説明

毛髪化粧料

【課題】塗布時ののびが良く、垂れ落ちがなく、髪のまとまり感に優れ、毛髪に自然なしなやかさを付与することができ、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)低結晶性のセルロース、(B)ジメチコン、ジメチコノール及びポリエーテル変性シリコーンからなる群より選ばれる1種または2種以上、(C)植物抽出成分から選ばれる1種または2種以上を含有し、20℃において粘度が3,000mPa・s以上のジェル状であり、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェル状毛髪化粧料に関し、更に詳細には、低結晶性セルロースと、ジメチコンあるいはジメチコノールまたは、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上、植物抽出成分から選ばれる1種または2種以上を含有し、20℃において粘度が3,000mPa・s以上であり、塗布時ののびが良く、垂れ落ちがなく、髪のまとまり感に優れ、毛髪に自然なしなやかさを付与することができ、毛髪に適度ななめらかさを付与し、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料には、液状、乳液状、ゲル状、クリーム状、スティック状など様々な形態があり、中でも乳液状およびゲル状化粧料は手に取り出しやすい、塗布時に伸ばしやすいなどの理由により汎用されている。
【0003】
一般にこのような乳液状およびゲル状化粧料にはカルボキシビニルポリマーに代表されるカルボキシル基含有増粘性高分子を水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどのアルカリ性物質で中和して配合、あるいは、セルロース誘導体、グアーガム誘導体などの天然系高分子を配合して、その粘性を調整している。また、毛髪化粧料は従来から油性成分を配合し、コンディショニング効果を出してきた。例えば、カルボキシル基含有増粘性高分子化合物と水溶性アルコールと油性成分を含有したゲル状化粧料(例えば、特許文献1、2参照)や、カルボキシル基含有増粘性高分子化合物とペースト状の油剤と液状の油剤を含有した毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、これら増粘性高分子を配合したゲル状化粧料は安定性が高いものの、粘性が高いために、塗布時の伸ばしにくく、毛髪に均一に塗布できないという欠点があった。また、油性成分は髪のまとまりや落ち着き、つや等のコンディショニング性を高めるが、べた付きや重さを生じ、使用感を損ねるという問題があった。近年、消費者の好みの変化に合わせ、スタイリング剤の使用後に手を洗い流さなくてもよい、霧状に噴霧するジェル状化粧料(例えば、特許文献4、5参照)が知られているが、霧状に噴霧するためには低粘度に調整にしなくてはならず、使用時に垂れ落ちが生じる場合もあった。
【0005】
このような欠点を解消するため、様々な増粘剤と様々な油性成分の組み合わせが試みられてきた。しかし、増粘剤の配合量を増やし、粘度を多くしすぎると伸ばしにくく、少なすぎるとたれ落ちてしまう。また、油性成分を増やすとべた付きや重さを生じ、少なくするとコンディショニング効果がなくなってしまうという問題があった。
【0006】
そのため、塗布時ののびが良く、垂れ落ちがなく、髪のまとまり感に優れ、毛髪に自然なしなやかさを付与することができ、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料の開発が強く望まれていた。
【特許文献1】特開2002−187814号公報
【特許文献2】特開2002−167308号公報
【特許文献3】特開2002−370938号公報
【特許文献4】特許第3791638号明細書
【特許文献5】特開2005−53809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
斯かるかる状況下、本発明の目的とするところは、塗布時ののびが良く、垂れ落ちがなく、髪のまとまり感に優れ、毛髪に自然なしなやかさを付与することができ、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は(A)低結晶性のセルロース、(B)ジメチコン、ジメチコノール及びポリエーテル変性シリコーンからなる群より選ばれる1種または2種以上、(C)植物抽出成分から選ばれる1種または2種以上を含有し、20℃において粘度が3,000mPa・s以上のジェル状であり、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料である。また(C)成分の少なくとも1つがペプチド結合を有する植物抽出成分であると好ましく、さらに水またはエタノール、もしくは水とエタノールを混合したものによって抽出された植物成分であると好ましい。本ジェル状毛髪化粧料を霧状に噴霧する機構として、トリガー式ディスペンサーを用いることを特徴とし、トリガー式ディスペンサーが吐出量300〜600mg/1pushであって、吐出口径φ0.4mm以上であることを特徴とするジェル状毛髪化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、低結晶性セルロースと水からなる処方の、使用時に霧状に噴霧して用いられることができるジェル状毛髪化粧料に、ジメチコンあるいはジメチコノールまたは、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上、植物抽出成分から選ばれる1種または2種以上を配合し、特定の粘度とすることによって、塗布時ののびが良く、垂れ落ちがなく、髪のまとまり感に優れ、毛髪に自然なしなやかさを付与することができ、かつ保存安定性に優れているジェル状毛髪化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0011】
本発明における(A)成分である低結晶性セルロースは、粘剤として用い、水に膨潤させることで水系の粘度を上昇させるものである。20℃における粘度が3000mPa・s以上であり、チキソトロピー性を持つゲルが形成される領域内であれば特に規定されるものではないが、ジェル状化粧料を霧状に噴霧できるようなチキソトロピー性を得るには、平均重合度が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下で、かつ、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であるセルロース微粒子が好ましい。市販品としては、ナノウォープ(第一工業製薬社製)等が例示される。
【0012】
本発明における(B)成分であるジメチコン/ジメチコノールとしては、直鎖型ジメチコン/ジメチコノール、分岐型ジメチコン/ジメチコノール、環状ジメチコン/ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、パーフルオロポリシロキサン、糖変性ジメチコノールなどがあげられ、ポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体等があげられる。
【0013】
ジメチコン、ジメチコノール及びポリエーテル変性シリコーンは、市販のものから入手することが可能であり、例えば、東レ・ダウコーニング社製:SH200シリーズ、BY11−007、BY11−026、BY25−320、1503Fluid、SS−2084、SS−2805、FZ−2222、FZ−2250、GE東芝シリコーン社製:TSF451シリーズ、SILSOFTシリーズ、SF3802A、信越化学工業社製:KF−96シリーズ、KF−6011、KF−615A、KF−945Aなどが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また好ましくは粘度5〜3,000,000mPa・sであるジメチコンあるいはジメチコノールまたは、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上であり、更に好ましくは、直鎖型ポリエーテル変性シリコーンを含むジメチコンあるいはジメチコノールまたはポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上である。
【0014】
本発明においてジメチコン、ジメチコノール及び、ポリエーテル変性シリコーンはそれぞれ単独で、または2種以上を混合して使用して用いることができ、その配合量は、ジェル状毛髪化粧料の総量を基準として0.5〜30質量%(以下特に記載のない限り質量%を%と略する)が好ましく、より好ましくは、1〜20%である。この範囲では塗布時ののびや、髪のまとまり等の効果を十分得ることができる。
【0015】
本発明における(C)成分である植物抽出成分は、毛髪にしなやかさや適度ななめらかさ、まとまりを付与したり、植物抽出成分の中でもペプチド結合を有するものであれば、(B)成分であるシリコーン類の毛髪への付着を高めたり、傷んだ毛髪に対するトリートメント効果が高い。
【0016】
植物抽出物としては、アジタバエキス、アセンヤクエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロエベラ葉エキス、イザヨイバラエキス、イチヤクエキス、イチョウエキス、イラクサエキス、インチンコウエキス、ウイキョウエキス、ウスベニアオイエキス、ウーロン茶エキス、ウコンエキス、エイジツエキス、オーキッドエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オトギリソウエキス、オクラエキス、オタネニンジンエキス、オドリコソウエキス、オノニスエキス、オリーブ葉エキス、オレンジエキス、海藻エキス、ガイヨウエキス、カミツレエキス、カンゾウエキス、カモミラエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウフラボノイド、キイチゴエキス、キウイエキス、キューカンバエキス、キョウニンエキス、キラヤエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クランベリーエキス、クワエキス、グレープフルーツエキス、ケイヒエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、コウホネエキス、ゴボウエキス、コメヌカエキス、コンフリーエキス、サイシンエキス、サクラソウエキス、サルビアエキス、サンザシエキス、サボンソウエキス、シイタケエキス、シコンエキス、ジオウエキス、シソエキス、シナノキエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、白百合エキス、シラカバエキス、スイカズラエキス、スギナエキス、ゼニアオイエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウハッカエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セージエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チャ葉エキス、チンピエキス、チョウジエキス、テンチャエキス、冬虫夏草の菌体エキス、冬虫夏草の菌体培養液、トウガラシエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トゲナシエキス、トマトエキス、トルメンチラエキス、ナツメエキス、ニンジンエキス、パセリエキス、バラエキス、ハマメリスエキス、ビワエキス、ビワ葉エキス、ブクリョウエキス、ブドウ葉エキス、ブッチャーズブルームエキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボタンエキス、ホツプエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、ムラサキセンブリエキス、メリロートエキス、メリッサエキス、モモエキス、モモ葉エキス、ヤグルマギクエキス、ヤグルマソウエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レイシエキス、レモンエキス、ローズマリーエキス、ワレモコウエキスなどを例示することができる。中でもツバキエキス、オクラエキス、レモンエキス、ホホバ葉エキスが、しなやかさの面で優れている。またペプチド結合を有する植物抽出成分としては、加水分解コムギタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解シルク、加水分解コメタンパク、加水分解エンドウタンパクなどが例示でき、中でも加水分解コムギタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパクが好ましい。これらの植物抽出物は、単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良いが、ペプチド結合を有する植物抽出物を少なくとも1種含有すると、(B)成分との相乗効果が期待でき、より好ましい。
【0017】
これらの抽出物を得る方法としては、例えば水又は親水性有機溶媒で抽出して抽出液を得る方法、更にこの抽出液を乾燥させ、粉末を得る方法等が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、良好な乾燥性と毛髪に適度なまとまりを付与し、たれ落ち等を防止するという観点から水またはエタノール、もしくは水とエタノールを混合したものが好ましい。
【0018】
本発明において、成分(C)である植物抽出成分は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量はジェル状毛髪化粧料の総量を基準として0.001〜10%、が好ましく、より好ましくは0.01〜5%である。この範囲では毛髪保護成分の効果を十分得ることができ、べたつきを感じることがなく、髪に滑らかさやしっとり感を付与する。
【0019】
本発明における毛髪化粧料の粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いた化粧品原料基準・粘度測定法第二法にて、20℃で測定した場合、3,000mPa・S以上であることが好ましい。この粘度領域において垂れ落ちのなさ、保存安定性が優れる。
【0020】
また本発明のジェル状毛髪化粧料は、ディスペンサースプレーないしエアゾールスプレーのような、霧状に噴霧する機構に充填して用いる。機構として好ましくは、トリガー式形状のディスペンサー(例えば、吉野工業所社製:PT−200、M3−M、YT−97−MS、三谷バルブ社製:Z−305、T−305/650)であり、さらに好ましくは、トリガー式形状のディスペンサーが、吐出量300〜600mg/1pushかつ、吐出口径φ0.4mm以上の機構を持つものである。
【0021】
吐出量が1pushあたり300〜600mgであり、吐出口径が0.4mmφ以上であれば、吐出時に噴霧状態が良好で、毛髪に対して適量を塗布することができ、良好な使用感を得ることができる。
【0022】
また本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分に加えて必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、抗老化薬剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、各種毛髪栄養剤、香料、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0023】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等
の抗脂漏剤、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB2類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、実施例に記載の官能試験(塗布時ののび、垂れ落ち、まとまり、しなやかさ)、保存安定性、噴霧状態に関する試験法を下記に示す。
【0025】
(1)官能試験
20名の専門パネルを対象に実施例および比較例のジェル状毛髪化粧料を使用してもらい、毛髪上での塗布時ののび、垂れ落ち、まとまり、しなやかさについて官能試験を行い、下記に示す判定基準により評価を行った。
<判定基準>
塗布時ののび
◎:パネルの15名以上がのびが良いと判断
○:パネルの10名以上15名未満がのびが良いと判断
△:パネルの5名以上10名未満がのびが良いと判断
×:パネルの15名以上がのびが悪いと判断
垂れ落ち
◎:パネルの15名以上がたれ落ちがないと判断
○:パネルの10名以上15名未満がたれ落ちがないと判断
△:パネルの5名以上10名未満がたれ落ちがないと判断
×:パネルの15名以上がたれ落ちると判断
まとまり
◎:パネルの15名以上がまとまりが良いと判断
○:パネルの10名以上15名未満がまとまりが良いと判断
△:パネルの5名以上10名未満がまとまりが良いと判断
×:パネルの15名以上がまとまりが悪いと判断
しなやかさ
◎:パネルの15名以上がしなやかさがあると判断
○:パネルの10名以上15名未満がしなやかさがあると判断
△:パネルの5名以上10名未満がしなやかさがあると判断
×:パネルの15名以上がしなやかさがないと判断
【0026】
(2)保存安定性
実施例および比較例のジェル状毛髪化粧料を100mLの透明ガラス製容器に入れて密封し、往復恒温槽(5℃〜30℃のサイクル恒温槽)に1ヶ月保存し、視覚判定により下記の基準で評価を行った。
○:外観の変化が全くなく、分離などが観察されない
△:僅かに分離などが認められる
×:明らかに分離が認められる
【0027】
(3)噴霧状態
○:均一な霧状に噴霧される
△:粗い霧状に噴霧される
×:霧状にならない
【0028】
表1に示す実施例1〜13の毛髪化粧料を常法に従って作成し、前記の諸試験を実施して評価を行った。その結果ならびに粘度を併せて表1に示す。また、噴霧機構としては、トリガー(三谷バルブ社製:T−305(吐出量300mg/1push)、吐出口径φ0.4mm)を用いた。
【0029】
【表1】

【0030】
表1から明らかなように、本発明の毛髪化粧料は、比較例と比べて明らかに官能試験(塗布時ののび、垂れ落ち、まとまり、しなやかさ)、保存安定性、噴霧状態に関する試験のいずれの評価においても優れていた。
【0031】
以下、本発明毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の官能試験(塗布時ののび、垂れ落ち、まとまり、しなやかさ)、保存安定性、噴霧状態を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0032】
実施例14(トリートメントスプレー)
1.低結晶性セルロース(第一工業製薬社製:ナノウォープ)
(セルロース純分として1.6%)・・・(A) 40.0%
2.サフラワー油 2.0%
3.ジメチコン(信越化学社製:KF−96A(10CS))・・・(B)5.0%
4.スイカズラエキス・・・(C) 0.5%
5.フェノキシエタノール 0.5%
6.アロエエキス・・・(C) 0.3%
7.ゲンチアナエキス・・・(C) 0.3%
8.加水分解トウモロコシタンパク・・・(C) 0.3%
9.加水分解ダイズタンパク・・・(C) 0.3%
10.オクラエキス・・・(C) 0.3%
11.香料 0.3%
12.精製水 残 部
【0033】
(製法)1、4、6〜10、12をホモミキサーを用いて均一に混合分散し、次いで残りを混合したものを添加し、再度ホモミキサーにて混合分散を行い、粘度3500mPa・sのジェル状毛髪化粧料を得た。噴霧機構としては、トリガー(吉野工業所社製:M3−M(吐出量500mg/1push)、吐出口径φ0.4mm)を用いた。
【0034】
実施例15(トリートメントスプレー(ハイダメージ用))
1.低結晶性セルロース(第一工業製薬社製:ナノウォープ)
(セルロース純分として1.5%)・・・(A) 37.5%
2.ポリエーテル変性シリコン・・・(B)
(東レ・ダウコーニング社製:シリコンFZ−2250)
(有効成分として1.05%) 3.0%
3.アンズエキス・・・(C) 0.5%
4.カモミラエキス・・・(C) 0.1%
5.ツバキエキス・・・(C) 0.1%
6.レモンエキス・・・(C) 0.2%
7.キウイエキス・・・(C) 0.2%
8.オレンジエキス・・・(C) 0.2%
9.ムラサキセンブリエキス・・・(C) 0.2%
10.スギナエキス・・・(C) 0.2%
11.クマザサエキス・・・(C) 0.1%
12.セージエキス・・・(C) 0.1%
13.フェノキシエタノール 0.6%
14.精製水 残 部
【0035】
(製法)1、3〜14をホモミキサーを用いて均一に混合分散し、次いで残りを混合し
たものを添加し、再度ホモミキサーにて混合分散を行い、粘度22000mPa・sのジェル状毛髪化粧料を得た。噴霧機構としては、トリガー(吉野工業所社製:M3−M(吐出量500mg/1push)、吐出口径φ0.4mm)を用いた。
【0036】
実施例16(モイスチャーエッセンススプレー)
1.低結晶性セルロース(第一工業製薬社製:ナノウォープ)
(セルロース純分として1.0%)・・・(A) 25.0%
2.ポリエーテル変性シリコーン・・・(B)
(東レ・ダウコーニング社製:シリコンSS−2801) 0.5%
3.ジメチコノール/ジメチコン
(信越化学社製:X−21−5613)・・・(B) 1.0%
4.ポリエチレングリコール 10.0%
5.紅茶エキス・・・(C) 0.5%
6.ウーロン茶エキス・・・(C) 0.5%
7.パラベン 0.5%
8.クワエキス・・・(C) 0.3%
9.チャ葉エキス・・・(C) 0.3%
10.ホホバ葉エキス・・・(C) 0.3%
11.マロニエエキス・・・(C) 0.3%
12.シソエキス・・・(C) 0.2%
13.ローズマリーエキス・・・(C) 0.1%
14.加水分解コムギタンパク・・・(C) 0.3%
15.精製水 残 部
【0037】
(製法)1、4〜14をホモミキサーを用いて均一に混合分散し、次いで残りを混合したものを添加し、再度ホモミキサーにて混合分散を行い、粘度3500mPa・sのジェル状毛髪化粧料を得た。噴霧機構としては、トリガー(吉野工業所社製:M3−M(吐出量500mg/1push)、吐出口径φ0.4mm)を用いた。
【0038】
実施例17(スタイリングミストスプレー)
1.低結晶性セルロース(第一工業製薬社製:ナノウォープ)
(セルロース純分として1.5%)・・・(A) 37.5%
2.ポリエーテル変性シリコン ・・・(B)
(信越化学工業社製:シリコンKF−6011) 3.0%
3.ウーロン茶エキス・・・(C) 0.5%
4.加水分解コメタンパク・・・(C) 0.2%
5.レタスエキス・・・(C) 0.2%
6.加水分解エンドウタンパク・・・(C) 0.2%
7.ツバキエキス・・・(C) 0.2%
8.エタノール 25.0%
9.精製水 残 部
【0039】
(製法)1、3〜9をホモミキサーを用いて均一に混合分散し、次いで残りを混合したものを添加し、再度ホモミキサーにて混合分散を行い、粘度22000mPa・sのジェル状毛髪化粧料を得た。噴霧機構としては、トリガー(吉野工業所社製:M3−M(吐出量500mg/1push)、吐出口径φ0.4mm)を用いた。
【0040】
上記実施例14にて用いられた香料は下記のものである。
【0041】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0042】
以上記載の如く、本発明は、塗布時ののびが良く、垂れ落ちがなく、髪のまとまり感に優れ、毛髪に自然なしなやかさを付与することができ、かつ保存安定性に優れた、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)低結晶性のセルロース、(B)ジメチコン、ジメチコノール及び、ポリエーテル変性シリコーンからなる群より選ばれる1種または2種以上、(C)植物抽出成分から選ばれる1種または2種以上を含有し、20℃において粘度が3,000mPa・s以上のジェル状であり、使用時に霧状に噴霧して用いられるジェル状毛髪化粧料。
【請求項2】
(C)成分の少なくとも1つはペプチド結合を有する植物抽出成分である請求項1記載のジェル状毛髪化粧料。
【請求項3】
(C)成分が、水またはエタノール、もしくは水とエタノールを混合したものによって抽出された植物成分である請求項1または2、いずれかに記載のジェル状毛髪化粧料。
【請求項4】
霧状に噴霧する機構として、トリガー式ディスペンサーを用いることを特徴とする請求項1〜3、いずれかに記載のジェル状毛髪化粧料。
【請求項5】
トリガー式ディスペンサーが吐出量300〜600mg/1pushであり、吐出口径φ0.4mm以上であることを特徴とする請求項1〜4、いずれかに記載のジェル状毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−221183(P2009−221183A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154979(P2008−154979)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】