説明

残光性標識

本発明は、残光性顔料で印刷された残光性標識に関する。標識は、残光性顔料が印刷された、着色表面をもつ材料からなり、着色基板は残光性顔料を用いた印刷を通して見える。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、残光性顔料で印刷された残光性標識に関する。
【0002】
背景技術
危険、警報、火事、発煙、前兆などの場合に、構内ではっきりと見える標識の存在はきわめて重要である。たとえば、最も近い避難経路、または消化設備、ガスシリンダーおよび緊急停止の位置を示すためである。しかるべき当局によって規定された色の必要条件に従って、このような安全標識は、赤色、緑色または黄色の背景の上に1以上の白色または黒色の規格シンボルを有していなければならない。
【0003】
ある種の現在の残光性安全標識は、特に、避難経路と緊急出口を指示するため、および消化設備の位置を指示するために用いられている。しかし、使用されている残光性顔料は、通常の印刷で昼光中および着色残光で暗中の両方において、最適な色再現を得るのに必要とされる色合いにはない。この問題に対する解決策は、これまで、これらの標識が暗中でのみ残光性シンボルを示すことを受け入れることであり、その場合には背景の色は黒色と認められてきた。したがって、これらの残光性安全標識についての色の必要条件は、昼光中および照明区域中でのみ満たされる。というのは、入手できる残光性顔料は、昼光/照明区域中および暗中の両方で必要条件を完全に満たすわけではないからである。
【0004】
SE0100615−4により、残光性顔料で印刷された残光性標識を用いることも知られている。これらの残光性顔料は不透明または透明インクを用いてスクリーン印刷でコートされており、たとえば、昼光/照明区域中および着色残光では暗中の両方において色の必要条件を満たす安全標識を与える。これらの標識を近くで見ると、これらは、スクリーン印刷による乱すような感じ、たとえばストライプ、チェックまたはドットの見える感じを生じさせることがある。スクリーン印刷を用いた標識は、見える感じに関するスクリーンパターンの効果のために、規格に対してわずかに異なる色合いの感じを与えることもある。このため、特に規格の色合いおよび表面が用いられる安全標識の場合には、できるだけ均一に着色した感じに近くなり、できるだけ正確に色合いを再現することが望ましい。
【0005】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、昼光中および着色残光では暗中の両方において、最適な色再現性を与える残光性標識を提供することにある。この目的は、着色背景たとえば着色標識材料上の、着色または白色/黄白色の残光性顔料の透明印刷で印刷された残光性標識によって達成され、その結果、基板の色が残光性印刷を通して見える。基板の色が残光性インクを通して見えるので、昼光中および照明区域中で正確な色再現が与えられる。暗中における着色残光を伴う残光性インクの色合いも着色基板によって影響を受け、暗中での色合いは昼光中または照明区域中の色合いにもっと等しくなる。
【0006】
本発明の別の目的は、優れた見える感じを生じさせ、スクリーン印刷により引き起こされることがある、乱すような感じを防止する残光性標識を提供することにある。ある条件では、スクリーン印刷を用いて、たとえば、見る距離が短い小さなサイズの標識を製造しないことは、極めて有益なことがある。このような場合、スクリーン印刷は、標識の観察者にとってじゃまなものと感じられることがある。この目的は、不透明インクおよび残光性顔料の透明印刷で印刷された残光性標識によって達成される。
【0007】
標識の好ましい実施形態においては、着色表面を有する標識材料が用いられ、この表面の色が残光性顔料を用いた印刷を通して見える。
【0008】
標識の別の好ましい実施形態においては、標識の着色表面は標識材料上に不透明インクで印刷することにより与えられる。
【0009】
標識のさらに別の好ましい実施形態においては、標識の地の色が標識材料に不透明インクを印刷することにより与えられ、シンボルおよびボーダー(border)が別の不透明インクを標識材料に印刷することにより与えられる。
【0010】
標識の別の好ましい実施形態においては、標識の地の色をもつ表面のみが残光性顔料の印刷でコートされている。
【0011】
標識の更なる実施形態においては、標識の地の色をもつ表面が1つの色の残光性顔料の印刷でコートされ、シンボルおよびボーダーが別の色の残光性顔料でコートされている。
【0012】
標識のさらに別の好ましい実施形態においては、標識の地の色をもつ表面ならびにシンボルおよびボーダーが同じ残光性顔料でコートされている。
【0013】
標識の更なる好ましい実施形態においては、シンボルおよびボーダーが残光性顔料を用いた印刷の上に塗布され、次にそのシンボルおよびボーダーが残光性印刷でコートされている。
【0014】
標識のさらに別の好ましい実施形態においては、地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色、黄色、赤色および/または緑色である。
【0015】
標識の別の好ましい実施形態においては、地の色の上の印刷において用いられる残光性顔料が白色/黄白色である。
【0016】
標識のさらに別の好ましい実施形態においては、標識材料の着色表面は、用いられる残光性顔料と同じ色合いを有する。
【0017】
標識のさらに別の好ましい実施形態においては、シンボルおよびボーダーが、残光性顔料を用いた着色標識表面に黒色不透明インクで印刷されている。
【0018】
標識の別の好ましい実施形態においては、輪郭凹部が、標識上に印刷されたシンボルおよび/またはボーダーの周りの残光性の地の表面に形成され、暗中でシンボルと背景との間のコントラストを上げる。
【0019】
標識のさらに別の好ましい実施形態においては、不透明インクを印刷することにより、または輪郭領域で残光性インクの印刷を避けることにより、輪郭がシンボル内および/またはボーダー上に配置されて作られている。
【0020】
標識は、一実施形態においては金属、プラスチックまたは複合材料からなり、別の実施形態においては着色の透明または半透明材料からなる。
【0021】
上記目的は、残光性標識を、不透明インクおよび残光性顔料の透明印刷によって印刷する方法によっても達成される。
【0022】
本発明による好ましい方法においては、残光性顔料が着色表面を有する標識材料に塗布され、標識材料の色が残光性顔料を用いた印刷を通して見える。
【0023】
別の好ましい方法においては、標識の着色表面が、標識材料上に不透明インクでコートされることにより与えられる。
【0024】
さらに別の好ましい方法においては、標識の地の色が不透明インクで印刷されることにより与えられ、シンボルおよびボーダーが別の不透明インクで印刷されることにより与えられる。
【0025】
さらに別の好ましい方法においては、標識の地の色をもつ表面のみが残光性顔料の印刷でコートされている。
【0026】
別の好ましい方法においては、標識の地の色をもつ表面が1つの色の残光性顔料の印刷でコートされ、シンボルおよびボーダーが別の色の残光性顔料でコートされている。
【0027】
さらに別の好ましい方法においては、標識の地の色をもつ表面ならびにシンボルおよびボーダーが同じ残光性顔料でコートされている。
【0028】
さらに別の好ましい方法においては、シンボルおよびボーダーが残光性顔料を用いた印刷の上に印刷され、次にそのシンボルおよびボーダーが残光性印刷でコートされている。
【0029】
別の好ましい方法においては、地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色、黄色、赤色および/または緑色である。
【0030】
さらに別の好ましい方法においては、地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色である。
【0031】
別の好ましい方法においては、シンボルおよびボーダーが、残光性顔料を用いた着色標識表面に黒色不透明インクで印刷されている。
【0032】
別の好ましい方法においては、標識材料の着色表面が、用いられる残光性顔料と同じ色合いを有する。
【0033】
さらに別の好ましい方法においては、輪郭凹部が、標識上に印刷されたシンボルおよび/またはボーダーの周りの残光性の地の表面に形成されている。
【0034】
さらに別の好ましい方法においては、不透明インクを印刷することにより、または輪郭領域で残光性インクの印刷を避けることにより、輪郭がシンボル内および/またはボーダー上に配置されて与えられる。
【0035】
別の好ましい方法においては、標識が金属、プラスチックまたは複合材料からなる。
【0036】
さらに別の好ましい方法においては、標識が着色された透明または半透明材料からなる。
【0037】
次に、好ましい実施形態により、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に記載する。
【0038】
好ましい実施形態の説明
図1および図2は本発明による2つの好ましい標識を例示する。図1は避難経路標識を示しており、これは、規格に従って、緑色の背景と白色のシンボルおよびボーダーを有する。図2はガスシリンダーについての警告標識を例示しており、これは、規格に従って、黄色の背景と黒色のシンボルおよびボーダーを有する。
【0039】
図1についての一実施形態は、全表面にわたって緑色残光性印刷でコートした緑色表面を有する標識を印刷するものである。次に、その上に、シンボルおよびボーダーを白色不透明インクで印刷し、その後、この白色不透明インクを白色/黄白色の残光性印刷でコートする。
【0040】
図1についての別の実施形態は、標識材料上に、背景になる表面に不透明緑色インクを、シンボルおよびボーダーに白色不透明インクを印刷するものである。緑色不透明インクを有する表面を緑色残光性印刷でコートし、次にシンボルおよびボーダーを白色/黄白色残光性印刷でコートする。残光性になる表面、すなわち、背景ならびにシンボルおよびボーダーの両方の上に、1つの同じ残光性顔料を用いることもできる。背後の色が通して見えるので、標識はその正確な色をもつように感じられる。
【0041】
図1についての別の実施形態は、シンボルおよびボーダーのための凹部をもつ白色材料上に不透明緑色インクを印刷するものである。緑色不透明インクを有する表面を緑色残光性印刷でコートする。次に、シンボルおよびボーダーを白色/黄白色の残光性印刷でコートする。
【0042】
図2は、全表面にわたって白色/黄白色の残光性印刷でコートした黄色表面をもつ標識を例示する。その後、この表面にシンボルおよびボーダーを黒色不透明インクで印刷している。
【0043】
図3についての実施形態は、白色表面に、ボーダーとシンボルを白色残光性印刷で印刷するものである。より良好なコントラストのために、残光性印刷を用いない白色輪郭を残し、これは暗中でシンボルを黒色ボーダーで取り囲む。というのは、輪郭は残光性ではないからである。
【0044】
標識はアルミニウムまたはプラスチックからなり、シルクスクリーン印刷されている。あらゆるタイプの残光性顔料を用いることができる。好ましいが非限定的な顔料は、白色/黄白色の残光性顔料としてのEuでドープしたMo.Al23、赤色残光性顔料としての(Ca0,8 Sr0,2)S−CaSおよび緑色残光性顔料としてのEuドープのMo.Al23プラス蛍光緑色顔料である。
【0045】
残光性顔料または残光性インクの選択は決定的ではないが、標識の表面インクと組み合わせた残光性インクは、完成した標識に、昼光/照明区域中と着色残光では暗中とで同じ背景色を与えるべきである。したがって、残光性インクがその色合いを見通せる着色表面の上に印刷されるならば、技術的効果は、残光性印刷を得るために用いられる顔料またはインクのみに依存するわけではない。
【0046】
残光性顔料は着色背景を有する標識上に印刷される。着色背景は、たとえば、緑色、赤色または黄色でありうる。残光性顔料には、好ましくは基板と同じ色たとえば赤色または緑色を用いるが、たとえば白色/黄白色の顔料が組み合わせにより同様の効果を有することがある。残光性の地の表面を印刷して、暗中での背景とシンボル/ボーダーとの間のコントラストを上げる場合、約1.5〜3mmの幅をもつ、シンボルおよびボーダーの周りの輪郭凹部を作ってもよい(図3参照)。
【0047】
緑色の背景上に緑色の残光性インクを印刷した、図1に示される標識は、昼光/照明区域中で均一な緑色の背景色を有し、一方で同時に緑色の標識基板と緑色の残光性顔料の組み合わせにより、暗中で着色残光を伴うその緑色を維持する。
【0048】
上述した好ましい実施形態の変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲で可能であることが理解されるであろう。たとえば、残光性標識は避難経路標識または消火設備の位置を示す標識である必要はなく、ある種の他のタイプのもの、たとえば広告目的に用いられる標識でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】緑色の下部を着色残光性印刷でコートし、シンボルおよびボーダーを白色/黄白色の残光性印刷を用いた白色不透明インクで印刷した本発明による標識を例示する図。
【図2】黄色の下部を着色残光性印刷でコートし、シンボルおよびボーダーを黒色の不透明インクで印刷した本発明による標識を例示する図。
【図3】輪郭凹部をシンボルの周りの残光性表面に形成した本発明による標識の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残光性顔料で印刷された残光性標識であって、着色表面を有する標識材料が用いられ、この表面の色が残光性顔料を用いた印刷を通して見えることを特徴とする残光性標識。
【請求項2】
標識の着色表面は標識材料上に不透明インクで印刷することにより与えられる請求項1に記載の残光性標識。
【請求項3】
標識の地の色が標識材料に不透明インクを印刷することにより与えられ、シンボルおよびボーダーが別の不透明インクを標識材料に印刷することにより与えられる請求項1または2に記載の残光性標識。
【請求項4】
標識の地の色をもつ表面のみが残光性顔料の印刷でコートされている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項5】
標識の地の色をもつ表面が1つの色の残光性顔料の印刷でコートされ、シンボルおよびボーダーが別の色の残光性顔料でコートされている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項6】
標識の地の色をもつ表面ならびにシンボルおよびボーダーが同じ残光性顔料でコートされている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項7】
シンボルおよびボーダーの印刷が残光性顔料を用いた印刷の上に塗布され、次にそのシンボルおよびボーダーが残光性印刷でコートされている請求項1または2に記載の残光性標識。
【請求項8】
地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色、黄色、赤色および/または緑色である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項9】
地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色である請求項8に記載の残光性標識。
【請求項10】
シンボルおよびボーダーが、残光性顔料を用いた着色標識表面に黒色不透明インクで印刷されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項11】
標識が金属、プラスチックまたは複合材料からなる請求項1ないし10のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項12】
標識が着色の透明または半透明材料からなる請求項1ないし11のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項13】
標識材料の着色表面が、用いられる残光性顔料と同じ色合いを有する請求項1ないし12のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項14】
輪郭凹部が、標識上に印刷されたシンボルおよび/またはボーダーの周りの残光性の地の表面に形成されている請求項1ないし13のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項15】
不透明インクを印刷することにより、または輪郭領域で残光性インクの印刷を避けることにより、輪郭がシンボル内および/またはボーダー上に配置されて作られている請求項1ないし13のいずれか1項に記載の残光性標識。
【請求項16】
残光性顔料で印刷された残光性標識の製造方法であって、残光性顔料が着色表面を有する標識材料に塗布され、標識材料の色が残光性顔料を用いた印刷を通して見えることを特徴とする方法。
【請求項17】
標識の着色表面が、標識材料上に不透明インクでコートされることにより与えられる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
標識の地の色が不透明インクで印刷されることにより与えられ、シンボルおよびボーダーが別の不透明インクで印刷されることにより与えられる請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
標識の地の色をもつ表面のみが残光性顔料の印刷でコートされている請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
標識の地の色をもつ表面が1つの色の残光性顔料の印刷でコートされ、シンボルおよびボーダーが別の色の残光性顔料でコートされている請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
標識の地の色をもつ表面ならびにシンボルおよびボーダーが同じ残光性顔料でコートされている請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
シンボルおよびボーダーが残光性顔料を用いた印刷の上に印刷され、次にそのシンボルおよびボーダーが残光性印刷でコートされている請求項16または17に記載の方法。
【請求項23】
地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色、黄色、赤色および/または緑色である請求項16ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
地の色の上の印刷に用いられる残光性顔料が白色/黄白色である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
シンボルおよびボーダーが、残光性顔料を用いた着色標識表面に黒色不透明インクで印刷されている請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
標識材料の着色表面が、用いられる残光性顔料と同じ色合いを有する請求項16ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
輪郭凹部が、標識上に印刷されたシンボルおよび/またはボーダーの周りの残光性の地の表面に形成されている請求項16ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
不透明インクを印刷することにより、または輪郭領域で残光性インクの印刷を避けることにより、輪郭がシンボル内および/またはボーダー上に配置されて与えられる請求項16ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
標識が金属、プラスチックまたは複合材料からなる請求項16ないし28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
標識が着色の透明または半透明材料からなる請求項16ないし29のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−535701(P2007−535701A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510648(P2007−510648)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000253
【国際公開番号】WO2005/106827
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(503302931)システム−テキスト・エービー (1)
【Fターム(参考)】