説明

気体溶解水供給システム

【課題】 効率的な運転・制御方法が得られる気体溶解水供給システムを実現する。
【解決手段】 一端に吸込口を有する吸込管と、前記吸込管の他端が接続される水中型溶解タンクと、前記水中型溶解タンクに接続された吐出口とを具備する気体溶解水供給システムにおいて、
前記吐出口を水中の所定位置に移動配置する第1の移動手段を具備したことを特徴とする気体溶解水供給システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的な気体溶解水供給システムに関するものである。
更に詳述すれば、例えば、近年、湖沼、ダム、濠、内湾などの閉鎖性水域は、生活排水、農業排水、工場排水などにより汚染が進み、水中に酸素等が欠乏する貧酸素水となり、環境へ悪影響を及ぼしている。
【0002】
こうした貧酸素水に酸素を溶かし込み、溶存酸素濃度を上昇させ、悪影響の軽減を図ることが行われている。
この様な水域に効率良く酸素を供給する(溶存酸素濃度を増加させる)気体溶解水供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
気体溶解水供給システムに関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0004】
【非特許文献1】横河電機株式会社発行、横河技報、2003年4月21日発行、Vol.47 No.2、P47、図4。
【特許文献1】特開2002−346351号公報
【特許文献2】特開2004−188263号公報
【0005】
所で、今日、海(港湾)、湖沼、河川、ダム、濠等には生活排水や産業排水が流入しており、こうした排水中には有機物、栄養塩類が含まれている。これらの一部は水底に沈降して有機汚泥となる。
水中の微生物はこれらを分解するため溶存酸素を消費するので、底層の水への酸素供給が消費量より少ないと貧酸素状態となってしまう。
【0006】
底層水が貧酸素状態に陥ると、底泥中の有機物は嫌気分解され、硫化物やメタンガス等の生物にとって有害な物質が生成される。
また、底泥が酸素不足になると底泥中の栄養塩が溶出し易くなり、水中の栄養塩濃度を高め、赤潮を引き起こすなど環境悪化の原因となる。
【0007】
図11に示す如く、港湾、湖沼、ダム湖等比較的水深の深い水域において夏季は水面付近は温度が高く、水深が下がると急に温度が低下する温度躍層Cが形成され、水底は温度が一番低くなっている。
こうした状態では下層の水温が低く密度が大きい水は水塊を形成しており、表層付近の水温が高く密度が小さい水と混ざり合うことはない。
【0008】
従って、表層付近の溶存酸素濃度の高い水は、底層へ供給されることはなく、底層の貧酸素状態は解消されない状態になる。
なお、汽水湖などでは、塩分濃度の違いにより、塩分躍層が形成されることにより、同様に底層が貧酸素状態に陥ることがある。
【0009】
図9,図10は従来より一般に使用されている従来例の構成説明図で、図9は全体構成説明図、図10は図9の要部構成説明図で、特開2004−188263号公報に示されている。
【0010】
図において、1は任意の水深層における水を吸引するポンプ、2は水中に設置され、気体(酸素)の水への溶解を促進する溶解タンクであり、3はポンプ1より吐出された水を溶解タンク2に流入させる導入管、4は溶解タンク2内において気体が溶解した水(酸素溶解水)を排出し、再び任意の水深層に送出する排出管である。
【0011】
5は導入管3を介して供給される水を溶解タンク2内に噴出するノズル、6はノズル5から噴出された水が衝突する位置の水面下に配置された邪魔板(衝突板)、7は溶解タンク2の上部に発生する気体溜まり、8は気体溜まり7の気体(未溶解気体)をタンク外(大気)に放出するための排気手段である。
【0012】
9はポンプ1の吐出側に挿入され、水に気体(酸素)を注入するとともに、乱流を発生して、水と気体とを撹拌するエジェクタおよびラインミキサである。
11はポンプ1の吸引側および/または吐出側および/または溶解タンクにおいて、水に酸素を含んだ気体を注入する気体注入手段である。
上記したように、ポンプ1の吐出側における気体の注入は、エジェクタ/ラインミキサ9を介して行われる。
【0013】
12〜17は調節弁であり、流れる水または気体の流量を最適の値に調節する。
特に、調節弁13においては、気体注入手段11からポンプ1の吸引側に送り込む気体の量を制御し、所謂、泡噛み(キャビテーション)が起きないように制御している。
【0014】
また、調節弁17は、溶解タンク2の上部の気体溜まり7における気体(未溶解気体)を放出し、気体溜まり7における窒素濃度の上昇を防ぐとともに、タンク2内の水位を調節する。
21,22は吸込口と吐出口である。
【0015】
このように構成された水中型気体供給装置においては、気体が注入され、ノズル5を介して溶解タンク2内に噴出された水は、邪魔板6に衝突して、タンク2内の水を激しく泡立てる。
このため、溶解タンク2内では、水の衝突による泡立ちのために、気液接触表面積が大きくなり、効率よく気体を溶解させることができる。
【0016】
したがって、溶存酸素濃度の高い水を海(港湾)、湖沼、河川、ダム、濠等の底層に供給することができ、底層の貧酸素状態を解消して、水質の改善を図ることができる。
また、溶解タンク2を水中に設置することにより、水圧を利用して、比較的高濃度の酸素を溶解させることができる。
【0017】
水圧を利用することによりタンク2を加圧する必要が無くなり、また、溶存酸素濃度を改善する水深に装置を配置することによって、送水の為の長い配管が必要なくなることからエネルギー効率が非常に良くなる。
【0018】
図13は従来より一般に使用されている他の従来例の構成説明図である。
本実施例においては、溶解タンク26の底面27を底板で覆い、酸素溶解水が横方向に排出されるようにしたものである。
水底に対して垂直方向に酸素溶解水が放出されない為に底泥を巻き上げるのを防止することが出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、このような装置においては、
温度差のある水域では、水は同じ温度(密度)の層に水平に分布しようとする性質を持っている。
【0020】
従って、気体溶解装置を使用して吸込口と吐出口をほゞ同じ水温(水深)に設置すると図12に示すように非常に水温幅が狭い水深に酸素溶解水が拡がる(例えば0.3℃の水温幅で酸素溶解水が拡がることが実験では確認されている。)。
つまり、気体溶解装置の吸込・吐出口が配置された非常に水深幅の狭い領域のみに酸素溶解水が拡がる為、その他の領域には酸素水が拡がらないと言う問題がある。
【0021】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、港湾、湖沼、河川、ダム、濠などの環境水に効率良く、酸素を供給する気体溶解水供給システムにおいて、より効率的な運転・制御方法が得られる気体溶解水供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の気体溶解水供給システムにおいては、
一端に吸込口を有する吸込管と、前記吸込管の他端が接続される水中型溶解タンクと、前記水中型溶解タンクに接続された吐出口とを具備する気体溶解水供給システムにおいて、
前記吐出口を水中の所定位置に移動配置する第1の移動手段を具備したことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項2においては、請求項1記載の気体溶解装置において、
前記吸込口を水中の所定位置に移動配置する第2の移動手段を具備したことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項3においては、請求項1又は請求項2記載の気体溶解装置において、
前記水中型溶解タンクを水中の所定位置に移動配置する第3の移動手段を具備したことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項4においては、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の気体溶解装置において、
前記吸込管の途中に設けられたポンプを水中の所定位置あるいは水上に移動配置する第4の移動手段を具備したことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項5においては、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の気体溶解装置において、
前記移動手段は、フロートに配置されたウインチと、ウインチと移動対象物とを接続するケーブルとが使用されたことを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項6においては請求項5に記載の気体溶解装置において、
前記水中型溶解タンクに設けられた浮子を具備したことを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項7においては請求項1乃至請求項4の何れかに記載の気体溶解装置において、
前記移動手段は、移動対象物に設けられた浮子と、水底に設けられた固定手段と、この固定手段に設けられた滑車と、この滑車を介して移動対象物と所定位置に配置されたウインチとを接続するケーブルとが使用されたことを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項8においては請求項1乃至請求項7の何れかに記載の気体溶解装置において、
前記水中に設けられ水中の水質データを測定する水質測定器と、この水質測定器の測定信号に基づき水質データを演算処理する演算処理部と、この演算処理部の演算結果から前記移動手段に移動信号を送る移動手段制御部とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
第1の移動手段により、吐出口を上下できるので、所望の水深に容易に効率良く酸素を供給出来る気体溶解水供給システムが得られる。
【0031】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
吸込口を水中の所定位置に移動配置する第2の移動手段が設けられたので、吐出口と同一水域に配置出来ると共に、吐出口と別個に上下に移動出来るので、所要吸込水域に容易に配置出来、ごみを吸いやすい吸込口のメンテナンスに便利な気体溶解水供給システムが得られる。
【0032】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
水中型溶解タンクを水中の所定位置に移動配置する第3の移動手段が設けられたので、本来、水中型溶解タンクは水深の深い位置に配置された方が、水圧により気体溶解効率が良いが、第3の移動手段が設けられたので、吐出口あるいは吸込口の移動配置に対して容易に対処移動出来、吐出口あるいは吸込口との連結パイプを短く出来る、また水中型溶解タンクのメンテナンス性が向上された気体溶解水供給システムが得られる。
【0033】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
吸込管の途中に設けられたポンプを水中の所定位置あるいは水上に移動配置する第4の移動手段が設けられたので、ポンプのメンテナンスが容易となり、ポンプのメンテナンス性が向上出来、また、酸素ガスの供給圧力を低くする調整が容易な気体溶解水供給システムが得られる。
【0034】
本発明の請求項5によれば、次のような効果がある。
移動手段は、フロートに配置されたウインチと、ウインチと移動対象物とを接続するケーブルとが使用されたので、フロートにより、装置全体の移動が容易な気体溶解水供給システムが得られる。
【0035】
本発明の請求項6によれば、次のような効果がある。
浮子が水中型溶解タンクに設けられたので、水中型溶解タンクの相対重量が軽くなり、操作性が向上された気体溶解水供給システムが得られる。
【0036】
本発明の請求項7によれば、次のような効果がある。
水底に設けられた固定手段と、この固定手段に設けられた滑車と、この滑車を介して移動対象物と所定位置に配置されたウインチとを接続するケーブルとが使用されたので、装置が水底の固定手段位置に確実に配置出来、装置の配置位置が容易に移動せず,配置位置の信頼性が向上された気体溶解水供給システムが得られる。
【0037】
本発明の請求項8によれば、次のような効果がある。
水中に設けられ水中の水質データを測定する水質測定器と、この水質測定器の測定信号に基づき水質データを演算処理する演算処理部と、この演算処理部の演算結果から移動手段に移動信号を送る移動手段制御部とが設けられたので、より効率の良い気体溶解水供給システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図で、図2は図1の動作説明図である。
【0039】
図において、第1の移動手段31は、吐出口22を水中の所定位置に移動配置する。
第2の移動手段32は、吸込口21を水中の所定位置に移動配置する。
第3の移動手段33は、水中型溶解タンクを水中の所定位置に移動配置する
第4の移動手段34は、吸込管3の途中に設けられたポンプ1を水中の所定位置あるいは水上に移動配置する。
この場合は、第4の移動手段34は、ポンプ1を水中の所定位置に移動配置する。
【0040】
移動手段31,32,33,34は、この場合は、フロートBに配置されたウインチ311,321,331,341と、ウインチと移動対象物22,21,2,1とを接続するケーブル312,322,332,342とが使用されている。
また、浮子35は,水中型溶解タンク2に設けられている。
なお、フロートBは、繋留索Dにより固定されている。
【0041】
以上の構成において、図1に示す如く、吸込口/吐出口、特に吐出口を貧酸素となっている水深に沿って上下させれば、図2に示す如く、上下させた水深に沿って酸素水が供給されることになる(図2の矢印Eの範囲で示す。)。
【0042】
吸込口21/吐出口22が固定されている場合、前述したように酸素を供給できる水深幅は非常に狭いものになってしまう。
これを克服する為に、例えば、複数の吐出口22を設けることも出来るが、水深幅が大きい場合は設置する吐出口22の数が多くなり、且つ、ホースも非常に長いものが必要になり、経済的ではない。
【0043】
また、吐出口22を切り換える為の水中で動作する弁が必ず必要となるが、水中で安定して、メンテナンスなしで長期に使用できる弁は入手が困難である。
従って、吐出口22を水中の所定位置に移動配置する第1の移動手段31が設けられたので、第1の移動手段31により、吐出口22が上下できるので、所望の水深に容易に効率良く酸素を供給出来る気体溶解水供給システムが得られる。
【0044】
吸込口21を水中の所定位置に移動配置する第2の移動手段32が設けられたので、吐出口22と同一水域に容易に配置出来ると共に、吐出口22と別個に上下に移動出来るので、所要吸込水域に容易に配置出来、また、ごみを吸いやすい吸込口21のメンテナンスに便利な気体溶解水供給システムが得られる。
【0045】
水中型溶解タンク2を水中の所定位置に移動配置する第3の移動手段33が設けられたので、本来、水中型溶解タンク2は水深の深い位置に配置された方が、水圧により気体溶解効率が良いが、第3の移動手段33が設けられたので、吐出口22あるいは吸込口21の移動配置に対して容易に対処移動出来、吐出口22あるいは吸込口21との連結パイプを短く出来る気体溶解水供給システムが得られる。
【0046】
吸込管3の途中に設けられたポンプ1を水中の所定位置あるいは水上に移動配置する第4の移動手段34が設けられたので、ポンプ1のメンテナンスが容易となり、ポンプ1のメンテナンス性が向上出来、また、酸素ガスの供給圧力を低くする調整が容易な気体溶解水供給システムが得られる。
【0047】
移動手段31,32,33,34は、フロートBに配置されたウインチ311,321,331,341と、ウインチと移動対象物22,21,2,1とを接続するケーブル312,322,332,342とが使用されたので、フロートBにより、装置全体の移動が容易な気体溶解水供給システムが得られる。
浮子35が水中型溶解タンク2に設けられたので、水中型溶解タンク2の相対重量が軽くなり、操作性が向上された気体溶解水供給システムが得られる。
【0048】
図3は本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
本実施例において、第1の移動手段41は、吐出口22を水中の所定位置に移動配置する。
第2の移動手段42は、吸込口21を水中の所定位置に移動配置する。
【0049】
第3の移動手段43は、水中型溶解タンクを水中の所定位置に移動配置する
第4の移動手段44は、吸込管3の途中に設けられたポンプ1を水中の所定位置あるいは水上に移動配置する。
この場合は、第4の移動手段44は、ポンプ1を水中の所定位置に移動配置する。
【0050】
移動手段41,42,43,44は、この場合は、移動対象物22,21,2,1に設けられた浮子411,421,431,441と、水底Fに設けられた固定手段412,422,432,442と、この固定手段412,422,432,442に設けられた滑車413,423,433,443と、この滑車413,423,433,443を介して移動対象物22,21,2,1と所定位置に配置されたウインチ(図示せず。)とを接続するケーブル414,424,434,444とが使用されている。
【0051】
この場合は、固定手段412,422,432,442は、シンカーが使用されている。
なお、フロートBは、繋留索Dにより固定されている。
【0052】
以上の構成において、図3に示す如く、吸込口21/吐出口22、特に吐出口22を貧酸素となっている水深に沿って上下させれば、図2に示す如く、上下させた水深に沿って酸素水が供給されることになる(図2の矢印Eの範囲で示す。)。
【0053】
吸込口21/吐出口22が固定されている場合、前述したように酸素を供給できる水深幅は非常に狭いものになってしまう。
これを克服する為に、例えば、複数の吐出口22を設けることも出来るが、水深幅が大きい場合は設置する吐出口22の数が多くなり、且つ、ホースも非常に長いものが必要になり、経済的ではない。
【0054】
また、吐出口22を切り換える為の水中で動作する弁が必ず必要となるが、水中で安定して、メンテナンスなしで長期に使用できる弁は入手が困難である。
従って、吐出口22を水中の所定位置に移動配置する第1の移動手段41が設けられたので、第11の移動手段41により、吐出口22が上下できるので、所望の水深に容易に効率良く酸素を供給出来る気体溶解水供給システムが得られる。
【0055】
吸込口21を水中の所定位置に移動配置する第2の移動手段42が設けられたので、吐出口22と同一水域に容易に配置出来ると共に、吐出口22と別個に上下に移動出来るので、所要吸込水域に容易に配置出来、また、ごみを吸いやすい吸込口21のメンテナンスに便利な気体溶解水供給システムが得られる。
【0056】
水中型溶解タンク2を水中の所定位置に移動配置する第3の移動手段43が設けられたので、本来、水中型溶解タンク2は水深の深い位置に配置された方が、水圧により気体溶解効率が良いが、第3の移動手段43が設けられたので、吐出口22あるいは吸込口21の移動配置に対して容易に対処移動出来、吐出口22あるいは吸込口21との連結パイプを短く出来る気体溶解水供給システムが得られる。
【0057】
吸込管3の途中に設けられたポンプ1を水中の所定位置あるいは水上に移動配置する第4の移動手段44が設けられたので、ポンプ1のメンテナンスが容易となり、ポンプ1のメンテナンス性が向上出来、また、酸素ガスの供給圧力を低くする調整が容易な気体溶解水供給システムが得られる。
【0058】
水底に設けられた固定手段412,422,432,442と、この固定手段412,422,432,442に設けられた滑車413,423,433,443と、この滑車413,423,433,443を介して移動対象物22,21,2,1と所定位置に配置されたウインチとを接続するケーブル414,424,434,444とが使用されたので、装置が水底の固定手段位置に確実に配置出来、装置の配置位置が容易に移動せず,配置位置の信頼性が向上された気体溶解水供給システムが得られる。
【0059】
図4は本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
本実施例においては、説明を分かり易くするために、溶解タンク2、吐出口22、吸込口21、ポンプ1の構成は省略している。
図において、水質測定器53は水中に設けられ水中の水質データ、「溶存酸素濃度」「水温」「濁度」「導電率」等のデータを測定する。
この場合は、ウインチ51によりフロートBにケーブル52により吊り下げられている。
【0060】
図5に示す如く、この水質測定器53の測定信号に基づき水質データを演算処理する演算処理部54と、この演算処理部54の演算結果から移動手段31,32,33,34,41,42,43,44に移動信号を送る移動手段制御部55とが設けられている。
【0061】
要するに、水質測定器53による水質データを基に、吸込口21/吐出口22(気体溶解装置)の水深を変化させて、次の改善すべき水深域に酸素水を供給するが、溶存酸素濃度や供給時間等による制御が考えられる。
【0062】
なお、水質測定器53は、図6に示す如く、多数531,532,533設けられても良い。
また、図7に示す如く、ケーブル52,浮子56,滑車57,シンカー58により、水底Fに固定されても良い。
【0063】
この結果、水中に設けられ水中の水質データを測定する水質測定器53と、この水質測定器の測定信号に基づき水質データを演算処理する演算処理部54と、この演算処理部54の演算結果から移動手段31,32,33,34,41,42,43,44に移動信号を送る移動手段制御部55とが設けられたので、より効率が良い気体溶解水供給システムが得られる。
【0064】
図8は本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
本実施例においては、第1の移動手段31により、溶解タンク26、吐出口22、吸込口21、ポンプ1が点線で囲むように一体的に移動するようにしたものである。
溶解タンク26は図13に示される形式の溶解タンクが使用されている。
【0065】
なお、上記の如く、溶解タンク2,26、吐出口22、吸込口21、ポンプ1は個々独立に移動してもよく、また、種種組み合わせて一体的に移動するようにしても良い。要するに、吐出口22が移動手段により移動出来れば良い。
【0066】
なお、溶解タンク2,11では、設置水深の水圧を利用して空気や酸素を溶解すると共に、気液の分離も行っている。
空気や酸素の供給は、そのガス圧力を利用してポンプの後段及び/又は溶解タンクに行っている。気体供給には気体圧力を利用してもエジェクタを使用しても良い。
吸込口21/吐出口22、ポンプ1は溶解タンク2,26と離れて設置しても良いし(その場合は、夫々を可撓性のホース等で接続する。)、溶解タンク2,26と一体となっていても良い事は勿論である。
【0067】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の動作説明図である。
【図3】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図5】図4の要部構成説明図である。
【図6】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図7】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図8】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図9】従来より一般に使用されている従来例の構成説明図である。
【図10】図9の要部構成説明図である。
【図11】図9の動作説明図である。
【図12】図9の動作説明図である。
【図13】従来より一般に使用されている他の従来例の構成説明図である。
【符号の説明】
【0069】





1 ポンプ
2 溶解タンク
3 導入管
4 排出管
5 ノズル
6 邪魔板
7 弁
8 排気手段
9 エジェクタおよびラインミキサ
11 気体注入手段
12 調節弁
13 調節弁
14 調節弁
15 調節弁
16 調節弁
17 調節弁
18 エジェクタ
21 吸込口
22 吐出口
26 溶解タンク
27 底面
31 第1の移動手段
32 第2の移動手段
33 第3の移動手段
34 第4の移動手段
311 ウインチ
321 ウインチ
331 ウインチ
341 ウインチ
312 ケーブル
322 ケーブル
332 ケーブル
342 ケーブル
35 浮子
41 第1の移動手段
42 第2の移動手段
43 第3の移動手段
44 第4の移動手段
411 浮子
421 浮子
431 浮子
441 浮子
412 固定手段
422 固定手段
432 固定手段
442 固定手段
413 滑車
423 滑車
433 滑車
443 滑車
414 ケーブル
424 ケーブル
434 ケーブル
444 ケーブル
51 ウインチ
52 ケーブル
53 水質測定器
531 水質測定器
532 水質測定器
533 水質測定器
54 演算処理部
55 移動手段制御部
56 浮子
57 滑車
58 シンカー
A 水面
B フロート
C 温度躍層
D 繋留索
E 上下範囲
F 水底
α 供給気体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に吸込口を有する吸込管と、前記吸込管の他端が接続される水中型溶解タンクと、前記水中型溶解タンクに接続された吐出口とを具備する気体溶解水供給システムにおいて、
前記吐出口を水中の所定位置に移動配置する第1の移動手段
を具備したことを特徴とする気体溶解水供給システム。
【請求項2】
前記吸込口を水中の所定位置に移動配置する第2の移動手段
を具備したことを特徴とする請求項1記載の気体溶解水供給システム。
【請求項3】
前記水中型溶解タンクを水中の所定位置に移動配置する第3の移動手段
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の気体溶解水供給システム。
【請求項4】
前記吸込管の途中に設けられたポンプを水中の所定位置あるいは水上に移動配置する第4の移動手段
を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の気体溶解水供給システム。
【請求項5】
前記移動手段は、フロートに配置されたウインチと、ウインチと移動対象物とを接続するケーブルとが使用されたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の気体溶解水供給システム。
【請求項6】
前記水中型溶解タンクに設けられた浮子
を具備したことを特徴とする請求項5記載の気体溶解水供給システム。
【請求項7】
前記移動手段は、移動対象物に設けられた浮子と、
水底に設けられた固定手段と、この固定手段に設けられた滑車と、
この滑車を介して移動対象物と所定位置に配置されたウインチとを接続するケーブルとが使用されたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の気体溶解水供給システム。
【請求項8】
前記水中に設けられ水中の水質データを測定する水質測定器と、
この水質測定器の測定信号に基づき水質データを演算処理する演算処理部と、
この演算処理部の演算結果から前記移動手段に移動信号を送る移動手段制御部と
を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の気体溶解水供給システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−142257(P2006−142257A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338813(P2004−338813)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】