説明

気体浄化装置及び気体浄化方法

【目的】プラズマ領域と触媒により気体を浄化する気体浄化装置の提供
【構成】排気ガス浄化装置1は、ガソリンエンジンから排出される排気ガスが送風される送風経路に配置される。具体的には、エキゾーストパイプ内に配置される。排気ガス浄化装置1は、プラズマ浄化部P1及び触媒浄化部C1を有している。プラズマ浄化部P1と触媒浄化部C1とは、交互に配置される。プラズマ領域による浄化と光触媒による浄化とを気体が通過する方向に沿って交互に実行できるので、浄化効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を浄化する気体浄化装置に関し、特に、プラズマ領域と触媒領域により浄化するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気体浄化装置である排ガス処理装置100について図3を用いて説明する。排ガス処理装置100は、排ガスが導入される光触媒モジュール102と、光触媒モジュール102に電圧を印加する電源部と、光触媒モジュール102に印加される電圧を検出する電圧検出部と、光触媒モジュール102に流れる電流を検出する電流検出部と、電圧検出部および電流検出部からの検出データが入力され、これら検出データに基づいて電源部に制御信号を出力する制御部とを備えて構成されている。
【0003】
光触媒モジュール102は、図3に示すように、排気管107と、この排気管107内に主用された光触媒担体108と、この光触媒担体108の前後両端面に沿って配置された放電電極109、110とを備えている。排気管107は、前端開口部側で自動車のエンジンのエキゾースト・パイプ(図示省略する)に連通すると共に、後端開口部がマフラー(図示省略する)側と連通するように接続されている。
【0004】
光触媒担体108は、排ガスを流通させる多数の細流路108aが形成されたハニカム構造の光触媒担体108である。また、光触媒担体108の細流路108aの内壁には、二酸化チタン(TiO)をはじめとする光触媒が担持されている。具体的には、排気管107および光触媒担体108は、例えば円柱形状に形成され、光触媒担体108の細流路108aは排気管107の排ガス流通方向に平行をなすように設定されている。
【0005】
放電電極109は光触媒担体108の前端面に配設され、放電電極110は光触媒担体108の後端面に配設されている。これら放電電極109、110は、排ガスを流通させることができるように、網目状になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−68613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の排ガス処理装置100には以下に示すような改善点がある。排ガス処理装置100では、放電電極109、110間に高電圧を印加することにより、プラズマ放電で発生する紫外線による光触媒作用によって有害成分や臭気成分を分解、除去する。つまり、排ガスの浄化を光触媒作用にのみに頼っていることから、浄化効率が高くない、という改善すべき点がある。
【0008】
一方、プラズマ自身にも、有害成分や臭気成分を分解、除去する浄化作用があることが知られている。
【0009】
そこで、本発明は、プラズマ領域と触媒領域により気体を浄化する気体浄化装置の提供を目的とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0011】
本発明に係る気体浄化装置は、気体が通過する環状部材、前記環状部材に位置するプラズマ発生手段であって、第1の電極及び第2の電極を有するプラズマ発生手段、前記環状部材に位置する触媒手段であって、前記気体を浄化する触媒手段、を有する気体浄化装置であって、前記プラズマ発生手段と前記触媒手段とが、前記気体が通過する方向に沿って交互に位置する。
【0012】
これにより、プラズマ領域による浄化と触媒による浄化とを気体が通過する方向に沿って交互に実行できるので、浄化効率を高めることができる。
【0013】
本発明に係る気体浄化装置では、前記プラズマ発生手段は、前記環状部材を前記気体が通過する方向に対して所定の角度で位置する前記第1の電極及び前記第2の電極を有する。
【0014】
これにより、環状部材の断面よりも広い面での放電によるプラズマ発生がかのうとなる。よって、より安定したプラズマ発生が可能となる。
【0015】
本発明に係る気体浄化装置では、前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記気体が通過する通過孔を有する。
【0016】
これにより、第1の電極及び第2の電極において気体の通過を妨げることがない。よって、気体の通過効率を失うことなく、浄化効率を高めることができる。
【0017】
本発明に係る気体浄化装置では、前記触媒手段は、光触媒を有する。これにより、プラズマ領域から発生する紫外線によって、光触媒を励起させることができる。よって、プラズマによる浄化と光触媒による浄化とを行うことができるので、浄化効率を高めることができる。
【0018】
本発明に係る気体浄化装置では、前記触媒手段は、前記プラズマ発生手段が発生する紫外線が到達する範囲内に位置する。
【0019】
これにより、光触媒を確実に励起させることができる。よって、高い浄化効率を確実に得ることができる。
【0020】
本発明に係る気体浄化装置では、前記気体は、排気ガスである。これにより、排気ガスを浄化することができる。
【0021】
本発明に係る排気ガス浄化方法は、プラズマ状態にあるプラズマ領域に前記排気ガスを通過させるプラズマ領域通過工程、前記排気ガスを浄化する触媒が配置された触媒領域を通過させる触媒領域通過工程を有する排気ガス浄化方法であって、前記プラズマ領域通過工程と前記触媒領域通過工程とを、前記排気ガスが通過する方向に沿って交互に沿って交互に実行する。
【0022】
これにより、プラズマ領域による浄化と触媒による浄化とを排気ガスが通過する方向に沿って交互に実行できるので、排気ガスの浄化効率を高めることができる。

【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る気体浄化装置に係る実施例1を示す排気ガス浄化装置1の一部断面を含む斜視図である。
【図2】排気ガス浄化装置1の断面の模式図である。
【図3】従来の気体浄化装置である排ガス処理装置100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0025】
1.排気ガス浄化装置の構成
本発明に係る気体浄化装置の実施の形態の一つである自動車の排気ガス浄化装置について図1を用いて説明する。図1は、排気ガス浄化装置1の一部断面を含む斜視図である。排気ガス浄化装置1は、自動車のガソリンエンジンから排出される排気ガスを浄化するために用いるものである。
【0026】
排気ガス浄化装置1は、ガソリンエンジンから排出される排気ガスが送風される送風経路に配置される。具体的には、エキゾーストパイプEP内に配置される。排気ガス浄化装置1は、プラズマ浄化部P1及び触媒浄化部C1を有している。プラズマ浄化部P1と触媒浄化部C1とは、交互に配置される。
【0027】
プラズマ浄化部P1は、第1電極11、第2電極13、及び電源回路15(図示せず)を有している。第1電極11及び第2電極13は、ハニカム構造が形成された円盤形状を有している。また、第1電極11及び第2電極13は、ステンレス等の耐熱金属を素材として形成されている。このように、第1電極11及び第2電極13は、ハニカム構造を有しているので、エキゾーストパイプEP内を排気ガスが通過する際に障害となることはない。なお、第1電極11及び第2電極13は、その直径方向がエキゾーストパイプEP内を排気ガスが流れる方向、つまりエキゾーストパイプEPの軸方向である矢印a1方向に対して垂直となるように位置している。よって、エキゾーストパイプEP内を流れる排気ガスにとって、第1電極11及び第2電極13が、流れを妨げるような障害となることはない。
【0028】
触媒浄化部C1は、ハニカム担持体21及び光触媒23(図示せず)を有している。ハニカム担持体21は、ハニカム構造が形成された円筒形状を有している。また、ハニカム担持体21は、ステンレスまたは、セラミック等を素材として形成されている。このように、ハニカム担持体21は、ハニカム構造を有しているので、エキゾーストパイプEP内を排気ガスが通過する際に障害となることはない。また、ハニカム担持体21は、その直径方向がエキゾーストパイプEP内を排気ガスが流れる方向、つまりエキゾーストパイプEPの軸方向である矢印a1方向に対して垂直となるように位置している。よって、エキゾーストパイプEP内を流れる排気ガスにとって、ハニカム担持体21が、流れを妨げるような障害となることはない。
【0029】
ハニカム担持体21のハニカム構造の内面には、二酸化チタン等の光触媒23が担持されている。
【0030】
排気ガス浄化装置1の断面の模式図を図2に示す。第1電極11及び第2電極13は、電源回路15と接続されている。第1電極11及び第2電極13は、電源回路15によって所定の電圧まで高められる。そして、所定の電圧にまで高められると、第1電極11及び第2電極13は、互いに対向する面において放電し、第1電極11と第2電極13との間にプラズマ領域R1を生成する。
【0031】
プラズマ領域R1を生成することによって、そのプラズマ領域R1から紫外線が放出される。紫外線の一部は、エキゾーストパイプEPの軸方向に沿った矢印a1方向、矢印a3方向へ放出され、所定の領域まで到達する。
【0032】
ハニカム担持体21に担持されている光触媒21(図示せず)は、プラズマ領域R1から放出された紫外線によって励起される。励起された光触媒21は、ハニカム担持体21を通過する排気ガスを浄化する。
【0033】
ここで、ハニカム担持体21は、プラズマ領域R1から放出される紫外線が到達する領域内に配置されている。このように、ハニカム担持体21を紫外線が到達する領域内に配置することによって、ハニカム担持体21が担持する光触媒21を確実に励起させることができる。

【0034】
[その他の実施例]
【0035】
(1)第1電極11及び第2電極13の配置 : 前述の実施例1においては、第1電極11及び第2電極13を、その直径方向がエキゾーストパイプEP内を排気ガスが流れる方向、つまりエキゾーストパイプEPの中心軸方向に対して垂直となるように位置させることとした。即ち、エキゾーストパイプEPの中心軸方向に沿って放電を行うこととした。しかし、第1電極11及び第2電極13の間にプラズマ領域R1を生成できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、エキゾーストパイプEPの内周面に沿うように第1電極11及び第2電極13を形成し、エキゾーストパイプEPの中心軸方向に対して垂直に放電を行うようにしてもよい。
【0036】
また、前述の実施例1では、第1電極11及び第2電極13は、エキゾーストパイプEPの中心軸方向に対して垂直となるように位置させたが、排気ガスの通過を阻害しないものであれば例示のものに限定されない。エキゾーストパイプEPの中心軸方向に対して所定の角度となるように第1電極11及び第2電極13を配置するようにしてもよい。
【0037】
(2)第1電極11及び第2電極13とハニカム担持体21との位置関係 : 前述の実施例1では、ある第1電極11及び第2電極13が生成するプラズマ領域R1が放出する紫外線が到達する領域に、ハニカム担持体21が含まれるように位置するとしたが、あるハニカム担持体21の前後に配置される第1電極11及び第2電極13が形成するそれぞれのプラズマ領域R1で発生する紫外線が到達する領域の合わせた領域に、ハニカム担持体21が含まれるようにしてもよい。このように、前後のプラズマ領域R1で発生する紫外線の到達領域にハニカム担持体21を配置するようにすることによって、第1電極11及び第2電極13と、ハニカム担持体21との距離を長くとることができる。
【0038】
(3)排気ガス : 前述の実施例1では、ガソリンエンジンによる排気ガスを浄化するとしたが、排気ガスであれば、例えばディーゼルエンジンによる排気ガスであってもよい。
【0039】
(4)第1電極11及び第2電極13の構造 : 前述の実施例1では、第1電極11及び第2電極13はハニカム構造を有するとしたが、エキゾーストパイプEP内を排気ガスが通過する際の障害とならないものであれば、例示のものに限定されない。例えば、ハニカム構造以外の多孔質構造であってもよい。また、エキゾーストパイプEPの内面に沿うような環状構造であってもよい。
【0040】
(5)プラズマ領域R1 : 前述の実施例1では、第1電極11及び第2電極13の放電によりプラズマ領域R1を生成するとしたが、触媒浄化部C1の前にプラズマ領域R1を生成できるものであれば、例示ものに限定されない。

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る気体浄化装置は、例えば自動車の排気ガスの浄化に用いることができる。

【符号の説明】
【0042】
1・・・・・排気ガス浄化装置
11・・・・・第1電極
13・・・・・第2電極
15・・・・・電源回路
21・・・・・ハニカム担持体
23・・・・・光触媒
EP・・・・・エキゾーストパイプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が通過する環状部材、
前記環状部材に位置するプラズマ発生手段であって、第1の電極及び第2の電極を有するプラズマ発生手段、
前記環状部材に位置する触媒手段であって、前記気体を浄化する触媒手段、
を有する気体浄化装置であって、
前記プラズマ発生手段と前記触媒手段とが、前記気体が通過する方向に沿って交互に位置すること、
を特徴とする気体浄化装置。
【請求項2】
請求項1に係る気体浄化装置において、
前記プラズマ発生手段は、
前記環状部材を前記気体が通過する方向に対して所定の角度で位置する前記第1の電極及び前記第2の電極を有すること、
を特徴とする気体浄化装置。
【請求項3】
請求項2に係る気体浄化装置において、
前記第1の電極及び前記第2の電極は、
前記気体が通過する通過孔を有すること、
を特徴とする気体浄化装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に係る気体浄化装置において、
前記触媒手段は、
光触媒を有すること、
を特徴とする気体浄化装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に係る気体浄化装置において、
前記触媒手段は、
前記プラズマ発生手段が発生する紫外線が到達する範囲内に位置すること、
を特徴とする気体浄化装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5に係る気体浄化装置において、
前記気体は、
排気ガスであること、
を特徴とする気体浄化装置。
【請求項7】
プラズマ状態にあるプラズマ領域に前記排気ガスを通過させるプラズマ領域通過工程、
前記排気ガスを浄化する触媒が配置された触媒領域を通過させる触媒領域通過工程、
を有する排気ガス浄化方法であって、
前記プラズマ領域通過工程と前記触媒領域通過工程とを前記排気ガスが通過する方向に沿って交互に実行すること、
を特徴とする排気ガス浄化方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−265850(P2010−265850A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119348(P2009−119348)
【出願日】平成21年5月16日(2009.5.16)
【出願人】(509139047)株式会社銭谷自動車 (1)
【Fターム(参考)】