説明

毛髪化粧料

【課題】乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさに優れる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)、及び特定のアルキレングリコールエーテル(B)を含有する毛髪化粧料であって、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、アンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基の置換度が0.1〜4.0である毛髪化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを含有する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、ヘアカラーによる化学処理や、洗髪、ドライヤーの熱による物理処理によって、ダメージを受ける。毛髪はダメージを受けると、パサつく、まとまりが悪い、つやがなくなるといった様に美的観点においても負要素が発生することはよく知られている。そのため、処理前の滑らかな感触に戻すためのコンディショニング剤が広く利用されており、より高いレベルのコンディショニング性能が求められている。
すすぎ時のコンディショニング性能を上げるために、コンディショニング効果を発現するポリマーの分子量を大きくしたり、配合量を多くすると、乾燥後の髪表面にポリマーが不均一に吸着したり、過剰に吸着残留(ビルドアップ)し、乾燥後のコンディショニング効果が劣るという問題があった。
【0003】
このような問題を改善するものとして、特許文献1には、特定のアルキレングリコールエーテル、界面活性剤、及びカチオン性ポリマーを特定重量比率で含有する皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、特定のアルキレングリコールエーテル、界面活性剤、及び油性成分を含有する毛髪用コンディショニング組成物が開示されている。
また、特許文献3には、特定のアルキレングリコールエーテル、両性及び/又は陽イオン性界面活性剤、及びカチオン性及び/又は両性ポリマーを特定重量比率で含有する洗浄剤用組成物が開示されている。
一方、特許文献4には、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース等のカチオン変性セルロース誘導体の製造方法が開示されており、毛髪化粧料等の配合剤に使用できることが記載されている。また、特許文献5には、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースとアルコール溶媒を含むヘアースプレー用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−197420号公報
【特許文献2】特開2009−263331号公報
【特許文献3】特開2008−163237号公報
【特許文献4】特開昭53−90368号公報
【特許文献5】特開昭60−170601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1〜5が知られているが、従来の毛髪化粧料では、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさといったコンディショニング性能を十分満足できるレベルではないのが実情であった。
本発明は、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさに優れる毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、毛髪化粧料に特定のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースと、特定のアルキレングリコールエーテルを含有させることにより、前記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)、及び下記一般式(4)で表されるアルキレングリコールエーテル(B)を含有する毛髪化粧料であって、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基の置換度が0.1〜4.0である毛髪化粧料に関する。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表されるカチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を有する置換基を示し、nはアンヒドログルコースの平均重合度を示し、50〜5000である。)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Y1及びY2は、一方が水素原子であり、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pは一般式(2)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0又は正の整数である。p及びqのどちらもが0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよい。)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
7O−(PO)n/(EO)m−H (4)
(式中、R7は、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、n及びmは平均付加モル数を示し、nは1〜10であり、mは0〜3である。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさに優れる毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の毛髪化粧料は、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)、及び前記一般式(4)で表されるアルキレングリコールエーテル(以下、「AE」ともいう)(B)を含有する毛髪化粧料であって、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、前記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基の置換度が0.1〜4.0であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「C−HPC」ともいう)であることを特徴とする。
本発明の構成によれば、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさに優れるといった効果が発揮される。その理由は明らかではないが、髪の表面にC−HPC(A)、とAE(B)が共に吸着し、吸着したC−HPC(A)とAE(B)の相乗効果により、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさといったコンディショニング効果が向上すると考えられる。
以下、本発明の毛髪化粧料に含有される各成分について説明する。
【0015】
[カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(C−HPC)(A)]
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)として、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基の置換度が0.1〜4.0であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(C−HPC)を含有する。
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表されるカチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を有する置換基を示し、nはアンヒドログルコース単位の平均重合度を示し、50〜5000である。)
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、Y1及びY2は、一方が水素原子であり、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pは一般式(2)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0又は正の整数である。p及びqのどちらもが0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよい。)
【0020】
【化6】

(式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
【0021】
<一般式(1)で表されるC−HPC>
下記一般式(1)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に一般式(2)で表される置換基であり、R1、R2及びR3は、同一であっても、異なっていてもよい。また、n個のR1、n個のR2、n個のR3は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
【0022】
【化7】

【0023】
また、本発明の毛髪化粧料による乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、一般式(1)における平均重合度nは、50以上であり、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が更に好ましい。また、上記と同様の観点及び製造の容易さの観点から、平均重合度nは、5000以下であり、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。これらの観点を総合すると、平均重合度nは、50〜5000であり、100〜3000が好ましく、200〜2000がより好ましく、300〜1500が更に好ましい。
なお、本発明において平均重合度とは、銅−アンモニア法により測定される粘度平均重合度をいい、具体的には実施例に記載の方法により算出される。
【0024】
(一般式(2)で表される置換基)
一般式(1)におけるR1、R2、R3である下記一般式(2)で表される置換基は、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とを有する。
【0025】
【化8】

【0026】
一般式(2)において、Y1及びY2は、一方が水素原子であり、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。
pは一般式(2)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)O−)の数を示し、0又は正の整数である。製造の容易さの観点から、pは0又は1であることが好ましい。
qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、0又は正の整数である。製造の容易さの観点から、qは0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
C−HPC分子内に複数の一般式(2)で表される置換基が存在する場合、該置換基間においてp、qの値はそれぞれ異なっていてもよい。
【0027】
pとqの合計は、製造の容易さの観点から、1〜5の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1〜3の整数であることが更に好ましく、1又は2であることがより更に好ましい。
p及びqのどちらもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わないが、製造の容易さの観点から、一般式(2)に記載した順序であることが好ましい。
また、p及びqのどちらもが0でなく、かつp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよいが、製造の容易さの観点から、ブロック結合であることが好ましい。
n個のR1、n個のR2、n個のR3において、少なくとも1つは、一般式(2)のpが0ではなく、また、少なくとも1つは、一般式(2)のqが0ではない。
【0028】
(一般式(3)で表されるカチオン性基)
一般式(2)におけるY1、Y2である一般式(3)で表されるカチオン性基は、下記式で表される構造を有する。
【0029】
【化9】

【0030】
一般式(3)において、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。これらの中では、C−HPCの水溶性の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(3)において、X-は、アンモニウム基の対イオンであるアニオン性基を示す。X-はアニオン性基であれば特に限定されない。その具体例としてはアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、及びハロゲン化物イオン等が挙げられる。これらの中では、製造の容易さの観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、C−HPCの水溶性及び化学的安定性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0031】
(カチオン化エチレンオキシ基の置換度)
一般式(1)で表されるC−HPCにおいて、カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、本発明の毛髪化粧料による乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、2.9以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.8以下が更に好ましく、更に乾燥後の髪の指通り性、まとまり感を向上させる観点から、0.6以下が好ましく、0.4以下が更に好ましい。また、同様の観点から、その下限は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、0.2以上がより更に好ましく、更に乾燥後の髪の柔らかさを向上させる観点から、0.4以上が好ましい。これらの観点を総合すると、カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、0.01〜2.9が好ましく、0.05〜1.0がより好ましく、0.1〜0.8が更に好ましく、0.2〜0.6がより更に好ましい。
本発明において、カチオン化エチレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位(以下「AGU」ともいう)1モルあたりのC−HPCの分子中に存在するカチオン化エチレンオキシ基の平均モル数をいう。カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0032】
(プロピレンオキシ基の置換度)
プロピレンオキシ基の置換度は、本発明の毛髪化粧料による乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。また、同様の観点から、プロピレンオキシ基の置換度は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましい。これらの観点を総合すると、プロピレンオキシ基の置換度は、0.1〜4.0が好ましく、0.3〜3.0がより好ましく、0.9〜2.5が更に好ましい。
本発明においてプロピレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するAGU1モルあたりのC−HPC分子中に存在するプロピレンオキシ基の平均モル数をいう。プロピレンオキシ基の置換度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0033】
本発明の毛髪化粧料による乾燥後の髪の柔らかさを向上させる観点から、カチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.4〜1.2で、かつプロピレンオキシ基の置換度が0.1〜1.5であることが好ましく、カチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.6〜1.0で、かつプロピレンオキシ基の置換度が0.1〜0.9であることがより好ましい。
本発明の毛髪化粧料による乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさをバランスさせる観点から、カチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.1〜1.0で、かつプロピレンオキシ基の置換度が0.3〜2.9であることが好ましく、カチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.2〜0.8で、かつプロピレンオキシ基の置換度が0.5〜2.5であることがより好ましく、カチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.2〜0.6で、かつプロピレンオキシ基の置換度が0.9〜2.0であることが更に好ましい。
【0034】
[C−HPCの製造]
本発明に用いられるC−HPCは、例えば、以下の(1)〜(3)の製造方法により得ることができる。
(1)セルロースと大量の水及び大過剰のアルカリ金属水酸化物をスラリー状態で混合し、カチオン化剤及び酸化プロピレンと反応させる方法。
(2)塩化リチウムを含むジメチルアセトアミドを溶媒として用い、更にアミン類やアルコラート触媒を添加してセルロースを溶解させ、カチオン化剤及び酸化プロピレンと反応させる方法。
(3)前記(1)や(2)のように、過剰の水や溶媒を用いず、粉末状、ペレット状又はチップ状のセルロースとカチオン化剤、及び酸化プロピレンを塩基共存下に反応させる方法。
前記(1)〜(3)の製造方法において、カチオン化剤との反応、及び酸化プロピレンとの反応はどちらを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
これら製造方法の中では、製造の容易さの観点から、前記(3)の製造方法が好ましい。
前記(3)の方法によるC−HPCの製造方法の具体例としては、(3−1)セルロース含有原料のカチオン化、ヒドロキシプロピル化を行う方法、(3−2)セルロース含有原料のアルカリセルロース化を行った後、カチオン化、ヒドロキシプロピル化を行う方法等が挙げられる。
以下、前記(3)の製造方法について、具体的に説明する。
【0035】
[(3−1)セルロース含有原料のカチオン化、ヒドロキシプロピル化を行う方法]
<セルロース含有原料>
C−HPCを製造するためのセルロース含有原料としては、(i)結晶性を低下させたセルロース含有原料や、(ii)結晶性の高いセルロース含有原料が好適に用いられる。
【0036】
<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>
(結晶性を低下させたセルロース含有原料の製造)
結晶性を低下させたセルロース含有原料は、汎用原料として得られるシート状やロール状のセルロース純度の高いパルプから調製することができる。結晶性を低下させたセルロース含有原料の調製方法は特に限定されない。例えば、特開昭62−236801号公報、特開2003−64184号公報、特開2004−331918号公報等に記載の方法を挙げることができる。これらの中では、結晶性を低下させたセルロース含有原料の生産性を向上させる観点から、メカノケミカル処理して得られた低結晶性又は非結晶性粉末セルロース(以下、総称して「低結晶性粉末セルロース」ともいう)を使用することがより好ましい。
ここで、低結晶性粉末セルロースの「低結晶性」とは、セルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を意味する。具体的には下記計算式(1)により求められる結晶化度が、カチオン化剤及び酸化プロピレンとの反応性を高める観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である粉末セルロースが好ましく、該結晶化度がほぼ0%である完全非晶化セルロースを用いることがより更に好ましい。
結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (1)
(式中、I22.6は、X線回折におけるセルロースI型結晶の格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。)
【0037】
メカノケミカル処理による低結晶性粉末セルロースの製造方法としては、例えばシート状パルプを粗粉砕して得られるチップ状パルプを粉砕機で処理することによる方法が挙げられる。粉砕機による処理の前にチップ状パルプを押出機で処理しておくこともできる。
この方法に用いられる押出機としては、単軸又は二軸の押出機、好ましくは二軸押出機が挙げられるが、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えるものが好ましい。
押出機を用いる処理方法としては、特に制限はないが、チップ状パルプを押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。
粉砕機としては高圧圧縮ロールミル、ロール回転ミル等のロールミル;リングローラーミル、ローラーレースミル、ボールレースミル等の竪型ローラーミル;転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル、遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル;塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル、アニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル;高速遠心ローラーミル、オングミル等の圧密せん断ミル;乳鉢、又は石臼等が挙げられる。これらの中では、セルロースの結晶化度を効率的に低下させる観点、及び生産性の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル及び振動チューブミル等の振動ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミルが更に好ましい。
【0038】
処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
ボール、ロッド等の媒体の充填率は、粉砕機の機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、原料パルプと媒体との接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、粉砕機の攪拌部の容積に対する媒体の見かけの体積をいう。
【0039】
ボールミルの場合、媒体として用いるボールの材質には特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。ボールの外径は、セルロースの結晶化度を効率的に低下させる観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは1〜50mmである。
また、セルロースの結晶化度を効率的に低下させる観点から、粉砕機の処理時間は、好ましくは5分〜72時間、より好ましくは10分〜30時間である。また、粉砕機処理の際には、発生する熱による変性や劣化を最小限に抑える観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは5〜200℃の範囲で処理を行うことが望ましい。
【0040】
粉砕機の媒体として用いるロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
ロッドの外径としては、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、更に好ましくは5〜50mmの範囲である。ロッドの長さとしては、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られ効率的にセルロースを低結晶化させることができる。
ロッドを充填した振動ミルの処理時間、処理温度に特に制限はないが、前記のボールミルと同様の処理時間、処理温度で行うことができる。
【0041】
上記の方法によれば、分子量の制御も可能であり、一般には入手困難な、重合度が高く、かつ低結晶性の粉末セルロースを容易に調製することが可能である。低結晶性粉末セルロースの平均重合度は、好ましくは50〜5000であり、より好ましくは100〜30000、より好ましくは200〜2000、更に好ましくは300〜1500である。なお、平均重合度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
また、低結晶性粉末セルロースの平均粒径は、粉体として流動性の良い状態が保てればよく、特に限定されないが、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。また、粉末セルロースの取り扱い性向上の観点から、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。凝集等による微量な粗大粒子の混入を避けるため、反応には必要に応じて300〜1000μm程度の目開きの篩を用いた篩下品を用いるのが好ましい。なお、平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0042】
(結晶性を低下させたセルロース含有原料のカチオン化)
上記のようにして得られた結晶性を低下させたセルロース含有原料に、塩基存在下、グリシジルトリアルキルアンモニウム塩を反応させてカチオン化し、カチオン化セルロースを製造する。
カチオン化剤として用いるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド、グリシジルトリエチルアンモニウムブロミド等が挙げられるが、入手性の観点から、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
グリシジルトリアルキルアンモニウム塩の添加量は、毛髪化粧料による毛髪洗浄時の泡量、すすぎ時の髪の指通り性や柔らかさ、乾燥時の髪の指通り性、まとまり感、柔らかさ、ハリコシ感を向上させる観点から、セルロースのAGU1モルに対して、0.01〜8.5倍モルが好ましく、0.05〜5.0倍モルがより好ましく、0.1〜4.0倍モルが更に好ましく、0.2〜3.0倍モルがより更に好ましい。
カチオン化時に存在させる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられるが、入手性、汎用性、経済性の観点から水酸化ナトリウム、水酸化バリウムがより好ましい。塩基の添加量は、セルロースの種類等により異なるが、セルロースとカチオン化剤を効率的に反応させる観点から、セルロースのAGU1モルに対して、通常0.05〜2.0倍モルが好ましく、0.06〜1.0倍モルがより好ましく、0.07〜0.7倍モルが更に好ましく、0.1〜0.3倍モルがより更に好ましい。
反応系内の水分含有量は、原料として用いたセルロースに対し100質量%以下であることが好ましい。セルロースに対する水分含有量がこの範囲内であれば、セルロースが過度に凝集することなく、流動性のある粉末状態で反応させることができる。この観点から、80質量%以下がより好ましく、5〜50質量%が更に好ましい。
反応温度は、通常10〜85℃であり、好ましくは15〜80℃である。
【0043】
(カチオン化セルロースのヒドロキシプロピル化)
上記のようにして得られたカチオン化セルロースを酸化プロピレンと反応させてヒドロキシプロピル化することによりC−HPCを製造することができる。
ここで、酸化プロピレンの使用量は、毛髪化粧料による毛髪の洗浄時の泡量、すすぎ時の髪の指通り性や柔らかさ、乾燥時の髪の指通り性、まとまり感、柔らかさ、ハリコシ感を向上させる観点から、セルロース分子中のAGU1モル当たり0.1〜8.5倍モルが好ましく、0.5〜6.0倍モルがより好ましく、1.0〜5.0倍モルが更に好ましい。
【0044】
ヒドロキシプロピル化の触媒としては、塩基又は酸を用いることができる。塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類が挙げられる。酸触媒としては、ランタニドトリフラート等のルイス酸触媒等が挙げられる。
これらの中では、セルロース含有原料中のセルロースの重合度の低下を抑制する観点から、塩基触媒が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
触媒の使用量は、特に制限はないが、セルロース分子中のAGU1モル当たり、通常0.05〜1.5倍モルが好ましく、0.1〜1.0倍モルがより好ましく、0.2〜1.0倍モルが更に好ましく、0.4〜0.8倍モルがより更に好ましい。
カチオン化工程を先に行う場合は、カチオン化工程で用いた塩基を、そのままヒドロキシプロピル化における触媒として用いることができ、ヒドロキシプロピル化工程において新たに触媒を添加しなくてもよい。
【0045】
酸化プロピレンの添加方法に特に制限はなく、例えば(a)カチオン化セルロースに触媒を添加した後に酸化プロピレンを滴下する方法、(b)カチオン化セルロースに酸化プロピレンを一括で添加し、その後に触媒を徐々に加えて反応させる方法が挙げられるが、(a)法がより好ましい。
反応系内の水分含有量は、原料として用いたセルロースに対し100質量%以下であることが好ましい。セルロースに対する水分含有量がこの範囲内であれば、カチオン化セルロースが過度に凝集することなく、流動性のある粉末状態で反応させることができる。この観点から、80質量%以下が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
本発明においては、カチオン化セルロース、触媒及び酸化プロピレンを流動性のある粉末状態で反応させることが好ましいが、カチオン化セルロース粉末と触媒とを予めミキサー等の混合機や振とう機、又は混合ミル等で必要に応じて均一に混合分散させた後に、酸化プロピレンを添加して反応させることも可能である。
【0046】
ヒドロキシプロピル化の反応温度は、0〜150℃が好ましいが、酸化プロピレン同士が重合するのを避け、かつ急激に反応が起こるのを避ける観点から、10〜100℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。反応は常圧で行うことができる。
また、反応中のセルロース鎖の解裂による分子量の低下を避ける観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
反応終了後は、未反応酸化プロピレンを除去した後、必要に応じて、中和処理、精製処理等を行った後、乾燥することにより、本発明で用いられるC−HPCを得ることができる。
中和処理は、常法により行なうことができる。例えば触媒として塩基触媒を用いた場合は、酢酸等の液体酸、酸と不活性有機溶媒との混合溶液又は酸水溶液を添加することにより行うことができる。酸の種類は特に限定されず、装置の腐食等を考慮して適宜選択すればよい。精製処理は、含水イソプロパノール、含水アセトン溶媒等の溶剤及び/又は水による洗浄又は透析膜により行うことができる。
上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>におけるカチオン化、ヒドロキシプロピル化の反応の順序は、セルロース含有原料のヒドロキシプロピル化を行った後にカチオン化を行ってもよいし、同時に行ってもよい。
カチオン化エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基の置換度の制御の観点から、セルロース含有原料にカチオン化を行った後、ヒドロキシプロピル化を行うことが好ましい。
また、カチオン化エチレンオキシ基の置換度を高める観点から、カチオン化反応、ヒドロキシプロピル化反応を行った後、更にカチオン化反応を行ってもよい。
上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>におけるカチオン化反応工程及びヒドロキシプロピル化反応工程においては、主鎖となるセルロース骨格の解裂は実質上生じないため、得られるC−HPCの平均重合度は、低結晶化処理後の粉末セルロースの平均重合度で近似することもできる。
【0047】
<(3−1−ii)結晶性の高いセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造:a法>
(セルロース含有原料のカチオン化)
セルロース含有原料として前述の結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用せずに、結晶性の高いセルロース含有原料を使用する場合は、セルロース含有原料の反応性を改善するため、カチオン化の際に低結晶化を行うことが好ましい。
具体的には、セルロース含有原料にカチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらセルロース含有原料とカチオン化剤の反応を行うこと、又はセルロース含有原料に塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後カチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらセルロース含有原料とカチオン化剤の反応を行うことで、カチオン化セルロースを得ることができる。
また、高いカチオン化エチレンオキシ基の置換度を持つC−HPCを得る観点から、セルロース含有原料にカチオン化剤を添加して粉砕機処理を行い、その後、塩基を添加して粉砕機処理を行い、更にカチオン化剤を添加して粉砕機処理を行うことが好ましい。塩基を添加して後のカチオン化剤の添加は、多段階で行ってもよい。
このカチオン化を経て得られるC−HPCの水への溶解性の観点から、セルロースのカチオン化においては、初めにセルロース含有原料にカチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらセルロース含有原料とカチオン化剤の反応を行うことが好ましい。
【0048】
結晶性の高いセルロース含有原料の種類としては、各種木材チップ;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙等の紙類;稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が挙げられ、セルロース純度の高さの観点、C−HPCの生産性の観点から、ウッドパルプが好ましい。
セルロース含有原料、例えば、パルプの形状は、製造装置内への導入に支障がでない限り特に限定されないが、操作上の観点からシート状パルプやシート状パルプを裁断又は粗粉砕して得られるペレット状又はチップ状パルプや、微粉砕して得られる粉末状セルロースを用いることが好ましい。
セルロース含有原料、例えば、パルプの結晶化度に限定はない。しかしながら、一般に、セルロースの結晶化度低下処理には、セルロース鎖の切断に伴う分子量の低下が伴うため、結晶化度が低いセルロース含有原料は分子量が低い。したがって、高分子量のC−HPCを得る観点から、結晶性が高いセルロースを用いることが好ましい。また、逆に前記計算式(1)による結晶化度が95%を超える極めて結晶化度の高いセルロースも入手が困難である。よって、重合度及び入手の容易さの観点から、セルロース含有原料の前記計算式(1)で示される結晶化度は10〜95%が好ましく、30〜90%がより好ましく、60〜80%が更に好ましい。
セルロース含有原料中のセルロースの平均重合度にも限定はないが、高分子量のC−HPCを得る観点から、より重合度の大きいセルロース含有原料中のセルロースを用いることが好ましい。この観点からセルロース含有原料中のセルロースの平均重合度は、50〜5000が好ましく、100〜2000がより好ましい。なお、平均重合度は、後述の実施例に記載の方法により算出される。
【0049】
カチオン化剤の種類並びに量、塩基の種類、粉砕機の種類、低結晶化の方法並びに条件等の好ましい態様は、低結晶化のための粉砕機の処理時間及び塩基の量を除き、上記<3−1−(i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>の項で記載のものと同様である。
低結晶化のための粉砕機の処理時間は、セルロースの結晶化度を効率的に低減し、かつ重合度の低下を抑制する観点から、1分〜5時間が好ましく、2分〜3時間がより好ましく、5分〜2時間が更に好ましい。
塩基の量は、セルロースとカチオン化剤を効率的に反応させる観点から、セルロース含有原料のAGU1モルあたり0.05〜1.5倍モルが好ましく、0.1〜1.0倍モルがより好ましく、0.2〜0.8倍モルが更に好ましい。
カチオン化剤及び塩基添加後の低結晶化の際にカチオン化は進行するが、反応の進行が不十分である場合、好ましくは10〜100℃、より好ましくは30〜80℃で熟成を行なうことにより、反応を進行させることができる。
カチオン化反応の進行が十分である場合であっても、更にグリシジルトリアルキルアンモニウム塩を加えて、上記熟成を行なうことにより、カチオン化エチレンオキシ基の置換度が高いカチオン化セルロースを得ることができる。
熟成時の水分量、及びその好ましい態様は、原料として低結晶性粉末セルロースの替わりに、結晶化度の高いセルロース含有原料、例えばパルプを用いている点を除き、前述の低結晶性粉末セルロースのカチオン化の場合と同様である。
また、反応中のセルロース鎖の解裂による分子量の低下を避ける観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0050】
(カチオン化セルロースのヒドロキシプロピル化)
<C−HPCの製造:a法>におけるカチオン化セルロースのヒドロキシプロピル化で使用する酸化プロピレン量、触媒、反応条件、反応終了後の処理及びそれらの好ましい態様は、上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>におけるヒドロキシプロピル化に記載のものと同様である。
上記<C−HPCの製造:a法>におけるカチオン化、ヒドロキシプロピル化の反応の順序は、セルロース含有原料のヒドロキシプロピル化を行った後にカチオン化を行ってもよいし、同時に行ってもよいが、カチオン化エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基の置換度の制御の観点から、セルロース含有原料にカチオン化を行った後、ヒドロキシプロピル化を行うことが好ましい。
また、カチオン化エチレンオキシ基の置換度を高める観点から、カチオン化反応、ヒドロキシプロピル化反応を行った後、更にカチオン化反応を行ってもよい。
【0051】
[(3−2)セルロース含有原料のアルカリセルロース化を行った後、カチオン化、ヒドロキシプロピル化を行う方法]
<セルロース含有原料>
C−HPCを製造するためのセルロース含有原料は、[(3−1)セルロース含有原料のカチオン化、ヒドロキシプロピル化を行う方法]と同様に、(i)結晶性を低下させたセルロース含有原料や、(ii)結晶性の高いセルロース含有原料が好適に用いられる。
【0052】
<(3−2−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造:b法>
(結晶性を低下させたセルロース含有原料の製造)
結晶性を低下させたセルロース含有原料については、<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>に記載したものと同様である。
結晶性を低下させたセルロース含有原料の生産性を向上させる観点から、結晶性の高いセルロース含有原料、例えば、ウッドパルプを粉砕処理して得られるものが好ましい。
また、結晶性を低下させたセルロース含有原料の結晶化度は、後述するアルカリセルロースとカチオン化剤及び酸化プロピレンとの反応性を高める観点、及びセルロース含有原料の重合度を高める観点から、10〜50%が好ましく、10〜40%がより好ましく、10〜30%が更に好ましい。
【0053】
(結晶性を低下させたセルロース含有原料のアルカリセルロース化)
結晶性を低下させたセルロース含有原料、塩基化合物及び水を混合することにより、アルカリセルロースを得ることができる。
塩基化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類等が挙げられる。これらの中ではアルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの塩基化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基化合物の量は、アルカリセルロースの収率を向上させる観点、及び後述するアルカリセルロースとカチオン化剤及び酸化プロピレンとの生産性を高める観点から、セルロース含有原料中のセルロースを構成するAGU1モルあたり、0.6〜1.5モルが好ましく、0.7〜1.3モルがより好ましく、0.8〜1.2モルが更に好ましい。
水の添加量は、アルカリセルロースの収率を向上させる観点、及び後述するアルカリセルロースとカチオン化剤及び酸化プロピレンとの生産性を高める観点から、セルロース含有原料中のセルロースに対して、20〜100質量%が好ましく、25〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましい。
【0054】
結晶性を低下させたセルロース含有原料、塩基化合物、及び水の混合方法は、特に限定はないが、生産性を向上させる観点から、結晶性を低下させたセルロース含有原料に塩基化合物及び水を添加することが好ましい。添加する方法としては、一括添加でも、分割添加でもよい。また、予め塩基化合物と水を混合したものを噴霧して添加しても良い。
混合を行う装置としては、塩基化合物をセルロース含有原料中に分散可能な装置であれば特に限定はない。例えば、リボン型混合機、パドル型混合機、円錐遊星スクリュー型混合機、ニーダー等の混合機が挙げられる。これらの中では、水平軸型パドル型混合機がより好ましく、具体的には、チョッパー翼を有する水平軸型のパドル型混合機であるレディゲミキサーが好ましい。
結晶性を低下させたセルロース含有原料、塩基化合物、及び水を混合した後、アルカリセルロースの生成速度を向上させる観点から、熟成することが好ましい。熟成温度は、35〜90℃が好ましく、38〜80℃がより好ましく、40〜70℃が更に好ましい。また、熟成時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましく、1〜6時間が更に好ましい。
セルロース含有原料からアルカリセルロースへの変化は、X線結晶回折測定により確認することができる。
【0055】
(アルカリセルロースのヒドロキシプロピル化)
アルカリセルロースのヒドロキシプロピル化における酸化プロピレン量、触媒種、触媒量、反応条件の好ましい態様は、上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>における(ヒドロキシプロピル化)に記載のものと同様である。
(ヒドロキシプロピルセルロースのカチオン化)
ヒドロキシプロピルセルロースのカチオン化におけるカチオン化剤種、カチオン化剤量、触媒種、触媒量及び反応条件の好ましい態様は、上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>における(カチオン化)に記載のものと同様である。
【0056】
<(3−2−ii)結晶性の高いセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造:c法>
(セルロース含有原料のアルカリセルロース化)
セルロース含有原料を塩基化合物と共に、実質的に水が存在しない条件下で粉砕機処理して、セルロース・塩基混合粉砕物を得た後、水を混合することにより、アルカリセルロースを得ることができる。
セルロース含有原料の種類、形状、結晶化度、平均重合度の好ましい態様は、上記a法における(結晶性の高いセルロース含有原料のカチオン化)に記載のものと同様である。
また、塩基化合物の種類、塩基化合物の量の好ましい態様は、上記b法における(アルカリセルロース化)に記載のものと同様である。
塩基化合物は、粉砕時の水分量を低減する観点から、水分を含有しない状態で混合することが好ましい。
粉砕機処理は、実質的に水が存在しない条件下で行うことが好ましい。すなわち、粉砕効率や水分除去の簡便性等の生産性を向上させる観点から、セルロース含有原料に対する水分量が10質量%以下が好ましく、0.01〜8質量%がより好ましく、0.1〜6質量%が更に好ましく、1〜5質量%がより更に好ましい。
【0057】
粉砕機の種類、及び粉砕条件の好ましい態様は、上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>における(結晶性を低下させたセルロース含有原料の製造)に記載のものと同様である。
アルカリセルロースの生成速度を向上させる観点、アルカリセルロースの収率を向上させる観点、及びセルロースの平均重合度の低下を抑制する観点から、セルロース・塩基混合粉砕物中のセルロースの平均粒径が10〜150μmになるまで粉砕することが好ましく、20〜130μmがより好ましく、40〜100μmが更に好ましく、50〜80μmがより更に好ましい。セルロース・塩基混合粉砕物中のセルロースの平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
アルカリセルロースの収率を向上させる観点、及び後述するアルカリセルロースとカチオン化剤及び酸化プロピレンとの生産性を高める観点から、セルロース・塩基混合粉砕物の水分量が、セルロース含有原料中のセルロースに対して30〜100質量%になるように、水をセルロース・塩基混合粉砕物に混合することが好ましく、35〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%が更に好ましい。
【0058】
(アルカリセルロースのヒドロキシプロピル化)
アルカリセルロースのヒドロキシプロピル化における酸化プロピレン量、触媒種、触媒量、反応条件の好ましい態様は、上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>における(ヒドロキシプロピル化)に記載のものと同様である。
(ヒドロキシプロピルセルロースのカチオン化)
ヒドロキシプロピルセルロースのカチオン化におけるカチオン化剤種、カチオン化剤量、触媒種、触媒量及び反応条件の好ましい態様は、上記<(3−1−i)結晶性を低下させたセルロース含有原料を使用するC−HPCの製造>における(カチオン化)に記載のものと同様である。
【0059】
上記b法、c法におけるヒドロキシプロピル化、カチオン化の反応順序は、逆でもよいが、カチオン化エチレンオキシ基の置換度を高める観点から、ヒドロキシプロピル化反応、カチオン化反応の順に行うことが好ましい。
【0060】
本発明で用いるC−HPCは、本発明の毛髪化粧料による毛髪の洗浄時の泡量、すすぎ時の髪の指通り性や柔らかさ、乾燥時の髪の指通り性、まとまり感、柔らかさ、ハリコシ感を向上させる観点から、(3−1)の方法において<(ii)結晶性の高いパルプを使用するC−HPCの製造>に記載の方法(下記a法)、及び(3−2)に記載の方法(下記b法及びc法)で得られるC−HPCが好ましい。
具体的には、C−HPCは、下記a法:工程(a−1)〜(a−3)によって得られるもの、下記b法:工程(b−1)〜(b−4)によって得られるもの、又は下記c法:工程(c−1)〜(c−4)によって得られるものが好ましい。
【0061】
a法:
工程(a−1):セルロース含有原料にカチオン化剤を添加して粉砕機処理を行う工程
工程(a−2):工程(a−1)で得られた粉砕機処理物に塩基を添加して粉砕機処理を行いながらセルロース含有原料とカチオン化剤とを反応させてカチオン化セルロースを得る工程
工程(a−3):工程(a−2)で得られたカチオン化セルロースと酸化プロピレンとを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)を得る工程
【0062】
b法:
工程(b−1):セルロース含有原料を粉砕機処理して、結晶化度が10〜50%であるセルロースを含有するセルロース含有原料を得る工程
工程(b−2):工程(b−1)で得られたセルロース含有原料に対して、該セルロースを構成するAGU1モルあたり0.6〜1.5倍モルの塩基化合物、及び該セルロース含有原料中のセルロースに対して20〜100質量%の水を添加して、アルカリセルロースを得る工程
工程(b−3):工程(b−2)で得られたアルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させてヒドロキシプロピルセルロースを得る工程
工程(b−4):工程(b−3)で得られたヒドロキシプロピルセルロースとカチオン化剤とを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)を得る工程
【0063】
c法:
工程(c−1):セルロース含有原料及びセルロース含有原料中のセルロースを構成するAGU1モルあたり0.6〜1.5倍モルの塩基化合物との混合物を、該セルロース含有原料中のセルロースに対する水分量が10質量%以下の条件下で粉砕機処理し、セルロースの平均粒径が10〜150μmであるセルロース・塩基混合粉砕物を得る工程
工程(c−2):工程(c−1)で得られたセルロース・塩基混合粉砕物に水を添加し、該セルロース・塩基混合粉砕物中の水分量を、工程(c−1)で用いたセルロース含有原料中のセルロースに対して30〜100質量%に調整して、アルカリセルロースを得る工程
工程(c−3):工程(c−2)で得られたアルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させてヒドロキシプロピルセルロースを得る工程
工程(c−4):工程(c−3)で得られたヒドロキシプロピルセルロースとカチオン化剤とを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)を得る工程
【0064】
[一般式(1)で表されるアルキレングリコールエーテル(AE)(B)]
本発明の毛髪化粧料は、(B)成分として、下記一般式(4)で表されるアルキレングリコールエーテル(AE)を含有する。
【0065】
7O−(PO)n/(EO)m−H (4)
(式中、R7は、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、n及びmは平均付加モル数を示し、nは1〜10であり、mは0〜3である。)
一般式(4)において、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、R7である直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、8〜16が好ましく、8〜12がより好ましい。また、R7の炭素数は、乾燥後の髪の指通り性、すべり感を向上させる観点から、8が好ましく、乾燥後の髪のまとまり感、柔らかさを向上させる観点から、12が好ましい。
また、R7は、乾燥後の髪の指通り性を向上させる観点から、直鎖のアルキル基が好ましい。
【0066】
一般式(4)において、nはPO(プロピレンオキシ基)の平均付加モル数を示す。プロピレンオキシ基としては、プロパン−1,2−ジイルオキシ基、トリメチレンオキシ基が挙げられるが、プロパン−1,2−ジイルオキシ基が好ましい。乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、nは2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2.5〜4が更に好ましい。
また、mはEO(エチレンオキシ基:−CH2CH2O−)の平均付加モル数を示す。乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、mは0〜1.5が好ましく、0〜1がより好ましく、実質的に0が更に好ましい。
n+mは、1〜13であり、2〜8.5が好ましく、2〜6がより好ましく、2.5〜4が更に好ましい。
【0067】
mが0でない場合、POとEOはブロック付加でもランダム付加でもよいが、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、ブロック付加しているのが好ましい。
ブロック付加の形態としては、R7O−(PO)n−(EO)m−H、R7O−(EO)m−(PO)n−H、R7O−(PO)k1−(EO)m−(PO)k2−H(ただし、k1+k2=nである)等が挙げられるが、〔(PO)n/(EO)m〕は、R7Oに対して(PO)n、(EO)mの順にブロック状に付加しているR7O−(PO)n−(EO)m−Hの形態がより好ましい。
平均付加モル数n及びmは、平均であるから、個々の分子の付加モル数には分布がある。それらの付加モル数のうちPOの付加モル数の分布については、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、AE(B)に含有されるPOの付加モル数nが1〜5の化合物に占めるPOの付加モル数が2及び3の化合物の合計割合が、50〜80モル%が好ましく、55〜70モル%がより好ましい。なお、POとEOが付加している場合は、POのみが付加している化合物において、上記の範囲であることが好ましい。
平均付加モル数n及びmの値は、1H−NMRにより求めることができ、POの付加モル数の分布は、ガスクロマトグラフィーにより求めることができる。
【0068】
本発明で用いられるAE(B)は、アルカリ金属水酸化物等の塩基性触媒を用いて、温度80〜200℃、好ましくは110〜160℃、圧力0.1〜0.8MPa、好ましくは0.1〜0.6MPaの条件下でR7OH(式中、R7は前記と同じである)で表される原料アルコールに、プロピレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドを反応させて製造することができる。
【0069】
[毛髪化粧料の組成]
本発明の毛髪化粧料中の、C−HPC及びAEの含有量は、以下のとおりであることが好ましい。
(C−HPCの含有量)
C−HPCの含有量は、乾燥後の髪の指通り性、すべり性、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、毛髪化粧料中、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.3質量%以上がより更に好ましく、更に乾燥後の髪の指通り性、すべり性を向上させる観点から、0.5質量%以上が好ましい。また、乾燥後の髪のすべり性、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、3.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましく、1.2質量%以下が更に好ましく、1.0質量%以下がより更に好ましい。
これらの観点を総合するとC−HPCの含有量は、毛髪化粧料中、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.03〜2.0質量%がより好ましく、0.1〜1.5質量%が更に好ましく、0.3〜1.2質量%が更に好ましく、0.5〜1.0質量%がより更に好ましい。
【0070】
(AEの含有量)
AEの含有量は、乾燥後の髪の指通り性、すべり性、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、毛髪化粧料中、0.05質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.8質量%以上がより更に好ましい。また、同様の観点から、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下より好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、2.0質量%以下がより更に好ましい。
これらの観点を総合するとAEの含有量は、0.05〜5.0質量%が好ましく、0.2〜4.0質量%がより好ましく、0.5〜3.0質量%が更に好ましく、0.8〜2.5質量%がより更に好ましい。
【0071】
(C−HPC及びAEの合計含有量)
C−HPC及びAEの合計含有量は、乾燥後の髪の指通り性、すべり性、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、毛髪化粧料中、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましく、1.0質量%以上が更に好ましく1.2質量%以上がより更に好ましい。
また、前記合計含有量は、毛髪化粧料による洗浄時の泡量、保存安定性、経済性の観点から、毛髪化粧料中、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、2.6質量%以下がより更に好ましい。
これらの観点を総合すると前記合計含有量は、0.2〜5.0質量%が好ましく、0.5〜4.0質量%がより好ましく、0.8〜3.5質量%が更に好ましく、1.0〜3.0質量%が更に好ましく、1.2〜2.6質量%がより更に好ましい。
【0072】
((A)、(B)成分の質量比)
C−HPC(A)とAE(B)の質量比〔(A)/(B)〕は、乾燥後の髪の指通り性、すべり性、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、1/99〜90/10が好ましく、5/95〜70/30がより好ましく、10/90〜50/50が更に好ましく、15/85〜40/60がより更に好ましい。
【0073】
[界面活性剤(C)]
本発明の毛髪化粧料は界面活性剤(C)を含有することが好ましい。界面活性剤(C)としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられる界面活性剤であればいずれも用いることができる。
具体的には陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0074】
(陰イオン性界面活性剤)
陰イオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート等のスルホン酸塩;炭素数8〜16の高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等のカルボン酸塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩;アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等のアミノ酸塩等が挙げられる。
これらの中では、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス−2硫酸ナトリウム)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ラウリン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(ラウレス−4.5酢酸ナトリウム)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ラウレス−2スルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸アルキルエステル塩、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(ココイルグルタミン酸ナトリウム)等のアシルグルタミン酸塩が好ましい。
【0075】
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
これらの中では、デシルグルコシド等の炭素数8〜18、好ましくは炭素数8〜12のアルキルグルコシド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N−メチルモノエタノールアミド等の脂肪酸モノアルカノールアミドが好ましい。
【0076】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤、及びアルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
これらの中では、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルカルボメトキシメチルヒドロキシイミダゾリウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。
【0077】
(陽イオン性界面活性剤)
陽イオン性界面活性剤としては、塩化モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム及び長鎖3級アミン塩が挙げられる。具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の塩化モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジイソステアリルジメチルアンモニウム等の塩化ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム;ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オクタデシロキシプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン等のモノ長鎖ジメチルアミン、モノ長鎖ジエチルアミンのグルタミン酸、塩酸、クエン酸、又は乳酸塩等が挙げられる。これらの中で、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム、ステアリルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミンが好ましい。
【0078】
本発明で用いられる界面活性剤(C)の含有量は、毛髪化粧料による乾燥後の髪の指通り性、すべり性、まとまり感、柔らかさを向上させる観点から、毛髪化粧料中、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、25質量%以下がより更に好ましく、その下限は0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以上がより更に好ましい。
また、C−HPC(A)に対する界面活性剤(C)の質量比[界面活性剤(C)/C−HPC(A)]は、上記と同様の観点から、0.1〜2000が好ましく、0.5〜1000がより好ましい。
【0079】
(シャンプーへの適用)
本発明の毛髪化粧料をシャンプー等に用いる場合、界面活性剤(C)の含有量は、上記と同様の観点から、3〜20質量%が好ましく、8〜18質量%がより好ましい。
本発明の毛髪化粧料をシャンプー等に用いる場合、C−HPC(A)に対する界面活性剤(C)の質量比[界面活性剤(C)/C−HPC(A)]は、上記と同様の観点から、5〜1000が好ましく、10〜500がより好ましく、15〜150が更に好ましい。
(コンディショナー、ヘアリンス、トリートメントへの適用)
本発明の毛髪化粧料をコンディショナー、ヘアリンス、トリートメント等に用いる場合、界面活性剤(C)の含有量は、上記と同様の観点から、0.8〜5質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。
本発明の毛髪化粧料をコンディショナー、ヘアリンス、トリートメント等に用いる場合、C−HPC(A)に対する界面活性剤(C)の質量比[界面活性剤(C)/C−HPC(A)]は、上記と同様の観点から、0.5〜150が好ましく、1〜50がより好ましく、1.5〜15が更に好ましい。
【0080】
[その他の成分]
本発明の毛髪化粧料においては、前記C−HPC(A)、及びAE(B)、及び界面活性剤(C)以外に、通常の化粧品原料として用いられる他の成分を含有することができる。このような任意成分としては、油剤、感触向上剤、増粘剤、界面活性剤、香料、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、着色剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、パール光沢剤、湿潤剤等が挙げられる。
油剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー、雑貨等で用いられる油性成分を特に制限なく用いることができる。油剤の具体例としては、エステル油、ジアルキルカーボネート油、ジアルキルエーテル化合物等のエーテル油、シリコーン油、炭化水素油、高級アルコール、及びカルボン酸油等が挙げられる。
【実施例】
【0081】
以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。また、各種物性の測定法は以下のとおりである。
【0082】
(1)パルプ及び粉末セルロースの水分含量の測定
パルプ、粉末セルロースの水分量は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、「FD−610」)を用いて測定した。測定温度120℃で、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。
(2)パルプ及び粉末セルロースの結晶化度の算出
株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて、以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から、前記計算式(1)に基づいて算出した。
X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kV、管電流:120mA
測定範囲:2θ=5〜45°
測定サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮して作成
X線のスキャンスピード:10°/min
得られた結晶化度が負の値をとった場合は、全て結晶化度0%とした。
(3)粉末セルロース、セルロース・塩基混合粉砕物中のセルロースの平均粒径の測定
粉末セルロースの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定試料として粉末セルロース0.1gを5mLの水に加え、超音波で1分間処理した試料分散液を用いた。体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
セルロース・塩基混合粉砕物中のセルロースの平均粒径は、同様の測定装置を用い、セルロース・塩基混合粉砕物にエタノールを加え、透過率が70-95%の範囲に入るように濃度に調節し、超音波で1分間処理し、NaOHを溶解させた試料分散液を用いた。
【0083】
(4)C−HPCのカチオン化エチレンオキシ基、及びプロピレンオキシ基の置換度の算出
製造例で得られたC−HPCを透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液を凍結乾燥して精製C−HPCを得た。得られた精製C−HPCの塩素含有量(%)を元素分析によって測定し、C−HPC中に含まれるカチオン性基の数と対イオンである塩化物イオンの数を同数であると近似して、下記計算式(2)から、C−HPC単位質量中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)O−)の量(a(モル/g))を求めた。
a(モル/g)=元素分析から求められる塩素含有量(%)/(35.5×100) (2)
分析対象がヒドロキシプロピルセルロースではなく精製C−HPCであることを除き、日本薬局方記載の「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」に従って、ヒドロキシプロポキシ基含有量(%)を測定した。下記計算式(3)から、ヒドロキシプロポキシ基含有量〔式量(OC36OH=75.09〕(b(モル/g)を求めた。
b(モル/g)=ガスクロ分析から求められるヒドロキシプロポキシ基含有量(%)/(75.09×100) (3)
得られたa及びbと下記計算式(4)、(5)からカチオン化エチレンオキシ基の置換度(k)及びプロピレンオキシ基の置換度(m)を算出した。
a=k/(162+k×K+m×58) (4)
b=m/(162+k×K+m×58) (5)
〔式中、k及びKは、それぞれ、カチオン化エチレンオキシ基の置換度、及び式量を示し、mはプロピレンオキシ基の置換度を示す。〕
【0084】
(5)平均重合度の測定(銅アンモニア法)
(5−1)パルプ及び粉末セルロースの粘度平均重合度の測定
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20〜30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えて標線の一寸手前までの量とした。これを30〜40分撹拌して、完全に溶解した。その後、精秤したセルロースを加え、標線まで上記アンモニア水を満たした。空気の入らないように密封し、12時間、マグネチックスターラーで撹拌して溶解し、測定用溶液を調製した。添加するセルロース量を20〜500mgの範囲で変えて、異なる濃度の測定用溶液を調製した。
(ii)粘度平均重合度の測定
上記(i)得られた測定用溶液(銅アンモニア溶液)をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1時間静置した後、液の流下速度を測定した。種々のセルロース濃度(g/dL)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))とセルロース無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t0(秒))から、下記式により相対粘度ηrを求めた。
ηr=t/t0
次に、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を下記式により求めた。
ηsp/c=(ηr−1)/c
(c:セルロース濃度(g/dL)
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度[η](dL/g)を求め、下記式により粘度平均重合度(DP)を求めた。
DP=2000×[η]
【0085】
(5−2)C−HPCの粘度平均重合度nの測定
(iii)測定溶液の調製
精秤したセルロースの替わりに精秤したC−HPCを用いた点を除き、上記(i)の測定溶液の調製と同様にして測定溶液を調製した。
(iv)粘度平均重合度の測定
測定溶液の濃度としてセルロース換算濃度(g/dL)を用いた点を除き、上記(ii)の粘度平均重合度の測定と同様にして測定した。
ここで、セルロース換算濃度(ccell)とは、測定溶液1dL中に含まれるセルロース骨格部分の質量(g)をいい、下記計算式(6)で定義する。
cell=u×162/(162+k×K+m×58) (6)
〔式中、uは測定溶液の調製時に用いた精秤したC−HPCの質量(g)を示し、k、K、mは、それぞれ前記計算式(4)及び(5)と同じ意味を表す。〕
【0086】
(6)アルキレングリコールエーテル(B)中の平均付加モル数n及びmの測定
(i) Varian社製の1H−NMR装置「マーキュリー400」を用いて、製造例10〜17で得られたアルキレングリコールエーテル(B)の平均付加モル数n及びmの値を求めた。
(ii)製造例10〜17で得られたアルキレングリコールエーテル(B)について、ガスクロマトグラフィーにより、下記の条件で、POの付加モル数の分布を求めた。
ガスクロマトグラフ:Agilent社製、「HP6890N」
カラム : Frontier LAB Ultara-Alloy-1
温度条件: 初期温度100℃(0min)
昇温速度10℃/min(350℃まで)、最終温度350℃(20min)
サンプル量: 1μL
注入口条件: 注入モード スプリット法、 注入口温度 300℃
キャリアガス: ヘリウム流量 60mL/min
検出器: FID
【0087】
製造例1〔C−HPC(1)の製造〕
(1)チップ化工程
シート状木材パルプ〔テンベック社製Biofloc HV10、平均重合度1508、結晶化度74%、水分含量7.6%〕をシートペレタイザー(株式会社ホーライ社製、「SGG−220」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
(2)カチオン化反応工程
上記工程(1)で得られたチップ状パルプ2100gに、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(阪本薬品工業株式会社製、含水量20%、純度90%以上)(以下「GMAC」という)1170g(AGU1モルあたり0.52モル相当量)1モルあたり0.52モル相当量]をポリ袋中で混合した後、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製「FV−20」:容器全容積69L、ロッドとして、φ30mm、長さ600mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド114本、充填率71%)に投入した。12分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度10〜40℃)を行い、セルロースとGMACの粉末状混合物を得た。
更に振動ミル内に0.7mm粒状の水酸化ナトリウム284g(東ソー株式会社製、トーソーパール)(AGU1モルあたり0.6モル相当量)を投入した。同様の条件で120分間粉砕処理を行い、カチオン化セルロースを得た。
(3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2)で得られたカチオン化セルロース170gを還流管と滴下ロートを取り付けたニーダー(株式会社入江商会製、PNV−1型、容積1.0L)に仕込み、70℃に昇温し、酸化プロピレン66.0g(AGU1モルあたり2.0モル相当量、関東化学株式会社製、特級試薬)を撹拌しながら滴下して、酸化プロピレンが消費され還流が止むまで6時間反応を行った。
反応終了混合物をニーダーから取り出し、薄褐色の粗C−HPC粉末230gを得た。この粗C−HPC粉末10.0gを採取して乳酸で中和した。プロピレンオキシ基及びカチオン化エチレンオキシ基の置換度を求める目的で、中和物を透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液の凍結乾燥を行い、精製C−HPC(1)を得た。
得られた精製C−HPC(1)の元素分析より、塩素元素含有量は3.8%であった。また、前記「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」によるヒドロキシプロポキシ基含有量は、36.5%であった。得られた精製C−HPC(1)の平均重合度、カチオン化エチレンオキシ基の置換度及びプロピレンオキシ基の置換度を表1及び2に示す。
【0088】
製造例2〔C−HPC(2)の製造〕
(1)チップ化工程
製造例1(1)と同様に行った。
(2)カチオン化反応工程
上記工程(1)で得られたチップ状パルプ100gに、GMAC11.3g(AGU1モルあたり0.11モル相当量)を乳鉢で混合した後、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製「MB−1」:容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド13本、充填率57%)に投入した。12分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度30〜70℃)を行い、セルロースとGMACの粉末状混合物を得た。
得られた粉状混合物に、48%水酸化ナトリウム水溶液47.5g(AGU1モルあたり1.0モル相当量)を溶解させた水溶液を投入した。同様の条件で160分間粉砕処理を行ない、カチオン化セルロースを得た。
(3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2)で得られたカチオン化セルロース127gを用いて、表1に示す条件に変更した以外は製造例1(3)と同様に行い、薄褐色の粗C−HPC粉末225gを得た。この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(2)を得た。結果を表1及び2に示す。
【0089】
製造例3〔C−HPC(3)の製造〕
(1)チップ化工程
シート状木材パルプ〔テンベック社製Biofloc HV+、平均重合度1770、結晶化度74%、水分含量7.0%〕をシートペレタイザー(株式会社ホーライ社製、「SGG−220」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
(2)カチオン化反応工程
上記工程(1)で得られたチップ状パルプ100gに、GMAC23.4g(AGU1モルあたり0.2モル相当量)を乳鉢で混合した後、バッチ式振動ミル(製造例2(2)で用いた「MB−1」)に投入した。12分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度30〜70℃)を行い、セルロースとGMACの粉末状混合物を得た。
得られた粉状混合物に、48%水酸化ナトリウム水溶液10.3g(AGU 1モルあたり0.23モル相当量)を乳鉢で混合した後、前記バッチ式振動ミルに投入した。同様の条件にて60分間粉砕処理を行い、カチオン化セルロースを得た。
(3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2)で得られたカチオン化セルロース127gを製造例1で用いたものと同様のニーダーに仕込み、70℃に昇温し、酸化プロピレン73.9g(AGU 1モルあたり2.4モル相当量)を撹拌しながら滴下して、酸化プロピレンが消費され還流が止むまで6時間反応を行った。
(4)カチオン化反応(2)工程
反応終了混合物をニーダーから乳鉢に移して、GMAC70.1g(AGU 1モルあたり0.7モル相当量)を添加し、室温で10分間混合した。その後、ニーダーに戻して、攪拌しながら50℃で5時間反応を行って薄褐色の粗C−HPC粉末270.0gを得た。
この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(3)を得た。結果を表1及び2に示す。
【0090】
製造例4〔C−HPC(4)の製造〕
(1)チップ化工程
製造例3(1)と同様に行った。
(2)カチオン化反応工程(1)
上記工程(1)で得られたチップ状パルプ86gに、GMAC20.0g〔AGU 1モルあたり0.2モル相当量〕を乳鉢で混合した後、バッチ式振動ミル(製造例2(2)で用いた「MB−1」)に投入した。12分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度30〜70℃)を行い、セルロースとGMACの粉末状混合物を得た。
得られた粉末状混合物に、48%水酸化ナトリウム水溶液8.8g(AGU 1モルあたり0.23モル相当量)を乳鉢で混合した後、前記バッチ式振動ミルに投入した。同様の条件にて60分間粉砕処理を行い、カチオン化セルロース(i)を得た。
(3)カチオン化反応工程(2)
上記工程(2)で得られたカチオン化セルロース(i)110gに、GMAC 132.0g(AGU 1モルあたり1.5モル相当量)を加えて乳鉢で混合した後、得られた混合物を、製造例1で用いたものと同様のニーダーに仕込み、50℃、窒素雰囲気下、50rpmで攪拌しながら5時間熟成を行い、カチオン化セルロース(ii)を得た。
(4)ヒドロキシプロピル化反応工程
熟成後に得られたカチオン化セルロース(ii)140g(未中和・未精製品)の入ったニーダーを70℃に昇温し、酸化プロピレン20.0g(AGU 1モルあたり1.4モル相当量)を攪拌しながら滴下して、酸化プロピレンが消費され還流が止むまで9時間反応を行った。
反応終了混合物をニーダーから取り出し、薄褐色の粗C−HPC粉末150gを得た。この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(4)を得た。結果を表1及び2に示す。
【0091】
製造例5〔C−HPC(5)の製造〕
原料パルプ、カチオン化反応工程、ヒドロキシプロピル化反応工程を表1に示す条件に変えたこと以外は製造例3と同様に行った。得られた精製C−HPC(5)の結果を表1及び2に示す。
【0092】
製造例6〔C−HPC(6)の製造〕
(1)低結晶化粉末セルロース製造工程
シート状木材パルプ(ボレガード社製、Blue Bear Ultra Ether、結晶化度79%、平均重合度1532、水分含量7%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
次に、得られたチップ状のパルプを二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA−20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec-1、スクリュー回転数300rpm、外部から冷却水を流しながら、1パス処理し粉末状にした。
次に、得られた粉末セルロース100g(水分含量7%)を、バッチ式媒体攪拌ミル(日本コークス工業株式会社製「アトライタMA01D」:容器容積800mL、φ1/4インチSUS304製ボールを1440g充填、充填率23%、攪拌翼径65mm)に投入した。容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回転数555rpm、温度30〜70℃の範囲で、7時間粉砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0%、平均重合度556、平均粒径30μm、水分含量7%)を得た。
(2)ヒドロキシプロピル化反応工程
製造例1で用いたものと同様のニーダーに、前記(1)で得られたセルロース粉末100gを仕込み、次に攪拌しながら48%水酸化ナトリウム水溶液9.6g(AGU1モルあたり0.20モル相当量)を滴下し、窒素雰囲気下3時間撹拌した。その後、ニーダーを温水により70℃に加温し、酸化プロピレン70.0g(AGU1モルあたり2.1モル相当量)を撹拌しながら滴下して、酸化プロピレンが消費され還流が止むまで7時間反応を行った。
(3)カチオン化反応工程
前記(2)で得られたヒドロキシプロピル化セルロースを70℃に加温したまま、GMAC62.9g(AGU1モルあたり0.54モル相当量)を3時間で撹拌しながら滴下した。その後、更に70℃で3時間撹拌し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によりカチオン化剤が全て消費されたことを確認した。
この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(6)を得た。得られたC−HPC(6)の元素分析より、塩素元素含有量は3.7%であった。また、ヒドロキシプロポキシ基含有量は、28.7%であった。結果を表2に示す。
【0093】
製造例7〔C−HPC(7)の製造〕
(1)チップ化工程
製造例3(1)と同様に行った。
(2)アルカリセルロース化工程
上記工程(1)で得られたチップ状パルプ100gと0.7mm粒状のNaOH23.6g(AGU1モルあたり1.0モル相当量)を、バッチ式振動ミル(製造例2(2)で用いた「MB−1」)に投入し、15分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度30〜70℃)を行った。得られたセルロース・NaOH混合粉砕物(セルロースの平均粒径:65μm)を乳鉢に移し、水50gを噴霧にて添加した。セルロース・NaOH混合粉砕物の水分量は、セルロースに対して61%であった。20℃にて乳棒で5分間混合し、アルカリセルロースを得た(平均重合度:1172)。
(3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2)で得られたアルカリセルロースを製造例1で用いたものと同様のニーダーに仕込み、酸化プロピレン102.7g(AGU1モルあたり3.0モル相当量)を投入し、攪拌を行いながら50℃にて9時間反応させた。反応は、酸化プロピレンを2時間かけて34.2gを滴下した後、1時間熟成を行い、これを3回繰り返した。
(4)カチオン化反応工程
上記工程(3)で得られた反応混合物3gを乳鉢にとり、65% 3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)0.95g(AGU1モルあたり0.5モル相当量)を添加して、5分間混合後、50mlガラス瓶に移し、50℃、7時間反応させることで粗C−HPCを製造した。
この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(7)を得た。得られたC−HPC(7)の元素分析より、塩素元素含有量は4.8%であった。また、ヒドロキシプロポキシ基含有量は、33.5%であった。結果を表2に示す。
【0094】
製造例8(C−HPC(8)の製造)
(1)低結晶化粉末セルロース製造工程
製造例3(1)と同様に行い、3〜5mm角のチップ状パルプを得た。得られたチップ状パルプ1kgを、乾燥器(アドバンテック東洋株式会社製、商品名;VO−402)に投入し、105℃で2時間乾燥して、乾燥チップ状パルプ(水分含有量0.8%)を得た。
得られた乾燥チップ状パルプ920gをバッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「FV−10」:全容器量35L、ロッドとして、φ30mm、長さ510mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド63本、充填率65%)に投入した。10分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度10〜40℃)を行い、粉末セルロース(結晶化度14%、平均重合度1198、水分含有量1.0%)を得た。
(2)アルカリセルロース化工程
上記工程(1)で得られた粉末セルロース369gを混合機(株式会社マツボー製、「レディゲミキサー」、容量5L)に投入し、主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、42.5%水酸化ナトリウム水溶液212g(NaOH:AGU1モルあたり1.0モル相当量、水:セルロースに対して33%))を1.5分間で噴霧添加した。噴霧後、内温を50℃に昇温し、3時間熟成し、アルカリセルロースを得た。
(3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2)で得られたアルカリセルロース607gを、上記レディゲミキサー内で、主翼50rpm、チョッパー翼400rpmで撹拌しながら50℃まで昇温し、その後、酸化プロピレン187g(AGU1モルあたり1.6モル相当量)を3.5時間で滴下した。滴下終了後50℃で2時間熟成した。
(4)カチオン化反応工程
上記工程(3)で得られた反応混合物11.4gを乳鉢にとり、65% 3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)4.31g(AGU1モルあたり0.5モル相当量)とイオン交換水0.84gを添加して、5分間混合後、50mlガラス瓶に移し、50℃、5時間反応させ粗C−HPCを得た。
この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(8)を得た。得られたC−HPC(8)の元素分析より、塩素元素含有量は4.3%であった。また、ヒドロキシプロポキシ基含有量は、24.3%であった。結果を表2に示す。
【0095】
製造例9(C−HPC(9)の製造)
(1)低結晶化粉末セルロース製造工程
製造例8(1)と同様に行い、粉末セルロース(結晶化度14%、平均重合度1198、水分含有量1.0%)を得た。
(2)アルカリセルロース化工程
上記工程(1)で得られた粉末セルロース530.5g及び42.5%水酸化ナトリウム水溶液307g(NaOH:AGU1モルあたり1.0モル相当量、水:セルロースに対して34%)を用いた以外は、製造例8(2)と同様に行い、アルカリセルロースを得た。
(3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2)で得られたアルカリセルロース825gを、製造例8(2)で用いたと同じレディゲミキサー内で、主翼50rpm、チョッパー翼400rpmで撹拌しながら50℃まで昇温し、その後、酸化プロピレン467g(AGU1モルあたり2.6モル相当量)を6時間で滴下した。滴下終了後50℃で2時間熟成した。
(4)カチオン化反応工程
上記工程(3)で得られた反応混合物12.3gを乳鉢にとり、65% 3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(四日市合成株式会社製)4.31(AGU1モルあたり0.5モル相当量)とイオン交換水0.84gを添加して、5分間混合後、50mlガラス瓶に移し、50℃、5時間反応させることで粗C−HPCを得た。
この粗C−HPC粉末を製造例1(3)と同様に、中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C−HPC(9)を得た。得られたC−HPC(9)の元素分析より、塩素元素含有量は2.5%であった。また、ヒドロキシプロポキシ基含有量は、38.5%であった。結果を表2に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
製造例10〔アルキレングリコールエーテル(1)の製造〕
1−オクタノール(花王株式会社製、カルコール0898)1560gと水酸化カリウム6.7g(原料アルコール1モルに対して0.01モル)をオートクレーブに仕込み、110℃、13.3kPaで脱水後、120℃でプロピレンオキシド2088g(原料アルコール1モルに対して3モル)を0.3MPaで圧入しながら付加反応を行った。
反応終了後、同一反応温度で6時間熟成を行った後、80℃まで冷却した。得られた反応組成物に合成吸着剤(協和化学工業株式会社製、キョーワード600S)55gを加えて、4.0kPaにて1時間処理した後、ろ過により触媒を除去した。得られたろ液を、130℃、1.3kPaの条件で原料アルコールを蒸留により留去した。更に145℃、6.0kPa、5時間の条件で水蒸気100gを吹き込む水蒸気処理を行い、アルキレングリコールエーテル(1)を得た。
アルキレングリコール(1)のPO付加モル数nが1〜5の化合物の分布(モル%)は以下の通りであった。
PO付加モル数1の化合物:10.7%
PO付加モル数2の化合物:33.4%
PO付加モル数3の化合物:29.8%
PO付加モル数4の化合物:17.2%
PO付加モル数5の化合物:8.9%
【0099】
製造例11〜17〔アルキレングリコールエーテル(2)〜(8)の製造〕
表3に示す構造になるように、原料アルコール、水酸化カリウム量、プロピレンオキシド量、又はエチレンオキシド量(製造例16)を代えた以外は製造例10と同様に行い、アルキレングリコールエーテル(2)〜(8)を得た。
アルキレングリコール(2)のPO付加モル数nが1〜5の化合物の分布(モル%)は以下の通りであった。
PO付加モル数1の化合物:18.7%
PO付加モル数2の化合物:31.0%
PO付加モル数3の化合物:26.2%
PO付加モル数4の化合物:15.7%
PO付加モル数5の化合物:8.3%
アルキレングリコール(4)のPO付加モル数nが1〜5の化合物の分布(モル%)は以下の通りであった。
PO付加モル数1の化合物:2.1%
PO付加モル数2の化合物:8.1%
PO付加モル数3の化合物:17.6%
PO付加モル数4の化合物:29.8%
PO付加モル数5の化合物:42.4%
アルキレングリコール(6)のPO付加モル数nが1〜5の化合物の分布(モル%)は以下の通りであった。
PO付加モル数1の化合物:21.5%
PO付加モル数2の化合物:35.2%
PO付加モル数3の化合物:25.0%
PO付加モル数4の化合物:14.2%
PO付加モル数5の化合物:7.1%
【0100】
【表3】

【0101】
実施例1〜25、及び比較例1〜8(シャンプーの製造、評価)
(1)シャンプーの製造
C−HPC(1)〜(9)、カチオン化グアガム(C−GUAR)、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース(C−HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用意し、水に溶解又は均一に分散させ、2質量%のポリマー水溶液を調製した。
別途、ポリマー水溶液以外の下記に示す各成分をビーカーに取り、攪拌しながら80℃に加温し、均一溶解させた。60℃に冷却した後、所定量のポリマー水溶液(実施例1の場合、15質量%)を加え、均一になるように混合し、室温まで冷却した。最後に、加温により蒸発した水分を補充し、pHを測定し、pH調整剤(50%クエン酸液、又は1%水酸化ナトリウム液)にて、pHが6になるように調整した下記組成のシャンプーを得た。
【0102】
(シャンプーの組成)
(成分) (%)
2質量%のポリマー水溶液 表4又は5に示す所定量
アルキレングリコールエーテル 表4又は5に示す所定量
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na 13.0
(エマール170J(花王株式会社製、有効分70重量%)として18.6%)
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 0.6
(川研ファインケミカル株式会社製、アミゾール CME)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルカルボベタイン 1.4
(花王株式会社社製、アンヒトール55AB(30%水溶液)として4.7%)
クエン酸 (pH調製) 適量
安息香酸ナトリウム 0.3
精製水 バランス
計 100.0
【0103】
(2)シャンプーの評価
下記組成のプレーンシャンプーで洗浄した毛束を35〜40℃の温水で十分に湿らせた後、上記(1)で得られた上記組成のシャンプー0.5mlで洗浄し、温水ですすぎ、タオルで水分を取り、櫛で毛束を整えた。その後、ドライヤーの温風で乾燥させ、仕上げに櫛で毛束を整え、評価用トレスを得た。
得られた評価用トレスを用いて、5人のパネラーが、以下の評価基準により、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさの評価を行った。評価は5人のパネラーの評価結果を平均して評点を求めた。結果を表4及び5に示す。
【0104】
(プレーンシャンプーの製造)
下記組成の各成分をビーカーに取り、80℃に加温後、混合し、均一に溶解したことを確認した後、冷却して、下記組成のプレーンシャンプーを得た。
(成分) (%)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na 11.3
(花王株式会社製、エマールE−27C(有効分27重量%)として42.0%)
ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド 3.0
(花王株式会社製、アミノーンC−11S)
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.3
精製水 バランス
計 100.0
【0105】
(評価基準)
・指通り性:
5:非常に良い
4:良い
3:やや良い
2:普通
1:良くない
・すべり感
5:極めて良い
4:良い
3:やや良い
2:普通
1:良くない
・まとまり感:
5:極めて良い
4:非常に良い
3:良い
2:普通
1:良くない
・柔らかさ:
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:あまり良くない
1:良くない
【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
表4及び5から明らかなように、実施例1〜25のシャンプーは、比較例1〜8のシャンプーに比べ、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる効果を付与できたことが分かる。
【0109】
実施例26〜31、及び比較例9〜15(コンディショナーの製造、評価)
(1)コンディショナーの製造
C−HPC(1)、(2)、(5)、(6)、C−HEC、HPCを水に溶解又は均一に分散させ、2質量%のポリマー水溶液を調製した。
下記に示す塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリルアルコール、プロピレングリコールをビーカーAに取り、80℃に加温し、均一に溶解させた(油相)。一方、別のビーカーBに精製水を加え、攪拌しながら80℃に加温した。引き続き攪拌しながらビーカーA中の油相をビーカーBに加え、80℃のまま30分間攪拌した後、60℃まで冷却した。シリコーン、所定量のポリマー水溶液(実施例26の場合、15質量%)、および所定量のアルキレングリコールエーテルを加え、均一になるように混合し、室温まで冷却した。最後に、加温により蒸発した水分を補充し、pHを測定した。pH調整剤(50%クエン酸液)にて、pHが5になるように調整した下記組成のコンディショナーを得た。
【0110】
(コンディショナーの組成)
(成分) (%)
2質量%のポリマー水溶液 表6に示す所定量
アルキレングリコールエーテル 表6に示す所定量
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.5
(花王株式会社製、商品名:コータミン2285E(有効分55重量%)として2.7%)
ステアリルアルコール 4.0
(商品名:カルコール8098(花王株式会社製))
シリコーン 1.5
(東レ・ダウケミカル株式会社製、商品名:シリコーンBY22−060(60%エマルジョン)として2.5%)
プロピレングリコール 1.5
クエン酸 (pH調製) 適量
精製水 バランス
計 100.0
【0111】
(2)コンディショナーの評価
実施例1で用いたプレーンシャンプーで洗浄した毛束を35〜40℃の温水で十分に湿らせた後、上記(1)で得られた上記組成のコンディショナー1gを塗布し、なじませた。その後、温水で30秒間すすぎ、タオルで水分を取り、櫛で毛束を整え、更にドライヤーの温風で乾燥させ、仕上げに櫛で毛束を整え、評価用トレスを得た。
5人のパネラーが、実施例1〜25及び比較例1〜8と同様の評価基準により、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさの評価を行った。評価は5人のパネラーの評価結果を平均して評点を求めた。結果を表6に示す。
【0112】
【表6】

【0113】
表6から明らかなように、実施例26〜31のコンディショナーは、比較例9〜15のコンディショナーに比べ、乾燥後の髪の指通り性、すべり感、まとまり感、柔らかさを向上させる効果を付与できたことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアシャンプー、ヘアリンス、トリートメント、コンディショナー、洗い流さないタイプのヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ブローローション、ヘアパック、ヘアカラー、コンディショニングジェル、コンディショニングフォーム等の分野で好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)、及び下記一般式(4)で表されるアルキレングリコールエーテル(B)を含有する毛髪化粧料であって、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基の置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基の置換度が0.1〜4.0である毛髪化粧料。
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表されるカチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を有する置換基を示し、nはアンヒドログルコースの平均重合度を示し、50〜5000である。)
【化2】

(式中、Y1及びY2は、一方が水素原子であり、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pは一般式(2)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0又は正の整数である。p及びqのどちらもが0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよい。)
【化3】

(式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
7O−(PO)n/(EO)m−H (4)
(式中、R7は、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、n及びmは平均付加モル数を示し、nは1〜10であり、mは0〜3である。)
【請求項2】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)とアルキレングリコールエーテル(B)の質量比〔(A)/(B)〕が1/99〜90/10である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)の含有量が0.01〜3.0質量%である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
アルキレングリコールエーテル(B)の含有量が0.05〜5.0質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)とアルキレングリコールエーテル(B)の合計含有量が0.2〜5.0質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、下記工程(a−1)〜(a−3)によって得られるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧料。
工程(a−1):パルプにカチオン化剤を添加して粉砕機処理を行う工程
工程(a−2):工程(a−1)で得られた粉砕機処理物に塩基を添加して粉砕機処理を行いながらパルプとカチオン化剤とを反応させてカチオン化セルロースを得る工程
工程(a−3):工程(a−2)で得られたカチオン化セルロースと酸化プロピレンとを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)を得る工程
【請求項7】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、下記工程(b−1)〜(b−4)によって得られるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧料。
工程(b−1):セルロース含有原料を粉砕機処理して、結晶化度が10〜50%であるセルロースを含有するセルロース含有原料を得る工程
工程(b−2):工程(b−1)で得られたセルロース含有原料に対して、該セルロースを構成するアンヒドログルコース単位1モルあたり0.6〜1.5倍モルの塩基化合物、及び該セルロース含有原料中のセルロースに対して20〜100質量%の水を添加して、アルカリセルロースを得る工程
工程(b−3):工程(b−2)で得られたアルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させてヒドロキシプロピルセルロースを得る工程
工程(b−4):工程(b−3)で得られたヒドロキシプロピルセルロースとカチオン化剤とを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)を得る工程
【請求項8】
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)が、下記工程(c−1)〜(c−4)によって得られるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧料。
工程(c−1):セルロース含有原料及びセルロース含有原料中のセルロースを構成するアンヒドログルコース単位1モルあたり0.6〜1.5倍モルの塩基化合物との混合物を、該セルロース含有原料中のセルロースに対する水分量が10質量%以下の条件下で粉砕機処理し、セルロースの平均粒径が10〜150μmであるセルロース・塩基混合粉砕物を得る工程
工程(c−2):工程(c−1)で得られたセルロース・塩基混合粉砕物に水を添加し、該セルロース・塩基混合粉砕物中の水分量を、工程(c−1)で用いたセルロース含有原料中のセルロースに対して30〜100質量%に調整して、アルカリセルロースを得る工程
工程(c−3):工程(c−2)で得られたアルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させてヒドロキシプロピルセルロースを得る工程
工程(c−4):工程(c−3)で得られたヒドロキシプロピルセルロースとカチオン化剤とを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(A)を得る工程

【公開番号】特開2012−232946(P2012−232946A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103309(P2011−103309)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】