説明

段ボール折れ精度検査方法及び装置

【課題】段ボールシートの製函工程において、段ボール箱の接合部に形成されたフラップ間隔を撮像して、段ボール箱の折れ精度を判定する場合に、該フラップ間隔を形成するフラップ端部の判別を容易にする。
【解決手段】接着片014により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱01の接着部に形成されるフラップ間隔Δf、Δfが正常範囲内であるか否かを検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査方法において、フラップ間隔を形成する段ボールシート部S又はフラップ間隔の上下に隣接する段ボールシート部に、段ボールシート色と異なる色となるように液体又は固体のコントラスト剤tを付着させて着色し、該フラップ間隔を撮像装置40で撮像し、撮像した画像からフラップ間隔を抽出して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲータで製造された段ボールシートを段ボール箱に成型する製函工程において、段ボールシートの接着部に隣接して形成されたフラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を検査する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、段ボール箱は、一端の側板の側面に設けられた接着片が他端の側板に重合接着されて四角筒状の胴体部が形成され、各側板の上下に連設されたフラップによって底部と天部が形成される。しかし、側板の折り曲げ具合によっては、接着片の重なり幅が広すぎたり、逆に狭すぎたりする場合があり、この場合には意図した形状にならなくなるという不都合がある。
【0003】
図15(a)は、段ボール箱01の展開図であり、側板02から05に夫々天フラップ06〜09と底フラップ010〜013が連設されている。また、図面右端の側板05には接着片014が一体成形されており、図15(b)に示すように、側板05と図面左端の側板02とを内側に折り曲げて、接着片014を側板02に重合して接着することで、四角筒状の胴体が形成される。そして、底フラップ及び天フラップを折り曲げることにより、段ボール箱01の底蓋及び天蓋が形成される。
【0004】
図15(b)は接着片014により重合されて扁平とされた状態の段ボール箱01を示し、図15(c)は扁平とされた段ボール箱01の側面図である。側板05と側板02とを内側に折り曲げて重合接着する際に、折り位置が正常位置からずれると、側板05に連設されたフラップ013と側板02に連設されたフラップ010との間隔(フラップ間隔)Δfが広すぎたり、あるいは逆に狭すぎたりする状態となる。そして、このような状態では所望形状の段ボール箱を形成できない。
【0005】
従って、フラップ間隔Δfを検査することにより、接着片014による段ボール箱01の接合状態が正常か否かを判別し、これによって、段ボール箱の折り位置が正常かどうかの折れ精度を判定することができる。
【0006】
特許文献1(特開平9−22464号公報)には、フラップ間隔Δfを検知して段ボール箱の接合部の正常又は不良を自動的に判定する手段が開示されている。この手段は、折り畳まれ糊付けされた扁平な段ボール箱を1枚ごとにベルトコンベアで搬送し、搬送中の扁平な段ボール箱の上からCCDカメラで糊付部の両側に隣接したフラップ間隔Δfを撮像することにより、段ボール箱の接合状態の良否を判定するようにしたものである。
【0007】
しかし、製函ラインの折り曲げ工程では、段ボールシートを折り曲げて四角筒状に接合した後、折り曲げ部の出口で段ボール箱の数がカウントされて積み上げられ、段ボール箱群(段ボールシートバッチともいう。)とされる。
そして、このときに段ボール箱群の端面を前後に複数回押さえつけて貼り付け状態を矯正させるスケアリングが行われ、この段ボール箱群の状態で結束機に搬送されるものもある。従って、折り曲げ及び糊付け工程後の製函ラインでは、段ボール箱を1枚毎に搬送する所がなく、また折れ精度はスケアリングによる矯正後に決定するため、特許文献1に開示された手段では、製函ラインでの折れ精度の検査を行なうことができない。また、特許文献1の手段では、段ボール箱を1枚ごとに検査するため、効率が悪いという問題がある。
【0008】
そこで、特許文献2(特開2001−124528号公報)及び特許文献3(特開2001−330414号公報)には、上下に同じ向きに整列されて積み上げられた段ボールシート群の状態でフラップ間隔Δfを検知できる手段が開示されている。これらの手段は、製函ラインの折り曲げ部出口側でCCDカメラとCCDカメラで撮像した画像を処理する画像処理装置とを備え、積み上げられた段ボール箱群の端面をCCDカメラで撮像し、その映像を画像処理装置で画像処理することにより、フラップ間隔Δfを検知している。
【0009】
【特許文献1】特開平9−22464号公報
【特許文献2】特開2001−124528号公報
【特許文献3】特開2001−330414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2又は特許文献3に開示された手段は、段ボールシート群の端面をCCDカメラ等で撮影し、撮影した画像から接合部のフラップ間隔を形成するフラップ端部を検知することにより、該フラップ間隔を計測するものである。このように撮像した画像の一例を図16に示す。図16において、段ボール箱01は表ライナ紙u及び裏ライナ紙uと、表裏ライナ紙間に配置される波形成形された中芯紙nとで構成されている。表裏ライナ紙や中芯紙の紙厚は通常0.1〜0.2mmであり、段ボールシートの厚さhは通常1〜5mmである。また、フラップ間隔Δfは通常3〜9mmである。
【0011】
撮像した画像の処理を行なう場合、検知すべきフラップ端部のライナ紙端部uの状態により、隣接する裏ライナ紙uとの判別ができない場合がある。即ち、ライナ紙端部uが隣接する裏ライナ紙uにくっつくと、ライナ紙端部uの判別ができず、そのため、フラップ間隔Δfを正確に計測できない場合がある。この場合、段ボール箱の折れ精度の良否を判定することができない。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、段ボールシートの製函工程において、段ボール箱の接合部に形成されたフラップ間隔を撮像して、段ボール箱の折れ精度を判定する場合に、該フラップ間隔を形成するフラップ端部と該フラップ端部に隣接するライナ紙との判別を容易にすることにより、段ボール箱の折れ精度を正確に判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明の段ボール折れ精度検査方法は、
接着片により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱の接着部に形成されるフラップ間隔が正常範囲内であるか否かを検知することによって、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査方法において、
フラップ間隔を形成する段ボールシート部又はフラップ間隔の上下に隣接する段ボールシート部に、段ボールシート色と異なる色となるように液体又は固体のコントラスト剤を付着させて着色し、
該フラップ間隔を撮像装置で撮像し、撮像した画像からフラップ間隔を抽出して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定するものである。
【0014】
本発明方法では、接着部に形成されるフラップ間隔を形成する互いに対面するフラップ端部と、該端部に隣接するライナ紙との判別を容易にするため、フラップ間隔を形成する段ボールシート部又はフラップ間隔の上下に隣接する段ボールシート部のどちらかに、液体又は固体のコントラスト剤を付着させる。これによって、フラップ端部を隣接するライナ紙に対して明瞭に判別でき、フラップ端部が形成するフラップ間隔を正確に計測できるようになる。
コントラスト剤として、例えば、石油系塗料、水性塗料、退色性塗料、蛍光塗料、水、可視光、蛍光粉体、又はカラーシール等を使用するとよい。
【0015】
本発明方法において、コントラスト剤を段ボールシートに付着させる時期は、段ボールシートの製函工程前に行なうとよい。フラップ間隔を形成する段ボールシート部にコントラスト剤を付着させる場合には、製函工程前に上下に同じ向きに積み上げられた段ボールシート群の四隅の長辺側端面にコントラスト剤を付着させて着色し、製函工程で折り曲げ接着後に上下に同じ向きに積み上げられた段ボール箱群において、前記着色工程で長辺側端面が着色されたフラップ間の間隔を撮像装置で撮像して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定するようにするとよい。
【0016】
着色されるフラップ端部は、製函工程前の平坦な状態の段ボールシートでは、段ボールシートの長辺側両端部に位置するため、コントラスト剤付着装置の配置が容易になる。そして、製函工程の折り曲げ及び接着工程の後で、着色されたフラップ端部を検知可能な撮像装置で撮像し、これによって、前記フラップ間隔を計測する。
【0017】
本発明方法において、フラップ端部の着色領域を、接着片側のフラップでは、シート端から該接着片の接着代幅に10〜40mmを加算したまでの領域とし、該接着片側フラップに隣接する側のフラップではシート端から10〜40mmまでの領域とするとよい。これによって、製函工程の溝切り・罫線入れ後も着色部を撮像に支障のない分だけ残すことができ、フラップ間隔の計測に支障を来たすことがないと共に、余分にコントラスト剤を付着しないで済む。
【0018】
また、本発明方法において、製函工程前に上下に同じ向きに積み上げられた段ボールシート群の四隅の長辺側端面にシート面に交差する方向に着色ラインを形成し、その後フラップ間隔検知工程において、折り曲げ接着後の該着色ライン間の間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定してもよい。
【0019】
この着色ラインは長辺側端面からの距離を予め決めておく。そして、折り曲げ接着後の該着色ライン間の間隔を計測することによって、フラップ間隔を検知できる。これによって、フラップ間隔を形成するフラップ端部の識別が困難な場合でも、該着色ライン間の間隔を計測することによって、フラップ間隔を正確に計測することができる。
従って、該フラップ端部の断面が不揃いで不明瞭でも、フラップ間隔を正確に計測することができる。また、形成する着色ラインの色又は太さなどを計測が容易となるように選択することができる。
【0020】
また、本発明方法において、製函工程で折り曲げ接着後に前記フラップ間隔を形成するフラップ端部と上又は下に隣接するシート部分を段ボールシート幅、各フラップ幅及び前記接着片の接着代幅から計算し、該隣接シート部分の端面を10〜40mmの幅で着色するように、製函工程前に上下に同じ向きに積み上げられた段ボールシート群の前記計算結果に基づいた長辺側中央部端面にコントラスト剤を付着して着色し、その後上下に同じ向きに積み上げられた段ボール箱群において、前記フラップ間隔を撮像装置で撮像して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定するようにしてもよい。
【0021】
製函工程で折り曲げ接着後にフラップ間隔を形成するフラップ端部に隣接するシート部分の端面を着色することにより、該フラップ間隔を形成するフラップ端部の識別性を向上させ、これによって、該フラップ間隔付近の領域を撮像装置で撮像する際に、該フラップ間隔を正確に検知できるようにしたものである。この場合、段ボールシート群の四隅の長辺側端面にコントラスト剤を付着させる場合より付着箇所が半減するため、付着作業の手間を低減できると共に、付着装置の構成を簡素化できる。
【0022】
本発明方法において、コルゲータで製造され貯留場で上下に同じ向きに積み上げられた製函工程前の段ボールシート群の四隅の長辺側端面又は長辺側中央部端面を着色するようにするとよい。
このように、段ボールシートへの着色をコルゲータで製造された段ボールシートの貯蔵中に行なうことにより、その後行なわれる製函工程で特別に着色工程を設ける必要がなくなる。そして、貯留場で貯留中の十分な時間を使って作業員が手動で又は塗料塗布装置を使って容易に着色を行なうことができる。
【0023】
また、本発明方法において、コルゲータで製造され製函ライン始端部の給紙部で上下に同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置された段ボールシート群の四隅の長辺側端面又は長辺側中央部端面を着色するようにしてもよい。
【0024】
製函ラインの給紙部では、次工程のために段ボールシートが同じ向きに整列して積み上げられると共に、長辺が製函ラインと交差する方向に配置される。この時を利用して段ボールシートへの着色を行なうようにすれば、着色を容易に行なうことができる。また、給紙部では、コントラスト剤付着装置の設置も容易であり、コントラスト剤付着装置を使って着色作業の自動化も可能である。
【0025】
また、本発明方法において、製函工程で段ボールシートが接着片により重合接着された後、上下に同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置された段ボールシート群を平面状の押圧面を有し互いに平行に配置された一対の押圧板で該段ボールシート群の短辺側を押圧することにより、段ボールシートの接合状態を矯正する工程を設け、該矯正工程の後でフラップ間隔検知工程を行なうようにするとよい。
【0026】
前記矯正工程で、互いに平行に配置された一対の押圧板で段ボールシートを短辺側から押圧することで、接合状態が不良な段ボールシートの接合状態をかなり矯正することができる。かかる矯正工程の後で検査工程を行なうことで、製品出荷段階での折れ精度品質を検査するができる。
【0027】
また、本発明方法において、コントラスト剤として退色性塗料を使い、製函工程終了後に該コントラスト剤の着色が消えるようにするとよい。これによって、製函工程後にコントラスト剤の色が消えるので、製品としての価値を損なわない。
【0028】
前記本発明方法を実施するための第1の本発明の段ボール折れ精度検査装置は、
接着片により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱の接着部に形成されるフラップ間隔が正常範囲内であるか否かを検知することによって、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査装置において、
製函ラインの給紙部に設けられコントラスト剤付着装置が装着された付着装置本体と、
該給紙部で同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置された段ボールシート群に対して該付着装置本体を進退自在に移動させる移動装置と、
該付着装置本体に設けられ段ボールシート群の短辺側に当接して該コントラスト剤付着装置を段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置決めする位置決め部材と、
製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程の後に設けられ前記フラップ間隔を撮像する撮像装置と、を備え、
該コントラスト剤付着装置により該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を塗布して着色し、製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程後に該フラップ間隔を撮像装置で撮像するように構成したものである。
【0029】
製函ラインの給紙部では、複数の段ボールシートが上下に同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置される。第1の本発明装置では、この時を利用して段ボールシートの長辺側のコントラスト剤付着領域に着色する。そのため、該給紙部にコントラスト剤付着装置を設けている。本発明装置では、給紙部に配置された段ボールシート群に対して付着装置本体を接近させる。そして、位置決め部材が段ボールシート群の短辺側に当接することにより、コントラスト剤付着装置を段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置させる。次に、位置決めされたコントラスト剤付着装置により該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着する。
【0030】
そして、製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程の後で、撮像装置により接着部に形成されるフラップ間隔を撮像し、撮像した画像から該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定する。このように、製函ラインの給紙部にコントラスト剤付着装置を設けることにより、簡単な装置構成でコントラスト剤付着領域の着色を行なうことができる。
【0031】
第1の本発明装置において、コントラスト剤付着装置が、段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に対して進退可能なコントラスト剤付着ローラを備え、該コントラスト剤付着ローラを該コントラスト剤付着領域に接触させて該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着するように構成した接触式のコントラスト剤付着装置であってもよい。
あるいは、コントラスト剤付着装置が、段ボールシートに対面して上下方向に移動可能なコントラスト剤付着ノズルを備え、該コントラスト剤付着ノズルからコントラスト剤を噴射させてコントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着するように構成した非接触式コントラストの剤付着装置であってもよい。
【0032】
前記両装置において、共に、簡素な構成でコントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着することができる。そして、前記移動装置としてエアシリンダ、リニアガイド又はロボットアームを用いるとよい。エアシリンダを用いれば、空気の弾性力により、位置決め部材を段ボールシートの短辺側にソフトタッチさせることができる。リニアガイドを用いれば、移動装置を簡素化かつ低コスト化できる。また、ロボットアームを用いれば、コントラスト剤付着装置が装着された付着装置本体を3次元の動きを精度良く制御でき、コントラスト剤の付着領域を精度良く決定することができる。
【0033】
第2の本発明の段ボール折れ精度検査装置は、
接着片により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱の接着部に形成されるフラップ間隔が正常範囲内であるか否かを検知することによって、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査装置において、
製函ラインの給紙部から折り曲げが完了するカウンターエゼクタ間に設置され,搬送される段ボールシート1枚ごとにコントラスト剤を付着させる装置と、
該コントラスト剤付着装置を段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置決めする位置決め装置と、
コントラスト剤を段ボールシートに付着するタイミングを検出するシート移動検出装置と、
製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程の後に設けられ積み重ねられた段ボールシート群の前記フラップ間隔を撮像する撮像装置とを備え、
該コントラスト剤付着装置により該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着して着色し、製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程後に該フラップ間隔を撮像装置で撮像するように構成したものである。
【0034】
第2の本発明装置においては、製函ラインの給紙部から折り曲げが完了し、段ボールシートの計数と積上げを行なうカウンターエゼクタ間にコントラスト剤付着装置を設けるようにしたものである。そして、コンベア上を1枚ごとに搬送される段ボールシートに1枚ごとにコントラスト剤を付着させるようにしたものである。
このように、段ボールシート1枚ごとにコントラスト剤を付着させるようにしたので、付着領域に確実にコントラスト剤を付着させることができる。また、製函ラインの給紙部からカウンターエゼクタ間を搬送中の段ボールシートにコントラスト剤を付着するようにしたので、特に着色工程を新たに設ける必要がない。
【0035】
第1及び第2の本発明装置において、計測した段ボールシートの折れ精度が設定値より悪いと判定された不良段ボールシートの計測結果と共に、該段ボールシートが積み重ねられた段ボールシート群の何層目に存在しているかを表示又は記録する装置を備えるようにするとよい。そしてさらに、該表示又は記録装置から前記不良段ボールシートの位置情報を得て、積み重ねられた段ボールシート群から該不良段ボールシートを抜き取る抜き取り装置を備えるようにすれば、折れ精度が不良と判定された段ボールシートを製函された段ボールシートから取り除くことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明方法によれば、フラップ間隔を形成する段ボールシート部又はフラップ間隔の上下に隣接する段ボールシート部に、段ボールシート色と異なる色となるように液体又は固体のコントラスト剤を付着させて着色し、該フラップ間隔を撮像装置で撮像し、撮像した画像からフラップ間隔を抽出して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の成型後に該フラップ端部の判別が容易になる。これによって、該フラップ間隔を正確に計測することができ、段ボールシートの折れ精度の判定が容易になり、該フラップ端部に隣接するライナ紙の影響を小さくすることができる。
【0037】
また、第1の本発明装置によれば、製函ラインの給紙部に、コントラスト剤付着装置が装着された付着装置本体と、該付着装置本体を段ボールシート群に対して進退自在に移動させる移動装置と、該コントラスト剤付着装置を段ボールシート群の長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置決めする位置決め部材と、を備えたことにより、簡素な構成でコントラスト剤付着領域の着色を行なうことができる。
【0038】
また、第2の本発明装置によれば、製函ラインの給紙部から折り曲げが完了するカウンターエゼクタ間に設置され、搬送される段ボールシート1枚ごとにコントラスト剤を付着させる装置と、該コントラスト剤付着装置を段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置決めする位置決め部材と、コントラスト剤を段ボールシートに付着するタイミングを検出するシート移動検出装置と、製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程の後に設けられ積み重ねられた段ボールシート群のフラップ間隔を撮像する撮像装置と、を備えたことにより、個々の段ボールシートの付着領域に確実にコントラスト剤を付着させることができると共に、特に着色工程を新たに設ける必要がなく、製函ラインの構成を大掛かりにする必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0040】
(実施形態1)
本発明方法及び第1の本発明装置に係る第1実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1は段ボール箱の製函ラインを示す全体構成図である。図1において、右側が製函ラインの始端部であり、矢印a方向に沿って段ボールシートが搬送されて製函工程が実施される。製函工程の上流側で、図16に示すように、表ライナ紙u及び裏ライナ紙uと、これらの間に介在する波形の中芯紙nからなる段ボールシートSが製造され、複数の段ボールシートSが給紙部Aに積み上げられる。
【0041】
給紙部Aでは、複数の段ボールシートSが上下に同じ向きに整列されて積み上げられた段ボールシート群Gを形成する。給紙部Aから段ボールシートSが1枚ずつフレキソ印刷部Bに送られる。フレキソ印刷部Bでは、段ボールシートSに1色ずつ合計4色の印刷がなされ、印刷された段ボールシートSは排紙部Cに送られる。その後、ダイカット部Dで段ボールシートSに溝切り及び罫線入れがなされ、図15(a)に図示された状態となる。
【0042】
その後、フォルディング部Eで接着片014に糊付けされ、折り曲げられて接着片014が側板02と重合されて接着されることで、図15の(b)及び(c)に図示された四角筒状の段ボール箱01が成型される。次に、段ボール箱01は、扁平状態でカウンタエゼクタ部Fに送られて、数をカウントされながら上下に同じ向きに整列されて積み上げられ、所定枚数毎の段ボール箱群Gをなす。その後、搬送コンベアによって下流側に配設された結束機に搬送され、そこで結束される。
【0043】
本実施形態においては、給紙部Aに、図2に示す塗料塗布装置20が設けられる。塗料塗布装置20によって、段ボールシートSの四隅の長辺側端面に着色塗料が塗布されて、該長辺側端面領域が着色される。2組の塗料塗布装置20が段ボールシートSの両側の短辺側端面sに対面して配置されている。塗料塗布装置20は、塗料塗布ローラ21が装着された塗布装置本体22と、塗布装置本体22をガイドロッド23を介して段ボールシート群Gに対して進退可能に、即ち、矢印b方向に往復移動させる移動装置24とからなる。移動装置24はエアシリンダで構成されている。
【0044】
塗布装置本体22には位置決め部材25が設けられ、塗布装置本体22が段ボールシート群Gの短辺側端面sに向かって移動するときに該位置決め部材25の位置決め面25aが短辺側端面sに当接して塗布装置本体22が位置決めされる。
塗布装置本体22には、支持ブラケット26が矢印c方向に往復動自在に取り付けられ、支持ブラケット26に上下方向に配置された支軸27を介して塗料塗布ローラ21が回動自在に装着されている。塗料塗布ローラ21は、段ボールシート群Gの高さ分の軸長を有する。
【0045】
塗布装置本体22が位置決め部材25により位置決めされた状態で、塗布装置本体21に設けられた図示しない駆動装置により、塗料塗布ローラ21が矢印c方向に移動して段ボールシート群Gの長辺側端面lに当接する。塗料塗布ローラ21には塗料が付着されており、この状態で移動装置24により塗布装置本体22を移動装置24側に戻すことにより、長辺側端面lの四隅に塗料を塗布することができる。
移動装置24はエアシリンダで構成されているため、空気の弾性力を利用して、段ボールシート群Gの短辺側端面sにソフトタッチで位置決め部材25を接触させることができる。従って、段ボールシート群Gを破損させるおそれはない。
【0046】
塗料の塗り幅は、接着片014が形成される側では、端から接着片014の(接着代幅+10〜20mm)とし、接着片014が形成されない側は端から10〜20mmとする。これによって、糊付け及び折り曲げ工程後に撮像可能な着色部を残すことができる。
【0047】
図3は、図2に示す塗料塗布装置20の変形例を示す。この変形例では、塗料塗布ローラ21’が支持ブラケット26’に水平方向に取り付けられた支軸27’を介して回動自在に装着されている。そして、支持ブラケット26’は、塗布装置本体22に対して、段ボールシート群Gの高さ分だけ上下動可能に装着されている。かかる構成によれば、支持ブラケット26’を上下に移動させることにより、長手方向軸長の短い塗布ローラ21’で段ボールシート群Gの長辺側端面lに塗料を塗布することができる。従って、塗料塗布ローラ21’の軸長を短縮することができる。
【0048】
図4は、塗料塗布装置20の別な構成例を示す。図4において、図2と同一符号を付した部材又は機器は同一のものである。塗布装置本体22に対して支持ブラケット26を矢印c方向及び上下方向に移動自在に構成し、支持ブラケット26に塗料tを噴射する塗料塗布ノズル28を装着したものである。塗料塗布ノズル28に図示しない塗料供給経路を接続し、塗料塗布ノズル28から段ボールシート群Gの長辺側端面lの四隅に塗料tを吹き付けるようにする。かかる構成により、段ボールシート群Gの長辺側端面lと非接触で塗料tを塗布することができる。
【0049】
給紙部Aに設けられた塗料塗布装置20により長辺側端面lの四隅に塗料tを塗布された段ボールシート群Gは、製函ラインのフレキソ印刷部Bからフォルディング部Eまで送られ、その間に接着片014が側板02と重合接着されて四角筒状に形成され扁平となった段ボール箱01に成型される。図5に、塗料を塗布された着色部分の製函工程中の状態を模式的に示す。図5において、給紙部Aで段ボールシートSの長辺側端面lの四隅に形成された着色部dが、フォルディング部Eで折り曲げられ、フラップ間隔を介して互いに隣接する。
【0050】
その後、カウンタエゼクタ部Fで上下に同じ向きに揃えられて積み上げられた段ボールシート群Gを形成する。ここで図6に示すように、側板02と接着片014とで重合接着された段ボール箱01の接合状態を矯正する矯正工程を実施する。
図6において、搬送路に位置する段ボール箱群Gの短辺s、sに対面して一対の加圧装置30が設置されている。加圧装置30は、加圧装置本体31と、加圧装置本体31に矢印e方向に往復動可能な加圧ロッド32を介して接続された押圧板33とから構成されている。図中、l及びlは段ボール箱01の前側及び後側の長辺側端面である。
【0051】
かかる構成の加圧装置30を作動させ、段ボール箱群Gを短辺s、s側から一対の押圧板33で押圧する。一対の押圧板33は互いに並行に配置されており、この押圧板33で段ボール箱群Gを両側から押圧することにより、互いに接合している側板02と接着片014の相対的な曲がりをなくし、段ボール箱群G2の接合状態をかなり矯正することができる。こうして矯正された段ボール箱群Gの接着片014に隣接したフラップ間隔Δfを撮像装置で撮像する。この撮像工程を図7に基づいて説明する。
【0052】
図7において、段ボール箱群Gは矢印a方向に搬送され、各段ボールシートSには、接着片014に隣接したフラップ間隔Δf及びΔfが形成されている。撮像装置40は、カメラ41及び42と図示しない画像処理装置とからなる。カメラ41及び42は、例えば、色を識別できるCCDカメラで構成される。CCDカメラ41は、前側の長辺側端面lのフラップ間隔Δf付近を撮像し、CCDカメラ42は、後側の長辺側端面lのフラップ間隔Δf付近を撮像する。
【0053】
撮像した画像を図示しない画像処理装置で処理してフラップ間隔Δf及びΔfを計測する。この画像処理手順を図8に基づいて説明する。図8において、まず、CCDカメラ41又は42から送られる画像情報を平滑化処理して照明むら等を除去する(S10)。次に、この平滑化された画像から着色部dに着色された色を抽出し、2値画像に変換する(S20)。
【0054】
隣接するフラップ端部の着色部dに塗布される塗料tの色は、段ボールシートの色に対して識別性を有する色、例えば青等がよい。また、塗料tは製函工程施行後に色が消える塗料を用いるとよい。例えば塗布後1〜24時間後に消える塗料を使用する。これによって、製函後の段ボール箱01に塗料の形跡が残らないので、段ボール箱01の製品価値を損なうことがない。該塗料の例として、チェックマーカ(内外カーボンインキ(株)商品名)又はカラーマーク ブルー又はレッド(サカタインクス社商品名)等がある。
【0055】
次に、このようにして2値化処理された画像の中からフラップ間隔Δf及びΔfのみを抽出する処理を繰り返す(S30)。このような処理を順次行なって、フラップ間隔Δf及びΔf付近の領域を画像の中から抽出する。図9に示すように、着色部dが例えば青で着色される。前記2値画像では、着色部dを抽出する。
【0056】
次に、抽出されたフラップ間隔Δf及びΔf付近の画像をラベリング処理によって各段ボール箱毎に割り付け(S40)、段ボール箱1枚毎のフラップ間隔Δf及びΔfを区別した上で、夫々のフラップ間隔を求め、予め求められている画像寸法と実寸法との換算係数を掛けて、フラップ間隔Δf及びΔfの実際の寸法を算出する(S50)。このようにして算出した寸法から各段ボール箱01の折れ精度を判定する(S60)。即ち、算出した寸法が適正範囲(設定値)から外れた段ボール箱01は、製函ラインから取り除かれる。
【0057】
本実施形態では、図9において、着色したライナ紙端部uを検知し、高さ方向に段差がある箇所をライナ紙端部とする。このように、各段ボール箱01の接着片014に隣接するフラップ間隔Δf及びΔfを形成するフラップ端部を着色し、該フラップ間隔付近の領域を撮像した画像から着色された色のみを抽出し、該抽出画像を2値化処理しているので、着色部dのみを鮮明に識別することができる。従って、フラップ隣接端部のライナ紙端部uが隣接するライナ紙uにくっついた状態となっていても、該端部uを明瞭に識別することができる。そのため、フラップ間隔Δf及びΔfを正確に計測することができる。
【0058】
また、給紙部Aに塗料塗布装置20を配置して、給紙部Aで上下に同じ向きに整列されて積み上げられた段ボールシート群Gに対して塗料を塗布するようにしているので、製函ラインに特別に塗料塗布部を設ける必要がない。従って、製函ラインの設備コストを低減できる。さらに、給紙部Aでは段ボールシートSの長辺側端面lを製函ラインの搬送方向aに対して直交する向きに配置されるので、長辺側端面lの四隅を着色するために、塗料塗布装置20を短辺側端面sに対面させて設置することで、塗布領域近傍に塗料塗布装置20を容易に配置できる。従って、塗布動作が容易になると共に、位置決め部材22の構成を簡素化できる。
【0059】
また、本実施形態では、塗料tとして、製函工程後の着色が消える塗料tを用いているので、製函後の段ボール箱01の商品価値を損ねることがない。さらに、撮像工程の前に、前記矯正工程を設けているので、製品出荷状態での折れ精度品質を検査することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、給紙部Aに塗料塗布装置20を配置しているが、コルゲータで製造された段ボールシートSを貯留する貯留場で塗料を塗布するようにしてもよい。この場合、作業員がハンディな塗布具で行なえば、低コストで行なうことができる。
【0061】
(実施形態2)
次に、本発明方法及び第1の本発明装置に係る第2実施形態を図10及び図11に基づいて説明する。本実施形態では、フラップ間隔Δf及びΔfを形成するフラップ隣接端部に、長辺側端面lの端から予め設定された位置に線状に塗料を塗布して、着色ラインi及びiを形成する。着色ラインi及びiは、段ボールシート面に対して直角方向に平行に線引きされる。そして、実際に成型された段ボール箱01の着色ラインiとi間の間隔Iを計測することにより、フラップ間隔Δf及びΔfを計測することができる。
【0062】
着色ラインi及びiが実際に長辺側端面lに塗布された例を図11に示す。dが実際に長辺側端面lに塗布された着色ポイントである。長辺側端面lの夫々の端から着色ラインi又はiまでの距離j又はjは予め設定されて既知であるので、実測された間隔Iを計測することによって、フラップ間隔Δf及びΔfを計測できる。そして、フラップ間隔Δf及びΔfが正常範囲に入っているか否かで段ボール箱01の折れ精度を良否を判定する。
【0063】
本実施形態によれば、フラップ隣接端部uの判別が困難な場合でも、着色ラインiとi間の間隔Iを計測することで、段ボール箱01の折れ精度の良否を判定することができる。また、着色ラインi又はiの色や太さを撮像が容易になるように適宜選択することができる。
【0064】
(実施形態3)
次に、本発明方法及び第1の本発明装置に係る第3実施形態を図12に基づいて説明する。本実施形態では、製函ラインのフォルディング部Eで段ボールシートSが折り曲げ成型されたときに、フラップ隣接端部uが隣接するシート部分の長辺側端面lを着色領域としたものである。図12に示すように、該着色領域は、長辺側端面lの中央部に位置する。この着色領域に塗料tを塗布して着色部dを形成している。
【0065】
これによって、フォルディング部Eで段ボールシートSが折り曲げ成型されたときに、着色部dにフラップ隣接端部uが隣接するようになる。従って、撮像後の画像処理でフラップ隣接端部uを該シート部分のライナ紙uと容易に識別できるようになる。この場合、塗料tは、黒でもフラップ隣接端部uとの識別は可能である。
【0066】
本実施形態では、塗料塗布領域は段ボールシートSの長辺側中央部端面となる。従って、塗料塗布領域は、1組の段ボールシート群G当り2箇所となる。塗料塗布装置は、基本的には図2〜図4に図示されたものと同一構成のものを使用可能である。しかし、本実施形態では、塗料塗布領域が2箇所と実施形態1と比べて半減するので、それだけ塗料塗布装置の構成を簡素化できる。
【0067】
(実施形態4)
次に、本発明方法及び第2の本発明装置に係る第4実施形態を図13及び図14に基づいて説明する。図13は、図1に示すフォルディング部Eに配設された搬送ベルト50を示す。搬送ベルト50は4本のベルト片50a〜dからなり、搬送方向aに向けてベルト片50b及び50dがベルト片50a及び50cの下方へかつ中央側に狭まるように配置されている。段ボールシートSの側板02がベルト片50cとベルト片50dに挟まれ、段ボールシートSの側板05がベルト片50aとベルト片50bとに挟まれた状態で搬送ベルト50上を搬送方向aに搬送されると、ベルト片50b及び50dによって、段ボールシートSの側板02および05が段ボールシートSの側板03,04側に折り曲げられる。
【0068】
搬送ベルト50を挟んで搬送ベルト50の上下に1対の透過型シートセンサ51a及び51bが配置されている。透過型シートセンサ51a、51bは、段ボールシートSによる反射光の遮断を検知したら、段ボールシートSの先端が所定の位置に到達し、その後、透過型シートセンサ51a、51bが反射光を再受信したら段ボールシートSの後端が所定の位置に到達したと判断する。透過型シートセンサ51a、51bの下流側にはコントラスト剤の噴射装置52a及び52bが搬送ベルト50上を搬送される段ボールシートSに向けて配置されている。
【0069】
噴射装置52a及び52bは、位置決め装置53a又は53bに、搬送ベルト50の搬送方向aと直交する矢印n方向に移動可能に支持され、位置決め装置53a、53bに設けられた図示しない駆動装置により矢印n方向に移動可能に構成されている。
【0070】
こうして、コントローラ54では、透過型シートセンサ51a、51bの段ボールシート検知信号を受けると、段ボールシートSの搬送速度と、透過型シートセンサ51a、51bの設置位置と噴射装置52a、52bの設置位置との距離を元に、噴射装置52a、52bのコントラスト剤の噴射タイミングを算出する。そして、段ボールシートSが噴射装置52a、52bの設置位置に到達したタイミングで、噴射装置52aからコントラスト剤tを段ボールシートS先端側の長辺側端面lに噴射し、噴射装置52bからコントラスト剤tを段ボールシートS後端側の長辺側端面lに噴射する。
【0071】
噴射装置52a及び52bは搬送ベルト50の幅方向に移動可能であり、段ボールシートSの形状データ55、及びダイカット部Dで段ボールシートSに溝切り及び罫線入れした溝切り及び罫線の位置データ56を元に、予めフラップ間隔付近に移動しておく。そして、段ボールシートSが到達したら、フラップ間隔付近の長辺側端面にコントラスト剤を噴射する。
【0072】
図14はカウンターエゼクタ部Fに設置された撮像装置60及び不良段ボールシートの抜き取り装置70を示す。図14において、CCDカメラ61a及び61bで段ボールシートSの長辺側端面l及びlが撮像される。CCDカメラ61a、61bで撮像された映像はコントローラ54に送られ、コントローラ54で、図8に示す画像処理(S10→S60)が行なわれる。そして、算出されたフラップ間隔Δf及びΔfの実際の寸法を適正範囲(設定値)と比較して、段ボール箱群Gの中の各段ボールシートSの折れ精度の良不良を判定する。
【0073】
また、高さセンサ62が設けられ、折れ精度が不良と判定された段ボールシートSのナンバーと、高さセンサ62で検知した段ボール箱群Gの高さとから、不良段ボールシートSの位置を算出する。コントローラ54中には、不良段ボールシートSが段ボール箱群Gの何層目に存在するかを記録する記録装置63が内蔵されている。
【0074】
次に、不良段ボールシートSの抜き取り装置70の構成を説明する。積上げられた段ボール箱群Gに隣接して1対の押え板71を上下方向(矢印k方向)に移動可能に支持する支持柱72が立設されている。押え板71間には、ちょうど1枚の段ボールシートSを抜き取り可能なだけの間隔pが開けられている。支持柱72には、押え板71を間隔pを開けた状態で上下に移動させる駆動装置73が設置されている。コントローラ54で、不良段ボールシートSの存在とその位置を算出すると、コントローラ54で、間隔pが不良段ボールシートSに位置するように駆動装置73を作動させる。
【0075】
一方、押え板73とは別に、1対の抜き取りアーム74と、抜き取りアーム74を矢印m方向に摺動可能に支持するアーム本体75と、アーム本体75を上下方向(矢印k方向)及び水平方向(矢印n方向)に移動可能に支持すると共に、抜き取りアーム74を矢印m方向に移動させて抜き取りアーム74間の間隔を調整可能にする駆動装置76が配設されている。駆動装置76には、コントローラ54で算出した不良段ボールシートSの存在とその位置を表示する表示装置77が設けられている。
【0076】
コントローラ54は、駆動装置76を制御して、アーム本体75を上下又は水平方向に移動させると共に、抜き取りアーム74間の間隔を調整して、押え板71の間隔pから段ボール箱群Gの両側に押え板71を挿入させるようにする。そして、1対の抜き取りアーム74で不良段ボールシートSを囲むように載置させ、抜き取りアーム74を駆動装置76側に戻すようにして、不良段ボールシートSを抜き取る。
【0077】
本実施形態によれば、フォルディング部Eで搬送ベルト50上を1枚ごとに搬送される段ボールシートSに対して、透過型シートセンサ51aでその位置を検知し、その検知信号から噴射装置52a、52bに到達する時間を算出した上で、段ボールシートSにコントラスト剤を噴射するようにしているので、各段ボールシートSの先端側及び後端側の両長辺側端面l及びlの付着領域にコントラスト剤を正確に噴射することができる。
【0078】
また、CCDカメラ61a、61bの撮像結果と、高さセンサ62による段ボール箱群Gの高さ上方とから、コントローラ54によって、押え板71と抜き取りアーム74とを移動させて、不良段ボールシートSを段ボール箱群Gから抜き取るようにしているので、不良段ボールシートSの段ボール箱群Gからの抜き取りを自動化することができる。
また、アーム本体75の駆動装置76に不良段ボールシートSの存在とその位置を表示する表示装置77を設けているので、作業員が不良段ボールシートSの位置を確認しながら作業を進めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、段ボールシートの製函工程において、段ボールシートの接着部に形成されたフラップ間隔を撮像して、段ボールシートの折れ精度を判定する場合に、該フラップ間隔を形成するフラップ端部の識別を容易にすることにより、段ボールシートの折れ精度を正確に判定できることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る製函ラインの全体構成図である。
【図2】前記第1実施形態に係る塗料塗布装置の平面図である。
【図3】塗料塗布装置の変形例の平面図である。
【図4】塗料塗布装置の別な変形例の平面図である。
【図5】前記第1実施形態の着色工程及び折り曲げ工程の模式図である。
【図6】前記第1実施形態の矯正工程の平面図である。
【図7】前記第1実施形態の撮像工程の斜視図である。
【図8】前記第1実施形態の画像処理工程のフローチャートである。
【図9】前記第1実施形態の段ボールシートの撮像図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る着色工程及び折り曲げ工程の模式図である。
【図11】前記第2実施形態の段ボールシートの撮像図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る着色工程及び折り曲げ工程の模式図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係るコントラスト剤付着装置の斜視図である。
【図14】前記第4実施形態に係る撮像装置の斜視図である。
【図15】(a)は段ボールシートの平面図、(b)は折り曲げ接着後の段ボール箱01の平面図、(c)は段ボール箱の長辺側端面の側面図である。
【図16】従来の段ボール箱の長辺側端面の撮像図である。
【符号の説明】
【0081】
01 段ボール箱
06〜09 天フラップ
010〜013 底フラップ
014 接着片
20 塗料塗布装置
21 塗料塗布ローラ
22 塗布装置本体
24 移動装置
25 位置決め部材
28 塗料塗布ノズル
30 加圧装置
33 押圧板
40、60 撮像装置
51a、51b 透過型シートセンサ(シート移動検出装置)
52a、52b コントラスト剤噴射装置
53a、53b 位置決め装置
54 コントローラ
62 高さセンサ
63 不良段ボールシート記録装置
70 不良段ボールシート抜き取り装置
71 押え板
74 抜き取りアーム
77 不良段ボールシート表示装置
d 着色部
Δf、Δf、Δf フラップ間隔
、i 着色ライン
l、l、l 段ボールシートの長辺側端面
s、s、s 段ボールシートの短辺側端面
t 塗料
段ボールシート群
段ボール箱群
S 段ボールシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着片により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱の接着部に形成されるフラップ間隔が正常範囲内であるか否かを検知することによって、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査方法において、
フラップ間隔を形成する段ボールシート部又はフラップ間隔の上下に隣接する段ボールシート部に、段ボールシート色と異なる色となるように液体又は固体のコントラスト剤を付着させて着色し、
該フラップ間隔を撮像装置で撮像し、撮像した画像からフラップ間隔を抽出して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定することを特徴とする段ボール折れ精度検査方法。
【請求項2】
前記コントラスト剤が石油系塗料、水性塗料、退色性塗料、蛍光塗料、水、可視光、蛍光粉体、又はカラーシールであることを特徴とする請求項1に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項3】
製函工程前に上下に同じ向きに積み上げられた段ボールシート群の四隅の長辺側端面にコントラスト剤を付着させて着色し、
製函工程で折り曲げ接着後に上下に同じ向きに積み上げられた段ボール箱群において、前記着色工程で長辺側端面が着色されたフラップ間の間隔を撮像装置で撮像して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定することを特徴とする請求項1に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項4】
コントラスト剤による着色領域を、前記接着片側のフラップでは、シート端から該接着片の接着代幅に10〜40mmを加算したまでの領域とし、該接着片側フラップに隣接する側のフラップではシート端から10〜40mmまでの領域としたことを特徴とする請求項1又は3に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項5】
製函工程前に上下に同じ向きに積み上げられた段ボールシート群の四隅の長辺側端面にシート面に交差する方向に着色ラインを形成し、
その後前記フラップ間隔検知工程において、折り曲げ接着後の該着色ライン間の間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定することを特徴とする請求項3に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項6】
製函工程で折り曲げ接着後に前記フラップ間隔を形成するフラップ端部と上又は下に隣接するシート部分を段ボールシート幅、各フラップ幅及び前記接着片の接着代幅から計算し、該隣接シート部分の端面を10〜40mmの幅で着色するように、製函工程前に上下に同じ向きに積み上げられた段ボールシート群の前記計算結果に基づいた長辺側中央部端面にコントラスト剤を付着して着色し、
その後上下に同じ向きに積み上げられた段ボール箱群において、前記フラップ間隔を撮像装置で撮像して該フラップ間隔を検知することにより、段ボール箱の折れ精度を判定することを特徴とする請求項1又は3に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項7】
コルゲータで製造され貯留場で上下に同じ向きに積み上げられた製函工程前の段ボールシート群の四隅の長辺側端面又は長辺側中央部端面を着色することを特徴とする請求項3又は6に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項8】
コルゲータで製造され製函ライン始端部の給紙部で上下に同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置された段ボールシート群の四隅の長辺側端面又は長辺側中央部端面を着色することを特徴とする請求項3又は6に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項9】
製函工程で段ボールシートが接着片により重合接着された後、上下に同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置された段ボールシート群を平面状の押圧面を有し互いに平行に配置された一対の押圧板で該段ボールシート群の短辺側を押圧することにより、段ボールシートの接合状態を矯正する工程を設け、
該矯正工程の後で前記フラップ間隔検知工程を行なうようにしたことを特徴とする請求項3又は6に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項10】
前記コントラスト剤として退色性塗料を使い、製函工程終了後に該コントラスト剤の着色が消えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の段ボール折れ精度検査方法。
【請求項11】
接着片により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱の接着部に形成されるフラップ間隔が正常範囲内であるか否かを検知することによって、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査装置において、
製函ラインの給紙部に設けられコントラスト剤付着装置が装着された付着装置本体と、
該給紙部で同じ向きに積み上げられ長辺を製函ラインと交差する方向に配置された段ボールシート群に対して該付着装置本体を進退自在に移動させる移動装置と、
該付着装置本体に設けられ段ボールシート群の短辺側に当接して該コントラスト剤付着装置を段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置決めする位置決め部材と、
製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程の後に設けられ前記フラップ間隔を撮像する撮像装置と、を備え、
該コントラスト剤付着装置により該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着して着色し、製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程後に該フラップ間隔を撮像装置で撮像するように構成したことを特徴とする段ボール折れ精度検査装置。
【請求項12】
前記コントラスト剤付着装置が、段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に対して進退可能なコントラスト剤付着ローラを備え、該コントラスト剤付着ローラを該コントラスト剤付着領域に接触させて該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着するように構成した接触式コントラスト剤付着装置であることを特徴とする請求項11に記載の段ボール折れ精度検査装置。
【請求項13】
前記コントラスト剤付着装置が、段ボールシートに対面して上下方向に移動可能なコントラスト剤噴射ノズルを備え、該コントラスト剤噴射ノズルからコントラスト剤を噴射させて前記コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着するように構成した非接触式コントラスト剤付着装置であることを特徴とする請求項11に記載の段ボール折れ精度検査装置。
【請求項14】
前記移動装置がエアシリンダ、リニアガイド又はロボットアームであることを特徴とする請求項11に記載の段ボール折れ精度検査装置。
【請求項15】
接着片により重合接着されて筒状に形成され扁平とされた段ボール箱の接着部に形成されるフラップ間隔が正常範囲内であるか否かを検知することによって、段ボール箱の折れ精度を判定する段ボール折れ精度検査装置において、
製函ラインの給紙部から折り曲げが完了するカウンターエゼクタ間に設置され,搬送される段ボールシート1枚ごとにコントラスト剤を付着させる装置と、
該コントラスト剤付着装置を段ボールシートの長辺側端面のコントラスト剤付着領域に位置決めする位置決め装置と、
コントラスト剤を段ボールシートに付着するタイミングを検出するシート移動検出装置と、
製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程の後に設けられ積み重ねられた段ボールシート群の前記フラップ間隔を撮像する撮像装置とを備え、
該コントラスト剤付着装置により該コントラスト剤付着領域にコントラスト剤を付着して着色し、製函ラインの糊付け及び折り曲げ工程後に該フラップ間隔を撮像装置で撮像するように構成したことを特徴とする段ボール折れ精度検査装置。
【請求項16】
計測した段ボールシートの折れ精度が設定値より悪いと判定された不良段ボールシートの計測結果と共に、該不良段ボールシートが積み重ねられた段ボールシート群の何層目に存在しているかを表示又は記録する装置を備えたことを特徴とする請求項1又は15に記載の段ボール折れ精度検査装置。
【請求項17】
前記表示又は記録装置から前記不良段ボールシートの位置情報を得て、積み重ねられた段ボールシート群から該不良段ボールシートを抜き取る抜き取り装置を備えたことを特徴とする請求項16に記載の段ボール折れ精度検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate