説明

殺真菌物質の組合せ

本発明は、不所望な植物病原性真菌類を防除するのに極めて好適である、既に知られている殺真菌剤N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、メタラキシルおよびストロビルリン(3)を含有する新規な活性物質の組合せに関する。本発明はさらに、植物または栽培品種の植物病原性真菌類を治癒的または予防的に処理する方法、特に種子、例えば穀類の種子を処理する方法および前記処理された種子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不所望な植物病原性真菌類を防除するのに非常に好適である既知の殺真菌活性化合物N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、アシルアラニンおよびストロビルリンを含む新規な活性化合物の組合せに関する。さらに本発明は、植物または有用植物の植物病原性真菌類を治癒的または予防的に処理する方法、特に種子、例えば穀類の種子を処理する方法および特に処理された種子自体に関する。
【背景技術】
【0002】
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、アシルアラニンおよびストロビルリン(3)が、それぞれ殺真菌特性を有することは既に知られている[The Pesticide Manual、第13版(2003)、468頁および次頁、304頁および次頁、ならびに923−925頁を参照のこと。]。これらの化合物の活性は良好である。しかしながら、場合によっては不十分である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】The Pesticide Manual、第13版(2003)、468頁および次頁、304頁および次頁、ならびに923−925頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現代の殺真菌剤についてなされている環境保護的および経済的要求は、例えば活性スペクトル、毒性、選択性、施用率、残留物形成および好ましい製造の観点から絶えず増大しており、さらに、例えば抵抗性に関する問題が存在し得るので、上述の欠点の克服を少なくとも幾つかの領域において助ける新規な殺真菌剤を開発する不断の要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも幾つかの態様において前記課題を解決する活性化合物の組合せまたは組成物を提供する。
【0006】
驚くべきことに、目下のところ、本発明による活性化合物の組合せまたは組成物が、個別の成分の活性の相加的な効果だけでなく、相乗効果を示すことを見出した。したがって、第一に、個別の物質の従来の施用率を低減させることができる。第二に、本発明による活性化合物の組合せは、個別の化合物がこれらの化合物としてもはや(十分な)活性を示さない量で使用される場合であっても植物病原体に対して高程度の活性を提供する。原則としてこのことにより、第一に活性スペクトルが拡大し、第二に取扱中の安全性がより良好になる。
【0007】
本発明による活性化合物の組合せは、殺真菌相乗活性に加え、より広い意味において、相乗的と称することができるさらなる驚くべき特性、例えば、活性スペクトルが拡大すること、例えば植物病害の病原菌に耐性を示すこと;活性化合物の施用率がより低いこと;個別の化合物が活性を示さないまたは事実上活性を示さない施用率であっても本発明による活性化合物の組合せにより害虫が十分に防除されること;配合中または使用中、例えば粉砕、篩分け、乳化、溶解または施用中の挙動が有利であること;貯蔵安定性および光安定性が改善されること;有利な残留物が形成されること;毒性学的または生態毒性学的挙動が改善されること;植物の特性が改善されること、例えば生長がより良好であること、収穫量が増大すること、根系がより良好に発育すること、葉領域がより大きいこと、葉がより緑色であること、シュートがより強いこと、要求される種子がより少量であること、光毒性がより低いこと、植物の防御系が動員されること、植物との適合性が良好であることなどを有する。したがって、本発明による活性化合物の組合せまたは組成物の使用は、例えば処理された種子の冬期の生存率を増大させ、さらに質および収量を保守する幼植物の茎の健康を保持することに相当寄与する。さらに、本発明による活性化合物の組合せは、全身作用を向上させることに寄与することができる。たとえ本組合せの個別の化合物が十分な全身特性を有していなくとも、本発明による活性化合物の組合せはこの特性を依然として有することができる。同様に、本発明による活性化合物の組合せは、殺真菌作用のより高度な持続性をもたらすことができる。
【0008】
目下のところ、
(1)N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドまたはこの塩、および
(2)少なくとも1種の一般式(I)
【0009】
【化1】

のアシルアラニンまたはこの塩
[式中、
は、R立体配置またはS立体配置中、好ましくはS立体配置中の炭素原子を示し、
は、ベンジル、フリルまたはメトキシメチルを表す。];
および
(3)少なくとも1種の一般式(II)
【0010】
【化2】

のストロビルリンまたはこの塩
[式中、
は、
【0011】
【化3】

の基の1種を表し、
は、NHまたはOを表し、
は、NまたはCHを表し、
Lは、
【0012】
【化4】

の基の1種を表し、ここで、()により標識されている結合は、フェニル環に結合しており、
は、フェニル、フェノキシまたはピリジニル(これらのそれぞれは、塩素、シアノ、メチルおよびトリフルオロメチルからなる群からの同一であるまたは異なる置換基で場合によって一置換または二置換されている。)を表し、または1−(4−クロロフェニル)ピラゾール−3−イルを表し、または1,2−プロパンジオンビス(O−メチルオキシム)−1−イルを表し、
は、水素またはフッ素を表す。]
を含む活性化合物の組合せが、極めて良好な殺真菌特性を有することを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による活性化合物の組合せ中の活性化合物がある重量比で存在する場合、相乗効果が特に表される。しかしながら、本活性化合物の組合せ中の活性化合物の重量比は、比較的広範囲内で変動してよい。
【0014】
一般に、ストロビルリン(3)1重量部当たり
0.005−500重量部、好ましくは0.01−100重量部、特に好ましくは0.05−50重量部、極めて特に好ましくは0.1−10重量部のアシルアラニン(2)および
0.005−500重量部、好ましくは0.01−100重量部、特に好ましくは0.05−50重量部、極めて特に好ましくは0.1−10重量部のN−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
が存在する。
【0015】
活性化合物のストロビルリン(3)、アシルアラニン(2)およびN−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドは、場合によってこれらの塩の形態で存在してよい。
【0016】
式(I)のアシルアラニン(2)は、好ましくは、
(2−1)式
【0017】
【化5】

のベナラキシル(DE−A 2903612から知られている。)
(2−2)式
【0018】
【化6】

のフララキシル(DE−A 2513732から知られている。)
(2−3)式
【0019】
【化7】

のメタラキシル(DE−A 2515091から知られている。)
(2−4)式
【0020】
【化8】

のメタラキシル−M(WO 96/01559から知られている。)
からなる群から選択され、メタラキシルおよびメタラキシル−Mが特に好ましい。
【0021】
式(II)のストロビルリン(3)は、好ましくは、
(3−1)式
【0022】
【化9】

のアゾキシストロビン(EP−A 0382375から知られている。)
(3−2)式
【0023】
【化10】

のフルオキサストロビン(DE−A 19602095から知られている。)
(3−3)式
【0024】
【化11】

の化合物(DE−A 19646407、EP−B 0712396から知られている。)
(3−4)式
【0025】
【化12】

のトリフロキシストロビン(EP−A 0460575から知られている。)
(3−5)式
【0026】
【化13】

の化合物(EP−A 0569384から知られている。)
(3−6)式
【0027】
【化14】

の化合物(EP−A 0596254から知られている。)
(3−7)式
【0028】
【化15】

のオリサストロビン(DE−A 19539324から知られている。)
(3−8)式
【0029】
【化16】

の化合物(WO 98/23155から知られている。)
(3−9)式
【0030】
【化17】

のクレソキシム−メチル(EP−A 0253213から知られている。)
(3−10)式
【0031】
【化18】

のジモキシストロビン(EP−A 0398692から知られている。)
(3−11)式
【0032】
【化19】

のピコキシストロビン(EP−A 0278595から知られている。)
(3−12)式
【0033】
【化20】

のピラクロストロビン(DE−A 4423612から知られている。)
(3−13)式
【0034】
【化21】

のメトミノストロビン(EP−A 0398692から知られている。)
からなる群から選択され、トリフロキシストロビンまたはこの塩が特に好ましい。
【0035】
特に好ましくは、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、以下の混合相手(2)および(3)と組み合わせる:
(2−1)ベナラキシル、ならびに(3−1)アゾキシストロビン、(3−2)フルオキサストロビン、(3−3)、(3−4)トリフロキシストロビン、(3−5)、(3−6)、(3−7)オリサストロビン、(3−8)、(3−9)クレソキシム−メチル、(3−10)ジモキシストロビン、(3−11)ピコキシストロビン、(3−12)ピラクロストロビン、(3−13)メトミノストロビンおよびこれらの塩または混合物からなる群から選択される少なくとも1種のストロビルリン(3)。
(2−2)フララキシル、ならびに(3−1)アゾキシストロビン、(3−2)フルオキサストロビン、(3−3)、(3−4)トリフロキシストロビン、(3−5)、(3−6)、(3−7)オリサストロビン、(3−8)、(3−9)クレソキシム−メチル、(3−10)ジモキシストロビン、(3−11)ピコキシストロビン、(3−12)ピラクロストロビン、(3−13)メトミノストロビンおよびこれらの塩または混合物からなる群から選択される少なくとも1種のストロビルリン(3)。
(2−3)メタラキシル、ならびに(3−1)アゾキシストロビン、(3−2)フルオキサストロビン、(3−3)、(3−4)トリフロキシストロビン、(3−5)、(3−6)、(3−7)オリサストロビン、(3−8)、(3−9)クレソキシム−メチル、(3−10)ジモキシストロビン、(3−11)ピコキシストロビン、(3−12)ピラクロストロビン、(3−13)メトミノストロビンおよびこれらの塩または混合物からなる群から選択される少なくとも1種のストロビルリン(3)。
(2−4)メタラキシル−M、ならびに(3−1)アゾキシストロビン、(3−2)フルオキサストロビン、(3−3)、(3−4)トリフロキシストロビン、(3−5)、(3−6)、(3−7)オリサストロビン、(3−8)、(3−9)クレソキシム−メチル、(3−10)ジモキシストロビン、(3−11)ピコキシストロビン、(3−12)ピラクロストロビン、(3−13)メトミノストロビンおよびこれらの塩または混合物からなる群から選択される少なくとも1種のストロビルリン(3)。
【0036】
本発明によれば、用語「活性化合物の組合せ」は、上述の3種の活性化合物の種々の考えられる組合せ、例えばレディーミックス、タンクミックス(混合または希釈による個別の活性化合物の配合から施用前に調製される噴霧混合物を意味するものと解されるべきである。)など、またはこれらの組合せを意味する(例えば、上述の2種の活性化合物の二元レディーミックスは、第三の個別の物質の配合によりタンクミックスに変換される。)。本発明によれば、個別の活性化合物は、連続的に、すなわち順次的に、数時間または数日間の適当な間隔内で使用することができ、種子の処理においては、さらに、例えば種々の活性化合物を含む複数の層を施用することにより使用することができる。好ましくは、どの順序で個別の活性化合物を使用することができるかは重要ではない。
【0037】
本発明はさらに、本発明による活性化合物の組合せを含む組成物に関する。好ましくは、本組成物は、農業的に好適な担体または増量剤を含む殺真菌組成物である。
【0038】
本発明によれば、担体は、より良好な施用性のため、特に植物もしくは植物部分または種子への施用のため活性化合物と混合されるまたは組合される天然または合成の有機または無機物質を意味するものと解されるべきである。担体は、固体または液体であってよく、一般に不活性であり、農業における使用に好適であるべきである。
【0039】
好適な固体担体は:例えばアンモニウム塩および天然粉砕鉱物、例えばカオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイトまたは珪藻土、ならびに粉砕合成鉱物、例えば微粒子シリカ、アルミナおよび天然または合成シリケート、樹脂、ロウ、固体肥料、水、アルコール、特にブタノール、有機溶媒、鉱油および植物油、さらにこれらの誘導体である。このような担体の混合物を使用することも可能である。好適な粒剤用の固体担体は:例えば粉砕および分別された天然鉱物、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石、苦灰石、さらに無機粉および有機粉から形成された合成顆粒、さらに有機材料、例えばおがくず、ココナツの外皮、トウモロコシの穂軸およびタバコの軸から形成された顆粒である。好適な乳化剤および/または発泡剤は:例えば非イオン性およびアニオン性の乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネート、さらにタンパク質加水分解産物である。好適な分散剤は:例えばリグノスルファイト廃液およびメチルセルロースである。
【0040】
好適な液化ガス増量剤または担体は、周囲温度および大気圧においてガス状である液体、例えばエアゾール噴射剤、例えばブタン、プロパン、窒素および二酸化炭素を意味するものと解されるべきである。
【0041】
粘着付与剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ならびに粉末、顆粒またはラテックスの形態の天然ポリマーおよび合成ポリマー、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、さらに天然リン脂質、例えばセファリンおよびレシチン、ならびに合成リン脂質を配合物中で使用することができる。考えられる他の添加剤は、鉱油および植物油である。
【0042】
使用される増量剤が水である場合、例えば有機溶媒を助溶媒として使用することも可能である。好適な液体溶媒は、本質的に:芳香族化合物、例えばキシレン、トルエンもしくはアルキルナフタレン、塩素化芳香族化合物または塩素化脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン、クロロエチレンもしくは塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサンまたはパラフィン、例えば鉱油留分、鉱油および植物油、アルコール、例えばブタノールもしくはグリコール、さらにこれらのエーテルおよびエステル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド、さらに水である。
【0043】
本発明による組成物は、追加のさらなる成分、例えば界面活性剤などを含んでよい。好適な界面活性剤は、イオン性または非イオン性を有する乳化剤、分散剤もしくは湿潤剤またはこれらの界面活性剤の混合物である。これらの例は、ポリアクリル酸の塩、リグノスルホン酸の塩、フェノスルホン酸またはナフタレンスルホン酸の塩、エチレンオキシドの脂肪族アルコールまたは脂肪酸または脂肪族アミンとの重縮合物、置換フェノール(好ましくは、アルキルフェノールまたはアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(好ましくは、タウリン酸アルキル)、ポリエトキシ化アルコールまたはフェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪族エステル、ならびに硫酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩を含有する化合物の誘導体である。界面活性剤の存在は、活性化合物の1種および/または不活性担体の1種が水中で不溶性を示す場合および施用が水中で行われる場合に要求される。界面活性剤の割合は、本発明による組成物に対して5重量パーセントから40重量パーセントである。
【0044】
着色剤、例えば無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタンおよびプルシアンブルー、ならびに有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料および金属フタロシアニン染料、ならびに微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンおよび亜鉛の塩を使用することが可能である。
【0045】
必要に応じて、他の追加の成分、例えば保護コロイド、結合剤、接着剤、増粘剤、チキソトロープ物質、浸透剤、安定剤、金属イオン封鎖剤、錯体形成剤も存在してよい。一般に、活性化合物は、配合の目的に慣用的に使用される任意の固体または液体添加剤と組み合わせることができる。
【0046】
一般に、本発明による組成物は、0.05重量パーセントから99重量パーセント、好ましくは5重量パーセントから60重量パーセント、特に好ましくは10重量パーセントから50重量パーセント、極めて特に好ましくは20重量パーセントの本発明による活性化合物の組合せを含む。
【0047】
本発明による活性化合物の組合せまたは組成物は、これら自体で使用することができ、またはこれらのそれぞれの物理的および/または化学的特性に応じて、これらの配合物の形態またはこれらから調製された使用形態、例えばエアゾール剤、カプセル懸濁液剤、冷煙霧用濃縮物、温煙霧用濃縮物、カプセル化粒剤、微細粒剤、種子処理用のフロアブル剤濃縮物、即時使用型液剤、散粉性粉剤、乳化性濃縮物、水中油型エマルション、油中水型エマルション、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤濃縮物、油混和性液体、フォーム剤、ペースト剤、殺虫剤コートされた種子、懸濁液剤濃縮物、サスポエマルション濃縮物、可溶性濃縮物、懸濁液剤、水和性粉剤、可溶性粉剤、散粉剤および粒剤、水溶性粒剤または錠剤、種子処理用の水溶性粉剤、水和性粉剤、活性化合物を含浸させた天然物および合成物質、さらに種子用のポリマー物質およびコーティング材料中のマイクロカプセル化物、さらにULV冷煙霧用配合物およびULV温煙霧用配合物の形態で使用することができる。
【0048】
上述の配合物は、自体知られている手法において、例えば活性化合物または活性化合物の組合せを少なくとも1種の溶媒または希釈剤、乳化剤、分散剤および/または結合剤または定着剤、撥水剤、適切な乾燥剤およびUV安定剤、ならびに必要に応じて染料および顔料、さらにさらなる加工助剤と混合することにより調製することができる。
【0049】
本活性化合物の組合せまたは組成物による植物および植物部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法、例えば浸漬、噴霧、霧吹、灌漑、蒸発、散粉、煙霧、散布、発泡、塗装、塗布、撒水(浸水)、点滴灌漑を使用して、直接的に、またはこれらの周囲、生息場所もしくは貯蔵空間に作用させることにより実施され、繁殖材料、特に種子の場合においては、さらに乾燥種子処理用の粉剤、種子処理用の液剤、スラリー処理用の水溶性粉剤として外被化すること、1層または複数の被膜によりコーティングすることなどにより実施される。
【0050】
本発明による組成物は、好適な装置により植物または種子に施用することができる使用準備済みの組成物だけでなく、使用前に水により希釈されなければならない市販の濃縮物をも含む。
【0051】
本発明による活性化合物の組合せは、市販の配合物中で存在することができ、他の活性化合物、例えば殺昆虫剤、誘引剤、滅菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺真菌剤、生長調節剤または除草剤との混合物としてこれらの配合物から調製された使用形態で存在することができる。
【0052】
本発明による活性化合物の組合せまたは組成物は、強い殺微生物活性を有し、作物保護および材料の保護において不所望な微生物、例えば菌類および細菌を防除するために使用することができる。
【0053】
殺真菌剤は、作物保護において、ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)を防除するために使用することができる。
【0054】
殺細菌剤は、作物保護において、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)およびストレプトミセス科(Streptomycetaceae)を防除するために使用することができる。
【0055】
本発明による殺真菌組成物は、植物病原性真菌類の治癒的または予防的防除のために使用することができる。したがって、本発明はまた、本発明による活性化合物の組合せまたは組成物を使用し、種子、植物もしくは植物部分、果実または植物が生長する土壌に施用して植物病原性真菌類を防除する治癒的または予防的方法に関する。
【0056】
本発明によれば、全ての植物および植物部分を処理することが可能である。植物は、全ての植物および植物群、例えば所望および不所望の野生植物または作物植物(天然の作物植物を包む。)を意味するものと本明細書において解されるべきである。作物植物は、慣習的な育種法および最適化法により、もしくはバイオテクノロジー的方法および遺伝子工学的方法により、またはこれらの方法の組合せにより得ることができる植物であってよく、トランスジェニック植物および品種所有権の権利により保護することができるまたはできない植物栽培品種を含む。植物部分は、地上および地下の全ての植物の部分および植物の器官、例えばシュート、葉、花および根を意味するものと解されるべきであり、挙げることができる例は、葉、針状葉、茎、幹、花、子実体、果実および種子、さらに根、塊茎および根茎である。植物部分は、収穫材料、ならびに栄養繁殖材料および生殖繁殖材料、例えば、実生、塊茎、根茎、挿し木および種子をも含む。
【0057】
以下の植物は、本発明により処理することができる植物として挙げることができる:ワタ、アマ、ブドウ、果実、野菜、例えばバラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、リンゴ類の果実、例えばリンゴおよびナシ、さらに核果、例えばアンズ、サクランボ、アーモンドおよびモモ、ならびに柔果実、例えばイチゴ)、スグリ亜科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木および人工林)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)(例えば、コーヒー)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジおよびグレープフルーツ);ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)(例えば、キュウリ)、ネギ科各種(Alliaceae sp.)(例えば、ニラネギ、タマネギ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ)、;主要な作物植物、例えばイネ科各種(Gramineae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝生、穀類、例えばコムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、オートムギ、キビおよびライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Brassicaceae sp.)(例えば、白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、パクチョイ、コールラビ、ハツカダイコン、さらにアブラナ、カノーラ、カラシナ、ワサビダイコンおよびコショウソウ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、マメ、エンドウ、ヒラマメ、ピーナッツ)、マメ科各種(例えば、ダイズ)、ナス科各種(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(例えば、テンサイ、飼料ビート、フダンソウ、ビートの根);庭園および森林における作物植物および装飾植物;さらに、それぞれの場合におけるこれらの植物の遺伝子組換え品種。
【0058】
本発明による植物病原性真菌類を防除する方法は、遺伝子組換え生物、例えば遺伝子組換え植物または種子を処理するために使用することもできる。遺伝子組換え植物は、ゲノムがある種のタンパク質をコードする安定的に統合されたある種の異種遺伝子を有する植物である。本明細書において、「異種遺伝子」は、新規な作物学的特性を形質転換される植物に付与する遺伝子または組換えられる植物の作物学的品質を改善する遺伝子と解されることを意味する。
【0059】
既に上述した通り、本発明により全ての植物およびこれらの部分を処理することが可能である。好ましい実施形態において、野生植物種および植物栽培品種または慣習的な生物学的育種法、例えば交配またはプロトプラスト融合により得られたこれらのものおよびこれらの部分が処理される。さらなる好ましい実施形態において、必要に応じて慣習法と組み合わせた遺伝子工学法により得られたトランスジェニック植物および植物栽培品種(遺伝子組換え生物)およびこれらの部分が処理される。用語「部分」または「植物の部分」または「植物部分」については上述した。特に好ましくは、それぞれの場合において市販されているまたは使用されている植物栽培品種の植物が本発明により処理される。
【0060】
植物種または植物栽培品種、これらの場所および生長条件(土壌、気候、植生期間、養分)に応じて、本発明による処理は、超相加的(「相乗」)効果をもたらすこともできる。したがって、例えば施用率の低減、ならびに/または活性スペクトルの拡張、ならびに/または本発明により使用することができる物質および組成物の活性の増大、より良好な植物生長、高温もしくは低温に対する耐性の増大、干ばつもしくは水もしくは土壌塩含有物に対する耐性の増大、開花能力の増大、より容易な収穫、成熟の加速、より高い収穫量、収穫生産物のより高い品質および/もしくはより高い栄養価、収穫生産物のより良好な貯蔵安定性および/もしくは加工性が考えられ、これらは、実際に予期することができた効果を上回る。
【0061】
本発明により処理することができる好ましいトランスジェニック植物または植物栽培品種(遺伝子工学により得られる。)は、遺伝子組換えにより特に有利な、有益な形質をこれらの植物に付与する遺伝子材料を受容した全ての植物を含む。このような形質の例は、より良好な植物生長、高温もしくは低温に対する耐性の増大、干ばつもしくは水もしくは土壌塩含有物に対する耐性の増大、開花能力の増大、より容易な収穫、成熟の加速、より高い収穫量、収穫生産物のより高い品質および/もしくはより高い栄養価、収穫生産物のより良好な貯蔵安定性および/もしくは加工性である。このような形質のさらに特に強調される例は、動物および有害微生物、例えば昆虫、ダニ、植物病原性真菌類、細菌および/またはウイルスに対する植物のより良好な防御、さらにある種の除草活性化合物に対する植物の耐性の増大である。挙げることができるトランスジェニック植物の例は、重要な作物植物、例えば穀類(コムギ、イネ)、野菜(トマト)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、アブラナ、カノーラ、さらに果実植物(果実のリンゴ、ナシ、柑橘果実およびブドウを含む。)であり、特にイネ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、トマト、カノーラおよびアブラナが強調される。
【0062】
N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、テブコナゾールおよびメタラキシルの混合物は、以下の作物にとって特に好ましい:穀類、トウモロコシ、ダイズ、アブラナ、カノーラ、野菜(特にトマト)、ジャガイモ、ワタ、ヒマワリ、マメ科植物(エンドウ、マメ、ヒラマメ・・・)。
【0063】
強調される「形質」は、特に、植物内で形成される毒素、特にバチルス・チュリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)からの遺伝子材料により(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3BbおよびCryIF、さらにこれらの組合せにより)形成される毒素による昆虫に対する植物(以下、「Bt植物」と称する。)の防御の増大である。さらに特に強調される形質は、ある種の除草活性化合物、例えばイミダゾリノン、スルホニルウレア、グリホサートまたはホスフィノトリシンに対する植物の耐性の増大(例えば、「PAT」遺伝子)である。当該所望の形質を付与する遺伝子は、トランスジェニック植物内で別の遺伝子と組み合わせて存在することもできる。挙げることができる「Bt植物」の例は、YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucotn(登録商標)(ワタ)およびNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種、ダイズ品種およびジャガイモ品種である。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、Roundup Ready(登録商標)(グリホサートに対して耐性、例えばトウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対して耐性、例えばアブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノンに対して耐性)およびSTS(登録商標)(スルホニルウレアに対して耐性、例えばトウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種およびダイズ品種である。挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性のための慣習的手法において育種された植物)は、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の名称で販売されている品種を含む。無論、これらの記述は、植物栽培品種を将来的に開発および/または市場化する遺伝子形質または依然として開発することができる遺伝子形質を有する植物栽培品種にも当てはまる。
【0064】
さらに、本発明による活性化合物の組合せは、材料の保護において、不所望な菌類から工業材料を保護するために使用することができる。工業材料は、例えば紙、カーペット、建築物、冷却および加熱システム、壁装材、絶縁および空調ユニットである。本発明による活性化合物の組合せは、不利な効果、例えば腐敗、腐朽、変色、脱色またはカビの形成を予防することができる。
【0065】
本発明による不所望な真菌類を防除する方法は、貯蔵品を保護するために使用することもできる。本明細書において、貯蔵品は、長期の保護が望まれる野菜もしくは動物由来の天然物質または天然由来のこれらの加工製品を意味するものと解されるべきである。収穫したままの、または(予備)乾燥、給湿、微粉砕、粉砕、加圧もしくは焙煎による加工後の野菜由来の貯蔵品、例えば植物または植物部分、例えば茎、葉、塊茎、種子、果実、穀粒を保護することができる。貯蔵品はまた、木材を、未加工のもの、例えば建築木材、電信柱および遮断物であれ、完成品の形態、例えば家具中の木材であれ含む。動物由来の貯蔵品は、例えば皮革、なめし革、毛皮および毛である。本発明による活性化合物の組合せは、不利な効果、例えば腐敗、腐朽、変色、脱色またはカビの形成を予防することができる。
【0066】
本発明により処理することができる真菌類または細菌性病害の幾つかの病原体を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
例えば以下のようなうどんこ病(powdery mildew)病原体に起因する、病害:
ブルメリア属各種(Blumeria species)、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis);
ポドスファエラ属各種(Podosphaera species)、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha);
スファエロテカ属各種(Sphaerotheca species)、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea);
ウンシヌラ属各種(Uncinula species)、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator);
例えば以下のようなさび病(rust disease)病原体に起因する、病害:
ギムノスポランギウム属各種(Gymnosporangium species)、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae);
ヘミレイア属各種(Hemileia species)、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix);
ファコプソラ属各種(Phakopsora species)、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae);
プッシニア属各種(Puccinia species)、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)またはプッシニア・トリチシナ(Puccinia triticina);
ウロミセス属各種(Uromyces species)、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus);
例えば以下のような卵菌(Oomycetes)の基の病原体に起因する病害:
ブレミア属各種(Bremia species)、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae);
ペロノスポラ属各種(Peronospora species)、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)またはペロノスポラ・ブラシカエ(P.brassicae);
フィトフトラ属各種(Phytophthora species)、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);
プラスモパラ属各種(Plasmopara species)、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola);
プセウドペロノスポラ属各種(Pseudoperonospora species)、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)またはプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis);
ピシウム属各種(Pythium species)、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum);
例えば以下のものに起因する、葉汚斑性の病害(leaf blotch disease)および立ち枯れ病(leaf wilt disease):
アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani);
セルコスポラ属各種(Cercospora species)、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola);
クラジオスポリウム属各種(Cladiosporium species)、例えば、クラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum);
コクリオボルス属各種(Cochliobolus species)、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:ドレクスレラ(Drechslera)、異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium));
コレトトリクム属各種(Colletotrichum species)、例えば、コレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium);
シクロコニウム属各種(Cycloconium species)、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum);
ジアポルテ属各種(Diaporthe species)、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri);
エルシノエ属各種(Elsinoe species)、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii);
グロエオスポリウム属各種(Gloeosporium species)、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor);
グロメレラ属各種(Glomerella species)、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata);
グイグナルジア属各種(Guignardia species)、例えば、グイグナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli);
レプトスファエリア属各種(Leptosphaeria species)、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans);
マグナポルテ属各種(Magnaporthe species)、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea);
ミコスファエレラ属各種(Mycosphaerella species)、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)およびミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis);
ファエオスファエリア属各種(Phaeosphaeria species)、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum);
ピレノホラ属各種(Pyrenophora species)、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres);
ラムラリア属各種(Ramularia species)、例えば、ラムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo−cygni);
リンコスポリウム属各種(Rhynchosporium species)、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis);
セプトリア属各種(Septoria species)、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii);
チフラ属各種(Typhula species)、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata);
ベンツリア属各種(Venturia species)、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis);
例えば以下のものに起因する、根および茎の病害(root and stem disease):
コルチシウム属各種(Corticium species)、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum);
フザリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum);
ガエウマンノミセス属各種(Gaeumannomyces species)、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis);
リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani);
タペシア属各種(Tapesia species)、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis);
チエラビオプシス属各種(Thielaviopsis species)、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola);
例えば以下のものに起因する、穂の病害(ear and panicle disease)(トウモロコシの穂軸を包含する。):
アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.);
アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus);
クラドスポリウム属各種(Cladosporium species)、例えば、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides);
クラビセプス属各種(Claviceps species)、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea);
フザリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum);
ジベレラ属各種(Gibberella species)、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae);
モノグラフェラ属各種(Monographella species)、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis);
例えば以下のものなどの黒穂病菌類(smut fungi)に起因する、病害:
スファセロテカ属各種(Sphacelotheca species)、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana);
チレチア属各種(Tilletia species)、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries);
ウロシスチス属各種(Urocystis species)、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta);
ウスチラゴ属各種(Ustilago species)、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda);
例えば以下のものなどに起因する、果実の腐敗(fruit rot):
アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus);
ボトリチス属各種(Botrytis species)、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea);
ペニシリウム属各種(Penicillium species)、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)およびペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum);
スクレロチニア属各種(Sclerotinia species)、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum);
ベルチシリウム属各種(Verticilium species)、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum);
例えば以下のものなどに起因する、種子および土壌によって媒介される腐敗病および萎凋病(seed− and soil−borne rot and wilt disease)ならびに実生の病害:
アルテルナリア属種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola);
アファノミセス属種(Aphanomyces species)、例えば、アファノミセス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches);
アスコチタ属種(Ascochyta species)、例えば、アスコチタ・レンチス(Ascochyta lentis);
アスペルギルス属種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus);
クラドスポリウム属種(Cladosporium species)、例えば、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum);
コクリオボルス属種(Cochliobolus species)、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:ドレクスレラ(Drechslera)、ビポラリス(Bipolaris)異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium));
コレトトリクム属種(Colletotrichum species)、例えば、コレトトリクム・ココデス(Colletotrichum coccodes);
フザリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum);
ジベレラ属種(Gibberella species)、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae);
マクロフォミナ属種(Macrophomina species)、例えば、マクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina);
モノグラフェラ属種(Monographella species)、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis);
ペニシリウム属種(Penicillium species)、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum);
ファエオスファエリア属各種(Phaeosphaeria species)、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum);
フォマ属種(Phoma species)、例えば、フォマ・リンガム(Phoma lingam);
フォモプシス属種(Phomopsis species)、例えば、フォモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae);
フィトフトラ属各種(Phytophthora species)、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum);
ピレノホラ属種(Pyrenophora species)、例えば、ピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea);
ピリクラリア属種(Pyricularia species)、例えば、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae);
ピシウム属各種(Pythium species)、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum);
リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani);
リゾプス属種(Rhizopus species)、例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae);
スクレロチウム属各種(Sclerotium species)、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii);
セプトリア属種(Septoria species)、例えば、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum);
チフラ属種(Typhula species)、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata);
ベルチシリウム属種(Verticillium species)、例えば、ベルチシリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae);
例えば以下のものなどに起因する、癌性病変(cancerous disease)、こぶ(gall)および天狗巣病(witches’ broom):
ネクトリア属各種(Nectria species)、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena);
例えば以下のものなどに起因する、萎凋病(wilt disease):
モニリニア属各種(Monilinia species)、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa);
例えば以下のものなどに起因する、葉、花および果実の奇形:
タフリナ属各種(Taphrina species)、例えば、タフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans);
例えば以下のものなどに起因する、木本類の衰退性病害(degenerative disease):
エスカ属各種(Esca species)、例えば、ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella clamydospora)、ファエオアクレモニウム・アレオフィラム(Phaeoacremonium aleophilum)およびフォミチポリア・メディテラネア(Fomitiporia mediterranea);
例えば以下のものなどに起因する、花および種子の病害:
ボトリチス属各種(Botrytis species)、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea);
例えば以下のものなどに起因する、植物塊茎の病害:
リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani);
ヘルミントスポリウム属各種(Helminthosporium species)、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani);
例えば以下のものなどの細菌性病原体に起因する病害:
キサントモナス属各種(Xanthomonas species)、例えば、キサントモナス・カムペストリス pv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv.oryzae);
シュードモナス属各種(Pseudomonas species)、例えば、シュードモナス・シリンガエ pv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv.lachrymans);
エルビニア属各種(Erwinia species)、例えば、エルビニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)。
【0067】
好ましくは、以下のダイズの病害を防除する:
例えば、以下のものなどに起因する、葉、茎、莢および種子の菌類病
黒斑病(アルテルナリア属種アトランス・テヌイシマ(Alternaria spec.atrans tenuissima))、炭疽病(コレトトリクム・グロエオスポロイデス・デマチウム変種トルンカツム(Colletotrichum gloeosporoides dematium var.truncatum))、褐紋病(セプトリア・グリシネス(Septoria glycines))、紫班病(cercospora leaf spot and blight)(セルコスポラ・キクチイ(Cercospora kikuchii))、コアネホラ葉枯病(choanephora leaf blight)(コアネホラ・インフンジブリフェラ・トリスポラ(Choanephora infundibulifera trispora(異名)))、黒砂病(ダクツリオホラ・グリシネス(Dactuliophora glycines))、べと病(ペロノスポラ・マンシュリカ(Peronospora manshurica))、ドレクスレラ胴枯病(drechslera blight)(ドレクスレラ・グリシニ(Drechslera glycini))、斑点病(セルコスポラ・ソジナ(Cercospora sojina))、そばかす病(レプトスファエルリナ・トリフォリイ(Leptosphaerulina trifolii))、暗色褐斑病(フィルロスチクタ・ソジャエコラ(Phyllosticta sojaecola))、黒点病(フォモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae))、うどんこ病(ミクロスファエラ・ジフサ(Microsphaera diffusa))、ピレノカエタ斑点病(pyrenochaeta leaf spot)(ピレノカエタ・グリシネス(Pyrenochaeta glycines))、葉腐病、浸潤性褐斑病および蜘蛛の巣病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、さび病(ファコプソラ・パチリジ(Phakopsora pachyrhizi)ファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae))、黒星病(スファセロマ・グリシネス(Sphaceloma glycines))、輪紋病(ステムフィリウム・ボトリオスム(Stemphylium botryosum))、褐色輪紋病(コリネスポラ・カシコラ(Corynespora cassiicola))
例えば、以下のものなどに起因する、根および茎基部の真菌類病
黒色根腐病(カロネクトリア・クロタラリアエ(Calonectria crotalariae))、炭腐病(マクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina))、赤カビ病または萎凋病、根腐病ならびに莢腐病および葉節褐腐病(フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・オルトセラス(Fusarium orthoceras)、フザリウム・セミテクツム(Fusarium semitectum)、フザリウム・エキセチ(Fusarium equiseti))、ミコレプトジスクス根腐病(mycoleptodiscus root rot)(ミコレプトジスクス・テレストリス(Mycoleptodiscus terrestris))、根腐病(ネオコスモスポラ・バシンフェクタ(Neocosmospora vasinfecta))、黒点病(ジアポルテ・ファゼオロルム(Diaporthe phaseolorum))、茎枯病(ジアポルテ・ファゼオロルム変種カウリボラ(Diaporthe phaseolorum var.caulivora))、疫病(フィトフトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma))、落葉病(フィアロホラ・グレガタ(Phialophora gregata))、腐敗病(ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、ピチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)、ピチウム・デバリアヌム(Pythium debaryanum)、ピチウム・ミリオチルム(Pythium myriotylum)、ピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum))、リゾクトニア根腐病、茎腐病および立枯病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、スクレロチニア茎腐病(sclerotinia stem decay)(スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum))、スクレロチニア白絹病(sclerotinia Southern blight)(スクレロチニア・ロルフシイ(Sclerotinia rolfsii))、チエラビオプシス根腐病(thielaviopsis root rot)(チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola))。
【0068】
本発明による活性化合物の組合せの施用率は、
・ 葉を処理する場合:0.1g/haから10000g/haであり、好ましくは10g/haから1000g/haであり、特に好ましくは50g/haから300g/haであり(施用が撒水または点滴により実施される場合、特に不活性支持体、例えば岩綿または真珠岩が使用される場合、施用率を低減させることも可能であり得る。);
・ 種子を処理する場合:種子100kg当たり0.01gから200gであり、好ましくは種子100kg当たり0.1gから150gであり、特に好ましくは種子100kg当たり5gから25gであり;
・ 土壌を処理する場合:0.1g/haから10000g/haであり、好ましくは1g/haから5000g/haである。
【0069】
これらの施用率は例として挙げられるにすぎず、本発明の意義を限定するものではない。
【0070】
したがって、本発明による活性化合物の組合せまたは組成物は、植物を処理後ある期間上述の病原体による攻撃から保護するために使用することができる。保護が提供される期間は、植物を活性化合物により処理した後、一般に1日間から28日間に及び、好ましくは1日間から14日間に及び、または種子処理後最大200日間に及ぶ。
【0071】
本発明による活性化合物の組合せまたは組成物は、真菌類性疾患、例えば真菌症、皮膚疾患、白癬菌性疾患およびカンジダ症またはアスペルギルス属種、例えばアスペルギルス・フミガツス(A.fumigatus)に起因する疾患に対するヒトまたは動物の治癒的または予防的処理用の医薬品を調製するために使用することもできる。
【0072】
さらに、本発明による処理により、収穫材料、ならびにこれから調製された食料および飼料中のマイコトキシン含有量を低減させることが可能である。特に、限定されるものではないが、以下のマイコトキシン:デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール、15−Ac−DON、3−Ac−DON、T2およびHT2トキシン、フモニシン、ゼアラレノン、モニリホルミン、フサリン、ジアセトキシスシルペノール(DAS)、ボーベリシン、エンニアチン、フザロプロリフェリン(fusaroproliferin)、フザレノール(fusarenol)、オクラトキシン、パツリン、麦角アルカロイド、ならびにアフラトキシンを本明細書において挙げることができ、これらは、例えば以下の菌類により産生される:フザリウム属種(Fusarium spec.)、とりわけフザリウム・アクミナツム(Fusarium acuminatum)、フザリウム・アベナセウム(F.avenaceum)、フザリウム・クロークウェレンス(F.crookwellense)、フザリウム・クルモルム(F.culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(F.graminearum)(ジベレラ・ゼアエ)、フザリウム・エキセチ、フザリウム・フジコロイ(F.fujikoroi)、フザリウム・ムサルム(F.musarum)、フザリウム・オキシスポルム、フザリウム・プロリフェラツム(F.proliferatum)、フザリウム・ポアエ(F.poae)、フザリウム・シュードグラミネアルム(F.pseudograminearum)、フザリウム・サムブシヌム(F.sambucinum)、フザリウム・スシルピ(F.scirpi)、フザリウム・セミテクツム、フザリウム・ソラニ(F.solani)、フザリウム・スポロトリコイデス(F.sporotrichoides)、フザリウム・ラングセチアエ(F.langsethiae)、フザリウム・スブグルチナンス(F.subglutinans)、フザリウム・トリシンクツム(F.tricinctum)、フザリウム・ベルチシリオイデス(F.verticillioides)、さらにとりわけアスペルギルス属種、ペニシリウム属種、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、スタチイボトリス属種(Stachybotrys spec.)。
【0073】
本発明は、個別の活性化合物を種子に同時に施用する、種子を処理する方法をさらに含む。さらに、本発明は、個別の活性化合物を種子に連続的に施用する、種子を処理する方法を含む。さらに、本発明は、最初に1種の個別の活性化合物を施用し、次いで他の2種の活性化合物の二元混合物を施用する、種子を処理する方法を含む。代替的に、最初に二元混合物を種子に施用し、次いで残りの個別の活性化合物を施用することも可能である。活性化合物および/または個別の活性化合物、ならびに二元混合物を別個に施用する場合、これは好ましくは異なる層として実施される。これらの層は、活性化合物を有しない層によりさらに分離されてよい。
【0074】
本発明はさらに、前段落に記載の方法の1種により処理された種子に関する。
【0075】
本発明による活性化合物の組合せまたは組成物は、種子を処理するのに特に好適である。有害生物に起因する作物植物への損傷の大部分は、種子の感染により、貯蔵中または播種後、植物の発芽中および発芽後の両方において引き起こされる。この相は、生長中の植物の根およびシュートが特に感受性を示し、小さい損傷であっても植物の死をもたらし得るので特に重大である。したがって、適切な組成物を使用することにより種子および発芽中の植物を保護することが多大な関心を呼んでいる。
【0076】
植物の種子を処理することによる植物病原性真菌類の防除は長きにわたって知られており、継続的改善の対象である。しかしながら、種子の処理は、常に満足のいくように解決することができるわけではない一連の問題を伴っている。したがって、播種後もしくは植物の出芽後の作物保護剤の追加施用を省略し、または少なくとも著しく低減させる、種子および発芽中の植物を保護する方法を開発することが望まれている。種子および発芽中の植物に植物病原性真菌類による攻撃からの最大限の保護を提供するが、使用される活性化合物により植物自体を損傷させないように、使用される活性化合物の量を最適化することがさらに望まれている。特に、種子を処理する方法は、作物保護剤を最小限使用して種子および発芽中の植物の最適な保護を達するため、トランスジェニック植物の内在的な殺真菌特性をも考慮すべきである。
【0077】
したがって、本発明はまた、特に、本発明による組成物により種子を処理することにより、植物病原性真菌類による攻撃から種子および発芽中の植物を保護する方法に関する。本発明はまた、種子および発芽中の植物を植物病原性真菌類から保護するために種子を処理するための本発明による組成物の使用に関する。さらに、本発明は、植物病原性真菌類から保護するために本発明による組成物により処理された種子に関する。
【0078】
出芽後の植物を損傷させる植物病原性真菌類の防除は、主として、土壌および植物の地上部を作物保護組成物により処理することにより実施される。作物保護組成物の環境、ならびにヒトおよび動物の健康に対して考えられる影響についての懸念があるため、施用される活性化合物の量を低減させる努力がなされている。
【0079】
本発明の利点の1つは、本発明による組成物の際立った全身特性のため、これらの組成物により種子を処理することにより、植物病原性真菌類から種子自体が保護されるのみではなく、出芽後に得られた植物も保護されることである。このように、播種時または播種直後の作物の即時的処理を省略することができる。
【0080】
本発明による組成物は、特にトランスジェニック種子(この種子から生長する植物は害虫に対して作用するタンパク質を発現させることができる。)にも使用することができるということも有利であると考慮される。このような種子を本発明による活性化合物の組合せまたは組成物により処理することにより、例えば殺昆虫性タンパク質の発現によっても、ある種の害虫を防除することができる。驚くべきことに、この場合、害虫による攻撃に対する保護の有効性をさらに増大させるさらなる相乗効果を観察することができる。
【0081】
本発明による組成物は、農業、温室、森林または園芸もしくはブドウ栽培において使用される任意の植物品種の種子の保護に好適である。これは特に、トウモロコシ、ピーナッツ、アブラナ、カノーラ、ケシ、オリーブ、ココナツ、カカオ、ダイズ、ビート(例えば、テンサイおよび飼料ビート)、イネ、キビ、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ワタ、ジャガイモ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ、マメ、コーヒー、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギおよびレタス)、マメ科植物(マメ、エンドウ、ヒラマメ)、芝生および装飾植物の種子の形態をとる。
【0082】
既に記載した通り、本発明による活性化合物の組合せまたは組成物によるトランスジェニック種子の処理は特に重要である。これは、殺昆虫特性を有するポリペプチドまたはペプチドを発現させる少なくとも1種の異種遺伝子を含有する植物の種子を意味する。トランスジェニック種子中の異種遺伝子は、例えばバチルス(Bacillus)、リゾビウム(Rhizobium)、シュードモナス、セラチア(Serratia)、トリコデルマ(Trichoderma)、クラビバクター(Clavibacter)、グロムス(Glomus)またはグリオクラジウム(Gliocladium)の属種の微生物に由来してよい。好ましくは、この異種遺伝子はバチルス属種からのものであり、遺伝子産物はアワノメイガおよび/またはウエスタンコーンルートワームに対する活性を有する。特に好ましくは、異種遺伝子はバチルス・チュリンジエンシスに由来する。
【0083】
本発明に関して、本発明による活性化合物の組合せまたは組成物は、これら自体で、または好適な配合物において種子に施用される。好ましくは、種子は、処理がいかなる損傷をも生じさせないように安定な状態で処理される。一般に、種子の処理は、収穫から播種の間の任意の時点において行うことができる。通常、使用される種子は、植物から分離され、穂軸、外皮、軸、皮膜、毛または果肉から取り出される。
【0084】
したがって、例えば、収穫され、清浄され、15重量%未満の含水率まで乾燥された種子を使用することが可能である。代替的に、乾燥後に、例えば水により処理され、次いで再度乾燥された種子を使用することも可能である。
【0085】
種子を処理する場合、一般に、種子に施用される本発明による組成物の量および/またはさらなる添加剤の量は、種子の発芽が悪影響を受けないように、またはこれから得られる植物が損傷されないように選択されることに留意しなければならない。このことは、特に、ある施用率において植物毒性効果を示し得る活性化合物の場合に特に考慮されるべきである。
【0086】
本発明による組成物は、直接的に、すなわち、さらなる成分を含むことなく、希釈されることなく施用することができる。一般に、組成物を好適な配合物の形態において種子に施用することが好ましい。好適な配合物および種子を処理する方法は当業者に知られており、例えば、以下の文献:US 4,272,417A、US 4,245,432A、US 4,808,430A、US 5,876,739A、US 2003/0176428A1、WO 2002/080675A1、WO 2002/028186A2に記載されている。
【0087】
殺真菌剤において、活性化合物の組合せの殺真菌活性が、2種または3種の活性化合物の所与の組合せについてS.R.Colby(「Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations」、Weeds1967、15、20−22頁)に従って以下の通り算出される予期活性を超える場合、相乗効果は常に存在する:
Xが、活性化合物Aがmg/haの施用率で施用された場合の効力であり、
Yが、活性化合物Bがng/haの施用率で施用された場合の効力であり、
が、活性化合物AおよびBがそれぞれmg/haおよびng/haの施用率で施用された場合の効力であり、
が、活性化合物AおよびBおよびCがそれぞれmg/haおよびng/haおよびrg/haの施用率で施用された場合の効力である場合、
【0088】
【数1】

または
【0089】
【数2】

である。
【0090】
本明細書において、効力は%により決定する。0%は、対照の効力に対応する効力を意味する一方、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0091】
実際の殺真菌活性が算出活性を超える場合、本組合せの活性は超相加的であり、すなわち、相乗効果が存在する。この場合、実際に観察された効力は、予期効力Eについて上述の式を使用して算出された値を超えていなければならない。
【0092】
本発明を以下の実施例により例示する。(しかしながら、本発明は、本実施例に限定されるものではない。)
【実施例】
【0093】
ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)試験(インビトロ)/マイクロタイタープレート
マイクロ試験を、マイクロタイタープレート中でポテトデキストロースブロス(PDB)を液体試験培地として使用して実施する。活性化合物は、メタノール中に溶解させた工業用グレードの活性成分(a.i.)として使用する。接種のため、ジベレラ・ゼアエの胞子の懸濁液を使用する。暗所で振とう(10Hz)しながら5日間インキュベートした後、マイクロタイタープレートの充填された各窪みの透過率を分光光度計により測定する。
【0094】
本実施例において、0%は、対照における増殖に相当する効力を意味する一方、100%の効力は、真菌類の増殖が観察されないことを意味する。
【0095】
以下の表は、本発明の活性化合物の組合せについて実測された活性が算出された活性を超えること、すなわち、相乗効果が存在していることを明瞭に示している。
【0096】
【表1】

【0097】
ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)試験(コムギ)/保護
溶媒:50重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤:1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の好適な調製物を製造するため、1重量部の活性化合物または活性化合物の組合せを記述した量の溶媒および乳化剤と混合し、濃縮物を水により所望の濃度に希釈し、または活性化合物の市販の配合物もしくは活性化合物の組合せを水により所望の濃度に希釈する。
【0098】
保護活性を試験するため、幼植物に活性化合物の調製物を記述した施用率で噴霧する。噴霧コーティングを乾燥させた後、植物にピレノホラ・テレスの胞子懸濁液を噴霧する。植物を20℃および相対大気湿度100%のインキュベーション室内で48時間維持する。
【0099】
次いで植物を温度約20℃および相対大気湿度約80%の温室内に置く。
【0100】
評価は接種10日後に実施する。本実施例において、0%は、対照の効力に相当する効力を意味する一方、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0101】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドまたはこの塩、および
(2)少なくとも1種の一般式(I)
【化1】

のアシルアラニンまたはこの塩
[式中、
は、R立体配置またはS立体配置、好ましくはS立体配置の炭素原子を示し、
は、ベンジル、フリルまたはメトキシメチルを表す。]
および
(3)少なくとも1種の一般式(II)
【化2】

のストロビルリンまたはこの塩
[式中、
は、
【化3】

の基の1種を表し、
は、NHまたはOを表し、
は、NまたはCHを表し、
Lは、
【化4】

の基の1種を表し、ここで、()により標識されている結合は、フェニル環に結合しており、
は、フェニル、フェノキシまたはピリジニル(それぞれ、塩素、シアノ、メチルおよびトリフルオロメチルからなる群からの同一であるまたは異なる置換基で一置換または二置換されていてもよい。)を表し、または1−(4−クロロフェニル)ピラゾール−3−イルを表し、または1,2−プロパンジオンビス(O−メチルオキシム)−1−イルを表し、
は、水素またはフッ素を表す。]
を含む活性化合物の組合せ。
【請求項2】
トリアゾール(3)の重量部当たり0.005−500重量部のストロビルリン(3)および0.005−500重量部のN−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが使用される、請求項1に記載の活性化合物の組合せ。
【請求項3】
アシルアラニン(2)が、(2−1)ベナラキシル、(2−2)フララキシル、(2−3)メタラキシル、(2−4)メタラキシル−Mからなる群から選択される、請求項1または2に記載の活性化合物の組合せ。
【請求項4】
ストロビルリン(3)が、(3−1)アゾキシストロビン、(3−2)フルオキサストロビン、(3−3)、(3−4)トリフロキシストロビン、(3−5)、(3−6)、(3−7)オリサストロビン、(3−8)、(3−9)クレソキシム−メチル、(3−10)ジモキシストロビン、(3−11)ピコキシストロビン、(3−12)ピラクロストロビン、(3−13)メトミノストロビン、ならびにこれらの塩および/または混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の活性化合物の組合せ。
【請求項5】
アシルアラニン(2)がメタラキシルおよびメタラキシル−Mからなる群から選択され、ならびにストロビルリン(3)がトリフロキシストロビンである、請求項1から4のいずれかに記載の活性化合物の組合せ。
【請求項6】
殺真菌活性を示す、請求項1から5のいずれかに記載の活性化合物の組合せ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の活性化合物の組合せを含む組成物。
【請求項8】
さらに助剤、溶媒、担体、界面活性剤または増量剤を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項7もしくは8に記載の組成物を、種子、植物、植物の果実または植物が生長するもしくは生長することが想定される土壌に施用することを特徴とする、作物保護または材料の保護において植物病原性真菌類を防除する方法。
【請求項10】
活性化合物(1)、(2)および(3)を同時にまたは連続的に施用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
葉の処理において0.1g/haから10000g/haを使用し、種子の処理において種子100kg当たり0.01gから200gを使用し、土壌処理において0.1g/haから10000g/haを使用することを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
作物保護または材料の保護において不所望な植物病原性真菌類を防除するための、請求項1から6のいずれかに記載の活性化合物の組合せまたは請求項7もしくは8に記載の組成物の使用。
【請求項13】
種子を処理するための、請求項1から6のいずれかに記載の活性化合物の組合せまたは請求項7もしくは8に記載の組成物の使用。
【請求項14】
トランスジェニック植物を処理するための、請求項1から6のいずれかに記載の活性化合物の組合せまたは請求項7もしくは8に記載の組成物の使用。
【請求項15】
請求項1から6のいずれかに記載の活性化合物の組合せまたは請求項7もしくは8に記載の組成物により処理された種子。

【公表番号】特表2010−529054(P2010−529054A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510668(P2010−510668)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004181
【国際公開番号】WO2008/148476
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】