説明

毛状疣贅の治療および予防のための金属収斂剤の使用

蹄関連病、特に毛状疣贅(乳頭腫性肚皮膚炎)を治療するためのシステムおよび方法は、治療的に効果的な濃度の金属収斂剤を有する水溶液を含む。金属収斂剤は、アルミニウム、鉄、およびそれらの混合物を含む。好ましい態様では、金属は、モノマー種とポリマー種との混合物を含むことができる。ポリマー種は、例えば、ポリ塩化アルミニウムまたはポリ硫酸第二鉄等のポリマーの濃縮物の形態であることができる。あるいは、ポリマー種は、金属塩を部分的に中和することにより生成できる。金属収斂剤の水溶液は、足浴、泡およびスプレー適用を含むがこれらに限られない任意の公知の適用技術を使用して動物の脚下部および蹄領域に適用される。好ましい態様では、水溶液は、自動化された投与システムを使用して適用される。金属収斂剤の性能を高めまたは追加の機能性に寄与するために、界面活性剤および増粘剤等の水溶液は、追加の成分を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜牛ならびに他のタイプの有蹄動物における足の病気の治療および予防に関する。さらに特に、本発明は、毛状疣贅病(hairy heel wart disease)の治療および予防のための金属収斂剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
乳頭腫性肚皮膚炎(Papillomatous Digital Dermatitis(PDD))、趾皮膚炎(Digital Dermatitis(DD))、Strawberry heel warts、またはMortellaro病として知られている毛状疣贅病は、有蹄動物閑で感染する伝染病である。この病気は、皮膚および蹄領域の接合部の近くに形成される痛みを伴う皮膚病変を呈する。発達した状態では、この病変は、長髪状の(long hair−like)皮膚成長(乳頭(papilliforms))を生じる場合がある。この病気の影響は、歩行困難、体重の損失および一般的な健康の低下を含む。乳牛の場合には、この病気は、ミルク生産の損失となる。ある場合には、介入的な手術が、動物の命を守るために必要な場合がある。この病気の病因は、環境的要因、管理要因、および細菌性要因を含む多変量問題として認識されている。高レベルの湿気および肥料への暴露が、この病気の大きな要因であるようである。さらに、局所的な抗生物質への急速な応答は細菌学上の要因を示し、そしてトレポネーマスピロヘータ(Treponema spirochaete)が、毛状疣贅病に関連した病変において観察された。
【0003】
乳牛のための治療の実施は、農場によってものすごく変わる場合がある。大部分の農場特に大きな酪農場の運営では、毛状疣贅の新しいケースを予防し、そして既存の感染症を治療することを助けるために、週ごとに数回蓄牛を治療する場合がある。通常の予防的治療は、硫酸銅または硫酸銅を有するホルムアルデヒドを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足浴は、一般的に、硫酸銅を適用するために使用される。蓄牛が搾乳された後で、蓄牛は、硫酸銅の溶液を含む槽を通って歩くように移動させられる。さらなる蓄牛が足浴を通るにつれて、足浴中の活性成分が効果的でなくなるあまりに多くの汚れおよび有機性廃棄物で満たされるようになる場合があり、そしてこの槽は、蓄牛間でバクテリアをうつすビヒクルとさえなる場合がある。従って、足浴中の溶液はしばしば置き換えられる必要がある場合があるので、足浴は大幅な労力の関与を必要とする。さらに、これらのタイプの足浴は、大量の硫酸銅廃棄物、そしてある場合には、ホルムアルデヒド廃棄物となる。硫酸銅はさらに高価となっており、そして関連した環境への不安が増加し続けている。硫酸銅の使用をなくし、同時に材料コストおよび労力コストを低下させる毛状疣贅病を効果的に治療および予防するシステムおよび方法へのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
蹄関連病、特に毛状疣贅(乳頭腫性肚皮膚炎)を治療するためのシステムおよび方法は、治療に効果的な濃度の金属収斂剤を有する水溶液を含む。金属収斂剤は、アルミニウム、鉄、およびそれらの混合物を含む。好ましい態様では、金属は、モノマー種とポリマー種との混合物を含むことができる。ポリマー種は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(polyalminium chloride)またはポリ硫酸第二鉄(polyferric sulfate)等のポリマー濃縮物の形態であることができる。あるいは、ポリマー種は、金属塩を部分的に中和することによって生成できる。金属収斂剤の水溶液は、足浴、泡およびスプレー適用を含むがこれらに限られない任意の公知の適用技術を使用して動物の脚下部および蹄領域に適用される。好ましい態様では、この水溶液は、自動化された投与システムを使用して適用される。この水溶液は、金属収斂剤の性能を高めるため、または追加の機能性に寄与するために界面活性剤および増粘剤等の追加の成分を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、酢酸アルミニウム治療を硫酸銅治療と比較するための群集研究の間の蓄牛のグループでの病変サイズの平均スコアのプロットである。
【0007】
【図2】図2は、図1の群集研究の間の病変の色の平均スコアのプロットである。
【0008】
【図3】図3は、群集研究の間の病変の外観の平均スコアのプロットである。
【0009】
【図4】図4は、群集研究の間の苦痛および移動運動の平均スコアのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
システムおよび方法は、蓄牛ならびに羊、豚および馬を含む他の有蹄動物(hoofed animals)または有蹄動物(ungulates)における蹄関連病の治療および予防のために本明細書中に記載されている。システムは、水溶液中に治療的有効量で存在するアルミニウムおよび/または鉄等の収斂剤の金属塩を有する水溶液を含む。いくつかの条件下では、収斂剤の金属は、ポリマー種とモノマー種との混合物を形成できる。以下で具体的に説明するように、さらに濃縮されている銅治療と比較して、より低い濃度のアルミニウム収斂剤を有する水溶液は、毛状疣贅病(hairy wart disease)の進行を遅らせる上でかなりの結果を達成した。理論によって拘束されることを望まないが、ポリマーのアルミニウム種は、金属の収斂効果を改善すると考えられている。より低い濃度の金属収斂剤を使用する治療は、さらに経済的であり、そして環境に対してより危険でない。さらに下記の様に、自動化されたシステムは、労力コストを低下させる治療を適用するために使用できる。
【0011】
収斂薬(astringent agent)は、皮膚の表面上でのタンパク質の沈殿を促進し、そして出血を止めるか、または遅くするため、および病変の乾燥を促進するために使用できる。本開示は、毛状疣贅病の治療および予防のための三価の金属イオン収斂剤、特にアルミニウムおよび鉄に焦点を当てている、ポリカチオン性金属イオンは、イオン性相互作用を通してタンパク質の架橋結合および沈殿を促進しそうである。この架橋結合は、新たな感染症の前触れとなる場合がある湿気および肥料の柔軟化効果に対して皮膚を強くすることができ、そして既存の病変の乾燥および不活性化を促進することができる。従って、これらの金属イオンの化学的性質は、毛状疣贅病の治療および予防の両方に適している。好ましい態様では、収斂剤の金属は、金属イオンおよび対応する配位子が水溶液中で弱くのみ配位している塩を含む。次に部分的に中和されて高いポリカチオン性状態を有する金属水酸化物ポロキソカチオン(poloxocations)を生成できる金属水和物を生成する。
【0012】
金属収斂薬は、アルミニウム、鉄ならびにアルミニウムおよび鉄の組み合わせから誘導される。アルミニウム収斂薬は、ベヘン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、アルミニウムブロモハイドレート(bromohydrate)、塩化アルミニウム、(ポリ塩化アルミニウムとしてまた公知の)アルミニウムクロロハイドレート(chlorohydrate)、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、水酸化アルミニウム、クエン酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、グリコール酸アルミニウム、グリシン酸アルミニウム、酪酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウムアルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、アルミニウムサブプロピオネート(subpropionate)、ステアリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アンモニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム(ブロー液)、アルミニウムサブアセテート(subacetate)、アルミニウムクロロヒドレックス(chlorohydrex)ポリエチレングリコール、アルミニウムクロロヒドレックスプロピレングリコール、アルミニウムジクロロヒドレックスポリエチレングリコール、アルミニウムジクロロヒドレックスプロピレングリコール、アルミニウムセスキクロログヒドレックス(sesquichloroghydrex)ポリエチレングリコール、アルミニウムセスキクロロヒドレックスプロピレングリコール、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドレックス グリ(gly)、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレックス グリ、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックス グリ、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムトリクロロヒドレックス グリ、ポリ硫酸アルミニウム(polyaluminium sulfate)、ポリアルミニウムサルフェートクロライド、ポリアルミニウムフェリサルフェート(ferrisulfate)、ポリアルミニウムフェリサルフェートクロライド、ポリアルミニウムフェリクロライド(ferrichloride)、ポリアルミニウムフルフェートシリケート、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。
【0013】
上記のように、収斂剤が水溶液中にある場合、配位子(例えば、クロライド)が金属に弱く結合しているアルミニウム試薬を使用することが好ましい。好ましいアルミニウム収斂薬は、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムサブアセテート、酪酸アルミニウム、または任意のポリアルミニウム種を含むがこれらに限られない。硫酸アルミニウムおよび種々のポリアルミニウム塩の水性濃縮物は、水処理業界において使用され、そして市販されている。
【0014】
鉄収斂薬は、塩化第二鉄、クエン酸第二鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、硫酸第二鉄、フェリックサブサルフェート(ferric subsulfate:Monsel’s溶液)、クエン酸第二鉄、酪酸第二鉄、硝酸第二鉄、オルトリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、酒石酸第二鉄、ポリ塩化第二鉄(polyferric chloride)、ポリ硫酸第二鉄、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。好ましい鉄収斂薬は、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、フェリックサブサルフェート、ポリ塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。
【0015】
水溶液中における金属含有量の適当な濃度は、約0.01〜1.5重量%である。水溶液中の金属を定量化するために使用できる別の手段は、収斂薬(すなわち、それが結合する金属および配位子;例えば、酢酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウム)の濃度である。水溶液中の適当な濃度の金属収斂剤は、約0.01〜10重量%であり、そして好ましい濃度は、約0.1〜5.0重量%である。例として、下記の群集研究の研究において、0.56重量%の酢酸アルミニウムを含む水溶液をテストした;アルミニウム含有量は、約0.07重量%であった。本開示の目的のために、水溶液中の金属の濃度は、重量%の金属含有量に関して、一般的に記載された。下記の様に、好ましい態様では、水溶液は、金属収斂剤の濃縮物を希釈することによって調製された。濃縮物は、粉末、錠剤、分散体または液体の形態であることができる。
【0016】
いくつかの態様において、水溶液中の金属収斂剤は、モノマー種とポリマー種との混合物である。(ポリマー種はまた、多核または金属水酸化物ポロキソカチオンとも呼ばれる。)。ポリマー種におけるさらなる背景では、Casey、W.H.、Large Aqueous Aluminum Hydroxide Molecules、 Chemical Reviews、2005、vol.106、pp.1〜16が参照される。水溶液において、アルミニウムは、水和物およびポリアルミニウム種を生成できる。ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、およびポリアルミニウムクロロ硫酸塩(polyaluminum chlorosulfate)等のこれらのポリアルミニウム種は、飲料水中の懸濁物質を凝固させるおよび沈殿させるのに最も大きな効率を提供するために、水処理のために使用される。これらの非常にカチオン性の錯体はまた相互作用のためのより多数のイオン性部位によりより大量のタンパク質の沈殿を促進できる。これらのポリマーの系は、製造プロセスおよびポリマー系の世代によって複数のポリマー種を含む。このシステムは、核磁気共鳴分析法およびX線結晶学等の技術を使用して特定可能な、例えば、Al137+のトリデカマーAl12(OH)24AlO(HO)12+7およびAl3018+(AlAl28(OH)56O(HO)26+18)等の充分に特徴のある種を含むことができる。
【0017】
一態様では、ポリアルミニウム種は、アルミニウム塩の水溶液のpHを高めることおよび部分的に中和することによって生成できる。水溶液の塩基性を高めると、より大きな割合のポリアルミニウム種となる。しかし、水溶液の条件が塩基性過ぎる場合、貧溶性の水酸化アルミニウムが生成される。好ましい態様では、水溶液のpHレベルは、水溶液中のポリアルミニウム種の割合を最小化させるために、4.0〜6.0である。
【0018】
最も一般的に認識されているアルミニウム収斂剤は、硫酸アルミニウムおよび酢酸アルミニウムである。酢酸アルミニウムは、0.13〜0.5%の範囲の濃度にある収斂性活性成分であるとして、連邦規則集において報告されており、一方、硫酸アルミニウムは、46〜63%の濃度であると報告されている。(21C.F.R.347.を参照のこと)。したがって、酢酸アルミニウム(すなわち、ブロー液)は、硫酸アルミニウムより大きい重量効率を有するようである。理論に拘束されることを望まないが、酢酸アルミニウムは、硫酸アルミニウムと比較して、これらのポリアルミニウム種をより容易に生成できると考えられており、従ってより低濃度の酢酸アルミニウムは、収斂剤として充分であることができる。しかし、ある条件下では硫酸アルミニウムはまた、ポリアルミニウム種を生成できることが認識されている。
【0019】
アルミニウムの部分的に中和された溶液は、水酸化物[OH]とアルミニウム[Al]とのモル比(すなわち、Rは[OH]/[Al]に等しい)によって記載でき、そして分類できる。本明細書中での目的のために、Rが3に等しいところで、沈殿物Al(OH)が生成するので、Rの最大値は、一般的に3未満である。水溶液を維持するために、Rの好適な範囲は、約0.2〜2.7であり、そしてRの好ましい範囲は、約1.0〜2.5である。これらの比率では、水溶液中のアルミニウム種の少なくともいくつかは、ポリマーまたは多核である。
【0020】
多くのポリアルミニウム製品は、R値および/または塩基性パーセンテージ[(R/3)*100%]によって記載できる。例えば、水処理業界で使用されるポリ塩化アルミニウムの凝固剤は、約83〜84%の塩基性および約2.49〜2.52のR値を有する。ポリ塩化アルミニウムの代替組成物は、約50%の塩基性および約1.5に等しいR値を有する。同様に、ポリアルミニウムクロロ硫酸塩の凝固剤は、約50%の塩基性および約1.5のR値を有する。
【0021】
ポリアルミニウムを含む水溶液は、少なくとも2つの異なる方法を使用して生成できる。一態様では、例えば、ポリ塩化アルミニウム(アルミニウムクロロハイドレート)等のポリアルミニウム濃縮物は、ポリアルミニウムの水溶液を生成するために希釈できる。他の態様では、上記の様に、アルミニウム塩は、ポリアルミニウム種をin situで生成するために、希釈され、そしてアルカリ源と混合されることができる。米国特許第5、348、721号明細書および米国特許第5、985、234号明細書(いずれも水処理での使用のためのポリアルミニウムクロロ硫酸塩の形成を開示する)が参照される。また、ポリアルミニウム溶液生成のさらなる背景については米国特許第4、284、611号明細書および米国特許第6、036、935号明細書を参照のこと。
【0022】
アルミニウムと同様に、鉄はまた、ある条件下で、水溶液中でモノマー種とポリマー種との混合物を生成する。飲料水に使用される市販されている凝固剤は、ポリ塩化第二鉄およびポリ硫酸第二鉄を含む。上記のアルミニウムで記載したように、ポリ第二鉄種は、第二鉄塩を部分的に中和することによって生成できる。米国特許第5、785、862号明細書および米国特許第5、916、447号明細書(いずれも水処理業界のためのポリマー鉄の形成を記載する。)を参照のこと。
【0023】
鉄の溶液は、水酸化物[OH]および鉄のモル比(すなわち、Rは、[OH]/[Fe]に等しい)によって分類できる。鉄を含む水溶液のための好適なRの範囲は、約0.1〜0.5であり、そして好ましい値は、約0.3であり。上記のように、市販されている製品の例は、0.3のR値および約10%の塩基性を有するポリ硫酸第二鉄である。
【0024】
水溶液はまた、ポリアルミニウム、ポリ第二鉄種(polyferric)、およびポリ−アルミノ−第二鉄種の混合物であることができる。
【0025】
多くの場合、水溶液中の金属収斂剤は、モノマー種とポリマー種との混合物である。アルミニウム種および鉄種の定量化は、標準のフェロン検定法(ferron assay)を使用して測定できる。例えば、3クラスのアルミニウム種、モノマーのアルミニウムとしてAl、中位サイズのポリアルミニウム種としてAl、および大きいポリアルミニウム種としてAlをフェロン染料との反応時間に基づいて定量化した。このフェロン染料は、モノマー金属と急速に不可逆的に反応すると考えられている、一方、ポリマー形態の金属は、それらのサイズによりさらに時間が掛かる。標準の技法は、最初の3分間で生じる反応によって、Al(モノマーのアルミニウム)を3分〜30分の間に起こる反応によって、Al(中位サイズのポリマー種)を、そして全アルミニウム含有量とAl+Alとの差により、Al(大きいポリマー種)を、定量化することである。金属の特定のためにフェロン検定法を使用することのさらなる背景については、D.R.Parker、P.M.Bertsch、Identification and Quantification of the AI13 Tridecamer Polycation Using Ferron、Environ.Sci.Technol.1992、vol.26、pp.908〜914が参照される。我々の目的のために、ポリアルミニウムは、AlおよびAlによって規定される。金属の特定を分類するために使用される他の技術は、核磁気共鳴分析法、サイズ排除クロマトグラフィー、およびX線結晶学を含む。全アルミニウム含有量は、原子吸着または誘導結合プラズマによって決定できる。Standard Methods for the Examination of Water and Wasetewater 20th Edition、ed. Clesceri L.S.、 Greenberg A.E.、Eaton A.D.American Public Health Association、1998、Washington DCを参照する。
【0026】
いくつかの態様において、アルミニウムおよび鉄は、水溶液中において組み合わせて使用でき、そしてアルミニウムおよび鉄の両者は、ポリマー種を生成できる。水溶液のpHは、収斂剤の金属への影響に大幅に寄与すると考えられているポリアルミニウムおよびポリ第二鉄種の形成を最適化するために、好ましくは約4.0〜6.0である。水溶液はフェロン検定法の結果に基づいて、ポリマー形態のアルミニウムおよび/または鉄の重量%に基づいて分類できる。アルミニウム、鉄およびそれらの混合物を含むポリマー種の好適な量は、溶液中で全金属の約10重量%以上である。ポリマー種の好ましい範囲は、全金属の約25〜95重量%であり、さらに好ましくは、約50〜95重量%である。
【0027】
群集研究
【0028】
硫酸銅を用いて、および酢酸アルミニウムを用いて蓄牛を治療した結果を比較するために研究を行った。トリートメントAは、4.0重量%の硫酸銅の水溶液であった。予め計量した19.7〜19.8グラムの硫酸銅5水和物(98%、ACS Grade、 Sigma Aldrich)を含むサンプルを、16オンスの飲料水と混合して、硫酸銅の溶液を生成させた。トリートメントBは、0.56重量%、および約4.1のpHの酢酸アルミニウムの水溶液であった。アルミニウム含有量濃度は、0.07重量%であった。予め計量した10.1〜11.5グラムのBayerからのDomeboro収斂剤溶液粉末を含むサンプルを、16オンスの水中に溶解して、トリートメントBのための水溶液を生成させた。Domeboro収斂剤粉末のそれぞれの小包は、839mgの酢酸カルシウム、1191mgの硫酸アルミニウム、およびデキストランを含んでいた。酢酸カルシウムと硫酸アルミニウムとを、酢酸アルミニウムおよび硫酸カルシウムを生成させるために反応させた。この溶液から沈殿した硫酸カルシウムおよび全ての組成物(水溶液および沈殿物)を、下記の様に適用した。
【0029】
約450のホルスタイン蓄牛を有する商業的酪農場において研究を行った。蓄牛は、おがくずのベッド(bedding)、1日に3回の搾乳を伴う自由な牛房に収容されており、そして完全な混合飼料を与えられていた。トリートメントAおよびBを使用したこの研究の前に、蓄牛は、硫酸銅またはホルムアルデヒドの足浴を用いて週に1回治療されており、そして応答していない病変は、テトラサイクリン包帯を用いて包帯がされていた。
【0030】
トリートメントAおよびBの適用を始める前に、類似の病変(すなわち、サイズおよび着色)を有する蓄牛を共に対にし、そして2つの治療群の1つにランダムに割り当てた。最低10の蓄牛がそれぞれの群に含まれていた。
【0031】
ハンド噴霧器(すなわち、32オンスのスプレー瓶)を使用して、蓄牛の病変にトリートメントAおよびBを適用した。この研究は20日間続き、最後の治療は17日目の治療であり、そして最後のスコアリング観察は、20日目であった。5つの測定した属性は、病変サイズ、病変の色、病変の外観、病変の痛み、および移動運動を含んでいた。それぞれの測定のためのスコアを、下記表1に示す。
表1:観察スコアリング
【表1】

【0032】
表1中のスコアリングに基づいて、この研究の目的は、研究の最初と比較して、研究の終わりに、不活性の病変の色(すなわち、4のスコア)、より小さいかまたは痛みがない、および少なくとも同じかまたはより小さいサイズの病変への変化を示す蓄牛の数を決定することであった。トリートメントA(硫酸銅)とトリートメントB(酢酸アルミニウム)との比較は、病変の消失、病変の不活性化、および不活性な色のスコアを有する蓄牛のみの間での平均病変サイズの比較を示した蓄牛の比に基づいた。
【0033】
下記の表2は、病変に何日治療が適用され、そして何日(すなわち、評価期間)表1からの属性が測定されたかを示す。
表2:研究スケジュール
【表2】

【0034】
治療は1日目に開始され、そして2日または3日ごとに適用した。1回目の治療の適用の1日前である0日目での評価期間1を含む5つの異なる評価期間で属性を測定した。表は、表1中の5つの測定可能な属性のそれぞれを記載しており、それぞれの評価期間での属性を示す。(対応するグラフもまた含まれている。)何頭かの蓄牛は、全ての評価期間において評価しなかった。下記の表中に報告された合計は、これを反映している。表中の平均は、それぞれの評価期間において評価された蓄牛の数を基準としている。
【0035】
表3は、0〜3のスケールでの病変サイズのスコアを示す。それぞれの評価期間でのスコアの分布、および平均病変サイズを示す。平均スコアを図1中にプロットした。
表3:病変サイズのスコア分布
【表3】

【0036】
評価期間5(19日目)では、硫酸銅を用いた治療を受けた11頭の蓄牛の内の8頭と比較して、酢酸アルミニウムを用いた治療を受けた11頭の蓄牛の内9頭が、1の病変サイズを有した。しかし、この研究期間内に、完全に消失した病変はなかった。
【0037】
表4および図2は、0〜5のスケールでの病変のスコア分布および平均スコアを示す。
表4:病変の色のスコア分布
【表4】

【0038】
4以上の色のスコアを有する病変は、不活性の病変として示された。酢酸アルミニウムを用いて治療した群においては、11頭の蓄牛の内4頭が、19日目で不活性の病変に変化した。硫酸銅を用いて治療した群において、同じ結果が観察された。図2に示すように、酢酸アルミニウムは、病変を不活性にするのにより長く掛かるようである;しかし、19日目の平均が2つの治療群間で比較できるように、酢酸アルミニウムの平均スコアは、評価期間4と5との間で著しく増加した。
【0039】
表5および図3は、1〜5のスケールでの、病変の外観、特に湿り気の測定を対象にする。
表5:病変の外観のスコア分布
【表5】

【0040】
表5および図3に示すように、評価期間2と4との間の2つの治療の結果の間で違いがあった。特に、硫酸銅を用いて治療した病変は、酢酸アルミニウムを用いて治療したものよりも、速く「乾燥している」ようであった。しかし、評価期間5において、平均スコア(酢酸アルミニウムで3.36および硫酸銅で3.55)は、同等であった。表5に示すように、酢酸アルミニウムで治療した11頭中5頭の蓄牛は、4または5のスコアを受け;同様に、硫酸銅で治療した11頭中5頭の蓄牛が4または5のスコアを受けた。
【0041】
病変の痛みが、0〜2のスコアに基づいて表6および図4において定量化されている。病変の痛みは、それぞれの評価期間において測定された5つの属性の一番目であった。観察プロセスの始めに、蓄牛の蹄を水でクリーニングして病変をさらに見えるようにくずを除いた。クリーニングプロセスへのそれぞれの蓄牛の応答(すなわち、蓄牛がその足を上げたか、およびどれだけ長く)に基づいて、病変の痛みを測定した。
表6:病変の痛みのスコア分布
【表6】

【0042】
治療を始める前に、それぞれの治療群中の1頭以外の全ての蓄牛は、より小さい痛み(スコア=1);およびそれぞれの群中の1頭の蓄牛は大きな痛み(スコア=2)を示した。2つの群の平均は、評価期間4を通して非常に類似したままであった。評価期間5において、酢酸アルミニウム群の平均は、0.64でわずかに高く、一方、硫酸銅の平均は0.45であった。
【0043】
表7および図4に示すように、最後の属性は移動運動であり、そして1〜5のスケールで測定した。
表7:移動運動のスコア分布
【表7】

【0044】
上記の他の属性と同様に、酢酸アルミニウム治療での移動運動のスコアは、硫酸銅を用いた治療のものスコアと類似した。評価期間1でのスコア分布は、両群中の蓄牛の大部分が1日目に1または2のスコアを有していたことを具体的に示す。従って、研究の最初に、病変は、歩き方および動作に大きな影響をまだ与えていなかった。両方の群において、移動運動のスコアは、移動運動の低下に対応して最初増加した。しかし、長い間では、両方の治療は、移動運動における改善となった。
【0045】
群集研究の目的は、それぞれの群において:不活性の病変の色のスコア(すなわち、スコア=4または5)、病変のより小さい痛み、または痛みがないこと(すなわち、スコア=0または1)、および病変サイズでの変わらないかまたは減少したスコア、の3つの結果を示す蓄牛の数を比較することであった。表8は、それぞれの群における蓄牛の基準に合い、そして本質的に群集研究の終わりまでに不活性化された病変を有した蓄牛の、初期のおよび最終のスコアを具体的に示す。
表8:不活性化された病変の基準に合う蓄牛
【表8】

【0046】
上記表3に具体的に説明したように、どちらかの群の中の病変はいずれも、評価期間中には完全に消失しなかった。しかし、いくつかの病変は、4または5の色のスコアに基づいて「不活性化された」として示された(表4を参照のこと)。特に、それぞれの群の中の11頭の内4頭の蓄牛が、病変の不活性を示した。これら8頭の蓄牛(それぞれの群から4頭)のそれぞれのすべての属性を上記表8中に記載した。これらの蓄牛のそれぞれでの19日目の平均病変サイズのスコアは、両群において1.00であった。
【0047】
要約すれば、2種の治療の全体的な性能は、同程度であった。それぞれの群の中の11頭の内4頭の蓄牛が、評価期間の終わりまでに、不性化された病変を示した。一般的に、酢酸アルミニウムは、評価期間の終わりまでに同程度の結果を達成したが、硫酸銅治療は、病変の不性化がより速くなるように促進するようである。
【0048】
上記のように、群集研究において、トリートメントAは、約4.0重量%で硫酸銅を有する溶液であったが、一方、トリートメントBは、0.56重量%で酢酸アルミニウムを有する溶液であった。硫酸銅に比較して著しくより低濃度の酢酸アルミニウムを使用したが、しかし病変成長を遅らせるのに同程度の結果が観察された。群集研究は、銅の代わりに金属収斂剤としてアルミニウムを使用することが、銅に比較したアルミリウムの環境上の利点に加えて、より低い濃度レベルにより、さらに経済的であることを具体的に示す。
【0049】
上に記載したように、特定条件下において、アルミニウムは、水溶液中で多核またはポリマー種を生成した。4.1のpHにおいて、群集研究で使用された酢酸アルミニウム(ブロー液)は、ポリマーのアルミニウム種とモノマーのアルミニウム種との混合物をおそらく含んでいた。ポリアルミニウム種は、病変の治療において、酢酸アルミニウムの性能の部分的な原因であると考えられている。
【0050】
濃縮物および任意選択的成分
【0051】
いくつかの態様において、水溶液は、使用時間の近辺で、水を用いて希釈される1種または2種以上の濃縮物から生成される。濃縮物は、固体粉末、錠剤、分散体または液体の形態であることができる。金属収斂剤濃縮物は、単独でまたは他の成分と組み合わせて使用できる。例えば、水溶液は、共に混合され、そして水で希釈される2種の濃縮物の組み合わせにより生成できる。その場合、第1の濃縮物は、金属収斂剤を含むことができ、そして第2の濃縮物は、金属収斂剤の供給または性能を増強する少なくとも1種の成分を含むことができる。
【0052】
増強成分は、さらに下記に記載するように、界面活性剤、スキンコンディショナー、緩衝剤、および抗菌剤を含むがこれらに限られない。特別な用途のために選択された増強成分は、さらに下記に記載するように、水溶液を適用する様式に部分的による場合がある。ある場合には、例えば材料のいくつかが、共に混合された場合に、長期で適合性を有しない場合、2つの濃縮物の系を使用するために好ましいことができる。また、2つの濃縮物の系は、要求に応じてまたは必要に応じて増強成分の異なる調合物を使用するためにより大きな柔軟性を提供する。好ましい態様では、使用者が水溶液を生成させるために少量を使用できるように、金属収斂剤の第1の濃縮物は、非常に濃縮される。好ましい態様では、第1の濃縮物は、使い勝手の良い液体である。
【0053】
いくつかの態様において、水溶液は、水性組成物の表面張力を低下させることによって、水溶液が皮膚をぬらし、そして皮膚の上に拡がることを可能にする界面活性剤を含む。抗菌性界面活性剤は、抗菌特性をまた提供しながら低下した表面張力を達成するために使用できる。カチオン性、非イオン性、および両性イオン性界面活性剤は、カチオン性収斂剤塩とさらに非常に相溶性でありそうなので、アニオン性界面活性剤より好まれる場合がある。水溶液中での界面活性剤の好適な濃度は、約0.05〜1.0重量%である。
【0054】
いくつかの態様において、水溶液は、粘度を高め、そして皮膚の表面上でより大量の液体を保つために増粘剤を含む。増粘剤(thickners)、または増粘剤(thickening agent)は、(ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、およびカルボキシメチルセルロース等の)セルロース増粘剤、界面活性剤増粘系、会合増粘剤、クレイおよびシリカを含むことができるがこれらに限られない。増粘剤が存在する場合、組成物は、せん断が高まると粘度が増加するチキソトロピー特性を有することができる。これは、スプレーでの噴霧効果を低下させるか、または表面上での溶液の保持を高める。
【0055】
いくつかの態様において、水溶液は、棒状ミセル特性を与えるために、界面活性剤成分の組み合わせを含む界面活性剤の増粘系によって粘度を高められる。この出願の承継人であるEcolab Inc.に承継された米国特許第6、630、434号明細書を参照する。いくつかの態様において、界面活性剤増粘系は、棒状ミセル性増粘組成物を生成するために、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤対イオンとの組み合わせを使用する。
【0056】
カチオン性界面活性剤は、窒素含有アミン、トリアルキルアミン、1つまたは2つのアルキル基および対応する2つまたは3つのアルキレンオキサイド基、好ましくはエチレンオキサイド基を有するアミンを含むがこれらに限られない。第四級アンモニウム化合物が、脂肪族アミン、芳香族アミンまたはアルキル置換芳香族アミン置換基およびトリアルキルアミンオキサイドからできている一般的に入手可能な第四級アンモニウム化合物が使用できる。好ましい第四級アンモニウム界面活性剤は、C12〜18アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、サルフェート、およびメトサルフェートのC12〜18アルキルピリジニウム塩を含むがこれらに限られない。典型的な例は、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化獣脂(tallow)トリメチルアンモニウム、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。好ましいアミンオキサイド界面活性剤は、C12〜18アルキルジメチルアミンオキサイドおよびN、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)C12〜C18アルキルアミンオキサイドを含む。代表的な材料は、ラウリルジメチルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)コカミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、オレイルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、獣脂ジメチルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)セチルアミンオキサイド、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)獣脂アミンオキサイド、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られな。好ましいアミン界面活性剤は、C12〜C18アルキルジメチルアミン、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)C12〜C18アルキルアミン、およびN、N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)C12〜C18アルキルアミンを含むがこれらに限られない。典型的な例は、ラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、獣脂ジメチルアミン、N、N−ビス(ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N、N−ビス(ヒドロキシエチル)セチルアミン、N、N−ビス(ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N、N−ビス(ヒドロキシプロピル)オレイルアミン、N、N−ビス(ヒドロキシプロピル)獣脂アミン、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。
【0057】
アニオン性界面活性剤対イオンは、C1〜C18アルキルカルボキシレート、サルフェート、およびスルホネートを含むことができるがこれらに限られない。好ましい態様では、アニオン性界面活性剤対イオンは、Cl〜18アルキルアリールカルボキシレート、サルフェート、またはスルホネートである。代表的なアニオン性界面活性剤対イオンは、サリチル酸、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、オレフィンスルホン酸ナトリウム、およびそれらの混合物を含むがこれらに限られない。
【0058】
水溶液はまた、金属収斂剤の性能を改善するように構成された、または最終製品のさらなる機能性に寄与する追加の成分を任意選択的に含むことができる。例えば、組成物は、皮膚健康および回復を促進するためにグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ラノリン、ポリエチレングリコール(PEG)−ラノリンおよびポリプロピレングリコール(PPG)−ラノリンの誘導体、アロエ、およびアラントイン等のスキンコンディショナーを含むことができる。緩衝剤は、pHの調整および金属収斂剤の化学種分析(speciation)の制御のために使用できる。バッファーは、モノカルボキシレート、リン酸、カーボネート、および類似の製品等の有機酸を含むことができる。pHは、ナトリウム重炭酸塩、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ源を加えることによって調整できる。フィルム形成ポリマーは、皮膚表面上に残留する活性材料を保持するために水溶液中で使用できる。フィルム形成ポリマーは、ポリエチレングリコール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリビニルピロリジノン、ポリウレタンおよびに対応するコポリマーを含むことができる。
【0059】
水溶液は、四級系(quat based)抗菌剤、フェノール累、過酸、過酸化水素、酸性化した塩化ナトリウム、次亜塩素酸、ヨード、クロルヘキシジン、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系殺菌剤、および脂肪酸等の抗菌剤をまた含むことができる。一般的に認識されている食品中で用いられる染料および顔料から選択された着色剤、薬物および化粧品調合物は、組成物の一部であることができる。マンサク、タンニンおよびティーツリー油等の有機収斂剤も同様に使用できる。これらの任意選択的成分のいずれかは、特別な製品の所望の特徴によって種々の組み合わせにおいて使用できる。
【0060】
上記のように、水溶液は、少なくとも2種の濃縮物を、共に混合し、そして水を用いて希釈することにより、生成できる。第1の濃縮物は、金属収斂剤を含むことができる。第2の濃縮物は、上記強化成分の少なくとも1種を含むことができる。あるいは、強化成分は、1超の濃縮物内に含まれることができる。例えば、第2の濃縮物は、界面活性剤および/または増粘剤を含むことができる、そして第3の濃縮物は、スキンコンディショナーおよび/または抗菌剤を含むことができる。いくつかの態様において、濃縮物は、適当な特性を有する水溶液を生成するために、濃縮物と混合するためのインストラクションを含むキットとして販売できる。例として、インストラクションは、特定濃度の金属を有する溶液を生成させるためのインストラクションおよび/または金属の化学種分析を制御するための水溶液のpHレベルを調整するインストラクションを含むことができる。さらにある例では、インストラクションは、特定の泡密度を有する泡溶液を生成することのインストラクションを含むことができる。
【実施例】
【0061】
ポリアルミニウム化学種分析の例
【0062】
上記の様に、好ましい態様では、金属収斂剤溶液は、ポリマー種または多核種の金属を含む。ポリマー種の適当な範囲を上記に記載した。好ましい態様では、水溶液中のポリマー種は、収斂剤としての金属の性能を高めるために最大化される。ポリマー種を含む水溶液は、ポリマーの濃縮物から、またはポリマー種をin situで生成するために、金属塩を加水分解することによって、生成できる。
【0063】
市販されているポリアルミニウム濃縮物の例は、アルミニウムクロロハイドレート(アルミニウムとしてで12.4%活性、)であり、本出願の譲受人であるEcolab Inc.によって販売されているWCS5051である。界面活性剤および抗菌(下記表9中の例1を参照のこと)等の他の機能性成分と混合した場合にポリアルミニウム濃縮物が長期間安定な場合、決定のための研究が行われた。特に、例1のポリマー化学種分析を、例1の後でWCS5051と比較した研究を用意し、そして40℃で7週間貯蔵した。例1のpHは、4.6であって、そして7週間以上変わらないままであった。
表9:例1の組成物
【表9】

【0064】
上記のように、アルミニウムクロロハイドレート中のアルミニウム含有量は、12.4重量%であった。例1中でのアルミニウムクロロハイドレートの重量%は9.92%(すなわち、約10倍に希釈されていた)であったので、例1中のアルミニウム含有量は、約1.23重量%であった。上記のように、水溶液中での金属含有量の適当な範囲は、約0.01〜1.5重量%である。
【0065】
7週間の貯蔵期間後に例1中でAl(モノマーの)、Al(中位サイズポリマーの)、およびAl(大きいポリマーの)の化学種分析を定量化するために、Parker、 Identification and Quantification of the Al13 Tridecamer Polycation using Ferron(上記で参照した)に記載されたフェロン検定法の手順を行った。AlおよびAlのパーセンテージは、3分後および30分後に、それぞれフェロン吸光度に基づいていた。大きいポリマー種(Al)を、全アルミニウム含有量と(Al+Al)との間で異なるように決定した。WCS5051の化学種分析を定量化するために同じ手順を繰り返した。結果を下記表10に示す。
表10:アルミニウム化学種分析の相対的割合
【表10】

【0066】
表10の結果は、例1のポリアルミニウム種が物理的に安定であり、そしてWCS5051と比較して、この溶液が、加速された高温貯蔵条件後に、類似の化学種分析を維持したことを示す。例1において、ポリマー種(AI+Al)は、90.3%に等しく、一方WCS5051中のポリマー種は、88.4%に等しかった。この研究は、いくつかの態様において、収斂剤溶液がポリアルミニウム濃縮物から生成されることができることを立証する。溶液は、ちょうど動物への適用の前、または直ぐに使える製品として予め生成できる。
【0067】
さらにある例では(例2)、ポリアルミニウムの系を、2つの部分(1:1)を混合することによって、in situで生成した。第1の部分は、8.94重量%の塩化アルミニウム六水和物を含む水性組成物であり、そして第2の部分は、0.55重量%の氷酢酸および0.11重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水性組成物であった。混合した場合に、例2の水溶液中におけるアルミニウム含有量は、0.5重量%であり、そしてpHは、4.88であった。フェロン検定法の結果は、例2の化学種分析を、Al=75.1、Alb=3.0およびAl=21.9と示した。例2は、いくつかの態様において、ポリアルミニウム種は、アルミニウム塩にアルカリ度源を加えることによって生成できることを具体的に示す。
【0068】
動物への金属収斂剤の適用
【0069】
本発明は、動物の脚下部および蹄への水溶液を届けるための任意の公知の適用技術を含む。適用は、足浴、泡、直接のスプレー、および噴射剤スプレーを含むがこれらに限られない。好ましい態様では、下記でさらに記載するように自動化されたシステムが、動物に水溶液を適用するために使用される。
【0070】
足浴は、現在のところ、毛状疣贅および他の蹄関連病を治療するための最も普通の適用様式である。蓄牛は、液体トリートメントを含む槽を歩いて通るように移動させられる。足浴の不利益は、液体トリートメントが蓄牛からの有機性廃棄物によって容易に汚染されることである。ある場合には、足浴は、他の蓄牛にバクテリアをうつすためのビヒクルにさえなってしまうことがある。したがって、足浴は、ある場合には、頻繁な補充、および大幅な労力の関与を必要とする場合がある。金属収斂剤水溶液は、公知の足浴システムを使用して動物の蹄に適用できる。好ましい態様では、足浴システムは、労力コストを低下させ、そして治療溶液の頻繁な補充を容易にするために、自動化されている。
【0071】
足浴の別法として、水溶液は、蹄にスプレーできる。スプレー適用の利点は、長い間に汚染される場合がある足浴適用と比較して、新鮮なトリートメントがそれぞれの蓄牛に適用されることである。いくつかの態様において、作業者は蓄牛が搾乳室に入るか出るその途中でそれぞれの蓄牛を個々にスプレーできる。あるいは、自動化されたシステムが、蹄上にトリートメントをスプレーするために使用できる。
【0072】
スプレー適用を使用する場合、皮膚および蹄上への溶液の適用を高めるために、追加成分を含めることができる。いくつかの態様において、上記の様に増粘剤が皮膚領域当りより大量の液体を保持するために使用できる。抗菌剤有するものを含む界面活性剤はまた、増粘剤と組み合わせて、または別方法として使用できる。界面活性剤は、皮膚上での水性組成物の表面張力を低下させ、従って溶液が皮膚を湿らせ、そして皮膚に渡って拡がることを助ける。組成物はまた、第2の皮膚にまで乾いて、収斂薬を皮膚に保持することを助けまたは皮膚に保護バリアーを提供するフィルム形成ポリマーを含むことができる。
【0073】
いくつかの態様において、水溶液の粘度を高めるために、増粘剤がスプレー適用において用いられる。好ましい態様では、水溶液の粘度は、スプレー適用のために、約30センチポイズ以上である。上記の様に、好適な増粘剤は、ポリマー増粘剤、クレイ、シリカ、および会合する増粘剤を含むことができる。さらに、上記の増粘された界面活性剤系はまた、好ましくは、動物の蹄および脚下部上に水溶液をスプレーするのに所望の粘度を有する水溶液を生成するために使用できる。
【0074】
噴射剤スプレーは、蹄および足の下部領域に水溶液を適用するために使用できる。噴射剤スプレーは、典型的には、揮発性噴射剤の使用を必要とする。
【0075】
本明細書中に記載された水溶液はまた泡として適用できる。泡は2つの方法で適用できる。泡は槽の中に投与されることができ、そして次に蓄牛は、液体の足浴と同様に、この泡を通って歩くことができる。あるいは、泡は、任意の公知の泡投与技術を使用して蹄に直接適用できる。
【0076】
泡の適用において、2つの重要なパラメーターは、泡の密度(すなわち、単位体積当りいくらの液体)および泡の安定性(特に、泡の排水速度)を含む。好ましい態様では、泡は、本質的に粘性があり、そしてより高い泡安定性を可能にする。泡の適用のために、水溶液のための適当な粘度範囲は、約14〜100センチポイズである。スプレー適用に有益であることができる同じ特徴の多くは、泡の適用において有用であることができる。例えば、界面活性剤および増粘剤は、ともに泡の特性を改善するために使用できる。
【0077】
蹄および足の下部領域周辺に、充分な量の収斂剤溶液を届けるために、泡が何らかの最小の泡密度を有することが重要である。泡密度の好適な範囲は、約0.05〜0.5g/mLである。好ましい泡密度は、約0.1g/mLである。泡の密度は、泡を生成するために使用される装置によって部分的に制御されることができる。
【0078】
粘度および泡の安定性
【0079】
界面活性剤は、泡の溶液粘度を高めるために使用できる。溶液の粘度と泡の安定性(すなわち、泡の半減期)との間の相関を調べるために、研究を行った。下の表11に示す7種の異なる泡組成物を試験した。粘度を決定するためにBrookfield DVII+粘度計を使用し、そしてそれぞれの組成物では、400mLのサンプルを600mLのビーカー中でRVTスピンドル1を使用して100回転/分で測定した。
【0080】
泡のそれぞれを、一般的なハンドポンプ泡立ち機器を使用して生成した。約0.10〜0.11g/mLの組成物の中では、泡の密度は、本質的に一定であった。泡中の全ての液体の半分が50mLの目盛り付きシリンダーの底に流れるのに必要な時間としての泡の半減期を測定した。
【0081】
下の表11は、それぞれの泡製品A〜Gでの組成物の概要を示す。製品のそれぞれにおいて、1重量%の製品の少なくとも1種の成分を、0.1%〜2.0%で変化させた。従って、製品A〜Gのそれぞれは、0.1、0.3、0.5、1.0および2.0に等しい重量を有する5つのサンプルであった。泡の半減期および粘度をそれぞれのサンプルについて測定した。
表11:粘度および泡安定性−製品組成(Wt%)**
【表11】

*WCS5051を使用して調合したアルミニウムとして報告されたWt%.
**出発原料のwt%としてではなく、活性成分基準で報告されたwt%
【0082】
表11に示すように、全ての製品A〜Gは、ポリ塩化アルミニウムとしても公知である、1.2wt%のアルミニウム含有量を有する、アルミニウムクロロハイドレートを含んでいた。全ての製品はまた、少なくとも1種の界面活性剤を含んでいた。CognisからのGlucopon225DK(70%活性)は、ポリグルコシド界面活性剤である。Stepan CompanyからのBTC835(50%活性)は、抗菌界面活性剤として働くアルキルジメチルベンザルコニウムクロライドである。Ammonyx LO(30%活性)またはラウリルジメチルアミンオキサイド(LDAO)はまた、Stepan Companyからの別のタイプ界面活性剤である。Acusol 880(33.5%活性)、Acusol 882(17.5%活性)およびAculyn 44(35%活性)は、Rohm & Haasからのポリマーの材料である。
【0083】
製品A、BおよびCは、3種のポリマー材料のいずれをも含んでいなかった。製品Aは、異なる量の界面活性剤Glucopon 225DKを有していたが、一方、製品Bは、異なる量のGlucopon 225DKおよび第2の界面活性剤、BTC835を有していた。ただ1種の界面活性剤、Ammonyx LOが、製品Cの中に存在していた。下記の表12および13は、製品A、BおよびCでの泡の半減期および粘度の結果を示す。
表12:界面活性剤組成物の泡の半減期(分)
【表12】

【表13】

【0084】
製品Bは、2つの異なるタイプの界面活性剤を含んでいたが、しかし製品Bは、1種のタイプの界面活性剤のみを有する製品Aと比較してより短い半減期を有していた。さらに、製品AおよびBは、類似の粘度を示した。単一の界面活性剤(Ammonyx LO)を含んでいた製品Cは、製品 AおよびBと比較して、類似の泡の半減期および粘度結果を示した。一般的に、界面活性剤のレベルが増加するにつれて、製品A、BおよびCは、小さな粘度の増加を示した。さらに高い界面活性剤レベルでは、泡の半減期は、3分未満から4または5分間まで増加した。
【0085】
製品Dは、変数量のGluocopon 225 DKを有し、そしてBTC835を含んでいなかった。製品Eは、変数量のGluocopon225DKおよびBTC835の両方を有していた。製品DおよびEは、一定量のポリマー材料Acusol 880および882を有していた。
表14:界面活性剤組成物の泡の半減期(分)
【表14】

【表15】

【0086】
製品DおよびEにおいてポリマー材料(Acusol880および882)を含むことは、界面活性剤組成物のみ(製品A、BおよびC)と比較して、増加した泡の半減期(すなわち、さらに安定な泡)を長くし、そして粘度を高める結果となった。表14および15中の結果は、増加した泡の半減期と泡の増加した粘度との相関を示す。
【0087】
最終的に、製品FおよびGにおいて界面活性剤およびポリマー材料の両方は、変化した。製品Eと同じ成分を含んでおり、製品Fにおける違いがAcusol880および882のレベルである製品Fでは、Acusol880および882のレベルがまた増加した。製品Gは、変動量のポリマー材料Aculyn44および界面活性剤Glucopon225DKを含んでいた。
表16:界面活性剤組成物の泡の半減期(分)
【表16】

【表17】

【0088】
製品Fは、製品E、および製品A〜Dと比較して、より長い泡の半減期およびより高い粘度の両方を示した。製品FおよびGは、ポリマー材料および界面活性剤の両方を増加させることが、長くなった泡の半減期となることを具体的に示す。製品FおよびGの両方はまた泡安定性と泡粘度との間で相関を示した。
【0089】
要約すれば、製品A〜Gの研究は、泡安定性を界面活性剤の使用の使用と共に高めることができるが、泡安定性が、ある界面活性剤濃度より上では高原となる場合があることを具体的に示す。界面活性剤を用いたポリマー材料の添加は、泡の安定性における増加と相関する溶液の粘度を高めるために使用できる。
【0090】
上記の様に界面活性剤の増粘された系が高められた泡の安定性となるかどうかを決定するために、WCS5051(ポリアルミニウム濃縮物)を用いて別の研究を行なった。例3の水溶液は、WCS5051、Ammonyx CETAC、およびStepanate SXS(下記、表18を参照のこと)を含んでいた。例3のpHは、4.6であり;したがって、例3中でのアルミニウムの化学種分析は、例1で上記の表10に示された化学種分析に最も類似しそうである。水溶液の粘度を、Brookfield粘度計のスピンドル2を使用して100回転/分で測定した。泡の中の全ての液体の半分が、目盛り付きのシリンダーの底に流れる場合の時間でとしての泡の半減期を測定した。
表18:例3の組成物
【表18】

【0091】
例3の粘度は、72センチポイズであり、そして泡の半減期は、9.5分であった。例3は、製品A〜Cと比較して、著しくより高い粘度を有していた(上の表13を参照のこと)。例3におけるAmmonyx CETACとStepanate SXSとの組み合わせが、増加した粘度の原因であると考えられる。さらに具体的に言うと、AmmonyxとStepanateとの組み合わせが棒状ミセル特性を有する界面活性剤の増粘された系となると考えられる。製品A〜Cと比較して、例3のより長い泡の半減期、(上の表12を参照のこと)は溶液の増加した粘度に部分的による。本明細書中に記載された界面活性剤の増粘された系は、所望の粘度を達成するために、泡およびスプレー用途の両府において使用できる。
【0092】
自動化されたシステム
【0093】
上記のように、本明細書中に記載された収斂剤溶液は、任意の公知の適用様式を使用して動物の蹄および脚下部に適用できる。労力コストは、農夫にとって大きな関心事である。好ましい態様では、労力コストを低下させるために、自動化されたシステムが溶液を適用するのに使用される。この自動化されたシステムは、プログラムできる時間系列および/または投与を引き起こすセンサーを使用できる。例えば、足浴適用においては、従来の液体溶液または泡のいずれでも、トリートメントが特定の間隔で槽のなかに投与されるようにプログラムは使用でき、そして古いトリートメント溶液は、トリートメント溶液を置き換える前に自動的に排出される。時間間隔の代わりに、このシステムは、槽を通過した多くの動物を監視でき、そして所定の間隔で自動的に槽に継ぎ足せる。あるいは、槽中のセンサーは、金属収斂剤が(桶の中の汚染により)所定の濃度より低くなった場合および/または桶の中の廃棄物のレベルが特定レベルに達した場合を決定するために使用できる。スプレー適用において、センサーは、治療を必要とする動物の存在を決定するために使用できる。
【0094】
乳牛では、搾乳室に入る前にトリートメントを適用するのが好ましいことができる。搾乳室は、一般的に清潔に保たれ、従って潜在的に汚染された環境に戻る前に、溶液と皮膚および蹄との間の接触のための充分な時間を提供する。あるいは、非常に汚い場合があるハウジング環境に移動する前に、蓄牛が直ちにトリートメントを受けるように、蓄牛が搾乳室を出るにつれてトリートメントを適用できる。組成物は、リスク要因によって、毎日、一日おきに、または週に一回等の周期的に適用できる。
【0095】
いくつかの態様において、1超の適用技術を組み合わせて使用でき、または複数の適用を使用できる。例えば、2つの足浴を連続して使用できる。第1の足浴は、蹄からよごれおよび肥料を除去するための洗剤溶液を含むことができ;第2の足浴は、収斂剤溶液を含むことができる。トリートメントの交代を使用できることがまた認識される。
【0096】
本開示は、乳牛における毛状疣贅病の予防および治療のための金属収斂薬の使用に焦点を当てたが、毛状疣贅病は、広範な有蹄動物、そして最もとりわけ羊の問題であることが認識されている。乳牛のための本明細書中に記載された方法およびシステムは毛状疣贅病または類似のタイプの蹄関連病に掛かりやすい任意のタイプの動物に適用可能である。
【0097】
本発明は、好ましい態様を参照して記載されたが、当業者は、本発明の精神および範囲を離れることなく、形態および詳細において変更できることを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有蹄動物における毛状疣贅(乳頭腫性肚皮膚炎)を治療および予防するための方法、該方法は、:
(a)鉄およびアルミニウムの少なくとも1種を含む金属収斂剤を含む水溶液を調製する工程、
該金属収斂剤は、ポリマー種とモノマー種との混合物であり、そして該ポリマー種は
、該水溶液中において該金属収斂剤の約10重量%より多い;および
(b)毛状疣贅病を予防し、そして治療するために、動物の脚下部および蹄領域に、該水溶液を適用する工程、
を含んでなる。
【請求項2】
金属塩の一部分がポリマー種を生成するように、該金属塩を加水分解することによって、該水溶液が調製される、請求項1の方法。
【請求項3】
該水溶液が、約4.0〜6.0のpHを有する、請求項1の方法。
【請求項4】
該水溶液が、増粘剤、界面活性剤、スキンコンディショナー、緩衝剤、フィルム形成ポリマー、抗菌剤、着色剤、マンサク、タンニン、およびティーツリー油の少なくとも1種をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項5】
該金属収斂剤が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムサブアセテート、酪酸アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、フェリックサブサルフェート、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリアルミニウムクロロ硫酸塩、ポリアルミニウムシリケートサルフェート、ポリ塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、およびポリアルミノ硫酸第二鉄の少なくとも1種を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
該ポリマー種が、該水溶液中において、該金属収斂剤の約25〜約95重量%の範囲にある、請求項1の方法。
【請求項7】
有蹄動物における毛状疣贅(乳頭腫性肚皮膚炎)を治療および予防する方法、該方法は:
(a)アルミニウムおよび鉄の少なくとも1種を含むポリマーの金属濃縮物を薄めることによって、収斂剤溶液を調製する工程;および
(b)毛状疣贅を治療および予防するために、動物の脚下部および蹄領域に該収斂剤溶液を適用する工程、
を含んでなる。
【請求項8】
該ポリマーの金属濃縮物が、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリアルミニウムクロロ硫酸塩、ポリアルミニウムシリケートサルフェート、ポリ塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、およびポリアルミノ硫酸第二鉄の少なくとも1種を含む、請求項7の方法。
【請求項9】
該収斂剤溶液中において金属含有量が、約0.01〜約1.5重量%の濃度である、請求項7の方法。
【請求項10】
該収斂剤溶液が、ポリマー種とモノマー種との混合物を含み、そして該ポリマー種が、該収斂剤溶液の約25〜約95重量%である、請求項7の方法。
【請求項11】
該収斂剤溶液を調製する工程が、増粘剤、界面活性剤、スキンコンディショナー、緩衝剤、フィルム形成ポリマー、抗菌剤、着色剤、マンサク、タンニン、およびティーツリー油の少なくとも1種を含む第2の濃縮物を希釈する工程、および該収斂剤溶液を生成するために、該希薄されたポリマーの金属濃縮物と該希薄された第2の濃縮物とを混合する工程を含む、請求項7の方法。
【請求項12】
鉄およびアルミニウムの少なくとも1種を含む金属収斂剤、
ここで、該金属収斂剤は、ポリマー種とモノマー種との混合物であり、そして該ポリ
マー種は、該水溶液中において該金属収斂剤の約25〜約95重量%である;および、
界面活性剤および増粘剤の少なくとも1種、
を含んで成る、水溶液。
【請求項13】
該水溶液が、約4.0〜6.0のpHを有する、請求項12の水溶液。
【請求項14】
該界面活性剤が、抗菌界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオンの界面活性剤の少なくとも1種、および少なくとも1種のカチオン性界面活性剤と少なくとも1種のアニオン性界面活性剤との組み合わせを含む、請求項12の水溶液。
【請求項15】
該増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、界面活性剤で増粘された系、会合した増粘剤、クレイおよびシリカの少なくとも1種を含む、請求項12の水溶液。
【請求項16】
該水溶液が、スキンコンディショナー、緩衝剤、フィルム形成ポリマー、抗菌剤、着色剤、マンサク、タンニンおよびティーツリー油の少なくとも1種をさらに含む、請求項12の水溶液。
【請求項17】
有蹄動物における毛状疣贅(乳頭腫性肚皮膚炎)を治療および予防する方法、該方法は:
(a)鉄およびアルミニウムの少なくとも1種を含み、そして毛状疣贅病の治療および予防に治療的に有効である水溶液中濃度を有する金属収斂剤を含む水溶液を調製する工程;および
(b)動物の脚下部および蹄領域への泡としての該水溶液を適用する工程、
該泡は、0.05〜0.5g/mLの範囲の密度を有する、
を含んで成る。
【請求項18】
該水溶液が、該動物の該脚下部および蹄領域に適用された場合に、該水溶液の表面張力を低下させる界面活性剤を含み、そして該水溶液中の該界面活性剤の濃度が、約0.05〜約1.0重量%である、請求項17の方法。
【請求項19】
該水溶液が、該動物の該脚下部および蹄領域上において該水溶液の保持を促進するように構成され、そして約14〜100センチポイズの粘度を有する増粘剤を含む、請求項17の方法。
【請求項20】
該動物の該脚下部および蹄領域に泡として該水溶液を適用する工程が、溝に該泡を投与する工程;および該溝を通るように該動物を移動させる工程を含む、請求項17の方法。
【請求項21】
該動物の該脚下部および蹄領域に泡として該水溶液を適用する工程が、該水溶液の投与のために自動化された機器を含む、請求項17の方法。
【請求項22】
有蹄動物における毛状疣贅(乳頭腫性肚皮膚炎)を治療および予防する方法、該方法は:
(a)鉄およびアルミニウムの少なくとも1種を含む金属収斂剤を含み、そして毛状疣贅病を治療および予防するのに治療的に有効である水溶液中濃度を有する水溶液を調製する工程;および
(b)動物の脚下部および蹄領域上に該水溶液をスプレーする工程、
該水溶液の粘度は、20センチポイズ以上である、
を含んで成る。
【請求項23】
該動物の該脚下部および蹄領域上に該水溶液をスプレーする工程が、該水溶液の投与のための自動化された機器を含む、請求項22の方法。
【請求項24】
該水溶液が、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、界面活性剤で増粘された系、会合した増粘剤、シリカおよびそれらの組み合わせから成る群から選択された増粘剤を含む、請求項22の方法。
【請求項25】
該水溶液が、カチオン性界面活性剤を有する界面活性剤の系とアニオン性対イオン界面活性剤とを混合することを含む、請求項22の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−500790(P2011−500790A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530613(P2010−530613)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054388
【国際公開番号】WO2009/053934
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】