説明

気体遮断弁及びそれを備えた液滴吐出装置並びにリザーバータンク

【課題】 主に液体が貯留された所定空間内を密閉しつつ、その所定空間内の圧力と大気圧との差を制御可能とする気体遮断弁と、それを備えた液滴吐出装置及びリザーバータンクの提供を課題とする。
【解決手段】 第1開口56によりリザーバータンク50内部と連通する第1空間部64と、第2開口58によりリザーバータンク50外部と連通する第2空間部66と、第1空間部64と第2空間部66とを仕切る仕切板68と、仕切板68に形成され、リザーバータンク50内部とリザーバータンク50外部とを連通可能とする連通孔68Aと、連通孔68Aを閉塞可能に、第1空間部64及び第2空間部66に注入された不揮発性液体70と、を有する気体遮断弁60であって、第1空間部64と第2空間部66との圧力差が所定の圧力以上になったときに、連通孔68Aを介して、第1空間部64と第2空間部66とを気体連通させ、リザーバータンク50内の圧力を制御する。そして、この気体遮断弁60を備えた液滴吐出装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液体が貯留された所定空間の内部と外部の圧力差を制御できる気体遮断弁と、それを備えた液滴吐出装置及びリザーバータンクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録装置(液滴吐出装置)の用途は多岐に亘っており、これに伴い、使用するインクも多様になってきている。特に、従来では使用が困難であった揮発性の高いインクの使用を可能にするとともに、通常のインクでも、長期に亘って安定した印刷が行えるように、インクの乾燥を防止したインクジェット記録装置の開発が望まれている。
【0003】
また、インクジェット記録装置では、安定したインク吐出動作を実現するために、インクジェット記録ヘッドのノズル部でのインク圧力を負圧とし、所望の圧力範囲に制御する必要がある。このため、インクジェット記録装置では、インクジェット記録ヘッドに連結されたインクタンクの水位を制御したり、インクタンク内に毛細管力により負圧を発生するインク吸収体を設けるなどの圧力制御手段を有している。
【0004】
この圧力制御手段は、大気圧との圧力差を生じさせるものであるから、インクタンクあるいはインク吸収体を大気圧に連通させる必要がある。したがって、インクタンクは、通常、大気連通孔を有しているが、長期の使用に際しては、大気連通孔からのインク溶媒の蒸発によるインク増粘などの問題があった。
【0005】
このため、従来では、インクタンクの大気連通孔に弁を設け、印刷時だけ開放するという提案がなされた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような弁を設けた場合、保管時の温度変化によるインクタンク内の圧力変化には対応できないという欠点があった。
【0006】
また、従来では、大気連通孔をラビリンス構造として高粘性流体を収納するという提案がなされた(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、高粘性流体を収納したラビリンス構造では、インクタンク内のインク減少量に対応するだけのラビリンス部容積が必要であり、かつ、インクタンクへのインク再補充を行うことができないという欠点があった。
【特許文献1】特開昭63−247048号公報
【特許文献2】特開平7−60976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、主に液体が貯留された所定空間内を密閉しつつ、その所定空間内の圧力と所定空間外の圧力(大気圧)との差を制御可能とする気体遮断弁と、それを備えた液滴吐出装置及びリザーバータンクを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の気体遮断弁は、所定空間の内部と外部との圧力差を制御する気体遮断弁であって、第1開口により前記所定空間の内部と連通する第1空間部と、第2開口により前記所定空間の外部と連通する第2空間部と、前記第1空間部と前記第2空間部とを仕切る仕切部材と、前記仕切部材に形成され、前記第1空間部と前記第2空間部とを連通可能とする連通孔と、前記連通孔を閉塞可能に、前記第1空間部及び前記第2空間部に注入された不揮発性液体と、を有し、前記第1空間部と前記第2空間部との圧力差が所定の圧力以上になったときに、前記連通孔を介して、前記第1空間部と前記第2空間部とを気体連通させることを特徴としている。
【0009】
そして、請求項2に記載の気体遮断弁は、請求項1に記載の気体遮断弁において、前記所定の圧力が、前記不揮発性液体の量及び密度並びに前記第1空間部及び前記第2空間部の形状により決定されることを特徴としている。
【0010】
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、例えば液体が貯留された所定空間内を密閉しつつ、所定空間内の圧力と所定空間外の圧力(大気圧)との差を制御できる。したがって、所定空間内の圧力を、長期に亘り安定して所望の圧力に制御できるとともに、所定空間内の液体の乾燥を防止できる。これにより、揮発性の高い液体の使用が可能になり、液滴吐出装置等に設けた場合には、その使用用途の多様化が図れる。例えば、液滴吐出装置の一例であるインクジェット記録装置に設けた場合には、印刷の高速化や、長期に亘る安定した印刷の実現が可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載の気体遮断弁は、請求項1又は請求項2に記載の気体遮断弁において、前記第1空間部の形状と前記第2空間部の形状を異にしたことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、第1空間部と第2空間部における圧力差制御範囲を正圧と負圧で異なる値にできる。したがって、液滴吐出装置等に設けた場合には、その液滴吐出ヘッドのノズルからの液漏れを防止することができる。
【0013】
そして、請求項4に記載の気体遮断弁は、請求項3に記載の気体遮断弁において、前記連通孔の鉛直方向最大高さ位置より上側の前記第1空間部の容積をV1、前記連通孔の鉛直方向最大高さ位置より上側の前記第2空間部の容積をV2、前記連通孔の鉛直方向最大高さ位置より下側の前記第1空間部及び前記第2空間部の容積をV3とし、かつ前記不揮発性液体の体積をV0としたときに、V1≦V2の条件下で、V3<V0<V3+V1、V1>V2の条件下で、V3<V0<V3+V2を満たすことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、所定空間内又は所定空間外(大気)のどちらの気圧が高くなった場合でも、不揮発性液体が漏れることなく動作することができる。
【0015】
更に、請求項5に記載の気体遮断弁は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の気体遮断弁において、前記第1開口と前記第2開口の少なくとも一方を気液分離膜で閉塞したことを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、運搬時などにおいて振動や傾きがあっても、気体遮断弁内の不揮発性液体の漏れ、更には所定空間内の液体の漏れなどを防止することができる。
【0017】
また、請求項6に記載の気体遮断弁は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の気体遮断弁おいて、前記連通孔の最大高さ位置で前記仕切部材を鉛直方向に切断したときの断面視で、前記第1空間部を構成する底壁と前記第2空間部を構成する底壁を前記仕切部材側が低位となるように傾斜させるとともに、前記連通孔の上端部をテーパー面にしたことを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、少量の不揮発性液体で確実に気体遮断を行うことができるとともに、弁動作時の圧力差を小さくすることができる。つまり、小さい圧力で安定して動作する気体遮断弁を実現することができる。
【0019】
また、本発明に係る請求項7に記載の液滴吐出装置は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の気体遮断弁において、前記不揮発性液体がイオン性液体であることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、イオン性液体は揮発性が全く無いため、より安定した気体遮断弁を実現することができる。
【0021】
また、本発明に係る請求項8に記載の液滴吐出装置は、液体が貯留されるタンクを備えた液滴吐出装置において、前記タンクに、該タンクの内部と外部との圧力差を制御する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の気体遮断弁を接続したことを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、液体が貯留されたタンク内を密閉しつつ、タンク内の圧力とタンク外の圧力(大気圧)との差を制御できる。したがって、タンク内の圧力を、長期に亘り安定して所望の圧力に制御できるとともに、タンク内の液体の乾燥を防止できる。これにより、揮発性が高い液体の使用が可能になり、液滴吐出装置において、使用用途の多様化が図れる。例えば、液滴吐出装置の一例であるインクジェット記録装置の場合には、印刷の高速化や、長期に亘る安定した印刷の実現が可能となる。
【0023】
また、本発明に係る請求項9に記載の液滴吐出装置は、液体が貯留されるタンクと、前記タンクと液滴吐出ヘッドとの間に設けられ、該液滴吐出ヘッドとの間で液体が循環されるリザーバータンクと、を備えた液滴吐出装置において、前記リザーバータンクに、該リザーバータンクの内部と外部との圧力差を制御する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の気体遮断弁を接続したことを特徴としている。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、リザーバータンク内を密閉しつつ、リザーバータンク内の圧力とリザーバータンク外の圧力(大気圧)との差を制御できる。したがって、リザーバータンク内の圧力を、長期に亘り安定して所望の圧力に制御できるとともに、リザーバータンク内の液体の乾燥を防止できる。これにより、揮発性の高い液体の使用が可能になり、液滴吐出装置において、使用用途の多様化が図れる。例えば、液滴吐出装置の一例であるインクジェット記録装置の場合には、印刷の高速化や、長期に亘る安定した印刷の実現が可能となる。
【0025】
また、このような構成の液滴吐出装置では、リザーバータンクと液滴吐出ヘッド間で液体を循環させているので、液体流路内の気泡をリザーバータンクへ戻すことができ、液滴吐出ヘッド及び液体流路内の気泡を除去することができる。つまり、リザーバータンクを密閉しつつ、リザーバータンクに戻された気泡を排出することができる。これにより、液体循環や液体補充の実現と、長期に亘る液体乾燥の防止を両立することができる。なお、タンクは交換可能となっている。
【0026】
また、本発明に係る請求項10に記載のリザーバータンクは、外部から液体が流入する流入口と外部へ液体を送出する送出口とを備え、液体が貯留されるリザーバータンク本体と、前記リザーバータンク本体の内部と外部との圧力差を制御する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の気体遮断弁と、前記リザーバータンク本体に貯留された液体の液面が、その鉛直方向上方にあるか否かを検知する液面検知部と、を有し、前記気体遮断弁の一部が前記リザーバータンク本体を兼ね、鉛直方向下方から鉛直方向上方に向かって、前記流入口、前記液面検知部、前記気体遮断弁の第1開口の順に配置されていることを特徴としている。
【0027】
また、本発明に係る請求項11に記載の液滴吐出装置は、請求項10に記載のリザーバータンクと、前記リザーバータンクと鉛直方向に所定の間隔をもって配置され、前記リザーバータンクの送出口から送出された液体を画像情報に基づいて吐出する液滴吐出ヘッドと、記録媒体を前記液滴吐出ヘッドに対向させつつ相対的に移動させる搬送手段と、前記リザーバータンクの流入口に接続され、前記液体を貯留するメインタンクと、前記流入口から前記リザーバータンクへ液体を供給するとともに、前記液面検知部を液面が超えると、液体の供給を停止する液体供給手段と、を有することを特徴としている。
【0028】
請求項10及び請求項11に記載の発明によれば、リザーバータンク内の液体の量を好適に管理することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、主に液体が貯留された所定空間内を密閉しつつ、所定空間内の圧力と所定空間外の圧力(大気圧)との差を制御可能とする気体遮断弁と、それを備えた液滴吐出装置及びリザーバータンクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。図1、図2では、本発明に係る液滴吐出装置の一例としてのインクジェット記録装置10の概略構成が示されている。したがって、以下において、液滴吐出ヘッドをインクジェット記録ヘッド20とし、記録媒体を記録用紙100として説明をする。
【0031】
図1、図2で示すように、インクジェット記録装置10は、記録用紙100が収容される給紙トレイ12と、この給紙トレイ12から供給された記録用紙100に画像を記録する画像記録部14と、画像記録部14へ記録用紙100を搬送する搬送手段16と、画像記録部14によって画像が記録された記録用紙100を収容する排紙トレイ18と、を有している。
【0032】
画像記録部14は、インクジェット記録ヘッド20を有しており、このインクジェット記録ヘッド20は、インクジェット記録装置10での画像記録が想定される記録用紙100の最大幅と同程度か、又はそれ以上の記録可能領域を有している。つまり、このインクジェット記録ヘッド20は、シングルパス印字が可能な所謂Full Width Array(FWA)となっている。
【0033】
また、インクジェット記録ヘッド20は、記録用紙100の搬送方向に対して、その上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に並設されており、サーマル方式や圧電方式等の公知の手段によって、インク滴が吐出されるように構成されている。
【0034】
なお、そのインクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、各種インクが使用可能であり、インクジェット記録装置10には、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kにインクを供給するメインタンクとしてのインクタンク40Y、40M、40C、40Kが配設されている。そして、このインクタンク40Y〜40Kは、それぞれ交換可能な構成になっている。
【0035】
更に、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kには、メンテナンスユニット22Y、22M、22C、22Kが備えられている。このメンテナンスユニット22Y〜22Kは、イエロー(Y)とマゼンタ(M)、シアン(C)とブラック(K)の2組に分かれて、それぞれ印刷時における退避位置(図1参照)と、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kをメンテナンスする位置(図2参照)とに移動可能に構成されている。
【0036】
各メンテナンスユニット22Y〜22Kは、キャップ、ダミージェット受け、クリーニング部材等を有しており、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kをメンテナンスする際には、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kが所定高さ上昇することにより、各ノズル面に対して、メンテナンスユニット22Y〜22Kがそれぞれ対向配置できるようになっている。
【0037】
給紙トレイ12中の記録用紙100は、ピックアップローラー24によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラー対25によって画像記録部14へ送られる。搬送手段16は、記録用紙100の印刷面をインクジェット記録ヘッド20に対面させるための搬送ベルト30を有しており、この搬送ベルト30は、用紙搬送方向下流側に配置された駆動ローラー26と、用紙搬送方向上流側に配置された従動ローラー28とに張架されて、図示の矢印A方向(反時計方向)に循環駆動(回転)するように構成されている。
【0038】
また、従動ローラー28の上部には、搬送ベルト30の表面側から、その搬送ベルト30に従動する帯電ローラー32が配設されている。この帯電ローラー32によって搬送ベルト30が帯電される(電荷が与えられる)ことにより、記録用紙100が搬送ベルト30に静電吸着されて搬送される構成である。なお、搬送ベルト30は、記録用紙100を静電吸着して保持する構成に限定されるものではなく、記録用紙100との摩擦により、あるいは記録用紙100を吸引や粘着などの非静電的手段によって保持する構成にしてもよい。
【0039】
また、搬送ベルト30の下方には、反転部34が設けられており、両面印刷するときには、複数の搬送ローラー対36により、記録用紙100が搬送されて、再度インクジェット記録ヘッド20へ供給されるようになっている。そして、排紙トレイ18への搬送路の適宜位置にも、複数の搬送ローラー対38が配設されている。
【0040】
その他、図示しないが、このインクジェット記録装置10には、画像信号に応じて(画像情報に基づいて)インク滴の吐出タイミングと使用するノズルを決定し、そのノズルに駆動信号を印加するインクジェット記録ヘッド20の制御手段と、インクジェット記録装置10全体の動作を制御するシステム制御手段が備えられている。
【0041】
以上のような構成のインクジェット記録装置10において、次にインクジェット記録ヘッド20へのインク供給手段について説明する。図3で示すように、インクジェット記録ヘッド20は、インク供給路44、46が接続されているヘッドユニット21が、用紙幅に対応するように、用紙搬送方向と直交する方向に複数配列されて構成されており、各ヘッドユニット21には、同方向に複数のノズル(図示省略)が形成されている。そして、そのノズルから用紙搬送タイミングに応じて選択的にインク滴を吐出することにより、所望とする印刷が実行できるようになっている。
【0042】
一方、インクタンク40に収容されたインクは、圧力制御手段(後述する気体遮断弁60)を有するリザーバータンク50へ、インク供給手段としてのインク補給ポンプ41によりインク補給路42を通して供給(補給)され、一旦、そのリザーバータンク50内に貯留されるようになっており、リザーバータンク50からインク供給路44を通り、各ヘッドユニット21へ供給されるようになっている。
【0043】
そして、印字不良が発生した場合や定期メンテナンス時には、インク流路内の気泡を除去するために、循環ポンプ48により、リザーバータンク50→インク供給路44→ヘッドユニット21→循環ポンプ48→インク供給路46→リザーバータンク50の経路でインクを循環させるようになっている。
【0044】
また、図4で示すように、リザーバータンク50の側壁(後述する気体遮断弁60が設けられていない側壁)50Cには、インク水位上限センサー52とインク水位下限センサー54が上下に所定距離離隔して取り付けられており、これによって、リザーバータンク50内のインク水位が好適に管理されるようになっている。
【0045】
すなわち、リザーバータンク50内のインクLは、インク水位下限センサー54の位置(例えば、図3で示すインクジェット記録ヘッド20のノズル面から鉛直方向で−50mm)とインク水位上限センサー52の位置(例えば、図3で示すインクジェット記録ヘッド20のノズル面から鉛直方向で−20mm)の間となるように、インク補給ポンプ41により、その水位が制御されている。
【0046】
具体的には、インク水位下限センサー54をインクが下回ると、インク補給ポンプ41が駆動して、インクタンク40内のインクをリザーバータンク50内へインク補給路42を介して補給(供給)し、インク水位上限センサー52をインクが超えると、インク補給ポンプ41の駆動が停止するようになっている。
【0047】
なお、インク水位下限センサー54の取付位置は、インク補給路42より鉛直方向上方位置とされており、インク水位上限センサー52の取付位置は、図4の側面視で、後述する気体遮断弁60のリザーバータンク50内との連通孔(以下「第1連通孔」という)56(後述)よりも鉛直方向下方位置となるように設定されている。これにより、リザーバータンク50内のインクLが第1連通孔56から気体遮断弁60内に入ることがない構成である。
【0048】
また、リザーバータンク50内のインクLを除く空間は、印刷によるインクの消費及びインクタンク40からのインク補給により増減するが、その圧力は、リザーバータンク50内の天壁50A側で、かつインク水位上限センサー52及びインク水位下限センサー54が設けられていない側のコーナー部に設置された気体遮断弁60により、リザーバータンク50外の気圧(大気圧)に対して、一定の範囲内(例えば、−4mmH2O〜+1.6mmH2O)に制御される構成である。
【0049】
つまり、この気体遮断弁60を設けたことにより、インクジェット記録ヘッド20のノズル部におけるインク圧力PIが、リザーバータンク50内のインク水位により、所望の値(本実施例では、PI=−18.4mmH2O〜−54mmH2Oに設定)に制御できる構成である。
【0050】
そこで、次に、その圧力制御手段としての双方向気体遮断弁60について詳細に説明する。この気体遮断弁60は、図4乃至図6で示すように、リザーバータンク50(リザーバータンク本体)の天壁50Aと、インク水位上限センサー52及びインク水位下限センサー54が設けられていない側壁50Bを一部兼用した筐体62内に、不揮発性液体70を注入して構成されている。
【0051】
すなわち、この気体遮断弁60は、筐体62の側壁62Aの上部に形成された第1連通孔(第1開口)56により、リザーバータンク50の内部と連通する第1空間部64と、筐体62(リザーバータンク50)の天壁50Aに形成された第2連通孔(第2開口)58により、リザーバータンク50の外部(大気)と連通する第2空間部66と、第1空間部64と第2空間部66とを仕切る仕切板68と、を有している。
【0052】
そして、その仕切板68の下端部には、リザーバータンク50の内部(第1空間部64)とリザーバータンク50の外部(第2空間部66)とを連通可能とする連通孔68Aが略半円形状に形成されており、この連通孔68Aを閉塞可能な高さまで、筐体62内(第1空間部64及び第2空間部66)に、不揮発性液体70が注入されている。
【0053】
このような構成の気体遮断弁60によれば、第1空間部64と第2空間部66との圧力差が所定の圧力以上になったときには、連通孔68Aを介して、リザーバータンク50の内部(第1空間部64)とリザーバータンク50の外部(第2空間部66)とが気体連通される。
【0054】
つまり、リザーバータンク50内の気圧とリザーバータンク50外の気圧(大気圧)との間に差がない通常時には、図6で示すように、仕切板68に形成された連通孔68Aを閉塞可能な(第1空間部64と第2空間部66との気体連通を遮断可能な)不揮発性液体70と、その仕切板68により、リザーバータンク50内とリザーバータンク50外(大気)の気体連通が遮断されて密閉状態とされる。したがって、長期間放置される状態にあっても、リザーバータンク50内に貯留されているインクLの乾燥が防止される。
【0055】
一方、印刷によるインク消費や、気温の低下などにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が低下すると、図7(A)で示すように、リザーバータンク50内に連通する第1空間部64において、不揮発性液体70の水位が上昇し、リザーバータンク50外(大気)に連通する第2空間部66において、不揮発性液体70の水位が低下し、第2空間部66側から第1空間部64側へ空気Kが入る。
【0056】
他方、リザーバータンク50へインクLが補給されたり、気温の上昇などにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が上昇すると、図7(B)で示すように、リザーバータンク50内に連通する第1空間部64において、不揮発性液体70の水位が低下し、リザーバータンク50外(大気)に連通する第2空間部66において、不揮発性液体70の水位が上昇し、第1空間部64側から第2空間部66側へ空気Kが排出される。
【0057】
なお、ここで言う所定の圧力とは、不揮発性液体70の量及び密度並びに第1空間部64の形状及び第2空間部66の形状により決定される。すなわち、不揮発性液体70の密度をρ、第1空間部64と第2空間部66における水位差をH(mm)とすると、両空間の圧力差Pは、P=ρ×H(mmH2O)となる。
【0058】
したがって、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が低下したとき(負圧のとき)の第1空間部64と第2空間部66における水位差をHb、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が上昇したとき(正圧のとき)の第1空間部64と第2空間部66における水位差をHcとすると、リザーバータンク50外の気圧(大気圧)を基準としたリザーバータンク50内の相対圧力(気圧)P0は、−ρHb<P0<ρHcの範囲に制御される。
【0059】
ここで、水位差Hb及び水位差Hcは、不揮発性液体70の量、仕切板68の位置、リザーバータンク50内に連通する第1空間部64の形状、リザーバータンク50外(大気)に連通する第2空間部66の形状により、任意の値に精度よく設定することが可能である。例えば、ρ=0.8、Hb=5mm、Hc=2mmとすれば、P0は、−4.0mmH2O<P0<+1.6mmH2Oに保たれる。
【0060】
また、上記数値で示されるように、リザーバータンク50内に連通する第1空間部64の形状と、リザーバータンク50外(大気)に連通する第2空間部66の形状を異にすることにより、第1空間部64と第2空間部66の圧力差制御範囲を正圧と負圧で異なる値にできる。これにより、インクジェット記録ヘッド20のノズルからのインク漏れを防止することができる。
【0061】
なお、不揮発性液体70としては、一般に使用されている揮発性の極めて低いオイル等が使用可能であるが、イオン性液体を使用することが特に好ましい。イオン性液体は揮発性が全く無く安定しているため、これを用いれば、より安定した気体遮断弁60を提供することができる。
【0062】
また、注入する不揮発性液体70の体積(量)V0は、図8で示す断面視で、仕切板68に形成された連通孔68Aの最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より下方側の第1空間部64及び第2空間部66の容積V3と、連通孔68Aの最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より上方側で、かつ第1連通孔56の最下端部より下方側の第1空間部64の容積V1、又は連通孔68Aの最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より上方側の第2空間部66の容積V2のどちらか少ない方の容積との和より少ない体積(量)となる。
【0063】
すなわち、V3<V0<V3+(V1orV2)となるが、図示のものは、V1≦V2であるから、V3<V0<V3+V1となる。これにより、リザーバータンク50内あるいはリザーバータンク50外(大気)のどちらかの気圧が高くなった場合でも、不揮発性液体70が、第1連通孔56よりリザーバータンク50内へ、又は第2連通孔58よりリザーバータンク50外へ漏れることなく動作できる構成である。
【0064】
なお、図9で示すように、リザーバータンク50内に連通する第1連通孔56と、リザーバータンク50外(大気)に連通する第2連通孔58の少なくともどちらか一方(好ましくは両方)に、それぞれ気液分離膜72を装着してもよい。これによれば、運搬時などにおいて振動や傾きがあっても、気体遮断弁60内の不揮発性液体70の漏れ、更にはリザーバータンク50内のインクLの漏れを防止することができる。
【0065】
以上のような構成の気体遮断弁60を備えたインクジェット記録装置10において、次に、その作用について説明する。まず、ピックアップローラー24及び搬送ローラー対25により、記録用紙100を搬送ベルト30上に供給する。搬送ベルト30上に供給され、その搬送ベルト30に吸着保持された記録用紙100は、インクジェット記録ヘッド20の記録位置へ供給され、その印刷面に画像が記録される。そして、その画像記録終了後、記録用紙100は搬送ベルト30から剥離され、搬送ローラー対38によって排紙トレイ18へ搬送される。
【0066】
ここで、印刷によってインクLが消費されることにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が低下すると、図7(A)で示すように、第1空間部64において不揮発性液体70の水位が上昇し、第2空間部66において不揮発性液体70の水位が低下して、第2空間部66側から第1空間部64側へ空気Kが入る。
【0067】
そして、リザーバータンク50へインクLが補給され、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が上昇すると、図7(B)で示すように、第1空間部64において不揮発性液体70の水位が低下し、第2空間部66において不揮発性液体70の水位が上昇して、第1空間部64側から第2空間部66側へ空気Kが排出される。
【0068】
したがって、リザーバータンク50内を密閉しつつ、リザーバータンク50内の圧力(気圧)とリザーバータンク50外の圧力(大気圧)との差を制御できる。つまり、これにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)を、長期に亘り安定して所望の圧力に制御できるとともに、リザーバータンク50内のインクLの乾燥を防止することができる。また、これにより、揮発性が高いインクLの使用が可能になるため、印刷の高速化や、インクジェット記録装置10の使用用途の多様化が図れる。よって、長期に亘って安定した印刷を実現することが可能となる。
【0069】
また、このような構成のインクジェット記録装置10では、リザーバータンク50とインクジェット記録ヘッド20間でインクLを循環させているので、インク流路内の気泡をリザーバータンク50へ戻すことができ、インクジェット記録ヘッド20及びインク流路内の気泡を除去することができる。つまり、リザーバータンク50を密閉しつつ、リザーバータンク50に戻された気泡を排出することができる。したがって、インク循環やインク補充の実現と、長期に亘るインク乾燥の防止を両立することができる。
【0070】
次に、気体遮断弁60の変形例について図10を基に説明する。なお、図10で示す気体遮断弁80の基本構成は、上記気体遮断弁60と同様である。この気体遮断弁80は、仕切板88に形成された連通孔88Aの上端部両側を、図10(A)で示す断面視で、テーパー面88Bにするとともに、不揮発性液体70を収容する第1空間部84の底壁82B及び第2空間部86の底壁82Cを仕切板88側が低位になるように傾斜させた構造になっている。
【0071】
つまり、第1空間部84を構成する底壁82B及び第2空間部86を構成する底壁82Cは、仕切板88の下端に対応した位置が最も低い位置とされ、第1連通孔76が形成された筐体82の側壁82A、及び筐体82(リザーバータンク50)の天壁50Aに形成された第2連通孔78近傍のリザーバータンク50の側壁50Bに向かって、それぞれ上方向に傾斜した構造とされている。
【0072】
このような構造の気体遮断弁80では、印刷によってインクLが消費されることにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が低下すると、第1空間部84において不揮発性液体70の水位が上昇し、第2空間部86において不揮発性液体70の水位が低下して、第2空間部86側から第1空間部84側へ空気が入る。
【0073】
そして、リザーバータンク50へインクLが補給され、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が上昇すると、第1空間部84において不揮発性液体70の水位が低下し、第2空間部86において不揮発性液体70の水位が上昇して、第1空間部84側から第2空間部86側へ空気が排出される。
【0074】
したがって、リザーバータンク50内を密閉しつつ、リザーバータンク50内の圧力(気圧)とリザーバータンク50外の圧力(大気圧)との差を制御できる。つまり、これにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)を、長期に亘り安定して所望の圧力に制御できるとともに、リザーバータンク50内のインクLの乾燥を防止することができる。また、これにより、揮発性が高いインクLの使用が可能になるため、印刷の高速化や、インクジェット記録装置10の使用用途の多様化が図れる。よって、長期に亘って安定した印刷を実現することが可能となる。
【0075】
なお、このような構造の気体遮断弁80によれば、連通孔88Aを介した気体連通を少量の不揮発性液体70で確実に遮断することができるとともに、気体遮断弁80が動作するときの圧力差を小さくすることが可能となる。つまり、これによれば、小さい圧力で安定して動作する気体遮断弁80を実現することができる。
【0076】
また、この気体遮断弁80の場合も、注入する不揮発性液体70の体積(量)V0は、図10(B)で示す断面視で、仕切板88に形成された連通孔88Aの最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より下方側の第1空間部84及び第2空間部86の容積V3と、連通孔88Aの最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より上方側で、かつ第1連通孔76の最下端部より下方側の第1空間部84の容積V1、又は連通孔88Aの最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より上方側の第2空間部86の容積V2のどちらか少ない方の容積との和より少ない体積(量)となる。
【0077】
すなわち、V3<V0<V3+(V1orV2)となるが、図示のものは、V1≦V2であるから、V3<V0<V3+V1となる。これにより、リザーバータンク50内あるいはリザーバータンク50外(大気)のどちらかの気圧が高くなった場合でも、不揮発性液体70が、第1連通孔76よりリザーバータンク50内へ、又は第2連通孔78よりリザーバータンク50外へ漏れることなく動作できる構成である。
【0078】
更に、気体遮断弁60の別の変形例としては、図11で示す気体遮断弁90がある。この気体遮断弁90の基本構成も上記気体遮断弁60と同様である。すなわち、図11(A)で示すように、筐体92が、第1空間部94を有する第1筐体92Aと、第2空間部96を有する第2筐体92Bとで構成され、第1筐体92Aの下部と第2筐体92Bの下部が連通路98によって連通接続されている。
【0079】
そして、通常状態において、その連通路98を閉塞可能な(第1空間部94と第2空間部96との気体連通を遮断可能な)高さまで不揮発性液体70が注入されている。また、第1筐体92Aの上部に、リザーバータンク50内に連通する第1連通孔95が形成され、第2筐体92Bの上部に、リザーバータンク50外(大気)に連通する第2連通孔97が形成されている。
【0080】
このような構成の気体遮断弁90では、印刷によってインクLが消費されることにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が低下すると、第1空間部94において不揮発性液体70の水位が上昇し、第2空間部96において不揮発性液体70の水位が低下して、第2空間部96側から第1空間部94側へ連通路98を通って空気が入る。
【0081】
そして、リザーバータンク50へインクLが補給され、リザーバータンク50内の圧力(気圧)が上昇すると、第1空間部94において不揮発性液体70の水位が低下し、第2空間部96において不揮発性液体70の水位が上昇して、第1空間部94側から第2空間部96側へ連通路98を通って空気が排出される。
【0082】
したがって、リザーバータンク50内を密閉しつつ、リザーバータンク50内の圧力(気圧)とリザーバータンク50外の圧力(大気圧)との差を制御できる。つまり、これにより、リザーバータンク50内の圧力(気圧)を、長期に亘り安定して所望の圧力に制御できるとともに、リザーバータンク50内のインクLの乾燥を防止することができる。また、これにより、揮発性が高いインクLの使用が可能になるため、印刷の高速化や、インクジェット記録装置10の使用用途の多様化が図れる。よって、長期に亘って安定した印刷を実現することが可能となる。
【0083】
なお、この気体遮断弁90の場合も、注入する不揮発性液体70の体積(量)V0は、図11(B)で示す断面視で、連通路98の最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より下方側の第1空間部94及び第2空間部96の容積V3と、連通路98の最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より上方側の第1空間部94の容積V1、又は連通路98の最上端部(鉛直方向最大高さ位置)より上方側の第2空間部96の容積V2のどちらか少ない方の容積との和より少ない体積(量)となる。
【0084】
すなわち、V3<V0<V3+(V1orV2)となるが、図示のものは、V1≦V2であるから、V3<V0<V3+V1となる。これにより、リザーバータンク50内あるいはリザーバータンク50外(大気)のどちらかの気圧が高くなった場合でも、不揮発性液体70が、第1連通孔95よりリザーバータンク50内へ、又は第2連通孔97よりリザーバータンク50外へ漏れることなく動作できる構成である。
【0085】
以上、説明したように、本発明に係る気体遮断弁60、80、90は、不揮発性液体70を利用して動作する弁であり、機構部等を有していない弁である。したがって、この気体遮断弁60、80、90によれば、磨耗などの経時変化は無く、長期に亘り安定した圧力制御を実現することができる。なお、気体遮断弁60、80、90は、図示の実施例のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0086】
また、本発明に係る液滴吐出装置としてのインクジェット記録装置10は、複写機、プリンター複合機、ワークステーション等の出力機器として用いられる記録装置等、記録用紙100上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されるものではなく、例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製等にも適用可能である。
【0087】
すなわち、「記録媒体」は、記録用紙100に限定されるものではなく、例えば、OHPシートや配線パターン等が形成される基板なども含まれる。そして、「画像」は、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、インク滴が記録媒体上に着弾されることで得られるドットのパターン(配線パターン)なども含まれる。
【0088】
また、吐出する液体もインクに限定されるわけではない。例えば、溶融状態の半田を基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴吐出装置全般に対して、本発明に係る液滴吐出装置を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】インクジェット記録装置の印刷時の構成を示す概略側面図
【図2】インクジェット記録装置のメンテナンス時の構成を示す概略側面図
【図3】インク供給機構の構成を示す概略斜視図
【図4】リザーバータンクの概略断面図
【図5】気体遮断弁を示す概略斜視図
【図6】気体遮断弁を示す概略断面図
【図7】気体遮断弁の動作説明図
【図8】気体遮断弁のエリアを示す概略断面図
【図9】気液分離膜を備えた気体遮断弁を示す概略断面図
【図10】気体遮断弁の変形例を示す概略断面図
【図11】気体遮断弁の変形例を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0090】
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
14 画像記録部
16 搬送手段
20 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
30 搬送ベルト
40 インクタンク(メインタンク)
41 インク補給ポンプ(液体供給手段)
42 インク補給路(流入口)
44 インク供給路(送出口)
46 インク供給路
50 リザーバータンク(リザーバータンク本体)
52 インク水位上限センサー(液面検知部)
54 インク水位下限センサー
56 第1連通孔(第1開口)
58 第2連通孔(第2開口)
60 気体遮断弁
62 筐体
64 第1空間部
66 第2空間部
68 仕切板(仕切部材)
68A 連通孔
70 不揮発性液体
72 気液分離膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間の内部と外部との圧力差を制御する気体遮断弁であって、
第1開口により前記所定空間の内部と連通する第1空間部と、
第2開口により前記所定空間の外部と連通する第2空間部と、
前記第1空間部と前記第2空間部とを仕切る仕切部材と、
前記仕切部材に形成され、前記第1空間部と前記第2空間部とを連通可能とする連通孔と、
前記連通孔を閉塞可能に、前記第1空間部及び前記第2空間部に注入された不揮発性液体と、
を有し、
前記第1空間部と前記第2空間部との圧力差が所定の圧力以上になったときに、前記連通孔を介して、前記第1空間部と前記第2空間部とを気体連通させることを特徴とする気体遮断弁。
【請求項2】
前記所定の圧力は、前記不揮発性液体の量及び密度並びに前記第1空間部及び前記第2空間部の形状により決定されることを特徴とする請求項1に記載の気体遮断弁。
【請求項3】
前記第1空間部の形状と前記第2空間部の形状を異にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気体遮断弁。
【請求項4】
前記連通孔の鉛直方向最大高さ位置より上側の前記第1空間部の容積をV1、前記連通孔の鉛直方向最大高さ位置より上側の前記第2空間部の容積をV2、前記連通孔の鉛直方向最大高さ位置より下側の前記第1空間部及び前記第2空間部の容積をV3とし、かつ前記不揮発性液体の体積をV0としたときに、V1≦V2の条件下で、V3<V0<V3+V1、V1>V2の条件下で、V3<V0<V3+V2を満たすことを特徴とする請求項3に記載の気体遮断弁。
【請求項5】
前記第1開口と前記第2開口の少なくとも一方を気液分離膜で閉塞したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の気体遮断弁。
【請求項6】
前記連通孔の最大高さ位置で前記仕切部材を鉛直方向に切断したときの断面視で、前記第1空間部を構成する底壁と前記第2空間部を構成する底壁を前記仕切部材側が低位となるように傾斜させるとともに、前記連通孔の上端部をテーパー面にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の気体遮断弁。
【請求項7】
前記不揮発性液体がイオン性液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の気体遮断弁。
【請求項8】
液体が貯留されるタンクを備えた液滴吐出装置において、
前記タンクに、該タンクの内部と外部との圧力差を制御する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の気体遮断弁を接続したことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
液体が貯留されるタンクと、
前記タンクと液滴吐出ヘッドとの間に設けられ、該液滴吐出ヘッドとの間で液体が循環されるリザーバータンクと、
を備えた液滴吐出装置において、
前記リザーバータンクに、該リザーバータンクの内部と外部との圧力差を制御する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の気体遮断弁を接続したことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
外部から液体が流入する流入口と外部へ液体を送出する送出口とを備え、液体が貯留されるリザーバータンク本体と、
前記リザーバータンク本体の内部と外部との圧力差を制御する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の気体遮断弁と、
前記リザーバータンク本体に貯留された液体の液面が、その鉛直方向上方にあるか否かを検知する液面検知部と、
を有し、
前記気体遮断弁の一部が前記リザーバータンク本体を兼ね、鉛直方向下方から鉛直方向上方に向かって、前記流入口、前記液面検知部、前記気体遮断弁の第1開口の順に配置されていることを特徴とするリザーバータンク。
【請求項11】
請求項10に記載のリザーバータンクと、
前記リザーバータンクと鉛直方向に所定の間隔をもって配置され、前記リザーバータンクの送出口から送出された液体を画像情報に基づいて吐出する液滴吐出ヘッドと、
記録媒体を前記液滴吐出ヘッドに対向させつつ相対的に移動させる搬送手段と、
前記リザーバータンクの流入口に接続され、前記液体を貯留するメインタンクと、
前記流入口から前記リザーバータンクへ液体を供給するとともに、前記液面検知部を液面が超えると、液体の供給を停止する液体供給手段と、
を有することを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−83458(P2007−83458A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272913(P2005−272913)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】