、請求項2に記載の歯型作成システム。
【請求項4】
前記延長部材が前記対向歯型ベースの高さと実質的に等しい高さを有する、請求項3に記載の歯型作成システム。
【請求項5】
前記プラットホームが着脱可能である、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項6】
前記プラットホームが前記鋳込治具に対して前記対向歯型ベースを保持するように構成された少なくとも第1および第2の位置合せ部材を備える、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項7】
前記第1の位置合せ部材が前記対向歯型ベースと係合する円筒形の突起として構成され、前記第2の位置合せ部材が前記対向歯型ベースの端面内に形成されたスロットと係合するように構成された少なくとも1つの突起を含む、請求項6に記載の歯型作成システム。
【請求項8】
前記歯型ベースおよび前記対向歯型ベースのうちの少なくとも1つが、対向する第1および第2の端部、前記第1の端部内に画定されたラッチ凹部、および前記第2の端部内に画定された半球形状凹部を含み、前記ラッチ凹部がスナップ嵌め接続部のラッチ突起と係合するように構成され、前記半球形状凹部がボールとソケット接続部の半球形状突起によって係合されるように構成される、請求項1に記載の歯型作成システム。
【請求項9】
歯型作成システムを使用して人間の歯の鋳型から歯型を形成する方法であって、前記歯型作成システムが対向歯型ベース、歯型ベース、および鋳込治具を備え、前記鋳込治具が鋳型支持部材および歯型支持部材を備え、前記鋳型が前記鋳型の両側に形成された患者の対向する上下の歯の凹凸を含み、前記方法が、
前記対向歯型ベースを前記鋳型支持部材に装着する工程と、
前記対向歯型ベースおよび前記鋳型の一側面上の歯の凹凸に第1の成形可能な材料を充填し、前記充填された第1の成形可能な材料を対合させる工程と、
前記歯型ベースを前記歯型支持部材に装着する工程と、
前記歯型ベースと前記鋳型の反対側の歯の凹凸を位置合せする工程と、
前記鋳型の反対側に第2の成形可能な材料を充填し、前記充填された第2の成形可能な材料を前記歯型ベースと対合させる工程と、
前記第1および第2の成形可能な材料を硬化して、対向する上下の歯を含む歯型を形成する工程と、
前記鋳型を前記硬化した成形可能な材料から取り外す工程とを含む方法。
【請求項10】
前記システムがピンロケータをさらに備え、前記方法が、前記ピンロケータを前記歯型支持部材に装着し、前記ピンロケータのピンを前記鋳型の前記反対側の前記歯と位置合せし、前記歯型ベースを前記歯型支持部材に装着する前に前記ピンロケータを取り外すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記鋳型支持部材がスタンドおよびプラットホームを備え、前記プラットホームが前記スタンドに旋回式に装着され、前記プラットホームが前記対向歯型ベースを解放可能に装着するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記歯型ベースを前記鋳型の反対側の歯の凹凸と位置合せする場合に前記スタンドを垂直方向に調整して前記プラットホームの垂直位置を変更することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プラットホームが第1および第2の部材を備え、前記第1の部材がボールとソケット接続部で前記スタンドに結合されて旋回運動を行い、前記第2の部材が全般的に平坦な装着面および前記対向歯型ベースを支持し保持するように構成された複数の取り付け部材を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記歯型ベースが前記歯型支持部材に、前記歯型ベースの一端でボールとソケット接続部で、前記歯型ベースの反対側の端部でスナップ嵌めラッチ接続部で装着される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳込治具が、前記鋳型支持部材に対して前記歯型支持部材の高さを前記対向歯型ベースの高さと実質的に等しい距離だけ上げるように構成された歯型支持部材延長部をさらに備え、前記方法が、前記歯型ベースを前記歯型支持部材に装着する工程の前に前記延長部を前記歯型支持部材に装着する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
底壁と、
前記底壁から全般的に垂直に上方に延び、側壁の上縁部に沿って上部支持面を画定する連続した側壁であって、前記底壁および前記側壁が第1のキャビティを画定する、連続した側壁と、
前記底壁から前記キャビティ内に全般的に垂直に上方に延びる複数の保持ピンと、
前記側壁の前端に画定された第1の取り付け構造および前記側壁の後端に画定された第2の取り付け構造とを備える、歯型ベース。
【請求項17】
前記底壁から垂直に下方に延びる第1の装着位置合せ部材をさらに備える、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項18】
前記側壁および前記底壁が単一ピースとして一体的に形成される、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項19】
前記第1のラッチ構造がスナップ嵌め接続用に構成されたラッチ凹部を含み、前記第2のラッチ構造がボールとソケット接続用に構成された半球形状凹部または半球形状突起を含む、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項20】
前記底壁から全般的に垂直に下方に延び、第2の側壁の底縁部に沿って底部支持面を画定する第2の連続した側壁をさらに備え、前記底壁および前記第2の側壁が前記底壁によって前記第1のキャビティから分離された第2のキャビティを画定する、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項21】
前記底壁から前記第2のキャビティ内に全般的に垂直に下方に延びる複数の保持ピンをさらに備える、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項22】
前記底壁から前記第1のキャビティ内に垂直に上方に延びる第2の装着位置合せ部材をさらに備える、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項23】
前記側壁の外側に面する表面内に形成された位置合せ部材をさらに備え、前記位置合せ部材が歯の鋳型の所定の歯を位置合せするための案内を提供する、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項24】
前記側壁の後端内に形成されたスロットをさらに備え、前記スロットが前記対向歯型ベースを咬合器に取り付けるように構成される、請求項16に記載の歯型ベース。
【請求項25】
平坦な装着面を画定するベース部材と、
前記装着面から垂直に延び、歯型ベースを着脱可能に装着するための取り付け構造を備える歯型ベース支持部材と、
前記装着面から垂直に延びる鋳型支持部材とを備え、前記鋳型支持部材は、前記ベース部材に調整可能に固定され、着脱可能な鋳型プラットホームを備え、前記鋳型プラットホームは対向歯型ベースを装着するように構成され、前記鋳型支持部材は前記歯型ベース支持部材に対して前記鋳型プラットホームの位置を変更するために前記歯型ベース支持部材に対して垂直方向に調整可能であり、
前記歯型ベース支持部材が前記鋳型プラットホームに対して前記歯型ベース支持部材の高さを上げるように構成された延長部材をさらに備え、前記対向歯型ベースが人間の歯の鋳型の第1の側面から歯型を支持するように構成され、前記歯型ベースが前記鋳型の第2の側面から歯型を支持するように構成される、歯型鋳込治具。
【請求項26】
前記鋳型支持部材が前記ベース部材の前記装着面に対して少なくとも2つの平面で調整可能である、請求項25に記載の鋳込治具。
【請求項27】
前記鋳型プラットホームが、鋳型装着面、ならびに前記鋳型装着面から延びる少なくとも第1および第2の位置合せ部材を備え、前記第1および第2の位置合せ部材が前記対向歯型ベースを前記鋳型プラットホームに結合するように構成される、請求項25に記載の鋳込治具。
【請求項28】
前記鋳型支持部材が、前記鋳型プラットホームと前記ベース部材の間に結合されるスタンドをさらに備え、前記スタンドが、前記ベース部材に対して前記鋳型プラットホームの高さを変更するように垂直方向に調整可能であり、前記鋳型プラットホームが調整可能なボールとソケット接続部によって前記スタンドに接続される、請求項25に記載の鋳込治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−543372(P2008−543372A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515887(P2008−515887)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022170
【国際公開番号】WO2006/135645
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(501294858)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022170
【国際公開番号】WO2006/135645
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(501294858)
【Fターム(参考)】
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