説明

歯科用治療具及びこれを備える歯科用治療装置

【課題】歯牙根管に挿入されるノズルにおける詰まりを抑制でき、歯牙根管の側壁に付着する付着物の剥離効果を向上できる歯科用治療具を提供する。
【解決手段】超音波振動を発生させる超音波振動子30を有するハンドピース本体20と、先端71が歯牙根管に挿入された状態で歯牙根管から流体を吸引し、ハンドピース本体20に接続される挿入ノズル70であって、超音波振動子30によって発生する振動により振動される挿入ノズル70と、ハンドピース本体20に接続され、ハンドピース本体20を介して流体を吐出し、吐出した流体を、挿入ノズル70が挿入された歯牙根管に導入させる吐出部80と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯牙根管の治療に用いられる歯科用治療具、及びこれを備える歯科用治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯牙の根管内疾患の治療方法は、一般的に、対象の根管を拡大することで、細菌等の汚染物質を物理的に除去する手順と、根管内を処置液で洗浄した後、処置液、デブリス、組織片などを根管内から除去する手順と、根管内に充填材を充填する手順と、を備える。
【0003】
この治療方法によれば、まず、汚染物質を物理的に除去し、処置液によって根管内を洗浄することによって、根管内疾患の原因となる細菌を除去し、死滅させる。次に、処置液などを除去した後、根管内に充填物を充填することによって、根管内を外界から遮断し、無菌状態を保持する。これにより、歯牙の根管内疾患を治療できる。
【0004】
このような根管内疾患の治療に使用される従来の歯科用治療装置は、例えば、図9に示す構成を備える(特許文献1参照)。図9は、従来例に係る歯科用治療装置501の概略構成図である。
歯科用治療装置501は、処置液を歯牙600の歯牙根管610に注入する注入装置510と、処置液を歯牙根管610から排出する排出装置520と、を備える。注入装置510及び排出装置520の一部分は、筒状のハウジング531に収容され、歯科用治療具としてのハンドピース530を構成する。
【0005】
注入装置510は、処置液を収容する処置液収容槽514と、この処置液収容槽514に収容された処置液を供給管512に押し出す供給ポンプ513と、処置液収容槽514に供給管512を介して連通し且つ処置液を歯牙根管610に供給する供給ノズル511と、を有する。
【0006】
また、排出装置520は、先端側から歯牙根管610に挿入される吸引ノズル521と、この吸引ノズル521の他端に接続された吸引管522と、この吸引管522を介して連通し且つ歯牙根管610に注入された処置液を吸引する吸引ポンプ523と、吸引管522を介して吸引ノズル521に連通し且つ吸引された処置液を収容する廃液収容槽524と、を有する。
吸引ノズル521の先端は細く形成されている。
【0007】
歯科用治療装置501によれば、以下のような手順で歯牙の根管内疾患の治療の一部(処置液による根管内の洗浄)が行われる。
まず、吸引ノズル521を先端側から歯牙根管610に挿入する。吸引ノズル521の先端は細く形成されており、そのため、吸引ノズル521の先端を歯牙根管610の根尖孔611の近傍に接近させることができる。この状態で供給ポンプ513及び吸引ポンプ523を稼動させると、処置液は、処置液収容槽514から供給管512を介して供給ノズル511へと供給され、供給ノズル511の先端から歯牙根管610に注入される。注入された処置液は、吸引ノズル521の先端から吸引ノズル521内へと吸引される。吸引ノズル521内に吸引された処置液は、吸引管522を介して、廃液収容槽524へと搬送され、廃液収容槽524に収容される。処置液の流れる方向は、図9の矢印に示される通りである。
【0008】
続いて、適宜の時点において、供給ポンプ513及び吸引ポンプ523を停止すると、処置液の注入及び吸引が終了する。そして、吸引ノズル521を歯牙根管610から抜き出すことで、処置液による歯牙根管610内の洗浄が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/119844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の歯科用治療具としてのハンドピース530においては、次の問題があった。具体的には、ハンドピース530の吸引ノズル521の先端は、細く形成されており、そのため、吸引ノズル521の先端の内径も細く形成されている。そのため、吸引ノズル521において、デブリスや組織片などによる詰まりが発生しやすい。
また、歯科用治療具においては、歯牙根管の側壁(根管壁)に付着する付着物(スミア層など)の剥離効果を更に向上させることが望まれている。
【0011】
本発明は、歯牙根管に挿入されるノズルにおける詰まりを抑制できると共に、歯牙根管の側壁に付着する付着物の剥離効果を更に向上できる歯科用治療具、及びこの歯科用治療具を備える歯科用治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、超音波振動を発生させる超音波振動子を有するハンドピース本体と、先端が歯牙根管に挿入された状態で歯牙根管から流体を吸引し、前記ハンドピース本体に接続される挿入ノズルであって、前記超音波振動子によって発生する振動により振動される挿入ノズルと、前記ハンドピース本体に接続され、前記ハンドピース本体を介して流体を吐出し、吐出した流体を、前記挿入ノズルが挿入された歯牙根管に導入させる吐出部と、を備える歯科用治療具に関する。
【0013】
また、前記吐出部は、柔軟性を有するチューブからなり、前記挿入ノズルに固定されることが好ましい。
【0014】
また、前記吐出部は、前記ハンドピース本体の長手方向中央部から前記ハンドピース本体の外部に露出することが好ましい。
【0015】
また、前記ハンドピース本体は、少なくとも前記超音波振動子を軸方向に貫通する流路を有し、前記挿入ノズルから吸引された流体を、前記流路を介して前記ハンドピース本体の外部へ流通させることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記歯科用治療具と、前記歯科用治療具に接続されて使用される操作ユニットと、を備える歯科用治療装置であって、前記操作ユニットは、前記ハンドピース本体を介して前記挿入ノズルに連通され、前記挿入ノズルから吸引された流体を貯留する廃液タンクと、前記挿入ノズルから前記廃液タンクへの流体の吸引力を発生させる吸引力発生部と、前記ハンドピース本体を介して前記吐出部に連通され、前記吐出部から吐出される流体を貯留する給液タンクと、前記給液タンクから前記吐出部への流体の吐出力を発生させる吐出力発生部と、を有する歯科用治療装置に関する。
【0017】
また、前記操作ユニットは、前記廃液タンクへの流路における圧力を検出可能な圧力検出部と、前記圧力検出部により検出される圧力に基づいて前記挿入ノズルにおける詰まりの有無を判定する詰まり判定部と、前記詰まり判定部により詰まりが判定された場合に所定の報知動作を行う報知部と、を更に有することが好ましい。
【0018】
また、前記操作ユニットは、前記超音波振動子により発生する振動の大きさ、前記吸引力発生部により発生する吸引力の大きさ、及び前記吐出力発生部により発生する吐出力の大きさをそれぞれ調整する調整部と、前記調整部を操作する操作部と、を更に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、歯牙根管に挿入されるノズルにおける詰まりを抑制できると共に、歯牙根管の側壁に付着する付着物の剥離効果を更に向上できる歯科用治療具、及びこの歯科用治療具を備える歯科用治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る歯科用治療装置を右前上方から視た斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る歯科用治療装置を左後ろ上方から視た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る歯科用治療装置の流路を模式的に示す図である。
【図4】操作ユニットの操作部を拡大して示す図である。
【図5】歯科用治療具としてのハンドピースの外観を示す斜視図である。
【図6】ハンドピースの内部構造を示す模式図である。
【図7】挿入ノズルとしての吸引ノズルの先端を模式的に示す断面図である。
【図8】歯牙根管に挿入された状態の吸引ノズルの先端を模式的に示す断面図である。
【図9】従来例に係る歯科用治療装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の歯科用治療装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る歯科用治療装置を右前上方から視た斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る歯科用治療装置を左後ろ上方から視た斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る歯科用治療装置の流路を模式的に示す図である。図4は、操作ユニットの操作部を拡大して示す図である。図5は、歯科用治療具としてのハンドピースの外観を示す斜視図である。図6は、ハンドピースの内部構造を示す模式図である。図7は、挿入ノズルとしての吸引ノズルの先端を模式的に示す断面図である。
【0022】
図1〜図4に示すように、本実施形態の歯科用治療装置1は、歯科用治療具としての2個のハンドピース10(10a,10b)と、ハンドピース10に接続されて使用される操作ユニット100と、を備える。
【0023】
図5及び図6に示すように、ハンドピース10は、超音波振動を発生させる超音波振動子30を有するハンドピース本体20と、ハンドピース本体20に接続される挿入ノズルとしての吸引ノズル70と、ハンドピース本体20に接続される吐出部としての吐出チューブ80と、を備える。
【0024】
図1〜図4に示すように、操作ユニット100は、筐体110と、1個の廃液タンク121と、2個の給液タンク131(131a,131b)と、2個のハンドピース10(10a,10b)それぞれと筐体110とを接続する2本の外部接続チューブ170(170a,170b)と、操作部200と、圧力センサ表示部152と、スピーカ154と、フットコントローラ153と、を備える。また、操作ユニット100は、筐体110の内部に、各種の流路L1〜L7と、各種のバルブ141〜145と、吸引力発生部としての吸引ポンプ123と、吐出力発生部としての吐出ポンプ133と、制御部160と、圧力検出部としての圧力センサ151と、を備える。
【0025】
まず、ハンドピース10(10a,10b)の詳細について説明する。なお、2個のハンドピース10a,10bの主な相違点は、吸引ノズル70(70a,70b)の先端の太さの大小である。本実施形態においては、吸引ノズル70aの先端71は、相対的に太く、吸引ノズル70bの先端71は、相対的に細い。なお、同じ太さの吸引ノズル70を用いることもできる。
図5及び図6に示すように、ハンドピース10は、前述の通り、ハンドピース本体20と、吸引ノズル70と、吐出チューブ80と、を備える。ハンドピース10は、処置液を歯牙根管に注入する注入装置及び処置液を歯牙根管から排出する排出装置として機能する。
【0026】
ハンドピース本体20は、筒状のハウジング22と、ハウジング22の先端側に取り付けられる先端キャップ23と、ハウジング22の後端側の内部に取り付けられるコネクタ24と、ハウジング22の内部に配置される超音波振動子30と、ハウジング22の内部に配置される内部吸引流路形成部材35と、を備える。
【0027】
ハウジング22は、筒状で、ハンドピース本体20の外形の大部分を形成し、治療時に使用者(施術者)に把持される。ハウジング22の内部には、コネクタ24、超音波振動子30、内部吸引流路形成部材35、後述する吐出チューブ80の基端側などが内蔵される。ハウジング22の長手方向中央部には、吐出チューブ80をハウジング22の外部に露出するための孔部22aが設けられる(詳細は後述)。
【0028】
先端キャップ23は、ハウジング22の先端側に取り付けられ、ハンドピース本体20の先端側の外形を形成する。先端キャップ23からは、超音波振動子30の先端31に連結される連結部材75(詳細は後述)が露出する。
なお、超音波振動子30の先端31は、露出していてもよい。
【0029】
コネクタ24は、外部接続チューブ170の内部の流路(L11,L12)、信号線及び電力供給線と、ハンドピース本体20のハウジング22の内部の流路(L13〜L15)、信号線及び電力供給線とを、それぞれ接続する(詳細は後述)。
【0030】
超音波振動子30は、その軸方向に超音波振動を発生する。超音波振動子30は、超音波振動を拡大するホーンを含む。超音波振動子30には、電力供給線及び信号線が接続されている。超音波振動子30は、電力供給線を介して供給される電力により駆動されると共に、信号線からの制御信号により駆動を制御される。
超音波振動子30は、超音波振動の節で支持されるようにハウジング22の内部に収容される。超音波振動子30の軸方向は、ハンドピース本体20(ハウジング22)の長手方向である。超音波振動子30は、その内部を軸方向に貫通する振動子流路L14を有する。
【0031】
内部吸引流路形成部材35は、ハウジング22の内部に設けられ、超音波振動子30の振動子流路L14とコネクタ24との間に、内部吸引流路L13を形成する。
【0032】
コネクタ24は、内部吸引流路形成部材35と、ハウジング22の外部の外部吸引チューブ171とを接続している。これにより、内部吸引流路L13を介して、振動子流路L14と、外部吸引チューブ171の内部の外部吸引流路L11とが連通する。
また、コネクタ24は、ハウジング22の内部に配置される吐出チューブ80と、ハウジング22の外部の外部給液チューブ172とを接続している。これにより、吐出チューブ80の内部の流路と、外部給液チューブ172の内部の外部給液流路L12とが連通する。
外部吸引チューブ171及び外部給液チューブ172は、外部接続チューブ170の内部に設けられる。
【0033】
吐出部としての吐出チューブ80は、ハンドピース本体20に接続され、ハンドピース本体20を介して先端81から流体を吐出する。そして、吐出チューブ80は、先端81から吐出した流体を、吸引ノズル70が挿入された歯牙根管に導入させる(注入する)。
吐出チューブ80には、給液タンク131から外部給液チューブ172を介して、処置液などの流体が供給される。吐出チューブ80は、例えば、柔軟性を有するチューブからなる。
【0034】
吐出チューブ80の基端側(コネクタ24に接続される側)は、ハウジング22の内部に収容される。一方、吐出チューブ80の先端81側は、ハウジング22の孔部22aを介して、ハンドピース本体20のハウジング22の長手方向中央部から、ハウジング22の外部に露出する。露出した吐出チューブ80の長手方向中央部は、保持部材25により、ハンドピース本体20に保持される。保持部材25は、ハウジング22の先端と先端キャップ23の後端との間に挟持される。
露出した吐出チューブ80の先端81側は、吸引ノズル70に固定される。本実施形態においては、吸引ノズル70を吐出チューブ80の周壁に突き刺し、吸引ノズル70を吐出チューブ80の流路に配置し、吐出チューブ80の先端81から突出させることにより、吐出チューブ80の先端81側を、吸引ノズル70に固定させている。吐出チューブ80には、貫通孔85が形成されている。
【0035】
図7に示すように、挿入ノズルとしての吸引ノズル70は、先端71に、開口71aを有する。吸引ノズル70は、先端71が歯牙根管310に挿入された状態(図8参照)で、歯牙根管310から流体を吸引するノズルである。吸引ノズル70は、超音波振動子30によって発生する振動により振動される。
吸引ノズル70は、ステンレススチール、プラスチック、ニッケルチタン等で形成される。吸引ノズル70は、可撓性を有し、直線状にしたり、湾曲させたりすることができる。また、吸引ノズル70は、形状保持性を有し、直線状の形状や、湾曲させた形状を保持することができる。吸引ノズル70の長さは、例えば30mm以上である。
【0036】
吸引ノズル70は、連結部材75を介して超音波振動子30の先端31に連結されている。連結部材75の内部には、連結部材流路L15が形成されている。連結部材流路L15を介して、吸引ノズル70の内部の流路と、超音波振動子30の振動子流路L14とが連通する。この結果、連結部材流路L15、振動子流路L14、内部吸引流路L13及びコネクタ24を介して、吸引ノズル70の内部の流路と外部吸引流路L11とが連通する。つまり、吸引ノズル70から吸引された流体を、連結部材流路L15、振動子流路L14及び内部吸引流路L13を介して、ハンドピース本体20の外部へ流通させることができる。
【0037】
次に、操作ユニット100の詳細について説明する。
前述の通り、図1〜図4に示すように、操作ユニット100は、筐体110と、1個の廃液タンク121と、2個の給液タンク131(131a,131b)と、2個のハンドピース10(10a,10b)それぞれと筐体110とを接続する2本の外部接続チューブ170(170a,170b)と、操作部200と、圧力センサ表示部152と、スピーカ154と、フットコントローラ153と、を備える。また、操作ユニット100は、筐体110の内部に、各種の流路L1〜L7と、各種のバルブ141〜145と、吸引力発生部としての吸引ポンプ123と、吐出力発生部としての吐出ポンプ133と、制御部160と、圧力検出部としての圧力センサ151と、を備える。
【0038】
廃液タンク121は、操作ユニット100に設けられる流路、ハンドピース10のハンドピース本体20等を介して、吸引ノズル70に連通されており、吸引ノズル70から吸引された流体を貯留する。廃液タンク121は、筐体110の後部112の外部に配置される。
【0039】
廃液タンク121が満杯であるか否かは、満杯センサ(不図示)により検出される。満杯センサは、例えば、廃液タンク121に貯留された流体の液面の位置を測定可能な液面センサや、貯留された流体を含めた廃液タンク121の重量を測定可能な重量センサから、構成される。
液面センサから構成される満杯センサは、廃液タンク121に貯留された流体の液面の位置が所定の閾値を上回るか否かによって、廃液タンク121が満杯であるか否かを検出する。また、重量センサから構成される満杯センサは、貯留された流体を含めた廃液タンク121の重量が所定の閾値を上回るか否かによって、廃液タンク121が満杯であるか否かを検出する。
吸引ポンプ123は、操作ユニット100の筐体110の内部に配置され、吸引ノズル70から廃液タンク121への流体の吸引力を発生させる。
【0040】
給液タンク131は、操作ユニット100に設けられる流路、ハンドピース10のハンドピース本体20等を介して、吐出チューブ80に連通されており、吐出チューブ80から吐出される流体を貯留する。2個の給液タンク131(131a,131b)は、筐体110の後部112の外部に配置される。給液タンク131は、次亜塩素酸ナトリウム、生理食塩水、過酸化水素水、EDTA溶液、蒸留水、他の薬液等、治療目的に応じた処置液(流体)を収容する。
【0041】
給液タンク131が空であるか否かは、空センサ(不図示)により検出される。空センサは、例えば、給液タンク131に貯留される流体の液面の位置を測定可能な液面センサや、貯留される流体を含めた給液タンク131の重量を測定可能な重量センサから、構成される。
液面センサから構成される空センサは、給液タンク131に貯留された流体の液面の位置が所定の閾値を下回るか否かによって、給液タンク131が空であるか否かを検出する。また、重量センサから構成される空センサは、貯留される流体を含めた給液タンク131の重量が所定の閾値を下回るか否かによって、給液タンク131が空であるか否かを検出する。
吐出ポンプ133は、操作ユニット100の筐体110の内部に配置され、給液タンク131から吐出チューブ80への流体の吐出力を発生させる。
【0042】
次に、操作ユニット100の筐体110の内部に設けられる流路について説明する。
図3に示すように、筐体110の内部には、ポンプ又はバルブとして、吸引ポンプ123と、吐出ポンプ133と、第1三方バルブ141と、第2三方バルブ142と、第3三方バルブ143と、第4バルブ144と、第5バルブ145と、を備える。
また、筐体110の内部には、流路として、第1流路L1と、第2流路L2と、第3流路L3と、第4流路L4と、第5流路L5と、第6流路L6と、第7流路L7と、第1接続部J1と、第2接続部J2と、を備える。
【0043】
第1三方バルブ141は、筐体110の内部側の1個の内部接続口141cと、筐体110の外部側の2個の第1外部接続口141a及び第2外部接続口141bと、を備える。内部接続口141cは、第1流路L1に接続される。第1外部接続口141aは、ハンドピース10bと接続する外部給液流路L12に接続される。第2外部接続口141bは、ハンドピース10aと接続する外部給液流路L12に接続される。
【0044】
第2三方バルブ142は、筐体110の内部側の1個の内部接続口142cと、筐体110の外部側の2個の第1外部接続口142a及び第2外部接続口142bと、を備える。内部接続口142cは、第3流路L3に接続される。第1外部接続口142aは、ハンドピース10bと接続する外部吸引流路L11に接続される。第2外部接続口142bは、ハンドピース10aと接続する外部吸引流路L11に接続される。
【0045】
第3三方バルブ143は、吐出方向側の1個の吐出側接続口143cと、給液タンク131側の2個の第1給液接続口143a及び第2給液接続口143bと、を備える。吐出側接続口143cは、第7流路L7に接続される。第1給液接続口143aは、給液タンク131aと接続する第5流路L5に接続される。第2給液接続口143bは、給液タンク131bと接続する第6流路L6に接続される。
【0046】
第1流路L1は、第1三方バルブ141の内部接続口141cと、第1接続部J1とを接続する。第2流路L2は、第1接続部J1と第2接続部J2とを接続する。第3流路L3は、第2三方バルブ142の内部接続口142cと、第2接続部J2とを接続する。第4流路L4は、第2接続部J2と廃液タンク121とを接続する。第5流路L5は、給液タンク131aと、第3三方バルブ143の第1給液接続口143aとを接続する。第6流路L6は、給液タンク131bと、第3三方バルブ143の第2給液接続口143bとを接続する。第7流路L7は、第3三方バルブ143の吐出側接続口143cと、第1接続部J1とを接続する。
【0047】
第4流路L4のうち廃液タンク121側の部分は、筐体110の外部に露出し、第4流路形成部材124から形成されている。第5流路L5のうち給液タンク131a側の部分は、筐体110の外部に露出し、第5流路形成部材135から形成されている。第6流路L6のうち給液タンク131b側の部分は、筐体110の外部に露出し、第6流路形成部材136から形成されている。
【0048】
第4バルブ144は、第2流路L2の途中に設けられる。
吸引ポンプ123は、第4流路L4の途中に設けられる。
吐出ポンプ133は、第7流路L7の途中に設けられる。
第5バルブ145は、第7流路L7に、吐出ポンプ133よりも吐出方向側に設けられる。
【0049】
操作ユニット100においては、バルブ141〜145の開閉パターン、三方バルブ141〜143の連通パターン、ポンプ123,133のオン/オフパターン等を変更することにより、流体(処理液)の流通パターンを変更することができる。
【0050】
例えば、第3三方バルブ143において吐出側接続口143cと第1給液接続口143aとを連通させ、第5バルブ145を開状態とし、第4バルブ144を閉状態とし、第1三方バルブ141において内部接続口141cと第2外部接続口141bとを連通させた状態を形成し、この状態で吐出ポンプ133を稼働させる。これにより、給液タンク131aに貯留される処置液を、第5流路L5、第7流路L7、第1流路L1及び外部給液流路L12を介して、ハンドピース10aの吐出チューブ80から吐出することができる。
【0051】
また、第2三方バルブ142において内部接続口142cと第1外部接続口142aとを連通させ、第4バルブ144を閉状態とした状態を形成し、この状態で吸引ポンプ123を稼働させる。これにより、歯牙根管内の処置液を、ハンドピース10bの吸引ノズル70から吸引し、外部吸引流路L11、第3流路L3及び第4流路L4を介して、廃液タンク121へ搬送させ、廃液タンク121へ収容することできる。
【0052】
圧力センサ151は、廃液タンク121への第4流路L4における圧力を検出可能な圧力検出部である。圧力センサ151は、吸引ポンプ123よりも第2接続部J2側に位置する第3接続部J3において、第4流路L4に接続流路L21を介して接続される。
圧力センサ表示部152は、圧力センサ151により検出された圧力の値、報知制御部163により制御される警告表示などを表示する。圧力センサ表示部152は、操作ユニット100の筐体110の右外面113に一体的に設けられる。
【0053】
制御部160は、CPU、回路などからなり、ハンドピース10及び操作ユニット100の全体を制御する。例えば、制御部160は、2個のハンドピース10、各ポンプ123,133、各バルブ141〜145、圧力センサ151、操作部200、圧力センサ表示部152、フットコントローラ153、報知部としてのスピーカ154等に、図3において破線で示す信号線により電気的に接続されている。制御部160は、信号線を介してこれらハンドピース10等を制御すると共に、信号線を介して圧力センサ151等から各種信号を受信する。
【0054】
制御部160は、調整部161と、詰まり判定部162と、報知制御部163と、を備える。
調整部161は、操作部200、フットコントローラ153等からの信号に基づいて、超音波振動子30により発生する振動の大きさ、吸引ポンプ123により発生する吸引力の大きさ、吐出ポンプ133により発生する吐出力の大きさ等をそれぞれ調整する。
【0055】
また、調整部161は、吐出ポンプ133を稼働させると、それに連動して吸引ポンプ123を稼働させる制御を行うこともできる。これにより、吐出チューブ80から、吸引量を上回る吐出量の吐出が行われることを防止でき、歯牙根管からの処置液の溢れ(オーバーフロー)を抑制できる。
また、調整部161は、吐出ポンプ133を稼働させると、所定時間経過後に吸引ポンプ123を稼働させる制御を行うこともできる。これにより、歯牙根管の内部の溜め置き洗いを簡便に行うことができる。
【0056】
詰まり判定部162は、圧力センサ151により検出される圧力に基づいて、吸引ノズル70における詰まりの有無を判定する。具体的には、圧力センサ151により検出される圧力が、詰まりが発生したと認められる所定の閾値以上になったときには、詰まり判定部162は、吸引ノズル70における詰まりが発生したことを判定する。
【0057】
報知制御部163は、詰まり判定部162により吸引ノズル70における詰まりが判定された場合に、所定の報知動作を行うように報知部を制御する。報知部は、報知制御部163による制御に基づいて、所定の報知動作を行う。報知部は、例えば、警告音を発生するスピーカ、警告表示を表示する警告表示部、警告発光を行う警告灯などのうち、1つ又はそれらの組み合わせから構成される。本実施形態においては、報知部は、警告音を発生するスピーカ154、及び警告表示を表示する圧力センサ表示部152から構成される。
スピーカ154は、操作ユニット100の筐体110の右外面113に一体的に設けられる。
【0058】
操作ユニット100の筐体110の上部115には、下方に凹んだトレイ部116が設けられる。トレイ部116は、例えば、未使用時のハンドピース10等を仮置きする際に利用される。
フットコントローラ153は、ケーブル173を介して筐体110に接続される。使用者によるフットコントローラ153の足踏み操作の有無、程度等に応じて、吸引ポンプ123及び吐出ポンプ133は駆動制御され、吸引ポンプ123及び吐出ポンプ133のオン/オフ又は処置液の流速は調節される。
【0059】
図1及び図2に示すように、操作部200は、操作ユニット100の筐体110の前面111に一体的に設けられる。図4に示すように、操作部200は、電源ランプ210と、選択操作部220と、増減操作部230と、状態表示部240と、を有する。
電源ランプ210は、操作ユニット100の電源がオンの場合に、点灯する。
【0060】
選択操作部220は、使用する(稼働させる)ハンドピース10(10a,10b)を選択するハンドピース選択スイッチ221と、選択されたハンドピース10を示すハンドピース選択ランプ222と、使用する給液タンク131(131a,131b)を選択する給液タンク選択スイッチ223と、選択された給液タンク131を示す給液タンク選択ランプ224と、を有する。
【0061】
増減操作部230は、吐出ポンプ133の出力を増減して吐出チューブ80からの流体の吐出量(吐出速度)を増減させる吐出量スイッチ231と、吐出量を示す吐出量ランプ232と、超音波振動子30の超音波振動の大きさを増減させる振動スイッチ233と、超音波振動の大きさを示す振動ランプ234と、吸引ポンプ123の出力を増減して吸引ノズル70からの流体の吸引量(吸引速度)を増減させる吸引量スイッチ235と、吸引量を示す吸引量ランプ236と、を有する。
【0062】
状態表示部240は、フットコントローラ153が踏まれた状態のときに点灯するフットコントローラランプ241と、不具合が発生した状態のときに点灯する不具合ランプ242と、吸引ノズル70からの吸引を行っている状態のときに点灯する吸引ランプ243と、廃液タンク121が満杯の状態のときに点灯する満杯ランプ244と、給液タンク131(131a,131b)がそれぞれ空の状態のときに点灯する空ランプ245,246と、を有する。
【0063】
前記満杯センサにより廃液タンク121が満杯であることが検出された場合には、制御部160は、満杯ランプ244を点灯させる。
前記空センサにより給液タンク131が空であることが検出された場合には、制御部160は、空ランプ245,246を点灯させる。
【0064】
次に、本実施形態の歯科用治療装置1の使用方法の一例について説明する。図8は、歯牙根管に挿入された状態の吸引ノズルの先端を模式的に示す断面図である。
【0065】
まず、公知の方法により、歯牙根管310の長さを測定する。続いて、測定された長さを考慮し、リーマやファイル等の専用切削具(図示せず)を用いて歯牙根管310の拡大を行う。これにより、歯牙根管310内の汚染物質が除去されるとともに、歯牙根管610は、容易に充填できる形状となる。
なお、処置液として次亜塩素酸ナトリウム等の薬効性の強い液体を採用すれば、歯牙根管310内に注入された処置液が歯牙根管310を溶解するため、歯牙根管310が拡大される。このため、専用切削具を用いた根管拡大手順を経る必要は必ずしもない。
【0066】
次に、ハンドピース10のハンドピース本体20を把持し、図8に示すように、吸引ノズル70を先端71側から歯牙根管310に挿入する。吸引ノズル70の先端71を、歯牙根管310の深部(根尖孔311の近傍)に配置する。また、ハンドピース10の吐出チューブ80の先端81を、歯牙根管310の開口の上部に配置する(不図示)。続いて、操作部200やフットコントローラ153を操作することによって、吐出ポンプ133、吸引ポンプ123及び超音波振動子30を稼動させる。これにより、処置液Wは、給液タンク131から吐出チューブ80に供給され、吐出チューブ80の先端81から吐出され、歯牙根管310に導入(注入)される。
【0067】
歯牙根管310に注入された処置液Wは、歯牙根管310の深部(根尖孔311の近傍)まで行き届いた後、吸引ポンプ123による吸引力によって、吸引ノズル70の内部へと吸引される。詳細には、処置液Wは、吸引ノズル70の先端71の開口71aを介して、吸引ノズル70の内部へと吸引される。また、吸引ノズル70は、超音波振動子30による振動によって、振動している。吸引された処置液Wは、廃液タンク121へと搬送され、廃液タンク121に収容される。
【0068】
更に、適宜の時点において、操作部200やフットコントローラ153を操作することによって、制御部160は、吸引ポンプ123、吐出ポンプ133及び超音波振動子30を停止させる。これにより、処置液Wの導入(注入)及び吸引、並びに吸引ノズル70の振動が終了する。そして、ハンドピース10のハンドピース本体20を掴み、吸引ノズル70を歯牙根管310から抜き出すことで、歯牙の根管内疾患の治療の一部が完了する。
【0069】
本実施形態の歯科用治療具としてのハンドピース10によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態のハンドピース10は、超音波振動を発生させる超音波振動子30を有するハンドピース本体20と、先端71が歯牙根管310に挿入された状態で歯牙根管310から処置液(流体)Wを吸引し、超音波振動子30によって発生する振動により振動される吸引ノズル70と、ハンドピース本体20を介して処置液Wを吐出し、吐出した処置液Wを、吸引ノズル70が挿入された歯牙根管310に導入させる吐出チューブ80と、を備える。
【0070】
そのため、本実施形態によれば、1つの歯科用治療具としてのハンドピース10により、歯牙根管310内に処置液Wを導入しながら、歯牙根管310内の処置液Wを吸引することができる。
また、挿入ノズルとしての吸引ノズル70は、超音波振動子30によって発生する振動により振動される。そのため、吸引ノズル70の開口71aに付着物が付着しにくく、詰まりが発生しにくい。
【0071】
ところで、歯科用治療装置1の使用方法として、先端71の太さが異なる吸引ノズル70を使い分ける使用方法がある。例えば、歯牙根管310の洗浄の初期においては、先端71が太い吸引ノズル70a(を有するハンドピース10a)を用いて、粗洗浄を行い、大きなデブリス、組織片など吸引し、次に、先端71が細い吸引ノズル70b(を有するハンドピース10b)を用いて、仕上げ洗浄を行い、歯牙根管310の深部まで洗浄を行う方法がある。仮に、先端71が細い吸引ノズル70bのみを用いて洗浄を行った場合、大きなデブリス、組織片などによって、吸引ノズル70bが詰まりやすい。これを防止するため、前述の先端71の太さが異なる吸引ノズル70(70a,70b)を使い分ける使用方法が採用される。
【0072】
しかし、先端71が細い吸引ノズル70bのみを用いて洗浄を行うことができれば、施術が簡便になり、そのような要望もある。
本実施形態においては、前述のように吸引ノズル70の詰まりが発生しにくいため、先端71が細い吸引ノズル70bのみを用いて洗浄を行う使用方法を採用しやすい。
【0073】
また、吸引ノズル70が超音波振動することにより、歯牙根管310内の処置液Wに撹拌作用が生じ、いわゆるキャビテーション現象(空洞現象)が発生する。キャビテーション現象とは、液体の運動によって、液中が局部的に低圧となって、短時間で気泡の発生及び消滅が起こる現象である。キャビテーション現象により、歯牙根管310の側壁(根管壁)312に付着する付着物(スミア層など)の剥離効果が更に向上する。また、歯牙根管310の側枝(不図示)への処置液Wの浸透性が向上し、歯牙根管310の側枝に対する洗浄効果が向上する。
【0074】
また、本実施形態のハンドピース10においては、吐出部としての吐出チューブ80は、柔軟性を有するチューブからなり、吸引ノズル70に固定される。そのため、超音波振動子30によって発生する振動によって、吐出チューブ80は振動しにくいと共に、吸引ノズル70に対する吐出チューブ80の位置関係が維持されやすい。そのため、吐出チューブ80からの吐出が安定的に行われる。
【0075】
また、本実施形態のハンドピース10においては、吐出チューブ80は、ハンドピース本体20の長手方向中央部からハンドピース本体20の外部に露出する。そのため、万が一、吐出チューブ80から流体が漏れ出した場合に、使用者は、その漏れを認識しやすい。また、漏れ出した流体がハンドピース本体20の内部に接しにくく、漏れ出した流体に起因するハンドピース本体20の故障などを抑制できる。
【0076】
また、本実施形態のハンドピース10においては、ハンドピース本体20は、少なくとも超音波振動子30を軸方向に貫通する流路L14を有し、吸引ノズル70から吸引された流体を、流路L15、L14及びL13を介してハンドピース本体20の外部へ流通させる。そのため、ハンドピース本体20の内部であって超音波振動子30の径方向の外側に、流路を設ける必要がなく、ハンドピース本体20の小型化(小径化)を図ることができる。
【0077】
本実施形態の歯科用治療装置1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
操作ユニット100は、吸引ノズル70から吸引された流体を貯留する廃液タンク121と、吸引ノズル70から廃液タンク121への流体の吸引力を発生させる吸引ポンプ123と、吐出チューブ80から吐出される流体を貯留する給液タンク131と、給液タンク131から吐出チューブ80への流体の吐出力を発生させる吐出ポンプ133と、を有する。
そのため、吸引ノズル70から吸引された流体を容易に集めて、廃棄することができる。また、吐出チューブ80から吐出させる流体を容易に補充することができる。
【0078】
操作ユニット100は、廃液タンク121への流路L4における圧力を検出可能な圧力検出部としての圧力センサ151と、圧力センサ151により検出される圧力に基づいて吸引ノズル70における詰まりの有無を判定する詰まり判定部162と、詰まり判定部162により詰まりが判定された場合に所定の報知動作を行う報知部としてのスピーカ154及び圧力センサ表示部152と、を備える。
そのため、吸引ノズル70の詰まりの発生を容易に判定できると共に、スピーカ154の警告音、及び圧力センサ表示部152の警告表示により、使用者などが吸引ノズル70の詰まりの発生を容易に把握できる。
【0079】
操作ユニット100は、超音波振動子30により発生する振動の大きさ、吸引ポンプ123により発生する吸引力の大きさ、及び吐出ポンプ133により発生する吐出力の大きさをそれぞれ調整する調整部161と、調整部161を操作する操作部200と、を有する。使用者は操作部200を操作することで、超音波振動子30により発生する振動の大きさ、吸引ポンプ123により発生する吸引力の大きさ、及び吐出ポンプ133により発生する吐出力の大きさを容易に調整することができる。
例えば、小さな(ソフトな)超音波振動を付与しながら、処置液の吐出及び吸引を行う施術を行うことができる。また、処置液を高速で(大量に)吐出しながら、処置液を高速で吸引する施術を行うことができる。
【0080】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等を行うことができる。
例えば、前記実施形態においては、吸引ノズル70を吐出チューブ80の周壁に突き刺し、吸引ノズル70を吐出チューブ80の流路に配置し、吐出チューブ80の先端81から突出させることにより、吐出チューブ80の先端81側を、吸引ノズル70に固定させているが、これに制限されない。固定部材を用いて吸引ノズル70と吐出チューブ80とを固定してもよい。
【0081】
吐出部は、前記実施形態においては、柔軟性を有する吐出チューブ80から構成されているが、これに制限されない。例えば、吐出部を、可撓性を有しないパイプ部材から構成することもできる。
吐出チューブ80(吐出部)は、前記実施形態においては、ハンドピース本体20の長手方向中央部からハンドピース本体20の外部に露出しているが、これに制限されない。吐出チューブ80(吐出部)は、ハンドピース本体20の先端からハンドピース本体20の外部に露出する構成でもよい。
【0082】
操作部200は、前記実施形態においては、操作ユニット100の筐体110の外面に一体的に設けられているが、これに制限されない。操作部は、筐体110から分離可能で、無線又は有線により操作ユニット100に対して操作信号を出力可能なリモコンから構成することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 歯科用治療装置
10,10a,10b ハンドピース(歯科用治療具)
20 ハンドピース本体
22 ハウジング
30 超音波振動子
70 吸引ノズル(挿入ノズル)
71 先端
71a 開口
80 吐出チューブ(吐出部)
81 先端
100 操作ユニット
110 筐体
121 廃液タンク
123 吸引ポンプ
131,131a,131b 給液タンク
133 吐出ポンプ
151 圧力センサ(圧力検出部)
152 圧力センサ表示部(報知部)
154 スピーカ(報知部)
161 調整部
162 詰まり判定部
163 報知制御部
200 操作部
310 歯牙根管
311 根尖孔
312 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動を発生させる超音波振動子を有するハンドピース本体と、
先端が歯牙根管に挿入された状態で歯牙根管から流体を吸引し、前記ハンドピース本体に接続される挿入ノズルであって、前記超音波振動子によって発生する振動により振動される挿入ノズルと、
前記ハンドピース本体に接続され、前記ハンドピース本体を介して流体を吐出し、吐出した流体を、前記挿入ノズルが挿入された歯牙根管に導入させる吐出部と、を備える
歯科用治療具。
【請求項2】
前記吐出部は、柔軟性を有するチューブからなり、前記挿入ノズルに固定される
請求項1に記載の歯科用治療具。
【請求項3】
前記吐出部は、前記ハンドピース本体の長手方向中央部から前記ハンドピース本体の外部に露出する
請求項2に記載の歯科用治療具。
【請求項4】
前記ハンドピース本体は、少なくとも前記超音波振動子を軸方向に貫通する流路を有し、前記挿入ノズルから吸引された流体を、前記流路を介して前記ハンドピース本体の外部へ流通させる
請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用治療具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用治療具と、前記歯科用治療具に接続されて使用される操作ユニットと、を備える歯科用治療装置であって、
前記操作ユニットは、
前記ハンドピース本体を介して前記挿入ノズルに連通され、前記挿入ノズルから吸引された流体を貯留する廃液タンクと、
前記挿入ノズルから前記廃液タンクへの流体の吸引力を発生させる吸引力発生部と、
前記ハンドピース本体を介して前記吐出部に連通され、前記吐出部から吐出される流体を貯留する給液タンクと、
前記給液タンクから前記吐出部への流体の吐出力を発生させる吐出力発生部と、を有する
歯科用治療装置。
【請求項6】
前記操作ユニットは、
前記廃液タンクへの流路における圧力を検出可能な圧力検出部と、
前記圧力検出部により検出される圧力に基づいて前記挿入ノズルにおける詰まりの有無を判定する詰まり判定部と、
前記詰まり判定部により詰まりが判定された場合に所定の報知動作を行う報知部と、を更に有する
請求項5に記載の歯科用治療装置。
【請求項7】
前記操作ユニットは、
前記超音波振動子により発生する振動の大きさ、前記吸引力発生部により発生する吸引力の大きさ、及び前記吐出力発生部により発生する吐出力の大きさをそれぞれ調整する調整部と、
前記調整部を操作する操作部と、を更に有する
請求項5又は6に記載の歯科用治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−223243(P2012−223243A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91095(P2011−91095)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)
【出願人】(392036108)株式会社みくに工業 (17)
【Fターム(参考)】