説明

歯牙クリーナー

【課題】簡易に歯磨き効果が優られ、また大量生産に相応しい構造からなるクリーナーを提供する。
【解決手段】本発明の歯牙クリーナーは、磨き布の一面に指挿入部を形成するためのシートが付着され、前記磨き布の他面の所定箇所には口腔清潔剤を含んでいる歯牙洗浄部が設けられている。前記歯牙洗浄部は、例えば、(a)前記磨き布の他面に塗り付けられたペースト状の口腔清潔剤、(b)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む綿またはスポンジ、(c)前記磨き布の他面に形成され、エンボスされた2枚のパルプ紙であって、前記パルプ紙を対称に合紙させることにより形成される内部空間に口腔清潔剤が充填されるところのパルプ紙、(d)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む水膨張材、(e)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む多孔質の不織布、などを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、簡便に携帯でき、旅行やレジャーにて歯牙洗浄部で柔らかに歯牙や歯茎、歯周を擦って簡易な歯磨きができる歯牙クリーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシを使わずに歯磨きする歯牙クリーナーは、特許文献1により、歯を清潔にする小道具として知られているように、指先に嵌める指貫のような管状体を有し、この管状体の表面には接着剤により布屑、または繊維粉等が付着されており、その上に歯磨き物質が吹き付けられる構成になっており、または特許文献2における濡れ歯磨き材の記載にように、ポリエチレンシートの両側に紙が添付された吸い取り材に口臭防止洗口液、薬用成分、滋養成分等が含浸された構成であること等が知られている。
【特許文献1】特開昭48−5561号公報(第6頁、図1、図3)
【特許文献2】特開平2−124812号公報(第4頁、図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
歯ブラシと歯磨き粉がなくても歯磨きできる歯牙クリーナーは、旅行やレジャーにおいて非常に便利である。ところで、歯牙クリーナーは一回の使用で廃棄される物品であるからその製品原価は安ければ安いほどよい。
【0004】
しかし、公知の歯牙クリーナーには安価と称せる製品が見当たらない。
【0005】
その理由は、特許文献1の歯を清潔化する部品の場合は管状体の製造費用が高く、特許文献2の濡れ歯磨き材の場合は吸い取り材を収納するための缶、または袋状の収納体を要するからである。
【0006】
一方、エンボス加工された不織布を口腔清潔剤に含浸させた後に、一面に指先挿入部分になる織布を重ねて超音波で接着すると同時に、金型で形抜きして所定形状の歯牙クリーナーを大量生産する技術が知られている。
【0007】
ところで、前記の知られている技術により得られるエンボス加工された歯牙クリーナーには次のような課題がある。
【0008】
まず、エンボス加工された不織布で歯牙を擦ると毛羽が生じたり、また含浸された口腔清潔剤の量が不十分になり、使用者にとって感じられる清潔感が不十分という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明は簡易に歯磨き効果が優れ、また大量生産に相応しい構造の歯牙クリ−ナを次のように構成した。
【0010】
即ち、請求項1による歯牙クリーナーは、磨き布の一面に指挿入部を形成するためのシートが付着され、前記磨き布の他面には口腔清潔剤を含んでいる歯牙洗浄部が備えられている構成とした。
【0011】
また、請求項2による歯牙クリーナーは、前述の構成において、記歯牙洗浄部は、
(a)前記磨き布の他面に塗り付けられたペースト状の口腔清潔剤、
(b)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む綿またはスポンジ、
(c)前記磨き布の他面に形成され、エンボスされた2枚のパルプ紙であって、前記パルプ紙を対称に合紙させることにより形成される内部空間に口腔清潔剤が充填されるところのパルプ紙、
(d)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む水膨張材、
(e)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む多孔質の不織布、
(f)前記磨き布の他面の所定箇所に縦横に配列された半球状のシリコンドットであって、前記シリコンドット列の間に口腔清潔剤が充填されるところのシリコンドット、
(g)前記磨き布の他面に形成された液状の口腔清潔剤層と固形の口腔清潔剤層、
のうち何れか1つを含む構成とした。
【0012】
また、請求項3による歯牙クリーナーは、前述の構成において前記磨き布の一面に付着されるシートの表面に歯石を取るための研磨層が更に設けられた構成とした。
【発明の効果】
【0013】
前述の構成によれば、磨き布にシートを覆うと共に、金型で型抜きをして所定の歯牙クリーナーを大量に得ることができる。
【0014】
前記歯牙洗浄部に提供される水膨張剤、多孔質の不織布、綿、スポンジなどは口腔の隅々まで良好な接触ができるから洗浄効果が優れるし、マッサ−ジ効果も得ることができる。
【0015】
また、歯牙洗浄部に提供されるシリコンドットは歯牙の間の隙間まで洗浄することができ、さらに向上される歯牙清潔の効果を得ることができる。
【0016】
また、前述の色々な形態の歯牙洗浄部はいずれもそれ自体がクッション性を有することから、一般の歯ブラシではできない歯茎や歯周、口蓋、舌などのマッサ−ジもできる。
【0017】
また、歯牙疾患者の場合にも自身が感じる痛みの程度に合わせてマッサ−ジの強弱を調節しながら行うこともできるし、また一方では指挿入部に設ける研磨層を用いて歯石までも除去することができる。
【0018】
そして、前述した歯牙洗浄部に含まれている口腔清潔剤は、歯茎、歯周疾患の治療補助用剤や、歯牙洗浄剤等から用途により選択して実施することもできる。
【0019】
また、この発明の歯牙クリーナーは愛玩犬の歯牙管理用でも用いることができる。
【0020】
この発明の利点と長所は、以下の添付図面に基づく望ましい実施例を通して、より詳しく理解できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明に関する歯牙クリーナーの第1実施例を示す断面図であって、磨き布2の一面にはシート4が付着されて指挿入部6を形成しており、他面には通常の口腔清潔剤8cを含む歯牙洗浄部8が設けられている構成を表している。
【0022】
磨き布2は、主に液体吸水性が良好な素材、例えば、不織布、織布、パルプ、または一面にポリエチレンフィルムが付着した不織布等から適宜に選択して用いる。
【0023】
この実施例で、前記歯牙洗浄部8は、磨き布2の上面にペースト状の口腔清潔剤8cを塗り付けた構成になり、その歯牙洗浄部8の上にはカバー10が覆われる。
【0024】
また、本発明の第2実施例であって、前記歯牙洗浄部8として綿やスポンジ等も採用できる。
【0025】
この場合に、前記綿やスポンジは、液状の口腔清潔剤に一定時間漬けて、内部に口腔清潔剤が含浸されるようにし、取り出して乾燥したものが用いられる。
【0026】
図2は、この発明に関する歯牙クリーナーの第3実施例を示す図であって、基本構成は前記第1実施例と同一になっているが、単に歯牙洗浄部8はエンボスで加工された2枚のパルプ紙8a、8bを互いに対称に合紙させて形成される内部空間に、口腔清潔剤8cが充填されている構成からなることに差がある。
【0027】
この実施例において、歯牙洗浄部8はパルプ紙8bのエンボス面を成しているから、歯列の間の隙間まで歯磨きができるが、前記エンボス面は対向して合紙されたパルプ紙8aのエンボス面と対称に接触することにより所定の弾力を有するので、顕著に向上された歯牙の洗浄作用を得られる。
【0028】
図3は、この発明に関する歯牙クリーナーの第4実施例を示す断面図である。
【0029】
この実施例においても、基本構成は前記第1、及び第2実施例と同一で、単に歯牙洗浄部8は孔8dが無数に開いている不織布で構成されていることに差があるだけで、前記孔8dに充填される口腔清潔剤8cと、カバー10で覆われて保護される構成は前述の実施例と同一である。
【0030】
前記歯牙洗浄部8には孔8dが開いているため、その表面は凹凸に形成されるので、歯牙の洗浄効果が向上されると共に、各々の孔8dに充填された口腔清潔剤の総量は歯磨きに十分な量で貯蔵されることができる。
【0031】
この実施例においても、歯牙洗浄部8を形成する不織布は超音波接着により磨き布2に一体に付着される。
【0032】
図4は、この発明に関する歯牙クリーナーの第5実施例を示す断面図である。
【0033】
第5実施例において、前記磨き部8は水の吸収で体積が増大する水膨張材でも実施ができる。
【0034】
水膨張材は高吸水性のパルプを樹脂に混合して成型したものであり、乾燥状態では平たくなって最小の体積を保持するが、水を含めば膨張して大きく変形される特性を有する物質として広く知られており、本発明でもこれを用いられる。
【0035】
前記歯牙洗浄部8が水膨張材からなる場合に、前記水膨張材は予め液状の口腔清潔剤に浸潤させて、内部が前記口腔清潔剤で含浸されるようにした後に乾燥させて得るものであり、それは超音波接着により前記磨き布2に一体に設けられる。
【0036】
また、前記歯牙洗浄部8で歯牙と接する面は凹凸に形成して置くことがよい。
【0037】
このような構造の歯牙クリーナーは、使用者が自身の指先を指挿入部6に嵌めた後に、カバー10を剥がして歯磨きをするものである。
【0038】
この時、実際の歯牙洗浄部8になる水膨張材は、前記の歯磨き中に、吸収される水分、唾液によって体積が増大して図示した形態になり、このような形態の変更により歯牙洗浄効果は顕著に向上されると共に、内部に含浸されている口腔清潔剤は徐々に溶出して、歯牙清潔および脱口臭作用を行う。
【0039】
図5に基づく本発明の第6実施例において、歯牙洗浄部8はバイオセラミック系統のシリコンを点状に付けて、一定のパターンになるシリコンドット列を形成し、このシリコンドット列の間に口腔清潔剤8cを詰め込んで、その外面にはカバー10を覆って保護する構成になっている。
【0040】
前記シリコンドットは、前述した他の実施例より、さらに歯列の折れ曲がった部位に接触することができるから、殆ど歯ブラシによる歯磨きと同等な清潔感を感じられる。
【0041】
図6は、本発明に関する第7実施例を示しており、その基本構成は前記実施例と同一で、単に歯牙洗浄部8が液状の歯洗浄層8eと固形の歯洗浄層8fによる2層構造で形成されたことに差がある。
【0042】
また、この実施例でシート4の外側には歯石を除去するための研磨層12がさらに設けられる。
【0043】
図示した第7実施例において、前記研磨層12は、指挿入部6を形成するシート4の外面に設けられ、これはポリビニル、ポリエチレンなどのバインダーにマイクロプラスチックボールを混合したものを、前記外面に薄くコーティングして形成されるものであって、前記マイクロプラスチックボールは歯磨き粉の歯研磨材に用いられる物質である。
【0044】
前記研磨層12は上述の実施例でも適用できることは勿論である。
【0045】
また、図7に示したように、本発明の歯牙クリーナーは、磨き布2の適当な部分に糸ようじ(登録商標)(デンタルフロス)14が横に掛けて置かれる。
【0046】
前記糸ようじ(登録商標)14は舌の底部に生じた異物を掻き取る効果がある。
【0047】
前述のような歯牙クリーナーは、図8a及び図8bに示す工程により大量生産ができる。
【0048】
図8aにおいて、磨き面になる素材100の一面には予め歯牙洗浄部8が超音波で接着され、次に前記素材100の他面の両辺にシートになる素材200を広げて重ねており、その間の接触面を超音波で接着して前記指挿入部6の形状をなすようにする。
【0049】
一方、前記歯牙洗浄部8には予め口腔清潔剤8cが含浸されていてもよい、または前記素材100の所定箇所に接着し、適宜の注入手段に注入して含浸されるようにすることもできる。
【0050】
次に、図8bに示すように、前記歯牙洗浄部8が付着された面にカバー用フィルム材300を重ねて付着し、所定の歯牙クリーナーの形状になるように金型で打抜く工程により連続して大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に関する歯牙クリーナーの第1及び第2実施例を示す側断面図。
【図2】本発明に関する歯牙クリーナーの第3実施例を示す側断面図。
【図3】本発明に関する歯牙クリーナーの第4実施例を示す側断面図。
【図4】本発明に関する歯牙クリーナーの第5実施例を示す側断面図。
【図5】本発明に関する歯牙クリーナーの第6実施例を示す側断面図。
【図6】本発明に関する歯牙クリーナーの第7実施例を示す側断面図。
【図7】本発明に関する歯牙クリーナーに糸ようじ(登録商標)が適用した例を示す底面図。
【図8a】本発明に関する歯牙クリーナーの製造工程を説明するための過程図。
【図8b】本発明に関する歯牙クリーナーの製造工程を説明するための過程図。
【符号の説明】
【0052】
2 磨き布
4 シート
6 指挿入部
8 歯牙洗浄部
8a、8b パルプ紙
8c 口腔清潔剤
8d 孔
8e 液状の歯洗浄層
8f 固形の歯洗浄層
10 カバー
12 研磨層
14 糸ようじ(登録商標)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磨き布の一面に指挿入部を形成するためのシートが付着され、前記磨き布の他面の所定箇所には口腔清潔剤を含んでいる歯牙洗浄部が設けられている歯牙クリーナー。
【請求項2】
前記歯牙洗浄部は、
(a)前記磨き布の他面に塗り付けられたペースト状の口腔清潔剤、
(b)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む綿またはスポンジ、
(c)前記磨き布の他面に形成され、エンボスされた2枚のパルプ紙であって、前記パルプ紙を対称に合紙させることにより形成される内部空間に口腔清潔剤が充填されるところのパルプ紙、
(d)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む水膨張材、
(e)前記磨き布の他面に付着され、口腔清潔剤を含む多孔質の不織布、
(f)前記磨き布の他面の所定箇所に縦横に配列された半球状のシリコンドットであって、前記シリコンドット列の間に口腔清潔剤が充填されるところのシリコンドット、
(g)前記磨き布の他面に形成された液状の口腔清潔剤層と固形の口腔清潔剤層、
のうち何れか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の歯牙クリーナー。
【請求項3】
前記磨き布の一面に付着されるシートの表面に歯石を取るための研磨層が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯牙クリーナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公開番号】特開2007−29730(P2007−29730A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200028(P2006−200028)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(506250664)アドウィン・コリア・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】