説明

気体軸受スピンドル

【課題】回転軸が高速回転をした場合においても安定して動作する気体軸受スピンドルを提供する。
【解決手段】気体軸受スピンドル1は、回転軸10と、軸受スリーブ30とを備える。軸受スリーブ30は、回転軸10の側面の少なくとも一部に対向するように配置される。軸受スリーブ30は、カーボンと、カーボンと線膨張係数の異なる材料との混合体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気体軸受スピンドルに関し、より特定的には、高速回転時でも安定して使用可能な気体軸受スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジング内部において、回転軸と回転軸に対向する部材との間の微小な隙間に圧縮空気などの気体が供給されることにより、回転軸がハウジングに対して支持される気体軸受スピンドルが従来知られている。このような気体軸受スピンドルでは、回転軸がハウジングに対して非接触の状態で支持される。そのため、軸受における摩擦損失が小さいだけでなく、回転軸と、回転軸に対向する部材とが通常は直接接触せず、正常な運転状態である限り、当該部材の疲労や摩耗が生じない。このような特徴を生かして、気体軸受スピンドルは精密加工機、穴加工機、静電塗装機などに使用される高速スピンドルとして広く使用されている。
【0003】
この気体軸受スピンドルにおいては、その性能を向上させるために種々の提案がなされている。たとえば、回転軸と、回転軸に対向する部材とが万一接触した場合でも、回転軸の焼付きを回避するため、回転軸に対向する部材として黒鉛からなる内壁を有する軸受スリーブを採用することが提案されている。また、回転軸に対向する部材としての軸受スリーブを、ハウジングに対してOリングを介して支持することにより、回転軸の振れ回り振動を吸収するといった構成も提案されている(たとえば、特開2002−295470号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)参照)。
【0004】
図4は、上記特許文献1に示されている従来の気体軸受スピンドル(静圧空気軸受スピンドル)のジャーナル軸受部を示す断面模式図である。図4を参照して、従来の気体軸受スピンドルの一例について説明する。
【0005】
図4に示した従来の気体軸受スピンドルは、回転軸110の外径面に気体軸受のためのジャーナル軸受隙間113を隔てて軸受スリーブ130が配置されている。軸受スリーブ130の両端部は、4本のOリング141〜144を介してハウジング120に支持されている。Oリング141、142は、ハウジング120と軸受スリーブ130との間の周状空間122を気密にシールすると共に、その弾性により回転軸110の振れ回り振動を減衰させる。回転軸110は軸受隙間113に供給される高圧気体により回転自在に非接触支持される。また、図示はしないが回転軸110は軸方向にも高圧気体により非接触支持される。
【0006】
気体軸受用の高圧気体は、ハウジング120に形成された給気通路121を通して、ハウジング120の内径と軸受スリーブ130の外径との間の周状空間122に供給される。そして、軸受スリーブ130の両端部付近において周状に複数形成された軸受ノズル151から回転軸110外周の軸受隙間113に当該高圧気体は噴出される。なお、図4における回転軸110の右端には工具等が取付け可能である。また、回転軸110は図示しない駆動手段によって駆動される。
【特許文献1】特開2002−295470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
気体軸受スピンドルは、耐焼付き性を向上させるため、軸受スリーブ130を潤滑性に優れた黒鉛で形成すると共に、回転軸110を鉄鋼系金属で形成する場合が多い。しかしこのような従来の気体軸受スピンドルでは次のような問題が生じる可能性がある。すなわち、
(1)回転軸110が高速回転すると軸受隙間113での気体摩擦により熱が発生する。ところが、軸受スリーブ130は通常Oリング141〜144によってハウジング120に弾性支持されているため、軸受スリーブ130からハウジング120への伝熱性は良好ではない。この結果、軸受隙間113からの放熱が悪く、回転軸110及び軸受スリーブ130の温度が上昇する場合がある。すると、軸受スリーブ130の材料である黒鉛の線膨張係数が回転軸110の材料である鉄鋼系材料より小さいため、径方向での寸法増加は軸受スリーブ130より回転軸110のほうが大きくなる。そのため、回転軸110が高速回転すると軸受隙間113が次第に狭くなり、場合によっては軸受隙間113がゼロになって回転軸110と軸受スリーブ130とが接触する可能性があった。そして、このような問題は高速回転の用途ほど深刻である。
【0008】
例えば、軸受スリーブ130を線膨張係数α1=4×10-6/℃の黒鉛により構成し、回転軸110を線膨張係数α2=17×10-6/℃のステンレス鋼により構成する場合を考える。ここで、軸受スリーブ130の内半径(ジャーナル軸受半径)r1=20mm、軸受隙間113(軸受半径隙間)Cr=0.005mmと仮定する。この場合、各部材の温度上昇を均一と仮定すると、約19℃の温度上昇(=ΔT)でCr=0となる。なお、このことは以下の数式から計算できる。
【0009】
ΔCr1=r1(α2−α1)ΔT (ただし、ΔCr1:軸受半径隙間変化量)
上述のようにCr=0となる現象(軸受半径隙間ゼロとなる現象)を防ぐ方法として、まず軸受隙間113を大きく設定することが考えられる。しかし、軸受隙間113を大きくすると軸受剛性が小さくなるため、気体軸受スピンドルが高剛性を必要とする場合には適用できない。また、軸受隙間113を大きくすることは振れ回りを抑制する上でも好ましくない。
【0010】
一方黒鉛と同程度に線膨張係数の小さい、インバー合金やセラミックス等の材料で回転軸110を形成する方法も考えられるが、このような材料は一般に高価であり、現実的な解決方法とはいえない。
【0011】
(2)図4に示した気体軸受スピンドルにおいては、黒鉛製の軸受スリーブ130をハウジング120に弾性支持するのは、Oリングの弾性変形に伴う減衰性能によって回転軸110と軸受スリーブ130間の相対振動を減衰させるためである。このとき、黒鉛製の軸受スリーブ130は質量が軽いために、ハウジング120に対して軸受スリーブ130の振動が大きくなりやすい。この軸受スリーブ130の振動には傾き成分もあるため、軸受スリーブ130に支持されている回転軸110においても傾きを伴った振れ回り振動を生じることになる。この結果、回転軸110の工具が設置された側(工具側)と反対側に配置されたスラスト軸受部において、回転軸110と他の部材との接触や、ハウジング120に対する回転軸110の工具側軸端の振れ回り量が問題となる場合がある。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、回転軸が高速回転をした場合においても安定して動作する気体軸受スピンドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に従った気体軸受スピンドルは、回転軸と、軸受スリーブとを備える。軸受スリーブは、回転軸の側面の少なくとも一部に対向するように配置される。軸受スリーブは、カーボンと、カーボンと線膨張係数の異なる材料との混合体を含む。なお、軸受スリーブには、回転軸の側面の一部との間の間隙に気体を供給するための気体供給孔が形成されていてもよい。
【0014】
このようにすれば、カーボンを用いることで軸受スリーブの潤滑性を確保するとともに、軸受スリーブ全体としての線膨張係数を調整することができる。このため、回転軸と軸受スリーブとの線膨張係数の差を、軸受スリーブがカーボンのみから構成される場合より小さくすることが可能になる。この場合、回転軸の回転に伴う気体摩擦による熱で回転軸および軸受スリーブが熱膨張したときに、カーボンのみからなる軸受スリーブを用いた場合より、回転軸と軸受スリーブとの熱膨張による寸法変化の差を小さくできる。この結果、当該寸法変化に起因して回転軸と軸受スリーブとの間の隙間が無くなり、回転軸と軸受スリーブが接触するという不良の発生を抑制できる。なお、ここでカーボンと上記材料との混合体とは、カーボンと上記材料との混合物を成型したものや、当該混合物を焼成、あるいは加熱処理、加圧処理などの所定の処理を行なってカーボンと上記材料の少なくとも一部が反応したものを含む。
【0015】
上記気体軸受スピンドルは、弾性部材を介して軸受スリーブを保持するハウジングをさらに備えていてもよい。この場合、弾性部材によって軸受スリーブと回転軸との相対振動を減衰させることができる。さらに、このような弾性部材によって軸受スリーブがハウジングに保持されている場合には、軸受スリーブからハウジングへの伝熱性があまり良くないため、回転軸と軸受スリーブとの温度が上昇しやすい。そのため、本発明により回転軸と軸受スリーブとの線膨張係数の差を小さくすることが特に有効である。
【0016】
上記気体軸受スピンドルにおいて、回転軸はカーボンより線膨張係数の大きな材料により形成されてもよい。混合体を構成する材料は、カーボンの線膨張係数より大きな線膨張係数を有してもよい。この場合、軸受スリーブと回転軸との線膨張係数の差を、従来のように軸受スリーブをカーボンのみで形成した場合より小さくすることができる。このため、回転軸の回転に伴う熱により回転軸と軸受スリーブとが熱膨張し、互いに接触する可能性を低減できる。
【0017】
上記気体軸受スピンドルにおいて、混合体を構成する上記材料は樹脂であってもよい。軸受スリーブにおいて回転軸と対向する部分は、カーボンと樹脂との混合物を成形した成形体により構成されてもよい。この場合、樹脂の組成を調整することで軸受スリーブにおいて回転軸と対向する部分の線膨張係数を調整する自由度を大きくできる。
【0018】
上記気体軸受スピンドルにおいて、混合体を構成する上記材料は金属であってもよい。軸受スリーブにおいて回転軸と対向する部分は、カーボンと金属との焼結体であってもよい。この場合、金属の種類を選択することで、軸受スリーブにおいて回転軸と対向する部分の線膨張係数を任意に調整することができる。
【0019】
上記気体軸受スピンドルにおいて、軸受スリーブは、軸受スリーブの質量を調整するための質量調整用部品を含んでいてもよい。この場合、軸受スリーブの質量や重心の位置を、質量調整用部品の質量や配置によって任意に調整することができる。このため、ハウジングなど軸受スリーブを保持する部材に対する軸受スリーブの振動を抑制するように、重心の位置や軸受スリーブの質量を設定することができる。
【0020】
上記気体軸受スピンドルにおいて、質量調整用部品は軸受スリーブに複数個設置されていてもよい。複数の質量調整用部品は軸受スリーブの中心軸に対して軸対称な位置に配置されていてもよい。この場合、回転軸の回転に伴い軸受スリーブが振動するような際に、質量調整用部品が軸受スリーブの中心軸に対して非対称な位置(偏った位置)に配置されることに起因する異常振動の発生を抑制できる。
【0021】
上記気体軸受スピンドルにおいて、質量調整用部品は軸受スリーブに複数個設置されていてもよい。軸受スリーブの中心軸に沿った方向における、軸受スリーブの重心の位置は、軸受スリーブの中心軸に沿った方向における中央部に位置してもよい。この場合、上記重心の位置が軸受スリーブの中心軸に沿った方向における中心部からずれた場合に発生し得る、軸受スリーブでの異常振動の発生を抑制することができる。
【0022】
上記気体軸受スピンドルにおいて、質量調整用部品を構成する材料は、軸受スリーブにおいて質量調整用部品以外の部分を構成する材料の線膨張係数の値以上の線膨張係数の値を有してもよい。質量調整用部品の少なくとも一部が軸受スリーブに嵌め込まれることにより、質量調整用部品は軸受スリーブに固定されていてもよい。この場合、軸受スリーブの温度が回転軸の回転に伴って上昇するときに、質量調整用部品の方が軸受スリーブにおいて質量調整用部品以外の部分より熱膨張による寸法変化が大きくなる。そのため、当該熱膨張に起因して、質量調整用部品の一部が軸受スリーブに嵌め込まれた部分から、当該質量調整用部品が抜けることを抑制できる。
【0023】
上記気体軸受スピンドルにおいて、質量調整用部品は軸受スリーブに着脱可能に設置されていてもよい。この場合、質量調整用部品の装着や離脱により、軸受スリーブの質量や重心の位置を容易に調整することができる。
【0024】
上記気体軸受スピンドルにおいて、軸受スリーブには、内部にネジ加工が施された固定用孔が形成されてもよい。質量調整用部品の表面にはネジ加工部が形成されていてもよい。質量調整用部品は固定用孔にねじ込まれることにより固定されてもよい。この場合、質量調整用部品を軸受スリーブに容易に固定することができる。
【0025】
上記気体軸受スピンドルにおいて、軸受スリーブの側面端部には、側面の外周に沿ってネジ加工部が形成されてもよい。質量調整用部品は、内周部にネジ加工が施されたリング状部材であってもよい。質量調整用部品は、ネジ加工が施された内周部を軸受スリーブのネジ加工部と嵌合させることにより固定されていてもよい。この場合、質量調整用部品を軸受スリーブに容易に固定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高速回転時にも安定して動作する気体軸受スピンドルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1の気体軸受スピンドルの断面模式図である。図1を参照して、本発明の実施の形態1における気体軸受スピンドル1を説明する。
【0029】
図1に示すように、実施の形態1の気体軸受スピンドル1は、回転軸10と、軸受スリーブ30と、ハウジング20とを備える。軸受スリーブ30は、回転軸10の外周面11Aの一部を取り囲む貫通穴である軸受スリーブ貫通穴33が形成された円筒状の部材である。ハウジング20は、軸受スリーブ30を取り囲み、弾性部材としてのゴム製のOリング41〜44を介して軸受スリーブ30を保持する。回転軸10と軸受スリーブ30とは、10μm以上40μm以下程度のジャーナル軸受隙間13を隔てて配置されている。
【0030】
回転軸10は、円筒状(棒状)の軸部11と、軸部11の一方の端部に形成された、軸部11より直径の大きい円板状の形状を有するフランジ部12とを有している。軸部11の他方の端部には工具などを保持するための保持部19が形成されている。そして、軸受スリーブ30には、複数のジャーナルノズル51が形成されている。ジャーナルノズル51は、軸受スリーブ30の周壁に形成される。ジャーナルノズル51は、軸受スリーブ貫通穴33の内周面と回転軸10の軸部11の外周面11Aとの間に設けられたジャーナル軸受隙間13に軸受用気体を供給する。
【0031】
ジャーナルノズル51は、軸受スリーブ貫通穴33の内周面において円周方向に延びる2つの列を構成するように配置されている。ジャーナルノズル51は、軸受スリーブ貫通穴33の延びる方向(回転軸10の軸部11における軸方向)における軸受スリーブ30の中央部を挟む両側のそれぞれに1列ずつ形成されている。ジャーナルノズル51は、軸受スリーブ30の周壁に形成されたスリーブ給気路52と接続されている。
【0032】
以上の構成により、軸受スリーブ30は、ハウジング20に対して回転軸10をラジアル方向(軸部11の軸方向に垂直な方向)に非接触に軸支する気体ジャーナル軸受として機能する。なお、軸部11の軸方向における軸受スリーブ30の中央部から両側のジャーナルノズル51までの距離がほぼ等しくなるように、ジャーナルノズル51は形成されていることが好ましい。これにより、ジャーナル軸受隙間13内の圧力分布が軸方向における軸受スリーブ30の中央部に対して対称となる。このようにすれば、回転軸10は軸受スリーブ30に対して、軸方向にバランスよく軸支される。
【0033】
ジャーナルノズル51は、スリーブ給気路52と、軸受スリーブ30、ハウジング20およびOリング42、43により閉じられた空間である環状空間(周状空間22のうちOリング42、43により囲まれた一部の空間)とを介して、ハウジング20内に形成された軸受用気体供給路21に接続されている。
【0034】
ハウジング20の内部には、円環状の形状を有する気体スラスト軸受部材60が配置されている。気体スラスト軸受部材60は、回転軸10のフランジ部12の両側の端面12Aのそれぞれに対して、一方の端面が対向するように配置されている。気体スラスト軸受部材60と回転軸10のフランジ部12とは、10μm以上50μm以下程度のスラスト軸受隙間14を隔てて配置されている。気体スラスト軸受部材60には、フランジ部12に対向する当該一方の面と、これに対向するフランジ部12の端面12Aとの間に設けられたスラスト軸受隙間14に気体を供給するため、複数個のスラストノズル61が形成されている。スラストノズル61は、フランジ部12の周方向に沿った方向に複数個形成されている。スラストノズル61は、気体スラスト軸受部材60に形成されたスラスト軸受給気路62に接続されている。また、スラスト軸受給気路62はハウジング20に形成された軸受用気体供給路21に接続されている。つまり、スラストノズル61は、スラスト軸受給気路62を介して軸受用気体供給路21に接続されている。そして、軸受用気体供給路21は、空気などの高圧の気体を供給する機能を有し、気体軸受スピンドル1の外部に配置された図示しないエアコンプレッサなどの軸受用気体供給源に接続されている。
【0035】
フランジ部12の一部(外周部)には、フランジ部12内において当該外周部に隣接する部分(たとえばスラストノズル61と対向するフランジ部12の部分)よりも軸方向の厚みの薄い薄肉部12Bが形成されている。薄肉部12Bの一方の面には、フランジ部12の円周方向に沿って配列された複数のタービン翼15が形成されている。タービン翼15は、板状の形状を有し、吹き付けられた気体を受けて回転軸10をフランジ部12の周方向に回転させるためのものである。
【0036】
また、ハウジング20の内部には、フランジ部12の外周側に配置され、タービン翼15に対向する位置に開口を有し、ハウジング20の内壁からタービン翼15に向けて圧縮空気などの駆動用気体を噴出できるように構成されたタービンノズル73が形成されている。タービンノズル73は、フランジ部12の外周に沿った方向に延びるように形成された円周溝72に接続されている。円周溝72は駆動用気体供給路71に接続されている。つまり、タービンノズル73は、円周溝72を介して駆動用気体供給路71に接続されている。駆動用気体供給路71は、高圧の空気などの気体を供給する機能を有し、気体軸受スピンドル1の外部に配置された図示しないエアコンプレッサなどの駆動用気体供給源に接続されている。
【0037】
ハウジング20には、駆動用気体排出路75が形成されている。駆動用気体排出路75は、フランジ部12の薄肉部12Bにおいてタービン翼15が形成された側の面であって、タービン翼15が形成された領域よりも内周側の領域に対向する位置に一方の開口を有し、ハウジング20の外壁に他方の開口を有する。
【0038】
上記構造において軸受スリーブ30は、軸受部であるベース体31と、後述する質量調整用部品32とを含む。ベース体31は、軸受スリーブ貫通穴33を有し、この軸受スリーブ貫通穴33の内周面が回転軸10の外周面11Aに対向する。軸受スリーブ貫通穴33の延びる方向(回転軸10の軸方向)における軸受スリーブ30の両端面と外径側面の端面側には、弾性部材であるゴム製のOリング41〜44がはめ込まれている。軸受スリーブ30は、上記Oリング41〜44を介してハウジング20に対して保持されている。この弾性部材としてのOリング41〜44によって、軸受スリーブ30と回転軸10との相対振動を減衰させることができる。
【0039】
ここで、軸受スリーブ30は、回転軸10の側面の少なくとも一部に対向するように配置される。軸受スリーブ30において回転軸10と対向する部分であるベース体31は、カーボンと、カーボンと線膨張係数の異なる材料との混合体を含む。より具体的には、軸受スリーブ30のベース体31は、カーボンと、当該カーボンと線膨張係数の異なる材料との混合体を成形した成形体により構成される。たとえば、軸受スリーブ30のベース体31は、カーボンと樹脂との混合体からなる成形材、またはカーボンと金属との焼結材によって形成されている。また、回転軸10の円筒状の軸部11は、カーボンより線膨張係数の大きな材料の一例である鉄鋼系金属(たとえばステンレス鋼など)により形成されている。なお、上記カーボンと混合させる樹脂はたとえばフェノール系樹脂を用いることができる。また、当該カーボンと樹脂との混合体からなる成形材では、たとえばカーボンの組成比率は体積比で65%以上のものを使用する。この場合、樹脂の組成やカーボンの組成比率を調整することで軸受スリーブ30において回転軸10と対向する部分(ベース体31)の線膨張係数を調整する自由度を大きくできる。なお、カーボンと樹脂との混合体におけるカーボンの組成比率の下限として体積比が65%としたのは、その比率より低下すると軸受スリーブ30と回転軸10との接触時における耐焼付性能が低下するからである。またカーボンの組成比率が多いほど上記耐焼付性能は良好となるが、スリーブの線膨張係数が低くなり、カーボンのみで形成されたスリーブに対する線膨張係数の改善効果が期待できなくなる(つまり以上から軸受の運転条件に応じて最適な組成比率を選定する)。
【0040】
またカーボンと金属との焼結材に関しては、カーボンと混合させる金属はたとえば鉄(Fe)又は銅(Cu)を用いることができる。また、上記焼結材において、たとえばカーボンの混合比率は体積比で25%以下である。この場合、カーボンの組成比率や金属の種類を選択することで、軸受スリーブ30におけるベース体31の線膨張係数を任意に調整することができる。なお、カーボンと金属との焼結体におけるカーボンの混合比率の上限を体積比で25%としたのは、これ以上カーボンが増加すると正常な金属の焼結が出来難くなるからである。
【0041】
このように、図1に示した気体軸受スピンドル1では、カーボンを用いることで軸受スリーブ30での軸受スリーブ貫通穴33の表面における潤滑性を確保するとともに、軸受スリーブ30全体としての線膨張係数を調整することができる。このため、回転軸10と軸受スリーブ30との線膨張係数の差を、軸受スリーブ30がカーボンのみから構成される場合より小さくすることが可能になる。この場合、回転軸10の回転に伴う気体摩擦による熱で回転軸10および軸受スリーブ30が熱膨張したときに、カーボンのみからなる軸受スリーブを用いた場合より、回転軸10と軸受スリーブ30との熱膨張による寸法変化の差を小さくできる。この結果、当該寸法変化に起因して回転軸10と軸受スリーブ30との間のジャーナル軸受隙間13が無くなり、回転軸10と軸受スリーブ30が接触するという不良の発生を抑制できる。
【0042】
上記軸受スリーブ30の両端面には回転軸に対して軸対称となるよう、例えば円周状に、複数個のタップ穴34が形成されている。固定用孔としての当該タップ穴34の内周面にはネジ加工が施されている。タップ穴34には、質量調整用部品32が挿入固定されている。質量調整用部品32の外周部にはネジ加工部が形成されている。つまり、質量調整用部品32は、タップ穴34にねじ込まれることにより固定されており、別の観点から言えば質量調整用部品32は軸受スリーブ30に対して着脱可能に設置されている。また別の観点から言えば、質量調整用部品32の少なくとも一部が軸受スリーブ30(具体的にはベース体31)に嵌め込まれることにより、質量調整用部品32は軸受スリーブ30に固定されている。この様な構成により、質量調整用部品32を軸受スリーブ30に容易に固定することができるとともに、質量調整用部品32の装着や離脱により、軸受スリーブ30の質量や重心の位置を容易に調整することができる。なお、この質量調整用部品32は、上記タップ穴34にねじ込まれる前に軸受スリーブ30の重さや重心位置が最適となるよう、その長さを調整されている。
【0043】
なお、この質量調整用部品32を構成する材料の線膨張係数は軸受スリーブ30を構成するベース体31を構成する材料(軸受スリーブ30において質量調整用部品32以外の部分を構成する材料)の線膨張係数と同等またはそれより大きいことが好ましい。この場合、回転軸10の回転中に軸受スリーブ30の温度が上昇した場合に、タップ穴34が形成されたベース体31の熱膨張による寸法変化(たとえばタップ穴34の径の拡大)より質量調整用部品32の熱膨張による寸法変化(たとえば質量調整用部品32の径の拡大)の方が大きいため、質量調整用部品32がタップ穴34から抜けることを抑制できる。
【0044】
また、上記気体軸受スピンドル1において、図1に示すように質量調整用部品32は軸受スリーブ30に複数個設置されていてもよい。軸受スリーブ30の中心軸に沿った方向における、軸受スリーブ30の重心の位置は、軸受スリーブ30の中心軸に沿った方向における中央部に位置している。この場合、上記重心の位置が軸受スリーブ30の中心軸に沿った方向における中心部からずれた場合に発生し得る、軸受スリーブ30での異常振動の発生を抑制することができる。
【0045】
また、複数の質量調整用部品32は軸受スリーブ30の中心軸に対して軸対称な位置に配置されている。具体的には、たとえば軸受スリーブ30の中心軸を中心として円周上に等間隔で並ぶように、複数の質量調整用部品32は配置される。この場合、回転軸10の回転に伴い軸受スリーブ30が振動するような際に、質量調整用部品32が軸受スリーブ30の中心軸に対して非対称な位置(偏った位置)に配置されることに起因する異常振動の発生を抑制できる。
【0046】
次に、図1に示した気体軸受スピンドル1の動作について説明する。図示しない軸受用気体供給源から供給された圧縮空気などの軸受用気体は、軸受用気体供給路21、周状空間22、スリーブ給気路52およびジャーナルノズル51を通じてジャーナル軸受隙間13に供給される。さらに、図示しない軸受用気体供給源から供給された軸受用気体は、軸受用気体供給路21、スラスト軸受給気路62およびスラストノズル61を通じてスラスト軸受隙間14に供給される。これにより、ジャーナル軸受隙間13およびスラスト軸受隙間14においては、供給された軸受用気体により気体膜(気体層)が形成される。その結果、回転軸10は、回転軸10を軸方向に垂直な方向(ラジアル方向)および軸方向(アキシアル方向)において、ハウジング20に対して非接触かつ回転自在に軸支される。
【0047】
また、図示しないエアコンプレッサなどの駆動用気体供給源から供給された駆動用気体は、駆動用気体供給路71から円周溝72を通じてタービンノズル73に供給される。タービンノズル73に供給された駆動用気体は、タービン翼15に向けて噴出される。そして、噴出した駆動用気体をタービン翼15で受けることにより、フランジ部12には回転軸10の軸まわりに回転する駆動力(トルク)が与えられる。この結果、回転軸10が軸まわりに回転する。回転軸10に駆動力を与えた駆動用気体は、駆動用気体排出路75から気体軸受スピンドル1の外部へと排出される。
【0048】
以上のように、図1に示した気体軸受スピンドル1の軸受スリーブ30は、ベース体31がカーボンと樹脂との成型材、またはカーボンと金属との焼結材によって形成されているため、樹脂や金属の種類や配合率を調整することで、ベース体31が黒鉛単体により形成された場合に比較して、軸受スリーブ30の線膨張係数を黒鉛より鉄鋼系金属の線膨張係数により近くすることができる。このため、比較的安価な鉄鋼系金属材料を回転軸10に採用しても、回転時の軸受部の発熱による軸受隙間(ジャーナル軸受隙間13)の減少量は少なく、安定した軸受性能が得られる。
【0049】
例えば、黒鉛の線膨張係数が約4×10−6/℃であるのに対して、カーボンと樹脂との成形材においてカーボンの混合比率を上記の体積比の条件内で適宜に選定すれば、線膨張係数を約15×10−6/℃とすることができ、また、カーボンと金属との焼結材においても同様に、上記の体積比の条件内でカーボンの混合比率を適宜に選定すれば、線膨張係数を約12×10−6/℃とすることができる。
【0050】
なおここで、樹脂系の成形材は、たとえば粉末状カーボンと液体状のフェノール系樹脂が上記比率で混合され、熱圧成形されて製造されており、また金属系の焼結体は、カーボン粉と金属粉が上記比率で混合され、金型内で加圧されて成形され、その後炉内でその金属の融点より低い温度で加熱され固体化されて製造されている。
【0051】
なお、上記軸受スリーブ30を構成するベース体31の材料はカーボンと他の材質とが混合された成型材もしくは焼結材であり、カーボンが含まれているため、従来の黒鉛単体から成るベース体31と同様に、回転軸10と軸受スリーブ30との接触事故時における耐焼付き性は良好に保たれている。さらに耐食性や耐摩耗性を向上させるために、上記回転軸10の表面に硬質クロムめっきなどのめっき処理のような表面処理層を形成してもよい。
【0052】
また、軸受スリーブ30は、Oリング41〜44によってハウジング20に支持されている。また、軸受スリーブ30のベース体31には質量調整用部品32が付加されている。質量調整用部品32の長さ(すなわち質量調整用部品32の重さ)を任意に調整することにより、軸受スリーブ30の質量を最適な値に近づけることができる。また、当該質量調整用部品32の重さや配置を調整することにより、軸受スリーブ30の軸方向における重心の位置を調整することができる。このため、回転中における軸受スリーブ30の振動を効果的に減衰させることができる。したがって、回転軸10の振れ回り量が小さく、スラスト軸受部のフランジ部12と気体スラスト軸受部材60との接触を防止でき、且つ回転軸10の軸端の振れ回り量も抑えることができる。
【0053】
以上のように、実施の形態1の気体軸受スピンドル1によれば、回転軸10の軸受隙間(ジャーナル軸受隙間13)の変化量が小さいため軸受性能が安定し、且つ回転軸10の振れ回り振動を効率的に減衰させることが可能である。
【0054】
(実施の形態2)
図2は、本発明の一実施の形態である実施の形態2の気体軸受スピンドルの断面模式図である。図2を参照して、本発明の実施の形態2における気体軸受スピンドル1を説明する。
【0055】
図2に示した気体軸受スピンドル1は、基本的には図1に示した気体軸受スピンドル1と同様の構成を備える。ただし、図2に示した気体軸受スピンドル1では、軸受スリーブ30の両端面部でなく、軸受スリーブ30の軸方向に対する側面(円周状の外周側面)に質量調整用部品32が配置されている点が図1に示した気体軸受スピンドル1と異なっている。つまり、図2に示した気体軸受スピンドル1では、軸受スリーブ30を構成するベース体31の外周側面において、軸受スリーブ30の軸方向における中央部にタップ穴34が形成され、当該タップ穴34に質量調整用部品32がねじ込まれて固定されている。
【0056】
このような構成によっても、図1に示した気体軸受スピンドル1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(実施の形態3)
図3は、本発明の一実施の形態である実施の形態3の気体軸受スピンドルの断面模式図である。図3を参照して、本発明の実施の形態3における気体軸受スピンドル1の構成について説明する。
【0058】
図3に示した気体軸受スピンドル1も、基本的には図1に示した気体軸受スピンドル1と同様の構成を備える。ただし、図3に示した気体軸受スピンドル1では、軸受スリーブ30を構成するベース体31の外周側面の両端部にネジ加工部45が形成されている。当該ネジ加工部45は、上記ベース体31の外周側面の両端部において円周状に形成された凹部内に形成されている。より具体的には、円周状に形成された凹部の、軸受スリーブ30の中心軸に沿った壁面にネジ加工部45が形成されている。当該凹部に、リング状で内側にねじ加工された質量調整用部品32が固定されている。当該質量調整用部品32はたとえば金属製である。
【0059】
図3に示した気体軸受スピンドル1では、図1に示した気体軸受スピンドル1と同様の効果を得ることができる。さらに、図3に示した気体軸受スピンドル1では、軸受スリーブ30の両端にリング状の質量調整用部品32が設置されているため、ハウジング20に対して軸受スリーブ30を抜き差しする工程を実施する際に、ベース体31の両端外径側の隅をハウジング20等に当てて損傷させる心配がなく、上記の工程の作業を容易に行なうことができる。
【0060】
なお、上記実施の形態1〜3においては、本発明の気体軸受スピンドルの一例として、ジャーナルノズル51が2列に形成された場合について説明したが、本発明の気体軸受スピンドルはこれに限られず、ジャーナルノズル51が3以上の列を成すように形成されたものであってもよい。また、実施の形態1〜3においては、軸受スリーブ30の端面側および外径側面側のそれぞれに1つずつ、合計4つの溝が形成され、弾性部材としてのOリング41〜44が嵌め込まれた場合について説明したが、気密性向上などを目的として、溝が3本以上形成され、3つ以上の弾性部材(たとえばOリング)がそれぞれ当該溝に嵌め込まれていてもよい。
【0061】
また、溝は、軸受スリーブ30のベース体31における端面側に複数形成してもよいし、ベース体31の外周側側面(周状空間22と対向する側面)に複数形成してもよい。この場合、軸受スリーブ30および回転軸10の振れ回り振動をより確実に弾性部材としてのOリングにより吸収することができる。また逆に、弾性部材の剛性を小さくすること等を目的として、弾性部材一個を、軸受スリーブ30の両端面における外径側角部に嵌め込んでもよい。具体的には、軸受スリーブ30を構成するベース体31の両端面における外径側(外周側)の端部の角を削るように溝を形成し、当該溝に弾性部材を配置する。このようにすれば、ジャーナル軸受用の弾性部材とスラスト軸受用の弾性部材の機能を当該1つの弾性部材(たとえばOリング)で兼用可能となる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によるスピンドル装置は、軸受として静圧気体軸受を用いたスピンドル装置であって、精密加工機や精密検査装置のワークスピンドル装置または工具スピンドル装置などに使用されるものに有利に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態である実施の形態1の気体軸受スピンドルの断面模式図である。
【図2】本発明の一実施の形態である実施の形態2の気体軸受スピンドルの断面模式図である。
【図3】本発明の一実施の形態である実施の形態3の気体軸受スピンドルの断面模式図である。
【図4】従来の気体軸受スピンドル(静圧空気軸受スピンドル)のジャーナル軸受部を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1 気体軸受スピンドル、10 回転軸、11 軸部、11A 外周面、12 フランジ部、12A 端面、12B 薄肉部、13 ジャーナル軸受隙間、14 スラスト軸受隙間、15 タービン翼、19 保持部、20 ハウジング、21 軸受用気体供給路、22 周状空間、30 軸受スリーブ、31 ベース体、32 質量調整用部品、33 軸受スリーブ貫通穴、34 タップ穴、41〜44 Oリング、45 ネジ加工部、51 ジャーナルノズル、52 スリーブ給気路、60 気体スラスト軸受部材、61 スラストノズル、62 スラスト軸受給気路、71 駆動用気体供給路、72 円周溝、73 タービンノズル、75 駆動用気体排出路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の側面の少なくとも一部に対向するように配置された軸受スリーブとを備え、
前記軸受スリーブは、カーボンと、前記カーボンと線膨張係数の異なる材料との混合体を含む、気体軸受スピンドル。
【請求項2】
前記回転軸は前記カーボンより線膨張係数の大きな材料により形成され、
前記混合体を構成する前記材料は、前記カーボンの線膨張係数より大きな線膨張係数を有する、請求項1に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項3】
前記混合体を構成する前記材料は樹脂であり、
前記軸受スリーブにおいて前記回転軸と対向する部分は、前記カーボンと前記樹脂との混合物を成形した成形体により構成される、請求項1に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項4】
前記混合体を構成する前記材料は金属であり、
前記軸受スリーブにおいて前記回転軸と対向する部分は、前記カーボンと前記金属との焼結体である、請求項1に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項5】
前記軸受スリーブは、前記軸受スリーブの質量を調整するための質量調整用部品を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項6】
前記質量調整用部品は前記軸受スリーブに複数個設置され、
複数の前記質量調整用部品は前記軸受スリーブの中心軸に対して軸対称な位置に配置される、請求項5に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項7】
前記質量調整用部品は前記軸受スリーブに複数個設置され、
前記軸受スリーブの中心軸に沿った方向における、前記軸受スリーブの重心の位置は、前記軸受スリーブの前記中心軸に沿った方向における中央部に位置する、請求項5に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項8】
前記質量調整用部品を構成する材料は、前記軸受スリーブにおいて前記質量調整用部品以外の部分を構成する材料の線膨張係数の値以上の線膨張係数の値を有し、
前記質量調整用部品の少なくとも一部が前記軸受スリーブに嵌め込まれることにより、前記質量調整用部品は前記軸受スリーブに固定されている、請求項5〜7のいずれか1項に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項9】
前記質量調整用部品は前記軸受スリーブに着脱可能に設置されている、請求項5〜8のいずれか1項に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項10】
前記軸受スリーブには、内部にネジ加工が施された固定用孔が形成され、
前記質量調整用部品の表面にはネジ加工部が形成され、
前記質量調整用部品は前記固定用孔にねじ込まれることにより固定される、請求項9に記載の気体軸受スピンドル。
【請求項11】
前記軸受スリーブの側面端部には、前記側面の外周に沿ってネジ加工部が形成され、
前記質量調整用部品は、内周部にネジ加工が施されたリング状部材であって、
前記質量調整用部品は、前記ネジ加工が施された内周部を前記軸受スリーブの前記ネジ加工部と嵌合させることにより固定されている、請求項9に記載の気体軸受スピンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−197943(P2009−197943A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41650(P2008−41650)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】