説明

毛髪化粧料組成物及びその使用方法

【課題】染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物及びその使用方法において、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる毛髪化粧料組成物及びその使用方法を提供する。
【解決手段】複数剤からなる染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物において、前記泡状の剤型は、粉末状の剤と液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、使用時に泡状の剤型として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物及びその使用方法に関し、さらに詳しくは、混合及び発泡操作が簡便で、泡の毛髪への保持性を向上させることができる毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪化粧料組成物として、例えばアルカリ剤を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤から構成され、使用時の剤型が泡状(フォーム状)の染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤が知られている。こうした泡状の剤型の毛髪化粧料組成物は、剤型が液状の組成物に比べて、液だれの心配が少なく、毛髪への塗布性及び使用感が良好であるという特徴を有する。従来より、例えば特許文献1〜3に開示される毛髪化粧料組成物が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、噴射剤、例えばLPGを使用して使用時の剤型を泡状にしたエアゾール式泡沫状酸化染毛剤組成物について開示する。特許文献2は、例えば可撓性の合成樹脂容器、吸引用ディップチューブ、及び発泡吐出手段からなるスクイズフォーマーを使用して使用時の剤型を泡状にした二剤式染毛用又は脱色用組成物について開示する。特許文献3に開示される泡状の毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤とを含む内溶液の入ったスクイズ式泡吐出容器を振ることにより、空気と内溶液とを混合して内溶液を発泡させるとともに、スクイズ時にネット又は多孔質体からなる泡均質化手段を通過させることで泡状の剤型としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−136818号公報
【特許文献2】特開2008−291020号公報
【特許文献3】特開2009−154884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のエアゾール式泡沫状酸化染毛剤組成物は、主として缶体に充填されるため、廃棄処理の観点から好ましくないという問題があった。
特許文献2の二剤式染毛用又は脱色用組成物は、泡立て後に吐出することができないため、複数剤を混合して吐出させる場合、慎重に操作する必要があった。特に粉末状の剤と液状の剤とを混合する場合は、特に操作性が低下するという問題があった。一方、泡立てを十分に防止しながら混合しようとすると、混合性が低下するという問題があった。
【0006】
特許文献3の泡状の毛髪化粧料組成物は、内容物が振とう発泡された直後は泡が大きく、この泡を泡均質化手段を通して吐出させる際、強い押圧(スクイズ)力による泡の押し出し力が必要となるため、発泡操作が容易でないという問題があった。一方、泡押し出しの際の押圧力を低下させるために泡の粘度を低下させると、毛髪に塗布した泡状組成物が経時的に垂下するため、毛髪への保持力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、使用時に粉末状の剤と液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって形成される泡が小さくなることを見出した。それにより、泡均質化手段、例えばネット又は多孔質体が不要になり、混合発泡の操作性を向上させることができる。また、使用時に粉末状の剤と液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって、泡状組成物の毛髪への保持力も向上させることができることを見出した。
【0008】
本発明の目的とするところは、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物及びその使用方法において、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる毛髪化粧料組成物及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の毛髪化粧料組成物は、複数剤からなる染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物において、前記泡状の剤型は、粉末状の剤と液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪化粧料組成物において、さらに、(A)両性界面活性剤を含有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物において、さらに、(B)カチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の毛髪化粧料組成物において、さらに、(C)アニオン性界面活性剤を含有し、該(C)アニオン性界面活性剤及び前記(B)カチオン性界面活性剤を前記使用時に溶媒存在下で接触されるように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の毛髪化粧料組成物において、前記(B)カチオン性界面活性剤は、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤と、(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物において、さらに(D)非イオン性ポリマーを含有するとともに、該(D)非イオン性ポリマーは、前記粉末状の剤に配合されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の毛髪化粧料組成物において、さらに(E)増粘剤を含有するとともに、該(E)増粘剤は、前記粉末状の剤に配合されることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物において、前記毛髪化粧料組成物は、(F)アルカリ剤を含有する粉末状の第1剤と、酸化剤として(G)過酸化水素を含有する液状の第2剤から構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の毛髪化粧料組成物において、前記第2剤は、前記(A)両性界面活性剤、及びさらに(H)カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項2又は請求項9に記載の毛髪化粧料組成物において、さらに(I)アルカリ金属の無機塩を含有することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物において、前記第2剤は、(J)フェノキシエタノール、並びに(K)安息香酸及び安息香酸塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物において、前記(F)アルカリ剤は、(f−1)炭酸塩であり、さらに、(L)キレート化剤を前記毛髪化粧料組成物中に1〜5質量%含有するとともに、前記(L)キレート化剤の含有量に対する前記(f−1)炭酸塩の含有量の質量比が0.02〜6.5であることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物の使用方法において、前記粉末状の剤と前記液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって前記泡状の剤型を形成する工程、次に、該泡状の剤型を手で毛髪に塗布する工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物及びその使用方法において、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】毛髪化粧用品の使用方法を示す説明図。(a)は毛髪脱色・脱染剤10を収容する閉塞可能容器20を示す図。(b)は各剤を容器本体21に投入する工程を示す図。(c)は容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る工程を示す図。(d)蓋体22を取り外し、容器本体21内の泡状の毛髪脱色・脱染剤14を手で直接取り出して毛髪に塗布する工程を示す図。
【図2】閉塞可能容器20の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧料組成物を毛髪脱色・脱染剤に具体化した第1実施形態について説明する。毛髪化粧料組成物は2剤式の毛髪脱色・脱染剤として、毛髪の脱色及び脱染に使用される。また、毛髪化粧料組成物は、3剤式の脱色・脱染剤としても使用される。
【0023】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤>
2剤式の毛髪脱色・脱染剤における、毛髪化粧料組成物は、例えば(F)アルカリ剤等を含有する粉末状の第1剤と、例えば酸化剤等を含有する液状の第2剤から構成される。この第1剤と第2剤とが混合された後、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型が形成された後、毛髪脱色及び脱染剤として毛髪に適用される。
【0024】
<第1剤>
第1剤は、(F)アルカリ剤に加え、さらに、例えば(C)アニオン性界面活性剤、(D)非イオン性ポリマー、(E)増粘剤、及び(L)キレート化剤を含有する。
【0025】
(F)アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色性又は脱染性を向上させる。アルカリ剤は、本実施形態においては25℃(常温)で固体状のものが使用され、例えばケイ酸塩、(f−1)炭酸塩(炭酸水素塩を含む)、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、及びリン酸塩が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸マグネシウムが挙げられる。(f−1)炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。メタケイ酸塩としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。硫酸塩としては、例えば硫酸アンモニウムが挙げられる。塩化物としては、例えば塩化アンモニウムが挙げられる。リン酸塩としては、例えばリン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムが挙げられる。これらのアルカリ剤の具体例の中で、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる観点から(f−1)炭酸塩が好ましい。また、アルカリ剤として(f−1)炭酸塩を使用する場合、使用時のアンモニア臭の発生を抑制することができる。また、(f−1)炭酸塩を溶媒、例えば水に溶解させた際、融解熱が発生しないため、明度ムラを抑制することができる。
【0026】
(F)アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤及び第2剤を混合した毛髪脱色・脱染剤においてpHが7〜12の範囲となる量である。pHが7未満では、第2剤に酸化剤としての(G)過酸化水素が含有される場合、過酸化水素の作用が十分に促進されないおそれがある。混合液のpHが12を超えると、毛髪脱色・脱染剤が毛髪に塗布されたときに、毛髪に損傷等が発生しやすくなるおそれがある。
【0027】
(C)アニオン性界面活性剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。そのため、第1剤は、好ましくは(C)アニオン性界面活性剤を含有する。尚、(C)アニオン性界面活性剤は、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。(C)アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。より具体的には、アルキル硫酸塩として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムが挙げられる。スルホコハク酸エステルとして、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤の具体例は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0028】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(C)アニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。(C)アニオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(C)アニオン性界面活性剤の含有量が10質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られず、使用後の毛髪にかさつき感を生じさせるおそれがある。
【0029】
(C)アニオン性界面活性剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる観点から、(B)カチオン性界面活性剤と、使用時に溶媒存在下で接触されるように構成することが好ましい。かかる構成として、たとえば、(C)アニオン性界面活性剤と(B)カチオン性界面活性剤を分割して保存する構成、(C)アニオン性界面活性剤と(B)カチオン性界面活性剤を粉末剤型として同一剤中に保存する構成が挙げられる。かかる構成においては、さらに使用時に毛髪化粧料組成物の発泡性を高めるとともに、発泡操作後において泡状の剤型を維持する効果を向上させる。かかる構成においては、さらに第1剤と第2剤を混合して得られる混合物に対し、増粘効果の発現速度を高め、粘度安定性を向上させる。
【0030】
泡状の剤型を維持する効果を向上させる観点から、混合物中におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、例えば0.1〜3.0質量%であり、好ましくは0.5〜1.5質量%である。また、混合物中におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、例えば0.1〜5.0質量%であり、好ましくは0.5〜4.5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%である。また、混合物中におけるカチオン性界面活性剤の含有量に対するアニオン性界面活性剤の含有量の質量比は、好ましくは0.25〜3の範囲であり、より好ましくは0.4〜3の範囲であり、さらに好ましくは0.8〜2の範囲である。
【0031】
増粘効果の発現速度を高める効果、及び粘度安定性を向上させる効果を十分に発揮する観点から、混合物中におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。また、混合物中におけるカチオン性界面活性剤の含有量に対するアニオン性界面活性剤の含有量の質量比は、好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.5〜10、最も好ましくは1〜7である。
【0032】
(D)非イオン性ポリマーは、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、使用時における毛髪脱色・脱染剤の泡質、例えば泡の均質性、泡の弾力性を向上させる。そのため、第1剤は、好ましくは(D)非イオン性ポリマーを含有する。尚、(D)非イオン性ポリマーは、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。
【0033】
非イオン性ポリマーとしては、非イオン性の天然又は半合成高分子、及び合成高分子が挙げられる。それらの中で、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる観点、及び泡の均質性、泡の弾力性を向上させる観点から、非イオン性の天然又は半合成高分子である非イオン性の糖類が好ましく、α−グルコース及びα−グルコースの誘導体(以下、α−グルコース等という。)を構成単位とするオリゴ糖及び多糖がとくに好ましい。α−グルコース等を構成単位とするオリゴ糖及び多糖としては、例えばデンプン、加水分解デンプン、デンプン誘導体、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリンが挙げられる。その他の非イオン性の糖類としては、例えばセルロース、寒天が挙げられる。また、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる観点、及び泡の均質性、泡の弾力性を向上させる観点から、水に対して溶解性の高い溶解性の非イオン性ポリマーよりも、水に対して溶解性の低い分散性の非イオン性ポリマー(例えば、デンプン、シクロデキストリン)を含有させることが好ましい。
【0034】
なお、非イオン性の合成高分子としては、例えば、ポリビニルカプロラクタム、PVP、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及び高重合ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0035】
また、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる観点、及び泡の均質性、泡の弾力性を向上させる観点から、非イオン性ポリマーは2種以上を含有させることが好ましい。とくに、分散性の非イオン性ポリマーを2種以上含有させることが好ましく、そのうちの少なくとも一種がデンプンとなるように含有させることがより好ましい。
【0036】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における非イオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。非イオン性ポリマーの含有量が0.3%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。また、泡質を向上させる作用が低下するおそれがある。また、非イオン性ポリマーの含有量が15質量%を超えると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。また、泡が硬くなるおそれがある。
【0037】
(D)非イオン性ポリマーのうちデンプンを粉末状で保存して使用する場合、第1剤と第2剤を混合して得られる混合物に対し、増粘効果の発現速度を高め、粘度安定性を向上させることができる。この場合、デンプンとしては、例えば穀類デンプン、イモ類デンプン、豆類デンプン、野草類デンプン、幹茎デンプン、及びこれらの改質デンプン(加工デンプン)が挙げられる。より具体的には、コーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン、及びこれらの改質デンプンが挙げられる。改質デンプンとは、デンプンに対して、エーテル化、エステル化、グラフト化等の誘導体化処理、焙焼、酵素変性、酸化、酸処理等の分解処理、α化、造粒処理、多孔質化等の加工を施すことにより、デンプン本来の物性を人為的に変化させたものをいう。これらのデンプンは、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0038】
増粘効果の発現速度を高め、粘度安定性を向上させる観点から、混合物中におけるデンプンの含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは2〜10質量%である。
【0039】
(E)増粘剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、第1剤と第2剤を混合して得られる混合物に適度な粘度を与えて、混合物を毛髪に塗布する際、毛髪からの垂れ落ちを抑制するために配合される。そのため、第1剤は、好ましくは(E)増粘剤を含有する。尚、(E)増粘剤は、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。増粘剤の具体例としては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。
【0040】
天然高分子としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、及びコラーゲンが挙げられる。
【0041】
半合成高分子としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、及びアルギン酸塩が挙げられる。
【0042】
合成高分子としては、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、及びアクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体が挙げられる。また、合成高分子としては、例えばイタコン酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。
【0043】
無機物系高分子としては、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、及び無水ケイ酸が挙げられる。これらの増粘剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0044】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(E)増粘剤の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜5質量%である。(E)増粘剤の含有量が0.1質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(E)増粘剤の含有量が20質量%を超えて配合すると粘度の増加により塗布性が低下する場合がある。
【0045】
増粘効果の発現速度を高める効果、及び粘度安定性を向上させる効果を十分に発揮する観点から、混合物中(使用時)における(E)増粘剤の含有量は、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜4質量%である。また、第1剤と第2剤が混合された混合物中における(E)増粘剤の含有量に対するデンプンの含有量の質量比は、好ましくは0.1〜20、より好ましくは1〜7、さらに好ましくは1〜3である。この質量比の範囲内の場合、増粘効果の発現速度を高める効果、及び粘度安定性を向上させる効果をより高めることができる。
【0046】
(L)キレート化剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、(F)アルカリ剤として(f−1)炭酸塩を使用した場合に、(f−1)炭酸塩に起因する、仕上がり後における毛髪のざらざら感を抑制し、仕上がり後における毛髪の感触(手ぐしを通したときのすべり感)を向上させるために配合される。そのため、第1剤は、好ましくは(L)キレート化剤を含有する。尚、(L)キレート化剤は、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。キレート化剤としては、例えば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、それらの塩、それらの誘導体、及びそれらの誘導体の塩が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0047】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(L)キレート化剤の含有量は、好ましくは1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である。キレート化剤の含有量が1質量%未満の場合、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。また、(f−1)炭酸塩に起因する、仕上がり後における毛髪のざらざら感を抑制し、仕上がり後における毛髪の感触を向上させることができない。キレート化剤の含有量が5質量%を超えると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。また、酸化染料を用いた染毛剤の構成の場合、染毛力が低下するおそれがある。
【0048】
(F)アルカリ剤として、(f−1)炭酸塩が使用される場合、第1剤と第2剤が混合された混合物中における(L)キレート化剤の含有量に対する(f−1)炭酸塩の含有量の質量比((f−1)/L)は、好ましくは0.02〜6.5、より好ましくは0.5〜4.5、さらに好ましくは0.9〜4.5に規定される。この質量比の範囲内の場合、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、(f−1)炭酸塩由来の毛髪の感触の低下を抑制することができる。
【0049】
第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸化助剤、賦形剤、及び添加剤を含有してもよい。
【0050】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、好ましくは油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0051】
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0052】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0053】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0054】
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらのシリコーンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0055】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0056】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分の可溶化剤として毛髪脱色・脱染剤を使用時に乳化又は可溶化し、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。また、混合物を振とうした際の発泡性の向上に寄与するとともに、使用時における毛髪脱色・脱染剤の泡質、例えば泡の弾力性を向上させる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤が挙げられる。尚、本願発明の効果を阻害しない範囲内において第1剤にカチオン性界面活性剤が配合されてもよい。
【0057】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0058】
両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩、及びヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンが挙げられる。
【0059】
脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン、又はヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと記載されることもある。)、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン、又はラウリン酸アミドプロピルベタインと記載されることもある。)、及びリシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインは、塩として配合してもよい。その塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0060】
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えばデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインは、塩として配合してもよい。その塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0061】
N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩としては、例えばココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンであり、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインと記載されることもある。)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、及び綿実アンホ酢酸Naが挙げられる。
【0062】
N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩としては、例えばココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Naが挙げられる。
【0063】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。
【0064】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0065】
泡質を向上させる観点から、第1剤と第2剤とが混合された混合物中における界面活性剤の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは1.5〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%、さらに好ましくは3〜5質量%である。
【0066】
糖としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び塩基性アミノ酸が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩が挙げられる。酸化助剤としては、例えば過硫酸塩が挙げられる。酸化助剤は、脱色力及び脱染力をより向上させるために配合してもよい。過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられる。賦形剤としては、例えば硫酸ナトリウムが挙げられる。添加剤として、さらに分散剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、タルク、結晶セルロース、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合してもよい。
【0067】
第1剤の剤型は、粉末状に構成される。尚、本発明における粉末状は、粒子状を含む概念である。
<第2剤>
第2剤は、例えば(A)両性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(H)カチオン性ポリマー、(I)アルカリ金属の無機塩、(J)フェノキシエタノール、(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種、並びに酸化剤を含有する。
【0068】
(A)両性界面活性剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、第2剤を乳化して適当な粘度に調整したり粘度安定性を向上させたりする。また、使用時の泡状の剤型に対し、発泡量及び泡のきめ細やかさを高める。また、ノンエアゾールによる発泡を速やかに開始させる。また、(H)カチオン性ポリマーによる毛髪の感触を向上させる作用を高める。そのため、第2剤は、好ましくは(A)両性界面活性剤を含有する。尚、(A)両性界面活性剤は、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。両性界面活性剤は、前述した第1剤における両性界面活性剤の具体例が挙げられる。これらの中で、第2剤のpHの安定化の観点から、ベタイン系両性界面活性剤が好ましい。両性界面活性剤は単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。また、両性界面活性剤は、市販品としてアルカリ金属の無機塩が含有されているものを適用してもよい。
【0069】
アルカリ金属の無機塩が含有されている両性界面活性剤の市販品として、例えば、オバゾリンCBA−30(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、東邦化学工業社製)、ソフタゾリンCPB(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、川研ファインケミカル社製)、及びリカビオンB−200(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、新日本理化社製)、オバゾリンLB(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、東邦化学工業社製)、ソフタゾリンLPB(ラウリン酸アミドプロピルベタイン、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。アルカリ金属の無機塩が含有されていない両性界面活性剤の市販品として、例えば、タイポールソフトAM−100N(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、泰光油脂化学工業社製)、アモーゲンCB−H(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、第一工業製薬社製)、オバゾリンLB−SF(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、東邦化学工業社製)、ソフタゾリンCPB−R(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、川研ファインケミカル社製)、及びソフタゾリンLPB−R(ラウリン酸アミドプロピルベタイン、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
【0070】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(A)両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。(A)両性界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(A)両性界面活性剤の含有量が10質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られず、使用後の毛髪にかさつき感を生じさせるおそれがある。
【0071】
また、優れた発泡性を発揮させる観点から、混合物中における両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5〜10.0質量%であり、より好ましくは1.5〜4.0質量%である。特に、混合物中における両性界面活性剤の含有量を1.5〜4.0質量%の範囲とすることで、優れた発泡性を発揮させることが更に容易となる。
【0072】
また、カチオン性ポリマーの毛髪の感触を向上させる作用を高める観点から、第2剤中における両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5〜12質量%であり、より好ましくは1.5〜10質量%であり、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%である。
【0073】
(B)カチオン性界面活性剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。そのため、第2剤は、好ましくは(B)カチオン性界面活性剤を含有する。尚、本願発明の効果を阻害しない範囲内において第2剤にアニオン性界面活性剤が配合されてもよい。カチオン性界面活性剤は、前述した第1剤におけるカチオン性界面活性剤の具体例が挙げられる。カチオン性界面活性剤は単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0074】
(B)カチオン性界面活性剤は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上の観点から、好ましくは(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤と(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤が使用される。また、かかる界面活性剤を使用することにより、さらには泡質を改善する作用をより向上させることができる。
【0075】
(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤として、例えばジメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤、及びトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤が挙げられる。より具体的には、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド、C16)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリモニウムクロリド、C18)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(C18)、塩化ベヘニルトリメチルアルミニウム(ベヘントリモニウムクロリド、C22)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド、C18)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム(C18)、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン(C18)、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン(C16)、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム(C22)が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数16以上のアルキル基を有するトリメチルアンモニウム型界面活性剤であり、より好ましくはセチルトリメチルアンモニウム又はその塩である。
【0076】
(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤としては、例えばジメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤、及びトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤が挙げられる。より具体的には、例えば上記の(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の具体例において、アルキル基の炭素数を10以上16未満に変更した化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数10以上16未満のアルキル基を有するトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤であり、より好ましくは炭素数10以上15以下のアルキル基を有するトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤であり、さらに好ましくは炭素数10以上14以下のアルキル基を有するトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤である。炭素数10以上14以下のアルキル基を有するトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルトリメチルアンモニウム(C10)、ラウリルトリメチルアンモニウム(C12)、ミリスチルトリメチルアンモニウム(C14)、又はその塩が挙げられ、好ましくはラウリルトリメチルアンモニウム(C12)又はその塩である。なお、アンモニウム型カチオン性界面活性剤の炭素数は、アルキル基の主鎖の炭素数であり、例えば二鎖型のカチオン性界面活性剤の場合では、最も炭素数の多いアルキル鎖の炭素数を示している。
【0077】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(B)カチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。(B)カチオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(B)カチオン性界面活性剤の含有量が10質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られず、使用後の毛髪にかさつき感を生じさせるおそれがある。
【0078】
泡質及び毛髪の感触を向上させる観点から、混合物中における(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.2〜2質量%である。また、混合物中における(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.4〜4質量%である。また、混合物中における(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の含有量に対する(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の含有量の質量比は、0.4〜5の範囲である。
【0079】
(H)カチオン性ポリマーは、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、(A)両性界面活性剤との併用により、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させるとともに、毛髪処理時における毛髪の感触を向上させる。そのため、第2剤は、好ましくは(H)カチオン性ポリマーを含有する。尚、(H)カチオン性ポリマーは、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。
【0080】
カチオン性ポリマーは、例えば、ポリマー鎖にアミノ基若しくはアンモニウム基を含むもの、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むものであり、例えば、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物及び4級化ポリビニルピロリドン誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムが挙げられる。
【0081】
これらの中でも、毛髪の感触を向上させる観点から、カチオン性ポリマーは原料として25℃で液状に調製された製品を用いることが好ましい。25℃で液状に調製された製品としては、例えば、マーコート550(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体)、マーコート280、295(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体)、及びマーコート100(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム)が挙げられる。これらの製品は溶媒に溶解しているため、他の成分との混合性に優れる。
【0082】
尚、カチオン性ポリマーとして、塩化ジメチルジアリルアンモニウムポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリル酸共重合体を使用する場合、仕上がり後における毛髪の感触を向上させることができる。特に(F)アルカリ剤として(f−1)炭酸塩を使用した場合に、(f−1)炭酸塩に起因する、仕上がり後における毛髪のざらざら感をキレート化剤との併用により抑制し、仕上がり後における毛髪の感触を向上させる。感触向上の観点から、カチオン性ポリマーの配合量は0.01〜5質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.1〜4質量%の範囲内である。
【0083】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(H)カチオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。(H)カチオン性ポリマーの含有量が0.05質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(H)カチオン性ポリマーの含有量が5質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られず、また、毛髪がべたつき、感触が低下するおそれがある。
【0084】
毛髪の感触を向上させる作用を十分に発揮させる観点から、第2剤中におけるカチオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜4質量%である。
【0085】
(I)アルカリ金属の無機塩は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、酸化剤として(G)過酸化水素を使用するとともに、特に第2剤中に(A)両性界面活性剤を配合する場合、第2剤のpHを安定化し、過酸化水素の安定性を向上させる。そのため、第2剤は、好ましくは(I)アルカリ金属の無機塩を含有する。尚、(I)アルカリ金属の無機塩は、第1剤及び第2剤のいずれか一方にのみ含有されてもよく、第1剤及び第2剤の両方に含有されてもよい。
【0086】
(C)アルカリ金属の無機塩としては、例えばアルカリ金属の塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、及びリン酸塩が挙げられる。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、及びリチウムが挙げられる。アルカリ金属の無機塩として、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸カリウムが挙げられる。また、pH安定性の観点から中性塩が好ましい。
【0087】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(I)アルカリ金属の無機塩の含有量は、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。(I)アルカリ金属の無機塩の含有量が0.05質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(I)アルカリ金属の無機塩の含有量が5質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られない。
【0088】
また、pH安定性の観点から、第2剤中におけるアルカリ金属の無機塩の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.05〜1.5質量%、さらに好ましくは0.25〜1.25質量%である。
【0089】
第2剤のpH安定性の向上の観点から、第2剤中における(I)アルカリ金属の無機塩の含有量に対する(A)両性界面活性剤の含有量の質量比(A/I)は、好ましくは1.5〜50、より好ましくは2〜25、さらに好ましくは2〜10、最も好ましくは2.5〜7.5である。
【0090】
過酸化水素の安定性をより向上させる観点から、第2剤のpHは、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5に調整される。
(J)フェノキシエタノール、並びに(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種は、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる。また、酸化剤として(G)過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の安定性を向上させる。そのため、第2剤は、好ましくは(J)フェノキシエタノール、並びに(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種を含有する。
【0091】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(J)フェノキシエタノールの含有量は、好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.15〜1質量%、さらに好ましくは0.15〜0.8質量%である。(J)フェノキシエタノールの含有量が0.05質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。また、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の安定性が低下しやすい。(J)フェノキシエタノールの含有量が1質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られない。またフェノキシエタノール由来の臭気が生ずる場合がある。
【0092】
(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種は、フェノキシエタノールとともに、過酸化水素の分解を抑制して過酸化水素の安定化を図るために用いる。安息香酸塩の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などを挙げることができる。これらのうちの1種であっても良いし、これらのうちの2種以上の組み合わせであっても良い。
【0093】
第1剤と第2剤が混合された混合物中における(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種の含有量は、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.15〜1である。(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種の含有量が0.01質量%未満であると、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させる効果を十分に発揮することができない。また、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の安定性が低下しやすい。(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種の含有量が1質量%を超えて配合しても、それ以上の混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性の向上効果は得られない。また、アルカリ度が上昇して頭皮の刺激に繋がったり、溶解性の低下が生じるおそれがある。
【0094】
過酸化水素の分解を抑制して過酸化水素の安定化を図る観点から、過酸化水素含有組成物としての第2剤中において、(K)安息香酸及び安息香酸塩から選ばれる少なくとも一種の含有量に対する(J)フェノキシエタノールの含有量の質量比(J/K比)は、好ましくは0.2〜2.5、より好ましくは0.2〜1.0である。
【0095】
酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色する。酸化剤としては、例えば(G)過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、メラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0096】
酸化剤として(G)過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される、アルカリ剤以外の成分を本発明の効果を阻害ない範囲内において適宜含有してもよい。
【0097】
第2剤の剤型は液状として構成される。尚、本発明における液状は、ゲル状、クリーム状、及び乳化液を含む概念である。第2剤に配合される成分を溶解するための溶媒としては、例えば水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、及びアルキルエーテルが挙げられる。これらの中で、各成分の溶解性が優れる観点から水が好ましい。なお、溶媒として水が用いられる場合、第1剤と第2剤とが混合された混合物中における含有量(使用時の含有量)は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
【0098】
第2剤の調製方法は、第2剤を構成する各成分を混合することによって調製される。第2剤を構成する各成分の混合順序は特に限定されない。第2剤のpH安定性を向上させることにより、過酸化水素の安定性を向上させる観点から、好ましくは、例えば(G)過酸化水素と(A)両性界面活性剤とを混合する前に、先ず過酸化水素以外の成分が含有される両性界面活性剤水溶液を調製する。両性界面活性剤水溶液としては、例えば(A)両性界面活性剤、水、及び必要に応じて配合されるその他の成分があれば、その一部又は全部を混合し、(I)アルカリ金属の無機塩を配合した時の水溶液が挙げられる。また、(I)アルカリ金属の無機塩、及び必要に応じて配合されるその他の成分があれば、その一部又は全部を混合し、(A)両性界面活性剤を配合した時の水溶液が挙げられる。両性界面活性剤水溶液を調製した後、該両性界面活性剤水溶液と(G)過酸化水素を含有する水溶液とを混合する調製工程により、過酸化水素の安定性をより向上させることができる。尚、必要に応じて配合されるその他の成分は、両性界面活性剤水溶液の調製時にその一部又は全部が配合されてもよく、両性界面活性剤水溶液を調製した後に、その一部又は全部が配合されてもよい。
【0099】
両性界面活性剤水溶液中における(A)両性界面活性剤の含有量は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは30〜40質量%である。両性界面活性剤水溶液中における両性界面活性剤の含有量が10質量%未満では、(I)アルカリ金属の無機塩による第2剤のpH安定性の向上作用による過酸化水素の安定性向上作用が低下する場合がある。両性界面活性剤水溶液中における両性界面活性剤の含有量が50質量%を超えると、(A)両性界面活性剤が析出する場合がある。
【0100】
両性界面活性剤水溶液中における(I)アルカリ金属の無機塩の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは2.5〜12.5質量%、最も好ましくは3〜10質量%である。アルカリ金属の無機塩の含有量が0.1質量%未満では、第2剤のpH安定性が低下し、過酸化水素の安定性が低下するおそれがある。アルカリ金属の無機塩の含有量が20質量%を超えると、第2剤のpH安定性が低下し、過酸化水素の安定性が低下するおそれがある。
【0101】
両性界面活性剤水溶液中における(I)アルカリ金属の無機塩の含有量に対する(A)両性界面活性剤の含有量の質量比(A/I)は、好ましくは1.5〜50、より好ましくは2〜25、さらに好ましくは2〜10、最も好ましくは2.5〜7.5である。この質量比の範囲内の場合、第2剤のpH安定性の向上により、過酸化水素の安定性を向上させる効果をより高めることができる。
【0102】
両性界面活性剤水溶液を調製する場合、(A)両性界面活性剤及び(I)アルカリ金属の無機塩は、互いにある一定濃度のときに混合されることが好ましい。例えば、(A)両性界面活性剤1質量部に対し水を好ましくは0.5〜4質量部、より好ましくは1〜3質量部を混合した後、次に(I)アルカリ金属の無機塩を添加する調製方法が好ましい。水の添加量が0.5質量部未満であると両性界面活性剤の溶解性が低下するおそれがある。一方、水の添加量が4質量部を超えると両性界面活性剤水溶液中の(A)両性界面活性剤の濃度が低下し、第2剤のpH安定性が低下し、過酸化水素の安定性が低下するおそれがある。
【0103】
また、例えば、(I)アルカリ金属の無機塩1質量部に対し、水を好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部を混合した後、(A)両性界面活性剤を添加する調製方法が好ましい。水の添加量が5質量部未満であるとアルカリ金属の無機塩の溶解性が低下するおそれがある。一方、水の添加量が30質量部を超えると両性界面活性剤水溶液中の(I)アルカリ金属の無機塩の濃度が低下し、第2剤のpH安定性が低下し、過酸化水素の安定性が低下するおそれがある。
【0104】
第2剤調製時、両性界面活性剤水溶液と混合される過酸化水素を含有する水溶液中の(G)過酸化水素の含有量は、好ましくは25〜40質量%、30〜35質量%である。(G)過酸化水素の濃度が25質量%未満であると、第2剤中における過酸化水素の安定性が低下する場合がある。一方、過酸化水素水中の過酸化水素の濃度が40質量%を超えると、市販品の入手が困難になるとともに、保存中における過酸化水素の分解速度が上昇するおそれがある。
【0105】
毛髪脱色・脱染剤は、第1剤と第2剤とが混合された後、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型が形成された後、次いで、必要量の混合物が薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
【0106】
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤における、毛髪化粧料組成物は、例えばアルカリ剤を含有する第1剤、2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第2剤と同じ第2剤、並びに2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第1剤のアルカリ剤以外の成分を含有する第3剤から構成される。この第1剤〜第3剤は、全て混合された後、毛髪の脱色又は脱染に使用される。3剤式の毛髪脱色・脱染剤と構成することにより、配合成分の保存安定性を向上させることができる。
【0107】
次に、前記実施形態の毛髪脱色・脱染剤を、使用時の混合物の剤型であるフォーム状(泡状)に調製する場合、例えば図1,2に示される毛髪化粧用品が用いられる。以下に、毛髪化粧用品について説明する。
【0108】
図1に示されるように、毛髪化粧用品は、例えば2剤式の毛髪脱色・脱染剤10と、毛髪脱色・脱染剤10を振とうするための発泡用具とを備えている。毛髪脱色・脱染剤10を構成する第1剤11及び第2剤12は、個別に包装された包装体として使用時まで保管される。なお、各剤の包装形態としては、特に限定されず、例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装が挙げられる。
【0109】
発泡用具は、図1(a)に示されるように、毛髪脱色・脱染剤10を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器20である。閉塞可能容器20は、有底筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する半球状の蓋体22とを備えている。容器本体21は、底部よりも開口部が拡径された有底筒状をなすことで、毛髪脱色・脱染剤10を泡状の剤型としたときに、例えば手により直接、毛髪脱色・脱染剤を容易に取り出せるように構成されている。また、容器本体21の内面は曲面状をなすことで例えば手により泡状の毛髪脱色・脱染剤を取り出す際に、泡状の毛髪脱色・脱染剤が容器本体21の内面に残留しにくくなっている。
【0110】
蓋体22の周縁部にフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部が容器本体21の開口部に嵌合されるようになっている。なお、本実施形態の閉塞可能容器20では、嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで蓋体22が液密に装着されるようになっている。
【0111】
閉塞可能容器20は、第1剤11及び第2剤12が個別に包装された状態で収容可能に形成されている。このように閉塞可能容器20を2剤式の毛髪脱色・脱染剤10の外装容器として、各剤をまとめて保管することができる。なお、閉塞可能容器20には、毛髪脱色・脱染処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品も収容可能に形成されている。こうした閉塞可能容器20は、軽量化の観点から、樹脂材料、又は、耐水性を付与した紙材料から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
【0112】
次に毛髪化粧用品の使用方法の一例について説明する。まず、容器本体21から蓋体22を取り外し、第1剤11及び第2剤12の包装体を取り出すとともにそれら包装体を開封し、図1(b)に示されるように各剤を容器本体21に投入することで各剤を接触させ、混合物13とする。続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る操作を行う。このとき、閉塞可能容器20内では、各剤が混合されるとともに、各剤の混合物13が上下に振とうされることで混合物13に空気が混入される。このように混合物13に空気を振り混ぜる操作により、混合物13の発泡が開始される。そして、閉塞可能容器20を所定の回数振ることで、発泡操作を完了する。この発泡操作により、泡状の毛髪脱色・脱染剤14が調製される。次に、図1(d)に示されるように、蓋体22を取り外し、容器本体21内の泡状の毛髪脱色・脱染剤14を例えば手で直接取り出して毛髪に塗布する。このとき、毛髪脱色・脱染剤は泡状をなしていることから、液だれを起こすことなく毛髪に容易に馴染ませることができる。そして、毛髪脱色・脱染剤が塗布された毛髪を所定時間放置することで、毛髪が脱色又は脱染される。続いて、毛髪脱色・脱染剤を水又は温水で洗い流すことで、脱色又は脱染処理が完了される。
【0113】
ここで、図2に示されるように、容器本体21はその底壁よりも開口部が拡径された有底筒状をなすことで、例えば手により酸化染毛剤を容易に取り出せるように構成されている。また、容器本体21の内面は曲面状をなすことで、例えば手により酸化染毛剤を取り出す際に、酸化染毛剤が容器本体21の内面に残留しにくくなっている。
【0114】
酸化染毛剤の質量(g)に対する閉塞可能容器20の内容量(mL)の比率(mL/g)は、2〜15の範囲であることが好ましい。前記比率(mL/g)が2以上の場合、上記振とう操作を行った際に、閉塞可能容器20内における酸化染毛剤の移動量が確保されやすくなるため、酸化染毛剤への空気の混入が促進されるようになる。この結果、酸化染毛剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができる。一方、前記比率(mL/g)が15を超える場合、酸化染毛剤の発泡操作完了後において、閉塞可能容器20内に余剰となる空間が増すことで、発泡後の酸化染毛剤14を取り出しにくくなるおそれがある。
【0115】
本実施形態の閉塞可能容器20は、径方向の寸法よりも高さ方向の寸法が大きくなるように形成されることで、容易に把持できるようになっている。図2に示される閉塞可能容器20の収容部の高さh1は、10〜25cmが好ましい。閉塞可能容器の収容部の高さh1が10cm以上の場合、閉塞可能容器20内において、泡状とされる酸化染毛剤の体積が十分に確保されやすくなる。一方、閉塞可能容器20の収容部の高さh1が25cmを超える場合、閉塞可能容器20が取り扱いにくくなるおそれがある。
【0116】
閉塞可能容器20内において、発泡前の酸化染毛剤13の高さh2(cm)に対する閉塞可能容器の収容部の高さh1(cm)の高さ比率(高さ比率=閉塞可能容器の収容部の高さh1/発泡前の酸化染毛剤の高さh2)は、2〜15の範囲であることが好ましい。この高さ比率が2以上の場合、上記振とう操作を行った際に、閉塞可能容器20内における酸化染毛剤の移動量が確保されやすくなるため、酸化染毛剤への空気の混入が促進されるようになる。この結果、酸化染毛剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができる。一方、前記高さ比率が15を超える場合、酸化染毛剤の発泡操作完了後において、容器本体21に余剰となる空間が増すことで、発泡後の酸化染毛剤14を取り出しにくくなるおそれがある。
【0117】
本実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤は、粉末状の第1剤と、液状の第2剤から構成されるとともに、使用時に第1剤と第2剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型を形成し、毛髪に適用される。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる。
【0118】
(2)好ましくは、さらに(A)両性界面活性剤を含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、第2剤を乳化して適当な粘度に調整したり粘度安定性を向上することができる。
【0119】
また、発泡用具を使用することにより、例えばフォーマー容器のように複雑な構造の容器や、エアゾールのように噴射剤を用いずに前記発泡操作を行う場合において、発泡性を高めることが容易となる。また、一度の操作で比較的多く量を発泡させることも容易となる。また、発泡操作は、熟練を要しない分かりやすい操作であるため、簡便に発泡させることができるとともに、そうした発泡操作を楽しむことができる。
【0120】
(3)好ましくは、さらに、(B)カチオン性界面活性剤を含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。
(4)好ましくは、さらに、(C)アニオン性界面活性剤を含有し、該(C)アニオン性界面活性剤及び(B)カチオン性界面活性剤を使用時に溶媒存在下で接触されるようにそれぞれ別剤中に配合した。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、使用時に毛髪化粧料組成物の発泡性を高めるとともに発泡操作後において泡状の剤型を維持する効果を向上させることができる。
【0121】
(5)好ましくは、(B)カチオン性界面活性剤は、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤と、(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤とを含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、使用時の泡質を改善する作用をより向上させることができる。
【0122】
また、アニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含有させることにより、発泡性を高めることが容易となる。
(6)好ましくは、さらに第1剤に(D)非イオン性ポリマーを含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、使用時における毛髪脱色・脱染剤の泡質、例えば泡の均質性、泡の弾力性を向上させることができる。
【0123】
(7)好ましくは、さらに第1剤に(E)増粘剤を含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、第1剤と第2剤を混合して得られる混合物に適度な粘度を与えて、混合物を毛髪に塗布する際、毛髪からの垂れ落ちを抑制することができる。
【0124】
また、好ましくは、(C)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(E)増粘剤(デンプンを除く)、及びデンプンを含有し、デンプンを固体状で保存するとともに、(C)アニオン性界面活性剤及び(B)カチオン性界面活性剤を、使用時に溶媒存在下で接触させるように保存する。かかる構成により、第1剤と第2剤を混合して混合物を得る際、短時間で混合物に増粘効果を付与することができる。
【0125】
また、好ましくは第1剤中に固体状のデンプンが含有される。したがって、第1剤と第2剤を混合して得られる混合物に対し、増粘効果の発現速度を高め、粘度安定性を向上させることができる。
【0126】
(8)好ましくは、さらに第2剤に(H)カチオン性ポリマーを含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、(A)両性界面活性剤との併用により、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をさらに向上させるとともに、毛髪処理後における毛髪の感触を向上させることができる。特に、カチオン性ポリマーと過酸化水素とが共存下で保存される構成においては、カチオン性ポリマーの安定を損なうことなく、カチオン性ポリマーの毛髪の感触向上作用をさらに高めることができる。
【0127】
(9)好ましくは、さらに第2剤に(I)アルカリ金属の無機塩を含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、酸化剤として(G)過酸化水素を使用するとともに、第2剤に(A)両性界面活性剤を配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させることができる。
【0128】
(10)好ましくは、さらに第2剤に(J)フェノキシエタノール、並びに(K)安息香酸及び安息香酸塩から選択される少なくとも1種を含有する。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、酸化剤として(G)過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の安定性を向上させることができる。
【0129】
また、酸化剤として(G)過酸化水素を使用する場合、界面活性剤、(J)フェノキシエタノール、並びに(K)安息香酸及び安息香酸塩から選択される少なくとも1種を併用することにより、過酸化水素の安定性をより向上させることができる。
【0130】
(11)好ましくは、(F)アルカリ剤は、(f−1)炭酸塩であり、さらに、(L)キレート化剤を混合物中に1〜5質量%含有するとともに、(L)キレート化剤の含有量に対する(f−1)炭酸塩の含有量の質量比が0.02〜6.5である。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性をより向上させることができる。また、アルカリ剤として(f−1)炭酸塩を使用した場合の毛髪の感触の低下を抑制することができる。
【0131】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧料組成物を染毛剤に具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態に係る染毛剤は、例えば(F)アルカリ剤及び酸化染料等を含有する粉末状の第1剤と、例えば酸化剤等を含有する液状の第2剤から構成される。この第1剤と第2剤とが混合された後、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型が形成された後、染毛剤として毛髪に適用される。
【0132】
第1剤は、(F)アルカリ剤に加え、さらに、例えば(C)アニオン性界面活性剤、(D)非イオン性ポリマー、(E)増粘剤、(L)キレート化剤、及び酸化染料を含有する。
【0133】
酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
【0134】
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0135】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0136】
染毛剤における第2剤は、第1剤と混合された後、毛髪の染色に使用される。第2剤の具体的な構成は、第1実施形態に係る第2剤と同じである。
第1剤の剤型は、粉末状に構成される。第2剤の剤型は、液状に構成される。染毛剤は、第1剤と第2剤とが混合された後、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型が形成された後、次いで、必要量の混合物が薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
【0137】
本実施形態に係る染毛剤は、第1実施形態の効果に加えて以下の利点を有する。
(12)本実施形態に係る染毛剤は、粉末状の第1剤と、液状の第2剤から構成されるとともに、使用時に第1剤と第2剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型を形成し、毛髪に適用される。したがって、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる。
【0138】
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物では、第1剤を粉末状、第2剤を液状に構成した。しかしながら、第1剤を液状、第2剤を粉末状に構成してもよい。かかる構成においても、混合発泡の操作性及び泡の毛髪への保持性を向上させることができる。かかる構成においても、振とうにより発泡させる発泡操作によって形成される泡が小さくなることにより、泡均質化手段、例えばネット又は多孔質体が不要になり、混合発泡の操作性を向上させることができる。また、泡状組成物の毛髪への保持力も向上させることができる。尚、第1剤の剤型が液状の場合、アルカリ剤として、25℃で液状のアルカリ剤、例えばアンモニア、及びアルカノールアミンを用いても良い。
【0139】
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物では、第1剤を粉末状、第2剤を液状に構成した。しかしながら、少なくとも粉末状の剤と液状の剤とを含んでなる複数剤式、例えば3剤式以上に構成してもよい。
【0140】
・前記発泡操作を次のように変更することができる。すなわち、毛髪化粧料組成物に振動を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作、又は毛髪化粧料組成物に回転を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作に変更することもできる。つまり、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
【0141】
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるための発泡用具を変更することもできる。例えば、主として振動を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また例えば、主として回転を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。こうした発泡操作は、毛髪化粧料組成物を例えば上端に開口を有する容器に投入して、その容器内で行われる。このような発泡用具を用いた場合であっても、前記実施形態の毛髪化粧料組成物によれば、発泡性を高めることが容易となる。
【0142】
・前記容器本体は、有底円筒状に形成されているが、例えば有底角柱状に変更することもできる。また、蓋体の形状についても、例えば容器本体の形状に応じて適宜変更してもよい。
【0143】
・前記閉塞可能容器には、第1剤及び第2剤が個別に包装された状態で収容可能に形成されている。すなわち、閉塞可能容器を各剤の外装として用いているが、各剤のうち少なくとも一方を閉塞可能容器外に保存するように構成してもよい。
【0144】
・前記実施形態のように閉塞可能容器を上下に振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよいし、例えば閉塞可能容器を把持して手首を捻るようにして閉塞可能容器を振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよい。
【実施例】
【0145】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(試験例1)
表1,2に示す各成分を含有する毛髪脱色剤の粉末状の第1剤及び乳液状の第2剤を調製した。表1,2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、各実施例においては、第1剤と第2剤とを1:5の質量比で混合した。各比較例においては、第1剤と第2剤とを1:1.5の質量比で混合した。実施例1−1〜1−11、比較例1−3,1−7においては、図1に示される発泡用具(シェーカー)を用い、第1剤及び第2剤を充填後、20回振とうすることにより泡状の毛髪脱色剤を調製した。実施例1−12においては、泡立て器(ヘアカラー剤用マドラー)を用い、泡状の毛髪脱色剤を調製した。比較例1−1,1−5においては、スクイズフォーマー容器1(プリティア(花王社製)付属容器)を用い、第1剤及び第2剤を泡立てずに混合した後、吐出することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した。比較例1−2,1−6においては、ポンプ吐出容器(F5Lタイプのフォーマー容器、大和製罐社製)を用い、第1剤及び第2剤を泡立てずに混合した後、吐出することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した。比較例1−4,1−8においては、スクイズフォーマー容器2(プリティア(花王社製)付属容器の吸引用ディップチューブを外したもの)を用い、第1剤及び第2剤を振とうにより混合した後、吐出することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した。得られた各例の毛髪脱色剤について、混合発泡の操作性及び毛髪に対する保持性の評価を行った。結果を表1,2に示す。
【0146】
表中「成分」欄におけるA〜K、b−1、b−2、f−1の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。
表中「炭酸塩の質量比」は、使用時における(L)キレート化剤の含有量に対する(f−1)炭酸塩の含有量の質量比(f−1)/Lを示す。
【0147】
<混合発泡の操作性>
5:混合発泡したときに、全く煩雑でなく、混合発泡性が非常に良い。
4:混合発泡したときに、かなり煩雑でなく、混合発泡性がかなり良い。
【0148】
3:混合発泡したときに、あまり煩雑でなく、混合発泡性が良い。
2:混合発泡したときに、煩雑であり、混合発泡性が悪い。
1:混合発泡したときに、非常に煩雑であり、混合発泡性が非常に悪い。
【0149】
<毛髪に対する保持性>
30cmの長さの毛束をぶら下げ、上部に発泡した泡をつけ、30分放置したときの泡の動きを観察した。
【0150】
5:泡が全く動かない。
4:泡がほとんど動かない。
3:泡があまり動かない。
【0151】
2:泡がかなり動く。
1:泡が非常に動く。
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】

表1に示されるように、第1剤が粉末状及び第2剤が液状に構成されるとともに、発泡用具(シェーカー)を用い、振とうすることにより泡状の毛髪脱色剤を調製した各実施例は、混合発泡の操作性及び毛髪に対する保持性の各項目において良好な結果が得られた。
【0154】
表2に示されるように、スクイズフォーマー容器1を用い、第1剤及び第2剤を泡立てずに混合した後、吐出することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した比較例1−1,1−5においては、各実施例に対し、混合発泡の操作性及び毛髪に対する保持性の各項目における評価が低い結果となった。
【0155】
ポンプ吐出容器を用い、第1剤及び第2剤を泡立てずに混合した後、吐出することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した比較例1−2,1−6においては、各実施例に対し、混合発泡の操作性及び毛髪に対する保持性の各項目における評価が低い結果となった。
【0156】
第1剤が液状及び第2剤が液状に構成するとともに、発泡用具(シェーカー)を用い、振とうすることにより泡状の毛髪脱色剤を調製した比較例1−3,1−7は、各実施例に対し、毛髪に対する保持性の項目における評価が低い結果となった。
【0157】
スクイズフォーマー容器2を用い、第1剤及び第2剤を振とうにより混合した後、吐出することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した比較例1−4,1−8においては、各実施例に対し、毛髪に対する保持性の各項目における評価が低い結果となった。
【0158】
(試験例2)
(実施例2−1〜9)
各実施例では、表3に示される各成分を混合することにより、二剤式の酸化染毛剤を調製した。表3において各成分の配合量を示す数値の単位は、質量%である。なお、第1剤の剤型は粉末状であり、第2剤の剤型は液状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。次に、閉塞可能容器(A1)又は泡立て器(B)を用いて、各例の酸化染毛剤の発泡操作を行った。なお、閉塞可能容器(A1)の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器(A1)内に、第1剤及び第2剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器(A1)を上下に20回振った。こうした酸化染毛剤に空気を振り混ぜる発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。また、泡立て器(B)は、酸化染毛剤調整用の泡立て器であり、容量600mLのカップに第1剤及び第2剤の混合物として150gとなるように各剤を投入した後、泡立て器(B)を所定の回数、回転させて撹拌する発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。
【0159】
(参考例2−1)
参考例2−1では、表3に示されるように、実施例2−1と同じ二剤式の酸化染毛剤を用いた。参考例2−1では、発泡用具としてスクイズ式のフォーマー容器(C)を用いて、常法に従って発泡操作を行った。
【0160】
(参考例2−2)
参考例2−2では、表3に示されるように、実施例2−1と同じ二剤式酸化染毛剤を用いた。参考例2−2では、発泡用具としてポンプ式のフォーマー容器(D)を用いて、常法に従って発泡操作を行った。
【0161】
(参考例2−3及び2−4)
参考例2−3及び2−4では、表3に示されるように、両性界面活性剤を配合せずに二剤式の酸化染毛剤を調製した以外は、実施例2−1と同様にして発泡操作を行った。
【0162】
<発泡量>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。その結果、発泡量が非常に優れるものを評価5とし、発泡量が優れるものを評価4とし、泡立ちが良好なものを評価3とし、発泡量がやや不良なものを評価2とし、発泡量が悪いものを評価1とする判定基準により判定した。判定結果の数値を表3の“発泡量の評価”欄に示している。
【0163】
<泡のきめ細やかさ>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。その結果、泡のきめ細やかさが非常に優れるものを評価5とし、泡のきめ細やかさが優れるものを評価4とし、泡のきめ細やかさが良好なものを評価3とし、泡がやや粗いものを評価2とし、泡が非常に粗いものを評価1とする判定基準により判定した。判定結果の数値を表3の“泡のきめ細やかさの評価”欄に示している。
【0164】
<発泡操作後の取り扱い性>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後にポリエチレン製の手袋をした手に取り、毛髪に持っていく際に、剤が手に保持される状態を観察した。その結果、手への保持性が非常に優れるものを評価5とし、保持性に優れるものを評価4とし、保持性が良好なものを評価3とし、保持性にやや劣るものを評価2とし、保持性に劣るものを評価1とする判定基準により判定した。判定結果の数値を表3の“発泡操作後の取り扱い性の評価”欄に示している。
【0165】
【表3】

表3に示されるように、実施例2−1〜9では、発泡量、泡のきめ細やかさ、及び発泡操作後の取り扱い性のいずれの結果も評価3以上であった。特に、実施例2−1〜2−3、2−5〜2−7及び2−9では、発泡量、泡のきめ細やかさ、及び発泡操作後の取り扱い性のいずれの結果も評価4以上であった。この結果から、酸化染毛剤中(混合物中)における両性界面活性剤の含有量は、1.5〜4.0質量%の範囲が好ましいことが分かる。
【0166】
これに対して、参考例2−1及び2−2では、発泡用具として、それぞれスクイズ式のフォーマー容器(C)及びポンプ式のフォーマー容器(D)を用いているため、発泡量の結果は評価1であった。参考例2−3では、閉塞可能容器(A1)を用いているものの、両性界面活性剤をカチオン性界面活性剤に変更しているため、発泡量の結果は評価1であった。参考例2−4では、閉塞可能容器(A1)を用いているものの、両性界面活性剤をアニオン性界面活性剤に変更しているため、泡のきめ細やかさの結果は評価1であった。なお、参考例2−1〜3において、表
3の“発泡操作後の取り扱い性の評価”欄に示される“×”は、泡立たなかったため、評価不能であったことを示している。
【0167】
(実施例2−1a)
実施例2−1aでは、上下に振とうする回数を10回に変更した以外は実施例2−1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0168】
(実施例2−1b及び2−1c)
実施例2−1b及び2−1cでは、表4に示されるように、容量の異なる閉塞可能容器(A2,A3)を用いて、上下に振とうする回数を10回に変更した以外は実施例2−1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0169】
(実施例2−1d〜1f)
実施例2−1d〜1fでは、表4に示されるように、閉塞可能容器(A1)に投入する酸化染毛剤の量を変更するとともに、閉塞可能容器(A1)を上下に振る回数について10回に変更した以外は実施例2−1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0170】
(評価)
実施例2−1a〜1fについて、上記の<発泡量>、及び<泡のきめ細やかさ>の評価を行った。判定結果の数値を表4の“発泡量の評価”欄、及び“泡のきめ細やかさの評価”欄に示している。
【0171】
【表4】

表4に示されるように、実施例2−1a、2−1c及び2−1eでは、発泡量の評価、及び泡のきめ細やかさの評価の結果は、評価4又は5であり、実施例2−1b、2−1dよりも優れている。この結果から、酸化染毛剤(混合物)の質量(g)に対する内容量(mL)の比率(mL/g)は2〜15の範囲が好ましいことが分かる。
【0172】
(試験例3)
(実施例3−1〜8、及び参考例3−1〜4)
各例では、表5及び表6に示される各成分を混合することにより、二剤式の酸化染毛剤を調製した。表5、表6、及び以降の表において各成分の配合量を示す数値の単位は、質量%である。なお、第1剤の剤型は粉末状であり、第2剤の剤型は液状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。表中の混合比は、質量比を示す(以下同様)。
【0173】
次に、閉塞可能容器を用いて、各例の酸化染毛剤の発泡操作を行った。なお、閉塞可能容器の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器内に、第1剤及び第2剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に20回振った。こうした酸化染毛剤に空気を振り混ぜる発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。
【0174】
(実施例3−9〜24)
各実施例では、表7及び表8に示すように、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の少なくとも一方について、配合量を変更した以外は実施例3−1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0175】
<発泡性>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。その結果について、以下の判定基準により判定した。
【0176】
評価5:泡立ちの量が非常に優れる。
評価4:泡立ちの量が優れる。
評価3:泡立ちの量が良好である。
【0177】
評価2:泡立ちの量がやや劣る。
評価1:泡立ちの量が劣る。
判定結果の数値を各表の“発泡性の評価”欄に示している。
【0178】
<剤型の維持力の評価>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で経時変化を観察した。その結果、発泡操作直後から10分経過後において消泡(破泡)がほとんど確認されないものを評価5とし、同10分経過後において1割程度の消泡(破泡)が確認されるものを評価4とし、同10分経過後において2割程度の消泡(破泡)が確認されるものを評価3とし、同10分経過後において3割程度の消泡(破泡)が確認されるものを評価2とし、同10分経過後において4割程度の消泡(破泡)が確認されるものを評価1とした。判定結果の数値を各表の“剤型の維持力の評価”欄に示している。
【0179】
【表5】

【0180】
【表6】

【0181】
【表7】

【0182】
【表8】

表5に示される各実施例では、発泡性及び剤型の維持力のいずれの評価についても、評価4以上の結果が得られた。表6に示されるように参考例3−1〜4では、剤型の維持力について、評価1の結果となった。
【0183】
参考例3−1〜3では、第1剤にアニオン性界面活性剤が含有されているものの、第2剤にカチオン性界面活性剤が含有されていない。参考例3−1では、実施例3−1の第2剤に含有されるカチオン性界面活性剤を、アニオン性界面活性剤に変更している。参考例3−2は、実施例3−1の第2剤に含有されるカチオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤であるPOE(5.5)セチルエーテルに変更している。参考例3−3では、実施例3−1の第2剤に含有されるカチオン性界面活性剤を、カチオン性ポリマーである塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体に変更している。参考例3−4では、実施例3−1の第1剤に含有されるアニオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤であるショ糖脂肪酸エステルに変更している。
【0184】
こうした各例の結果から、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を使用時に接触されるように分割した構成についての優位性が示されている。
表7及び表8に示されるように、カチオン性界面活性剤に対するアニオン性界面活性剤の質量比を、0.25〜3の範囲とすることで、各参考例よりも優れる結果が得られやすくなる。
【0185】
(試験例4)
表9及び10に示す各成分を含有する、染毛剤の第1剤及び第2剤を調製した。表9及び10における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。なお、本実施例及び参考例では、第1剤を粉末状に調製するとともに第2剤を液状に調製している。
【0186】
まず、表9及び10に示す第1剤及び第2剤を図1に示される閉塞可能容器内に投入し、閉塞可能容器内を密閉した状態で20〜30回程度振って、内部の第1剤と第2剤との混合物を振とうすることにより、泡状の染毛剤を得た。得られた泡状の染毛剤を手(手袋着用)にとり、黒毛の人毛毛束(以下、単に毛束と記載する。)に塗布した後、室温(25℃)にて30分間放置した。そして、毛束に付着した染毛剤を水で洗い流し、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置することにより、染色処理された毛束を得た。
【0187】
表9及び10に示す実施例及び参考例の染毛剤を発泡させて得られた泡状の染毛剤について、泡の均質性、泡の弾力性、及び混合性について下記に示す方法に従い評価を行なった。また、染毛剤の洗い流し時における毛束の感触、及び得られた毛束の均染性について下記に示す方法に従い評価を行なった。結果を表9及び10に示す。
【0188】
<泡の均質性>
得られた泡状の染毛剤を閉塞可能容器内にて10分間放置し、閉塞可能容器の上部及び下部に位置する泡の泡質について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「泡の均質性」欄において、“5”は「泡質の差が全くない」ことを示し、“4”は「泡質の差がほとんどない」ことを示し、“3”は「泡質の差があまりない」ことを示し、“2”は「泡質の差がある」ことを示し、“1”は「泡質の差があり、その差が大きい」ことを示す。
【0189】
<泡の弾力性>
得られた泡状の染毛剤の弾力性について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「泡の弾力性」欄において、“5”は「手に取ったときの泡崩れが全くない(泡を押したときの押し返しがある)」ことを示し、“4”は「手に取ったときの泡崩れがほとんどない」ことを示し、“3”は「手に取ったときの泡崩れがあまりない」ことを示し、“2”は「手に取ったときの泡崩れがある」ことを示し、“1”は「手に取ったときの泡崩れがかなりある(泡を押したときの押し返しが全くない)」ことを示す。
【0190】
<混合性>
得られた泡状の染毛剤について、専門のパネラーが目視にて継粉の有無を観察することにより、粉末状の第1剤と液状の第2剤との混合性を評価した。各表中の「泡の混合性」欄において、“5”は「継粉が全くない(十分に混合している)」ことを示し、“4”は「継粉がほとんどない」ことを示し、“3”は「継粉があまりない」ことを示し、“2”は「継粉が目立つ」ことを示し、“1”は「継粉がかなり目立つ(混合していない)」ことを示す。
【0191】
<感触(べたつき)>
染毛剤の洗い流し時における毛束(毛髪)の感触について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「感触(べたつき)」欄において、“5”は「べたつきが全くない」ことを示し、“4”は「べたつきがほとんどない」ことを示し、“3”は「べたつきがあまりない」ことを示し、“2”は「べたつきが感じられる」ことを示し、“1”は「べたつきが強く感じられる」ことを示す。
【0192】
<均染性>
染毛処理が施された毛束の均染性について、専門のパネラーが標準光源下で目視にて観察することにより評価した。各表中の「均染性」欄において、“5”は「染色ムラが全くない」ことを示し、“4”は「染色ムラがほとんどない」ことを示し、“3”は「染色ムラがあまりない」ことを示し、“2”は「染色ムラが目立つ」ことを示し、“1”は「染色ムラが非常に目立つ」ことを示す。
【0193】
【表9】

【0194】
【表10】

表9及び10に示すように、非イオン性ポリマーを含有する各実施例は、各項目において良好な評価が得られた。とくに、非イオン性ポリマーとして、α−グルコース等を構成単位とするオリゴ糖及び多糖である、デンプン又はシクロデキストリンを含有する実施例4−1及び4−2は、他の非イオン性ポリマーを含有する実施例4−3と比較して、「泡の均質性」、「泡の弾力性」、「混合性」、及び「均染性」の評価が高いことが分かった。また、非イオン性ポリマーを2種含有する実施例4−4及び4−5は、同量の非イオン性ポリマーを1種のみ含有する実施例4−1及び4−2と比較して、「泡の均質性」及び「均染性」の評価が高いことが分かった。
【0195】
一方、非イオン性ポリマーに代えてアニオン性ポリマーを含有する参考例4−1は、各実施例に対して、「泡の均質性」、「混合性」、及び「均染性」の評価が低いことが分かった。また、非イオン性ポリマーに代えてカチオン性ポリマーを含有する参考例4−2は、各実施例に対して、「泡の均質性」、「泡の弾力性」、「混合性」、及び「均染性」の評価が低いことが分かった。
【0196】
(試験例5)
(実施例5−1〜5、及び参考例5−1〜3)
各例では、表11に示される各成分を混合することにより、二剤式の酸化染毛剤を調製した。表11及び以降の表において各成分の配合量を示す数値の単位は、質量%である。なお、第1剤の剤型は粉末状であり、第2剤の剤型は液状である。
【0197】
次に、閉塞可能容器を用いて、各例の酸化染毛剤の発泡操作を行った。なお、閉塞可能容器の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器内に、第1剤及び第2剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に20回振った。こうした酸化染毛剤に空気を振り混ぜる発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。
【0198】
(実施例5−6〜17)
各実施例では、表12及び表13に示すように、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤及び(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の少なくとも一方について、配合量を変更した以外は実施例5−1と同様にして、泡状の剤型とした。
【0199】
<操作性の評価>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが手の上に載せた後、その酸化染毛剤を部分的に持ち上げる操作を行い、糸引きの状態及び泡の切れる状態を目視で観察した。その結果について、以下の判定基準により判定した。
【0200】
評価5:糸引きが発生せず、泡切れに非常に優れる。
評価4:糸引きがほとんど発生せず、泡切れが優れる。
評価3:糸引きがわずかに発生するものの、泡切れが良好である。
【0201】
評価2:糸引きが発生し、泡切れがやや劣る。
評価1:糸引きが激しくなり、泡切れが劣る。
判定結果の数値を各表の“取り扱い性の評価”欄に示している。
【0202】
<塗布性の評価>
各例の酸化染毛剤について、専門のパネラーが毛髪に塗布し、そのときの状況について、以下の判定基準により判定した。
【0203】
評価5:毛髪上における延び、及び毛髪への付着性が非常に優れる。
評価4:毛髪上における延び、及び毛髪への付着性が優れる。
評価3:毛髪上における延び、及び毛髪への付着性が良好である。
【0204】
評価2:毛髪上における延びがやや劣る、又は毛髪への付着性がやや劣る。
評価1:毛髪上における延びが劣る、又は毛髪への付着性が劣る。
判定結果の数値を各表の“塗布性の評価”欄に示している。
【0205】
<毛髪の感触の評価>
各例の酸化染毛剤を毛束に塗布して所定時間放置し、その毛束を温水で洗い流すことで染毛段階を実施した。温水で洗い流したとき(洗い流し時)の毛束の感触、及び、その毛束をドライヤーで乾燥した後(仕上がり後)の毛束の感触について、専門のパネラーが以下の判定基準で官能評価した。
【0206】
評価5:洗い流し時、及び仕上がり後においてべたつきが感じられない。
評価4:洗い流し時、及び仕上がり後においてべたつきがほとんど感じられない。
評価3:洗い流し時、又は仕上がり後においてべたつきが僅かに感じられる。
【0207】
評価2:洗い流し時、又は仕上がり後においてべたつきが感じられる。
評価1:洗い流し時、及び仕上がり後においてべたつきが感じられる。
判定結果の数値を各表の“毛髪の感触の評価”欄に示している。
【0208】
【表11】

【0209】
【表12】

【0210】
【表13】

表11に示されるように実施例5−1〜5では、操作性、塗布性、及び毛髪の感触について評価4以上の結果が得られた。参考例5−1〜3では、操作性及び塗布性のいずれか一方について、評価1の結果であった。
【0211】
参考例5−1では、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤が含有されていない。参考例5−2では、(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤が含有されてない。参考例5−3では、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤のうち、アルキル鎖の炭素数が異なる二種を含んでいるが、塗布性について各実施例よりも劣る結果となっている。
【0212】
表12に示されるように、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤に対する(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の質量比を所定の範囲とすることで、操作性及び塗布性のいずれの効果も高めることが更に容易となることが分かる。表13に示されるように、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤及び(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤の含有量を調整することで、操作性、塗布性、及び毛髪の感触の効果を高めることが更に容易となることが分かる。
【0213】
なお、実施例5−1〜4及び5−6〜17の第1剤及び第2剤では、発泡段階における発泡性が良好であり、発泡段階後においても、直ちに消泡(破泡)が開始されることがなく、所定時間、泡状の剤型が維持されていた。このため、染毛段階において泡状の剤型が十分に維持されるものであった。
【0214】
(試験例6−1)
表14,15に示す各成分を含有する毛髪脱色剤の粉末状の第1剤及び乳液状の第2剤を調製した。表14,15における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:4の質量比で混合して、攪拌棒で攪拌することにより毛髪脱色剤を調製した。得られた毛髪脱色剤について、増粘効果の発現速度及び粘度安定性の評価を行った。結果を各表に示す。
【0215】
表中「デンプンの質量比」は、使用時における増粘剤の含有量に対するデンプンの含有量の質量比を示す。
表中「アニオン性界面活性剤の質量比」は、使用時における(B)カチオン性界面活性剤の含有量に対する(C)アニオン性界面活性剤の含有量の質量比(C/B)を示す。
【0216】
<増粘効果の発現速度の測定及び評価>
混合して得られた毛髪脱色剤の粘度について、第1剤及び第2剤の混合時から1分毎にB型粘度計にて、ローターNo.4、回転数12rpm、25℃、1分間の条件で測定した。
【0217】
各表中の「増粘効果の発現速度」欄において、“5”は、第1剤及び第2剤の混合から3分後までの粘度上昇率が、1000mPa・s/分以上を示し、“4”は、850mPa・s/分以上1000mPa・s/分未満を示し、“3”は、650mPa・s/分以上850mPa・s/分未満を示し、“2”は、500mPa・s/分以上650mPa・s/分未満を示し、“1”は、500mPa・s/分未満を示す。
【0218】
<粘度安定性>
第1剤及び第2剤を混合して5分後の粘度、及び第1剤及び第2剤を混合して25分後の粘度から粘度比率(=5分後の粘度/25分後の粘度)を算出した。
【0219】
この粘度比率が0.80以上1.20未満(非常に優れる:5)、粘度比率が0.60以上0.80未満又は1.2以上2.0未満(優れる:4)、粘度比率が0.40以上0.60未満又は2.0以上4.0未満(良好:3)、粘度比率が0.20以上0.40未満又は4.0以上6.0未満(やや悪い:2)、及び粘度比率が0.20未満又は6.0以上(悪い:1)の5段階で評価した。
【0220】
【表14】

【0221】
【表15】

各表に示されるように、第1剤中にアニオン性界面活性剤、増粘剤、及びデンプンを配合し、第2剤中にカチオン性界面活性剤を配合することにより構成した各実施例は、「増粘効果の発現速度」及び「粘度安定性」の各項目において良好な結果が得られた。
【0222】
表14に示されるように、第1剤中にアニオン性界面活性剤の代わりに非イオン性界面活性剤を含有する参考例6−1、及び第2剤中に)カチオン性界面活性剤の代わりに非イオン性界面活性剤を含有する参考例6−2は、各実施例と比較して「増粘効果の発現速度」の項目において評価が低いことが分かった。参考例6−1,2は、「粘度安定性」の項目において、経時的に粘度が徐々に上がり続けるため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
【0223】
第1剤中に増粘剤を含有しない参考例6−3は、「増粘効果の発現速度」の項目において、混合物の最終的な粘度が低いため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。第1剤中にデンプンを含有しない参考例6−4は、「増粘効果の発現速度」の項目において、混合物の最終的な粘度が低いため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。また、参考例6−4は、「粘度安定性」の項目において、経時的に粘度が徐々に低下し続けるため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
【0224】
(試験例6−2)
表16に示す各成分を含有する毛髪脱色剤の粉末状の第1剤及び乳液状の第2剤を調製した。表16における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:4の質量比で図1に示される閉塞可能容器内に投入し、閉塞可能容器内を密閉した状態で20〜30回程度振って、混合することにより、泡状の毛髪脱色剤を調製した。得られた毛髪脱色剤について、以下に示す方法により増粘効果の発現速度及び粘度安定性の評価を行った。
【0225】
<増粘効果の発現速度の測定及び評価>
混合して得られた泡状の毛髪脱色剤の粘度について、第1剤及び第2剤の混合から3分後に手で持ち上げたときの垂落ちの程度を専門のパネラー5人により評価した。表16中の「増粘効果の発現速度」欄において、“5”は、第1剤及び第2剤の混合から3分後のときの垂落ちが全くなく増粘の発現が非常に優れることを示し、“4”は、垂落ちがほとんどなく優れることを示し、“3”は、垂落ちがあまりなく良好であることを示し、“2”は、垂落ちがありやや悪いことを示し、“1”は、垂落ちが多く悪いことを示す。
【0226】
<粘度安定性>
第1剤及び第2剤を混合して5分後に泡を手で持ち上げたときの垂落ちの度合いと、第1剤及び第2剤を混合して25分後に泡を手で持ち上げたときの垂落ちの度合いの違いを専門のパネラー5人により評価した。
【0227】
表16中の「粘度安定性」欄において、“5”は、第1剤及び第2剤の混合から5分後と25分後のときの垂落ちに違いがなく非常に優れるであることを示し、“4”は、垂落ちに違いがほとんどなく優れることを示し、“3”は、垂落ちに違いがあまりなく良好であることを示し、“2”は、垂落ちに違いがありやや悪いことを示し、“1”は、垂落ちに違いが明らかにあり悪いことを示す。
【0228】
【表16】

表16に示されるように、第1剤中にアニオン性界面活性剤、増粘剤、及びデンプンを配合し、第2剤中にカチオン性界面活性剤を配合することにより構成した実施例6−25は、「増粘効果の発現速度」及び「粘度安定性」の各項目において良好な結果が得られた。つまり、使用時の剤型が泡状の場合も「増粘効果の発現速度」及び「粘度安定性」に優れることが分かった。
【0229】
表16に示されるように、第2剤中にカチオン性界面活性剤の代わりにアニオン性界面活性剤を含有する参考例6−5は、各実施例と比較して「増粘効果の発現速度」の項目において評価が低いことが分かった。参考例6−5は、「粘度安定性」の項目において、経時的に泡が硬くなるため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
【0230】
第1剤中に増粘剤を含有しない参考例6−6は、「増粘効果の発現速度」の項目において、混合物の最終的な粘度も低いため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
第1剤中にデンプンを含有しない参考例6−7は、「粘度安定性」の項目において、経時的に粘度が徐々に低下し続け、液の垂れ落ちが増加するため、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
【0231】
(試験例7)
染毛剤として、表17に示す各成分を含有する第1剤、及び表18〜20に示す各成分を含有する第2剤を調製した。各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。本試験では、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体としてマーコート550(オンデオ・ナルコ社製)を、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体としてマーコート295(オンデオ・ナルコ社製)を、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウムとしてマーコート100(オンデオ・ナルコ社製)を用いた。表中の配合量を示す数値は、表中に記載の成分の純分を示している。なお、本実施例及び参考例では、第1剤を粉末状に調製するとともに第2剤を液状に調製し、共通の第1剤を用いている。
【0232】
【表17】

各表に示す第1剤及び第2剤を45℃にて30日間保存し、これらを続く試験に用いた。第1剤及び第2剤を、図1に示される閉塞可能容器内に投入し、閉塞可能容器内を密閉した状態で20〜30回程度振って、内部の第1剤と第2剤との混合物を振とうすることにより、泡状の染毛剤を得た。得られた泡状の染毛剤を手(手袋着用)にとり、黒毛の人毛毛束(以下、単に毛束と記載する。)に塗布した後、室温(25℃)にて30分間放置した。そして、毛束に付着した染毛剤を水で洗い流し、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置することにより、染色処理された毛束を得た。実施例及び参考例の染毛剤の発泡性、及び染毛剤の洗い流し時における毛束の感触について下記に示す方法に従い評価を行なった。結果を各表に示す。
【0233】
<発泡性>
専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。各表中の「発泡性」欄において、“5”は「泡立ちに非常に優れている」ことを示し、“4”は「泡立ちに優れている」ことを示し、“3”は「泡立ちが良好である」ことを示し、“2”は「泡立ちがやや不十分である」ことを示し、“1”は「泡立ちが不十分である、又は泡立ちすぎて粘性の低い軽い大きな泡となっている」ことを示す。
【0234】
<感触(指どおり)>
染毛剤の洗い流し時における毛束(毛髪)の感触について、専門のパネラーが手で触れて観察することにより評価した。各表中の「感触(指どおり)」欄において、“5”は「指どおりが非常に優れている」ことを示し、“4”は「指どおりが優れている」ことを示し、“3”は「指どおりが良好である」ことを示し、“2”は「指どおりが悪く、軋みを感じる」ことを示し、“1”は「指どおりが非常に悪く、指が引掛りやすい」ことを示す。
【0235】
【表18】

【0236】
【表19】

各表に示すように、第2剤中に過酸化水素、両性界面活性剤、及びカチオン性ポリマーを含有する各実施例は、「感触(指どおり)」及び「発泡性」の各項目において良好な評価が得られた。とくに、カチオン性ポリマーとして、25℃で液状に調製された製品を含有する実施例7−1〜3は、25℃で固体状であるカチオン性ポリマーを含有する実施例7−4と比較して「感触(指どおり)」の評価が高いことが分かった。また、第2剤中における両性界面活性剤の含有量が1.5〜3.5質量%の範囲内である実施例7−8及び7−9は、「感触(指どおり)」及び「発泡性」の評価がともに高い評価であった。
【0237】
【表20】

表20に示すように、第2剤中に両性界面活性を含有せず、第2剤中における非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤の含有量を高めた参考例7−1〜4は、各実施例と比較して「感触(指どおり)」及び「発泡性」の評価がともに低いことが分かった。また、第2剤中にカチオン性ポリマーを含有しない参考例7−5では、「発泡性」の評価は高いものの、「感触(指どおり)」の評価が低いことが分かった。
【0238】
(試験例8)
(過酸化水素含有組成物の調製)
表21,22に記載の各成分を配合することにより、過酸化水素含有組成物を調製した。調製した過酸化水素含有組成物について、下記の方法に従って、過酸化水素の安定性および臭気について評価を行なった。なお、表21,22に記載の各成分の配合量の単位は質量%である。
【0239】
(過酸化水素の安定性)
調製した過酸化水素含有組成物を45℃の恒温槽にて1ヶ月間保存した後、残存する過酸化水素の量を酸化還元滴定法によって定量し、過酸化水素の残存率を算出した。評価基準は以下の通りである。評価結果は表21,22に示した。
【0240】
評価5:過酸化水素の残存率が99%以上
評価4:過酸化水素の残存率が98%以上99%未満
評価3:過酸化水素の残存率が97%以上98%未満
評価2:過酸化水素の残存率が96%以上97%未満
評価1:過酸化水素の残存率が96%未満
(臭気について)
調製した過酸化水素含有組成物の臭気を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果は表21,22に示した。
【0241】
評価3: フェノキシエタノールの原料臭が全くない。
評価2: フェノキシエタノールの原料臭がほとんどない。
評価1: フェノキシエタノールの原料臭が目立つ。
【0242】
【表21】

【0243】
【表22】

表21に示すように、参考例8−1〜5の過酸化水素含有組成物は、界面活性剤を含む系において、フェノキシエタノールおよび安息香酸(塩)の少なくともいずれか一方を含んでいない。参考例8−1〜5について、保存時における過酸化水素の安定性を見ると、安定性に劣っていることが分かる。このうち、参考例8−1〜2、8−4〜5の過酸化水素含有組成物は、界面活性剤として両性の界面活性剤を含んでいる。これらのものは、特に、保存時における過酸化水素の安定性に劣っている。
【0244】
これに対し、実施例8−1〜19の過酸化水素含有組成物は、界面活性剤を含む系において、フェノキシエタノールおよび安息香酸(塩)のいずれも含んでおり、保存時における過酸化水素の安定性に優れていることが確認できた。そして、実施例8−1〜2と参考例8−1〜2とを比べれば、各実施例は過酸化水素の安定性が向上していることが分かる。また、実施例8−5と参考例8−4とを比べれば、各実施例は過酸化水素の安定性が向上していることが分かる。さらに、実施例8−8と参考例8−4〜5とを比べれば、各実施例は過酸化水素の安定性が向上していることが分かる。そして、界面活性剤として両性の界面活性剤を含んでいる場合(実施例8−1、参考例8−1〜2など)で比較すれば、両性界面活性剤を含んでいる場合に特に過酸化水素の安定性の向上効果が高いことが分かる。
【0245】
そして、各実施例同士を比べれば次のことが分かる。すなわち、実施例8−9、8−13とそれ以外の実施例を比べれば、(K)成分に対する(J)成分の質量比(J/K比)が0.2〜2.5の範囲内であれば、より一層、過酸化水素の安定性に優れることが分かる。また、実施例8−9、10とそれ以外の実施例を比べれば、(K)成分の量が0.1質量%以上であれば、より一層、過酸化水素の安定性に優れ、(K)成分の量が0.15質量%以上であれば、特に、過酸化水素の安定性に優れることが分かる。また、実施例8−13、14とそれ以外の実施例を比べれば、(J)成分の量が0.1質量%以上であれば、より一層、過酸化水素の安定性に優れ、(J)成分の量が0.15質量%以上であれば、特に、過酸化水素の安定性に優れることが分かる。なお、実施例8−19とそれ以外の実施例を比べれば、(J)成分の配合量を0.15〜0.8質量%の範囲にすれば、フェノキシエタノールの臭気を抑えつつ、過酸化水素の安定性を図ることができることが分かる。
【0246】
(試験例9)
(毛髪染色用組成物の調製)
表23,24に記載の各成分を配合することにより、毛髪染色用組成物の第1剤および第2剤を調製した。次いで、得られた第1剤と第2剤とを表23,24に記載の混合比(質量比)で混合することにより、毛髪染色用組成物を調製した。最終剤型が「泡」と記載のものは、第1剤と第2剤とを密閉容器内に入れ、これを振とうさせることにより、毛髪染色用組成物を泡状にした。一方、最終剤型が「クリーム」と記載のものは、第1剤と第2剤とを開放容器内に入れ、容器内で泡立てないで静かに混合させた。なお、表23,24に記載の各成分の配合量の単位は質量%である。
【0247】
(染色処理)
調製された各毛髪染色用組成物を、薄手の樹脂製の手袋をつけた手で、黒毛の人毛毛束(以下、単に「毛束」という)に塗布した後、その毛束を恒温槽(30℃)で30分放置した。次いで、その毛束を水道水で水洗し、その後、毛束をシャンプーおよびリンス(コンディショナー)でそれぞれ1回処理した。次いで、その毛束を乾燥した。その後、一日間、常温で放置した。以上のようにして、毛束の染色処理を行なった。
【0248】
(仕上がり後の感触(すべり感)について)
染色処理後の毛束に指を通した時の感触と、染色処理されていない毛束に指を通した時の感触とを比較して、毛束にざらざら感がなく、手ぐしを通したときのすべり感が良いか否かという観点から、染色処理後の毛束の感触を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果は表23,24に示した。
【0249】
評価5:すべり感が非常に良好であった。
評価4:すべり感が良好であった。
評価3:すべり感が比較的良好であった。
【0250】
評価2:すべり感がやや悪かった。
評価1:すべり感が非常に悪かった。
(仕上がり後の感触(軋み、からみつき、ごわつき)について)
染色処理後の毛束に指を通した時の感触と、染色処理されていない毛束に指を通した時の感触とを比較して、毛束に軋み、からみつき、ごわつきがあり、指が通りにくくなっているか否かという観点から、染色処理後の毛束の感触を評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果は表23,24に示した。
【0251】
評価5:指通りが非常に良好であった。
評価4:指通りが良好であった。
評価3:指通りが比較的良好であった。
【0252】
評価2:指通りがやや悪かった。
評価1:指通りが非常に悪かった。
(仕上がり後の明度について)
染色処理後の毛束を目視で観察することにより、仕上がり後の明度について評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果は表23,24に示した。
【0253】
評価5:明度が非常に良好であった。
評価4:明度が良好であった。
評価3:明度が比較的良好であった。
【0254】
評価2:明度がやや悪かった。
評価1:明度が非常に悪かった。
【0255】
【表23】

【0256】
【表24】

表23,24から、参考例9−1の毛髪染色用組成物では、(L)成分の配合量が1質量%未満であるため、仕上がり後の感触(すべり感)がやや悪い。また、参考例9−2の毛髪染色用組成物では、(L)成分を配合していないため、仕上がり後の感触(すべり感)が非常に悪い。
【0257】
これに対し、実施例の毛髪染色用組成物によれば、仕上がり後の感触(すべり感)が良好で、仕上がり後の明度も良好であることが確認できた。そして、実施例同士を比較すると、実施例9−5では、特定のカチオン性ポリマーを配合していない。そのため、他の実施例と比較して、仕上がり後の感触(すべり感)にやや劣っている。また、実施例9−6では、最終剤型をクリーム状にしている。実施例9−6以外の実施例は、最終剤型が泡状であり、実施例9−6と比べて、仕上がり後の感触がさらに良好であることが確認できた。
【0258】
また、実施例9−7は、(L)成分に対する(f−1)成分の質量比が4.5を超えている。これに対し、実施例9−7以外の実施例は、上記質量比が0.02〜4.5の範囲内に入っており、実施例9−7と比べて、仕上がり後の感触(すべり感)がさらに良好であることが確認できた。
【0259】
なお、参考例3、4は、(f−1)成分に代えてメタケイ酸ナトリウムを用いたものである。参考例4に対し、参考例3は、仕上がり後の毛束が硬くなり軋む、毛髪がからまる、ごわつくなどの感触が抑制されることによる仕上がり後の感触の改善は見られるが、仕上がり後のざらざら感を抑制することにより仕上がり後のすべり感を改善する効果は見られない。
【0260】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
(試験例10−1)
表25に示す各成分を含有する染毛剤の粉末状の第1剤、及び表26,27に示す乳液状の第2剤を調製した。第2剤は、先ず両性界面活性剤水溶液を調製し、次に該両性界面活性剤水溶液とその他の成分、例えば過酸化水素等を混合することにより調製した。表25〜27における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:5の質量比で混合して、攪拌棒で攪拌することにより泡状の染毛剤を調製した。得られた染毛剤について、発泡性の評価を行った。また、得られた第2剤についてpH変化及びpH安定性を評価した。結果を表26,27に示す。
【0261】
表中「両性界面活性剤の質量比」は、両性界面活性剤水溶液中におけるアルカリ金属の無機塩の含有量に対する両性界面活性剤の含有量の質量比(A/I)を示す。
表中のヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインは、アモーゲンCB−H(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン30質量%(脱塩)、第一工業製薬社製)を使用した。尚、実施例10−8,9の(B)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインは、30質量%濃度の上記製品を80℃の熱をかけて水を蒸発させて使用した。表中の(B)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインは、オバゾリンLB−SF(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン35質量%(脱塩)、東邦化学工業社製)を使用した。表中の(B)ラウリン酸アミドプロピルベタインは、ソフタゾリンLPB−R(ラウリン酸アミドプロピルベタイン30質量%(脱塩)、川研ファインケミカル社製)を使用した。表中の配合量を示す数値は、表中に記載の成分の純分を示している。
【0262】
<第2剤のpH変化及びpH安定性>
各例の第2剤を45℃の恒温槽にて1ヶ月間保存した後、第2剤のpHを測定した。その値から第2剤の調製時pH4からのpH変化の値を求めた。
【0263】
また、各表中の“pH安定性”欄において、“5”はpH変化の値が0.10未満であることを示し、“4”は、pH変化の値が0.10以上0.15未満であることを示し、“3”はpH変化の値が0.15以上0.20未満であることを示し、“2”はpH変化の値が0.20以上0.25未満であることを示し、“1”はpH変化の値が0.25以上であることを示す。
【0264】
<発泡性>
専門のパネラーが発泡操作後の発泡状態を目視で観察した。各表中の「発泡性」欄において、“5”は「泡立ちに非常に優れている」ことを示し、“4”は「泡立ちに優れている」ことを示し、“3”は「泡立ちが良好である」ことを示し、“2”は「泡立ちがやや不十分である」ことを示し、“1”は「泡立ちが不十分である、又は泡立ちすぎて粘性の低い軽い大きな泡となっている」ことを示す。
【0265】
【表25】

【0266】
【表26】

【0267】
【表27】

表26,27に示されるように、第2剤中に(B)両性界面活性剤、(C)アルカリ金属の無機塩を配合することにより構成した各実施例は、「pH安定性」の項目において良好な結果が得られた。
【0268】
また、第2剤中にアルカリ金属の無機塩を含有しない参考例10−1,2は、各実施例と比較して「pH安定性」の項目において評価が低いことが分かった。
第2剤中に両性界面活性剤を含有しない参考例10−3は、「発泡性」の項目において、各実施例と比較して評価が低い結果となった。両性界面活性剤を使用しない場合、良好な泡状の染毛剤を得ることは困難である。
【0269】
第2剤中にアルカリ金属の無機塩の代わりにクエン酸ナトリウムを含有する参考例10−4は、「pHの安定性」の項目において、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
【0270】
(試験例10−2)
表28〜34に示す各成分を含有する乳液状の第2剤を調製した。第2剤は、先ず各表に記載される各成分を表の上から順番に混合することにより両性界面活性剤水溶液を調製した。次に、該両性界面活性剤水溶液にその他の成分を表の上から順番に配合することにより第2剤を調製した。表28〜34における各成分を示す欄中の数値は表中に指示がない限り当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。両性界面活性剤水溶液欄に示される各成分の数値は第2剤中における含有量を示す。そして、表25に示す第1剤と表28〜34に示す第2剤とを1:5の質量比で混合して、攪拌棒で攪拌することにより泡状の染毛剤を調製した。得られた染毛剤について、発泡性の評価を行った。また、得られた第2剤についてpH変化及びpH安定性を評価した。結果を表28〜34に示す。
【0271】
【表28】

【0272】
【表29】

【0273】
【表30】

【0274】
【表31】

【0275】
【表32】

【0276】
【表33】

【0277】
【表34】

表28〜31に示されるように、両性界面活性剤調製時に両性界面活性剤1質量部に対し水で約2.3質量部配合した後に、塩化ナトリウムを添加した実施例10−19,21,22は、両性界面活性剤1質量部に対し水で約3.8質量部配合した後に塩化ナトリウムを添加した実施例10−20に対し、pH安定性が優れることが分かった。
【0278】
表32〜34に示されるように、両性界面活性剤調製時に塩化ナトリウム1質量部に対し水で約14質量部配合した後に、両性界面活性剤を添加した実施例10−23は、塩化ナトリウム1質量部に対し水で約20質量部以上配合した後に、両性界面活性剤を添加した実施例10−24,25に対し、pH安定性が優れることが分かった。
【0279】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(イ)前記各請求項に記載される毛髪化粧料組成物と該毛髪化粧料組成物の使用時に発泡させるための発泡用具を備える毛髪化粧用品。(イ)の構成によれば、使用時に簡便に泡状の毛髪化粧料組成物を調製することができる。
【符号の説明】
【0280】
10…毛髪脱色・脱染剤、11…第1剤、12…第2剤、13…混合物、14…泡状の毛髪脱色・脱染剤、20…密閉可能容器、21…容器本体、22…蓋体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数剤からなる染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされるとともに、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物において、
前記泡状の剤型は、粉末状の剤と液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって形成されることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
さらに、(A)両性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
さらに、(B)カチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
さらに、(C)アニオン性界面活性剤を含有し、該(C)アニオン性界面活性剤及び前記(B)カチオン性界面活性剤を前記使用時に溶媒存在下で接触されるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項5】
前記(B)カチオン性界面活性剤は、(b−1)炭素数16以上22以下のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤と、(b−2)炭素数10以上16未満のアルキル基を有するアンモニウム型カチオン性界面活性剤とを含有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項6】
さらに(D)非イオン性ポリマーを含有するとともに、該(D)非イオン性ポリマーは、前記粉末状の剤に配合されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項7】
さらに(E)増粘剤を含有するとともに、該(E)増粘剤は、前記粉末状の剤に配合されることを特徴とする請求項6に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項8】
前記毛髪化粧料組成物は、(F)アルカリ剤を含有する粉末状の第1剤と、酸化剤として(G)過酸化水素を含有する液状の第2剤から構成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項9】
前記第2剤は、前記(A)両性界面活性剤、及びさらに(H)カチオン性ポリマーを含有することを特徴とする請求項8に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項10】
さらに(I)アルカリ金属の無機塩を含有することを特徴とする請求項2又は請求項9に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項11】
前記第2剤は、(J)フェノキシエタノール、並びに(K)安息香酸及び安息香酸塩から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項12】
前記(F)アルカリ剤は、(f−1)炭酸塩であり、
さらに、(L)キレート化剤を前記毛髪化粧料組成物中に1〜5質量%含有するとともに、前記(L)キレート化剤の含有量に対する前記(f−1)炭酸塩の含有量の質量比が0.02〜6.5であることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物の使用方法において、
前記粉末状の剤と前記液状の剤とを混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって前記泡状の剤型を形成する工程、次に、該泡状の剤型を手で毛髪に塗布する工程からなることを特徴とする毛髪化粧料組成物の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−105620(P2011−105620A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260490(P2009−260490)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】