説明

段ボール製緩衝材

【課題】緩衝性及び耐圧強度を確保しつつ、梱包作業性を改善する。
【解決手段】梱包する物品に側方から嵌める本体1と、これを補強する補強体2とから成り、本体1は、外側板3の下端に両側部をあけて底板4及び内側板5を順次連設し、底板4から外側板3と内側板5とを対向するように起立させ、外側板3及び内側板4の両側端にそれぞれ外端板6及び内端板7を連設し、外端板6と内端板7とを対向するように折り曲げて、一対の溝状凹部13を形成すると共に、外端板6と内端板7の上端間に端蓋片8を渡して保形したものとし、補強体2は、中背板21の両側端に翼板22を連設して、中背板21から両翼板22を対向するようにコ字状に折り曲げたものとし、本体1と補強体2とを噛み合わせて、翼片22を外側板3と内側板5とに渡し、物品の天板に底板4を載せ、物品の起立壁を溝状凹部13に差し込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗面化粧台等、システムキッチン等、天板の後部に起立壁を有する大型物品の包装に適した段ボール製緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台の輸送・保管時における梱包構造として、下記特許文献1には、図7に示すように、洗面化粧台Sの下部及び上部にトレー状の段ボール製キャップ51,52を被せると共に、その四隅に紙管の保護支柱53を立設し、洗面化粧台Sの天板tと上部のキャップ52との間に、洗面化粧台Sの天板tと起立壁wの段差を埋めるため、段ボール箱状のスペーサ54を介在させて、バンド掛けするものが記載されている。
【0003】
また、洗面化粧台Sの天板tは、一般に破損しやすい陶器製であり、木製やプラスチック板製のキャビネットcより前方へ突出しているため、キャップ51,52の前部には、スポンジや綿等のクッション材を内蔵した突出部51a,52aを設けて、天板tの前部を重点的に保護するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−297980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような梱包構造では、長尺で不安定な4本の保護支柱53を直立状態に保持しつつ、上部のキャップ52を被せる作業が難しいという問題がある。
【0006】
また、梱包材料に段ボールと紙管とを用いるため、コストがかかるという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、段ボールを折り曲げた緩衝材により、緩衝性及び耐圧強度を確保しつつ、梱包作業性を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明に係る段ボール製の緩衝材は、梱包する物品に側方から嵌める本体と、これを補強する補強体とから成り、本体は、外側板の下端に両側部をあけて底板及び内側板を順次連設し、底板から外側板と内側板とを対向するように起立させ、外側板及び内側板の両側端にそれぞれ外端板及び内端板を連設し、外端板と内端板とを対向するように折り曲げて、一対の溝状凹部を形成すると共に、外端板と内端板の上端間に端蓋片を渡して保形したものとし、補強体は、中背板の両側端に翼板を連設して、中背板から両翼板を対向するようにコ字状に折り曲げたものとし、本体と補強体とを、互いのスリットの差し込みにより噛み合わせて、翼片を外側板と内側板とに渡し、物品の天板に底板を載せ、物品の起立壁を溝状凹部に差し込むようにしたのである。
【0009】
また、前記外側板と内側板の上端間に蓋板を渡して、蓋板の先端から延びる折曲片を下方へ折り曲げ、折曲片と補強体とを、互いのスリットの差し込みにより噛み合わせるようにしたのである。
【0010】
また、前記外側板の両側部及び外端板を底板よりも下方へ延長して、物品の天板の隅部を覆うガード部を形成したのである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る段ボール製緩衝材では、梱包する物品の天板に載る底板と、物品の起立壁を差し込む一対の溝状凹部とを有することから、同一の形状のものを物品に左右両側方から嵌めるだけで、安定して自立し、保形された本体がコ字状の補強体で補強されているので、優れた緩衝性及び耐圧強度を有する梱包構造とすることができる。
【0012】
また、本体に蓋板を設け、その先端の折曲片を補強体に噛合させると、形態がさらに安定し、緩衝性が向上する。
【0013】
また、外側板の両側部及び外端板を下方へ延長したガード部により、物品の天板の隅部を覆うと、破損しやすい天板の保護性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態に係る段ボール製緩衝材の使用態様を示す斜視図
【図2】同上の緩衝材の本体と補強体の組立過程を示す分解斜視図
【図3】同上の緩衝材の本体と補強体の噛合状態を示す斜視図
【図4】同上の緩衝材の組立状態を内側から示す斜視図
【図5】同上の緩衝材の組立状態を外側から示す斜視図
【図6】同上の緩衝材のブランクを示す図
【図7】従来の洗面化粧台の梱包構造を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、この緩衝材Pは、洗面化粧台Sの上部に左右両側方から嵌めるのものであり、図2に示すように、1個の本体1と3個の補強体2とから構成される。本体1及び補強体2は、図6に示すような厚手の段ボール製ブランクから形成される。
【0017】
本体1のブランクでは、外側板3の下端に両側部をあけて底板4及び内側板5が順次連設され、外側板3及び内側板5の両側端にそれぞれ折曲抵抗を軽減する切目入りのリード罫を介し外端板6及び内端板7が連設されている。
【0018】
外端板6の上端には、端蓋片8及び折曲片9が連設され、内端板7の上部には、先広がりの係合片7aが、折曲片9には係合穴9aがそれぞれ設けられている。また、内端板7の先端には係止突起7bが、外側板3の両側部には、両側端から間隔をあけて係止穴3aがそれぞれ設けられている。
【0019】
外側板3の上端には、底板4及び内側板5の幅に対応して、蓋板10及び折曲片11が順次連設され、内側板5及び折曲片11には、補強体2に噛合するスリット5a,11aがそれぞれ先端から入れられている。
【0020】
外側板3の両側部及び外端板6は、外側板3と底板4の境界よりも下方へ延長され、その延長部分にガード部12が形成されている。また、底板4には、内側板5への切込により、2つの足片4aが延設されている。
【0021】
一方、補強体2のブランクでは、中背板21の両側端に折曲抵抗を軽減する切目入りのリード罫を介し翼板22が連設され、翼板22の下端及び上端には、スリット22a,22bがそれぞれ入れられている。翼板22のスリット22aより外側部分は、内側部分よりも下端が短くなっている。
【0022】
また、本体1及び補強体2のブランクでは、段ボールの強度が大きい段目方向が上下方向に向けられている。
【0023】
このような本体1及び補強体2のブランクから緩衝材Pを組み立てるには、図2に示すように、まず、本体1のブランクにおいて、底板4から外側板3と内側板5とを対向するように起立させる。このとき、足片4aが内側板5から突出する。
【0024】
次に、外端板6と内端板7とを対向するように折り曲げ、係止突起7bを係止穴3aに係合させて、一対の溝状凹部13を形成する。
【0025】
その後、端蓋片8を外端板6から内端板7へ渡すように折り曲げ、折曲片9を内端板7の内面に沿うように折り曲げて、係合片7aを係合穴9aに押し込むと、本体1の基本的な組立形状が維持される。
【0026】
また、3個の補強体2のブランクにおいて、中背板21から両翼板22を対向するようにコ字状に折り曲げる。
【0027】
そして、図3に示すように、本体1に各補強体2を上方から挿入し、内側板5のスリット5aと翼板22の下部のスリット22aとを相互に差し込んで、本体1と各補強体2とを噛み合わせる。この状態では、中背板21が外側板3の内面に沿い、翼板22が外側板3と内側板5とに渡り、翼板22の先端部が内側板5から突出した状態となる。
【0028】
最後に、図4及び図5に示すように、蓋板10を外側板3から内側板5へ渡すように折り曲げ、折曲片11のスリット11aと翼板22の上部のスリット22bとを相互に差し込むと、緩衝材Pの組み立てが完了する。
【0029】
このように組み立てた緩衝材Pを使用して、洗面化粧台Sを梱包する際には、トレー状の段ボール製キャップに洗面化粧台Sの底部を挿入し、洗面化粧台Sの天板tの側縁部に底板4を載せ、洗面化粧台Sの起立壁wの側縁部を溝状凹部13に差し込むと、緩衝材Pは、底板4及び足片4aが天板tに接し、支えておかなくても安定して自立する。
【0030】
また、緩衝材Pは、溝状凹部13を両側部に設けたことから、同一形状のものを洗面化粧台Sの左右両側に兼用できる。
【0031】
その後、洗面化粧台Sの起立壁w及び緩衝材Pの上部に、上下反転したトレー状の段ボール製キャップを被せ、上下のキャップに亘りポリプロピレン等のバンドを掛けて結束すると、梱包が完了する。
【0032】
このように梱包すると、洗面化粧台Sの左右両側部に嵌めた緩衝材Pは、保形された本体1がコ字状の補強体2で補強されているので、紙管の保護支柱を使用しなくても、段積みに耐え得る優れた耐圧強度を有し、緩衝性にも優れた梱包構造とすることができる。
【0033】
また、洗面化粧台Sの天板tは、一般にぶつけると割れやすい陶器製であり、木製やプラスチック板製のキャビネットcから多少前方へ張り出しているが、外側板3の両側部及び外端板6を下方へ延長したガード部12により、洗面化粧台Sの天板tの隅部が覆われて保護され、鋭いエッジとなった段ボールの端縁が洗面化粧台Sに当接することもないので、洗面化粧台Sを傷つけることなく、施工現場へ輸送することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、端蓋片8を外端板6から延出したが、端蓋片8は、内端板7から延出し、その先端側を外端板6に係止するようにしてもよい。
【0035】
また、補強体2を内側板5のスリット5aに差し込むようにしたが、補強体2は、内外逆向けにして、外側板3に設けたスリットに差し込むようにしてもよく、この場合、蓋板10は、外側板3からではなく、内側板5から延出するようにするとよい。
【0036】
また、蓋板10を省略してもよく、この場合、補強体2の中背板21を本体1の外側に位置させ、翼板22を外側板3及び内側板5の両方に設けたスリットに差し込んで、本体1と補強体2とを噛み合わせてもよい。
【0037】
さらに、本体1には、外側板3の下半部、底板4及び内側板5の下半部にスリットを入れ、補強体2には、上半部にスリットを入れて、本体1のスリットに下方から補強体2のスリットを差し込むようにしても、梱包時には、本体1及び補強体2が共に洗面化粧台Sの天板tに載置されるので、補強体2が下方へ抜け落ちることがない。
【符号の説明】
【0038】
P 緩衝材
1 本体
2 補強体
3 外側板
3a 係止穴
4 底板
4a 足片
5 内側板
5a スリット
6 外端板
7 内端板
7a 係合片
7b 係止突起
8 端蓋片
9 折曲片
9a 係合穴
10 蓋板
11 折曲片
11a スリット
12 ガード部
13 溝状凹部
21 中背板
22 翼板
22a,22b スリット
S 洗面化粧台
t 天板
w 起立壁
c キャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包する物品に側方から嵌める本体(1)と、これを補強する補強体(2)とから成り、本体(1)は、外側板(3)の下端に両側部をあけて底板(4)及び内側板(5)を順次連設し、底板(4)から外側板(3)と内側板(5)とを対向するように起立させ、外側板(3)及び内側板(5)の両側端にそれぞれ外端板(6)及び内端板(7)を連設し、外端板(6)と内端板(7)とを対向するように折り曲げて、一対の溝状凹部(13)を形成すると共に、外端板(6)と内端板(7)の上端間に端蓋片(8)を渡して保形したものとし、補強体(2)は、中背板(21)の両側端に翼板(22)を連設して、中背板(21)から両翼板(22)を対向するようにコ字状に折り曲げたものとし、本体(1)と補強体(2)とを、互いのスリット(5a,22a)の差し込みにより噛み合わせて、翼片(22)を外側板(3)と内側板(5)とに渡し、物品の天板に底板(4)を載せ、物品の起立壁を溝状凹部(13)に差し込むようにした段ボール製緩衝材。
【請求項2】
前記外側板(3)と内側板(5)の上端間に蓋板(10)を渡して、蓋板(10)の先端から延びる折曲片(11)を下方へ折り曲げ、折曲片(11)と補強体(2)とを、互いのスリット(11a,22b)の差し込みにより噛み合わせるようにした請求項1に記載の段ボール製緩衝材。
【請求項3】
前記外側板(3)の両側部及び外端板(6)を底板(4)よりも下方へ延長して、物品の天板の隅部を覆うガード部(12)を形成した請求項1又は2に記載の段ボール製緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−81974(P2012−81974A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228465(P2010−228465)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】