説明

残留引張応力軽減のための方法およびシステム

残留引張応力は、本発明によって提供される方法およびシステムによって軽減することができる。かかる方法は、金属部材(10)を基材に固定すること、および冷却液(18)で金属部材(10)の一部を少なくとも部分的に囲むことを含んでもよい。その結果、金属部材(10)の冷却部分は所定の量だけ収縮する。冷却の後、金属部材は、好ましくは溶接によって、別の金属部材に拘束関係となるように固定されてもよい。この金属部材の部分が元の温度に戻るにつれて、金属部材の膨張は、金属アセンブリでの残留引張応力を軽減するよう作用する。拘束された部材、そり、構造変形における引張応力は、組み立て構造物では容易に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮出願第60/688,527号(2005年6月7日出願)を優先して主張するものであり、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、一般的に金属アセンブリにおける残留引張応力を低減または軽減するための方法およびシステムに関連する。従って、本発明は土木建築工学、機械工学、化学、金属学、および材料化学の分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
金属アセンブリは過去数百年にわたり、幅広く使用されている。技術が発達するにつれ、高品質な金属、合金、その他の建設材料が洗練されたビルおよび機械の構築に使用されてきた。当該金属アセンブリの個々の金属部材にある残留応力は、直接その安定性、強度、そして耐久性に影響する。
【0004】
例えば、溶接は生産工学、航空宇宙産業、自動車産業、造船業、その他多数の様々な産業分野において利用されている最も重要な技術プロセスだと考えられている。一般的に、溶接とは、通常中間材もしくはフィラー材料を用いて、加熱によって2つの可溶部材を接合することである。被覆金属アーク溶接(SMAW)、ガス金属アーク溶接(GMAW)、フラックス入りアーク溶接(FCAW)、およびサブマージアーク溶接(SAW)等、金属性物体を溶接するための工程は数多く知られている。
【0005】
典型的な溶接工程において、接合された金属被加工物は、本質的に、収縮、相転移、腐食の激化、凝固割れ、残留接合拘束応力等の影響を受ける。残留溶接応力は被加工物の溶接部において発生し、早期の、接合もしくは溶接破損の特性を持つ可能性がある。溶接後に発生した残留引張応力は、溶接した被加工物の柔軟性および強度特性に相当な影響をもたらし、その特性を強化または修復することによって、溶接接合破損を避けることができる。 熱または振動加工によって応力を軽減することは、一般的に用いられる手段である。しかしながら、一般的な応力緩和加工では温度上昇および長時間にわたって溶接物を十分な高温の中においておくことが必要となる。その他の加工では、接合の後に溶接物に振動を与えたり、ピーニングしたりする。これらの加工は費用が高く、多くの溶接において実用的ではない。
【0006】
したがって、溶接部および構造物の結合部から残留応力を軽減することのできる方法が他にもあると考えられる。しかしながら、金属アセンブリの残留応力の影響を減少させる、実用的でコスト効率の高い方法が、現在でも求め続けられている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の開示
本発明は、金属アセンブリ材における残留引張応力を軽減する方法を網羅している。当該方法は、基材への第1金属材料の第1表面を固定するためのものを含む。第1金属材料の一部は少なくとも部分的に第1金属材料の所定分を十分に冷却することができる冷却液に囲まれる。この様態での冷却によって、冷却部分を所定の長さへと収縮することになる。第1金属材料の第2表面は第2構造部材に固定される。好適な実施例において、第1金属材料は溶接によって第2金属材に固定される。冷却部分が温まるにつれ、当該部分は膨張し、第1金属材料において、金属アセンブリの残留応力を少なくとも部分的に軽減する作用をする圧縮応力を生じる。
【0008】
本発明の一実施例において、残留引張応力を軽減するシステムが提供されている。当該システムは冷却液をその中に保持することができる内部容積を有する液体格納容器が含まれてもよい。当該液体格納容器はまた少なくとも第1金属材の一部を囲むように設計されている。さらに、液体窒素のような冷却液を含んだ冷却源が含まれていてもよく、操作ができるように液体格納容器に接続されていてもよい。また、本発明のこの実施例によると、第1金属材料を第2金属材料に接合することができるオプションの溶接装置が提供されてもよい。通常、第1金属材料が、極めて拘束された接合で固定および溶接されるように、基材および第2金属材料はお互いに対する相対位置に固定される。あるいは、溶接中に、片方もしくは両方が溶接応力によって面外に引き出されるように、基材および第2材料はやや柔軟性があってもよい。このように、本発明は基材および第2材料をはじめに設定された配置へと戻す為に使用することができる。
【0009】
別の実施例において、後のアセンブリ応力(溶接後に材料を面に押し返すような)、もしくは拘束の少ない材料における負荷応力を 軽減するためのプレストレスを取り込むために、第1金属材料の一部を熱によって収縮して金属材料をそらせたり曲げたりしてもよい。場合によっては、第1金属材料をアセンブリに接合した後の結合の性能を向上させることも可能である。例えば、使用荷重は、通常加熱によってそられた金属材料の凹面の降伏や、反った金属材料の常温屈曲によらずに、第1金属材料に誘導される圧縮バネによって抵抗させることができる。この誘導圧縮応力は本発明の方法に従って実現することができる。
【0010】
このように、この後の詳細説明がよりよく理解され、そして当技術分野への貢献もより高く評価されるように、むしろ幅広く、本発明におけるより重要な特徴をまとめた。本発明におけるその他の特徴は、付随する請求項と合わせて下記に記述される本発明の詳細説明によってより明白になり、あるいは、本発明の実施によって学ぶことが出来る。
【0011】
上記の図は必ずしも縮尺通りに描かれる必要はなく、主として以下に述べられる本発明の特徴の詳細説明をより明白に理解してもらうことを目的としている。それにもかかわらず、本発明の範囲への制限がこれによって意図されることはないことが理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
詳細な説明
ここに模範となる実施例に関して論及し、それを説明するためにここでは特定の言語を使用する。それにもかかわらず、本発明の範囲がこれによって制限されるものと意図されることはないことが理解される。本発明の特徴、工程段階、ここで説明された材料の改変およびさらなる変更、そして、当技術分野に精通する者および本開示を受領する者には気が付くような、ここで説明された本発明の原理の追加応用は、本発明の範囲内に含まれるものと考慮される。ここで用いられた用語は特定の実施例を説明する目的のためにのみ使用され、制限を意図しないこともまた理解されるべきである。
【0013】
A.定義
本発明を説明し主張する中には、以下の用語が使用される。文脈において明確に別の意味で指示されていなければ、単数形は複数指示対象も含む。従って、例えば、「基材」は、1つあるいは1つ以上のかかる基材を含み、「合金」は1つあるいは1つ以上のかかる合金を含む。
【0014】
ここで使用されているように、「溶接する」または「溶接」という用語は、接合される材料の実際の溶解が溶接接合で発生するところにおいて、熱の使用によって金属材料を接合または融合する技術を示している。溶接した金属は採用された溶接手法によって類似したり異なったりする。さらに、中間材もしくは金属フィラー材料を用いて接合加工を容易にしてもよい。SMAW、GMAW、FCAW、およびSAWといったような様々な溶接加工を本発明に取り入れても良いが、これらに限定されるものではない。さらに、ガス・タングステンやプラズマアーク溶接のようなその他のアーク溶接加工を使用してもよい。
【0015】
「大気温度」という用語は、この開示では,この方法が実行される下の作業環境の温度を示している。通常、大気温度はたいてい20〜25°Cのような室温である。しかしながら、場合によっては、大気温度は特定の用途によって上げられることがある。例えば、ある製造環境において、約50°C以上といったような高い温度、もしくは約0°C未満といった非常に冷たい温度で金属材料が組み立てられる。さらに、溶接接合の近接周囲は、溶接結果を改善するために、例えば、約100°Cから205°Cくらいまで予熱してもよい。
【0016】
「引張応力の緩和もしくは低減」とは、この開示では,一材料および、もしくは、または関連構造における一切の引張応力の低減を含む。例えば、溶接物における引張応力の低減は、負の引張応力、すなわち、圧縮応力を生じさせるのに十分なこともある。あるいは、正の引張応力を単に低減するために、または溶接の後で材料を設形された配向に戻すために熱縮小の配位および程度を制御することもできる。さらに、局部的または選択的冷却によって造られた、あらかじめ、そりを持った材料は、そりをもった材料の引張応力が低減するように、二つの材料の間に拘束しても良い。
【0017】
「実質的」という用語は材料の数量または総量を示すもの、またはその特定の性質を示すものであり、材料または性質が及ぼす影響が発現するのに十分である量について言及するものである。場合によっては、許容される、偏差の厳密な程度は、特定の状況によるかもしれない。同様に、「実質上存在しない」等は、組成の中の特定の要素あるいは物質が欠けていることを示している。特に、「実質上存在しない」と特定される要素は完全に組成に存在しないか、またはその影響が測定ができないほど少量しか組成に含まれていないかのどちらかである。
【0018】
「囲む」または「取り囲んでいる」といった用語は物体もしくは物体の所望の部分を、大幅に取り囲んでいる、網羅している、または、そのまわりに広がっていることを示す。例えば、本発明において、冷却液は、囲いの形状に応じて部分的もしくは全体的に金属材料を囲む。本発明の背景において、冷却液は既定温度およびそれに伴う寸法の変化に達するのに十分な物体の所望の部分を囲む。
【0019】
「固定する」もしくは「固定」という用語は、当該物体が予期される応力のもとで、解かれたり動いたりしないようにするように、実質的な固定関係において1つの物体を別の物体へと固定することを示す。例えば、本発明に関連して、金属材料または被加工物は、動きをなくするために基材にしっかりと固定してもよい。当該金属材料は、溶接、融合、ボルト締め、リベット打ち、溶融、接着剤による接着などといった、どのような適当な手段によって基材に固定されてもよいが、これらの手段に限定されるものではない。
【0020】
「容器」または「格納容器」という用語は、所望の材料と接触している流体のようないかなる物質をも保持するための実質的な空洞スペースである機器を示している。ここで使用されている容器とは、部分的に金属材料を囲み、冷却液を収容し、いかなる形状およびサイズであってもよい。当該容器はまた閉鎖系の一部として冷却液を収容してもよい。閉鎖系は、所望の材料と接触している格納容器に接続されている別の冷却液タンクを含んでいてもよい。
【0021】
複数の品目、構成要素、組成要素、および、あるいは、または材料が便宜を計るため、一般的な一覧表で記されてもよい。しかしながら、これらの一覧表は一覧表の各材料が個々に別のおよび特定の材料として認識されるかのように解釈されるべきである。このように、そのような一覧表の個々の材料は、特にこれに反することが指定されない限り、共通のグループで提示されているということのみを基に、同一の一覧表にあるその他の材料と事実上同等のものとして解釈されるべきではない。
【0022】
濃度、量、その他の数値データは、ここにおいて、範囲を持った形式で表示され提示される。当然のことながら、そのような範囲を持った形式は便宜および簡潔さの為のみに使用され、よって、範囲の限界として明確に示された数値のみでなく、その範囲内のすべての、個々の数値もしくは部分的な小範囲を含んで、明確に示されたものであるかのように柔軟に解釈されるべきである。
【0023】
説明として挙げると、「約1から約5」の数値域は、明確に列挙した約1から約5の値だけでなく、個々の値および指示範囲内の部分的な小範囲も含むように解釈されるべきである。このように、この数値域には1.5、2、3.5、4といったような個々の値と、1〜3、2〜4、3〜5、等の部分的な小範囲が含まれる。これと同一の原則は1つの数値のみを列挙する範囲に適用され、範囲の幅または表されている特性に関わらず適用されるべきである。
【0024】
本発明
本発明は、2つの点または他の材料の間に接着される材料において、残留引張応力を軽減する方法を含んでいる。背景の項目で列挙したように、残留応力は多くの金属アセンブリの中に内在する。例えば、金属被加工物のような溶接した物体は、様々な種類の残留熱応力、および温度変化の関数としての材料の膨張および収縮の結果による歪を有する。多くの金属材料の物理的寸法は、加熱されたときに膨張し、冷却されたときに収縮する。特定の材料における線膨張量は、初期の長さおよび熱膨張係数とともに、温度変化から計算される。熱膨張係数は、通常、温度の単位上昇に対する材料の長さの部分増として定義される。以前に述べたように、溶接物における残留応力の存在は、悪影響を及ぼし、早期の被加工物の破損もしくは欠陥を引き起こすこともある。それ故に本発明の一実施例は、溶接接合における残留応力を減らすことができる方法およびシステムを提供している。本発明は、金属材料の固定に先立って、金属被加工物の一部を熱による圧縮または収縮を用いて、結果として生じる応力に対し補償することにより、金属アセンブリにおける残留引張応力を減らすことに焦点を合わせている。
【0025】
典型的に、本発明における方法には、金属材料の2つの表面を2つの基材へと固定して拘束することが含まれる。金属材料は、溶接、ボルト締め、その他固定位置に材料を固定する手段によって少なくとも基材の1つに固定される。さらに、少なくとも1つの基材は、もうひとつの基材に関連して実質的に固定される。線寸法において所望の変化をもたらすために、液体窒素のような冷却液で、少なくとも部分的に金属材料の一部を取り囲み、金属材料の一部を十分に冷却して収縮させることができる。冷却された部分は、液体格納容器に取り囲まれて、金属材料が大気温度に戻った時に圧縮応力が生じるように2つの表面の間に位置してもよい。結果的に生じた金属材料の応力が圧縮応力である必要がないということ、収縮された金属材料が、少なくとも部分的に残留引張応力を軽減するために圧縮応力を生じ、それによって結果として得られた金属材料の引張応力が、金属材料が本発明における方法によって固定されていない場合よりも小さくなるということを注記することは価値がある。できれば、金属材料および結合された接合に結果的に生じる応力は、圧縮応力であってもよい。
【0026】
一実施例において、固定する手順は、第1金属材料を、第2金属材料のような第2基材に溶接して共に溶接接合を形成するものであってもよい。溶接の後、冷却液は金属材料の前記の部分から取り除いてよい。温度が上昇すると、金属材料の圧縮部分が膨張し、溶接接合に圧縮応力が働く。2つの基材の固定した位置関係は、溶接物の冷却部分が大気温度まで温まることによる変位に抵抗して、溶接表面で拘束として作用し、圧縮応力を生じさせる。当該2つの基材はしっかりと固定される必要はないが、各材料は他の材料に対して十分に固定されているべきであり、それによって引張応力を減らし、できれば結果として圧縮応力が最終構造にもたらされることが好ましい。金属材料における圧縮応力は、通常、このより短い周囲の条件の結果上昇する。溶接の前に金属材料を収縮することにより、溶接から残留引張応力を軽減するために用いる圧縮応力源が提供される。この方法により、設計およびオプショナル中間材と金属フィラーに期待されていた溶接接合柔軟性を強化することができる。
【0027】
以前に述べたように、当該方法は第1金属材料の第1表面を基材へと固定する初めの手順を含んでいる。当該基材は金属材料の荷重に耐えることのできる表面を有しているいかなる剛体材料であってもよい。形態によっては、当該基材はレンガもしくはコンクリート壁でもよい。しかしながら、できれば当該基材は第1金属材料に固定されることが可能な金属材料であることが好ましい。さらに別の形態では、当該基材は、第1金属材料と異なった特性を持つ金属材料でもよい。さらに、第1金属材料の第1の表面は、溶接、ボルト締め、リベット打ち、溶融、融合、接着剤による接着などのいかなる適切な方法によって基材へと固定されてよく、その方法はこれらに限定されるものではない。固定方法の選択は、採用される基材の種類および金属材料の使用用途によって決定される。例えば、ある形態においては、第1金属材料の第1の表面は、ボルト締めの手段によってコンクリート基材に固定され、第2の表面は第2金属材料に溶接されてもよい。一般的に、金属材料が拘束された様式で固定されるように、第2の金属材料は基材に対して実質的に位置が固定されてよい。別の形態においては、第1金属材料の第1の表面は、溶接によって金属基材に固定される。第1金属材料の基材への固定は、第1金属材料の一部を冷却する前に行ってよい。
【0028】
ほぼすべての金属材料を、本発明に従って固定することができる。形成される特定の構造によって、適切な金属材料は、部材ごとに異なることのある、大きさ、形状、組成などの特性において幅を持って存在する。本発明における第1金属材料は、線形収縮が可能である金属材料によって構成されてよい。線形収縮に適した材料には、炭素鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、銅、チタニウム、アルミニウム、スズ、鉄、および合金、またはそれらの合成物が含まれるが、それらに限定するものではない。本発明の一つの形態において、第1金属材料の組成は、炭素鋼合成物であってもよい。別の形態において、金属材料は、銅、マンガン等の添加剤を不純物として加えた合金であるアルミニウム金属材料で構成されていてもよい。さらに別の形態においては、当該材料はコンクリート、ポリマー合成物、炭素繊維合成物、またはそれらの合成物を含んでよい。
【0029】
いかなる多様の金属形状を用いてもよく、いくつかの一般的な形状を挙げれば、I形梁、T形梁、S形梁、固形もしくは棒、管がある。一つの形態において、当該金属材料は炭素鋼I形梁であってもよい。別の形態においては、当該金属材料はアルミニウム管であってもよい。上記されたように、第1金属材料は、第2金属材料に類似した金属材料で構成されても、類似しない金属材料で構成されてもよい。さらに、金属形状には曲がった金属板もしくは他の不規則な形状を含んでもよい。
【0030】
一実施例において、金属材料の一部は、冷却源を使用した温度下降を介して、溶接の前に冷却される。本発明によって採用された冷却源は、金属材料の温度を下げるために使用可能な装置または媒体でよく、ここに説明されたように液体格納容器と連結して作動可能なものでもよい。一つの形態においては、冷却源は冷却液を入れることができる圧縮ステンレス鋼タンクであってもよい。別の形態においては、装置はポリスチレン容器であってもよい。通常、冷却源は冷却液を含んでよい。
【0031】
固体、気体、液体にかかわらず、金属材料の温度を下げることのできるすべての冷却媒体もしくは流体を、本発明で使用することができる。例えば、液体窒素、液体ヘリウム、液体アルゴン、液体酸素、固体または液体二酸化炭素(ドライアイス)、およびこれらの組み合わせを、本発明における金属材料を冷却する為に使用してよい。当該方法が遂行される温度によって、冷却材、水、およびその他物質等、構造材料における温度を下げることのできる他の流体も、所望の温度差を達成するために適しているかもしれない。現在望ましい,一つの形態では、本発明に従って、液体窒素を金属材料の一部を冷却するために使用してよい。液体窒素は、入手しやすく、安価であり、金属材料の一部を収縮あるいは縮小させるのに十分なほど温度を効率よく下げることができ、それによって溶接加工によって生じた残留線形応力に対し補償することが出来るため、好ましいこともある。例えば、液体窒素で金属材料を囲む、もしくは少なくとも部分的に囲むことにより、大気温度における金属材料の温度を約190°C下げるかもしれない。この温度下降は、一般的には、溶接による残留応力を軽減するのに十分であることもある。このように、構造部材内の応力を減少することができる。必要とされる冷却液の量および金属材料が冷却液にさらされる時間は、各用途によって様々であるかもしれず、金属材料の組成、金属材料の寸法、温度幅等の要素に依存するかもしれない。
【0032】
様々なシステムおよび装置が、本発明に従う冷却に適しているかもしれない。液体格納容器には冷却液をその中に保持できる内容積を持っていてよい。液体格納容器は、それを冷却するために少なくとも第1金属材料の一部を囲むことができるよう構成されてもよい。冷却液を含む冷却源は、液体格納容器に結合して作動可能であってもよい。
【0033】
図1は本発明の実施例に従った、表面接触型冷却器である格納容器を持つ冷却システムを示している。接触型冷却器は、冷却すべき表面に対し、開いた側面を封じることにより、決まった容積を囲み入れる、側面の開いた外郭構造であってもよい。どのような適切な低温発泡体、封止剤、もしくはガスケット材を使用して封じてもよい。側面が開いた外郭構造は、長方形、四角形、円形等のどのような適切な形状をしてもよいが、それらに限定されるものではない。例えば、そのような接触型冷却器は、I形梁といった金属材料を冷却する際に使用してもよい。液体格納容器12は、本発明に従った線形収縮を提供するため、I形梁10の1つあるいは1つ以上の表面に対して設置されてよい。液体格納容器には、戻りおよび供給ライン20を通って、冷却源16へとつながっている入口弁および出口弁14があってもよい。液体格納容器は、長方形の形状で、本発明に従ったI形梁を収縮するのに十分なI形梁の表面積を覆うための開いた側面を有してもよい。液体格納容器には、I形梁と直接接触するかもしれない冷却液18を含んでもよい。あるいは、当該液体格納容器は、液体格納容器の外部冷却面が材料の一部と接触するように、完全に囲まれてもよい。当該冷却面は、所望のI形梁の一部を冷却するために十分に高い熱伝導性を有してもよい。十分な冷却後、I形梁を2つの基材の間に固定してよい。当該基材は、I形梁の冷却部分の膨張により、金属アセンブリの残留引張応力が少なくとも部分的に軽減されるような関係の位置に固定されてもよい。
【0034】
さらに、冷却源は液体格納容器と結合して作動可能でもよい。典型的には、液体格納容器には冷却源からの冷却液を受け取ったり、放出したりするために吸入および排出口ポートが含まれてもよい。一般的に、当該吸入および排出口ポートは液体格納容器の内容積と流体により連結されており、冷却されている金属材料の一部への直接の通路を提供してよい。典型的には、液体格納容器は、金属、プラスチック、セラミック、ポリマー発泡体、それらの合成物、およびそれらの組み合わせといった、冷却液を格納し、断熱するのに適した材料によって形成されてよいが、その材料はこれらに限定されるものではない。ある形態において、液体格納容器はどのような適当なポリマー発泡体によって形成されてもよい。適当なポリマー発泡体の例として、ポリスチレン、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン等を含むが、それらに限定されるものではない。
【0035】
さらに他の代替物では、液体格納容器は、金属部材の少なくとも一部を囲む、または部分的に囲む構成で形成してもよい。液体格納容器によって、冷却液を保存することができる内容積を決定してもよい。典型的には、望ましい温度変化を生成するために、十分な容積の冷却液が、金属部材の一部分と直接接触することができるような、内容積でもよい。さらに、液体格納容器は、外部および/または内部構造の外皮を含んでもよい。ある形態では、構造外皮は、アルミニウム5083などのアルミニウム合金、またはステンレス鋼合金、304型であってもよい。
【0036】
一実施態様では、液体格納容器は、断熱された金属内張りの箱であってもよい。図2によると、液体格納容器34は、断熱材料24で覆われた取り外し可能な蓋28の付いた金属内張りの箱26を備えることができる。液体格納容器は、金属部材が通して設置できるように液体格納容器の反対側にそれぞれ開口部30を有することができる。さらに、液体格納容器は、望ましい温度降下を得るのに必要な冷却液32の使用量を最小限にするために、任意的に取り外し可能な充填材22を含んでもよい。一実施態様では、箱は、効率的な操作および使用のため、ステンレス鋼から作り、外側を断熱用ポリスチレンで覆ってもよい。別の実施態様では、液体格納容器は、金属部材を収縮させるのに必要な冷却液の使用量を最小限にするために、金属部材を囲むように図られた形状の円筒容器であってもよい。例えば、円筒型の容器は、金属部材の周囲に封じられたときににチャネルが形成されるように、2つの半円筒型より成ることもできる。
【0037】
図2の液体格納容器は、取り替え可能な挿入部分を含むように構成することができる。挿入部分は、液体格納容器の反対側に、取り替えを可能にするさねはぎ継ぎまたはフランジ形となるよう構成することができる。取り替え可能な挿入部分により、液体格納容器は、様々な形状およびサイズの金属部材を囲み、収容することができる。典型的には、取り替え可能な挿入部分は、前述のどのようなポリマー発泡体から形成してもよい。ポリマー発泡体の挿入部分は、その発泡体を望ましい任意の形状に形成するのは容易なため望ましい場合がある。いくつかの形態では、様々な構成を有する複数の挿入部分を、異なる金属部材の構造に合わせて使用することができる。例えば、取り替え可能な挿入部分は、ポリスチレン発泡体から、I形梁の金属部材の挿入を可能にする形状に形成してもよい。別の形態では、取り替え可能な挿入部分は、S形梁の構造を有する金属部材の挿入を可能にする形状に形成してもよい。あるいは、挿入部分は、可鍛金属、ゴム、発泡体、および/またはそれらの組み合わせから作ることができる。さらに、複数の挿入部分は、開口部のサイズを調整するために同心円状に使用して、様々なサイズの金属部材を収容することができる。挿入部分は、ポリウレタン発泡体、接着剤、封止剤、シリコーンゴムなどの低温ガスケット材、他に知られている低温材料などの適切なコーキングを使用して、金属部材および冷却容器に封じることができる。あるいは、挿入部分は、液体格納容器を現場で封止するのに有利となる可能性のある注入可能な発泡材から完全に形成することができる。
【0038】
液体格納容器は、本発明に従い冷却されるべき様々な部材の別個の表面を囲むよう構成することができる。液体格納容器は、クランプ、ボルト締めによって、または強磁性材料に対しては磁気的に、部材を取り付けることが可能となるように構成してもよい。部材への封止は、シリコーンゴムなどの低温ガスケット材または他に適切な低温材料によって達成することができる。
【0039】
一実施態様では、金属部材の部分が冷却されて、所望の線形の収縮が得られた後、金属部材の少なくとも1つの表面は、第2の金属部材に溶接することができる。金属部材の溶接は、知られているどんな技術によってでも得ることができる。適切である可能性がある、より一般的な工程のいくつかには、被覆アーク溶接、ガスメタルアーク溶接、フラックス入ワイヤ溶接、およびサブマージアーク溶接が含まれる。前述の溶接工程は、金属性の物体を融合させる中間の金属充填材を必要とする。アーク溶接工程では、アークは金属の被加工物と電極との間に作成される。アーク溶接工程に中間の充填材を用いる場合、数珠玉状の金属で接合部を充填するために、アークの熱は充填材を被加工物に溶け込ませる。その結果、金属部材は融合または接合される。適切な溶接手順の選択は、接合部構成および接合部設計に必要な経済状況によって決定される。本発明で使用してもよい多くの溶接工程がある。例えば、溶接工程は、ミグ溶接(MIG)、マグ溶接(MAG)、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、すなわち、ティグ溶接(TIG)、プラズマ溶接、または他に知られているどんな溶接装置からも選択することができる。前述の溶接装置は、金属部材の温度を上昇させるので、金属部材の部分を冷却する場合、本発明に従い、溶接表面が溶接の質に悪影響を与えないで溶接できるように、溶接表面から十分離すべきである。
【0040】
本発明に従い、冷却金属部材は、拘束された構成内の2つの材料の間で固定および/または溶接してもよい。通常、2つの材料は、引張応力での収縮を得るのに十分となるようにお互いに対して適所に固定することができる。このようにして、ある程度のの柔軟性は許容されるが、しかしながら、冷却部分が膨張する間、第1の部材の接合表面のそれぞれの最終位置が、それらの無拘束の位置に戻らないように、十分な剛性もまた必要である。特に、ほとんどの場合、金属部材は、お互いに対して実質上固定される2つの材料の間に溶接することができる。しかしながら、一般的な事項として、第2の表面は、ボルト締め、ろう付け、締まりばめ、接着剤による接着などのどのような適切な技術を利用して、第2の基材に固定することができるが、これらの技術に限定されない。完成品における圧縮応力の度合いは、金属部材の部分を冷却する間の収縮の量によって決定することができる。
【0041】
所定の金属材料の線形の膨張または圧縮を決定することは、以下の3つの方程式により計算することができる。以下の方程式において、ひずみは(ε)によって定義され、また変位は(δ)によって定義される。応力は(σ)によって定義されるが、長さおよび荷重は、それぞれ(L)および(P)によって定義される。特に、(LBeam)は、金属部材または梁の長さを指し、また(Lsc)は金属部材の冷却部分の長さを指す。さらに、(E)は約29x10psiの値を有するヤング率を定義し、また(α)は熱膨張の係数を指す。最後に、(ΔT)は温度の変化であり、また(A)は冷却金属部材の断面積を定義する。以下の方程式を利用して、残留引張応力を軽減するのに必要な冷却部分の長さおよび条件を決定することができる。
【0042】
【数1】

(Lsc)および(ΔT)のパラメーターを調整または調節することにより、固定された2つの構造部材の間に拘束される部材を固定する際に発生する可能性がある引張応力を補償する、望ましい圧縮応力を得るための手段を提供することができる。特に、これらのパラメーターを調整または調節することにより、溶接の際に本質的に発生する引張応力を補償することができる。
【0043】
冷却された後、拘束金属部材は、周囲温度に戻ることができる。これは、冷却液を排出する、または、他の方法により、冷却源を取り外すことによって得られる。一実施態様では、溶接の冷却する時に、残留引張応力は、溶接部に誘発される。しかしながら、金属部材の冷却部分の温度が上昇するので、冷却部分の膨張から生じる圧縮応力が金属部材に沿って、そして溶接部において、蓄積するにつれて、溶接接合部での残留引張応力は減少する。金属部材の拘束関係は、溶接された接合部での残留引張溶接応力の少なくとも一部を結果的に軽減する圧縮応力を生じさせるのに十分となるよう膨張を制限する。同じ拘束は、組み立て時に被加工物のプレストレスを維持し、後に発生する使用負荷を補償すること、または、影響を受けた部材を溶接物に対して望ましい配向に戻すことができる。例えば、溶接接合部が冷却するにつれて、溶接された構造は傾けて引っ張るかもしれないが、冷却部分の膨張は、構造を望ましい位置へ戻すことができる。このようにして、ある場合には、圧縮応力よりもむしろ正の引張応力を軽減することが、最終構造における結果となり得る。
【0044】
溶接の熱は、溶接から流出し、周囲の冷えた母材に流れ込む。冷却室を、溶接部の近くに位置し、より素早く接合部から熱を除去することもできる。溶接の金属学的性質はさらに、溶接接合部での冷却速度を調整することにより強化することもできる。
【0045】
一実施態様では、図3に示すように、金属部材40は、接合部38で基材36に取り付けることができ、変位42を有するそりが生じる。金属部材は、得られる圧縮応力が、金属部材を屈折させるのに十分となるよう金属部材に生じることができるように、本発明の方法に従い収縮することができる。変位42の幅は、生じた縮小の量および使用した材料の種類によって調整することがきる。ある形態では、そりの方向は、戦略的に冷却室を配置することにより調整し、優先的に金属部材を縮小して部材を望ましい位置に屈折させることができる。このようにして、そりは、基材に取り付ける前に生じさせることができ、また金属部材は、そりを生成するために選択的に収縮することができる。例えば、屈折が凹面を生じさせることが望ましい側の1つあるいは1つ以上の表面は冷却することができるが、反対側はそり部材を生じさせるのに直接には冷却されない。そりを有する金属部材40はその後、基材36に取り付けることができる。金属部材40が膨張すると、圧縮応力は、そりを有する金属部材40に生じることができる。別の形態では、本発明は、拘束の少ない部材に適用して、それらを計画的な位置に押し込み、溶接と同時に発生するアセンブリの歪曲を修正してもよい。したがって、本発明により、降伏強さ、信頼性、および荷重負担能力の全体的な増大をもたらすことができる、様々な構造部材を接続することに関連する引張応力の制御を高めることができる。
【0046】
以下の実施例は、本発明による溶接応力を軽減する様々な方法およびシステムを例証する。しかしながら、以下は、本発明の原理の適用の単に例となるもの、および説明に役立つものであることが理解されるべきである。多数の修正および代替の構成、方法およびシステムが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当該技術に熟達した者によって考案することができる。添付の特許請求の範囲は、かかる修正および装置を扱うことを目的としている。したがって、本発明は精密に上記に説明してきたが、以下の実施例は、本発明のいくつかの特定の実施態様に関してさらなる詳細を提供する。
【0047】
実施例
図4〜図10は、本発明の実験の間に線形で可変の変位変換器から収集されたデータを示す。図11〜図14は、本発明の方法を適用する間に、溶接物の間の別個の場所で収集された温度データを示す。剛構造のフレームは、残留溶接応力を特徴付けるために、一連の実験バッテリーで溶接される。実験バッテリーのそれぞれでは、2つの堅い支柱の間に梁を溶接した。支柱は堅かったが、以下により詳細に示すように一部で屈曲が見られた。接合部のうちの1つを切り取る間に、再び、梁を支柱から切り離すときに寸法を測定した。溶接環境ではデータを収集することは困難であるので、これらすべての取り組みが記録されているわけではない。
【0048】
張力を受けて部材に入れられた切断部は、部材を最終的に切断するときに膨張し、パチンと開くであろう。これらの反応を図4〜図6、バッテリー1および2に示し、その実験は本発明を組み込まない従来の溶接接合部である。図4および図5では、切断部の直下のLVDT#4は、切断を完了し、梁部材を支柱から切り離した直後に、伸びを示す。図4、図5および図6では、外部支柱でのLVDT#1および#6は、これらの支柱が、残留溶接応力によって平面から引き出された後にひずみを取り除くにつれて縮みを示す。これは、従来の溶接物に見られる残留溶接応力の度合いを示すものである。
【0049】
圧縮下で部材に入れられた切断部は、部材を最終的に切断するとき崩壊および圧壊し閉じるであろう。図7〜図10に示すように、これらの反応を、本発明を組み込まれる実験をバッテリー4および5に示す。図7、図8、図9および図10では、切断部の直下のLVDT#4は、切断を完了し、梁部材を支柱から切り離した直後に、縮みを示す。切断により生じた切り口は、それ自体が接触して閉じる。
【0050】
本発明の方法を適用する間の溶接物の温度を、時間の関数として図11〜図14にグラフ化する。図11〜図14は、接合部4−1および4−2の溶接を行うときの、周辺金属、接合部3、接合部4、および冷却金属を含む、様々な位置の温度を示す。
【0051】
LVDTによって測定される変位データは、上記の方程式3、またはこの方程式の変形したものを使用して、バッテリー1および2での残留溶接応力、またはバッテリー4および5での誘発圧縮応力を計算するのに使用する。切断前に梁部材で測定した変位および計算した応力を以下の表1で一覧にした。実験バッテリー5、接合部4−2の溶接の間に困難に遭遇した。この接合部および実験バッテリー1の接合部2を同じ順序で切り離した。結果は両方とも、溶接の困難を反映して、変位の縮小を示した。
【0052】
【表1】

試験バッテリー#4に使用した梁部材の機械的試験を行った。表2に示すように、これらの試験を圧延機によって行われた機械的試験の結果と比較した。
【0053】
【表2】

試験は、本発明を利用した場合に、機械的性質にどんな減少もなかったことを示す。結果は、圧延機によって報告された値に改善が見られるが、この差異は、本発明との相互作用からの改善よりはむしろ鍛錬用材料における通常のばらつきを反映するものであろう。
【0054】
言うまでもなく、上述した装置は、本発明の原理の適用の単に例となるものであることが理解されるべきである。多数の修正および代替の装置が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当該技術に熟達した者によって考案されてもよく、添付の特許請求の範囲は、かかる修正および装置を扱うことを目的としている。したがって、本発明は、目下本発明の最も実用的で好ましい実施態様と見なされるものに関連して、精密かつ詳細に上記に説明してきたが、本明細書に説明した原理および概念から逸脱することなく多数の修正を行ってもよいことが、当該技術分野における通常の技術を有する者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明のさらなる特徴および利点は、例証として、本発明の特徴を説明する、以下に与えられた、付随の図面を伴う、詳細説明から明白になる。
【図1】図1は本発明の実施例に従った個々の液体格納容器とI型梁の断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に従った液体格納容器の断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に従ったそりをもつ金属材料の正面図である。
【図4】図4は、接合部4−1を除去する間の試験バッテリー1のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1、4、6の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図5】図5は、溶接4−1の除去と接合部4−2の溶接の間の試験バッテリー2のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1、4、6の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図6】図6は、接合部4−2を除去する間の試験バッテリー2のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1および6の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図7】図7は、接合部4−1を除去する間の試験バッテリー4のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1、4、5、6の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図8】図8は、接合部4−2を除去する間の試験バッテリー4のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1、4、5、6の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図9】図9は、接合部4−1を除去する間の試験バッテリー5のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1、4、5、6の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図10】図10は、接合部4−2を除去する間の試験バッテリー5、および接合部2を除去する間の試験バッテリー1のグラフである。当該グラフは線形可変変位変換器1、3、4、5の測定を示しており、時間〈60分〉とインチを単位として時間に対する変位の変化を表している。
【図11】図11は、接合部4−1を溶接する間の試験バッテリー4のグラフである。当該グラフは、大気中の金属、接合部3、接合部4、および本発明の冷却装置に接触する金属の4ヶ所における時間の関数として溶接物の温度測定を示している。
【図12】図12は、接合部4−2を溶接する間の試験バッテリー4のグラフである。当該グラフは、周囲の金属、接合部3、接合部4、および本発明の冷却装置に接触する金属の4ヶ所における時間の関数として溶接物の温度測定を示している。
【図13】図13は、接合部4−1を溶接する間の試験バッテリー5のグラフである。当該グラフは、周囲の金属、接合部3、接合部4、および本発明の冷却装置に接触する金属において、8インチの間隔をおいた2つの異なる場所、の4ヶ所における時間の関数として溶接物の温度測定を示している。
【図14】図14は、接合部4−2を溶接する間の試験バッテリー5のグラフである。当該グラフは、周囲の金属、接合部3、接合部4、および本発明の冷却装置に接触する金属において、8インチの間隔をおいた2つの異なる場所、の5ヶ所における時間関数として溶接物の温度測定を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拘束アセンブリにおいて残留引張応力を軽減する方法であって、
a)第1の部材の第1の表面を基材に固定する工程と、
b)前記第1の部材の第2の表面を第2の構造部材に取り付けた後、第1の部材の膨張によって、少なくとも部分的に残留引張応力を軽減するような収縮部分を形成する第1の部材の前記部分を収縮するのに十分な冷却液で冷却部分を形成するために、前記第1の部材の一部を冷却する工程であって、前記第1の部材の前記部分は、前記第1の部材の第1の表面と第1の部材の第2の表面との間に配置されており、
c)前記冷却部分を含んでいる第1の部材の第2の表面を第2の構造部材に取り付ける工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1において、取り付ける工程は、溶接、ボルト締め、はんだ付け、リベット打ち、または接着剤による接着によって実現される方法。
【請求項3】
請求項2において、取り付ける工程は、溶接によって実現される方法。
【請求項4】
請求項1において、冷却液は、液体窒素、液体ヘリウム、液体アルゴン、液体酸素、液体二酸化炭素、およびそれらの組み合わせより成る群から選択される方法。
【請求項5】
請求項4において、冷却液は液体窒素である方法。
【請求項6】
請求項1において、冷却する工程は、さらに、第1の部材の前記部分を断熱された液体格納容器で取り囲む工程を含む方法。
【請求項7】
請求項6において、第1の部材は溶接可能な金属より成る方法。
【請求項8】
請求項7において、第1の部材は、炭素鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、銅、チタニウム、アルミニウム、スズ、鉄、およびそれらの合金または複合材料より成る群から選択される材料より成る方法。
【請求項9】
請求項1において、第1の部材の膨張は、残留圧縮応力を引き起こすのに十分である方法。
【請求項10】
請求項1において、第1の部材の膨張は、前記第1の部材にそりを引き起こすのに十分である方法。
【請求項11】
請求項1において、第1の金属部材の収縮部分は、第1の金属部材を第2の構造部材に取り付ける前にそりを引き起こす方法。
【請求項12】
残留引張応力を軽減するためのシステムであって、
a)中に冷却液を保存することができる内容積を有する液体格納容器であって、第1の部材の少なくとも一部を囲むよう構成されている容器と、
b)前記液体格納容器に動作可能なように接続される冷却源であって、前記冷却源は前記冷却液を含んでいる冷却源と、
を備える、システム。
【請求項13】
前記第1の部材は金属部材であり、さらに、前記第1の金属部材を第2の金属部材に接合できる溶接装置を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体格納容器は、側面が開いている外郭構造を持ち、前記第1の部材の前記部分と密着すると、前記内容積を囲み入れる接触型冷却器を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
さらに、前記冷却液の除去を可能にするよう、側面が開いている外郭構造に動作可能なように接続されている冷却液排出口を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
さらに、側面が開いている外郭構造の端と第1の部材の前記部分との間に取り付けられる低温シーリング材を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記液体格納容器は、前記冷却液で第1の部材の前記部分を囲むよう構成される容器を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記液体格納容器は、さらに、取り替え可能な挿入部分を含み、前記挿入部分が、様々な形状の部材を前記液体格納容器に挿入することができるよう調節可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
さらに、冷却液の使用量を低減するため、前記容器内に空間を占めるよう構成される取り外し可能な充填材を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
第1の部材は、銅、チタニウム、アルミニウム、炭素鋼、スズ、鉄、およびそれらの合金または複合材料より成る群から選択される溶接可能な材料より成る、請求項12に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−545537(P2008−545537A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515906(P2008−515906)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022234
【国際公開番号】WO2006/133343
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】