説明

段ボール箱

【課題】段ボール箱に収容する液体収容容器が、箱内への収容時よりも収縮したとしても、段ボール箱内で上下隙間空間が生じにくくなるようにする。
【解決手段】樹脂製の液体収容容器1を収容するための段ボール箱本体部2と、段ボール箱本体部2の上縁部3に、上下開閉揺動自在に連接したフラップ5を設け、フラップ5のうち互いに対向する上縁部3で折り曲げて外側に位置する一対の外フラップ6を、その先端部同士をつき合わせて段ボール箱本体部2の内部空間を閉じることができるように構成し、外フラップ6の先端部と上縁部3との間に、上縁部3に沿った中間折り曲げ部8を形成し、上縁部3と中間折り曲げ部8とを共に折り曲げた状態で、上縁部3と中間折り曲げ部8との間のフラップ基部10の面が傾斜した状態で一対の外フラップ6の先端部同士が突き当たるように形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の液体収容容器を収容するための段ボール箱本体部と、段ボール箱本体部の上縁部に、上下開閉揺動自在に連接したフラップを設け、前記フラップのうち互いに対向する前記上縁部で折り曲げて外側に位置する一対の外フラップを、その先端部同士をつき合わせて前記段ボール箱本体部の内部空間を閉じることができるように構成してある段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の段ボール箱は、一般的に直方体又は立方体の箱を形成するために、外フラップの折り曲げ部を段ボール箱本体部の上縁部にのみ形成してあるだけであった(周知慣用技術であり特に文献を示さない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の段ボール箱に樹脂製の液体収容容器を収容する場合に、加温した液体を液体収容容器に充填して段ボール箱に収容することがある。
この場合に、液体収容容器は、加温した収容液体にその蒸気等が加わって膨張した状態にあるが、その液体収容容器の段ボール箱内への梱包後、液体収容容器が特に袋状の容器であったり薄肉の樹脂容器である場合には、運搬中に冷えて段ボール箱内で収縮し、段ボール箱内で上下隙間空間が形成され、箱内で移動し易い状態になる。
そして、収縮した液体収容容器は、運搬中の振動で段ボール箱内で移動するために、内フラップや内壁に引っ掛かって破損する虞があった。
【0004】
また、段ボール箱そのものが、肉厚の薄い材料で作成した場合には、積載して運搬したり保管する際に、液体収容容器の収縮に伴って、上からの荷重により段ボール箱が不規則に座屈し、商品価値が低下する虞があった。
【0005】
従って、本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、段ボール箱に収容する液体収容容器が、箱内への収容時よりも収縮したとしても、段ボール箱内で上下隙間空間が生じにくくなるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、樹脂製の液体収容容器を収容するための段ボール箱本体部と、段ボール箱本体部の上縁部に、上下開閉揺動自在に連接したフラップを設け、前記フラップのうち互いに対向する前記上縁部で折り曲げて外側に位置する一対の外フラップを、その先端部同士をつき合わせて前記段ボール箱本体部の内部空間を閉じることができるように構成してある段ボール箱であって、前記外フラップの先端部と前記上縁部との間に、前記上縁部に沿った中間折り曲げ部を形成し、前記上縁部と前記中間折り曲げ部とを共に折り曲げた状態で、前記上縁部と前記中間折り曲げ部との間のフラップ基部の面が傾斜した状態で一対の前記外フラップの先端部同士が突き当たるように形成してあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、加温状態の液体が液体収容容器内に充填されて、当該液体収容容器が膨張していたとしても、その液体収容容器を段ボール箱本体部の内側に収納して互いに対向する一対の外フラップの先端部同士が突き当たった状態で梱包できる。この時、図2、図4(a)に示すように、フラップ基部の面は傾斜した状態になり、膨張した液体収容容器を動かない状態に箱内で固定できる。
次に、運搬時や保管時などに収容液体が冷えるに伴って、箱内の液体収容容器が収縮しても、外フラップにおけるフラップ基部が傾斜した姿勢にあるために、段ボール箱を積み重ねて運搬又は保管する時に、上からの荷重により、フラップ基部及び外フラップが下方に揺動して段ボール箱全体の嵩が低く変化し易くなり、その結果、図4(b)→図4(c)に示すように、段ボール箱内で液体収容容器と段ボール箱本体部の内部空間を閉じる外フラップとの間の隙間空間が小さくなる。
つまり、一対の外フラップが、収容する液体収容容器の体積変化に追随して上下に変位し、段ボール箱全体の外観は大きく変化しない。
従って、段ボール箱内で液体収容容器は、常に隙間無く収容され、段ボール箱内での液体収容容器の移動は少なくなり、安定状態での収容が維持され、従来の段ボール箱のように樹脂製の液体収容容器が、運搬による振動で移動して破損するのを防止できる。
その上、段ボール箱そのものが、肉厚の薄い材料で作成した場合でも、積載して運搬したり保管する際に、液体収容容器の収縮に伴って、規則的に嵩が低くなるだけで、従来品のように上からの荷重により段ボール箱が不規則に座屈することは無く、商品価値が低下することはない。つまり、薄い材料で段ボール箱を製作して経済性を上げることができるようになった。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記フラップのうちで、前記上縁部で折り曲げた状態で前記外フラップの内側に位置する内フラップ夫々に、その先端部と前記上縁部との間に、前記上縁部に沿った中間折り曲げ部を形成してあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、外フラップのみならず内フラップも、収容する液体収容容器の体積変化に追随して上下に変位し、液体収容容器の安定状態での収容が維持されるばかりか、全てのフラップによって段ボール箱本体部の上部開口部が閉じられ良好な外観を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】梱包前の段ボール箱の斜視図である。
【図2】梱包後の段ボール箱で、(a)は切り取り予定線の切り取り前、(b)は切り取り予定線の切り取り後の状態を示す斜視図である。
【図3】一部拡大部を示す展開図である。
【図4】積載状態の縦断面図で、(a)は梱包直後、(b)は液体収容容器の収縮時、(c)は液体収容容器の収縮後を示す。
【図5】フラップ基部の変形状態の斜視図である。
【図6】別実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図2に示されるように、ポリエチレン等の樹脂製の袋からなる液体収容容器1を収容するための略立方体又は略直方体形状の有底の段ボール箱本体部2と、段ボール箱本体部2の上縁部3に、折り曲げ部4を介して上下開閉揺動自在に連接したフラップ5を設け、フラップ5の内、互いに対向して外側に位置する外フラップ6と内側に位置する内フラップ7の2組設け、各フラップ5の先端部と上縁部3との間に、上縁部3に沿った1本の折り曲げ線を形成した中間折り曲げ部8を形成し、外フラップ6の先端部同士をつき合わせて段ボール箱本体部2の内部空間を閉じることができる段ボール箱9を構成してある。
【0012】
そして、内容物の充満した液体収容容器1を収容して梱包する場合に、上縁部3と中間折り曲げ部8とを共に折り曲げた状態で、上縁部3と中間折り曲げ部8との間のフラップ基部10の面が傾斜した状態で互いに対向する一対の外フラップ6の先端部同士が突き当たるように構成してある。
この段ボール箱9においては、例えば液体収容容器1に充填する液体を殺菌後、ホットパック充填する場合、加熱した状態で容器に充填されるために、図1、図2、図4(a)に示すように、液体収容容器1は膨張して液と蒸気で充満状態になり、フラップ基部10が傾斜した状態で外フラップ6の先端部が突き当たり、梱包形状が維持される。
前記液体収容容器1を梱包した段ボール箱9は、積載されて運搬もしくは保管されるに伴って、液体収容容器1が冷却されると、図4(b)に示すように、その液体収容容器1は収縮する。その収縮によって、段ボール箱9は上からの荷重により、フラップ基部10が下方に揺動して段ボール箱本体部2の上縁部3が少し横方向に拡がり、液体収容容器1の上面部とフラップ5下面との間の隙間は極力小さくなる(図4(c)、図5)。
【0013】
一対の外フラップ6の一方には、図2(a)、(b)に示すように、円形のミシン目が形成してあり、梱包した状態で容器のキャップ12付きのボトルネック13を引き出せるように切り取り予定線11としてある。
【0014】
次に、段ボール箱9の展開図を図3に示すと、段ボール箱本体部2の左右の一方側には、角筒状に組み立てられるように左右両端を接着するための接着部14が設けられ、図中の鎖線は折り曲げ線を示す。
段ボール箱本体部2の下側には、底面を形成するための外フラップ6を一対設けてあり、その外フラップ6に隣接する内フラップ7を一対設けてある。
段ボール箱本体部2の上側にも外フラップ6と内フラップ7が交互に隣接して設けてあり、夫々のフラップ5に、段ボール箱本体部2の上縁部3に沿った中間折り曲げ部8を形成して、上縁部3と中間折り曲げ部8との間のフラップ基部10を台形に形成してある。つまり、上縁部3の幅よりも各フラップ5の先端側の幅を、やや小さく形成してある。
尚、フラップ基部10の側辺部には、図3の拡大部に示すように、上縁部3より下側に食い込んだノッチ部17を形成してある。これは、上からの荷重で、フラップ基部10が下方に揺動しやすく、しかも、上縁部3が横方向に拡がりやすくしてある。
【0015】
また、一対の内フラップ7の一方を他方よりも短い突出量に形成してあると共に、円形の切り取り予定線11を形成してある外フラップ6に対応して、内フラップ7夫々に切欠き部15を形成して、切り取り予定線11を切り取って円形開口を形成後、液体収容容器1のネック部13を円形開口を介して挿通させやすくしてある。
図3中の長円形のミシン目は、取っ手部16を形成するための部分である。
【0016】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0017】
〈1〉 本発明の段ボール箱9に収容する液体収容容器1は、薄肉のPETボトル(ポリエステル樹脂容器)の場合も含み、変形し易い容器の収容に、本発明の段ボール箱9は好適である。
〈2〉 前記外フラップ6に中間折り曲げ部8を設けてあれば、内フラップ7に必ずしも中間折り曲げ部8を設けてなくてもよい。
〈3〉 前記中間折り曲げ部8は、上縁部3に沿った1本の折り曲げ線を設ける以外に、複数本平行な折り曲げ線を設けるものであってもよい。
〈4〉 前記中間折り曲げ部8を図6に示すように、2本並設して2本の内の一方を谷折りにすると共に、他方を山折りにして、外フラップの先端側を上下平行移動しやすくしてあっても良い。
【0018】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0019】
1 液体収容容器
2 段ボール箱本体部
3 上縁部
5 フラップ
6 外フラップ
8 中間折り曲げ部
10 フラップ基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の液体収容容器を収容するための段ボール箱本体部と、段ボール箱本体部の上縁部に、上下開閉揺動自在に連接したフラップを設け、前記フラップのうち互いに対向する前記上縁部で折り曲げて外側に位置する一対の外フラップを、その先端部同士をつき合わせて前記段ボール箱本体部の内部空間を閉じることができるように構成してある段ボール箱であって、
前記外フラップの先端部と前記上縁部との間に、前記上縁部に沿った中間折り曲げ部を形成し、
前記上縁部と前記中間折り曲げ部とを共に折り曲げた状態で、前記上縁部と前記中間折り曲げ部との間のフラップ基部の面が傾斜した状態で一対の前記外フラップの先端部同士が突き当たるように形成してある段ボール箱。
【請求項2】
前記フラップのうちで、前記上縁部で折り曲げた状態で前記外フラップの内側に位置する内フラップ夫々に、その先端部と前記上縁部との間に、前記上縁部に沿った中間折り曲げ部を形成してある請求項1に記載の段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−35902(P2012−35902A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180403(P2010−180403)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】