説明

毒性を有するタンパク質の発現方法

【課題】宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を、遺伝子工学的手法を用いて効率的に大量生産する手法を提供する。
【課題解決手段】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質、タンパク分解酵素の切断部位および上記該タンパク質の毒性を低下ないしは中和するタンパク質、精製用のタグからなる融合タンパク質をコードする遺伝子を用いて、宿主細胞において上記融合タンパク質を発現させ、得られた融合タンパク質をタンパク分解酵素で切断することにより、上記毒性を有するタンパク質を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を、該毒性を低下あるいは中和させるタンパク質との融合タンパク質として発現させる工程を含む、上記毒性を有するタンパク質の効率的製造方法、上記融合タンパク質自体及び該融合タンパク質をコードする遺伝子自体に関する。

【背景技術】
【0002】
従来の遺伝子工学的手法によれば、発現ホストに対して毒性のある組換えタンパク質は、発現量が低かったり、発現していないクローンのみが選択的に増殖してしまうなどの理由で、大量発現と精製が困難であった。
このような問題点については、大腸菌などで発現させる場合は、発現を誘導するまで強力に翻訳を阻害したり(非特許文献1参照)、発現プラスミドのコピー数を低く抑えておくこと(非特許文献2参照)で、部分的な解決が図られている。しかし、こうした手段によっても発現が困難なタンパク質は多数存在する。たとえば、アクチンのように、真核細胞の発現系でなければ機能的な組換えタンパク質が得られないものも多数存在し、その場合は、効率的な翻訳の抑制と誘導が困難であった。昆虫細胞の発現系を用いるという手段はあるが(非特許文献3参照)、この場合も大量発現が可能かどうかはケースバイケースであり、従来の遺伝学的解析の結果から考えて、毒性の強い変異アクチンの発現は困難であろうと推測される。このため、とくに真核細胞の発現系において、毒性のある組換えタンパク質を効率的に発現できるような、新たな技術の開発が待たれていた。
【0003】
【非特許文献1】Studier, F. W., A. H. Rosenberg, J. J. Dunn, and J. W. Dubendorff (1990). Meth Enzymol. 185: 60-89.
【非特許文献2】Sektas, M., and W. Szybalski (2003). inNovations 14:6-8.
【非特許文献3】Joel, P. B., P. M. Fagnant, and K. M. Trybus (2004). Expression of nonpolymerizable actin mutant in Sf9 cells. Biochemistry 43: 11554-11449.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記従来手段の問題を解消することにあり、具体的には、遺伝子工学的手法を用いて組換えタンパク質を生産する場合において、そのタンパク質が使用する宿主細胞に対して毒性を有している場合でも、該タンパク質を効率的かつ安定的に大量生産する手段を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決するため、鋭意研究の結果、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を、該タンパク質の毒性を低下ないしは中和するタンパク質またはペプチドとの融合タンパク質として発現させ、得られた融合タンパク質をタンパク分解酵素で切断することにより、上記毒性を有するタンパク質を製造する方法を創出した。この方法によれば、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質であっても、この宿主細胞を使用して遺伝子工学的手法により、効率的に大量生産が可能となる。すなわち本発明は以下の(1)〜(14)に示されるとおりである。
【0006】
(1) 以下の(a)〜(f)の工程を含むことを特徴とする、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質の製造方法。
(a)宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNAと、該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子を、タンパク分解酵素の切断部位をコードするヌクレオチド配列を含むリンカーポリヌクレオチドを介して結合せしめて融合遺伝子を調製する工程。
(b)上記融合遺伝子をベクターに挿入し、組み換えベクターを得る工程。
(c)上記組み換えベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を得る工程
(d)上記形質転換体を培養し、培養物から融合タンパク質を得る工程。
(e)得られた融合タンパク質をタンパク分解酵素で切断し、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を得る工程。
(f)切断されたタンパク質の混合液から、毒性を中和するために融合したタンパク質を除去し、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を精製する過程。

(2) 以下の(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする、融合タンパク質の製造方法。
(a)宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNAと、該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子を、タンパク分解酵素の切断部位をコードするヌクレオチド配列を含むリンカーポリヌクレオチドを介して結合せしめて融合遺伝子を調製する工程。
(b)上記融合遺伝子をベクターに挿入し、組み換えベクターを得る工程。
(c)上記組み換えベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を得る工程
する工程。
(d)上記形質転換体を培養し、培養物から融合タンパク質を得る工程。

(3) 宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質をコードする遺伝子、または該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子に、精製用のタグをコードするヌクレオチド配列が結合していることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の製造方法。

(4) 宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質が、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンであり、毒性を低下あるいは中和するタンパク質がプロフィリン、またはチモシンであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。

(5) タンパク質分解酵素の切断部位が、キモトリプシンであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。

(6) 宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質、及び該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドが、タンパク分解酵素の切断部位のアミノ酸配列を有するリンカーペプチドを介して結合していることを特徴とする、融合タンパク質。

(7) 宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質、または該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドのC末端に精製用のタグが付加されていることを特徴とする上記(6)に記載の融合タンパク質。

(8) 上記精製用タグがポリヒスチジンタグまたはFLAGタグであることを特徴とする上記(7)に記載の融合タンパク質。

(9) 宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質が、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンであり、該毒性を低下あるいは中和するタンパク質が、プロフィリン、またはチモシンであることを特徴とする、上記(6)〜(8)のいずれかに記載の融合タンパク質。

(10) タンパク質分解酵素の切断部位がキモトリプシンであることを特徴とする、上記(6)〜(9)のいずれかに記載の融合タンパク質。

(11) 配列番号1または5に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号1または5に示されるアミノ酸配列においてそれぞれ1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有する融合タンパク質であって、優性変異アクチンの宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和され、蛋白分解酵素により切断されて内在性アクチンの阻害活性を有するタンパク質を産生することを特徴とする、融合タンパク質。

(12) 配列番号3または7に示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする、融合タンパク質。

(13) 上記(6)〜(12)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子。

(14) 配列番号2または6に記載の塩基配列を有するか、あるいは該塩基配列において1又は数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加された塩基配列を有する遺伝子であって、該遺伝子が、優性変異アクチンの宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和されており、かつ蛋白分解酵素により切断されて内在性アクチンの阻害活性を有す優性変異アクチンを産生する融合タンパク質をコードするものであることを特徴とする、遺伝子。

(15) 配列番号4または8に示される塩基配列を有することを特徴とする、遺伝子。

(16) 上記(13)〜(15)のいずれかに記載の遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。

(17) 上記(16)に記載の組み換えベクターが導入されていることを特徴とする形質転換体。

【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、従来、発現が困難であった宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質であっても、極めて効率的に該タンパク質を大量生産することが可能となる。特に、本発明は、真核細胞発現系において、発現困難な毒性の強い組換えタンパク質を、発現可能にする点で有用な技術である。

【発明を実施するための最良な形態】
【0008】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を組換えタンパク質として発現させようとすると、宿主細胞の増殖や当該組換えタンパク質の発現が阻害されたり、なんらかの原因で発現が抑制されたクローンが選択的に増殖するなどの理由で、大量発現が困難になってしまうケースが多い。
一方、多くのタンパク質の活性は他のタンパク質などの制御因子によって調節されており、過剰発現させると細胞に対して毒性をもつタンパク質についても、その毒性を低下あるいは中和するタンパク質やペプチドなどが知られている場合が多い。本発明は、該毒性タンパク質を、その毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドとの融合タンパク質として発現させ、該毒性タンパク質とその毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドを常に1:1のモル比で近傍に存在させて、該毒性タンパク質の毒性が効率的かつ安定に阻害された状態にして、毒性タンパク質の大量発現を可能にするものである。
したがって、本発明の毒性タンパク質とは、宿主細胞に対し、本来的に毒性を有するタンパク質あるいは過剰発現によって毒性を発揮するタンパク質で、宿主細胞の増殖や組み換え遺伝子の発現を阻害するタンパク質をいう。

【0009】
このような毒性を有するタンパク質と該タンパク質の毒性を阻害するタンパク質の組み合わせとして、例えば、優性変異アクチンとチモシンまたはプロフィリン、トリプシンとトリプシンインヒビター、DNaseIとアクチン等が挙げらることができる。後二者に関しては、毒性タンパク質と制御タンパク質が1;1の複合体を形成し、その結果、毒性が中和されることが知られている。
本発明においては、まず、上記毒性を有するタンパク質コードする遺伝子と上記毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子とを蛋白分解酵素の切断部位のアミノ酸配列を有するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを介して結合させるか、あるいはさらに精製用のタグをコードするポリヌクレオチドを毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子に結合させた融合遺伝子を調製し、ベクターに挿入し、この組み換えバクターを用いて、宿主細胞を形質転換し、該宿主細胞の培養物から、上記融合遺伝子に対応する融合タンパク質を採取する。次いで、この融合タンパク質を蛋白分解酵素で切断し、酵素反応液から上記毒性を有するタンパク質を分離する。
【0010】
酵素反応液から毒性を有するタンパク質を精製する際には、一般的な生化学的手法を用いることができるが、精製用のタグに対するアフィニティレジンを用いれば、毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドはレジンに結合するので、非結合分画にこれを容易に回収することもできる。
上記宿主細胞内における融合タンパク質の発現においては、融合タンパク質自体は宿主細胞に対して毒性を示さないため、過剰発現が可能であり、その結果、上宿主細胞に対して毒性を示すタンパク質であっても大量生産が可能となる。
上記タンパク分解酵素としては、発現した融合タンパク質をタンパク分解酵素で切断する際、製造目的の毒性を有するタンパク質が切断されないタンパク質分解酵素を選択し、リンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列の設計においては、この選択されたタンパク分解酵素の切断部位のアミノ酸配列を有するリンカーペプチドをコードするように設計する。
【0011】
本願発明の方法は、広く普遍性を有し、製造目的の毒性を有するタンパク質は特定のものには限定されないが、例えば、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチン、トリプシン、DNaseI等が挙げられる。

トリプシンは、基質特異性の低いタンパク質分解酵素であり、本来は消化酵素であるが、細胞培養などで産業的にも広く利用されている。基質特異性が低いので、宿主細胞の内在性タンパク質も分解してしまうため毒性が強く、一般的には阻害ペプチドと融合したトリプシノーゲンの形で発現されるが、宿主細胞の内在性タンパク質分解酵素により一部のトリプシノーゲンがトリプシンに変換されると自己触媒的にトリプシンが生成され、強い細胞毒性を発揮する。実際、組換えトリプシノーゲンをコードする遺伝子を発現させてもほとんどがトリプシンに変換されてしまうことが知られている(Woodward et al., Maize (Zea mays)-derived bovine trypsin: characterization of the first large-scale, commercial protein product from trangenic plants. Biotechnol. Appl. Biochem. 38:123-130, 2003)。
DnaseIは、膵臓由来の強力なDNA exonulceaseで、原核細胞においては強い細胞毒性を示す(Doroty et al., Overproduction of the toxic protein, bovine pancreatic DNaseI, in Escherichia coli using a tightly controlled T7-promoter-based vector. Gene 136:337-340, 1993)。しかし単量体アクチンと1:1の複合体を形成し、酵素活性を失うことが知られている(Lindberg, Biochim. Biophys. Acta 82:237-248, 1964)。
【0012】
以下に、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンの例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
アクチンは、そのフォールディングに真核細胞のシャペロンを必要とするため、大腸菌発現系による発現は不可能である。一方、アクチンはすべての真核細胞の増殖にとって必須なタンパク質であり、その発現量は厳密にコントロールされているため、真核細胞で組換えアクチン遺伝子を大量発現することは困難である。とくに、現在われわれが研究対象としている優性変異アクチンは、内在性アクチンの機能を阻害するため毒性が強いと予想される。優性変異アクチンとは、それ自身がアクチンとしての機能を持たないだけではなく、野生型アクチンと共存したときに、野生型アクチンの機能をも損なってしまうような変異アクチンの総称である。例えば、G64D変異アクチン(配列番号9)は、ショウジョウバエの間接飛翔筋で特異的に発現されるアクチンの変異として同定され、この変異アクチンのみをもつハエが飛翔能を失うのみならず、変異アクチン遺伝子1コピーに対し、正常アクチン遺伝子が3コピーあっても、飛翔能は完全に阻害される(An, H. S., and K. Mogami. (1986) J. Mol. Biol. 260: 492-505.)
【0013】
一方、例えば、E206A/R207A,/E208A三重変異アクチン(配列番号10)は、酵母アクチンの変異として同定されたもので、この変異アクチンのみをもつ細胞が増殖できないのみならず、この変異アクチン遺伝子と野生型アクチン遺伝子と1コピーずつもつ細胞も増殖できない(Wertman, K. F., D. G. Drubin, and D. Botstein (1992) Genetics 132: 337-350.)。このように、宿主がもつ内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンは、大量発現はひときわ困難であることが容易に推測可能である。
【0014】
アクチンは、細胞内で重合してアクチンフィラメントを形成することでその生理的機能を発揮するタンパク質である。一方、プロフィリンは、アクチンモノマー結合性タンパク質として知られ、重合能を失ったADP結合アクチンモノマーと1:1の複合体を形成してADPとATPの交換反応を促進し、ATP結合アクチンを再生して重合能を回復させることが生理的機能であると考えられている。しかしプロフィリンと結合したアクチンモノマーは重合することができず、プロフィリンから解離しなければ重合できないことが知られている。また、チモシンもアクチンモノマーと結合することにより、細胞内でアクチンフィラメントの重合を阻害していることが知られている。すなわち、これらタンパク質は、アクチンモノマーが細胞内で過剰にならないように制御する作用を有する。
【0015】
本発明において、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンを目的タンパク質とする場合においては、毒性を低下あるいは中和するタンパク質として、上記プロフィリン、チモシンのようなアクチン作用を一定に制御するタンパク質を利用し、アクチンとこれら制御タンパク質との融合タンパク質として、宿主細胞内で発現させる。発現した融合タンパク質におけるアクチン部分は、プロフィリン等の制御タンパク質部分と分子内複合体を形成し、重合に関与できなくなるので、内在性アクチンの機能を阻害することはない。したがってこの融合タンパク質が過剰になっても、宿主細胞に対して優性変異アクチンの毒性を発揮することがない。
【0016】
本発明の方法に従って、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンを製造するには、優性変異アクチンと、プロフィリン又はチモシン等の制御タンパク質をコードする融合遺伝子を調製するが、優性変異アクチン遺伝子と制御タンパク質遺伝子との間には、タンパク質分解酵素の切断部位を有するリンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列を挿入する。このようなタンパク分解酵素の切断部位としては、優性変異アクチンを切断しないキモトリプシンの切断部位を選択することが望ましい。なお、優性変異アクチン中にもキモトリプシン切断部位は存在するが、該切断部位は優性変異にアクチン表面に露出しておらずほとんど切断されない。また、アクチンのN末端は複雑な翻訳後修飾を受けることが知られているので、N末端側の配列は改変しない方がのぞましい。したがって、プロフィリンまたはチモシン遺伝子は、アクチン遺伝子の3‘末端側に連結する。また、プロフィリンまたはチモシン遺伝子の3‘末端側には、精製用のタグをコードするヌクレオチド配列を付すが、このようなタグとしては、例えば、6xHisまたはFLAG配列が望ましい。
【0017】
次いで、この融合遺伝子をベクターに組み込み、得られた組み換えベクターを用いて宿主細胞形質転換させるが、宿主細胞としては、細胞性粘菌やSf9昆虫由来細胞等の真核細胞が挙げられ、使用ベクターとしては、例えば細胞性粘菌の場合はpBIGやpTIKL、昆虫細胞の場合はpFastBac等の発現ベクターが挙げられる。
上記形質転換細胞を培養することにより得られる融合タンパク質の例として、図1を示すが、この図1の融合タンパク質は、優性変異アクチンとチモシンとの融合タンパク質であり、優性変異アクチンとチモシンとの間にはキモトリプシン切断部位のアミノ酸配列を有するリンカーペプチド部分が挿入された構造を有し、精製のためのポリヒスチジン配列を有している。
このような融合タンパク質の具体例としては、配列番号1又は3に示されるアミノ酸配列を有する優性変異アクチン−チモシン融合タンパク質、あるいは配列番号5又は7に示される優性変異アクチン−プロフィリン融合タンパク質があげられる。このうち配列番号1と3における優性変異アクチン部分は、細胞性粘菌の野生型actin 15のG64D変異体であり、配列番号5又は7における優性変異アクチン部分は、細胞性粘菌の野生型actin 15のE206A/R207A,/E208A3重変異体である。また、本発明においては、上記配列番号1、5に示される融合タンパク質のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有する融合タンパク質であって、宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和されており、蛋白分解酵素により切断されて内在性アクチンの阻害活性を有するタンパク質を産生する融合タンパク質も包含する。
【0018】
以下に、好ましい融合タンパク質の構造を示す。これらにおいては、融合タンパク質の下流側にポリヒスチジンタグ配列が付加されている。
G64D変異アクチン−チモシン融合タンパク質(配列番号3)
(化1)
MDGEDVQALVIDNGSGMCKAGFAGDDAPRAVFPSIVGRPRHTGVMVGMGQKDSYVGDEAQSKRDILTLKYPIEHGIVTNWDDMEKIWHHTFYNELRVAPEEHPVLLTEAPLNPKANREKMTQIMFETFNTPAMYVAIQAVLSLYASGRTTGIVMDSGDGVSHTVPIYEGYALPHAILRLDLAGRDLTDYMMKILTERGYSFTTTAEREIVRDIKEKLAYVALDFEAEMQTAASSSALEKSYELPDGQVITIGNERFRCPEALFQPSFLGMESAGIHETTYNSIMKCDVDIRKDLYGNVVLSGGTTMFPGIADRMNKELTALAPSTMKIKIIAPPERKYSVWIGGSILASLSTFQQMWISKEEYDESGPSIVHRKCFASRGGSGGSGGSASDKPDMAEIEKFDKSKLKKTETQEKNPLPSKETIEQEKQAGESHHHHHHHH*
(下線部は、キモトリプシンの切断部位であるリンカー配列、リンカーより上流側はG64D変異を有するDictyostelium discoideum Actlin15配列、 リンカーより下流側はヒト・チモシンβ配列、及び2重下線部は精製用のポリヒスチジンタグをそれぞれ表す。)
【0019】
E206A/R207A,/E208A変異アクチン-プロフィリン融合タンパク質(配列番号7)
(化2)
MDGEDVQALVIDNGSGMCKAGFAGDDAPRAVFPSIVGRPRHTGVMVGMGQKDSYVGDEAQSKRGILTLKYPIEHGIVTNWDDMEKIWHHTFYNELRVAPEEHPVLLTEAPLNPKANREKMTQIMFETFNTPAMYVAIQAVLSLYASGRTTGIVMDSGDGVSHTVPIYEGYALPHAILRLDLAGRDLTDYMMKILTERGYSFTTTAAAAIVRDIKEKLAYVALDFEAEMQTAASSSALEKSYELPDGQVITIGNERFRCPEALFQPSFLGMESAGIHETTYNSIMKCDVDIRKDLYGNVVLSGGTTMFPGIADRMNKELTALAPSTMKIKIIAPPERKYSVWIGGSILASLSTFQQMWISKEEYDESGPSIVHRKCFASRGGSGGSGGSAMSWQQYVDEQLTGAGLSQGAILGANDGGVWAKSSGINITKPEGDGIAALFKNPAEVFAKGALIGGVKYMGIKGDPQSIYGKKGATGCVLVRTGQAIIVGIYDDKVQPGSAALIVEKLGDYLRDNGYHHHHHHHH*
(上記塩基配列中、下線部はキモトリプシンの切断部位であるリンカー配列、リンカーより上流側はE206A/R207A,/E208A変異を有するDictyostelium discoideum Act1in 15配列、下流側はDictyostelium discoideum Profilin I配列、及び二重下線部は精製用のポリヒスチジンタグをそれぞれ表す。)
【0020】
これら優性変異アクチンは、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異であることが知られているものである。しかし該融合タンパク質においては、プロフィリンまたはチモシンの作用により優性変異アクチンの宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和され、精製後、蛋白分解酵素により切断されてアクチン作用を有するタンパク質を産生することができる。
一方、上記融合タンパク質の遺伝子の具体例としては、配列番号2に示される塩基配列を有する優性変異アクチン−チモシン融合タンパク質の遺伝子、あるいは配列番号6に示される塩基配列を有する優性変異アクチン−プロフィリン融合タンパク質の遺伝子が挙げられる。さらに、本発明においては、配列番号2あるいは6に示される塩基配列において1又は数個のヌクレオチドが欠失、置換または付加された塩基配列を有する遺伝子であって、優性変異アクチンの宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和されており、かつ、蛋白分解酵素により切断されてアクチン作用を有するタンパク質を産生する融合タンパク質をコードする遺伝子も包含する。
【0021】
以下に、好ましい融合タンパク質遺伝子の構造を示す。これらにおいては融合タンパク質遺伝子の下流側にポリヒスチジンタグをコードする配列が付加されている。
G64D変異アクチン-チモシン融合遺伝子の塩基配列(配列番号4)
(化3)
ATGGATGGTGAAGACGTCCAAGCTTTAGTTATTGATAACGGTTCTGGTATGTGTAAAGCCGGTTTTGCTGGTGACGATGCTCCACGTGCTGTTTTCCCATCAATTGTTGGTCGTCCAAGACACACTGGTGTTATGGTTGGTATGGGTCAAAAAGACTCATATGTAGGTGATGAAGCCCAATCAAAGAGAGATATCTTAACCCTCAAATACCCAATTGAACACGGTATCGTTACCAACTGGGATGATATGGAAAAAATCTGGCATCATACTTTCTACAATGAACTCCGTGTTGCACCAGAAGAACACCCAGTTTTGTTAACAGAAGCTCCATTAAATCCAAAAGCCAACAGAGAAAAAATGACCCAAATTATGTTTGAAACCTTCAACACCCCAGCCATGTACGTTGCCATTCAAGCCGTCTTATCCTTATATGCCTCTGGTCGTACCACCGGTATTGTTATGGATTCAGGTGATGGTGTCTCCCACACTGTACCAATCTATGAAGGTTATGCCTTACCACATGCCATCTTACGTTTAGATTTAGCTGGTCGTGATCTCACCGATTACATGATGAAAATCTTAACTGAACGTGGTTACTCATTCACCACCACTGCCGAAAGAGAAATCGTCAGAGATATCAAAGAGAAATTAGCCTACGTCGCCCTCGACTTTGAAGCTGAAATGCAAACTGCTGCCTCCTCGAGTGCCCTCGAAAAATCATACGAATTACCAGACGGTCAAGTTATCACCATTGGTAACGAACGTTTCCGTTGTCCAGAAGCCCTCTTCCAACCATCATTCTTAGGTATGGAATCTGCTGGTATCCACGAAACCACATACAACTCCATCATGAAATGTGATGTTGATATCCGTAAAGATTTATACGGTAATGTCGTCTTATCAGGTGGTACCACTATGTTCCCAGGTATTGCTGATCGTATGAACAAAGAATTAACTGCTTTAGCACCATCAACCATGAAAATTAAAATCATTGCTCCACCAGAACGTAAATACTCTGTCTGGATTGGTGGATCTATTTTAGCTTCACTCTCAACTTTCCAACAAATGTGGATCTCAAAAGAAGAATATGATGAATCTGGTCCATCAATTGTCCACAGAAAATGTTTCGCTAGCAGAGGTGGATCCGGAGGTTCTGGAGGTAGTGCATCAGATAAACCAGATATGGCTGAAATCGAGAAGTTCGATAAGTCAAAGCTTAAGAAAACTGAAACACAAGAAAAGAATCCATTACCATCAAAAGAGACAATTGAACAAGAGAAACAAGCAGGTGAATCACATCATCACCATCATCACCATCATTAA
(上記塩基配列中、下線部はリンカー配列をコードするヌクレオチド配列、リンカーより上流側はG64D変異を有するDictyostelium discoideum act15をコードする塩基配列、下流側はヒト・チモシンβのアミノ酸配列をコードする塩基配列、及び二重下線は精製用のポリヒスチジンタグをコードする塩基配列をそれぞれ表す。)
【0022】
E206A/R207A,/E208A変異アクチン-プロフィリン融合遺伝子の塩基配列(配列番号8)
(化4)
ATGGATGGTGAAGATGTTCAAGCTTTAGTTATTGATAACGGTTCTGGTATGTGTAAAGCCGGTTTTGCTGGTGACGATGCTCCACGTGCTGTTTTCCCATCAATTGTTGGTCGTCCAAGACACACTGGTGTTATGGTTGGTATGGGTCAAAAAGACTCATATGTAGGTGATGAAGCCCAATCAAAGAGAGGTATCTTAACCCTCAAATACCCAATTGAACACGGTATCGTTACCAACTGGGATGATATGGAAAAAATCTGGCATCATACTTTCTACAATGAACTCCGTGTTGCACCAGAAGAACACCCAGTTCTCTTAACCGAAGCTCCATTAAATCCAAAAGCCAACAGAGAAAAAATGACCCAAATTATGTTTGAAACCTTCAACACCCCAGCCATGTACGTTGCCATTCAAGCCGTCTTATCCTTATATGCCTCTGGTCGTACCACCGGTATTGTTATGGATTCAGGTGATGGTGTCTCCCACACTGTACCAATCTATGAAGGTTATGCCTTACCACATGCCATCTTACGTTTAGATTTAGCTGGTCGTGATCTCACCGATTACATGATGAAAATCTTAACTGAACGTGGTTACTCATTCACCACCACTGCCGCAGCTGCAATCGTCAGAGATATCAAAGAGAAATTAGCCTACGTCGCCCTCGACTTTGAAGCTGAAATGCAAACTGCTGCCTCATCATCAGCCCTCGAAAAATCATACGAATTACCAGACGGTCAAGTTATCACCATTGGTAACGAACGTTTCCGTTGTCCAGAAGCCCTCTTCCAACCATCATTCTTAGGTATGGAATCTGCTGGTATCCACGAAACCACATACAACTCCATCATGAAATGTGATGTTGATATCCGTAAAGATTTATACGGTAATGTCGTCTTATCAGGTGGTACAACTATGTTCCCAGGTATTGCTGATCGTATGAACAAAGAATTAACTGCTTTAGCACCATCAACCATGAAAATTAAAATCATTGCTCCACCAGAACGTAAATACTCTGTCTGGATTGGTGGATCTATTTTAGCTTCACTCTCAACTTTCCAACAAATGTGGATCTCAAAAGAAGAATATGATGAATCTGGTCCATCAATTGTCCACAGAAAATGTTTCGCTAGCAGAGGTGGATCCGGAGGTTCTGGAGGTAGTGCAATGAGCTGGCAACAATATGTCGATGAACAATTAACTGGTGCAGGACTTTCTCAAGGAGCAATTTTAGGTGCAAATGATGGTGGTGTTTGGGCTAAATCATCAGGTATTAATATTACTAAACCAGAAGGTGATGGTATAGCTGCTTTATTCAAAAATCCAGCTGAGGTATTTGCTAAGGGTGCTTTGATTGGTGGAGTAAAATATATGGGTATTAAGGGTGACCCACAAAGTATCTATGGTAAAAAGGGAGCAACTGGTTGTGTTCTTGTTAGAACAGGCCAAGCAATCATTGTTGGCATTTATGATGATAAAGTCCAACCAGGATCAGCTGCACTTATTGTTGAAAAGTTAGGTGATTACTTAAGAGATAATGGTTATCATCATCACCATCATCACCATCATTAA
(上記塩基配列中、下線部はリンカーをコードするヌクレオチド配列、リンカーより上流側はE206A/R207A,/E208A変異を有するDictyostelium discoideum act15をコードする塩基配列、下流側はDictyostelium discoideum pfiIをコードする塩基配列、及び二重下線は精製用のポリヒスチジンタグをコードする塩基配列をそれぞれ表す。)
【0023】
上記遺伝子を使用して遺伝子工学的手法により得られる融合タンパク質は、宿主細胞から抽出、精製し、キモトリプシンで切断することにより優性変異アクチンを得る。融合タンパク質遺伝子にポリヒスチジンをコードする配列を付加した場合には、宿主細胞から融合遺伝子を抽出後、可溶性分画をニッケルアフィニティアガロースカラムクロマトグラフィーにより精製したのちキモトリプシンで切断する。酵素反応液から優性変異アクチン(例えば、G64DおよびE206A/R207A,/E208A)を単離するには、酵素反応液をイオン交換カラムクロマトグラフィーに通すことで精製するが、場合によっては、酵素反応溶液を再度ニッケルアフィニティカラムに通し、ポリヒスチジンタグと結合したプロフィリンまたはチモシンを選択的に除去することができ、ポリヒスチジンタグの付加は優性変異アクチンの製造、単離において極めて有効である。

【実施例】
【0024】
以下に、本発明の実施例を示すが、本願発明はこれに限定されない。
〔実施例1〕
融合タンパク質をコードする遺伝子の調製

(1)E206A/R207A/E208A変異アクチン−プロフィリン融合タンパク質をコードする遺伝子含有プラスミドの調製
a)pTIKLAct15の構築
細胞性粘菌のact15 遺伝子(accession # M14146)をGFP融合タンパク質の形で発現するプラスミドpBIG GFP-actin (Asano et al., Cell Motility and the Cytoskeleton 59:17-27, 2004)をテンプレート、5’actttcatgcaatctagataaaaa(配列番号30)および
5’aacgaattcacgcgttagctagcgaaacattttctgtggacaat(配列番号31)をプライマーとするPCRを行い、5’側にXbaI、3’側にNheI-stop-MluI-EcoRIを付加したact15 のpromoterとcoding sequenceを含む増幅産物を得、これをpGEM7-Zf(-)(Promega)のXbaI/EcoRIサイトにサブクローンしてpGEMact15を得た。次に、pLD1A15SN(Robinson and Spudich, J Cell Biol. 150:823-838, 2000)をMluIとBamHIで切断して5’側にMluI、3’側にBamHIをもつact15 terminator 配列を切り出し、これを、pGEMact15のMluI/BamHIサイトに挿入して、 pGEMact15NheMluTermを得た。次に、挿入配列全体をXbaIとSacIで切り出し、pTIKL (Liu et al., PNAS 95: 14124-14129, 1998)のXbaI/SacIサイトに挿入して、act15の発現プラスミドであるpTIKLAct15を得た。
【0025】
b)pTIKLAPの構築
細胞性粘菌Ax2株から定法に従ってTotal RNAを抽出し、
5’ccagtgagcagagtgacgaggactcgagctcaagcttttttttttttttttt(配列番号32)プライマーとReverTra Ace 逆転写酵素(Toyobo)を用いて定法に従いfirst strandを合成した。Cetrisepスピンカラムによりプライマーを除去した後、これをテンプレート、5’gtcgacaatgagctggcaacaatatgtcg(配列番号33)および
5’gaggactcgagctcaagctt(配列番号34)をプライマーとするPCRを行い、増幅産物をpGEM T easyベクター(Promega)にサブクローンして、pfiI 遺伝子(accession # X61581)を含むプラスミドを選択し、pGEMpfiIとした。
次に、pGEMpfiIをテンプレート、
5’agctagcagaggtggatccggaggttctggaggtagtgcaatgagctggcaacaatatgtc(配列番号35)と5’aacgcgttaatgatggtgatgatggtgatgatgataaccattatctcttaagtaat(配列番号36)をプライマーとしたPCRを行い、5’側にNheIサイトとASRGGSGGSGGSA(配列番号37)というリンカーをコードする配列を、3’側にHHHHHH-stop(配列番号27)をコードする配列とMluIサイトをもつpfiIを含む増幅産物をpGEM-T easyにサブクローンして、pGEMPfiIを得た。配列をDNAシーケンスにより確認後、インサート全体をNheIとMluIで切り出し、pTIKLA15のNheI/MluIに挿入して、アクチン・プロフィリン融合タンパク質を発現するpTIKLAPを得た。
【0026】
c)pTIKLE206A/R207A/E208AAPの構築
上記(1)a)で得たpGEMact15をテンプレートとし、5’GCTGCAATCGTACGCGATATCAAAGAAAAATTAGCCTA8配列番号38)および5’GATATCGCGTACGATTGCAGCTGCGGCAGTGGTGGTGAATGA(配列番号39)をプライマーとするPCRを行い、フェノールクロロホルム抽出、エタノール沈殿後、増幅産物をBsiWIおよびDpnIで切断し、アガロース電気泳動をおこない、約4 kbpのバンドを精製した。これを、polynucleotide kinase処理およびT4 DNA ligaseによるライゲーション処理により環状化し、大腸菌DH5αを形質転換した。ミニプレップを行ってBsiWI切断サイトのあるものを選び、さらにDNAシーケンサーにより、三重変異E206A/R207A/E208AをコードするA617C/A619G/G620C/A621T/A623C変異があり、かつその他の変異がないことを確認し、pGEMact15E206A/R207A/E208Aとした。これをEco105IとNheIで切断して変異部位を含む断片を切り出し、pTIKLAPの対応する断片と置換し、pTIKLE206A/R207A/E208AAPを得た。
このプラスミドはE206A/R207A,/E208A三重変異アクチン・プロフィリン融合タンパク質をコードするA617C/A619G/G620C/A621T/A623C変異アクチン・プロフィリン融合遺伝子(配列番号8)を有する。

【0027】
(2)G64D変異アクチン−チモシン融合タンパク質をコードする遺伝子含有プラスミドの調製
a)pTIKLARPの構築
発現プラスミドpTIKLAP中のact15内に効率的に変異を導入するため、act15コード領域をユニークサイト(AatII, HpaI, XhoI, KpnI, NheI)で区切られた4つの領域(Frag1, Frag2, Frag3, Frag4)に分ける操作を行った(ただしAatIIサイトは、act15コード領域の13-18残基に位置し、12残基目までは上記分割領域に含まれない)。このため、pBIG GFP-actinをテンプレートとし、以下の4組プライマーを用いたPCRを行った。

Frag1用:5’GACGTCCAAGCTTTAGTTATTGATAA(配列番号11)と5’GTTAACAAAACTGGGTGTTCTTCTGGTG3’ (配列番号12)、

Frag2用:5’GTTAACAGAAGCTCCATTAAATCCAAAA(配列番号13)と5’CTCGAGGAGGCAGCAGTTTGCATTT3’ (配列番号14)、

Frag3用:5’CTCGAGTGCCCTCGAAAAATCATAC(配列番号15)と5’GGTACCACCTGATAAGACGACATTAC3’ (配列番号16)、

Frag4用:5’GGTACCACTATGTTCCCAGGTATTG(配列番号17)と5’GCTAGCGAAACATTTTCTGTGGACAAT3’(配列番号18)。
【0028】
増幅産物は、pGEMT-easyまたはpUC19のSmaIサイトに挿入し、 配列をDNAシーケンスにより確認し、それぞれpGEM-F1, pGEM-F2, pUC19-F3,およびpUC19-F4とした。
次に、pBluescrptAct15P(東大・須藤和夫教授より分与)をテンプレート、5’GACGTCTTCACCATCCATTTTTATTTTTTATTTAATTTAA3’(配列番号19)と5’CAGGAAACAGCTATGAC3’(配列番号20)をプライマーとするPCRを行い、3’側にAatIIサイトまでのact15の18残基を付加したact15プロモーターを増幅し、これをpGEM-T easyに挿入してpGEM-a15pを得た。
pGEM-F1のSac I, Aat II切断により得られたFrag1を、pGEM-a15pのSac I/Aat IIサイトに挿入し、pGEM-pF1とした。同様にpGEM-F2のSacI, HpaI切断により得られたFrag2をpGEM-pF1のSacI/HpaIサイトに挿入し、pGEM-pF1-2とした。次にpUC19-F3のPvuII、XhoI切断により得られたFrag3をpGEM-pF1-2のNaeI/XhoIサイトに挿入し、pGEM-pF1-3とした。最後に、pUC19-F4をKpnIで切断し、得られたFrag4をpGEM-pF1-3のKpnIサイトに挿入して、サイレント変異により四つのユニークサイトをもつ変異型act15遺伝子ARを完成させ、pGEM-ARとした。なお、挿入されたFrag4の方向は配列を読むことにより確認した。pGEM-ARをXbaI、NheIで切断し、得られたAR断片をpTIKL-APのXbaI、NheIサイトに挿入して、pTIKLARPとした。
【0029】
b)チモシンβ4遺伝子の合成
発現のホストである細胞性粘菌はヒトとコドン使用頻度が大きく異なるので、ヒト・チモシンβ4遺伝子をそのまま細胞性粘菌で発現させると発現効率が低下する恐れがあった。そこで、細胞性粘菌のコドンバイアスを考慮しつつ、ヒト・チモシンβ4をコードする遺伝子は以下に述べるPCRを用いた合成法によって得た。まずチモシンβ4配列を二つの領域に分割し、それぞれを、二つのオリゴヌクレオチドによる相互伸長反応により合成した。伸長反応条件は通常のPCRの条件を用い、オリゴヌクレオチドは以下の二組を用いた。
5’GGTTCTGGAGGTAGTGCATCAGATAAACCAGATATGGCTGAAA(配列番号21)
と5’CTTAAGCTTTGACTTATCGAACTTCTCGATTTCAGCCATATCTGG(配列番号22)及び、
5’CTTAAGAAAACTGAAACACAAGAAAAGAATCCATTACCATCAAAAGAGACAATTGAAC(配列番号23)
と5’ATGATGGTGATGATGTGATTCACCTGCTTGTTTCTCTTGTTCAATTGTCTCTTTTGA(配列番号24)
(下線部は、互いのオリゴヌクレオチドがアニーリングする領域を示す。)

反応産物はそれぞれpUC19のSmaIサイトに挿入し、配列を確認して、それぞれpUC19-Thymo1とpUC19-Thymo2とした。pUC19-Thymo2をEcoRIとAflIIで切断し、得られた断片をpUC19-Thymo1のEcoRI/AflIIサイトに挿入し、 pUC19-Thymosinを得た。
【0030】
c)pTIKLARTの構築
上記b)で得られたpUC19-Thymosinをテンプレートとし、
5’GCTAGCAGAGGTGGATCCGGAGGTTCTGGAGGTA(配列番号25)と
5’ACGCGTTAATGATGGTGATGATGGTGATGATGTGATTCACCT(配列番号26)をプライマーとするPCRを行い、5’側にNheIサイト、3’側にHHHHHH(配列番号27)をコードする配列とstopコドンおよびMluIサイトを付加した人工チモシン4遺伝子を得て、これをpUC19のSmaIサイトに挿入し、pUC19-link-Thymosin-Hisを得た。次に、pUC19-link-Thymosin-HisをNheIとMluIで切断し、得られた断片を上記(2)a)で得られたpTIKLARPのNheI/MluIサイトに導入して、pfiI遺伝子を人工チモシン遺伝子で置換したpTIKLARTを得た
【0031】
d)pTIKLG64DARTの構築
上記(1)a)で得られたpGEM-F1をテンプレート、5’ATCTTAACCCTCAAATA(配列番号28)と5’ ATCTCTCTTTGATTGGG(配列番号29)をプライマーとしてPCRを行った。増幅産物をpolynucleotide kinaseおよびT4 DNA ligaseで処理して環状化させ、さらにDpnI処理によって不要なテンプレートの分解を行ったあと、大腸菌の形質転換を行った。得られたコロニーから、EcoRVサイトが形成されているものを選び、さらにDNAシーケンサーにより配列を確認してpGEM-G64Dを得た。pGEM-G64DをAatIIとHpaIで切断して変異部位を含むFrag1を切り出し、これをpTIKLARTのAat II/Hpa Iサイトに挿入することにより、pTIKLG64DARTを得た。
この組換えプラスミドはG64D変異(アクチンにおいてはN末のメチオニンが翻訳後除去されるので、成熟タンパク質においては63番のグリシンからアスパラギン酸への置換にあたる)アクチン・チモシン融合タンパク質をコードするG191A変異アクチン・チモシン融合遺伝子(配列番号4)を有する。

【0032】
〔実施例2〕G64D変異アクチン・チモシン融合タンパク質の発現、および同蛋白質からのG64D変異アクチンの製造
野生型Dictyostelium discoidem Ax2株を、electroporation 法(文献Egelhoff et al., 1991)により、実施例1(2)d)で得られたpTIKLG64DART で形質転換し、温度21度において形質転換体を12 mg/mL G418を含むHL5培地中(文献Sussman, 1987)で選択培養し、さらに1-3 LのHL5培地で大量培養した。
得られた細胞を遠心(1700×g, 5 min)によって集菌した。以後の操作はすべて4 ℃または氷上にて行った。細胞ペレットは10 mM Tris-HCl pH 7.4で二度洗浄し、細胞重量の2倍量のBinding buffer 1 (10 mM Imidazole pH 7.4, 10 mM Hpes pH7.4, 300 mM NaCl, 2 mM MgCl2, 1 mM ATP, 7 mM βメルカプトエタノール)を加え、懸濁した。さらにBinding Buffer 2 (Binding Buffer1プラス2.5% Triton X-100およびタンパク質分解酵素阻害剤) を細胞重量の2倍量を加えることで溶菌させ、遠心(40,000×g, 30 min)した。上澄み液はNi Sepharose High Performance(GEヘルスケアバイオサイエンス社)と一時間混合し、G64D変異アクチン・チモシン融合タンパク質を吸着させた。Ni Sepharose High Performanceをwash buffer (20 mM Imidazole pH 7.4, 300 mM NaCl, 4 mM MgCl2, 0.1 mM ATP, 7 mM βメルカプトエタノール)で洗浄した後、elution buffer (300 mM Imidazole pH 7.4, 50 mM NaCl, 0.1 mM ATP, 7 mM βメルカプトエタノール)によってG64Dアクチン・チモシン融合タンパク質を溶出させた。
【0033】
Ni Sepharose High Performanceからの溶出液をキモトリプシン切断バッファ(10 mM Hepes pH 7.4, 50 mM NaCl, 4 mM MgCl2, 0.1 mM ATP, 0.1 mM DTT, 0.01% NaN3 )に対して透析した後、超遠心(300,000×g, 15 min)を行い、上澄み液をG64D変異アクチン・チモシン融合タンパク質の粗精製液とした。これに、タンパク質の重量比で1,000 : 1になるようにTLCK処理済みキモトリプシンを加え、25℃で20分間消化反応を行った。反応は0.2 mM PMSF添加で停止させた。未消化のG64D変異アクチン・チモシン融合タンパク質、遊離したチモシン。およびその他の不純物を除くため反応液を再度Ni Sepharose High Performanceに通した。素通り液をEcono-Pac High Q Cartridgeに通し、G64D変異アクチンを吸着させた。Econo-Pac High Q Cartridgeを150 mM NaClを含むキモトリプシン切断バッファで洗浄し、300 mM NaClを含むキモトリプシン切断バッファによってG64D変異アクチンを溶出させた。溶出液はキモトリプシン切断バッファに対して透析した後、超遠心(300,000×g, 15 min, 4℃)した。上澄み液をG-bufferに対して透析し、これを精製G64D変異アクチンとした。培養液1 Lから0.6 mgのG64D変異アクチン(配列番号11)が得られた。各精製段階における電気泳動の結果を図2に示す。図中の各レーンは以下のとおりである。
【0034】
Lane 1; 粗精製G64D変異アクチン・チモシン融合タンパク質。
Lane 2; キモトリプシン限定分解後。
Lane 3; 2nd Ni-アフィニティクロマトグラフィー素通り分画。
Lane 4; Q-Sepharoseからの溶出分画。
Lane 5, 6; 同分画を重合条件下で超遠心したペレット(5)と上澄(6)

【0035】
〔実施例3〕E206A/R207A,/E208A変異アクチン・プロフィリン融合タンパク質の発現、および同蛋白質からのE206A/R207A,/E208A変異アクチンの製造
なお、E206A/R207A,/E208A三重変異アクチンは、酵母Saccharomyces cerevisiae において優性致死であることが示されている(Wertman, K. F., D. G. Drubin, and D. Botstein (1992) Genetics 132: 337-350.)。
【0036】
実施例1(1)c)で得られたpTIKLE206A/R207A,/E208AAPを用いて野生型Dictyostelium discoidem Ax2株の形質転換を行った。
なお、形質転換、形質転換体の選択培養、および大量培養は実施例2と同様に行った。
以後の操作はすべて4 ℃または氷上にて行った。細胞は、低速遠心(1700×g, 5 min)によって収穫し、さらにを10 mM Tris-HCl pH 7.4で二度洗浄した。細胞ペレットを細胞重量の2倍量のBinding buffer 1 (10 mM Imidazole pH 7.4, 10 mM Hpes pH7.4, 300 mM NaCl, 2 mM MgCl2, 1 mM ATP, 7 mM βメルカプトエタノール)に懸濁した。
【0037】
さらにBinding Buffer 2 (Binding Buffer1プラス 1% Triton X-100,プロテアーゼ阻害剤) を細胞重量の2倍量を加えることで溶菌させ、ただちに遠心(40,000×g, 30 min)した。上澄み液を、細胞重量の1/5容のHighTrap Hisレジン (アマシャム・ファルマシア)と30分混合し、アクチン・プロフィリン融合タンパク質を吸着させた。次に、HighTrap Hisレジンをwash buffer (20 mM Imidazole pH 7.4, 300 mM NaCl, 4 mM MgCl2, 0.1 mM ATP, 7 mM βメルカプトエタノール)で洗浄した後、wash bufferからelution buffer (400 mM imidazole pH 7.4, 25 mM NaCl, 1 mM MgCl2, 0.1 mM ATP, 7 mM βメルカプトエタノール)へのリニアグラジエントによってアクチン・プロフィリン融合タンパク質を含むタンパク質を溶出した。溶出分画は、キモトリプシン切断buffer (10 mM Hepes pH 7.4, 25 mM NaCl, 1 mM MgCl2, 0.2 mM ATP, 0.1 mM DTT)に対して一晩透析した後、超遠心(300,000×g, 15 min)を行い、上澄み液をアクチン・プロフィリン融合タンパク質(配列番号7)粗精製液とした。収量は、培養液1 Lあたり約10 mgであった。
【0038】
粗精製液の総タンパク質とキモトリプシンが重量比で200 : 1になるようにTLCK処理済みキモトリプシンを加え、25℃で10分間消化反応を行った。反応は0.2 mM PMSF添加で停止させた。このE206A/R207A,/E208A変異アクチンは、重合能に欠陥があるので、以下の方法によりさらに精製を行った。切断したE206A/R207A,/E208A変異アクチン・プロフィリン溶液をG bufferに対して6時間透析し、Q-Sepharoseカラムに吸着させた。カラムをwash buffer (10 mM imidazole pH 7.4, 0.1 mM ATP, 0.2mM CaCl2, 0.2mM DTT, 0.005%NaN3)で洗った後、同bufferから同buffer+1 M NaClのリニアグラジエントで溶出を行い、E206A/R207A,/E208A変異アクチンを含む分画を回収した。これをG bufferに対して一晩透析し、超遠心処理(300,000×g, 15 min)を行った上澄を精製E206A/R207A,/E208A変異アクチン分画とした。約10 gの菌体量から0.2 mgの精製E206A/R207A,/E208A変異アクチン(配列番号12)が得られた。各精製段階における電気泳動の結果を図3に示す。図中の各レーンは以下のとおりである。
【0039】
Lane 1: E206A/R207A,/E208A変異アクチン・プロフィリン融合タンパク質の粗精製分画。
Lane 2: 骨格筋アクチン。
Lane 3: キモトリプシン処理後。
Lane 4: Q-Sepharose イオン交換クロマトグラフィー後。

【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の融合タンパク質の一次構造の例を示す模式図である。
【図2】G64D変異アクチン製造工程中の各精製段階における電気泳動の結果を示す写真である。
【図3】E206A/R207A,/E208A変異アクチン製造工程中の各精製段階における電気泳動の結果を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(f)の工程を含むことを特徴とする、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質の製造方法。
(a)宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNAと、該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子を、タンパク分解酵素の切断部位をコードするヌクレオチド配列を含むリンカーポリヌクレオチドを介して結合せしめて融合遺伝子を調製する工程。
(b)上記融合遺伝子をベクターに挿入し、組み換えベクターを得る工程。
(c)上記組み換えベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を得る工程
(d)上記形質転換体を培養し、培養物から融合タンパク質を得る工程。
(e)得られた融合タンパク質をタンパク分解酵素で切断し、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を得る工程。
(f)切断されたタンパク質の混合液から、毒性を中和するために融合したタンパク質を除去し、宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質を精製する過程。

【請求項2】
以下の(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする、融合タンパク質の製造方法。
(a)宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNAと、該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子を、タンパク分解酵素の切断部位をコードするヌクレオチド配列を含むリンカーポリヌクレオチドを介して結合せしめて融合遺伝子を調製する工程。
(b)上記融合遺伝子をベクターに挿入し、組み換えベクターを得る工程。
(c)上記組み換えベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を得る工程
する工程。
(d)上記形質転換体を培養し、培養物から融合タンパク質を得る工程。

【請求項3】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質をコードする遺伝子、または該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子に、精製用のタグをコードするヌクレオチド配列が結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。

【請求項4】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質が、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンであり、毒性を低下あるいは中和するタンパク質がプロフィリン、またはチモシンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。

【請求項5】
タンパク質分解酵素の切断部位が、キモトリプシンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。

【請求項6】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質、及び該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドが、タンパク分解酵素の切断部位のアミノ酸配列を有するリンカーペプチドを介して結合していることを特徴とする、融合タンパク質。

【請求項7】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質、または該毒性を低下あるいは中和するタンパク質またはペプチドのC末端に精製用のタグが付加されていることを特徴とする請求項6に記載の融合タンパク質。

【請求項8】
上記精製用タグがポリヒスチジンタグまたはFLAGタグであることを特徴とする請求項7に記載の融合タンパク質。

【請求項9】
宿主細胞に対して毒性を有するタンパク質が、内在性アクチンの機能を阻害する優性変異アクチンであり、該毒性を低下あるいは中和するタンパク質が、プロフィリン、またはチモシンであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の融合タンパク質。

【請求項10】
タンパク質分解酵素の切断部位がキモトリプシンであることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の融合タンパク質。

【請求項11】
配列番号1または5に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは配列番号1または5に示されるアミノ酸配列においてそれぞれ1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有する融合タンパク質であって、優性変異アクチンの宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和され、蛋白分解酵素により切断されて内在性アクチンの阻害活性を有するタンパク質を産生することを特徴とする、融合タンパク質。

【請求項12】
配列番号3または7に示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする、融合タンパク質。

【請求項13】
請求項6〜12のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子。

【請求項14】
配列番号2または6に記載の塩基配列を有するか、あるいは該塩基配列において1又は数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加された塩基配列を有する遺伝子であって、該遺伝子が、優性変異アクチンの宿主細胞に対する毒性が低下乃あるいは中和されており、かつ蛋白分解酵素により切断されて内在性アクチンの阻害活性を有す優性変異アクチンを産生する融合タンパク質をコードするものであることを特徴とする、遺伝子。

【請求項15】
配列番号4または8に示される塩基配列を有することを特徴とする、遺伝子。

【請求項16】
請求項13〜15のいずれかに記載の遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。

【請求項17】
請求項16に記載の組み換えベクターが導入されていることを特徴とする形質転換体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−43275(P2008−43275A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223042(P2006−223042)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人科学技術振興機構「細胞内蛋白質統合検出システム」受託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】