毛髪改善のための希土類元素の用途
セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪改善のための希土類元素の用途に関し、より詳細には、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の毛髪は、約10万〜15万個程度であり、それぞれの毛髪は、互いに異なる周期を有して成長期(anagen)、退化期(catagen)、休止期(telogen)を経て成長、脱落する。このような周期は、3〜6年にかけて繰り返されるが、その結果、一日平均50〜100個の毛髪が脱落する。脱毛症は、成長期の毛髪比率が短くなり、退化期または休止期の毛髪比率が長くなって生じる現象である。脱毛の原因としては、毛根、皮脂腺などの器官から男性ホルモンのアンドロゲンが過度に分泌され、毛嚢細胞を強く刺激して毛嚢を萎縮させることにより、毛髪成長が遅延されることが原因として挙げられる。その他にも、局所血流障害による栄養供給の障害、皮脂分泌過剰、過酸化物、細菌などによる頭皮機能の低下、外部の強いストレス、慢性疾患による神経症状の悪化などが主要原因として知られている。しかも、現代社会に入って、過労、環境汚染や中毒性薬物の誤濫用による副作用、パーマ、染色、ムース、スプレーなどの使用による頭皮の血流障害と遺伝などの理由により脱毛の発生がさらに深刻になるにつれて、発毛に対する関心が増加している。最近は、男性型脱毛だけではなく、女性の肥満性脱毛を始めとして、若い層における脱毛が拡散されていく趨勢であって、このような脱毛現象を改善するために、様々な種類の発毛剤または育毛剤が市販されている。市販されている発毛剤または育毛剤としては、塩化カプロニウム(Carpronium chloride)、ミノキシジル(minoxidil)などの血管拡張剤やエストロゲン、エストラジオールなどの男性ホルモン作用を抑制するためのホルモン剤及びペンタデカン酸、フィナステライド(finasteride)などの男性ホルモン活性抑制剤などがある。
【0003】
脱毛症の治療や予防及び発毛促進用薬物として、現在まで最も広く使用される製剤は、米国特許第4,596,812号に開示されているUpjohn社のミノキシジル含有製剤があって、現在まで米国FDAの承認を受けた二つの発毛剤成分の一つである。ミノキシジルは、血圧降下の目的で開発された高血圧治療剤であるが、使用上の副作用として発毛現象が現れ、今は発毛剤としてもっと有名な薬物となった。ミノキシジルの発毛作用メカニズムについては、正確に明かされていないが、血管拡張効果による血流量の増加により毛根に栄養を供給して、毛髪の成長を促進すると考えられている。このような血流量増加モデルは、ミノキシジルが、毛根を構成する主要細胞である毛乳頭(dermal papilla)において、血管拡張に係わる成長因子の血管上皮成長因子(VEGF; vascular endothelial growth factor)の発現を増加させるとの最近の報告(文献[Br. J. of Dermatol., 1998; 138; 407-411])により間接的に証明される。また、ミノキシジルの発毛効果メカニズムにおいて、血管拡張効果の他にも、体外培養中の毛根の毛乳頭細胞活性化(文献[Skin Pharmacol., 1996; 9; 3-8])及び毛嚢組織培養において毛嚢の成長を促進するとの報告(文献[J. Invest. Dermatol., 1989; 92; 315-320])などは、ミノキシジルが毛根に直接的な成長因子として作用することを示唆している。また、最近発売が始まったMerck社のプロペシア(Propecia)の主成分であるフィナステライドは、男性ホルモンであるテストステロンが、5α-reductaseの作用によりさらに強力な形態の男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT: dihydrotestosterone)に転換されることを抑制する。1997年12月、男性型脱毛症の治療剤として、1mgタブレットがFDAから使用承認を受けて、現在市販中であって、臨床結果、有意な効果を示すと判明された(文献[J. Am. Acad. Dermatol., 1998; 39; 578-589])。その他にも、天然物及び生薬成分の抽出物を頭皮に塗るか、服用することにより発毛を促進しようとする試みが数多くなされてきた。
【0004】
脱毛症の予防及び治療に広く使用されているミノキシジルや塩化カプロニウムは、臨床効果に優れていないという問題点を有しており、男性ホルモンの抑制のためのホルモン剤と男性ホルモン活性抑制剤は、臨床効果があまり高くないか、男性機能を抑制する副作用などの問題点があるばかりか、活性成分が合成化合物であって、人体内で安全性に問題があり、発毛、育毛においても十分な効果を得ることが難しい。また、各種抽出物を含有した毛髪改善用組成物は、その作用原理が明確ではなく、効能が十分検証されていないという実情があり、皮膚に塗布時、有効成分の吸収力が低く、頭皮に残ってべたつくなど、皮膚感触がよくないが、皮膚異常を起こす問題点がある。化学薬品の副作用による発毛剤の限界を克服するために、頭皮に髪の毛を移植する手術方法が提案されたが、髪の毛を一々移植する過程でかなりの費用がかかるだけではなく、移植期間が長期化されて、臨時的な処方に過ぎず、根本的な治療方法にはならないという問題点がある。
【0005】
毛髪は、大きく毛表皮、毛皮質、毛髄質の三つの部分から構成されており、毛髄質を包んでいる毛皮質は、毛髪において最も厚い部分(80〜90%)であって、メラノソームというメラニン色素と脂質膜とTRP(Tyrosinase Related Protein)−1、TRP−2及びその他のタンパク質から構成された顆粒を含んでいる。メラニン色素は、メラノサイト内の小器官であるメラノソームで合成されて、メラノサイトの樹状突起を通じて、周囲のケラチノサイトに移行する。メラニンの合成経路をみると、まず、アミノ酸のチロシンが酸化されてドパに、さらに酸化されてドパキノンが生成される段階でチロシナーゼが関与して、その後の反応は、自動酸化的に進行されるが、TRP−1及びTRP−2のような酵素が関与して反応を加速化させると知られている。チロシンを原料として形成されるユーメラニン(eumelanin)及びフェオメラニン(pheomelanin)の類型と分布量などの要因により、毛髪の明るさが決定されて、人毎に独特の毛髪色が表れる。ユーメラニンは、最も有り触れて最も濃い色素であって、褐色と黒色の髪を形成して、フェオメラニンは、より薄い色の色調であって、金髪を形成する。白毛は、ドパキノンでその作用が止まって、毛髪がケラチン化されて形成された白髪であって、チロシナーゼを作れないため、酸化作用がなされなかった状態である。白毛は、特に黒褐色系の毛髪を有する人種においてさらに明確に現れて、メラノサイトでメラニン生成が止まったから起こる現象であって、一種の老化現象である。このような老人性白髪の他にも、壮年性白髪、遺伝性白毛、尋常性白斑、円形脱毛症などによる後天性白毛、薬物及び化学物質による白髪、ストレスによる白毛、自己免疫性疾患による白髪、栄養失調及び栄養不均衡による白毛、腎臓機能低下による白毛などがある。
【0006】
遺伝子により発生する白毛は、遺伝子治療に期待するか、疾患による白毛は、その疾患を治療することにより解決できる。その他の場合は、民間療法として、何首烏やひねショウガ、ひじき、乾地黄、熟地黄、桑の実、プランチーノオイル、竹油、熊脂などを使用する方法が知られているが、大きい効果を期待することは難しい実情である。
【0007】
一方、希土類元素は、地殻中に約0.016%が含有されている微量の金属元素であって、元素周期律表の原子番号57から71まで15個(La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Lu)と第3A族の2個(Sc,Y)とを合わせて、17個の元素が含有された鉱物を意味する。希土類元素は、対イオンと共にイオン結合した塩(salt)の形態、例えば、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アセト酸塩、燐酸塩、塩化物などの形態や、水酸化物(hydroxides)を始めとした酸化物(oxides)形態として存在することができる。希土類元素は、発見されてから200余年しか過ぎておらず、一般人にはよく知られていないが、その利用価値は非常に大きくて、希土類元素が有している特異な電子構造により、独特の物理的、化学的性能を示すため、永久磁石、超伝導体、蛍光材料のように、機械、石油化学、光化学などに利用されており、最近は、農業、林業、畜産業などの様々な分野でも応用が試みられている。ひいては、生物学的効果として、希土類元素は、高等植物の光合成作用と葉緑素形成を促進して、芽の発芽促進、根の活力、呼吸作用の活性化、体内養分移動の促進、水分調節、細胞分裂の促進、ホルモン転移移送の促進、栄養元素の吸収と体内移動の促進、物質代謝の活性化、葉内のRNAとタンパク質合成増加などの機能を示して、葉の老化過程を遅延させて、緑藻類のタンパク質含量を高めて、光合成と酸素放出活性を促進させて、タンパク質と葉緑素形成を促進させる。La3+は、ヒトの赤血球細胞膜の(Na+、K+)−ATP酵素と、Mg2+−ATP酵素の活性を増加させて、体内Ca2+イオンの機能を強化することが知られており(文献[The Journal of Biological Chemistry; 1986; 261(20); 9552-9557])、一部の希土類元素は、抗細菌効果を有し(文献[Chem. Pharm. Bull.; 2003; 51(5); 494-498]、活性酸素の生成を抑制し、抗酸化作用を示し(文献[Biochemical and Biophysical Research Communication; 2006. 2; 342; 86-91])、いくつかの希土類元素は、アルカリ性イオンを帯びて、遠赤外線との作用により、体内の細胞活性、血液循環促進、新陳代謝強化、組織再生の能力増加により、疲労と老化現象を抑制する効果があることが公知であり、成長肥育豚において、体重増加と飼料転換率を増進(文献[J. Anim. Physiol. a. Anim. Nutr.; 2001; 85; 263-270])させることが知られている。また、希土類元素は、低毒性物質に属して、消化器官を通じての吸収はごく少なく、特別な体内蓄積現象がなく、奇形を招来するか、突然変異を起こすか、癌を誘発する作用もないことが明かされた(文献[Environmental Health Perspectives; 1996; 104; 85-95])。
【0008】
大韓民国特許第569,083号は、酸化セリウムに、4価のセリウムイオンより大きいイオン半径を有する金属イオン及び/または4価のセリウムイオンより低原子価の金属イオンを固溶させてなされる金属酸化物固溶酸化セリウムを含む紫外線遮断剤と、これを含有する化粧料を開示して、これが頭髪化粧料としても使用可能であることを記載している。しかしながら、これは、酸化セリウムの金属イオン固溶体に関するもので、希土類元素やその塩または混合希土を使用することとは全く相異なるものである。米国特許第5,112,360号は、5,6−ジヒドロキシインドール及び/またはインドール誘導体及び少なくとも一つの希土類元素塩を含有する染毛剤を開示している。しかしながら、これは、インドール化合物と希土類元素塩からなる組成物の染毛効果に関するもので、毛根や毛髪に適用時、希土類元素が単独で直接的な黒毛生成促進効果を有することについては、教示や暗示が全くない。また、日本特開2003−137749号(2003.5.14.公開)は、ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)またはルテチウム(Lu)のような天然放射性希土類元素を含む天然鉱石を粒径5μm以下に微分化して、これを着色剤と共に、アルコール系溶媒及びこれに可溶の溶質からなる粘液状バインダー中に混合した混合材料をスプレー容器に入れてなされることを特徴とする、スプレー容器に入っている増毛剤を開示している。前記公開特許は、毛髪の欠損部分に処置して、視覚的に増毛したように見せかけながら、頭皮付近の環境を改善し、自毛の再生乃至育毛を促進するための増毛乃至偽増毛剤に関するもので、スプレー後、頭皮に付着された放射性希土類元素が放出するβ線がマイナスイオンを形成し血行促進作用をして、自毛の再生または育毛を促進する効果を示すと記述している。しかしながら、前記公開特許は、天然放射性希土元素単独のβ線放出による血行促進作用及びそれにより期待される増毛乃至育毛効果に関するもので、希土元素による細胞増殖の促進、TGF−β発現の抑制、VEGF発現の促進、チロシナーゼ活性及び発現の促進、メラニン生成の促進については、全く触れていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、既存の発毛剤の様々な問題点を考慮し、人体に安全で且つ副作用を起こすことなく、優れた脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、黒毛生成促進剤を開発するために、持続的な研究を行ってきた。その結果、驚くことに、一つ以上の希土類元素が前記用途に効果的に使用できることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明の第1目的は、一つ以上の希土類元素を含有する脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進用の組成物を提供することである。
【0011】
本発明の第2目的は、一つ以上の希土類元素の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途を提供することである。
【0012】
本発明の第3目的は、一つ以上の希土類元素を利用する脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進方法を提供することである。
【0013】
本発明の第4目的は、一つ以上の希土類元素を利用して、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進剤を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1面は、 有効成分として、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を含有する、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進用組成物に関する。
【0015】
本発明の第2面は、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途に関する。
【0016】
本発明の第3面は、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進を必要とする対象に、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を適用する段階を含む、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進方法に関する。
【0017】
本発明の第4面は、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を利用して、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進剤を製造する方法に関する。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用された用語‘脱毛防止’は、部分的または完全脱毛の防止、抑制、阻止及び減少を意味する。
【0020】
本発明で使用された用語‘発毛促進’は、毛髪発生の維持、誘導、刺激、促進及び再生、欠損毛髪の成長、または毛髪周期において成長期の延長を包括する意味として定義する。
【0021】
本発明で使用された用語‘育毛’は、柔毛の脱落防止、発育/成長促進、または 柔毛を末端毛に転換させることを包括する意味として定義する。
【0022】
本発明において、‘脱毛’または‘脱毛症’は、毛髪成長の欠損及び部分的あるいは全体的な毛髪の喪失を意味し、男性ホルモン性脱毛症または男性型脱毛症、毒性脱毛症、円形脱毛症、休止期脱毛症、内分泌異常、代謝障害、栄養障害による脱毛、薬剤性脱毛症、機械的脱毛症、皮膚疾患に伴われる脱毛症、瘢痕性脱毛症、先天性脱毛症、トリコチロマニアなどを全て含むが、これらに制限されるものではない。
【0023】
希土類元素は、互いに類似した物理化学的性質を共有するため、本発明で使用可能な希土類元素の種類に特に制限はなく、希土類元素のいずれか一つを単独またはその他の希土類元素との混合物として使用することができ、セリウム(Ce)を使用することがより好ましい。希土類元素の塩も同様に、薬剤学的または化粧学的に許容される無毒性のものである限り、使用可能であって、その例としては、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アセト酸塩、リン酸塩、塩化物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。希土類元素の酸化物(例えば、Ce2O3、La2O3など)も同様に、薬剤学的または化粧学的に許容される無毒性のものである限り、制限なく使用可能である。本発明において、希土類元素の酸化物は、希土類元素の水酸化物(例えば、Ce(OH)3、La(OH)3など)を含む概念である。
【0024】
本発明において、希土類元素は、微細粉末に粉砕して使用でき、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.001〜10重量%、より好ましくは0.001〜0.1重量%として含有される。
【0025】
本発明の組成物は、薬剤学的または化粧学的に許容される担体をさらに含有することができる。本発明の組成物は、製薬または化粧品製造分野で通常的に使用されるか、よく知られている装置及び方法のいずれかを使用して製造することができる(文献[Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania 18042 (Chapter 87: Balug, Seymour)])。本発明の組成物は、通常基剤を含有して、必要に応じて、一般に薬品または化粧品原料として使用される成分を適宜配合することができる。本発明の組成物の基剤は、通常的に使用されるいかなるものでも使用可能であって、その例は、精製水、ミネラルウォーター、エタノール、グリセリン、スクアレン、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、蓖麻子油、ツバキ油、liquid petrolatumを含む。本発明の組成物に配合されるその他の成分の例は、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、香料を含み、これらに限定されるものではない。
【0026】
界面活性剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または非イオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤の例は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸などの高級脂肪酸のアルカリ塩類(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩);ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸エステル塩類;及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキルエーテル硫酸エステル塩類を含む。非イオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミドを含む。アニオン界面活性剤の例は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ステアリルビス(ジエチルアルコール)ヒドロキシエチルアンモニウムを含む。
【0027】
乳化剤の例は、セタノール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを含む。
【0028】
増粘剤の例は、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを含む。
【0029】
防腐剤の例は、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル及び塩化ベンズアルコニウムを含む。
【0030】
酸化防止剤の例は、ブチルヒドロキシトルエン、プロピルガレート及びブチルヒドロキシアニソールを含む。
【0031】
香料は、一般的な目的で主に使用されるパーヒュームであって、その例は、シトラス、ラベンダー、フローラルを含む。
【0032】
本発明の組成物には、上記成分の他にも、毛嚢に栄養素を供給する役割をするグルコース、キシロース、マンノース、アラビノースなどの単糖類及びマルトース、スクロース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類などの糖類から1種以上をさらに含むことができ、これらの量は、全体組成物の0.01〜1重量%が好ましい。また、本発明の組成物は、通常的に使用される毛髪成長促進補助成分を含むことができるが、例えば、人参、苦参、みかん陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木酢液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アセト酸トコフェロールなどのトコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチン、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸類、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の成分をさらに含有することができる。これらの量は、全体組成物の0.0001〜10重量%が好ましい。
【0033】
一方、ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)またはルテチウム(Lu)の希土類元素とトウガラシチンキの配合時、二つの成分間の相乗作用により、優れたTGF−β発現減少及びVEGF発現促進による脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防効果はもちろん、チロシナーゼ活性及び発現促進及びメラニン生成促進による黒毛生成促進効果を奏することができる。目的とする相乗作用を奏する限り、二つの成分の配合比に特に制限はないが、例えば、前記希土元素とトウガラシチンキは、1:0.0001〜1、好ましくは1:0.01〜1、より好ましくは、1:0.1〜1の重量比で含有することが好ましい。これは、前記範囲内で目的する相乗作用が最大化できるからであるが、本発明の範囲が前記特定範囲に制限されるものではない。さらに、本組成物は、ショウガチンキ及び/またはカンタリスチンキをさらに含有することができる。ショウガチンキは、ショウガ(Zingiber officinate roscoe)の根茎をエタノールで浸出して得たチンキ剤であって、刺激成分であるジンゲロン(zingerone)、ショガオール(shogaol)などが毛根を刺激して発毛を促進すると知られている。カンタリス(cantharis)は、ツチハンミョウ科の昆虫を称するもので、カンタリスチンキは、前記昆虫からエタノール抽出により得られる成分である。
【0034】
本発明の組成物の適用対象に特に制限はなく、本発明の組成物は、人間だけではなく、飼育動物やペットを含む全ての動物に適用できる。
【0035】
本組成物は、経皮(transdermally)または経口(orally)で投与でき、そのために、ローション、軟膏、ジェル、クリーム、パッチ、噴霧剤、錠剤、丸剤、粉末、サシェ(sachet)、エリキシル(elixir)、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップまたは軟質または硬質カプセルに剤形化することができる。
【0036】
特に、本発明の組成物は、毛髪または頭皮に直接塗布または散布するなどの方法により使用できる。本発明の組成物が適用される毛髪とは、頭の毛根及び毛嚢、髪の毛及び眉毛と睫毛、ひげ、腋毛、陰毛、身体全般の毛根及び毛嚢のある全ての部位を含む。したがって、本発明は、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、ヘアースプレー、ヘアームース、ヘアージェル、ヘアーコンディショナー、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアーパック、ヘアートリートメント、眉毛発毛剤、睫毛発毛剤または睫毛栄養剤、またはペット用シャンプー及びペット用リンスに使用できる。
【0037】
本発明による希土類元素の容量は、性別、年齢、脱毛症状、毛髪状態などを考慮し適宜決定することができる。通常成人を対象にした一日容量は、約0.1〜5mg/cm2で、一日1〜5回適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】各成分の濃度による細胞増殖促進効果を示したグラフである。
【図2】一定な濃度において、混合希土及び個々の希土類元素の細胞増殖促進効果を示したグラフである。
【図3】動物において、本発明による組成物の発毛促進効果を示す写真である。
【図4】本発明による組成物の処理後、動物皮膚組織を顕微鏡で観察した写真である。
【図5】本発明による組成物の処理後、動物組織内TGF−β2及びVEGF発現を示したグラフである。
【図6】ヒトにおいて、本発明による組成物の発毛促進効果を示す写真である。
【図7】ヒト由来黒色腫細胞株にそれぞれの元素を濃度別に処理した後、チロシナーゼ活性を示したグラフである。
【図8】マウス由来黒色腫細胞株にそれぞれの元素を濃度別に処理した後、チロシナーゼ活性を示したグラフである。
【図9】ヒト由来黒色腫細胞株とマウス由来黒色腫細胞株に混合希土及び個々の希土類元素を処理した後、チロシナーゼ発現を示したグラフである。
【図10】ヒト由来黒色腫細胞株とマウス由来黒色腫細胞株に混合希土及び個々の希土類元素を処理した後、メラニン生成量を示したグラフである。
【図11】ランタンにトウガラシチンキを配合して処理した後、TGF−β2及びVEGF発現量を示したグラフである。
【図12】ヒト及びマウス由来黒色腫細胞株において、ランタンにトウガラシチンキを配合して処理した後、メラニン生成量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
<実施例1:毛髪改善用組成物の製造>
表1に示した成分及び含量を利用して、混合希土粉末及びその他の成分を均一に混合した後、ろ過して毛髪改善用組成物を製造した。製造された毛髪改善用組成物は、薄い褐色であり、不透明で、pHが5.0〜8.5であった。
【0041】
【表1】
【0042】
<実施例2〜18:毛髪改善用組成物の製造>
前記実施例1において、混合希土の代わりに、Ce(実施例2)、Pr(実施例3)、Pm(実施例4)、Eu(実施例5)、Tb(実施例6)、Dy(実施例7)、Ho(実施例8)、Er(実施例9)、Tm(実施例10)、Yb(実施例11)、Sc(実施例12)、Y(実施例13)、La(実施例14)、Nd(実施例15)、Sm(実施例16)、Gd(実施例17)及びLu(実施例18)の個々の希土類元素をそれぞれ使用したことを除いては、実質的に同一な過程により毛髪改善用組成物を製造した。
【0043】
<実施例19:毛髪処理用組成物の製造>
前記実施例1において、混合希土粉末の代わりに、La、Nd、Sm、Gd及びLuの混合粉末を0.1重量%使用して、トウガラシチンキ0.01重量%をさらに使用したことを除いては、実質的に同一な過程により毛髪改善用組成物を製造した。製造された毛髪処理用組成物は、薄い褐色であり、不透明で、pHが5.0〜8.5であった。
【0044】
<実施例20〜24:毛髪処理用組成物の製造>
前記実施例19において、La、Nd、Sm、Gd及びLuの混合粉末の代わりに、La(実施例20)、Nd(実施例21)、Sm(実施例22)、Gd(実施例23)及びLu(実施例24)の個々の希土元素をそれぞれ使用したことを除いては、実質的に同一な過程により毛髪処理用組成物を製造した
【0045】
<比較例>
実施例1の組成から希土粉末を除いて組成物を製造した。
【0046】
<実験例1:希土類元素による細胞増殖促進効果の測定>
マウス胚芽線維芽細胞であるNIH 3T3細胞を、10%牛胎児血清(FBS)と1%ペニシリン−ストレプトマイシンが添加されたDMEM(Dulbeceo's Modified Eagle's Medium)で2×106 または4×106 細胞/mlの密度を維持しながら、37℃(95% O2, 5% CO2, 60%湿度)恒温・恒湿培養器で培養した。細胞の増殖促進実験のために、MTT(3-(4,5-dimethyl-thiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazoliumbromide)アッセイ方法を使用した。MTT実験のために、96ウェルプレートにウェル当たり2×103細胞/mlの各細胞を分株して、10% FBSが含まれた培養液を処理した。培養器で24 時間細胞を安定化させた後、FBSが含まれた培養液を、FBSのないDMEMで入れ換えて、それぞれ10μg、1μg、100ng、10ng、1ng、100pg、10pg及び1pgの混合希土、及び10ngの個々の希土類元素を処理した。一定時間培養後、ウェル当たり50μlのMTT(2mg/1ml滅菌蒸留水)を添加して4時間反応させ、DMSO(dimethyl sulfoxide)を処理して30分間振った後、ELISAリーダー(550, Bio−rad)を利用して540nmで吸光度を測定した。
【0047】
各元素(混合希土、Ce、Eu、La、Gd)の濃度による細胞増殖結果を図1に、一定な濃度の各元素の処理結果を図2にそれぞれ示した。図1に示したように、10μgから1pgまで各元素を処理した実験群は、何も処理しなかった無処理群より細胞の増殖が活発になることを確認することができた。特に、無処理群に比べ、セリウム添加後は、細胞増殖が1.69倍に増加した。したがって、各元素が細胞の増殖に影響を及ぼすことを確認することができた。また、図2に示したように、それぞれの元素を10ngずつ処理した場合も、細胞増殖が無処理群に比べて増加し、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、互いにほぼ等しい程度の効果を示すことが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、細胞増殖が最も大きく増加されることが確認できた。これに比べ、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、相対的に多少劣る効果を有することが確認された。
【0048】
<実験例2:動物における発毛効果の測定>
実験動物は、6週齢のC57BL6雄性マウス(29±3g)で、実験開始前、一般固形飼料(Samyang社)と水を自由摂取させ、ポリプロピレンボックス(453×293×247(H)mm, 19l)で1週間(20〜24℃、湿度60〜80%)の予備飼育で適応期間をおいた。その後、実験動物群の背中部位の一定面積(3×5cm2)を刈って、無作為に比較例の組成物処理群(対照群)、及び実施例1の組成物処理群及び実施例2の組成物処理群(実験群)に分けた。各群は、一日24時間を、それぞれ12時間ずつ明、暗状態に分けて維持した。実施例1及び2と比較例によって製造された組成物を、朝と夜の一定な時間を決めて、一日2回ずつ一定量(1ml)を塗布した。全ての実験では、暗状態の時は実験を行わず、実験マウスが安定を取るように配慮して、組織採取時は、実験前24時間の回復期間をおいた。
【0049】
その結果を図3に示した。図3に示されたように、実施例1と実施例2の組成物で処理した場合、時間が経つにつれて毛が生えていることを確認した。実施例1及び実施例2の組成物で処理した場合、比較例の組成物で処理した場合より毛が生える速度が著しく速く、毛の数にも大きい差があって、毛の太さ及びつやにおいても勝っていることが確認できた。また、組成物処理20日後からは、発毛速度が非常に速く、実験群と対照群の明らかな差を確認することができた。特に、セリウムが添加された実施例2の組成物は、混合希土が添加された実施例1の組成物とほぼ等しい効果を示した。
【0050】
<実験例3:動物皮膚組織の観察>
頚椎脱臼法で前記実験例2の実験動物を犠牲させた後、皮膚を分離してPBS(Phosphate buffered saline)で異物を最大限除去し、はさみで実験部位を切り出した後、下記の実験に使用した。分離した皮膚を10%ホルムアルデヒドに入れて、一日間固定させて、10mm3大きさに切って、自動浸透器で12時間自動浸透させた後、パラフィンブロックを作って、薄切り機を使用して4μmの厚さに薄切 した。その後、ヘマトキシリン&エオシン染色条件によって染色した。判読及び写真撮影は、光学顕微鏡を使用して100倍で行った。
【0051】
その結果を図4に示した。図4に示されたように、実施例1及び実施例2の組成物を処理した実験群と比較例の組成物を処理した対照群は、毛髪成長において大きい差があることが分かった。実験群の場合は、毛嚢(Hair follicle)が皮膚及び脂肪組織と真皮(dermis)から生じて、表皮(epidermis)側に多く成長して生えているが、対照群の場合は、成長の始まり段階であることが分かった。毛嚢の数においても、対照群に比べ、実験群でさらに多いことを確認した。特に、セリウムが添加された実施例2の組成物は、混合希土が添加された実施例1の組成物とほぼ等しい効果を示した。参考に、実験動物は、人間のようにそれぞれ異なる毛周期を有するモザイクタイプではなく、毛髪全体の毛周期が一致するシンクロニスティック(synchronistic)タイプである。
【0052】
<実験例4:TGF−β2及びVEGF発現の測定>
TGF−βは、同種異形質体であって、種々の細胞と組織において、初期発生の調節、細胞周期の調節、細胞増殖及び分化、移動、生存、細胞外基質の生産、免疫体系、血管生成と血球細胞の生産、細胞死誘導、骨格形成、傷の治癒などを調節する多機能性サイトカインであって、毛周期の退化期には、TGF−βが発現されつつ毛髪細胞の枯死(apoptosis)を誘導すると知られている。血管上皮成長因子(VEGF)は、同種異形質の糖タンパク質で、傷部位で血管新生を刺激すると知られた最も一般的且つ効果的な成長因子であって、多い血管組織で発現されて、上皮細胞に特異的なマイトジェン(mitogen)で上皮細胞の移動と増殖を誘導し、血管の透過性を増加させる役割をすると知られている。VEGFは、既に販売されているミノキシジルの発毛作用メカニズムで、毛根を構成する主要細胞である毛乳頭で血管拡張効果による血流量増加により毛根に影響を供給し、毛髪成長を促進すると考えられている。
【0053】
上記のタンパク質の発現程度をウェスタンブロッティング(western blotting)により確認するために、実験例3の実験動物組織から得たタンパク質を12% SDS−PAGEで分離した後、NC(nitrocellulose membrane)に移した。この際、実験例2及び3において、ランタンが添加された実施例14の組成物で処理した群を含ませた。その後、NCを、5%脱脂乳を含有したトリス緩衝塩水(TBS)でブロッキングして、1:1,000に希釈した一次抗体(抗−TGF−β2及び抗−VEGFラビットIgG)と1:1,000に希釈した二次抗体(ペルオキシダーゼ−抱接された抗−ラビットIgG)にそれぞれ反応させた後、0.05%ツイン−20が含有されたTBSで洗浄し、ECL検出キットを利用してX−線フィルムに感光させた。その後、LabWork(商標)(version 4.5.00.0)のイメージ分析プログラムを使用して、OD値をグラフで示した。
【0054】
その結果を図5に示した。図5に示されたように、実施例1、2及び14の組成物処理群(実験群)において、TGF−β2の発現量は、比較例の組成物処理群(対照群)に比べ、大きく減少することが分かる。また、VEGFは、対照群より実験群でさらに多く発現されることを確認することができた。即ち、本発明の毛髪改善用組成物は、TGF−βの活性を減少させて、VEGFの活性を促進させることにより、TGF−βによる毛嚢細胞死滅を抑制して、血管拡張効果による血流量増加により毛根に栄養を供給し毛髪成長を促進して、脱毛の防止及び育毛の効果を奏することができる。特に、セリウムが含まれた実施例2の組成物処理群において、混合希土が含まれた実施例1の組成物処理群より優れた効果が現れた。その反面、ランタンが含まれた実施例14の組成物処理群では、無処理群よりは優れた効果が現れたが、実施例1や実施例2の組成物処理群よりは相対的に劣る効果が現れた。
【0055】
<実験例5:ヒトにおける発毛及び黒毛効果の測定>
男性及び女性の各種脱毛症患者30名を、10名ずつ、実施例1の組成物、実施例2の組成物、比較例の組成物で処置した後、その有効性を評価した。頭皮への投与は、1日2回、毎日2ヶ月間行って、育毛状態を1ヶ月後と2ヶ月後に評価した。判定基準は、
1.高い効果がある−新生毛が観察される(硬毛)
2.中間程度の効果がある−新生毛が観察される(柔毛)
3.少し効果がある−脱毛の数が減少する
4.ふけが減少する
で評価して、その結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
上記表2に示したように、本発明による組成物は、発毛及び育毛効果が処置1ヶ月で現れ、2ヶ月目にも持続される。また、実施例1及び実施例2の組成物を塗布した後、1〜2週内に脱毛減少効果が現れて、個人的な差はあるが、組成物を塗布した後、5〜7日内にふけ減少効果が現れ、時間が経つほどふけは完全に除去されて、頭のかゆみ症も完全に解消された。また、被験者の中、白毛を有した男性と女性の場合、黒毛が生成されたことを肉眼で確認することができた。前記結果から分かるように、発毛時期や発毛効果において、本発明の組成物は、個体による差は大きくなく、脱毛患者に効果がよくて、全体被験者において毛髪の太さが増加して、黒毛生成を促進した。また、副作用は、全く発見されなかった。比較例の組成物で処置した場合は、綿毛が生えるか、脱毛の減少、ふけの除去などが現れたが、有意性は見えなかった。
【0058】
前記被験者の中、40〜47歳男性の実施例2組成物の適用前及び適用2ヶ月経過後の様子を写真で撮影して、これを図6に示した。図6に示されたように、被験者は、脱毛が始まって前頭や脳天部分の髪の毛がほとんどなく、はげの兆候が現れ始めた。症状としては、頭のかゆみ症、ふけ、ストレスによる疲労などにより脱毛が深刻に進行されてきた。そこで、実施例2の組成物を一日2回にかけて頭皮に塗布した結果、塗布3日後から頭のかゆみ症とふけがなくなり、脱毛現象が顕著に減って、塗布1ヶ月後から前頭や脳天部分の脱毛部位に綿毛のような髪の毛が生え始め、連続的に髪の毛が生え始めて、塗布2ヶ月ぶりに肉眼で確認できる程度の毛髪状態になった。上記の結果から、本発明による組成物は、優れた毛髪成長効果を有するだけではなく、長期間塗布時にも人体に無害であることを確認することができた。
【0059】
<実験例6:黒毛生成促進効果を評価するためのチロシナーゼ活性測定>
黒毛生成促進効果を評価するために、ヒト由来黒色腫細胞(human melanoma cell)であるSk−mel−31とマウス由来黒色腫細胞(mouse melanoma cell)であるB16F10においてチロシナーゼの活性を調べた。細胞の培養のために、RPMI−1640(1%ペニシリン−ストレプトマイシン、10%牛胎児血清)培地で 、Sk−mel−31は1×106/ml、 B16F10は2×105/mlの密度を維持しながら、37℃(5% CO2, 60%相対湿度)の恒温・恒湿培養器で培養した。培養器で24時間細胞を安定化させた後、FBSが含まれた培養液を、FBSのないRPMI−1640で入れ換えて、それぞれ10μg、1μg、100ng、10ng、1ng、100pg、10pg及び1pgの混合希土、及び10ngの個々の希土類元素を処理した。チロシナーゼ活性を測定するために、一定時間培養した後、細胞を10分間遠心分離(100×g)して収獲した後、0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(1%トリトンX−100, 0.1mM PMSF(phenylmethyl sulfonyl fluoride)、pH 7.4)で細胞を超音波破砕し、1時間氷に放置した後、4℃で40,000×gで20分間遠心分離し、上澄み液のみを取った。100mM リン酸カリウム(pH 7.1)と4% N,N−ジメチルホルムアミド、0.1%(v/v)トリトンX−100を混合した分析用緩衝液250μlに5mM L−DOPA(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)130μl、25mM MBTH(3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(3-methyl-2-benzothiazolinone hydrazone))120μlを入れて、37℃恒温槽で5分間反応させた後、細胞抽出物100μgを入れて、再び2時間さらに反応した。その後、500μlの1M過塩素酸を加えて、常温で9,000×gで3分間遠心分離した。その後、上澄み液のみを取って、505nm で吸光度を測定した。
【0060】
図7及び図8にそれぞれsk−mel−31及びB16F10に混合希土及び個々の希土類元素(Ce, Eu, La, Gd)を処理した場合の結果を示した。図7及び8に示したように、10μgから1pgまで混合希土及び個々の希土類元素を処理した実験群では、混合希土を処理しなかった対照群よりチロシナーゼ活性が増加することを確認することができた。したがって、希土類元素がチロシナーゼ活性に影響を及ぼすことを確認することができた。即ち、混合希土や個々の希土類元素は、チロシナーゼの酵素活性を増加させて、メラニン生成を促進するため、黒毛生成促進効果があることが分かった。一方、個々の希土類元素で処理した場合、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、混合希土と実質的に同一な効果を奏することができることが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、チロシナーゼの酵素活性が最も大きく増加されることが確認できた。一方、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、上記の元素より効果が多少低いことが確認された。
【0061】
<実験例7:黒毛生成促進効果を評価するためのチロシナーゼ発現測定>
実験例6と同様な方法により細胞を培養した後、10分間遠心分離(100×g)して、細胞を収獲した。チロシナーゼの発現程度をウェスタンブロッティングにより確認するために、細胞抽出物100μgを10% SDS−PAGEで分離した後、NCに移して、5%脱脂乳を含有したTBSでブロッキングした後、1:2,500に希釈した一次抗体(monoclonal anti-tyrosine hydroxylase clone Th-2)と、1:5,000に希釈した二次抗体(Anti-mouse IgG)をそれぞれ反応させて、0.2%ツイン−20が含有されたTBSで洗浄し、ECL検出キットを利用してX−線フィルムに感光させた。その後、LabWork(商標)(version 4.5.00.0)のイメージ分析プログラムを使用して、OD値をグラフで示した。
【0062】
その結果を図9に示した。図9に示されたように、対照群に比べ、混合希土を処理した場合、チロシナーゼの発現が増加したことを確認することができた。したがって、混合希土は、チロシナーゼの発現を増加させて、髪の色を決定するメラニン色素の生成を促進させることが分かった。一方、個々の希土類元素で処理した場合、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、混合希土と実質的に同一な効果を奏することが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、チロシナーゼの発現が最も大きく増加されることが確認できた。一方、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、上記の元素より効果が多少劣ることが確認された。
【0063】
<実験例8:黒毛生成促進効果を評価するためのメラニン生成量測定>
実験例6と同一な方法で細胞を培養した後、10分間遠心分離(100×g)して、細胞を収獲した。メラニン生成量を測定するために、1N NaOHに細胞抽出物200μg(総1ml)を加えて、30分間常温に放置した後、400nmで吸光度を測定した。
【0064】
その結果を図10に示した。図10に示したように、混合希土を処理した場合、メラニンの生成量が、対照群に比べ増加することが分かった。このような結果からチロシナーゼの活性及び発現増加により、メラニンの量が増加して、黒毛生成促進効果を奏することがわかった。一方、個々の希土類元素で処理した場合も、混合希土で処理した場合と実質的に同一な効果が得られることが確認された。一方、個々の希土類元素で処理した場合、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、上記と実質的に同一な効果が得られることが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、メラニン量が最も大きく増加されることが確認できた。一方、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、上記の元素より効果が多少劣ることが確認された。
【0065】
<実験例9:ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)とトウガラシチンキ配合によるTGF−β及びVEGF発現、及びメラニン生成量の比較>
希土類元素の中、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びルテチウム(Lu)とトウガラシチンキの配合による相乗作用を調べるために、TGF−β及びVEGF発現量、及びメラニン生成量を比較した。
【0066】
TGF−β2とVEGF発現量を調べるために、前記実験例1と同一な方法により細胞を培養した後、実験例4と同一な方法により発現の程度を確認した。
【0067】
メラニン生成量実験のために、実験例6と同一な方法により細胞を培養及び収獲した後、実験例8と同一な方法によりメラニン生成量を測定した。
【0068】
その結果を図11及び図12に示した。図11に示したように、TGF−β2の場合、ランタンとトウガラシチンキが配合された実施例20の組成物を処理した場合、セリウムが含まれた実施例2の組成物を処理した場合と類似した発現量の減少を示した。VEGFの場合、ランタンとトウガラシチンキが配合された実施例20の組成物を処理した場合、セリウムが含まれた実施例2の組成物を処理した場合と類似した発現量の増加を示した。また、図12に示したように、ランタンとトウガラシチンキが配合された実施例20の組成物を処理した場合、セリウムが含まれた実施例2の組成物を処理した場合と類似したメラニン生成量の増加を示した。一方、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びルテチウム(Lu)とトウガラシチンキが配合された実施例21乃至24の組成物を処理した場合も、上記のものと実質的に同一な効果が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上述のように、本発明による毛髪改善用組成物は、TGF−βの発現を減少させて、毛嚢細胞の死滅を防止し、VEGFの発現を促進して血管拡張による血流量の増加により、毛根に栄養を供給して毛髪の成長を促進することにより、優れた脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防効果を有するだけではなく、毛根周囲のメラノサイトを活性化させて、メラニン色素の生産を増加させることにより、黒毛生成促進効果を有して、人体に無害で且つ安全であり、皮膚吸収力が高くて、べたつかないため皮膚感触に優れ、頭皮に副作用がない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪改善のための希土類元素の用途に関し、より詳細には、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の毛髪は、約10万〜15万個程度であり、それぞれの毛髪は、互いに異なる周期を有して成長期(anagen)、退化期(catagen)、休止期(telogen)を経て成長、脱落する。このような周期は、3〜6年にかけて繰り返されるが、その結果、一日平均50〜100個の毛髪が脱落する。脱毛症は、成長期の毛髪比率が短くなり、退化期または休止期の毛髪比率が長くなって生じる現象である。脱毛の原因としては、毛根、皮脂腺などの器官から男性ホルモンのアンドロゲンが過度に分泌され、毛嚢細胞を強く刺激して毛嚢を萎縮させることにより、毛髪成長が遅延されることが原因として挙げられる。その他にも、局所血流障害による栄養供給の障害、皮脂分泌過剰、過酸化物、細菌などによる頭皮機能の低下、外部の強いストレス、慢性疾患による神経症状の悪化などが主要原因として知られている。しかも、現代社会に入って、過労、環境汚染や中毒性薬物の誤濫用による副作用、パーマ、染色、ムース、スプレーなどの使用による頭皮の血流障害と遺伝などの理由により脱毛の発生がさらに深刻になるにつれて、発毛に対する関心が増加している。最近は、男性型脱毛だけではなく、女性の肥満性脱毛を始めとして、若い層における脱毛が拡散されていく趨勢であって、このような脱毛現象を改善するために、様々な種類の発毛剤または育毛剤が市販されている。市販されている発毛剤または育毛剤としては、塩化カプロニウム(Carpronium chloride)、ミノキシジル(minoxidil)などの血管拡張剤やエストロゲン、エストラジオールなどの男性ホルモン作用を抑制するためのホルモン剤及びペンタデカン酸、フィナステライド(finasteride)などの男性ホルモン活性抑制剤などがある。
【0003】
脱毛症の治療や予防及び発毛促進用薬物として、現在まで最も広く使用される製剤は、米国特許第4,596,812号に開示されているUpjohn社のミノキシジル含有製剤があって、現在まで米国FDAの承認を受けた二つの発毛剤成分の一つである。ミノキシジルは、血圧降下の目的で開発された高血圧治療剤であるが、使用上の副作用として発毛現象が現れ、今は発毛剤としてもっと有名な薬物となった。ミノキシジルの発毛作用メカニズムについては、正確に明かされていないが、血管拡張効果による血流量の増加により毛根に栄養を供給して、毛髪の成長を促進すると考えられている。このような血流量増加モデルは、ミノキシジルが、毛根を構成する主要細胞である毛乳頭(dermal papilla)において、血管拡張に係わる成長因子の血管上皮成長因子(VEGF; vascular endothelial growth factor)の発現を増加させるとの最近の報告(文献[Br. J. of Dermatol., 1998; 138; 407-411])により間接的に証明される。また、ミノキシジルの発毛効果メカニズムにおいて、血管拡張効果の他にも、体外培養中の毛根の毛乳頭細胞活性化(文献[Skin Pharmacol., 1996; 9; 3-8])及び毛嚢組織培養において毛嚢の成長を促進するとの報告(文献[J. Invest. Dermatol., 1989; 92; 315-320])などは、ミノキシジルが毛根に直接的な成長因子として作用することを示唆している。また、最近発売が始まったMerck社のプロペシア(Propecia)の主成分であるフィナステライドは、男性ホルモンであるテストステロンが、5α-reductaseの作用によりさらに強力な形態の男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT: dihydrotestosterone)に転換されることを抑制する。1997年12月、男性型脱毛症の治療剤として、1mgタブレットがFDAから使用承認を受けて、現在市販中であって、臨床結果、有意な効果を示すと判明された(文献[J. Am. Acad. Dermatol., 1998; 39; 578-589])。その他にも、天然物及び生薬成分の抽出物を頭皮に塗るか、服用することにより発毛を促進しようとする試みが数多くなされてきた。
【0004】
脱毛症の予防及び治療に広く使用されているミノキシジルや塩化カプロニウムは、臨床効果に優れていないという問題点を有しており、男性ホルモンの抑制のためのホルモン剤と男性ホルモン活性抑制剤は、臨床効果があまり高くないか、男性機能を抑制する副作用などの問題点があるばかりか、活性成分が合成化合物であって、人体内で安全性に問題があり、発毛、育毛においても十分な効果を得ることが難しい。また、各種抽出物を含有した毛髪改善用組成物は、その作用原理が明確ではなく、効能が十分検証されていないという実情があり、皮膚に塗布時、有効成分の吸収力が低く、頭皮に残ってべたつくなど、皮膚感触がよくないが、皮膚異常を起こす問題点がある。化学薬品の副作用による発毛剤の限界を克服するために、頭皮に髪の毛を移植する手術方法が提案されたが、髪の毛を一々移植する過程でかなりの費用がかかるだけではなく、移植期間が長期化されて、臨時的な処方に過ぎず、根本的な治療方法にはならないという問題点がある。
【0005】
毛髪は、大きく毛表皮、毛皮質、毛髄質の三つの部分から構成されており、毛髄質を包んでいる毛皮質は、毛髪において最も厚い部分(80〜90%)であって、メラノソームというメラニン色素と脂質膜とTRP(Tyrosinase Related Protein)−1、TRP−2及びその他のタンパク質から構成された顆粒を含んでいる。メラニン色素は、メラノサイト内の小器官であるメラノソームで合成されて、メラノサイトの樹状突起を通じて、周囲のケラチノサイトに移行する。メラニンの合成経路をみると、まず、アミノ酸のチロシンが酸化されてドパに、さらに酸化されてドパキノンが生成される段階でチロシナーゼが関与して、その後の反応は、自動酸化的に進行されるが、TRP−1及びTRP−2のような酵素が関与して反応を加速化させると知られている。チロシンを原料として形成されるユーメラニン(eumelanin)及びフェオメラニン(pheomelanin)の類型と分布量などの要因により、毛髪の明るさが決定されて、人毎に独特の毛髪色が表れる。ユーメラニンは、最も有り触れて最も濃い色素であって、褐色と黒色の髪を形成して、フェオメラニンは、より薄い色の色調であって、金髪を形成する。白毛は、ドパキノンでその作用が止まって、毛髪がケラチン化されて形成された白髪であって、チロシナーゼを作れないため、酸化作用がなされなかった状態である。白毛は、特に黒褐色系の毛髪を有する人種においてさらに明確に現れて、メラノサイトでメラニン生成が止まったから起こる現象であって、一種の老化現象である。このような老人性白髪の他にも、壮年性白髪、遺伝性白毛、尋常性白斑、円形脱毛症などによる後天性白毛、薬物及び化学物質による白髪、ストレスによる白毛、自己免疫性疾患による白髪、栄養失調及び栄養不均衡による白毛、腎臓機能低下による白毛などがある。
【0006】
遺伝子により発生する白毛は、遺伝子治療に期待するか、疾患による白毛は、その疾患を治療することにより解決できる。その他の場合は、民間療法として、何首烏やひねショウガ、ひじき、乾地黄、熟地黄、桑の実、プランチーノオイル、竹油、熊脂などを使用する方法が知られているが、大きい効果を期待することは難しい実情である。
【0007】
一方、希土類元素は、地殻中に約0.016%が含有されている微量の金属元素であって、元素周期律表の原子番号57から71まで15個(La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Lu)と第3A族の2個(Sc,Y)とを合わせて、17個の元素が含有された鉱物を意味する。希土類元素は、対イオンと共にイオン結合した塩(salt)の形態、例えば、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アセト酸塩、燐酸塩、塩化物などの形態や、水酸化物(hydroxides)を始めとした酸化物(oxides)形態として存在することができる。希土類元素は、発見されてから200余年しか過ぎておらず、一般人にはよく知られていないが、その利用価値は非常に大きくて、希土類元素が有している特異な電子構造により、独特の物理的、化学的性能を示すため、永久磁石、超伝導体、蛍光材料のように、機械、石油化学、光化学などに利用されており、最近は、農業、林業、畜産業などの様々な分野でも応用が試みられている。ひいては、生物学的効果として、希土類元素は、高等植物の光合成作用と葉緑素形成を促進して、芽の発芽促進、根の活力、呼吸作用の活性化、体内養分移動の促進、水分調節、細胞分裂の促進、ホルモン転移移送の促進、栄養元素の吸収と体内移動の促進、物質代謝の活性化、葉内のRNAとタンパク質合成増加などの機能を示して、葉の老化過程を遅延させて、緑藻類のタンパク質含量を高めて、光合成と酸素放出活性を促進させて、タンパク質と葉緑素形成を促進させる。La3+は、ヒトの赤血球細胞膜の(Na+、K+)−ATP酵素と、Mg2+−ATP酵素の活性を増加させて、体内Ca2+イオンの機能を強化することが知られており(文献[The Journal of Biological Chemistry; 1986; 261(20); 9552-9557])、一部の希土類元素は、抗細菌効果を有し(文献[Chem. Pharm. Bull.; 2003; 51(5); 494-498]、活性酸素の生成を抑制し、抗酸化作用を示し(文献[Biochemical and Biophysical Research Communication; 2006. 2; 342; 86-91])、いくつかの希土類元素は、アルカリ性イオンを帯びて、遠赤外線との作用により、体内の細胞活性、血液循環促進、新陳代謝強化、組織再生の能力増加により、疲労と老化現象を抑制する効果があることが公知であり、成長肥育豚において、体重増加と飼料転換率を増進(文献[J. Anim. Physiol. a. Anim. Nutr.; 2001; 85; 263-270])させることが知られている。また、希土類元素は、低毒性物質に属して、消化器官を通じての吸収はごく少なく、特別な体内蓄積現象がなく、奇形を招来するか、突然変異を起こすか、癌を誘発する作用もないことが明かされた(文献[Environmental Health Perspectives; 1996; 104; 85-95])。
【0008】
大韓民国特許第569,083号は、酸化セリウムに、4価のセリウムイオンより大きいイオン半径を有する金属イオン及び/または4価のセリウムイオンより低原子価の金属イオンを固溶させてなされる金属酸化物固溶酸化セリウムを含む紫外線遮断剤と、これを含有する化粧料を開示して、これが頭髪化粧料としても使用可能であることを記載している。しかしながら、これは、酸化セリウムの金属イオン固溶体に関するもので、希土類元素やその塩または混合希土を使用することとは全く相異なるものである。米国特許第5,112,360号は、5,6−ジヒドロキシインドール及び/またはインドール誘導体及び少なくとも一つの希土類元素塩を含有する染毛剤を開示している。しかしながら、これは、インドール化合物と希土類元素塩からなる組成物の染毛効果に関するもので、毛根や毛髪に適用時、希土類元素が単独で直接的な黒毛生成促進効果を有することについては、教示や暗示が全くない。また、日本特開2003−137749号(2003.5.14.公開)は、ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)またはルテチウム(Lu)のような天然放射性希土類元素を含む天然鉱石を粒径5μm以下に微分化して、これを着色剤と共に、アルコール系溶媒及びこれに可溶の溶質からなる粘液状バインダー中に混合した混合材料をスプレー容器に入れてなされることを特徴とする、スプレー容器に入っている増毛剤を開示している。前記公開特許は、毛髪の欠損部分に処置して、視覚的に増毛したように見せかけながら、頭皮付近の環境を改善し、自毛の再生乃至育毛を促進するための増毛乃至偽増毛剤に関するもので、スプレー後、頭皮に付着された放射性希土類元素が放出するβ線がマイナスイオンを形成し血行促進作用をして、自毛の再生または育毛を促進する効果を示すと記述している。しかしながら、前記公開特許は、天然放射性希土元素単独のβ線放出による血行促進作用及びそれにより期待される増毛乃至育毛効果に関するもので、希土元素による細胞増殖の促進、TGF−β発現の抑制、VEGF発現の促進、チロシナーゼ活性及び発現の促進、メラニン生成の促進については、全く触れていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、既存の発毛剤の様々な問題点を考慮し、人体に安全で且つ副作用を起こすことなく、優れた脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、黒毛生成促進剤を開発するために、持続的な研究を行ってきた。その結果、驚くことに、一つ以上の希土類元素が前記用途に効果的に使用できることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明の第1目的は、一つ以上の希土類元素を含有する脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進用の組成物を提供することである。
【0011】
本発明の第2目的は、一つ以上の希土類元素の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途を提供することである。
【0012】
本発明の第3目的は、一つ以上の希土類元素を利用する脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進方法を提供することである。
【0013】
本発明の第4目的は、一つ以上の希土類元素を利用して、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進剤を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1面は、 有効成分として、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を含有する、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進用組成物に関する。
【0015】
本発明の第2面は、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途に関する。
【0016】
本発明の第3面は、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進を必要とする対象に、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を適用する段階を含む、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進方法に関する。
【0017】
本発明の第4面は、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を利用して、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進剤を製造する方法に関する。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用された用語‘脱毛防止’は、部分的または完全脱毛の防止、抑制、阻止及び減少を意味する。
【0020】
本発明で使用された用語‘発毛促進’は、毛髪発生の維持、誘導、刺激、促進及び再生、欠損毛髪の成長、または毛髪周期において成長期の延長を包括する意味として定義する。
【0021】
本発明で使用された用語‘育毛’は、柔毛の脱落防止、発育/成長促進、または 柔毛を末端毛に転換させることを包括する意味として定義する。
【0022】
本発明において、‘脱毛’または‘脱毛症’は、毛髪成長の欠損及び部分的あるいは全体的な毛髪の喪失を意味し、男性ホルモン性脱毛症または男性型脱毛症、毒性脱毛症、円形脱毛症、休止期脱毛症、内分泌異常、代謝障害、栄養障害による脱毛、薬剤性脱毛症、機械的脱毛症、皮膚疾患に伴われる脱毛症、瘢痕性脱毛症、先天性脱毛症、トリコチロマニアなどを全て含むが、これらに制限されるものではない。
【0023】
希土類元素は、互いに類似した物理化学的性質を共有するため、本発明で使用可能な希土類元素の種類に特に制限はなく、希土類元素のいずれか一つを単独またはその他の希土類元素との混合物として使用することができ、セリウム(Ce)を使用することがより好ましい。希土類元素の塩も同様に、薬剤学的または化粧学的に許容される無毒性のものである限り、使用可能であって、その例としては、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アセト酸塩、リン酸塩、塩化物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。希土類元素の酸化物(例えば、Ce2O3、La2O3など)も同様に、薬剤学的または化粧学的に許容される無毒性のものである限り、制限なく使用可能である。本発明において、希土類元素の酸化物は、希土類元素の水酸化物(例えば、Ce(OH)3、La(OH)3など)を含む概念である。
【0024】
本発明において、希土類元素は、微細粉末に粉砕して使用でき、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.001〜10重量%、より好ましくは0.001〜0.1重量%として含有される。
【0025】
本発明の組成物は、薬剤学的または化粧学的に許容される担体をさらに含有することができる。本発明の組成物は、製薬または化粧品製造分野で通常的に使用されるか、よく知られている装置及び方法のいずれかを使用して製造することができる(文献[Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania 18042 (Chapter 87: Balug, Seymour)])。本発明の組成物は、通常基剤を含有して、必要に応じて、一般に薬品または化粧品原料として使用される成分を適宜配合することができる。本発明の組成物の基剤は、通常的に使用されるいかなるものでも使用可能であって、その例は、精製水、ミネラルウォーター、エタノール、グリセリン、スクアレン、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、蓖麻子油、ツバキ油、liquid petrolatumを含む。本発明の組成物に配合されるその他の成分の例は、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、香料を含み、これらに限定されるものではない。
【0026】
界面活性剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または非イオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤の例は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸などの高級脂肪酸のアルカリ塩類(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩);ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸エステル塩類;及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキルエーテル硫酸エステル塩類を含む。非イオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミドを含む。アニオン界面活性剤の例は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ステアリルビス(ジエチルアルコール)ヒドロキシエチルアンモニウムを含む。
【0027】
乳化剤の例は、セタノール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを含む。
【0028】
増粘剤の例は、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを含む。
【0029】
防腐剤の例は、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル及び塩化ベンズアルコニウムを含む。
【0030】
酸化防止剤の例は、ブチルヒドロキシトルエン、プロピルガレート及びブチルヒドロキシアニソールを含む。
【0031】
香料は、一般的な目的で主に使用されるパーヒュームであって、その例は、シトラス、ラベンダー、フローラルを含む。
【0032】
本発明の組成物には、上記成分の他にも、毛嚢に栄養素を供給する役割をするグルコース、キシロース、マンノース、アラビノースなどの単糖類及びマルトース、スクロース、セロビオース、トレハロースなどの二糖類などの糖類から1種以上をさらに含むことができ、これらの量は、全体組成物の0.01〜1重量%が好ましい。また、本発明の組成物は、通常的に使用される毛髪成長促進補助成分を含むことができるが、例えば、人参、苦参、みかん陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木酢液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アセト酸トコフェロールなどのトコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチン、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸類、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の成分をさらに含有することができる。これらの量は、全体組成物の0.0001〜10重量%が好ましい。
【0033】
一方、ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)またはルテチウム(Lu)の希土類元素とトウガラシチンキの配合時、二つの成分間の相乗作用により、優れたTGF−β発現減少及びVEGF発現促進による脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防効果はもちろん、チロシナーゼ活性及び発現促進及びメラニン生成促進による黒毛生成促進効果を奏することができる。目的とする相乗作用を奏する限り、二つの成分の配合比に特に制限はないが、例えば、前記希土元素とトウガラシチンキは、1:0.0001〜1、好ましくは1:0.01〜1、より好ましくは、1:0.1〜1の重量比で含有することが好ましい。これは、前記範囲内で目的する相乗作用が最大化できるからであるが、本発明の範囲が前記特定範囲に制限されるものではない。さらに、本組成物は、ショウガチンキ及び/またはカンタリスチンキをさらに含有することができる。ショウガチンキは、ショウガ(Zingiber officinate roscoe)の根茎をエタノールで浸出して得たチンキ剤であって、刺激成分であるジンゲロン(zingerone)、ショガオール(shogaol)などが毛根を刺激して発毛を促進すると知られている。カンタリス(cantharis)は、ツチハンミョウ科の昆虫を称するもので、カンタリスチンキは、前記昆虫からエタノール抽出により得られる成分である。
【0034】
本発明の組成物の適用対象に特に制限はなく、本発明の組成物は、人間だけではなく、飼育動物やペットを含む全ての動物に適用できる。
【0035】
本組成物は、経皮(transdermally)または経口(orally)で投与でき、そのために、ローション、軟膏、ジェル、クリーム、パッチ、噴霧剤、錠剤、丸剤、粉末、サシェ(sachet)、エリキシル(elixir)、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップまたは軟質または硬質カプセルに剤形化することができる。
【0036】
特に、本発明の組成物は、毛髪または頭皮に直接塗布または散布するなどの方法により使用できる。本発明の組成物が適用される毛髪とは、頭の毛根及び毛嚢、髪の毛及び眉毛と睫毛、ひげ、腋毛、陰毛、身体全般の毛根及び毛嚢のある全ての部位を含む。したがって、本発明は、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、ヘアースプレー、ヘアームース、ヘアージェル、ヘアーコンディショナー、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアーパック、ヘアートリートメント、眉毛発毛剤、睫毛発毛剤または睫毛栄養剤、またはペット用シャンプー及びペット用リンスに使用できる。
【0037】
本発明による希土類元素の容量は、性別、年齢、脱毛症状、毛髪状態などを考慮し適宜決定することができる。通常成人を対象にした一日容量は、約0.1〜5mg/cm2で、一日1〜5回適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】各成分の濃度による細胞増殖促進効果を示したグラフである。
【図2】一定な濃度において、混合希土及び個々の希土類元素の細胞増殖促進効果を示したグラフである。
【図3】動物において、本発明による組成物の発毛促進効果を示す写真である。
【図4】本発明による組成物の処理後、動物皮膚組織を顕微鏡で観察した写真である。
【図5】本発明による組成物の処理後、動物組織内TGF−β2及びVEGF発現を示したグラフである。
【図6】ヒトにおいて、本発明による組成物の発毛促進効果を示す写真である。
【図7】ヒト由来黒色腫細胞株にそれぞれの元素を濃度別に処理した後、チロシナーゼ活性を示したグラフである。
【図8】マウス由来黒色腫細胞株にそれぞれの元素を濃度別に処理した後、チロシナーゼ活性を示したグラフである。
【図9】ヒト由来黒色腫細胞株とマウス由来黒色腫細胞株に混合希土及び個々の希土類元素を処理した後、チロシナーゼ発現を示したグラフである。
【図10】ヒト由来黒色腫細胞株とマウス由来黒色腫細胞株に混合希土及び個々の希土類元素を処理した後、メラニン生成量を示したグラフである。
【図11】ランタンにトウガラシチンキを配合して処理した後、TGF−β2及びVEGF発現量を示したグラフである。
【図12】ヒト及びマウス由来黒色腫細胞株において、ランタンにトウガラシチンキを配合して処理した後、メラニン生成量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
<実施例1:毛髪改善用組成物の製造>
表1に示した成分及び含量を利用して、混合希土粉末及びその他の成分を均一に混合した後、ろ過して毛髪改善用組成物を製造した。製造された毛髪改善用組成物は、薄い褐色であり、不透明で、pHが5.0〜8.5であった。
【0041】
【表1】
【0042】
<実施例2〜18:毛髪改善用組成物の製造>
前記実施例1において、混合希土の代わりに、Ce(実施例2)、Pr(実施例3)、Pm(実施例4)、Eu(実施例5)、Tb(実施例6)、Dy(実施例7)、Ho(実施例8)、Er(実施例9)、Tm(実施例10)、Yb(実施例11)、Sc(実施例12)、Y(実施例13)、La(実施例14)、Nd(実施例15)、Sm(実施例16)、Gd(実施例17)及びLu(実施例18)の個々の希土類元素をそれぞれ使用したことを除いては、実質的に同一な過程により毛髪改善用組成物を製造した。
【0043】
<実施例19:毛髪処理用組成物の製造>
前記実施例1において、混合希土粉末の代わりに、La、Nd、Sm、Gd及びLuの混合粉末を0.1重量%使用して、トウガラシチンキ0.01重量%をさらに使用したことを除いては、実質的に同一な過程により毛髪改善用組成物を製造した。製造された毛髪処理用組成物は、薄い褐色であり、不透明で、pHが5.0〜8.5であった。
【0044】
<実施例20〜24:毛髪処理用組成物の製造>
前記実施例19において、La、Nd、Sm、Gd及びLuの混合粉末の代わりに、La(実施例20)、Nd(実施例21)、Sm(実施例22)、Gd(実施例23)及びLu(実施例24)の個々の希土元素をそれぞれ使用したことを除いては、実質的に同一な過程により毛髪処理用組成物を製造した
【0045】
<比較例>
実施例1の組成から希土粉末を除いて組成物を製造した。
【0046】
<実験例1:希土類元素による細胞増殖促進効果の測定>
マウス胚芽線維芽細胞であるNIH 3T3細胞を、10%牛胎児血清(FBS)と1%ペニシリン−ストレプトマイシンが添加されたDMEM(Dulbeceo's Modified Eagle's Medium)で2×106 または4×106 細胞/mlの密度を維持しながら、37℃(95% O2, 5% CO2, 60%湿度)恒温・恒湿培養器で培養した。細胞の増殖促進実験のために、MTT(3-(4,5-dimethyl-thiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazoliumbromide)アッセイ方法を使用した。MTT実験のために、96ウェルプレートにウェル当たり2×103細胞/mlの各細胞を分株して、10% FBSが含まれた培養液を処理した。培養器で24 時間細胞を安定化させた後、FBSが含まれた培養液を、FBSのないDMEMで入れ換えて、それぞれ10μg、1μg、100ng、10ng、1ng、100pg、10pg及び1pgの混合希土、及び10ngの個々の希土類元素を処理した。一定時間培養後、ウェル当たり50μlのMTT(2mg/1ml滅菌蒸留水)を添加して4時間反応させ、DMSO(dimethyl sulfoxide)を処理して30分間振った後、ELISAリーダー(550, Bio−rad)を利用して540nmで吸光度を測定した。
【0047】
各元素(混合希土、Ce、Eu、La、Gd)の濃度による細胞増殖結果を図1に、一定な濃度の各元素の処理結果を図2にそれぞれ示した。図1に示したように、10μgから1pgまで各元素を処理した実験群は、何も処理しなかった無処理群より細胞の増殖が活発になることを確認することができた。特に、無処理群に比べ、セリウム添加後は、細胞増殖が1.69倍に増加した。したがって、各元素が細胞の増殖に影響を及ぼすことを確認することができた。また、図2に示したように、それぞれの元素を10ngずつ処理した場合も、細胞増殖が無処理群に比べて増加し、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、互いにほぼ等しい程度の効果を示すことが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、細胞増殖が最も大きく増加されることが確認できた。これに比べ、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、相対的に多少劣る効果を有することが確認された。
【0048】
<実験例2:動物における発毛効果の測定>
実験動物は、6週齢のC57BL6雄性マウス(29±3g)で、実験開始前、一般固形飼料(Samyang社)と水を自由摂取させ、ポリプロピレンボックス(453×293×247(H)mm, 19l)で1週間(20〜24℃、湿度60〜80%)の予備飼育で適応期間をおいた。その後、実験動物群の背中部位の一定面積(3×5cm2)を刈って、無作為に比較例の組成物処理群(対照群)、及び実施例1の組成物処理群及び実施例2の組成物処理群(実験群)に分けた。各群は、一日24時間を、それぞれ12時間ずつ明、暗状態に分けて維持した。実施例1及び2と比較例によって製造された組成物を、朝と夜の一定な時間を決めて、一日2回ずつ一定量(1ml)を塗布した。全ての実験では、暗状態の時は実験を行わず、実験マウスが安定を取るように配慮して、組織採取時は、実験前24時間の回復期間をおいた。
【0049】
その結果を図3に示した。図3に示されたように、実施例1と実施例2の組成物で処理した場合、時間が経つにつれて毛が生えていることを確認した。実施例1及び実施例2の組成物で処理した場合、比較例の組成物で処理した場合より毛が生える速度が著しく速く、毛の数にも大きい差があって、毛の太さ及びつやにおいても勝っていることが確認できた。また、組成物処理20日後からは、発毛速度が非常に速く、実験群と対照群の明らかな差を確認することができた。特に、セリウムが添加された実施例2の組成物は、混合希土が添加された実施例1の組成物とほぼ等しい効果を示した。
【0050】
<実験例3:動物皮膚組織の観察>
頚椎脱臼法で前記実験例2の実験動物を犠牲させた後、皮膚を分離してPBS(Phosphate buffered saline)で異物を最大限除去し、はさみで実験部位を切り出した後、下記の実験に使用した。分離した皮膚を10%ホルムアルデヒドに入れて、一日間固定させて、10mm3大きさに切って、自動浸透器で12時間自動浸透させた後、パラフィンブロックを作って、薄切り機を使用して4μmの厚さに薄切 した。その後、ヘマトキシリン&エオシン染色条件によって染色した。判読及び写真撮影は、光学顕微鏡を使用して100倍で行った。
【0051】
その結果を図4に示した。図4に示されたように、実施例1及び実施例2の組成物を処理した実験群と比較例の組成物を処理した対照群は、毛髪成長において大きい差があることが分かった。実験群の場合は、毛嚢(Hair follicle)が皮膚及び脂肪組織と真皮(dermis)から生じて、表皮(epidermis)側に多く成長して生えているが、対照群の場合は、成長の始まり段階であることが分かった。毛嚢の数においても、対照群に比べ、実験群でさらに多いことを確認した。特に、セリウムが添加された実施例2の組成物は、混合希土が添加された実施例1の組成物とほぼ等しい効果を示した。参考に、実験動物は、人間のようにそれぞれ異なる毛周期を有するモザイクタイプではなく、毛髪全体の毛周期が一致するシンクロニスティック(synchronistic)タイプである。
【0052】
<実験例4:TGF−β2及びVEGF発現の測定>
TGF−βは、同種異形質体であって、種々の細胞と組織において、初期発生の調節、細胞周期の調節、細胞増殖及び分化、移動、生存、細胞外基質の生産、免疫体系、血管生成と血球細胞の生産、細胞死誘導、骨格形成、傷の治癒などを調節する多機能性サイトカインであって、毛周期の退化期には、TGF−βが発現されつつ毛髪細胞の枯死(apoptosis)を誘導すると知られている。血管上皮成長因子(VEGF)は、同種異形質の糖タンパク質で、傷部位で血管新生を刺激すると知られた最も一般的且つ効果的な成長因子であって、多い血管組織で発現されて、上皮細胞に特異的なマイトジェン(mitogen)で上皮細胞の移動と増殖を誘導し、血管の透過性を増加させる役割をすると知られている。VEGFは、既に販売されているミノキシジルの発毛作用メカニズムで、毛根を構成する主要細胞である毛乳頭で血管拡張効果による血流量増加により毛根に影響を供給し、毛髪成長を促進すると考えられている。
【0053】
上記のタンパク質の発現程度をウェスタンブロッティング(western blotting)により確認するために、実験例3の実験動物組織から得たタンパク質を12% SDS−PAGEで分離した後、NC(nitrocellulose membrane)に移した。この際、実験例2及び3において、ランタンが添加された実施例14の組成物で処理した群を含ませた。その後、NCを、5%脱脂乳を含有したトリス緩衝塩水(TBS)でブロッキングして、1:1,000に希釈した一次抗体(抗−TGF−β2及び抗−VEGFラビットIgG)と1:1,000に希釈した二次抗体(ペルオキシダーゼ−抱接された抗−ラビットIgG)にそれぞれ反応させた後、0.05%ツイン−20が含有されたTBSで洗浄し、ECL検出キットを利用してX−線フィルムに感光させた。その後、LabWork(商標)(version 4.5.00.0)のイメージ分析プログラムを使用して、OD値をグラフで示した。
【0054】
その結果を図5に示した。図5に示されたように、実施例1、2及び14の組成物処理群(実験群)において、TGF−β2の発現量は、比較例の組成物処理群(対照群)に比べ、大きく減少することが分かる。また、VEGFは、対照群より実験群でさらに多く発現されることを確認することができた。即ち、本発明の毛髪改善用組成物は、TGF−βの活性を減少させて、VEGFの活性を促進させることにより、TGF−βによる毛嚢細胞死滅を抑制して、血管拡張効果による血流量増加により毛根に栄養を供給し毛髪成長を促進して、脱毛の防止及び育毛の効果を奏することができる。特に、セリウムが含まれた実施例2の組成物処理群において、混合希土が含まれた実施例1の組成物処理群より優れた効果が現れた。その反面、ランタンが含まれた実施例14の組成物処理群では、無処理群よりは優れた効果が現れたが、実施例1や実施例2の組成物処理群よりは相対的に劣る効果が現れた。
【0055】
<実験例5:ヒトにおける発毛及び黒毛効果の測定>
男性及び女性の各種脱毛症患者30名を、10名ずつ、実施例1の組成物、実施例2の組成物、比較例の組成物で処置した後、その有効性を評価した。頭皮への投与は、1日2回、毎日2ヶ月間行って、育毛状態を1ヶ月後と2ヶ月後に評価した。判定基準は、
1.高い効果がある−新生毛が観察される(硬毛)
2.中間程度の効果がある−新生毛が観察される(柔毛)
3.少し効果がある−脱毛の数が減少する
4.ふけが減少する
で評価して、その結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
上記表2に示したように、本発明による組成物は、発毛及び育毛効果が処置1ヶ月で現れ、2ヶ月目にも持続される。また、実施例1及び実施例2の組成物を塗布した後、1〜2週内に脱毛減少効果が現れて、個人的な差はあるが、組成物を塗布した後、5〜7日内にふけ減少効果が現れ、時間が経つほどふけは完全に除去されて、頭のかゆみ症も完全に解消された。また、被験者の中、白毛を有した男性と女性の場合、黒毛が生成されたことを肉眼で確認することができた。前記結果から分かるように、発毛時期や発毛効果において、本発明の組成物は、個体による差は大きくなく、脱毛患者に効果がよくて、全体被験者において毛髪の太さが増加して、黒毛生成を促進した。また、副作用は、全く発見されなかった。比較例の組成物で処置した場合は、綿毛が生えるか、脱毛の減少、ふけの除去などが現れたが、有意性は見えなかった。
【0058】
前記被験者の中、40〜47歳男性の実施例2組成物の適用前及び適用2ヶ月経過後の様子を写真で撮影して、これを図6に示した。図6に示されたように、被験者は、脱毛が始まって前頭や脳天部分の髪の毛がほとんどなく、はげの兆候が現れ始めた。症状としては、頭のかゆみ症、ふけ、ストレスによる疲労などにより脱毛が深刻に進行されてきた。そこで、実施例2の組成物を一日2回にかけて頭皮に塗布した結果、塗布3日後から頭のかゆみ症とふけがなくなり、脱毛現象が顕著に減って、塗布1ヶ月後から前頭や脳天部分の脱毛部位に綿毛のような髪の毛が生え始め、連続的に髪の毛が生え始めて、塗布2ヶ月ぶりに肉眼で確認できる程度の毛髪状態になった。上記の結果から、本発明による組成物は、優れた毛髪成長効果を有するだけではなく、長期間塗布時にも人体に無害であることを確認することができた。
【0059】
<実験例6:黒毛生成促進効果を評価するためのチロシナーゼ活性測定>
黒毛生成促進効果を評価するために、ヒト由来黒色腫細胞(human melanoma cell)であるSk−mel−31とマウス由来黒色腫細胞(mouse melanoma cell)であるB16F10においてチロシナーゼの活性を調べた。細胞の培養のために、RPMI−1640(1%ペニシリン−ストレプトマイシン、10%牛胎児血清)培地で 、Sk−mel−31は1×106/ml、 B16F10は2×105/mlの密度を維持しながら、37℃(5% CO2, 60%相対湿度)の恒温・恒湿培養器で培養した。培養器で24時間細胞を安定化させた後、FBSが含まれた培養液を、FBSのないRPMI−1640で入れ換えて、それぞれ10μg、1μg、100ng、10ng、1ng、100pg、10pg及び1pgの混合希土、及び10ngの個々の希土類元素を処理した。チロシナーゼ活性を測定するために、一定時間培養した後、細胞を10分間遠心分離(100×g)して収獲した後、0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(1%トリトンX−100, 0.1mM PMSF(phenylmethyl sulfonyl fluoride)、pH 7.4)で細胞を超音波破砕し、1時間氷に放置した後、4℃で40,000×gで20分間遠心分離し、上澄み液のみを取った。100mM リン酸カリウム(pH 7.1)と4% N,N−ジメチルホルムアミド、0.1%(v/v)トリトンX−100を混合した分析用緩衝液250μlに5mM L−DOPA(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)130μl、25mM MBTH(3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(3-methyl-2-benzothiazolinone hydrazone))120μlを入れて、37℃恒温槽で5分間反応させた後、細胞抽出物100μgを入れて、再び2時間さらに反応した。その後、500μlの1M過塩素酸を加えて、常温で9,000×gで3分間遠心分離した。その後、上澄み液のみを取って、505nm で吸光度を測定した。
【0060】
図7及び図8にそれぞれsk−mel−31及びB16F10に混合希土及び個々の希土類元素(Ce, Eu, La, Gd)を処理した場合の結果を示した。図7及び8に示したように、10μgから1pgまで混合希土及び個々の希土類元素を処理した実験群では、混合希土を処理しなかった対照群よりチロシナーゼ活性が増加することを確認することができた。したがって、希土類元素がチロシナーゼ活性に影響を及ぼすことを確認することができた。即ち、混合希土や個々の希土類元素は、チロシナーゼの酵素活性を増加させて、メラニン生成を促進するため、黒毛生成促進効果があることが分かった。一方、個々の希土類元素で処理した場合、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、混合希土と実質的に同一な効果を奏することができることが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、チロシナーゼの酵素活性が最も大きく増加されることが確認できた。一方、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、上記の元素より効果が多少低いことが確認された。
【0061】
<実験例7:黒毛生成促進効果を評価するためのチロシナーゼ発現測定>
実験例6と同様な方法により細胞を培養した後、10分間遠心分離(100×g)して、細胞を収獲した。チロシナーゼの発現程度をウェスタンブロッティングにより確認するために、細胞抽出物100μgを10% SDS−PAGEで分離した後、NCに移して、5%脱脂乳を含有したTBSでブロッキングした後、1:2,500に希釈した一次抗体(monoclonal anti-tyrosine hydroxylase clone Th-2)と、1:5,000に希釈した二次抗体(Anti-mouse IgG)をそれぞれ反応させて、0.2%ツイン−20が含有されたTBSで洗浄し、ECL検出キットを利用してX−線フィルムに感光させた。その後、LabWork(商標)(version 4.5.00.0)のイメージ分析プログラムを使用して、OD値をグラフで示した。
【0062】
その結果を図9に示した。図9に示されたように、対照群に比べ、混合希土を処理した場合、チロシナーゼの発現が増加したことを確認することができた。したがって、混合希土は、チロシナーゼの発現を増加させて、髪の色を決定するメラニン色素の生成を促進させることが分かった。一方、個々の希土類元素で処理した場合、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、混合希土と実質的に同一な効果を奏することが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、チロシナーゼの発現が最も大きく増加されることが確認できた。一方、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、上記の元素より効果が多少劣ることが確認された。
【0063】
<実験例8:黒毛生成促進効果を評価するためのメラニン生成量測定>
実験例6と同一な方法で細胞を培養した後、10分間遠心分離(100×g)して、細胞を収獲した。メラニン生成量を測定するために、1N NaOHに細胞抽出物200μg(総1ml)を加えて、30分間常温に放置した後、400nmで吸光度を測定した。
【0064】
その結果を図10に示した。図10に示したように、混合希土を処理した場合、メラニンの生成量が、対照群に比べ増加することが分かった。このような結果からチロシナーゼの活性及び発現増加により、メラニンの量が増加して、黒毛生成促進効果を奏することがわかった。一方、個々の希土類元素で処理した場合も、混合希土で処理した場合と実質的に同一な効果が得られることが確認された。一方、個々の希土類元素で処理した場合、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などは、上記と実質的に同一な効果が得られることが確認された。特に、セリウム(Ce)で処理した場合、メラニン量が最も大きく増加されることが確認できた。一方、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)などは、上記の元素より効果が多少劣ることが確認された。
【0065】
<実験例9:ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)とトウガラシチンキ配合によるTGF−β及びVEGF発現、及びメラニン生成量の比較>
希土類元素の中、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びルテチウム(Lu)とトウガラシチンキの配合による相乗作用を調べるために、TGF−β及びVEGF発現量、及びメラニン生成量を比較した。
【0066】
TGF−β2とVEGF発現量を調べるために、前記実験例1と同一な方法により細胞を培養した後、実験例4と同一な方法により発現の程度を確認した。
【0067】
メラニン生成量実験のために、実験例6と同一な方法により細胞を培養及び収獲した後、実験例8と同一な方法によりメラニン生成量を測定した。
【0068】
その結果を図11及び図12に示した。図11に示したように、TGF−β2の場合、ランタンとトウガラシチンキが配合された実施例20の組成物を処理した場合、セリウムが含まれた実施例2の組成物を処理した場合と類似した発現量の減少を示した。VEGFの場合、ランタンとトウガラシチンキが配合された実施例20の組成物を処理した場合、セリウムが含まれた実施例2の組成物を処理した場合と類似した発現量の増加を示した。また、図12に示したように、ランタンとトウガラシチンキが配合された実施例20の組成物を処理した場合、セリウムが含まれた実施例2の組成物を処理した場合と類似したメラニン生成量の増加を示した。一方、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)及びルテチウム(Lu)とトウガラシチンキが配合された実施例21乃至24の組成物を処理した場合も、上記のものと実質的に同一な効果が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上述のように、本発明による毛髪改善用組成物は、TGF−βの発現を減少させて、毛嚢細胞の死滅を防止し、VEGFの発現を促進して血管拡張による血流量の増加により、毛根に栄養を供給して毛髪の成長を促進することにより、優れた脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防効果を有するだけではなく、毛根周囲のメラノサイトを活性化させて、メラニン色素の生産を増加させることにより、黒毛生成促進効果を有して、人体に無害で且つ安全であり、皮膚吸収力が高くて、べたつかないため皮膚感触に優れ、頭皮に副作用がない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を含有する、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進用の組成物。
【請求項2】
セリウム(Ce)、またはその塩若しくは酸化物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を0.0001〜10重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
人参、苦参、みかんの陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木醋液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、トコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチ、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の毛髪成長促進補助成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物と、トウガラシチンキを含有することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ショウガチンキ及びカンタリスチンキの一つ以上をさらに含有することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
薬剤学的または化粧学的に許容される担体または添加剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
薬剤学的または化粧学的に許容される担体または添加剤が界面活性剤、乳化剤、増粘剤、保存剤、酸化防止剤及び香料、並びにこれらの混合物から構成された群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
経皮または経口投与により投与されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
ローション、軟膏、ジェル、クリーム、パッチ、噴霧剤、錠剤、丸剤、粉末、サシェ(sachet)、エリキシル(elixir)、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップまたは軟質若しくは硬質カプセルに剤形化されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、ヘアースプレー、ヘアームース、ヘアージェル、ヘアーコンディショナー、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアーパック、ヘアートリートメント、眉毛発毛剤、睫毛発毛剤若しくは睫毛栄養剤、またはペット用シャンプー及びペット用リンスに使用されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
人間、飼育動物またはペットに適用するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途。
【請求項14】
希土類元素がセリウム(Ce)、またはその塩若しくは酸化物であることを特徴とする、請求項13に記載の用途。
【請求項15】
希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、人参、苦参、みかん陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木酢液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、トコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチン、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸類、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の毛髪成長促進補助成分と配合して使用することを特徴とする、請求項13に記載の用途。
【請求項16】
ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、トウガラシチンキと配合して使用することを特徴とする、請求項15に記載の用途。
【請求項17】
ショウガチンキ及びカンタリスチンキの一つ以上をさらに配合して使用することを特徴とする、請求項16に記載の用途。
【請求項18】
脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進を必要とする対象に、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を適用する段階を含む、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進方法。
【請求項19】
セリウム(Ce)、またはその塩若しくは酸化物を適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、人参、苦参、みかん陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木酢液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、トコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチン、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸類、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の毛髪成長促進補助成分と配合して適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される一つ以上の希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、トウガラシチンキと配合して適用することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ショウガチンキ及びカンタリスチンキの一つ以上をさらに配合して適用することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
経皮または経口投与に適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を利用して、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進剤を製造する方法。
【請求項1】
有効成分として、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を含有する、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進用の組成物。
【請求項2】
セリウム(Ce)、またはその塩若しくは酸化物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を0.0001〜10重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
人参、苦参、みかんの陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木醋液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、トコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチ、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の毛髪成長促進補助成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物と、トウガラシチンキを含有することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ショウガチンキ及びカンタリスチンキの一つ以上をさらに含有することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
薬剤学的または化粧学的に許容される担体または添加剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
薬剤学的または化粧学的に許容される担体または添加剤が界面活性剤、乳化剤、増粘剤、保存剤、酸化防止剤及び香料、並びにこれらの混合物から構成された群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
経皮または経口投与により投与されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
ローション、軟膏、ジェル、クリーム、パッチ、噴霧剤、錠剤、丸剤、粉末、サシェ(sachet)、エリキシル(elixir)、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップまたは軟質若しくは硬質カプセルに剤形化されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、ヘアースプレー、ヘアームース、ヘアージェル、ヘアーコンディショナー、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアーパック、ヘアートリートメント、眉毛発毛剤、睫毛発毛剤若しくは睫毛栄養剤、またはペット用シャンプー及びペット用リンスに使用されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
人間、飼育動物またはペットに適用するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物の脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進のための用途。
【請求項14】
希土類元素がセリウム(Ce)、またはその塩若しくは酸化物であることを特徴とする、請求項13に記載の用途。
【請求項15】
希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、人参、苦参、みかん陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木酢液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、トコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチン、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸類、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の毛髪成長促進補助成分と配合して使用することを特徴とする、請求項13に記載の用途。
【請求項16】
ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、トウガラシチンキと配合して使用することを特徴とする、請求項15に記載の用途。
【請求項17】
ショウガチンキ及びカンタリスチンキの一つ以上をさらに配合して使用することを特徴とする、請求項16に記載の用途。
【請求項18】
脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進を必要とする対象に、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を適用する段階を含む、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進方法。
【請求項19】
セリウム(Ce)、またはその塩若しくは酸化物を適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、人参、苦参、みかん陳皮、緑茶、ニンジン、桔梗、桑椹子、タンキリマメ、石榴皮、松葉、月見子、コノテガシワの葉、何首烏、旱蓮草、トリビュラス抽出物、ベタイン、ハッカ抽出物、イラクサ抽出物、トクサ抽出物、ラベンダー抽出物、ホップ抽出物、アロエ、エゾウコギ、冬蟲夏草、トックリイチゴ、桑の実、木酢液、竹塩、黄花黄蓍、オニノタケ、枸杞子、胡桃、ブドウ、サフラワー、ゴマ、エゴマ、ニンニク、昆布、ワカメ、梅、緑豆、黒米、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオール、トウガラシチンキ、ショウガチンキ、カンタリスチンキ、フォルスコリン、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、トコフェロール類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、β−カロチン、 カルシフェロール、 葉酸、ビオチン、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸、グレープフルーツの種抽出物、セファランチン、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンA、B1、B2、B6及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ミノキシジル、ムラサキセンブリ抽出液、アルギニン、アスパラギン酸、メチオニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、シスチン、アミノ酸エキス、β−グリシレチン酸、 グリチルリチン酸類、塩酸ピリドキシン、サリチル酸、アラントイン、感光素301、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン、グリセリン、ピロリドンカーボン酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、及び1−メントールから構成された群から選択される一つ以上の毛髪成長促進補助成分と配合して適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ランタン(La)、ネオジミウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される一つ以上の希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を、トウガラシチンキと配合して適用することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ショウガチンキ及びカンタリスチンキの一つ以上をさらに配合して適用することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
経皮または経口投与に適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)及びこれらの混合物から構成された群から選択される希土類元素、またはその塩若しくは酸化物を利用して、脱毛防止、発毛促進、育毛、ふけの除去及び予防、または黒毛生成促進剤を製造する方法。
【図1】
【図2】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図6】
【図2】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図6】
【公表番号】特表2010−501551(P2010−501551A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525504(P2009−525504)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004084
【国際公開番号】WO2008/023960
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509053905)テウン イーエルエス インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TAEWUNG ELS, INC.
【住所又は居所原語表記】Room 213, Gyeongbuk Institute for Bio Industry, 1319−84 Songcheon−dong, Andong−si, Gyeongsangbuk−do 760−380 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004084
【国際公開番号】WO2008/023960
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509053905)テウン イーエルエス インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TAEWUNG ELS, INC.
【住所又は居所原語表記】Room 213, Gyeongbuk Institute for Bio Industry, 1319−84 Songcheon−dong, Andong−si, Gyeongsangbuk−do 760−380 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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