説明

殺菌水噴霧装置

【課題】殺菌水を建物内の空気や壁面、或いは設置物や備品、入居者や施設に出入する人々などに対して充分に行き渡らせることが可能であると共に、装置本体の動作停止等をメンテナンス業者や消耗品納入業者へ簡易に通信することができる殺菌水噴霧装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも、次亜塩素酸ナトリウム溶液をはじめとする殺菌,滅菌,消臭などの効能を有する機能水又は薬液(以下、まとめて「殺菌水」という)の溶液タンクと、該タンクに連通した給水管から供給された殺菌水を霧化するための霧化手段と、該霧化手段により霧化された殺菌水を装置本体外へ噴霧する吹出口と、インターネットや有線又は無線電話網等の外部通信ネットワークに対してアクセス可能な通信部を具備した殺菌水噴霧装置において、前記通信部に備えられた送信部からは、前記タンク内の溶液の残量や装置本体の不具合など当該装置本体の動作状態に関する信号を送信するようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の壁面、備品、或いはその建物に出入りする人や流通する空気等を除菌清浄乃至消臭するための装置に関し、人が居住する住宅(個建てマンション)、不特定の人が出入するデパート、ホテル、催物会場、パチンコ・ゲームセンタなどの遊戯施設のほか、特に人の健康に直接係わる食品工場や医療施設など衛生管理を要する建物内で使用して好適な殺菌水噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や種々の商業施設、公共施設のほか、病院や食材加工場など人体に害を及ぼすおそれのある細菌が繁殖すると不都合な事態を招来してしまう環境に対しては衛生管理の徹底が重要である。特に食品加工工場においては、例えば野菜の前処理洗浄時には界面活性剤等が使用されることがあり、また病院内での殺菌作業にあっても有害な細菌を除去するための化学合成薬剤が用いられることがある。
【0003】
しかしながら、このような除菌能力を有する化学剤や薬剤等は強い酸性乃至はアルカリ性を示すのが通常であるところ、かかる薬剤等を人間の生活空間や食材に対し大量にばら撒いて衛生管理を行うことが却って人間の健康を害することになって好ましくないことは明白である。
【0004】
この点については、人体にとっては勿論、家畜等の動物や植物に対しても安全な次亜塩素酸ナトリウム溶液などの塩素系消毒剤(ないしはハロゲン系消毒剤)の有用無害な殺菌水が有する除菌効果を利用する技術が既に提案されており、上記殺菌水を噴霧する装置についても知られている。
【0005】
ところが、上記の噴霧装置は、溶液タンク内の殺菌水が無くなったり、或いは機器の故障などにより装置自体がその動作を停止してしまうと、殺菌、消臭等の効果を得られなくなってしまい衛生状態を損ねてしまうことが懸念される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記のような事情に鑑み、殺菌水を建物内の空気や壁面、或いは設置物や備品、入居者や施設に出入する人々などに対して充分に行き渡らせることが可能であると共に、装置本体の動作停止等をメンテナンス業者や消耗品納入業者へ簡易に通信することができる殺菌水噴霧装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明除菌水噴霧装置の構成は、少なくとも、次亜塩素酸ナトリウム溶液をはじめとする殺菌,滅菌,消臭などの効能を有する殺菌水の溶液タンクと、該タンクに連通した給水管から供給された殺菌水を霧化するための霧化手段と、該霧化手段により霧化された殺菌水を装置本体外へ噴霧する吹出口と、インターネットや有線又は無線電話網等の外部通信ネットワークに対してアクセス可能な通信部を具備した殺菌水噴霧装置において、前記通信部に備えられた送信部からは、前記タンク内の溶液の残量や装置本体の不具合など当該装置本体の動作状態に関する信号を送信するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明除菌水噴霧装置本体の動作状態に関する信号の送信先は、当該装置をその使用者に提供したメーカ,販売店,これらの代理店などの業者であるよう構成するのが望ましく、さらに通信部は、前記タンク内の溶液の残量を測定する測定部と、適宜の設定値を記憶するメモリを備えた設定部と、前記測定部により測定された測定値と前記設定値を適宜サンプリングタイムで比較演算する演算部を具備し、前記演算部に得られる測定値が設定値を下回ったことを示す信号に基づいて形成される殺菌水等の発注を示す信号を前記送信部から自動又は手動により前記業者に送信するように構成することができる。
【0009】
さらに、本発明除菌清浄システムの前記吹出口は二流体ノズルを有し、装置本体に備えられたコンプレッサによって生成された圧搾空気を前記霧化手段において殺菌水と混合し該殺菌水を微粒子乃至超微粒子状に霧化すると共に、この霧を前記二流体ノズルから噴霧するように構成することも任意である。
【0010】
加えて、本発明除菌清浄システムの霧化手段は霧化槽を有し、該霧化槽の下部乃至底部に備えられた加熱源又は超音波振動子を駆動して前記殺菌水を霧化するように構成することもできる。
【0011】
また、前記タンクは、略頂部に注出口を配設した樹脂製ボトルを前記装置本体に対して倒立状態で着脱可能に装着するように構成することも任意であり、或いは、保形可能な硬度を有する無底筒形の外殻体と、この外殻体内部に収納され、略頂部に注出口を配設して軟質シート材で形成した殺菌水溶液パックにより形成することも任意である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、住居や公共施設、商業施設、或いは食品加工工場や医療施設などの建物において、建物内に殺菌水を噴霧することによって空気中に存する細菌等の人体に有害な物質を除菌・浄化することができる。このとき、噴射口から噴射される次亜塩素酸ナトリウム溶液等の殺菌水は人体に殆んど無害であるため、室内に対して充分な量を噴霧して安全に使用することができる。また、装置品体に通信機能を具備したことにより、故障や消耗品の欠品などによってその動作を停止してしまったときも業者に対して簡易かつ確実に連絡することができ、保持されていた衛生状態の喪失を未然に防ぐことができる。さらに、殺菌水を貯蔵しておくタンクをプラスチック素材等によるボトル状部材に形成すると共に、このタンクを装置本体に対し着脱可能に装着することで、消耗品である殺菌水を詰めた状態のタンクと空になったタンクの取替えにより消耗品の補填を容易に行うことができる。しかも、このタンクを保形可能な硬度を有する無底筒形の外殻体と、この外殻体内部に収納され、略頂部に注出口を配設した軟質シート材により形成した殺菌水溶液パックとにより形成した構成とすれば、該溶液パックの交換のみで殺菌水を補充することができると共に、空のパックの処理もボトル型のタンクに比べ容易になる。この結果、医療や食品加工等の現場は勿論のこと、一般家庭から不特定の人が出入りする各種の施設においてもその衛生状態を良好に維持することができると共に、装置の故障や消耗品の欠品等による動作停止から衛生状態を失するといった事態を未然に防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態例を図により説明する。図1は本発明装置の一例を模式的に示した側断面図、図2はタンクの別例を形成する外殻体の一例を示した斜視図、図3は図2の外殻体に収納される溶液パックを例示した正面図である。
【0014】
図1において、1は本発明に係る殺菌水噴霧装置であって、合成樹脂等の適宜硬質材により台座1aと化粧カバー1bを備えて形成したケーシングBと、該ケーシングB内部に配設された殺菌水Wの溶液タンクTと、殺菌水Wを噴霧する吹出口Jと、該吹出口Jに殺菌水Wを押し上げるためのポンプP及び圧搾空気を生成して供給するコンプレッサCとを備えている。また、この装置本体1の台座1aには、外部ネットワークNWにアクセスするための通信部TRが備えられている。
【0015】
タンクTは略頂部に注出口を配設した樹脂製ボトルであり、図1に示すように装置本体1に対して倒立状態で、かつ着脱可能に装着するように設計している。タンクT内の殺菌水WはタンクTと連通した給水管Dsを通りポンプPの揚力を得てダクトDwへ送られる。
【0016】
ダクトDwは、その後端がポンプPに連通されており、コンプレッサCによって生成された圧縮空気を送気するダクトDaと合流して合流部の下流側に二流体ノズルNを構成する。ダクトDwの先端は吹出口Jとして適用することができ、ここから二流体ノズルNによって霧化された殺菌水Wを噴霧する。なお、霧化手段は、図示しない霧化槽を有し、該霧化槽の下部乃至底部に備えられた加熱源又は超音波振動子を駆動して前記殺菌水Wを霧化するよう設計することも任意である。
【0017】
前記台座1aの内部に収設された通信部TRには、タンクTの下部乃至底部に配設されたセンサSsと電気的に結線された測定部Dが設けられており、適宜サンプリングタイムによりタンクT内の殺菌水Wの残量を測定している。
【0018】
また、通信部TRには適宜の設定値を記憶するメモリMを備えた設定部Fが設けられており、さらに前記測定値と前記設定値を適宜サンプリングタイムで比較演算する演算部CPが備えられている。ここで、タンクT内の殺菌水Wが残り僅かであることを示す値として予め設定部Fに設定しておいた設定値に比して前記測定値が下回ることが演算部CPで判明したら、その旨の信号が送信部Sに入力され、送信部Sからはその旨を意味する適宜の信号が当該噴霧装置1に付与された固有コードの信号と紐付けされて、外部ネットワークNWを介して修理業者Rや殺菌水Wなどの消耗品の販売店Vへ送信される。これにより、ユーザは殺菌水Wの残量等を把握していなくとも自動的に替タンクTの供給を前記業者RやVから受けることが可能となる。また、手動によって上記信号を送信する場合には、一例として発信ボタンを押し操作することなどにより上記の業者RやVにその信号をきわめて容易に送ることができるので、自動送信の場合と同様にその目的を達することができる。
【0019】
なお、タンクTの残量は、前記測定部D、設定部F及び比較演算部CPに拠らずともユーザ自身の目視によって判断することも可能である。この場合には、例えば図示しない青色LED等によって殺菌水W内に光を反射させることにより、残量を容易に把握できるように構成することができる。
【0020】
本発明噴霧装置1のタンクTについては、図2及び図3に示すように、保形可能な硬度を有する無底筒形(底部開口b)の外殻体Shと、この外殻体Sh内部に収納され、略頂部に注出口Ptを配設した軟質シート材により形成した殺菌水Wの溶液パックPcからなるタンクTを、当該外殻体ShにパックPcを収納した状態で装置本体1に対して倒立状態で装着するようにした構成としてもよい。かかる構成に拠ればタンクTの取替えがより簡便なものとなるほか、空になった溶液パックPcが柔軟材であることから、硬質材のタンクに比べて処理が容易になる。
【0021】
本発明噴霧装置1は、日常生活のあらゆる場面において適用可能な装置であって、例えば集合住宅などの建物の出入口における除菌消臭システムとして、トイレでの除菌消臭システムとしての応用例が考えられる。また、その他にも一戸建住居、商業ビル(オフィス、デパートなど)、老人施設、保育園、学校、交通機関、空港、駅、地下鉄構内、船舶、バス、タクシー、電車、航空機、自動車、パチンコ店、ゲームセンタ、カラオケ店、宿泊施設、レジャー施設、飲食店、理容店、エステサロン、スーパーマーケット、産業廃棄物処理場、堆肥プラント、ペットショップ、スポーツ施設全般などにも適用可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は以上の通りであって、住居や公共施設、商業施設、或いは食品加工工場や医療施設などの建物において、建物内に殺菌水を噴霧することによって空気中に存する細菌等の人体に有害な物質を除菌・浄化することができ、このとき、噴射口から噴射される次亜塩素酸ナトリウム溶液等の殺菌水は人体に殆んど無害であるため、室内に対して充分な量を噴霧して安全に使用することができると共に、装置品体に通信機能を具備したことにより、故障や消耗品の欠品などによってその動作を停止してしまったときも業者に対して簡易かつ確実に連絡することができ、保持されていた衛生状態の喪失を未然に防ぐことができ、さらに、殺菌水を貯蔵しておくタンクをプラスチック素材等によるボトル状部材に形成すると共に、このタンクを装置本体に対し着脱可能に装着することで、消耗品である殺菌水を詰めた状態のタンクと空になったタンクの取替えにより消耗品の補填を容易に行うことができ、しかも、このタンクを保形可能な硬度を有する無底筒形の外殻体と、この外殻体内部に収納され、略頂部に注出口を配設した軟質シート材により形成した殺菌水溶液パックとにより形成した構成とすれば、該溶液パックの交換のみで殺菌水を補充することができると共に、空のパックの処理もボトル型のタンクに比べ容易になるため、この結果として、医療や食品加工等の現場は勿論のこと、一般家庭から不特定の人が出入りする各種の施設においてもその衛生状態を良好に維持することができると共に、装置の故障や消耗品の欠品等による動作停止から衛生状態を失するといった事態を未然に防止することができるという効果を得られるから殺菌水噴霧装置に適用してきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明装置の一例を模式化した側断面図
【図2】タンクの別例を形成する外殻体の一例を示した斜視図
【図3】図2の外殻体に収納される溶液パックを例示した正面図
【符号の説明】
【0024】
1 本発明噴霧装置
1a 台座
1b 化粧カバー
T タンク
W 殺菌水
P ポンプ
C コンプレッサ
Ds 給水管
Dw、Da ダクト
N 二流体ノズル
J 吹出口
B ケーシング
TR 通信部
D 測定部
Ss センサ
F 設定部
M メモリ
CP 比較演算部
S 送信部
Sh 外殻体
b 底部開口
Pt 抽出口
Pc 溶液パック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、次亜塩素酸ナトリウム溶液をはじめとする殺菌,滅菌,消臭などの効能を有する機能水又は薬液(以下、まとめて「殺菌水」という)の溶液タンクと、該タンクに連通した給水管から供給された殺菌水を霧化するための霧化手段と、該霧化手段により霧化された殺菌水を装置本体外へ噴霧する吹出口と、インターネットや有線又は無線電話網等の外部通信ネットワークに対してアクセス可能な通信部を具備した殺菌水噴霧装置において、前記通信部に備えられた送信部からは、前記タンク内の溶液の残量や装置本体の不具合など当該装置本体の動作状態に関する信号を送信するようにしたことを特徴とする殺菌水噴霧装置。
【請求項2】
装置本体の動作状態に関する信号の送信先は、当該装置をその使用者に提供したメーカ,販売店,これらの代理店などの業者である請求項1の殺菌水噴霧装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記タンク内の溶液の残量を測定する測定部と、適宜の設定値を記憶するメモリを備えた設定部と、前記測定部により測定された測定値と前記設定値を適宜サンプリングタイムで比較演算する演算部を具備し、前記演算部に得られる測定値が設定値を下回ったことを示す信号に基づいて形成される殺菌水等の発注を示す信号を前記送信部から自動又は手動により前記業者に送信するようにした請求項1又は2の殺菌水噴霧装置。
【請求項4】
前記吹出口は二流体ノズルを有し、装置本体に備えられたコンプレッサによって生成された圧搾空気を前記霧化手段において殺菌水と混合し該殺菌水を微粒子乃至超微粒子状に霧化すると共に、この霧を前記二流体ノズルから噴霧するようにした請求項1〜3のいずれかの殺菌水噴霧装置。
【請求項5】
前記霧化手段は霧化槽を有し、該霧化槽の下部乃至底部に備えられた加熱源又は超音波振動子を駆動して前記殺菌水を霧化する請求項1〜3のいずれかの殺菌水噴霧装置。
【請求項6】
前記タンクは、略頂部に注出口を配設した樹脂製ボトルを前記装置本体に対して倒立状態で着脱可能に装着するようにした請求項1〜5のいずれかの殺菌水噴霧装置。
【請求項7】
前記タンクは、保形可能な硬度を有する無底筒形の外殻体と、この外殻体内部に収納され、略頂部に注出口を配設して軟質シート材で形成した殺菌水溶液パックにより形成した請求項1〜6のいずれかの殺菌水噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−34361(P2009−34361A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201519(P2007−201519)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(507252775)サッシュ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】