説明

殺菌式入浴装置

【課題】
薬液を、浴槽又は貯湯槽に、殺菌能率が良好であるように好適に投入でき、浴槽湯の薬液濃度を確実に設定できる殺菌式入浴装置を提供すること。
【解決手段】
【請求項1】入浴装置24は、少なくとも浴槽2と入浴装置24へ湯を供給する給湯部52を有するものであって、更に、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを付加設置するものであり、前記総量測定器34は、薬液投入対象の湯の総量を測定するものであり、投入制御器36は、記憶器38の出力と、濃度設定器39の出力とを得てこれらの出力に基づき薬液量を算出し、算出値を投入する薬液量と決め、前記供給の後に前記決めた量の薬液を投入する殺菌式入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の低い要介護者の自立入浴を可能とした殺菌式入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1のものは、貯湯槽の湯を、循環、殺菌するものである。
貯湯槽の湯が循環移動する管路にフィルターが設けられており、該フィルターの前段に薬剤供給装置が設けられている。
【特許文献1】特開2003−70868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された構成では、貯湯槽への薬液の投入は、湯の循環供給と共に行なうものである。投入する薬液の量の設定が難しく、又、投入時期も湯の循環供給時に限定され殺菌能率が必ずしも良好ではないものである。
【0004】
本発明は、これらの諸問題点を解決すべくなされたものであってその目的は、薬液を、浴槽又は貯湯槽に殺菌能率が良好であるように好適に投入でき、浴槽湯の薬液濃度を良好に設定できる殺菌式入浴装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現する本発明に係る入浴装置24は、少なくとも浴槽2と入浴装置24へ湯を供給する給湯部52を有するものであって、更に、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを付加設置するものであり、前記総量測定器34は、薬液投入対象の湯の総量を測定するものであり、投入制御器36は、記憶器38の出力と、濃度設定器39の出力とを得てこれらの出力に基づき薬液量を算出し、算出値を投入する薬液量と決め、前記供給の後に前記決めた量の薬液を投入する殺菌式入浴装置である。
又、入浴装置24は、浴槽2と、貯湯槽3と、循環機構4とを有し、循環機構4は、浴槽2から貯湯槽3へ又は貯湯槽3から浴槽2へ、湯を循環供給するものであり、投入制御器36は、前記循環供給する際又は供給した後に、循環機構4又は貯湯槽3へ薬液を投入するものである。
更に、浴槽2又は貯湯槽3へ供給した湯の総量を量る総量測定器34を、流量計13と、排水流量計43と、流量計13の測定値から排水流量計43の測定値を減算する計算器51とから構成し、又は、前記総量測定器34を、貯湯槽3へ設けたセンサースイッチ31で構成し、投入制御器36は、湯の総量と設定値とから薬液量を算出し、薬液投入器35を作動し、前記算出した薬液量を浴槽2又は貯湯槽3へ投入する。
更に又、濃度設定器39は、貯湯槽3の貯湯の薬液濃度を、濃度0を含む所定の複数個の濃度のうちから1つを任意に選択・設定する切り替えスイッチ41であり、投入制御器36は、切り替えスイッチ41の指示を得て前記選択した1つに対応した比率の量の薬液を貯湯槽3へ投入する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、入浴装置24へ湯を供給しその供給した湯量に応じて薬液投入量を決め、前記湯を供給した後に、循環機構4を用いて浴槽2又は貯湯槽3へ前記決めた量の薬液を投入するものであって、薬液を湯の供給と同時に入れるものではないから、薬液は、湯総量に見合った好適量投入すればよく、過剰投入を防げ、経済的であり、又、薬液被害も起きず、安全であり、又、投入不足もなく、殺菌効果が十分得られ、好都合である。
又、薬液の投入時期も、給湯とは別に薬液だけを投入するので、好適時に投入すればよいので、自由度が高く、好都合である。
従来技術のように、給湯と同時に薬液を入れると、貯湯の待機時間中に薬剤が揮発して、入浴時には殺菌能力が弱くなるということが起こるが、本発明では、入浴の直前に薬剤を投入することによって薬液の殺菌能率が高めることができ効果的であり、好都合である。
【0007】
又、本発明は、浴槽2から貯湯槽3へ又は貯湯槽3から浴槽2へ、湯を循環供給した後に、薬液投入器35から貯湯槽3へ薬液を投入し、その湯を浴槽2へ循環移動し、浴槽2で入浴するものであるから、薬液は攪拌されその濃度は均等になっており、要介護者に不均一に濃い濃度の湯を提供することはなく、薬液による要介護者への悪影響は起きず、浴槽2に適切に殺菌が行なわれた良好な湯を提供でき、好都合である。
【0008】
又、本発明に係る浴槽2又は貯湯槽3へ供給した湯の総量を量る総量測定器34を、流量計13と、排水流量計43と、流量計13の測定値から排水流量計43の測定値を減算する計算器51とから構成し、投入制御器36は、前記総量を記憶する記憶器38の出力と、介護者が予め薬液濃度を設定する濃度設定器39の出力とを得て、これらの出力に基づき薬液量を算出し、算出された薬液量を、薬液ポンプ40を駆動して貯湯槽3へ供給するものであるから、
湯の総量を、好適に量ることができ、適正且つ安全な入浴げでき、好都合である。
又、貯湯槽3の貯湯は介護者が任意に好適に設定した薬液濃度になり、該湯は好適な殺菌が行なえ、要介護者には菌を排除した湯で安全に入浴でき、好都合である。
【0009】
又、本発明に係る濃度設定器39は、貯湯槽3の貯湯の薬液濃度を複数個の1つに切り替え設定する切り替えスイッチ41であり、投入制御器36は、切り替えスイッチ41の指示で、前記種類のうちの1つに対応した比率の量の薬液を貯湯槽3へ投入するものであるから、
スイッチ操作の簡単な操作で、複数個の濃度のうちから1つを任意に選択・設定でき、又、その濃度の湯を貯湯槽3で得られ好適に殺菌が行なえ、好都合である。例えば「濃い」「薄い」「切」等の3種類の濃度の1つを任意に設定でき、好都合である。「切」を選択した場合は、薬液は投入されず、濃度0となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
薬液を浴槽又は貯湯槽に、殺菌能率が良好であるように好適に投入でき、貯湯の薬液濃度を確実に設定できる殺菌式入浴装置を提供するという目的を、「入浴装置24は、少なくとも浴槽2と入浴装置24へ湯を供給する給湯部52を有するものであって、更に、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを付加設置するものであり、前記総量測定器34は、薬液投入対象の湯の総量を測定するものであり、投入制御器36は、記憶器38の出力と、濃度設定器39の出力とを得てこれらの出力に基づき薬液量を算出し、算出値を投入する薬液量と決め、前記供給の後に前記決めた量の薬液を投入する殺菌式入浴装置」をもって、実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例1を説明する。
図1乃至図4に本発明の実施例1を示す。
図1は、配管系統図、図2は、扉27を所定下方位置に移動させた状態の殺菌式入浴装置1を示す正面図、図3は殺菌式入浴装置1の左側面図、図4は殺菌式入浴装置1の平面図である。
【0012】
図1に示す殺菌式入浴装置1は、入浴装置24に循環機構4を接続して設けてなる。
入浴装置24は、少なくとも浴槽2と入浴装置24へ湯を供給する給湯部52を有するものであって、更に、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを付加設置するものである。
更に、入浴装置24は、浴槽2と、貯湯槽3と、浴槽2及び貯湯槽3に接続されて湯を循環させる循環機構4と、貯湯槽3へ新湯を供給する貯湯配管26で構成される。
循環機構4は、ポンプ18と、フィルター5と、下流循環バルブ21と上流循環バルブ20とが管路6をもって順次接続してなり、循環経路が構成される。
フィルター5に、配管6の循環径路を変更する変更管路7が設けられる。
変更管路7の具体例は排水弁10である。
【0013】
変更管路7は、配管6を通っている水によって、フィルター5を洗浄するものである。即ち、配管6に通水中に、該変更管路7の排水弁10を開けて配管経路を変更すると、配管6を通水している水によって、フィルター5が洗浄される。
貯湯槽3出口から浴槽2の入り口へ至る間に接続される管路6及び往ポンプ32は、貯湯槽3から浴槽2へ湯を移動させるものである。
浴槽2の出口から貯湯槽3へ至る間に接続される管路6、ポンプ18及びフィルター5は、浴槽2から貯湯槽3へ既使用の湯を移動させ、循環させるものである。
【0014】
図1の中に表れる電気的構成のブロック図は、浴槽2、又は貯湯槽3、又は浴槽2及び貯湯槽3の貯湯を循環させるための循環系の電気回路、及び、貯湯槽3に薬液を投入するための薬液系の電気回路である。
循環系電気回路に係る循環スイッチ9(図4参照)は、配管6に貯湯を注ぎ入れ湯を循環を開始させるスイッチである。
循環スイッチ9をオンすると、上流循環バルブ20が開き、ポンプ18が駆動し、排水弁タイマー(図示省略)に加電する。
【0015】
前記排水弁タイマーは、循環スイッチ9がオンした時、循環スイッチ9の指示信号に基づき所定時間を計数するものであり、循環スイッチ9がオンした時点から所定時間(実施例1では5秒間)だけ排水弁10に通電して該排水弁10を開け、下流循環バルブ21に停電して該下流循環バルブ21を閉じるものである。
この状態下で、浴槽2から配管6を通って来る湯水が排水弁10から排水されるが、フィルター5を通過する湯水によって該フィルター5が洗浄される。
【0016】
前記排水弁タイマーは、所定時間を経過した後は、排水弁10に停電して該排水弁10を閉じ、下流循環バルブ20に通電して該下流循環バルブ20を開ける。この状態下では、浴槽2から流出した湯水は配管6を通って貯湯槽3へ移動する。
貯湯槽3を発端にして浴槽2に移動していた湯水は、貯湯槽3に戻り、循環する。
【0017】
又、入浴装置24には、変更管路7から排水される水の量を測る排水流量計33と、入浴装置24に新湯を供給する貯湯配管26とが付加設置される。
変更管路7を通って排水された湯の量と同量の湯を貯湯配管26から入浴装置24へ自動で追加供給する。
【0018】
又、入浴装置24には、入浴装置24の貯湯温度を測る温度センサー44が付加設置される。
入浴装置24と、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを有するものである。
【0019】
入浴装置24は該装置24に湯を溜め入浴を行なうものである。
投入制御器36は、入浴装置24へ湯を供給した後に、湯量に応じて薬液投入量を決め、前記量の薬液を、入浴装置24へ投入する。
具体的には、投入制御器36は、前記総量を記憶する記憶器38の出力と、介護者が予め薬液濃度を設定する濃度設定器39の出力とを得て、薬液量を算出し、薬液投入器35を作動するものである。投入制御器36は、算出した薬液量を薬液を投入する管路6を経由して貯湯槽3へ投入する。
【0020】
循環機構4は貯湯槽3へ湯を供給するものである。
投入制御器36は、既使用湯を浴槽2から貯湯槽3へ循環供給した後に、薬液を投入する管路6を経由して貯湯槽3へ投入するものである。
別の実施例では、循環機構4を用いて浴槽2へ供給した湯量に応じて薬液投入量を決め、浴槽2へ湯を供給した後に、前記量の薬液を、浴槽2へ投入する構成も可能である。
【0021】
貯湯槽3へ供給した湯の総量を量る総量測定器34は、実施例では、流量計13と、排水流量計43と、流量計13の測定値から排水流量計43の測定値を減算する計算器51とから構成する。
総量測定器34の他の実施例では、貯湯槽3へ設けたセンサースイッチ31で構成する。
投入制御器36は、前記総量を記憶する記憶器38の出力と、介護者が予め薬液濃度を設定する濃度設定器39の出力とを得て、薬液量を算出し、薬液ポンプ40を駆動するものである。投入制御器36は、算出した薬液量を貯湯槽3へ投入する。
【0022】
濃度設定器39は、実施例では、貯湯槽3の貯湯の薬液濃度を複数個(実施例では「濃い」「薄い」「切(=0)」の3種類)のもののうち1つを選択し設定する切り替えスイッチ41である。
投入制御器36は、切り替えスイッチ41の指示で、前記3種類のものに対応した比率の量の薬液を貯湯槽3へ投入するものである。実施例1では、切り替えスイッチ41に、薬液を投入しない「切」の指示の選択枝もある。
又、投入制御器36には、最大薬液投入量の限度を設けている。限度値を設定することにより、供給した湯の総量を測定する総量測定器34が故障した時、高濃度の薬液による事故を防止できる。
限度値(=上限値)は、浴槽2又は貯湯槽3の満水容量から算出された供給湯の総量の値である。他の例では、貯湯の濃度の上限値である。
投入制御器36は、薬液投入を停止した後、一定時間経過してから循環機構4が停止するよう循環機構4を制御するものである。この構成によれば、高濃度による薬液による管路6その他の部材の腐食を防止できる。
【0023】
図4に示す殺菌式入浴装置1全体の外観形状は略直方体状をなしており、殺菌式入浴装置1は、入浴装置24に循環機構4を設けてなる。
殺菌式入浴装置1は、浴槽2と、貯湯槽3と、該浴槽2の一方長辺側の側面(浴槽2の後面)に併設配置されるとともにポンプ18及び配管6等からなる循環機構4とを主たる構成要素としている。
貯湯槽3は浴槽2へ供給する湯水を貯湯するものであり、循環機構4を介して浴槽2と連通接続される。
【0024】
入浴装置24に係る浴槽2の正面は、開口部45を有する略直方体状の樹脂製またはステンレス製の容器から構成される。
【0025】
貯湯槽3は、図3に示すように浴槽2後面側において支持フレーム46にて支持されている。
浴槽2の開口部45の前方側には、この開口部45を水密に閉塞可能とする扉27が、扉移動手段30によって、所定上方位置と所定下方位置の区間を往復移動するように設けられている。
【0026】
即壁面47に面する側の扉面(後面)に略逆台形状に軟質ゴム素材でなるシール部材48が貼着されている。
【0027】
浴槽2の外筐16に、フィルター5のごみ溜まり状況を目視できるメンテ窓17が設けられる。
【0028】
扉移動手段30は、扉27を即壁面47に沿う方向に所定上方位置と所定下方位置の区間において往復移動させるものである。
扉27と扉移動手段30を連結するとともに扉移動手段30によって扉27が所定上方位置に移動された後、扉27を開口部45周縁の即壁面47に対して略直交方向に押圧移動する。このことによって開口部45を扉27で水密に閉塞するものである。
【0029】
リンク片29・29は、移動部材28の前方側に軸着されている。上下のリンク片29・29は、四節平行リンクを形成し扉27と移動部材28を連結している。
【0030】
扉27が所定下方位置にある時、扉27後面のシール部材48と即壁面47とは接触しておらず、扉27と即壁面47とが一定距離を保って互いに平行状に離間している。
【0031】
図4に示す扉27が所定下方位置にある時、扉移動手段30は収縮状態となっている。
前記扉移動手段30を伸長する方向に作動させると、移動部材28が上方に移動する。
前述の移動に伴って上下のリンク片29を介して移動部材28と連結された扉27が即壁面47と一定距離を有する平行状態を保ちながら即壁面47に沿って上方へ移動することになる。
【0032】
前記扉27が所定上方位置に到達した以後も扉移動手段30の伸長作動は継続する為、移動部材28は更に上方へ移動を行ない続ける。
即ち、移動部材28が扉27に対して相対的に上方へ移動する。この移動部材28の上方移動により、扉27全体が即壁面47に対して直交する方向に押圧移動され、開口部45が扉27で水密に閉塞される。
【0033】
又、扉27を下方へ移動させるには伸長状態にある扉移動手段30を収縮する方向に作動させればよい。
扉移動手段30を収縮作動させると、四節平行リンク49が作用し扉27が即壁面47との平行状態を保ちながら、即壁面47から一定距離だけ離間する方向へ移動する(閉塞状態が開放され、図2に示す状態に移行する)。
【0034】
浴槽2の上縁面には、殺菌式入浴装置1の電源スイッチ50の他、前記扉27の上方への移動及び下方への移動の開始を指示する扉移動スイッチ14、貯湯槽3から浴槽2への湯水の貯湯開始を指示する循環スイッチ9、循環停止スイッチ15、薬液スイッチ11等の各種スイッチ、浴槽2内の湯温を表示する湯温表示部37等が装備される操作部19(図4参照)が設けられている。
【0035】
次に、実施例1の殺菌式入浴装置1の使用方法について説明する。
扉27は所定上方位置に移動しており、貯湯槽3内には所定容量の湯水が貯湯された状態にあるものと仮定する。
介護者は電源スイッチ50をオンにした後、扉移動スイッチ14を押下し扉27を所定下方位置にまで移動させ開扉する。
シャワーチェア等の搬送機器(図示省略)に着座した要介護者を開口部45の近傍位置に導く。
【0036】
扉27が所定下方位置にあるとき、扉27下方面部が上方面部に対して浴槽2後方に位置する傾斜勾配状となるので、扉27が鉛直上下方向に位置する場合に比して、要介護者或いは介護者が浴槽2により接近した状態で要介護者の補助作業を行えることになる。
【0037】
要介護度の低い、例えば、要介護度が1の要介護者は、開口部45から浴槽2の内底面へ自力で移乗する。
また、要介護度が3以上の要介護度が高い要介護者の場合は、介護者の補助を受けながら前記内底面へ移乗すればよい。
【0038】
この時、扉27の上面近傍部は内底面の上方へ突出していないので、要介護者の移乗動作や介護者の補助作業の妨げになることはない。
また、床面から内底面前端部までの高さを搬送機器の座面と略同等の高さに設定しているので、要介護者は搬送機器から前記内底面への移乗に著しい労力を伴うことなく、容易に移乗が行える。
【0039】
要介護者が浴槽1内に完全に入ったことを確認した後、介護者は扉移動スイッチ14を押下し、扉27を所定上方位置にまで移動させ閉める。
扉移動手段30によって扉27が所定上方位置に至った後、扉27は即壁面47に対して略直交する方向に押圧移動し開口部45を水密に閉塞する。
介護者は扉移動スイッチ14を押下するという極めて容易な操作のみで開口部45を水密に閉塞でき、介護者の扉移動に係る操作負担は極めて少ないものである。
【0040】
循環給湯スイッチ22を押下し、給湯する。即ち、往ポンプ32の作動を開始し貯湯槽3内に予め貯湯している湯水を浴槽2へ供給移動する。
浴槽2内の上方に設けられるセンサースイッチ31がオンとなると自動的に湯水の供給移動が停止される。
要介護者は入浴する。
暫時後、要介護者を退浴の準備をする。その場合は、循環スイッチ9を押し、浴槽2内の湯水を貯湯槽3へ移動させる。浴槽2内の湯水を空にする。
【0041】
浴槽2の湯を貯湯槽3へ移動循環させる循環機構4の作用は、循環スイッチ9を押すと、前記排水弁タイマーと上流循環バルブ20とポンプ18とが作動する。
変更管路7が開き、下流循環バルブ21が閉まる。
配管経路が、循環経路から洗浄経路に変更される。該変更した配管6を流通する湯でフィルター5を洗浄する。
【0042】
詳しくは、循環スイッチ9からの指示信号で、排水弁10は、前記排水弁タイマーで設定した所定時間開くと共に、下流循環バルブ21は、前記排水弁タイマーで設定した所定時間閉まり、湯が遠心濾過機能付フィルター8から排水弁10へ流通する時、この湯で遠心濾過機能付フィルター8が洗浄される。
所定時間が経過すると、前記排水弁タイマーの作用により、所定時間を経過した後は、排水弁10に停電して該排水弁10を閉じ、下流循環バルブ20に通電して該下流循環バルブ20を開ける。
この状態下では、浴槽2から流出した湯水は配管6を通って貯湯槽3へ移動する。
貯湯槽3を発端にして浴槽2に移動していた湯水は、浴槽2から貯湯槽3に戻り、循環する。
【0043】
循環機構4を用いて貯湯槽3へ供給した湯量に応じて、投入制御器36は、薬液投入量を決める。
貯湯槽3へ湯を供給した後であって、次の要介護者が入浴する直前に、薬液スイッチ11を押し、貯湯槽3へ前記の決めた量の薬液を投入する。
別の実施例として、投入制御器36は、往ポンプ32を用いて浴槽2へ供給した湯量に応じて薬液投入量を決め、浴槽2へ湯を供給した後に、浴槽2へ前記の決めた量の薬液を、投入する構成も可能である。
使用日の最初の回には、貯湯槽3には新湯が入っている。この新湯には薬液は入っていない。最初の回の入浴ではその新湯を浴槽2へ移動し使用する。2回目の入浴から薬液を入れた貯湯を入浴に使用する。
【0044】
前記投入制御器36は、既使用湯を浴槽2から貯湯槽3へ循環供給した後に、薬液を貯湯槽3へ投入する。次に入浴する要介護者のためにその者の入浴の前に貯湯を殺菌し良好な湯にする。
総量測定器34の具体的構成部材の流量計37は、貯湯槽3へ循環供給した湯の総量を量る。計算器51で流量計37の出力値から排水流量計43の出力値を減算する。記憶器38前記総量を記憶する。
投入制御器36は、前記記憶器38の出力と、介護者が予め薬液濃度を設定した濃度設定器39の出力とを得て、薬液量を算出し、薬液ポンプ40を駆動する。
【0045】
濃度設定器39の具体例である切り替えスイッチ41は、貯湯槽3の貯湯の複数個の薬液濃度(具体例では「濃い」「薄い」「切」の3種類のもの)の1つを選択し設定する。
投入制御器36は、切り替えスイッチ41の指示で、前記複数個の濃度に対応した比率の量の薬液を貯湯槽3へ投入する。
例えば、切り替えスイッチ41を「濃い」に設定すると、「濃い」に対応した濃度(2PPM)になるように算出した薬液量が貯湯槽3に入る。
切り替えスイッチ41を「薄い」に設定すると、「薄い」に対応した濃度(1PPM)になるように算出した薬液量が貯湯槽3に入る。
切り替えスイッチ41を「切」に設定すると、薬液ポンプ40は駆動せず、薬液は貯湯槽3に入らない。
上記の3種類の設定の結果、貯湯槽3の貯湯の薬液濃度は、「濃い」「薄い」「切」の3種類のうちの選択設定したいずれか1の濃度に至る。
【0046】
又、入浴装置24の外筐16に設けたメンテ窓17から、フィルター5のごみ溜まり状況を目視する。フィルター5にごみが溜まったのを確認すると、フィルター5の取り出し、洗浄、交換、或いはその他の適宜なメンテナンスを行なう。
【0047】
又、変更管路7を通って排水された湯の量と同量の湯を、貯湯配管26から入浴装置24へ自動で追加供給し、一定湯量を保持する。
【0048】
浴槽2に設けられる下位のセンサースイッチ31が浴槽2内へ残水がない旨を検知した後、扉27の下方移動が開始される。
【0049】
要介護者は自力、または介護者の補助を受けながら退浴し、搬送機器に移乗し、入浴を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る入浴装置24は、少なくとも浴槽2と入浴装置24へ湯を供給する給湯部52を有するものであって、更に、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを付加設置するものであり、前記総量測定器34は、薬液投入対象の湯の総量を測定するものであり、投入制御器36は、記憶器38の出力と、濃度設定器39の出力とを得てこれらの出力に基づき薬液量を算出し、算出値を投入する薬液量と決め、前記供給の後に前記決めた量の薬液を投入する殺菌式入浴装置に適用できる。
尚、本発明は、図2乃至4に示す浴槽に限定されるものではなく、車椅子用入浴装置、昇降浴槽式入浴装置、その他の入浴装置にも実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1の配管系統図である。
【図2】本発明の実施1の正面図である。
【図3】本発明の実施1の左側面図である。
【図4】本発明の実施1の平面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 殺菌式入浴装置
2 浴槽
3 貯湯槽
4 循環機構
6 配管
13 流量計
24 入浴装置
34 総量測定器
35 薬液投入器
36 投入制御器
38 記憶器
39 濃度設定器
40 薬液ポンプ
41 切り替えスイッチ
43 排水流量計
52 給湯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴装置24は、少なくとも浴槽2と入浴装置24へ湯を供給する給湯部52を有するものであって、更に、薬液を投入する管路6と、薬液投入器35と、総量測定器34と、投入制御器36と、湯の総量を記憶する記憶器38と、濃度設定器39とを付加設置するものであり、
前記総量測定器34は、薬液投入対象の湯の総量を測定するものであり、
投入制御器36は、記憶器38の出力と、濃度設定器39の出力とを得てこれらの出力に基づき薬液量を算出し、算出値を投入する薬液量と決め、前記供給の後に前記決めた量の薬液を投入する殺菌式入浴装置。
【請求項2】
入浴装置24は、浴槽2と、貯湯槽3と、循環機構4とを有し、
循環機構4は、浴槽2から貯湯槽3へ又は貯湯槽3から浴槽2へ、湯を循環供給するものであり、
投入制御器36は、前記循環供給する際又は供給した後に、循環機構4又は貯湯槽3へ薬液を投入するものである請求項1記載の殺菌式入浴装置。
【請求項3】
浴槽2又は貯湯槽3へ供給した湯の総量を量る総量測定器34を、流量計13と、排水流量計43と、流量計13の測定値から排水流量計43の測定値を減算する計算器51とから構成し、又は、前記総量測定器34を、貯湯槽3へ設けたセンサースイッチ31で構成し、
投入制御器36は、湯の総量と設定値とから薬液量を算出し、薬液投入器35を作動し、前記算出した薬液量を浴槽2又は貯湯槽3へ投入する請求項1乃至2記載の殺菌式入浴装置。
【請求項4】
濃度設定器39は、貯湯槽3の貯湯の薬液濃度を、濃度0を含む所定の複数個の濃度のうちから1つを任意に選択・設定する切り替えスイッチ41であり、
投入制御器36は、切り替えスイッチ41の指示を得て前記選択した1つに対応した比率の量の薬液を貯湯槽3へ投入する請求項1乃至3記載の殺菌式入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−69247(P2010−69247A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243053(P2008−243053)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】