説明

歯科的用途のための音響光力学的治療

本発明は、口腔あるいは創傷の細菌を殺菌するための方法を含み、該方法は、処置部位あるいは創傷に感光性組成物を塗布するステップ(102)、処置部位あるいは創傷に流体および音響エネルギーを与えるステップ(104)、および、処置部位あるいは創傷の細菌を破壊するために、感光性組成物によって吸収された波長における光源とともに処置部位あるいは創傷を照射するステップ(106)を含む。本発明はまた、口腔あるいは創傷の細菌を殺菌するための方法を含み、該方法は、処置部位あるいは創傷に感光性組成物を塗布するステップ(202)、処置部位あるいは創傷の細菌を破壊するために、音響キャビテーションを与えるよう、処置部位に十分な音響エネルギーを与えるステップ、を含む。本発明はさらに、音光力学療法を行うための装置を提供し、該装置は、音響エネルギー源(20)、治療液源(26)および光源(22)、の1つ以上に通じる1つ以上の部材(12)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号第60/590,421号(2004年7月22日出願)の"Dental Photocidal Therapy by Means of Dental Sealers"、および、米国仮出願番号第60/622,463号(2004年10月27日出願)の"Improved Dental Sealer for Use in Photocidal Therapy"の優先権主張出願である。
【0002】
本発明は、炎症性歯周病、歯髄疾患、および虫歯を含む多くの口腔疾患に含まれる細菌を殺菌するための光エネルギーおよび/あるいは音響エネルギーによる照射において光増感剤を使用することに関し、また、口腔内の創傷あるいはその他の傷を消毒あるいは殺菌する技術に関し、かつ、有機体の組織に音光力学療法(sonophotodynamic)を行うための、単一の一体化された装置に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症性の歯周病の一形態である慢性歯周炎は成人が歯を損失する主要な要因である。慢性歯周炎患者は、侵された歯を取り囲む歯肉組織、あるいは、歯肉に炎症を起こしたポケットを持つ。これらの歯肉ポケット内のバイオフィルムに蓄積されたバクテリア層は、歯石と呼ばれる、石灰化した堆積物を残して、歯の表面と歯根表面に付着する。細菌汚染が進行するにつれ、バイオフィルムからの炎症性滲出液に加えて、宿主組織からの反応により、歯を支える硬組織と軟組織の進行性破綻を引き起こすおそれがあり、その結果、最終的に歯を失う。口腔の細菌汚染はまた、体の他の部分における感染源としても認識されている(例えば、菌血症(血液の感染症)、感染性心臓炎、肺疾患、など)。そのような感染症は、移植の拒絶にも関連しており、また、糖尿病の予後、およびその他の自己免疫疾患の予後を困難にするおそれがある。
【0004】
口腔の細菌汚染を治療する従来の方法としては、歯石除去(スケーリング)および抗生物質の使用によって、歯肉縁下の歯垢、歯石、およびバイオフィルムのポケットを除去することが挙げられる。歯の歯石除去は、1年に数回、場合によっては3ヶ月毎、あるいはもっと頻繁に、歯周病患者に行われる。超音波歯石除去器(スケーラ)は、流体(例えば、水、生理食塩水など)において超音波振動を生成し、この振動で歯肉組織から歯肉縁下の歯垢、歯石、およびバイオフィルムを除去する。この超音波振動により、歯肉組織を取り囲む、あるいは歯肉組織内の流体、歯石、および歯垢に直接的に高いせん断力を与えるキャビテーションが生じ、その結果、そのような歯垢、歯石、および関連するバイオフィルムが歯肉縁下から分離される。スケーラの原理は、特許文献において十分に記載されており、例えば米国特許第2,990,616号、3,089,790号、3,703,037号、3,990,452号、4,283,174号、4,804,364号、および、6,619,957号、を参照されたい。これらの特許は全て、参照のために本願に組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念なことに、デンタルスケーリングだけでは、口腔の細菌を取り除くという点においては限られた成果しか挙げられず、また、抗生物質を長期的に使用することで、耐性が生じて抗生物質を臨床的に効果のないものにしてしまうおそれがある。さらに、抗生物質の使用は、免疫力のない患者に対して、および、義歯性口内炎の患者に対しては望ましくないおそれもある。
【0006】
従来の充填を行う前に、および、歯の内部を伴う歯内オペレーションを含むその他の形式の歯科手術の間に、炎症性歯周病の処置に加えて口腔の細菌を取り除くこともまた齲窩を削り取る点で好ましい。
【0007】
口腔の細菌を殺菌するための光線力学療法は、Wilsonなどによる、米国特許第5,611,793号と欧州特許第EP0637976B2において開示されている。これらの特許は参照のために本文に組み込まれている。これらの特許に記載されているように、ある一定の波長と強度範囲におけるレーザー光が、感染した組織に塗布された感光性化合物を照射するよう、使用される。このレーザは化合物を活性化し、その結果、フリーラジカルおよび口腔に存在する細菌に対して毒性を持つその他の素子が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
口腔内の感染性の細菌を殺菌するには光線力学療法が効果的であると示されているので、この光線力学療法を日々の歯科治療(例えば、スケーリングなど)に組み込むことが非常の望ましいであろう。本発明の目的は、タイミングよく、かつ効率的に口腔の治療部分を消毒する一方で、歯石、歯垢、およびバイオフィルムを洗浄し、そのような部分から取り除く方法を提供することである。
【0009】
本発明は、口腔の細菌を殺菌するために、光および/あるいは音響エネルギーによる照射とともに、感光性組成物を使用する方法を提供する。以後、プロセスを”音光力学療法”と称する。以下に記載しているように、流体および感光性組成物の存在下で光および音響エネルギーを併用投与することは、口腔内の細菌の殺菌に相乗効果を有する。
【0010】
流体において音響エネルギーを使用することで、音響キャビテーションを生成することができる。音響キャビテーションにより、流体において、ガス/蒸気で満たされた気泡の、核生成、成長および崩壊が生じる。物理的崩壊により、キャビテーションは細菌を効果的に殺菌することができる。例えば、音響キャビテーションにおける機械エネルギーには、気泡の周りに生成される激しいせん断力によって、歯垢(および、それを取り囲む細菌)を分裂させ、分散させることができる。音響キャビテーションの直接的な結果として、流体においてフリーラジカルも検出される。
【0011】
これらのフリーラジカルは、細胞壁の崩壊および/あるいは脂質過酸化反応により、細菌を殺菌することができる。光(音ルミネセンス)を同時に放出することで、音響キャビテーションの間に気泡を崩壊させることができる。音ルミネセンスによって放出される光は非常に広帯域であり、また、このような光は、細菌にとっては直接の致命傷にもなり得る紫外線を含み得る。音ルミネセンスを介して放出された光は、口腔において、感光性組成物に与えられる場合により多くのフリーラジカルを放出することができ、これによりさらに細菌を殺菌する。
【0012】
本発明の態様において、口腔の細菌を滅菌する方法が開示されており、該方法は、処置部位(locus)に感光性組成物を塗布するステップ、処置部位に流体および音響エネルギーを与えるステップ、および、処置部位における細菌を破壊するために、感光性組成物によって吸収された波長において、光源とともに処置部位を照射するステップ、を含む。本発明のその他の態様では、口腔の細菌を滅菌する方法が開示されており、該方法は、処置部位に感光性組成物を与えるステップ、処置部位における細菌を破壊するために、音響キャビテーションを与えるよう、処置部位に十分な音響エネルギーを与えるステップ、を含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、創傷治癒を促進するための方法が開示されており、該方法は、創傷部分に感光性組成物を与えるステップ、創傷部分に流体および音響エネルギーを与えるステップ、創傷部分における細菌を破壊するために、感光性組成物によって吸収された波長において、光源とともに傷部分を照射するステップ、を含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、創傷治癒を促進するための方法が開示されており、該方法は、傷部分に感光性組成物を塗布するステップ、傷部分における細菌を破壊するために、音響キャビテーションを与えるよう、処置部位に十分な音響エネルギーを与えるステップ、を含む。
【0015】
本発明のさらに別の態様では、音光力学療法を行うための装置が開示されており、該装置は、光源、音響エネルギー源、冷却あるいは洗浄液源、および、光、音響エネルギー、および、冷却あるいは洗浄液を有機体の組織にそれぞれ供給するための、光源、音響エネルギー源、および冷却あるいは洗浄液源に通じる1つ以上の部材を含み、この1つ以上の部材には、単一部材あるいは一体化された複数の部材を含む。
【0016】
本発明の別の態様では、音光力学療法を行うための装置が開示されており、該装置は、光源、音響エネルギー源、感光性組成物源、および、光、音響エネルギー、および、冷却あるいは洗浄液を有機体の組織にそれぞれ供給するための、光源、音響エネルギー源、および冷却あるいは洗浄液源に通じる1つ以上の部材を含み、この1つ以上の部材には、一体化された複数の部材を含み、かつ、1つ以上の部材には、感光性組成物と流体伝達するチューブ、光源に通じる導波管を含み、この導波管は、少なくとも一部がチューブ内に位置決めされている。
【0017】
本発明の別の態様では、音光力学療法を行うための装置が開示されており、該装置は、光源、音響エネルギー源、感光性組成物源、冷却あるいは洗浄液源、および、超音波エネルギー、光、および、感光性組成物を有機体の組織に供給するための、光源、音響エネルギー源、冷却あるいは洗浄液源、および感光性組成物源に通じる1つ以上の部材を含み、1つ以上の部材は、光源から光を運ぶための導波管、音響エネルギー源から音響エネルギーを運ぶためのスケーラ、冷却あるいは洗浄液源から冷却あるいは洗浄液を運ぶための通路を画定するチューブ、および、感光性組成物源から感光性組成物を運ぶための通路を定義するチューブを含み、かつ、1つ以上の部材は単一のプローブに一体化された複数の部材を含む。
【0018】
明細書および図面の残りの部分を参照することで、本発明の性質および利点をさらに理解することができる。以下の詳細な説明、請求の範囲を読むことで、本発明の特徴および発明の態様が明らかになるであろう。以下に図面の簡単な説明をする。
【好適な実施形態の説明】
【0019】
本発明は、通常は(必ずしも必要ではない)超音波あるいは音波の歯科スケーリングによって供給される音響エネルギーとあわせて、口腔に感光性組成物を運び、活性化することで口腔の細菌を滅菌する方法を提供する。
I.定義
【0020】
以下の用語は、本文中に使用されているように、以下の意味を有することを目的とする。
1.細菌:グラム陰性面、グラム陽性面などを含むバクテリア、ウイルス、菌などのあらゆる病気に関係する細菌。
2.光:感光性組成物によって吸収され得るいずれの波長における光。
そのような波長としては、紫外線(UV)可視光線、赤外線(近赤外線、中赤外線、および、遠赤外線)などの継続的電磁スペクトルから選択される波長が挙げられる。
概して、波長は、特に、使用された感光性組成物および光度によって変化し得るが、好ましくは約160nm〜1600nm、より好ましくは、400nm〜800nm、最も好ましくは、約500nm〜850nmの間である。光は、レーザ、発光ダイオード(LED)、アークランプ、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、などのいずれの適切な、技術開示された発光デバイスによって生成することが可能である。
3.処置部位(Locus):口腔におけるいずれの組織、齲窩、歯内空洞(キャビティ)、創傷、傷であり、抗菌処置が望まれる個所。
4.創傷:口腔の外側のいずれの創傷あるいは傷であり、抗菌処置が望まれる個所。
5.感光性組成物:少なくとも1つの適切な、技術開示された光増感剤。
適切な光増感剤の例としては、アリアナスチールブルー(arianor steel blue)、トルイジンブルーO(toluidine blue O)、クリスタルバイオレット(crystal violet)、メチレンブルー(methylene blue)、およびその誘導体、アズールブルー(azure blue cert), アズールB塩化物(azure B chloride)、アズール2(azure 2)、アズールA塩化物(azure A chloride)、アズールBテトラフルオロ硼酸塩(azure B tetrafluoroborate)、チオニン、アズールAエオシン塩(azure A eosinate)、アズールBエオシン塩(azure B eosinate)、アズールミックス(azure mix sicc、アズールミックス[乾性])、アズールIIエオシン塩(azure II eosinate)、ヘマトポルフィリンHC1(haemaoporphyrin HC1)、ヘマトポルフィリンエステル(haematoporphyrin ester)、アルミニウムジスルフォン酸塩フタロシアニン(aluminum disulphonated phtalocyanine)が挙げられる。適切な光増感剤の更なる例としては、ポルフィリン、ピロール、テトラピオール化合物、拡張ピロール大環状分子、およびそれぞれの誘導体が挙げられる。適切な光増感剤のその他の別の例としては、カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バンクーバの、QLT PhotoTherapeutics Inc社製のPhotofrin(登録)が挙げられる。その他の光増感剤の例としては、米国特許第5,611,793号、第6,693,093号が挙げられ、米国特許第6,693,093号は参照のために本文に組み込まれている。上述した光増感剤は例であり、どのような方法においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
6.音響エネルギー:音波あるいは超音波装置(例えば、スケーラなど)によって生成される超音波、音波あるいはエネルギー。
音波装置のチップ振動は、好ましくは、約3KHz〜約5MHzの間の値域であり、より好ましくは、約10KHz〜約1MHzの間の値域であり、さらに好ましくは、約20KHz〜約50KHzの間の値域であり、最も好ましくは、約25KHz〜約40KHzの値域である。
【0021】
II 音光力学療法の例示的装置
i装置の説明
図1を参照すると、組織上にあるいは組織内に検出された細菌あるいはバクテリアを殺菌するために音光力学療法を行うことができる1つの例示的装置10が示されている。装置10は、1つ以上の以下のコンポーネントに通じる(例えば、液体伝達、電気的伝達、あるいは光伝達する)プローブ12を含む。そのようなコンポーネントとしては、音響エネルギー源20、光源22、ガス源24、治療液(例えば、感光性組成物)源26、および、冷却および/あるいは洗浄液源28(例えば、水、生理食塩水、その混合物、あるいはその他の流体)が挙げられる。
【0022】
本文に示している実施形態において、本発明のプローブは通常、複数の部材を単一のプローブに組み込むように例示されている。この複数の部材は、光を導き、音響エネルギーを供給し、流体を運ぶように構成されたもの、あるいはそれらを組み合わせてものである。しかし、必要に応じて、これらの部材を複数のプローブで分けることもできることを理解されたい。本発明のプローブは、様々なコンフィグレーションに従って、本発明の範囲内において部材を一体化することができることも理解されたい。
【0023】
図1のプローブ12は、図2〜図5においてさらに詳しく示されている。図示している実施形態では、プローブ12はインサート34として図示しているアタッチメントを含む。このインサート34は、音響(例えば、超音波)エネルギーを供給する部材を含み、この部材はスケーラチップ42として図示されている。インサート34はまた、チューブ44として示されている、流体を供給するための部材と、光ファイバ46として示されている、光を供給するための部材(例えば、導波管)を含む。
【0024】
図2を参照すると、インサート34は、スケーラ42と反対側の近位部36と、この近位部36とスケーラ42との間に設けられた本体38に分けられる。図3は、近位部36を極めて詳細に示しており、図4は本体38とスケーラ42を極めて詳細に示している。
【0025】
例示の実施形態では、チューブ44は実質的に、インサート34全体、プローブ12あるいは両方に沿って中央に延びており、インサート34の本体38を実質的に画定する。チューブ44は、実質的にインサート34全体、プローブ12あるいは両方に沿って同様に延びる通路あるいはトンネル50を画定する。通常、チューブ44は、チューブあるいはその他の部材を介して、治療液源26と流体伝達する。
【0026】
光ファイバ46はトンネル50内に設けられ、チューブ44と実質的に同一の広がりを持つ。図3に図示しているように、1つ以上のスペーサ54を導入し、チューブ44から離間してファイバ46を位置決めしてもよく、あるいは、間隔を設けてもよい。スペーサ54が利用される場合、スペーサ54は通常、流体がその中を流れることができるよう、開口部(例えば、空洞、貫通孔など)を含む。
【0027】
スケーラチップ42は、チューブ44の一方の端部においてチューブ44に取り付けられている。スケーラチップ42は、それ自体のトンネル56を画定しており、このトンネルは好ましくは、チューブ44のトンネル50と流体伝達する。スケーラチップ42は、好ましくは、弧を描いたもの、あるいは曲がったものであるが、かならずしもそれが求められるわけではない。音響エネルギーを運ぶために様々なチップあるいは部材を使用することができる。また、様々なチップあるいは部材の使用は、流体がそのようなチップあるいは部材によって運ばれ得る、あるいは、様々な通路を利用してチップあるいは部材の近くに運ばれ得ることを検討する。チップあるいはその他の部材は、光、流体、あるいは両方を運ぶために、1つの孔あるいは複数の孔(例えば、放射状に並べられる)を含んでもよく、あるいは、チップは光、流体、あるいは両方を運ぶために、多孔質(例えば、微孔)構造から形成されてもよいと考えられる。図2A〜2Cは、他の形態のチップの一部の例を示す。
【0028】
図2Aの例に示すように、通路あるいはトンネルをチップの遠心端まで延ばしてもよい。他の形態では、図2Bの例に示しているように、通路あるいはトンネルは、チップの遠心端まで一部の距離だけを延ばしてもよい。図2Cの例に示しているように、さらに別の形態では、チップから離れた1つのチューブ状の部材あるいは複数のチューブ状の部材が流体を運ぶために構成されてもよい。
【0029】
当業者であれば、本発明の範囲内で、様々な音響エネルギー源を使用することが可能であると考えられる。通常、音響エネルギー源20は、アクチュエータ材料を含む。これは、音響エネルギーを運ぶために構成された、音響エネルギーの生成、および/あるいは、音響エネルギーを部材(例えば、スケーラチップ)へ送信しやすくするためのものである。また音響エネルギーソース20は、アクチュエータ材料を活性化する活性剤を含む。例えば、音響エネルギー源は、電気エネルギー源と電気的伝達する圧電材料を含む。この圧電材料は、電気エネルギー源からのエネルギーを、スケーラチップなどの部材が運ぶことのできる超音波振動に変えるものである。特に、圧電材料は、超音波周波数における電界の使用に反応して、変形あるいは振動し得る。
【0030】
概して、アクチュエータ材料は、様々な形状、寸法、あるいはその他のコンフィグレーションで構成されてよい。例えば、この材料は、プローブと流体運搬開口部の下方に広がってもよく、あるいは、プローブのその他のコンポーネントは、アクチュエータ材料の外側にあってもよい。他の形態では、アクチュエータ材料は、複数のロッドを含んでもよく、また、チューブ状のコンフィグレーションであってもなくてもよい。
【0031】
図示している実施形態においては、アクチュエータ材料60は、インサート34の近位部36に一体化されている。材料60はチューブ状のコンフィグレーションをしており、チューブ44の一部とインサート部分のファイバー46あるいは導波管の一部を実質的に取り囲む。例示されている特定のアクチュエータ材料60は、電気エネルギー源62からのエネルギーを、スケーラチップなどの部材が運ぶことのできる超音波振動に変える磁歪材料(magnetostriction material)である。
【0032】
図示している特定の実施形態では、電気エネルギー源62は、電気エネルギー源62からの電気エネルギーをアクチュエータ材料60に伝達するように構成された励起駆動回路64を含む。次に、電気エネルギーは、アクチュエータ材料60を、アクチュエータ材料60を励起し、振動させる磁界にさらし、これにより、チューブ44、スケーラチップ42、あるいは両方を音波によって、あるいは超音波によって振動させる。アクチュエータ材料を部材あるいはチップに直接的に、あるいは間接的に接続し、振動を起こさせるようにしてもよい。
【0033】
好ましくは、装置10は、流体源24、26、28、光源22、および音響エネルギー源20と信号伝達するコントローラ70を含む。コントローラ70は、通常、装置10の使用者が、流体の運搬、光の運搬、プローブ12によるアクチュエータ材料60、スケーラチップ42の部材、あるいはその両方の超音波振動の周波数と運搬とを制御することを可能にする。装置10は、また、ユーザが、超音波振動、流体、光、あるいはその組合せが運ばれる時期を決定することを可能にするアクティベーション装置あるいはスイッチ72を含むことも可能である。本発明の範囲内で、および、所望される制御の程度とタイプに応じて、装置10のプローブとその他の構成要素とを制御するために、様々な異なるコントローラとスイッチとを構築することができることを理解されたい。
【0034】
例示した特定の実施形態では、アクティベーション装置72(例えば、スイッチなど)を励起駆動回路64および/あるいは制御回路に接続することができる。また、以下のようなことを制御するためにこの装置を用いることができる。それらは、(1)音響エネルギーを生成する音響源20への電気刺激の活性化、(2)光源22からの光の活性化、(3)流体源24、26、28からプローブ12への流体(例えば、液体、感光性組成物、ガス)の流れ、あるいはこの組合せ、である。
励起駆動回路64はまた、音響源20、光源への電気刺激の振幅を制御するよう、また、プローブ12への流体の流量を制御するよう構成することもできる。流体伝達チューブ78はスイッチング装置80によってが接続され、制御される。スイッチング装置80は、チューブ78を介して、どの流体源24、26、28(例えば、液体源28、治療源26、あるいはガス源)がプローブ12に運ばれるかを決定する。また、コントローラ70によってこの装置を制御することができる。スイッチング装置80は、どのような、技術開示されたスイッチング装置であってもよくまた、任意に励起駆動回路64に組み込まれることもできる。
従って、スイッチング装置80は、単一のスイッチ、あるいは、2つあるいは全ての流体源に通じるソレノイド、複数のスイッチ、あるいは、それぞれの流体源に通じる複数のソレノイド、あるいはこれらに類するものであることができる。さらに、流体の流量の制御を少なくとも支援するスイッチング装置を有することも可能である。
【0035】
図5において、インサート34は、プローブ12のハウジング88内に設けられたコネクタ86とともに、光源22、流体源22、26、28、おおび、音響エネルギー源20に通じて接続あるいは配置されている。図示している実施形態では、インサート34の近位部36の端部は、コネクタ86に対してインサート34を位置決めするために、シール90(例えば、Oリング)に挿入されている。近位部36の端部は、ソース100とファイバ46との間の光を結合しやすくするための任意のオプティカル素子92(例えば、レンズ、先細になった部材、ホログラフィック素子、屈折率整合素子、およびこれらに類するもの)を含むように例示されている。さらに、ハウジングは、アクチュエータ材料60を電界、磁界、あるいはその両方にさらすことができる導電性材料98を含む。
【0036】
インサート34は、ハウジングから取り外し、使用の合間に洗浄し、殺菌することができることが利点である。
【0037】
ii装置の動作
使用においては、治療液源は、流体を組織部分に運ぶように構成された部材に流体を運ぶ。次に、光源は、光を組織部分に運ぶように構成された部材に、電磁放射線を伝達する。さらに、通常、音響エネルギー源は、感光性組成物の運搬、あるいは、光の運搬に時間的に近接して音響エネルギーを組織部分に運ぶように構成された部材に音響エネルギーを供給する。音響エネルギー、流体、および光が運ばれる組織領域は通常、単一の組織部分であるが、そのような部分は単に互いに隣接していてもよく、あるいは、部分的にオーバーラップしているだけであってもよい。
【0038】
図1〜5を参照すると、光は光源22(例えば、レーザー源)から第1導波管100に沿ってプローブ12の光ファイバ46あるいは導波管に伝達される。これは、光をチップ42に導くものであり、ここで、光が放出されて、組織部分に運ばれる。図示した特定の実施形態では、光はコネクタ86内の導波管を出て、レンズ92に入り、光をプローブ12のファイバ46あるいは導波管に焦点を合わせる。
【0039】
感光性組成物は、そのソース26からチューブ78とコネクタ86の通路104を通って、プローブ12のチューブのトンネル50の中を流れ、組織部分を運ぶ。図示した特定の実施形態では、流体は通路104からプローブ12の部材あるいはチップ42の中に流れる。
【0040】
他の実施形態では、チューブなどの部材は治療液源に接続されてもよく、また、そのような部材は、光および/あるいは音響エネルギーを運ぶために使用される部材から離間されてもよいと考えられる。そのような実施形態では、治療液を組織に塗布してもよく、次いで、導波管および音波スケーリングチップの両方を含むプローブを用いて、その組織に光と音響エネルギーとを供給することも可能である。
【0041】
例示の実施形態では、電気エネルギーは通常、バス110(例えば、導線あるいはその他の導電体)を介して導電材料98に供給され、次に、磁界を生成してアクチュエータ材料60を励起させる。次に、アクチュエータ材料は、超音波周波数において振動し、その後、超音波周波数においてスケーラチップ42を振動させる。
【0042】
装置10は、流体を組織の中に流し、その流体を組織部分に運ぶことができる冷却および/あるいは洗浄液(例えば、カップリング流体、水、あるいは生理食塩水)のソース28を含んでもよいと考えられる。図示した特定の実施形態では、流体はコネクタのチューブ78および通路112を通って運ばれ、導電材料98とアクチュエータ材料60との間のプローブ12内に画定される通路114に運ばれる。次に流体はスケーラチップ42に運ばれ、組織部分に放出される。そのような冷却および/あるいは洗浄液の存在下で、音響エネルギーが組織に供給されることが特に望ましいが、それが必ずしも求められるわけではない。
【0043】
冷却および/あるいは洗浄液、感光性組成物あるいはその両方は、治療において利点を供給することができる1つ以上の添加物を含むことがさらに考えられる。例えば、冷却および/あるいは洗浄液、感光性組成物、あるいはその両方は、プローブを使用して音光力学療法を行う場合に、音響キャビテーション、音ルミネセンス、あるいはその両方を高めるためにシェルにトラップされた気泡(例えば、微小気泡)を含み得る。これらの気泡は、炭化水素、フルオロカーボン(fluorcarbons)、ペルフルオロ化合物、六フッ化硫黄の使用などの、技術開示された手段を使用することで生成することができる。ガス(例えば、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノンおよびこれらに類するもの)を含む気泡を追加することで、音ルミネセンスの間により高い強度における光を放出することが報告されている。気泡の寸法は、使用する音響エネルギーの周波数において、固有共振周波数となるように最適化される。気泡の周波数共鳴(fr)は、以下の方程式によって近似的に関係することが知られている。
式:fr=(3gPo/r)1/2/(2πa)
g:気泡に対する特定の熱の割合、
Po:環境静水圧(ambient hydrostatic pressure)、
r:周囲の媒体の密度、および
a:メータにおける気泡のラジウム
低音響強度(例えば、KHz値域での振動)で音響キャビテーションおよび音ルミネセンスを生成することが一般的に望まれている。その理由は、高い音響エネルギーと、望ましからざる組織効果による問題が潜在的に存在するからである。ガス(例えば、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノンおよびこれらに類するもの)は浄化のため、あるいはその他の目的のために、ガス源24からいずれのトンネル、開口部、通路などに供給されてもよい。
【0044】
提案したように、本発明のシステム装置10は、ほとんどの有機体の様々な組織に音光力学療法を行うために利用することができるが、本装置は特に歯の音光力学療法を実行するのに適している。
【0045】
iii他の実施形態
既に提案しているように、本発明において、様々なプロトコルに従い、本発明の装置の部材およびその他の構成要素が配置され、一体化され、それぞれ接続され得る。このように、図6〜図9Aは本発明の装置とともに使用するのに適したプローブの別の実施形態を示す。当業者であれば分かるように、既に説明した実施形態と比べると、部材と構成要素とは構造において、および用途において類似している。このように、通常は異なる点だけが議論されるが、以下の実施形態には、既に説明した類似あるいは同一の構成要素および用途も適用する。
【0046】
図6〜8Aにおいて、ベースあるいは近位部122と、このベース部122に取り付けられたアタッチメント124を有するプローブ120が例示されている。図8および8Aを参照すると、アタッチメント124はハウジング部130、超音波エネルギーを運ぶための、スケーリングチップ132として示されている部材、および、光を運ぶための光ファイバ136として示されている部材、を含む。アタッチメント124は、ハウジング部130内に設けられ、実質的にハウジング部130と同一の広がりを持つアクチュエータ材料138を有する。
【0047】
プローブ120は、好ましくは、スケーリングチップ132の中に感光性組成物を運ぶためのチューブ44などの部材を含む。光ファイバ136は、ハウジング部130内に設けられるとともに、ハウジング部130の壁146に沿って延びている。このように、ファイバ136はアクチュエータ材料138と実質的に同一の広がりを有する。図示している実施形態では、ファイバ136は、ハウジング部130から外側に延びており、また、スケーリングチップ132に向かって光を放出するよう曲げられている。ファイバ136のセクション134の少なくとも端部152付近に保護ケース150を与えることが望ましい。アタッチメント124は、アクチュエータ材料138をスケーラチップ132に接続する連結部を保護するためのカバーリング158を含むようにも図示されている。
【0048】
図6、7、および7Aを参照すると、プローブ120のベース部分122は、ハウジング部160と、そこから延びる導電材料162(例えば、磁歪駆動コイル)を含む。導電材料162は、一般的に、材料162内の空洞部分を画定するよう、円形である。ハウジング部160は、光ファイバとして示している導波管のセクション170を含む。
【0049】
アタッチメント部124をベース部分122に取り付ける際、光が部材152の端部あるいは完成した導波管180へ、各セクションの長方向に送られるように、アタッチメント部124の導波管のセクション134は、ベース部分122の導波管のセクション170と位置あわせされる。また、取り付けた後に、アクチュエータ材料138が、既に説明したように、音波によって振動することができるよう、アクチュエータ材料138は導電材料162の空洞部分166に配置される。
【0050】
その他の実施形態において、また、図9および9Aを参照すると、図6A〜8Bのプローブ120に類似したプローブ200が例示されている。このプローブ200は、2つの導波管202、204を有する点でプローブ120とは異なる。図示しているように、導波管202、204はプローブ200の反対側にあり、また、端部210、212を有する。これらの端部は通常、反対方向に光を放出するが、双方ともプローブ200のスケーリングチップ216の方を向いている。少なくとも1つの実施形態において、導波管202、204のそれぞれを、図6〜8Aの導波管180に類似して構成し、かつ、付加的導波管あるいはファイバを類似の方法で追加することができることを理解されたい。
【0051】
さらに、どのような流体も、プローブを通じてではなく、別々に運ばれてもよいと考えられる。例えば、感光性組成物、冷却あるいは洗浄液、あるいは空気あるいはその他のガスを運ぶために、注射器、チューブ、およびポンプアセンブリを利用してもよく、その後、流体を運んだ場所でプローブを使用してもよい。
【0052】
別段の定めをしない限り、本文に示した様々な構造の寸法および形状は、本発明を制限することを意図するものではなく、また、その他の寸法あるいは形状が可能である。単一の一体化された構造によって、複数の構造コンポーネントが提供され得る。他の形態では、単一の一体化された構造を別の複数のコンポーネントに分けてもよい。さらに、本発明の特徴を例示された1つの実施形態のコンテキストだけにおいて説明してもよいが、そのような特徴を、いずれの与えられた用途におけるその他の実施形態の1つ以上のその他の特徴に組み合わせてもよい。本文におけるユニークな構造とその動作とは、本発明による方法の構成要素となることが、上記の説明から分かるであろう。
【0053】
III.音光力学療法
図10を参照すると、本発明は口腔の細菌を殺菌する方法を提供しており、該方法は、処置部位(ローカス)に感光性組成物を与えるステップ(102)、処置部位に流体(感光性組成物ではないもの)と音響エネルギーとを与えるステップ(104)、および、処置部位において殺菌を破壊するよう、感光性組成物によって吸収された波長において、処置部位を光で照射するステップ(106)、を含む。これらのステップ(102、104、106)のシーケンスは、照射ステップ106が感光性を与えるステップの間あるいは後に発生する間は、変化し得る。例えば、本発明の1つの実施形態では、音響エネルギーステップは、その他の2つのステップ(102、106)後に発生する。その他の実施形態では、3つの全ステップ(102、104、106)は、同時に、あるいは略同時に発生する。さらに、これらの3つのステップの1つ以上を、各処置部位の処置のために繰り返すことができる。
【0054】
照射ステップ106の間に与えられる光は、単一の発光装置あるいは複数の発光装置によって供給され得る。レーザ、発光ダイオード(LED)、アークランプ、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、あるいはこれらに類するものなどの、いずれの適切な、技術開示された光放出装置を、感光性組成物によって吸収され得る波長を供給するために利用してもよい。レーザは、ダイオードレーザ、ガスレーザ、ファイバレーザ、あるいは、ダイオード励起された固体状のレーザなどの、いずれの技術開示されたレーザを含む。LEDは、半導体LED、有機LED、あるいはその組合せなどの、いずれの技術開示されたLEDを含む。蛍光源は、蛍光チューブ、LED励起された蛍光デバイス、冷陰極蛍光パネルおよびこれらに類するものなどの、技術開示された蛍光源を含む。光増幅器は、増幅した量の入力光を生成するデバイス、あるいは、入射光の波長がシフトされるデバイス、あるいは入射光の調波がシフトされるデバイスを含む。
【0055】
照射ステップ106の間に与えられた光は、感光性組成物によって吸収され得る波長を供給する。そのような波長としては、紫外線(UV)可視光線、赤外線(近赤外線、中赤外線、および、遠赤外線)などの継続的電磁スペクトルから選択される波長が挙げられる。概して、波長は、特に、使用された感光性組成物および光度によって変化し得るが、好ましくは約160nm〜1600nm、より好ましくは、400nm〜900nm、最も好ましくは、約500nm〜850nmの間の値である。
【0056】
図11を参照すると、本発明は口腔の細菌を殺菌する方法200を提供しており、該方法は、処置部位(ローカス)に感光性組成物を与えるステップ(202)、処置部位における細菌を破壊させるよう、感光性組成物によって吸収された波長において音ルミネセンスを供給するために、処置部位に十分な音響エネルギーを与えるステップ、を含む(204)。
【0057】
方法100および200に関して、1つの処置部位に対して、ステップ(102、106、202、204)の各々に要する時間は、さらされている条件(例えば、細菌、感光性組成物、歯石および歯垢の量、音響エネルギー源、光源など)によって変わり得る。例えば、本発明の1つの実施形態では、これらのステップの各々を完了するのに要する時間は、好ましくは約1秒〜1時間であり、より好ましくは、約1秒〜10分であり、最も好ましくは、約1秒〜5分である。感光性組成物をしばらくの間、処置部位に触れたままにしておき、その処置部位の近く、あるいはその処置部位において検出された細菌が、その一部の感光性組成物を取りこみ、その感光性組成物感受性を有するようにさせることが好ましい。適切な持続時間は、使用した特定の感光性組成物、破壊させるべき目標とする細胞、感光性組成物に付加され得るその他のいずれの化合物に要求される反応時間などの様々な要因によって変わり得るが、適切な持続時間は、約1秒〜約10分であり、好ましくは約5秒〜約5分、より好ましくは、約10秒〜約2分、最も好ましくは約30分である。
【0058】
本発明の感光性組成物は、音光力学療法の間に、1つの光増感剤を使用することに限定されない。所望の用途によって、そのような療法に間に、複数のおよび/あるいは異なる光増感剤を同時に使用してもよい。好ましくは、感光性組成物は、流体形状であり、この感光性組成物に含まれる光増感剤の量あるいは濃度は、所望の用途、使用される特定の光増感剤、および、破壊させるべき目標とする細胞によって変わり得る。本発明の1つの実施形態では、光増感剤の濃度は、好ましくは、約0.00001%〜約50%w/v、より好ましくは、約0.00001%〜約25%w/v、さらに好ましくは、約0.001%〜約10%w/v、および、最も好ましくは、約0.01%〜約1%w/vである。さらに、感光性組成物は、溶液、抗酸化物質、防腐剤、漂白剤、抗生物質、およびこれらに類するものなどの強壮を調整するための、薬学的に融和性のキャリア(pharmaceutically compatible carrier)(例えば、溶剤、ゲル化材、あるいはこれらに類するもの)、緩衝材、塩などの、付加的成分を含んでもよい。
【0059】
従来の歯科スケーラなどの、いずれの適切な技術開示された装置を使用して、いずれの適切な技術開示されたレベルで音響エネルギーを供給することができる。例示的な歯科シーラ(dental sealer)のリストに関しては、1998年6月のCRA Newsletter(Vol.20、Issue6)の、Introduction to Automated Scaler Comparison(Comparison of 16 Ultrasonic and 7 Sonic Sealers)を参照されたい。音響装置のチップ振動は、約3KHz〜約5MHzの値域の間、より好ましくは、約20KHz〜約3MHzの値域の間、そして最も好ましくは、約25KHz〜約1MHzの値域の間であることが好ましい。
【0060】
本発明の方法(100、200)は、多くの目的に有用である。そのような目的としては、(a)慢性歯周炎を処置するために、歯周ポケットにおいて、病気に関連する細菌を破壊すること、(b)炎症性歯周病を治療するために、歯と歯肉との間の領域において、病気に関連する細菌を破壊すること、(c)歯の髄室において、病気に関連する細菌を破壊すること、(d)歯周靭帯および周囲の骨を含む歯の根尖周辺領域に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること。(e)下に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、(f)口腔の軟細胞に検出された病気に関連する細菌を破壊すること、(g)充填前に削り取られた齲蝕病変を消毒すること、(h)充填前に削り取られた齲蝕病変を殺菌すること、(i)虫歯を治療するために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、(j)虫歯を防ぐために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、(k)歯科外科手術において歯の組織を消毒すること、(l)歯科外科手術において歯肉組織を消毒すること、(m)しか外科手術において歯の組織を殺菌すること、(n)歯科外科手術において歯肉組織を殺菌すること、(o)エイズ患者の口腔カンジダ症を治療すること、(p)免疫障害の患者の口腔カンジダ症を治療すること、および、(q)義歯性口内炎患者の口腔カンジダ症を治療すること、が挙げられるが、該方法はこのような目的に限定されるものではない。
【0061】
上述した本発明の方法および装置(100、200)は、体のその他の部分の創傷の、病気に関連する細菌を殺し、また、そのような創傷の消毒にも使用することができる。実際、本発明は創傷治癒の促進が可能であると考えられている。そのような創傷の処置に関しては、上述した装置および方法は、口腔内の”処置部位”ではなく、本方法は創傷を伴うという点を除いては同じである。
【0062】
本発明の好ましい実施形態が開示されている。しかし、当業者であれば、本発明の教示の範囲内である一定の変更が可能であることが分かるであろう。よって、以下の請求の範囲は、本発明の正しい範囲と内容を決定するために検討される必要がある。
【0063】
IV.試験例
本発明は以下の試験によって示される。本例は本発明の範囲をどのような方法においても制限することを意図しない。
1×10CFU濃度のE.coli ATCC 25922を〜0.5mlウェル(TiterTek96ウェルプレート)に、50ug/mlメチレンブルー(CASナンバー61−73−4)とともに滅菌水に入れた。波長670nmのレーザ光を、200/240ミクロンの劈開切断された光ファイバ(cleaved optical fiber)を通じて照射し、レーザ光がこのファイバから放出されてウェル表面に対してウェル表面から測定された距離をもって射出されるようにした。各測定における劈開切断されたファイバの出力光を、光学電力計により測定した。ウェル内の流体表面におけるメインビームのスポットサイズは、スケールにおける最も明るい領域の直系を測定することで推定した。更に、測定された強度をスポットの領域で除算することで、スポットの強度を測定した。パーケルターボセンサ超音波シーラ [Parkell Turbo Sensor Ultrasound Sealer](25-30 KHz)をキャビトロン30KHz周期シーラインサート[Cavitron 30 KHz periodontal sealer insert (FSI -SLI)]とともに用いて、音響エネルギーを測定した。ユニットのパワー制御には、低、中、高という三種の設定がある。これらの設定は、ピークからピークの変位加振が空気中でそれぞれ34、74及び86マイクロメータの振幅となっている。これに関しては、1998年CRAニューズレター第6巻第20号での自動シーラ比較[Introduction to Automated Sealer Comparison (Comparison of 16 Ultrasonic and 7 Sonic Sealers), June 1998 CRA Newsletter (Vol. 20, Issue 6)]を参照されたい。
【0064】
これらのピークからピークの変位における直径1mmで30kHzの振動弦からの円筒波は、空気中において1cmのワイヤ長あたりそれぞれ0.14,0.48及び0.85ワットの出力パワーを生成する(PM morse & KU Ingard's Theoretical Acoustics [1968, McGraw-Hill, pp 358])こととなる。水中において振幅が等しくなった場合、その出力は、それぞれ5.1、18.5及び32.7W/cmとなる。これらの測定された振幅では、実際には先端部の2mmのみが振動していることから、空気中においては、これらの変位によって0.028、0.098、0.17ワットがそれぞれ出力されると推定される。水中において、推定された1.0、3.7及び6.54ワットがこれら変位における先端部の2mmから出力されると推定される。低、中及び高の各セッティングにおいて水中で生成された相対的な振幅は、水中の振動先端部から3mmの位置に保持された、ラテックスメンブレンで覆われた小型マイクロフォン(Radio Shack Model No. 33-3028)により、測定された。各セッティングにおいて、3.3、5.7及び10ボルトにおけるRMS電圧振幅を測定した。これら振幅の二乗が、放射された出力と関連付けられる。
【0065】
各読み取られた電圧の二乗の値は、11、32.8及び100.8Vとなる。これらマイクロフォンの測定の二乗のプロットを算出された出力と比較した結果(ピークからピークのチップ振動測定値に基づく)を以下に示す。この結果から、変位が与えられた場合に水中で予測される出力とマイクロフォン測定から推定される出力値との間に、ほぼ比例関係があることが示される。この結果は、この試験において用いられた装置が、文献に報告されたものと比例関係で動作していることを示す。
【表1】

各試験は、バクテリアと希釈された増感剤溶液との縣濁液が入れられた新しいウェルについても行われた。超音波チップはチップをSporicidin(登録商標)溶液にいれて、製造者の推奨通りに、各試験において30秒間穏やかに撹拌することで殺菌された。各条件において4回の試験がなされた。超音波チップは、各試験において、溶液内に3mm挿入された位置とされた。音響エネルギーを与えないで光に曝した試験と、音響エネルギーを与えつつ光に曝した試験とが行われた。
曝された時間は、各試験において30秒として標準化した。Parkell Turbo Sensor Ultrasound Scalerの設定は、中(medium)とした。光エネルギーと音響エネルギーとを用いた結果を以下に示す。
[表2]

│光強度 │光強度 │光強度 │光強度 │butter
│14 │282 │472 │3184 │field's
│mw/cm2 │mw/cm2 │mw/cm2 │mw/cm2 │バッファ
試験│音響エネ │音響エネ│音響エネ│音響エネ│制御
条件│ルギーあ │ルギーあ│ルギーあ│ルギーあ│
│り │り │り │り │
│50μg/ml │50μg/ml│50μg/ml│50μg/ml│
│メチレン │メチレン│メチレン│メチレン│
│ブルー │ブルー │ブルー │ブルー │
│pH 7.31 │pH 7.31 │pH 7.31 │pH 7.31 │

反復│5.10E+05 │1.00E+05│6.30E+03│5.80E+03│2.40E+06
カウ│1.20E+06 │3.70E+05│4.00E+04│1.00E+01│2.10E+06
ント│1.20E+06 │7.80E+05│2.40E+04│<100** │2.30E+06
*CFU│7.50E+05 │9.80E+05│6.80E+03│2.00E+02│2.30E+06
/ml │9.2E+05 │5.6E+05 │1.9E+04 │2.0E+03 │2.3E+06
なお、反復カウントは、デュプリケイトプレートにおける平均を表す。
*CFU/ml は、1mlあたりのコロニー形成ユニット(colony forming units per ml)を示す。
** サンプル体積が小さいため、正確なカウントは測定できなかった。
【0066】
この解析において、反復試験は対象外となっている。
音響エネルギーを用いずに光エネルギーのみを用いた結果を以下に示す。
[表3]
│光強度 │光強度 │光強度 │光強度
│14mw/cm2 │282mw/cm2 │472mw/cm2 │3184mw/cm2
│音響エネル│音響エネル│音響エネル│音響エネル
試験│ギーなし │ギーなし │ギーなし │ギーなし
条件│50μg/mlメ│50μg/mlメ│50μg/mlメ│50μg/mlメ
│チレンブル│チレンブル│チレンブル│チレンブル
│ー │ー │ー │ー
│pH 7.31 │pH 7.31 │pH 7.31 │pH 7.31

反復│1.20E+06 │8.60E+05 │1.00E+06 │1.40E+05
カウ│9.80E+05 │6.00E+05 │8.40E+05 │1.00E+05
ント│1.10E+06 │1.10E+06 │1.20E+06 │9.70E+04
│7.70E+05 │1.00E+06 │1.00E+06 │4.40E+04
なお、反復カウントは、デュプリケイトプレートにおける平均を表す。
【0067】
音響エネルギーを用いた場合と用いない場合との比較結果を以下に示す。
[表4]
試験条件│光強度 │光強度 │光強度 │光強度
│14mw/cm2 │282mw/cm2│472mw/cm2│3184mw/cm2
│50μg/ml │50μg/ml │50μg/ml │50μg/ml
│メチレン │メチレン │メチレン │メチレン
│ブルー │ブルー │ブルー │ブルー
│pH 7.31 │pH 7.31 │pH 7.31 │pH 7.31

音響エネ│0.92 │0.63 │0.019 │0.02
ルギー │ │ │ │
on/off │ │ │ │
の比 │ │ │ │
【0068】
以上に示されるように、超音波を用いない場合、光強度14mw/cm2、282mw/cm2、及び478mw/cm2において、実質的にバクテリアの殺菌は見られなかった。しかしながら、これらの光強度において超音波を用いることで、生存バクテリアは、超音波を用いない場合に比較してそれぞれ0.92、0.63、及び0.19にまで減少した。更に、光強度が3,184mw/cm2においての場合、光及び増感剤のみでほとんどのバクテリアがかなりの量死滅した。これにもかかわらず、これらの光強度において超音波を用いた場合、より多くのバクテリアが死滅した(超音波を用いない場合に比較して、生存したバクテリアは0.02よりも少なかった。この結果から、バクテリアの殺菌に、超音波、光及び増感剤による相乗効果が得られることが示される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の態様に従い音光力学療法を行うための例示的装置の説明図。
【図2】図1の装置の一部として使用するのに適した、例示的なプローブの一部の側面図。
【図2A】本発明の装置とともに使用するのに適した例示的チップの説明図。
【図2B】本発明の装置とともに使用するのに適した例示的チップの説明図。
【図2C】本発明の装置とともに使用するのに適した例示的チップの説明図。
【図3】本発明の装置のプローブの一部としての使用に適した例示的インサートの一部の説明図。
【図4】図3の例示的インサートの別の部分の説明図。
【図5】本発明の装置の残りの部分への、例示的プローブの例示的接続を示した説明図。
【図6】本発明の装置においての使用に適したその他の例示的プローブの説明図。
【図6A】図6の6A−6A線の断面図。
【図7】図6の例示的プローブの例示的部分の説明図。
【図7A】図7の例示的プローブの例示的部分の断面図。
【図8】図6の例示的プローブの別の例示的部分の説明図。
【図8A】図8の例示的部分の8A−8A線の断面図。
【図8B】図8の例示的プローブの例示的部分の断面図。
【図9】本発明の装置においての使用に適した、別の例示的な他のプローブの説明図。
【図9A】図9のプローブの端部の説明図。
【図10】口腔の細菌を殺菌するための本発明の方法のワークフロー図。
【図11】口腔の細菌を殺菌するための本発明の別の方法のワークフロー図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔の細菌を殺菌する方法であって、
処置部位に感光性組成物を与えるステップ、
前記処置部位に流体および音響エネルギーを与えるステップ、および、
前記処置部位における細菌を破壊するために、前記感光性組成物によって吸収された波長において光源とともに前記処置部位を照射するステップ、を含む方法。
【請求項2】
前記感光性組成物は、アリアナスチールブルー、トルイジンブルーO、クリスタルバイオレット、メチレンブルー、メチレンブルー誘導体、アズールブルー、アズールB塩化物、アズール2、アズールA塩化物、アズールBテトラフルオロ硼酸塩、チオニン、アズールAエオシン塩、アズールBエオシン塩、アズールミックスsicc、アズールIIエオシン塩、ヘマトポルフィリンHCl、ヘマトポルフィリンエステル、アルミニウムジスルフォン酸塩フタロシアニン、ポルフィリン、ピロール、テトラピオール化合物、拡張ピロール大環状分子、Photofrin(登録商標)およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの光増感剤から構成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光増感剤の濃度は、約0.0001%〜約10% w/vである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体は、水、生理食塩水、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記流体はさらに、泡を生成する物質を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記物質は、炭化水素、フルオロカーボン、六フッ化硫黄、過フルオロ化合物、空気、窒素、ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、その他の希ガス、およびその組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記音響エネルギーは歯科スケーラによって生成される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記歯科スケーラのチップ振動は、約20KHz〜約50KHzである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光源は、レーザ、発光ダイオード、アークランプ、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、およびその組合せからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記処置部位は前記照射ステップの間に、複数の光源で照射された、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記処置部位は前記照射ステップの間に、前記感光性組成物によって吸収された複数の波長で照射された、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記感光性組成物は、約1秒〜約10分の間、前記処置部位と接触する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記波長は、約400nm〜約850nmの間である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記感光性組成物はさらに、緩衝剤、塩、抗酸化物質、防腐剤、漂白剤、抗生物質、ゲル化剤、その他の薬学的に融和性のキャリア、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの化合物から構成される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記感光性を与えるステップ、前記流体および音響エネルギーを与えるステップ、および、前記照射ステップはすべて、同時にあるいは略同時に発生する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
(a)慢性歯周炎を治療するために、歯周ポケットにおける病気に関連する細菌を破壊すること、
(b)炎症性歯周病を治療するために、歯と歯肉との間の領域における、病気に関連する細菌を破壊すること、
(c)歯の髄室において、病気に関連する細菌を破壊すること、
(d)歯周靭帯および周囲の骨を含む歯の根尖周辺領域に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、
(e)舌に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、
(f)口腔の軟細胞に検出された病気に関連する細菌を破壊すること、
(g)充填前に削り取られた齲蝕病変を消毒すること、
(h)充填前に削り取られた齲蝕病変を殺菌すること、
(i)虫歯を治療するために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、
(j)虫歯を防ぐために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、
(k)歯科外科手術において歯の組織を消毒すること、
(l)歯科外科手術において歯肉組織を消毒すること、
(m)歯科外科手術において歯の組織を殺菌すること、
(n)歯科外科手術において歯肉組織を殺菌すること、
(o)エイズ患者の口腔カンジダ症を治療すること、
(p)免疫障害患者の口腔カンジダ症を治療すること、および、
(q)義歯性口内炎患者の口腔カンジダ症を治療すること、からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
口腔の細菌を殺菌する方法であって、
処置部位に感光性組成物を与えるステップ、
前記処置部位に音響エネルギーを与えるステップ、
前記処置部位における細菌を破壊するために、前記感光性組成物によって吸収された波長において、発光ダイオード、アークランプ、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、およびその組合せからなる群より選択された光源とともに前記処置部位を照射するステップ、を含む、方法。
【請求項18】
前記音響エネルギーは、歯科スケーラによって生成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処置部位は、前記照射ステップの間に前記感光性組成物によって吸収された複数の波長とともに照射される、請求項17あるいは18に記載の方法。
【請求項20】
前記波長は約400nm〜約800nmである、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記感光性組成物はさらに、緩衝剤、塩、抗酸化剤、防腐剤、漂白剤、抗生物質、ゲル化剤、その他の薬学的に融和性のキャリア、およびその組合せからなる群より選択された少なくとも1つの化合物から構成される、請求項17〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、
(a)慢性歯周炎を治療するために、歯周ポケットにおける病気に関連する細菌を破壊すること、
(b)炎症性歯周病を治療するために、歯と歯肉との間の領域における、病気に関連する細菌を破壊すること、
(c)歯の髄室において、病気に関連する細菌を破壊すること、
(d)歯周靭帯および周囲の骨を含む歯の根尖周辺領域に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、
(e)舌に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、
(f)口腔の軟細胞に検出された病気に関連する細菌を破壊すること、
(g)充填前に削り取られた齲蝕病変を消毒すること、
(h)充填前に削り取られた齲蝕病変を殺菌すること、
(i)虫歯を治療するために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、
(j)虫歯を防ぐために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、
(k)歯科外科手術において歯の組織を消毒すること、
(l)歯科外科手術において歯肉組織を消毒すること、
(m)歯科外科手術において歯の組織を殺菌すること、
(n)歯科外科手術において歯肉組織を殺菌すること、
(o)エイズ患者の口腔カンジダ症を治療すること、
(p)免疫障害患者の口腔カンジダ症を治療すること、および、
(q)義歯性口内炎患者の口腔カンジダ症を治療すること、からなる群から選択される、請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
口腔の細菌を殺菌する方法であって、
処置部位に感光性組成物を与えるステップ、および、
前記処置部位において細菌を破壊するために、音響キャビテーションを供給するよう、前記処置部位に十分な音響エネルギーを供給するステップ、を含む方法。
【請求項24】
前記感光性組成物は、アリアナスチールブルー、トルイジンブルーO、クリスタルバイオレット、メチレンブルー、メチレンブルー誘導体、アズールブルー、 アズールB塩化物、アズール2、アズールA塩化物、アズールBテトラフルオロ硼酸塩、チオニン、アズールAエオシン塩、アズールBエオシン塩、アズールミックス、アズールIIエオシン塩、ヘマトポルフィリンHCl、ヘマトポルフィリンエステル、アルミニウムジスルフォン酸塩フタロシアニン、ポルフィリン、ピロール、テトラピオール化合物、拡張ピロール大環状分子、Photofrin(登録商標)およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの光増感剤から構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記音響エネルギーは歯科スケーラによって生成される、請求項23あるいは24に記載の方法。
【請求項26】
前記歯科スケーラのチップ振動は、約20KHz〜約50KHzである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記波長は約400nm〜約850nmの間である、請求項23〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記感光性組成物はさらに、緩衝剤、塩、抗酸化剤、防腐剤、気泡生成剤、漂白剤、抗生物質、ゲル化剤、その他の薬学的に融和性のキャリア、およびその組合せからなる群より選択された少なくとも1つの化合物から構成される、請求項23〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記音響エネルギーを与えるステップの前に、前記処置部位に流体を与えるステップをさらに含む、請求項23〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記流体は、水、生理食塩水、およびその組合せからなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記流体はさらに、気泡を生成する物質を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記物質は、炭化水素、フッ化炭化水素、六フッ化硫黄、過フルオロ化合物、空気、窒素、ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、その他の希ガス、およびその組合せからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、
(a)慢性歯周炎を治療するために、歯周ポケットにおける病気に関連する細菌を破壊すること、
(b)炎症性歯周病を治療するために、歯と歯肉との間の領域における、病気に関連する細菌を破壊すること、
(c)歯の髄室において、病気に関連する細菌を破壊すること、
(d)歯周靭帯および周囲の骨を含む歯の根尖周辺領域に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、
(e)舌に検出された、病気に関連する細菌を破壊すること、
(f)口腔の軟細胞に検出された病気に関連する細菌を破壊すること、
(g)充填前に削り取られた齲蝕病変を消毒すること、
(h)充填前に削り取られた齲蝕病変を殺菌すること、
(i)虫歯を治療するために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、
(j)虫歯を防ぐために、歯の表面の齲蝕原性細菌を破壊すること、
(k)歯科外科手術において歯の組織を消毒すること、
(l)歯科外科手術において歯肉組織を消毒すること、
(m)歯科外科手術において歯の組織を殺菌すること、
(n)歯科外科手術において歯肉組織を殺菌すること、
(o)エイズ患者の口腔カンジダ症を治療すること、
(p)免疫障害患者の口腔カンジダ症を治療すること、
および、(q)義歯性口内炎患者の口腔カンジダ症を治療すること、からなる群から選択される、請求項23〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
創傷治癒を促進するための方法であって、
感光性組成物を創傷に塗布するステップ、
前記創傷に流体および音響エネルギーを与えるステップ、
および、前記創傷の細菌を破壊するよう、前記感光性組成物によって吸収された波長における光源とともに前記創傷を照射するステップ、を含む方法。
【請求項35】
前記感光性組成物は、アリアナスチールブルー、トルイジンブルーO、クリスタルバイオレット、メチレンブルー、メチレンブルー誘導体、、アズールB塩化物、アズール2、アズールA塩化物、アズールBテトラフルオロ硼酸塩、チオニン、アズールAエオシン塩、アズールBエオシン塩、アズールミックス、アズールIIエオシン塩、ヘマトポルフィリンHCl、ヘマトポルフィリンエステル、アルミニウムジスルフォン酸塩フタロシアニン、ポルフィリン、ピロール、テトラピオール化合物、拡張ピロール大環状分子、Photofrin(登録)およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの光増感剤から構成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの光増感剤の濃度は、約0.0001%〜約10%w/vである、請求項34あるいは35に記載の方法。
【請求項37】
前記流体は、水、生理食塩水、およびその組合せから選択される、請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記流体はさらに、気泡を生成する物質を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記光源は、レーザ、発光ダイオード、アークランプ、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、およびその組合せからなる群から選択される、請求項34〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記波長は、約400nm〜約850nmの間である、請求項34〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記感光性組成物はさらに、緩衝剤、塩、抗酸化剤、防腐剤、漂白剤、抗生物質、ゲル化剤、その他の薬学的に融和性のキャリア、およびその組合せからなる群より選択された少なくとも1つの化合物から構成される、請求項34〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記感光性を与えるステップ、前記流体および音響エネルギーを与えるステップ、および、前記照射ステップは全て同時に、あるいは略同時に発生する、請求項34〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
創傷治癒を促進するための方法であって、
感光性組成物を創傷に塗布するステップ、
前記創傷の細菌を破壊するよう、音響キャビテーションを与えるために、前記創傷に十分な音響エネルギーを与えるステップ、を含む方法。
【請求項44】
前記感光性組成物は、アリアナスチールブルー、トルイジンブルーO、クリスタルバイオレット、メチレンブルー、メチレンブルー誘導体、アズールブルー、アズールB塩化物、アズール2、アズールA塩化物、アズールBテトラフルオロ硼酸塩、チオニン、アズールAエオシン塩、アズールBエオシン塩、アズールミックス、アズールIIエオシン塩、ヘマトポルフィリンHCl、ヘマトポルフィリンエステル、アルミニウムジスルフォン酸塩フタロシアニン、ポルフィリン、ピロール、テトラピオール化合物、拡張ピロール大環状分子、Photofrin(登録)およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの光増感剤から構成される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記音響エネルギーは、歯科スケーラによって生成される、請求項43あるいは44に記載の方法。
【請求項46】
前記歯科スケーラのチップ振動は、約20KHz〜約50KHzである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記波長は、約400nm〜約850nmの間である、請求項43〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記感光性組成物はさらに、緩衝剤、塩、抗酸化剤、防腐剤、気泡生成剤、漂白剤、抗生物質、ゲル化剤、その他の薬学的に融和性のキャリア、およびその組合せからなる群より選択された少なくとも1つの化合物から構成される、請求項43〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記音響エネルギーを与えるステップの前に、流体を前記処置部位に与えるステップをさらに含む、請求項43〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記流体は、水、生理食塩水、およびその組合せからなる群より選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記流体はさらに、気泡を生成する物質を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記物質は、炭化水素、フッ化炭化水素、六フッ化硫黄、過フルオロ化合物、空気、窒素、ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、その他の希ガス、およびその組合せからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
音光力学療法を行うための装置であって、
光源、
音響エネルギー源、
冷却あるいは洗浄液源、および、
光、音響エネルギー、および冷却あるいは洗浄液を有機体の組織にそれぞれ供給するために、前記光源、前記音響エネルギー源、および前記冷却あるいは洗浄液源に通じる1つ以上の部材を含み、
前記1つ以上の部材は、単一部材あるいは一体化された複数の部材を含む、装置。
【請求項54】
前記有機体の組織に感光性組成物を与えるための1つ以上の部材に通じる感光性組成物源をさらに含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記音響エネルギー源は、超音波振動を運ぶように構成されている、請求項53あるいは54に記載の装置。
【請求項56】
前記1つ以上の部材はプローブに一体化される、請求項53〜55のいずれかに記載の装置。
【請求項57】
前記1つ以上の部材は、前記光源に通じる導波管を含む、請求項53〜56のいずれかに記載の装置。
【請求項58】
前記導波管は光ファイバを含む、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記1つ以上の部材は、前記音響エネルギー源に通じるスケーリングチップを含む、請求項53〜58のいずれかに記載の装置。
【請求項60】
前記1つ以上の部材は、前記感光性組成物源に流体伝達するチューブを含む、請求項53〜59のいずれかに記載の装置。
【請求項61】
前記1つ以上の部材に通じる加圧ガス源をさらに含む、請求項53〜60のいずれかに記載の装置。
【請求項62】
前記音響エネルギー源は、磁歪材料あるいは圧電材料からせんタクされるアクチュエータを含む、請求項53〜61のいずれかに記載の装置。
【請求項63】
音光力学療法を行うための装置であって、
光源、
音響エネルギー源、
感光性組成物源、および、
光、音響エネルギー、および冷却あるいは洗浄液を有機体の組織にそれぞれ供給するために、前記光源、前記音響エネルギー源、および前記冷却あるいは洗浄液源に通じる1つ以上の部材を含み、
前記1つ以上の部材は、一体化された複数の部材を含むものであって、
かつ、前記1つ以上の部材は、前記感光性組成物と流体伝達するチューブ、および、前記光源に通じる導波管を含み、前記導波管は少なくとも部分的に前記チューブ内に設けられる、装置。
【請求項64】
前記光源はレーザー源である、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
冷却あるいは洗浄液源が更に接続されており、前記1つ以上の部材は、前記冷却あるいは洗浄液源に流体伝達する、請求項63あるいは請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記音響エネルギー源は、超音波エネルギー源である、請求項63〜65のいずれかに記載の装置。
【請求項67】
前記少なくとも1つ以上の部材は、取り外し可能にプローブに一体化することが可能なインサートの一部である、請求項63〜66のいずれかに記載の装置。
【請求項68】
前記1つ以上の部材に通じる加圧ガス源をさらに含む、請求項63〜67のいずれかに記載の装置。
【請求項69】
前記1つ以上の部材は、前記光源からの光を導く導波管を含む、請求項63〜68のいずれかに記載の装置。
【請求項70】
音光力学療法を行うための装置であって、
光源、
音響エネルギー源、
感光性組成物源、
冷却あるいは洗浄液源、および、
音響エネルギー、光、感光性組成物を有機体の組織に供給するための、前記光源、前記音響エネルギー源、前記冷却あるいは洗浄液源、および、前記感光性組成物源に通じる1つ以上の部材、を含み、
i.前記1つ以上の部材は、前記光源からの光を運ぶための導波管、前記音響ソースからの音響エネルギーを運ぶための歯科スケーラ、前記冷却あるいは洗浄液源からの前記冷却あるいは洗浄液を運ぶための通路を画定するチューブ、前記感光性組成物源からの感光性組成物を運ぶための通路を確定するチューブ、を含み、前記1つ以上の部材は、単一のプローブに一体化された複数の部材を含む、装置。
【請求項71】
前記導波管は、前記感光性組成物のためのチューブの通路内に設けられる、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記プローブはハウジングを含み、前記導波管は前記ハウジングの壁の中に設けられる、請求項70あるいは請求項71に記載の装置。
【請求項73】
感光性組成物、流体および音響エネルギーを処置部位にを与えるとともに、前記処置部位の細菌を破壊するために、前記感光性組成物によって吸収された波長における光とともに前記処置部位を照射するための、請求項53〜73に記載された装置を用いて音光力学療法を行うための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図8】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2008−507327(P2008−507327A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522501(P2007−522501)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/019707
【国際公開番号】WO2006/022970
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】