説明

気化熱を利用した冷却装置、及び、冷却用シート

【課題】炎天下の野外に於いて日差しと高熱を避け、冷却効果を得ることの出来る簡便な冷却装置を供すること。
【解決手段】容器と、液体を吸収し蒸発させる吸水体によって構成され、容器の中に吸水体の一部を固定あるいは可動的に設置し、容器外部の吸水体を被冷却物の覆いとして配置し、容器内部に蓄えられた液体を吸収し蒸発させ、気化熱の放出によって冷却効果を生じせさせる。筒状に配置した布状、あるいは網状を呈する吸水体の上部を束ねるように絞り込んで吸水口とし、下部を広げて覆いとする。容器内に吸水体の巻き取り具を配する。上記構成による冷却装置を供する。
箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体あるいは網状体の表面に吸水物を張り合わせたシート状体であって、下端を水等の液体に浸ける状態で被冷却物の覆いとして使用したときに冷却効果を発揮する冷却用シートを供する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は野外に於いて、液体が蒸発するときに気化熱を放出することを利用して冷却効果を得るための冷却装置である。
【0002】
【従来の技術】
各種体育的行事に於いて、選手や観客が炎天下で待機あるいは観戦を強いられるケースは多い。テントを張った場合でも、日差しは避けられるが照り返しの熱によって体調を悪くすることもあった。これらの場合の救護組織も一般のテント下に置かれることが多く、十分な救護活動が出来ないことが多かった。
【0003】
また、炎天下に置かれた自動車の内部は極めて高温となり、置き去りにされた幼児が死亡する事故も多発した。観光バスは客が観光している間、車内が高温になることを避けるために冷房設備を稼働させ、エンジンをかけたままにして排気ガスを排出し、公害問題を引き起こしている。これらのことに対し、有効な対処法が存在しなかった。
【0004】
キャンプ等に於いて食料を保管する場合、クーラーを持参しても氷等の冷却材は長くは効果を発揮せず、又、徒歩での移動ではクーラー自体が荷物となり、軽くて食料の保存に役立つ有効な手段が存在しなかった。
【0005】
特開平11−83230の請求項4に於いて、「自動車に搭載する給水調節弁を有する水槽と、水槽からの水を全体に万遍なく過不足なく給水する枝状の細管を取り付けた、水濡れ性・水の蒸発性・保水性及び光の反射性の良い布を用いた、自動車の屋根や窓を覆う掛け布とからなる自動車の用品」として本発明と同様の効果を得るための出願がなされている。
【0006】
特開平11−83230によれば、給水する枝状の細管を取り付ける必要があり、水槽からの給水を給水調節弁の操作によって、使用経験により調節することになっている。枝状の細管を取り付けた布は折り畳むことによって折れるか、折り癖がつくので収納時の扱いに特別の配慮が必要となる。極めて柔軟な素材により極めて細い管を使うことによって問題は解消するが、布全体を均一に濡れた状態をつくるためにはその分、細管の数を増やす必要がある。
【0007】
多数の枝を持ち布に水を万遍なく供給するための穴を有する細管を自動車を覆うだけの広さにはりめぐらした場合、収納時にかさばることや、コスト高にならざるを得ない。特にこの出願では冷却水自体を冷やすことになっており、冷えた水が自動車に接して内部を冷やすことになっている。吸水体に冷却水が常に満たされる程度に水を補給するには、かなりの水を必要とすることになる。
【0008】
自動車の上に掛け布をかけ、水槽を乗せ、パイプを結合し、給水調節弁を使用経験によって調節するという一連の作業はかなり面倒なことと言える。枝状の細管や給水調節弁を用いずに製作コストを抑え、無造作に扱うことが出来て使い勝手の良い野外用冷却装置が望まれる。
【0009】
自動車だけでなく他用途に使えることも課題といえる。自動車用の冷却装置に於いて水槽の形状に触れられていないが、力の弱い者にとって水槽の積み降ろしは困難な作業であり、積み降ろしのし易い形状が求められる。また、自動車の屋根に積載したままとするのであれば、走行時に受ける風圧を考慮した走行の安定につながる形状が求められる。
【0010】
特開平11−304280に於いて本発明と構造が一部似た出願がなされている。このペット用クーラーによれば金属製の屋根に吸水体を掛けることになっており、これを本発明の目的に使用するとすれば、重量や容積が大きく移動に不便である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
野外に於いて日差しと高熱を避け、冷却効果を得ることの出来る簡単な構造による冷却装置を供すること。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では液体を貯えることの出来る容器と、液体を吸収し蒸発させることの出来る吸水体によって構成され、容器の中に吸水体の一部を固定あるいは可動的に設置し、容器外部の吸水体を被冷却物の覆いとして配置し、容器内部に蓄えられた液体を吸収し蒸発させ、気化熱の放出によって冷却効果を生じせさせる冷却装置を供する。
【0013】
上記吸水体を筒状に配置した布状、あるいは網状を呈する吸水体とし、上部を束ねるように絞り込んで吸水口とし、下部を広げて覆いとする冷却装置を供する。
【0014】
上記吸水体を中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体とした冷却装置を供する。
【0015】
上記容器内に吸水体の巻き取り具を配した冷却装置を供する。
【0016】
上記巻き取り具を、容器内に巻き取り筒を横向きに配置し、巻き取り筒に吸水可能な状態で吸水体を取り付けると共に、巻き取り筒に容器と結合したゴム状体の紐あるいはベルトを取り付け、吸水体を引き出すことにより巻き取り筒が回転すると共にゴム状体の紐あるいはベルトが変形して、巻き取り筒に吸水体を引き戻す回転力を与えるようにした冷却装置を供する。
【0017】
上記巻き取り具を、容器内に巻き取り筒を縦向きに配置し巻き取り筒に吸水可能な状態で吸水体を取り付け、巻き取り筒に容器と結合したバネを取り付けて、吸水体を引き出すことにより巻き取り筒が回転すると共にバネが変形して巻き取り筒に吸水体を引き戻す回転力を与えるようにした冷却装置を供する。
【0018】
容器底部に支柱筒を設立し、上記巻き取り筒をこの支柱筒にかぶせるように配置し、支柱筒と巻き取り筒のいずれか一方に案内子を設けて他の一方に案内溝を設けるか、双方にそれぞれ案内子と案内溝を設けて、吸水体を引き出す作業及び巻き取る作業にともなって巻き取り筒が上下動をするようにした冷却装置を供する。
【0019】
上記、吸水体に案内棒を配すると共に容器に案内子を設け、上記バネをモーターに置き換えて巻き取り筒を回転させ、吸水体を押し出す作業及び巻き取る作業をおこなう冷却装置を供する。
【0020】
容器外側の底部に折り畳み可能なローラーを配してなる冷却装置を供する。
【0021】
自動車の屋根に設置可能とした上記容器を、内部を複数の部屋に区切ると共に連絡孔を設けて液体の急激な移動を押さえるようにしたものとする冷却装置を供する。
【0022】
支柱あるいは骨組みを有し、上記吸水体をテント状に張ることにより上記冷却物である内部空間を冷却できるようにした冷却装置を供する。
【0023】
上記、容器を皿状体とし、タンクに蓄えた液体をポンプによって供給可能とした冷却装置を供する。
【0024】
吸水体を筒状に配置した布状、あるいは網状を呈する吸水体とし、上部を束ねるように絞り込んで吸水口とし、下部を広げて覆いとするか、吸水体を中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体とした吸水体を有し、タンクに蓄えた液体をポンプによって供給可能とした冷却装置を供する。
【0025】
上記吸水体を通気穴を有する箱あるいは筒の内部に張り巡らせ、吸水体の端から液体を吸収できるように容器を配した冷却装置を供する。
【0026】
上部が開口する箱を設けて容器とし、容器の上部に吸水体を被冷却物の覆いとして蓋のようにかぶせ、吸水体の下端が容器内部の液体に接するように配した冷却装置を供する。
【0027】
前記、吸水体を吸水性を有する素材による箱、筒あるいは箱や筒状にすることの出来る吸水性を有するシート状体、もしくはテント状の布状体・網状体とする冷却装置を供する。
【0028】
前記の吸水体を、箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体もしくは網状体の表面に吸水物を張り合わせた物とし、使用時に箱あるいは筒状に組み立てて覆いとする冷却装置を供する。
【0029】
吸水体に突起物、あるいは折り目を設け、空気と吸水体の接触面積を広くした冷却装置を供する。
【0030】
箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体あるいは網状体の表面に吸水物を張り合わせたシート状体であって、下端を水等の液体に浸ける状態で被冷却物の覆いとして蓋状にかぶせて使用出来る冷却用シートを供する。
【0031】
布状もしくは網状の吸水体と吸水体の絞り込み手段および被冷却物への吸水体固定具により構成され、吸水体上部に絞り込み手段を配し下部に被冷却体への吸水体固定具を有する吸水体であって、上部を絞り込み下部を広げて覆いとすることの出来る冷却用シートを供する。
【0032】
吸水性を有し、中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体であって、中央部に吸水可能な糸あるいは布片が配してある冷却用シートを供する。
【0033】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1は被冷却物を自動車とし、本発明を自動車カバーとして使用した実施例1の使用時の状態を示した斜視図である。容器1を自動車2の屋根に乗せ、吸水体3を容器1から引き出し、吸水体固定具4によって自動車2の下部に取り付ける。容器1の中に貯えられた水等の液体が毛細管現象によって吸水体3に吸収され、サイホン現象により吸水体3の全体に行き渡る。液体ここでは水が蒸発する際に気化熱を放出し、冷えた吸水体及び生じた冷気が吸水体に覆われた被冷却物を冷却する。
【0034】
図2は吸水体3を布状体あるいは網状体とした場合の構造を示す吸水体3の斜視図である。ここで言う布状体、網状体は糸が連続して吸水体3の端A(3A)からもう一方の端B(3B)まで連続したものの一般的な形状を示すものであり、厳密に布又は網を指すものではない。縦糸が横糸によって連結したもの総称である。不織布等であっても毛細管現象及びサイフォン現象の効果により、水を吸水体3の端A(3A)から他の端B(3B)まで移動できるものであればこれを含める。
【0035】
布状体又は網状体を筒状にして吸水体の端A(3A)の一部を縦長に残して他を切り欠き、上部を折り畳んで絞り込み、吸水体3全体の中央部となるようにする。吸水体3全体に、吸水体の端A(3A)と吸水体のもう一方の端B(3B)まで糸が連続する部分が吸水体全体に均一に配され、吸水体3全体への水の移動を容易にする。吸水体3の一定時間当たりの吸水量は使用する吸水体3の素材、及び容器1内の水面から吸水体の端B(3B)までの落差に左右される。図1に示した実施例1に於ける吸水体3が一般的な綿布であった場合、切り欠きが無いと吸水量、つまり水補給量が蒸発量を大きく上回る。容器の中に吸水体の端A(3A)を入れて吸水口としたとき、吸水体の端A(3A)の一部を切り欠くことにより吸水量つまり補給量を調節する。
【0036】
蒸発量も湿度、風量に大きく左右され、天候によって冷却能力に差が出る。湿度が高い場合は蒸発量が少なく、冷却能力も低い。湿度が高いと言うことは雨の降る寸前というようなケースであり、天候が曇りであることから、停車中の自動車への使用では高い冷却能力は要求されない。風が強い場合には蒸発量が多く、吸水体の端A(3A)の切り欠きによって水の補給能力が制限されるため、水の蒸発量が補給量を上回る。つまり、水が不足するわけであるが、強い風自体が冷却力を発揮するため実用上問題とならない。
【0037】
微風状態の炎天下に於ける蒸発量を基準に水の補給量を吸水体A3(3A)の切り欠きによって調節する。水の補給能力は縦糸の吸水能力によっても変わることから縦糸を選択することや、縦糸の一部を吸水性の無いものに置き換えることにより、水の補給能力は調節できる。吸水体は布状体や網状体の他、合成樹脂等のシートに微細な幅で切れ込みを入れることによっても作成できる。
【0038】
図3は吸水体3を作成するための部品としての、縦糸が放射状に広がる布状体の構造を示す斜視図による概念説明図である。吸水体3全体の中央部に位置して吸水口となる吸水体の端A(3A)側は縦糸5どうしの間隔が重なり合うように狭めらて横糸6によって束ねられる。順次、束ねる縦糸の数を減らしながら横糸6が複数の縦糸5を束ねるように織り進む。吸水体3の外側に当たる反対側の端B(3B)に近づくにつれて一緒に織り込む縦糸の本数を減らし、吸水体の端B(3B)に至って平織りに近い状態となる。
【0039】
上記によってつくられたほぼ三角形の布を上部が吸水体3全体の中央になるように縫い合わせて吸水体3とする。このことによって、縦糸5が吸水体3の中央から吸水体の端3Bに向かって吸水体3の全体に配され、布全体に均一な水の補給が可能となる。吸水量の調節は適切な吸水量を有する糸の選択の他、吸水性を有する縦糸5Aと吸水性を有しない縦糸5Bあるいは吸水性の少ない縦糸の組み合わせによって行う。網状体も上記布状体とほぼ同様の手法により製作できる。
【0040】
図4は多目的に使用される一般的な容器1の上面を示す斜視図であり、蓋7、蓋固定具8、取っ手9等によって構成される。吸水体3には使用する対象物それぞれに対応する吸水体固定具4が形成される。蓋固定具8は蓋側の固定具8Aと容器本体側の固定具8Bによって構成され、双方をかみ合わせて蓋の取っ手10を横にずらすと本体側の固定具8Bが蓋側の固定具8Aを押さえつけ蓋7を容器本体1に密着させる。蓋7をネジ式にした場合には蓋固定具8を省略する。容器の取っ手9には容器内に水等の液体を入れた状態で持ちやすい太さと堅牢さを持たせる。
【0041】
図5は自動車用として成形された実施例1に於ける容器の裏面を表した斜視図であり、折り畳み式ローラー11、脚部12によって構成される。図5のようにローラー11を立ち上げて自動車の屋根にかけ、取っ手9を持って押し出すことにより、弱い力によって水の入った容器1を自動車の屋根に設置可能となる。水はタンクに入れて搬送し、容器を設置した後に入れることも可能である。脚部12の被冷却物との接触部分及びローラー11は接触対象物を傷つけない程度の柔軟性を有するゴムあるいは合成樹脂等で形成される。
【0042】
図6は実施例1に於ける容器1内部の構造を示す一部断面を含む斜視図である。容器1の内部は、内部容器13、内部の吸水体固定具14,内部容器固定具15によって構成される。内部容器13は内部容器固定具15によって容器1の底部に固定され、吸水体3の中央部が内部容器13に内部の吸水体固定具14によって固定され、吸水体3の中央部に当たる吸水体の端A(3A)が容器1の底部に接するように配される。否使用時は吸水体3を内部容器13に入れて収納し、使用時には吸水体の端B(3B)を持って内部容器13から引き出して設置する。
【0043】
内部容器13はざる型あるいは底部に穴が開いた容器であって、容器1に入れられた水が容易に侵入することが望ましい。吸水体の端A(3A)が容器1内部に貯えられた水に接することが出来るものであれば、内部容器13は用いずに吸水体3を直接容器1に取り付けることも可能である。取り付け方式は固定式、可動式のどちらでも効果に変わりはない。
【0044】
図7は実施例1の組み立て図であり、吸水体3を内部の吸水体固定具14によって内部容器13に取り付け、これを内部容器固定具15によって容器1の底部に固定する。組立後、吸水体3はまとめて内部容器13に入れて収納する。
【0045】
図8は容器1内部に吸水体3を巻き取るための巻き取り筒16を横向きに配して巻き取り筒A(16A)とした実施例2の一部断面を含む斜視図である。巻き取り筒A(16A)は容器内部に設置された巻き取り筒受け具17に乗せて配される。巻き取り筒A(16A)は容器1内部に設置されたゴム状弾性体18と結合する。
【0046】
ゴム状弾性体18は容器1内部にゴム状弾性体固定具19に取り付けて張り渡され、巻き取り筒A(16A)を回転したときに、これを引き戻すためのねじれが生じるように巻き取り筒A(16A)に結合される。吸水体の端B(3B)を持って吸水体3を容器1から引き出すと巻き取り筒A(16A)が回転し、ゴム状弾性体18はねじれるようにして引き伸ばされ、復元力を発揮する。冷却装置としての使用を止めて吸水体固定具4を留めてあったものから外すと、ゴム状弾性体18の復元力により吸水体3は巻き取り筒A(16A)に巻き取られて、容器1内部に収納される。
【0047】
巻き取り筒A(16A)には巻き込み防止鍔A(20A)を形成し、吸水体の端A(3A)を裂いて巻き込み防止鍔A(20A)に開けた穴A(21A)を通し、巻き込み防止鍔A(20A)の外側に導き、吸水体の端A(3A)が常に容器1の底部に接するように配される。被冷却物の大きさが一定であり、常に吸水体が最大限に引き出されて使用するのであれば、吸水体の端3Aが、吸水体3に巻き込まれて内部の水と接することを妨げられるということが無くなり、巻き込み防止鍔A(20A)は必要なくなる。吸水体の端A(3A)が容器底部に接するようにゆとりを持たせて巻き取り筒A(16A)に結合すれば、使用時には吸水体の端3Aが必ず容器1内部の水に接して吸水体3全体に水を補給する。
【0048】
図9は図8に於けるゴム状弾性体18を廃し、代わり巻き取りの動力伝達手段として引き紐22を形成した実施例3の斜視図である。容器1内部側面に軸受け23を設け、巻き取り筒A(16A)を嵌合する。巻き取り筒A(16A)の一部を巻き込み防止鍔B(20B)によって区切り、引き紐巻き取り部24とする。引き紐巻き取り部24には引き紐結合部25を設け、引き紐22を取り付ける。引き紐22の長さは、吸水体3の幅の約二分の一であり、巻き取り筒A(16A)からこれに結合された吸水体3の端B(3B)までの長さにゆとりを持たせた長さとする。
【0049】
吸水体3を容器1から引き出すと、巻き取り筒A(16A)が回転し、引き紐22が引き紐巻き取り部24に巻き取られる。吸水体3の収納に当たっては吸水体固定具4を取り付けてあったものから外し、引き紐22を引くと巻き取り筒A(16A)が回転し吸水体3が巻き取り筒A(16A)に巻き取られ、容器1内に収納される。
【0050】
図10は巻き取り筒16を縦向きに設置して巻き取り筒B(16B)とした実施例4の一部断面を含む斜視図である。巻き取り筒B(16B)は筒状体に上部の鍔を兼ねる蓋B(7B)、筒状体の巻き取りに使用する範囲を決定するための鍔26を取り付け、筒の内部に筒が二重になるように内筒27を上部の鍔を兼ねる蓋B(7B)に結合される。巻き取り筒B(16B)は、容器底部に設立された支柱筒28にかぶせるように配され、支柱筒28を巻き取り筒B(16B)と内筒27で挟み込む。巻き取り筒B(16B)はバネ29を介して容器1と結合される。
【0051】
吸水体の端A(3A)は裂かれ、鍔26に開けられた穴B(21B)を通して容器1の底部に接するように配されて、吸水体3が巻き取り筒B(16B)に取り付けられる。巻き取り筒B(16B)に巻き取られた吸水体3を吸水体の端B(3B)を持って引き出すと巻き取り筒B(16B)が回転し、バネ29が変形して復元力を発揮する。
【0052】
効果は図8,9に示した実施例2、3と同様であるが巻き取り筒B(16B)の内側あるいは支柱筒28の外側のいづれかに案内溝30を刻み、他方にに案内子A(31A)を設けるか、双方に案内子A(31A)と案内溝30を配することにより、巻き取り筒B(16B)の回転運動、つまり、吸水体3の引き出し作業、及び巻き取り作業と共に巻き取り筒B(16B)を上下動させ、巻き取り作業をスムーズにさせる。
【0053】
巻き取り筒B(16B)は吸水体3の引き出し作業開始時には容器1の底部に近い状態にあり、引き出し作業の中間の位置において最大限に底部から離れ、引き出し作業の進行と共に再び底部に向かって下降する。それにともない、巻き取り筒B(16B)に結合されてある蓋B(7B)は吸水体3の引き出し作業開始時には僅かに容器1から離れ、吸水体1が十分引き出された時点では最初にあった位置に戻って容器内への塵埃の侵入を防ぐ。
【0054】
図11は巻き取り筒B(16B)の内側に刻まれた案内溝30の状態を示す一部断面を含む斜視図による部分拡大図である。巻き取り筒B(16B)の内側の壁に、案内子A(31A)と嵌合する幅で、螺旋状に下降するように刻まれ、その長さのほぼ中間で方向を変えて上に向い、最初の位置近くに戻って終わる。図11は案内溝30が一本の例であり、案内子A(31A)一つに対応する。実際の製品には支持力を得るために複数個の案内子A(31A)と案内溝30を配する。吸水体3を引き出すことにより巻き取り筒B(16B)が回転すると案内溝30に沿って巻き取り筒B(16B)が押し上げられ、最上部に達すると下降して蓋B(7B)が容器1に接近して停止する。
【0055】
図12は案内子A(31A)の支柱筒28への取り付け状態を示す支柱筒28の斜視図による部分拡大図である。支柱筒28には、巻き取り筒B(16B)及び水等の液体を含んで重さを増した吸水体3の重量を支えるに足る強固な材質及び形状の突起体32が形成され、案内子A(31A)を遊嵌する。案内子A(31A)には、案内溝30が巻き取り筒B(16B)の回転と共に角度を変えることから、角度の違いに対応できるゆとりを持った形状及び取り付け状態であることが求められる。案内子A(31A)と案内溝30はそれぞれ、支柱筒28及び巻き取り筒B(16B)のいずれかに設けるだけでなく、双方に案内子A(31A)と案内溝30を形成することが可能である。
【0056】
図13は実施例5の内筒内部を示す部分拡大図であり、図10に於けるバネ29を動力部33に置き換えて設置する。動力部33に設けた歯車34の歯が内筒27の内壁に刻まれた溝35に嵌合し、歯車34の回転を内筒27に伝えて内筒27を回転させる。
【0057】
図14は実施例5の動力部33の斜視図であり、枠36、モーター37、回転軸38、プーリー39、ベルト40、歯車34、動力コントロール部41等によって構成される。
【0058】
動力コントロール部41は電力供給部42より電力を得てモーター37を回転、停止、及び回転の方向切り替えを行う。モーター37の回転は回転軸38、プーリー39,ベルト40の組み合わせで回転速度を落とし、回転力を強めて歯車34に伝えられる。歯車34の回転は図10に於ける内筒27に伝えられ、巻き取り筒B(16B)を回転させて容器1から吸水体3を出し入れする。
【0059】
歯車34はタイヤ型のゴム状弾性体に置き換えることが可能であり、その場合には歯車34に隣接する軸受けに可動性を持たせ、バネ等によりゴム状弾性体を内筒19に圧着させることが望ましい。プーリー39とベルト40の組み合わせによる動力の伝達方法も歯車によるものと置き換えることが可能である。
【0060】
図15は実施例5の外観を示す斜視図である。吸水体3には吸水体3を容器1から外に向かって押し出すための案内棒43が取り付けられ、容器1には案内棒の進む方向を定める案内子B(31B)が設置される。巻き取り筒B(16B)が回転すると、吸水体3と共に巻き取り筒B(16B)に巻かれていた案内棒43はほどけるように押し出され、四方に伸びて吸水体3が被冷却物を覆う。
【0061】
図16は吸水体3と案内棒43の関係を示す吸水体の斜視図である。案内棒43は吸水体3の四隅を結ぶ対角線上もしくは吸水体3全体を均等に分割するように配されて、縫着される。吸水体の端A(3A)は裂かれ、巻き取り筒B(16B)に沿って下方に伸び容器1の水を吸収できるようにする。案内棒43は吸水体3と共に図10で示した巻き取り筒A(16A)に巻き取られ、巻き取り筒A(16A)の回転と共にほどけるようにして伸び、吸水体3を押し広げる。
【0062】
図17は案内棒43の構造を示す斜視図による部分拡大図であり、案内棒43は棒状体44、吸水体との縫着部45、翼46によって構成される。翼46は吸水体3を棒状体44と図14で示した案内子B(31B)の間に挟み込まないようにするためのものであり、案内棒43が巻き取り筒B(16B)に巻き取り可能に曲げられるだけの間隔をおいて配される。
【0063】
図18は自動車の屋根に固定し走行時にも取り付けたままにする実施例6に於ける容器Bの形状を示す斜視図である。実施例6は容器B(1B)、支持棒47,容器取り付け具48等によって構成される。容器取り付け具48は自動車の形状に応じて各種用意される必要がある。容器B(1B)は上面が自動車の進行方向に対しほぼ直線であるか、下面よりも膨らみが乏しく、下面は自動車の進行方向に対し下方向に膨らみを持たせて形成される。断面は疑似紡錘形であり、飛行機の翼を裏返にした形状を呈する。
【0064】
高速走行時には容器上部と下部に空気の流速差が生じ、上面よりも下面の気圧が低くなる。結果として容器B(1B)が自動車の車体を下に押しつける力が生じ走行の安定に寄与できる。走行時に急カーブを切った場合、容器B(1B)内部の水がカーブの外側に押し出されて起こる重心の急激な移動を避けるため、容器B(1B)内部を仕切り板49によって複数の小部屋に区切り、水の連絡孔50を設ける。仕切り板49によって水の移動が妨げられ、重心の急激な移動が防げる。実施例5の動力装置及び上記仕切り板49の採用により、バスなどの大型車両屋根部に本発明の冷却装置を埋め込むことが可能となる。
【0065】
図19は本発明をテント状冷却装置とする場合の実施例7を示す斜視図である。容器1を被冷却物の上に置かず、骨組み51を形成してその上に配し、吸水体3をテント状に張り、内部空間の冷却装置とすることが出来る。骨組み51を容器1の外寸法に合わせて配して掛止部52を形成し、取っ手9によって掛止する。骨組み51の形状及び吸水体3の大きさにより様々な形状のテント状冷却装置が設置可能である。
【0066】
図20は実施例8の使用時の状態を示す斜視図である。本実施例では容器を皿状容器1Cとし、支柱53と杭54によって吸水体3がテント状に張られ、吸水体3に供給するための水はタンク55からポンプ56によって、給水パイプ57を通して皿状容器1Cに送られる。皿状容器1C内には多量の水を貯える必要がなく、小型化することやコップ型にすることも可能である。支柱53を用いず被冷却物に皿状容器1Cを乗せ、タンク55からポンプ56によって、吸水体3に給水して使用することも可能である。
【0067】
図21は実施例8の皿状容器1Cを廃し、代わりに給水筒58を設けた実施例9の部分拡大図である。給水筒58は筒状を呈し、下部に支柱53との嵌合部59、上部に給水口60を設け、中間を吸水体3との結合部61とする。給水筒58の下端を給水パイプ57との接続部62とする。支柱53の先端に給水筒58を嵌合し、給水筒58と給水パイプ57を接続する。結合部61には吸水体の端3Aを結合手段63によって結合する。タンク55に蓄えられた水は給水パイプ57を通して給水筒58に送られ、給水口60から吸水体3に補給される。
【0068】
図22は実施例10の斜視図である。給水筒58を横長に形成し、切り妻型のテント状に吸水体3を張り巡らしてテント状体とし、峰の部分に給水筒B(58B)を配し、タンク55内の水をポンプ56によって供給される。テント状体の側面64に配された吸水体3は上部を延長してテント状体正面65あるいは裏面66の屋根の一部を覆い、給水筒B(58B)に複数開けられた給水口60に接するように結合される。
【0069】
図23は骨組みを廃し、箱67を設けて吸水体3を覆うと共に、箱67が吸水体3を支持する実施例11の構造示す一部断面を含む斜視図である。実施例9の冷却装置は箱67、容器D(1D)、吸水体3、箱の蓋68によって構成される。箱67の壁面には通気孔69を開ける。箱67が形成する内部壁面に沿って吸水体3を取り付けて張り巡らし、箱の底70の中央部に開けた箱底の穴71を通して吸水体の端A(3A)を容器D(1D)に挿入する。容器D(1D)の上端には爪72を設け、箱底の穴71に差し込んで箱の底70に掛止する。
【0070】
容器D(1D)内にはアルコール等の揮発性の高い液体を注入して使用する。液体は吸水体3に吸収され箱67内部で気化し周囲の熱を奪って冷却効果を発揮する。箱67に開けられた通気孔69によって内部の空気が入れ替えられ、飽和状態になることを防ぐ。箱67は折り畳み式、あるいは組立式にする。
【0071】
図24は実施例12の一部断面を含む斜視図であり、容器E(1E)、台73、吸水体3,骨組みB(51B)によって構成される。容器Eは幅が被冷却物の幅よりも大きい上部が開口する箱形であって、内部に台73を配する。台73とその上に乗せた被冷却物を吸水体3が囲み、吸水体の端3Bが箱の底に位置するように配される。容器E(1E)には水等の液体を入れて使用するが、容器E(1E)の側面に液体取り入れ口74を設け、タンク55と給水パイプ57によって連結することが可能である。
【0072】
容器E(1E)とタンク55を連結すると容器E(1E)内の水の減少と共に液体取り入れ口74から給水パイプ57を通して空気がタンク55に向かって流れ込む。流れ込んだ空気量に見合う水が容器E(1E)に流れ、長時間の使用が可能となる。キャンプ等に於いては、風通しが良く日陰の涼しい場所を選んで設置することにより、食料を腐敗させずに保管できる。
【0073】
図25は吸水体をシート状に形成し、吸水体B(3B)とした実施例13の斜視図である。吸水体B(3B)は金属箔75等熱伝導性の高いシート状態に吸水性を有する吸水物76を張り合わせて形成する。吸水体B(3B)は圧縮した繊維、紙等吸水性を有する単一の材質によるシート状体とすることが可能である。金属箔75は金網、合成樹脂による網に置き換えることが可能である。吸水物76は布、紙、不織布等、吸水性を有し蒸発可能なものとする。
【0074】
本実施例では吸水体がシート状であるため、収納、持ち運び及び設置が容易である。シートの端に接着部77を形成し、反対側の端に接着して筒状にし、上部78を折り曲げる等により筒を閉じる。実施例12に於ける吸水体3と骨組み51をこのシート状吸水体B(3B)に置き換えて使用する。
【0075】
吸水体B(3B)には折り目79や凹凸を付けることが可能であり、そのことにより吸水体B(3B)と外気との接触面積を増やして水の蒸発量を増やすことが可能となる。容器は専用のものに限らず、洗面器等に水を張ったもので代用でき、筒状にした本実施例のシートを被冷却物の覆いとしてかぶせることにより、冷却装置とすることが出来る。
【0076】
図26は実施例14に於ける冷却用シートの斜視図である。絞り込み手段80によって吸水体3の端3Aを絞り込み、下部を広げて被冷却物の覆いとし、吸水体固定具4により、被冷却物に吸水体の端3Bを取り付ける。被冷却物の上に乗せた桶等の容器に水等の液体を入れ、吸水体の端3Aを浸けることにより、容器内部の液体を吸収蒸発し気化熱を放出して冷却効果を発揮する。
【0077】
図27は実施例15に於ける冷却用シートの斜視図である。吸水体3の中央から吸水体の端3Bまで糸がほぼ放射状に配され、被冷却物の上に乗せた桶等の容器に水等の液体を入れ、吸水体の端3Aを浸けることにより、容器内部の液体を吸収蒸発し、気化熱を放出して冷却効果を発揮する。図3に示したほぼ三角形をした吸水体を縫合して製作する。
【0078】
【発明の効果】
本発明は液体を貯えることの出来る容器と、液体を吸収し蒸発させることの出来る吸水体によって構成され、容器の中に吸水体の一部を固定あるいは可動的に設置し、容器外部の吸水体を被冷却物の覆いとして配置し、容器内部に蓄えられた液体を吸収し蒸発させ、気化熱の放出によって冷却効果を生じせさせる冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0079】
電力や動力を得られない屋外で冷却効果が得られ、エネルギーの節約や環境汚染を防ぐことに貢献できる。
【0080】
上記吸水体を筒状に配置した布状、あるいは網状を呈する吸水体とし、上部を束ねるように絞り込んで吸水口とし、下部を広げて覆いとする冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0081】
単純な構造のため、製作費用が安くすみ、故障が生じにくく、確実な冷却効果を生じさせることが出来る。
【0082】
上記吸水体を中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体とした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0083】
吸収した液体を万遍なく吸水体全体に行き渡らせることが出来、効率の良い冷却装置とすることが出来る。
【0084】
上記容器内に吸水体の巻き取り具を配した冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0085】
吸水体の収納をスムーズにし、取り扱いを簡便にすることが出来る。
【0086】
上記巻き取り具を、容器内に巻き取り筒を横向きに配置し、巻き取り筒に吸水可能な状態で吸水体を取り付けると共に、巻き取り筒に容器と結合したゴム状体の紐あるいはベルトを取り付け、吸水体を引き出すことにより巻き取り筒が回転すると共にゴム状体の紐あるいはベルトが変形して、巻き取り筒に吸水体を引き戻す回転力を与えるようにした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0087】
吸水体の収納を自動化し、取り扱いを簡便にすることが出来る。
【0088】
上記巻き取り具を、容器内に巻き取り筒を縦向きに配置し巻き取り筒に吸水可能な状態で吸水体を取り付け、巻き取り筒に容器と結合したバネを取り付けて、吸水体を引き出すことにより巻き取り筒が回転すると共にバネが変形して巻き取り筒に吸水体を引き戻す回転力を与えるようにした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0089】
吸水体の収納を自動化し、取り扱いを簡便にすることが出来る。
【0090】
容器底部に支柱筒を設立し、上記巻き取り筒をこの支柱筒にかぶせるように配置し、支柱筒と巻き取り筒のいずれか一方に案内子を設けて他の一方に案内溝を設けるか、双方にそれぞれ案内子と案内溝を設けて、吸水体を引き出す作業及び巻き取る作業にともなって巻き取り筒が上下動ををするようにした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0091】
吸水体の収納時に於ける巻き取り作業をスムーズにすると共に、吸水体を広げきった状態及び収納の完了した時点で容器の蓋が容器入口を覆い、塵埃の侵入が防げる。
【0092】
上記、吸水体に案内棒を配すると共に容器に案内子を設け、上記バネをモーターに置き換えて巻き取り筒を回転させ、吸水体を押し出す作業及び巻き取る作業をおこなう冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0093】
吸水体の出し入れを電動化することにより、取り扱いを簡便にすると共に、バス等の大型車両においても使用可能とすることが出来る。
【0094】
容器外側の底部に折り畳み可能なローラーを配してなる冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0095】
ローラーを引き出して立ち上げ、ローラーを屋根にかけて容器を押し出すことにより、弱い力でも自動車の屋根に容器を設置可能にすることが出来る。
【0096】
自動車の屋根に設置可能とした上記容器を、内部を複数の部屋に区切ると共に連絡孔を設けて液体の急激な移動を押さえるようにしたものとする冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0097】
上記容器を自動車に設置して走行しカーブを切る際に、内部液体の急激な移動及びそれに伴う重心の移動を押さえ、自動車の安定走行に寄与出来る。
【0098】
支柱あるいは骨組みを有し、上記吸水体をテント状に張ることにより上記冷却物である内部空間を冷却できるようにした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0099】
炎天下の野外において、テント状体内部空間において冷気を得ることが出来、各種体育的行事での選手の休憩、救護活動に於ける患者の保護、観客の爽快な観戦に寄与すると共に、炎熱からの動植物の保護にも有効である。
【0100】
上記、容器を皿状体とし、タンクに蓄えた液体をポンプによって供給可能とした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0101】
液体を入れた容器を被冷却物に乗せる必要がなくなることから、取り扱いが容易となり、タンクを大きくすることや複数にすることによって長時間の使用が可能となる。
【0102】
液体を吸収し蒸発させることの出来る吸水体とポンプ、給水パイプによって構成され、吸水体を支持するための支柱あるいは骨組みによってテント状に張られた吸水体にタンクに蓄えた液体をポンプによって供給可能とした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0103】
液体を入れた容器を被冷却物に乗せる必要がなくなることから、取り扱いが容易となり、タンクを大きくすることや複数にすることによって長時間の使用が可能となる。
【0104】
上記吸水体を通気穴を有する箱あるいは筒の内部に張り巡らせ、吸水体の端から液体を吸収できるように容器を配した冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0105】
電力や、動力のない場所で使用できる簡便な冷却装置を得ることができ、キャンプ等での食料の冷却に寄与できる。
【0106】
上部が開口する箱を設けて容器とし、容器の上部に吸水体を被冷却物の覆いとして蓋のようにかぶせ、吸水体の下端が容器内部の液体に接するように配した冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0107】
電力や、動力のない場所で使用できる簡便な冷却装置を得ることができ、キャンプ等での食料の冷却に寄与できる。
【0108】
前記、吸水体を吸水性を有する素材による箱、筒あるいは箱や筒状にすることの出来る吸水性を有するシート状体、もしくはテント状の布状体・網状体とする冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0109】
移動が容易で扱いの簡便な野外用冷却装置を供することが出来る。
【0110】
前記の吸水体を、箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体もしくは網状体の表面に吸水物を張り合わせた物とし、使用時に箱あるいは筒状に組み立てて覆いとする冷却装置あるため次の効果を奏する。
【0111】
シート状の吸水体が容易に作成でき、簡便な野外用冷却装置を供することが出来る。
【0112】
吸水体に突起物、あるいは折り目を設け、空気と吸水体の接触面積を広くした冷却装置であるため次の効果を奏する。
【0113】
空気と吸水体が接触する面積を広くすることにより、液体の蒸発を促進し、冷却効果が高まる。
【0114】
箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体あるいは網状体の表面に吸水物を張り合わせたシート状体であって、下端を水等の液体に浸ける状態で被冷却物の覆いとして蓋状にかぶせて使用出来る冷却用シートであるため次の効果を奏する。
【0115】
キャンプ等に持参する際、かさばらず重量上の負担を要することなく、使用に当たっては簡単に組み立てることが可能であり、底の浅い容器と組み合わせることにより簡便な冷却装置を作成できる。
【0116】
布状もしくは網状の吸水体と吸水体の絞り込み手段および被冷却物への吸水体固定具により構成され、吸水体上部に絞り込み手段を配し下部に被冷却体への吸水体固定具を有する吸水体であって、上部を絞り込み下部を広げて覆いとすることの出来る冷却用シートであるため次の効果を奏する。
【0117】
容器を被冷却物の上に乗せるとともに水等の液体を入れ、上部を絞り込んだ上記布状体あるいは網状体の先端を容器内の液体に浸けて、下部を広げて被冷却物の覆いとすることにより、簡便な野外用冷却装置が作成できる。
【0118】
吸水性を有し、中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体であって、中央部に吸水可能な糸あるいは布片が配してある冷却用シートであるため次の効果を奏する。
【0119】
容器を被冷却物の上に乗せるとともに水等の液体を入れ、上記吸水可能な糸あるいは布片を容器内の液体に浸けて、下部を広げて被冷却物の覆いとすることにより、簡便な野外用冷却装置が作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
実施例1の斜視図である。
【図2】
吸水体3の斜視図である。
【図3】
布状体の構造を示す概念説明図である。
【図4】
容器1の上面を示す斜視図である。
【図5】
実施例1に於ける容器の裏面を表した斜視図である。
【図6】
実施例1に於ける容器1内部の構造を示す斜視図である。
【図7】
実施例1の組み立て図である。
【図8】
実施例2の一部断面を含む斜視図である。
【図9】
実施例3の一部断面を含む斜視図である。
【図10】
実施例4の一部断面を含む斜視図である。
【図11】
巻き取り筒Bの部分拡大図である。
【図12】
支柱筒の部分拡大図である。
【図13】
実施例5の部分拡大図である。
【図14】
実施例5の動力部の斜視図である。
【図15】
実施例5の外観を示す斜視図である。
【図16】
実施例5に於ける吸水体の斜視図である。
【図17】
案内棒の斜視図による部分拡大図である。
【図18】
実施例6の斜視図である。
【図19】
実施例7の斜視図である。
【図20】
実施例8の斜視図である。
【図21】
実施例9の斜視図である。
【図22】
実施例10の斜視図である。
【図23】
実施例11の一部断面を含む斜視図である。
【図24】
実施例12の一部断面を含む斜視図である。
【図25】
実施例13における吸水体の斜視図である。
【図26】
実施例14の斜視図である。
【図27】
実施例15の斜視図である。
【符号の説明】
1 容器
1B 容器B
1C 皿状容器
1D 容器D
1E 容器E
2 自動車
3 吸水体
3A 吸水体の端A
3B 吸水体の端B
4 吸水体固定具
5 縦糸
5A 吸水性を有する縦糸
5B 吸水性を有しない縦糸
6 横糸
7 蓋
7B 蓋B
8 蓋固定具
8A 蓋側の固定具
8B 容器本体側の固定具
9 取っ手
10 蓋の取っ手
11 ローラー
12 脚部
13 内部容器
14 内部の吸水体固定具
15 内部容器固定具
16 巻き取り筒
16A 巻き取り筒A
16B 巻き取り筒B
17 巻き取り筒受け具
18 ゴム状弾性体
19 ゴム状弾性体固定具
20 巻き込み防止鍔
20A 巻き込み防止鍔A
20B 巻き込み防止鍔B
21 穴
21A 穴A
21B 穴B
22 引き紐
23 軸受け
24 引き紐巻き取り部
25 引き紐結合部
26 鍔
27 内筒
28 支柱筒
29 バネ
30 案内溝
31 案内子
31A 案内子A
31B 案内子B
32 突起体
33 動力部
34 歯車
35 溝
36 枠
37 モーター
38 回転軸
39 プーリー
40 ベルト
41 動力コントロール部
42 電力供給部
43 案内棒
44 棒状体
45 縫着部
46 翼
47 支持棒
48 容器取り付け具
49 仕切り板
50 連絡孔
51 骨組み
51B 骨組みB
52 掛止部
53 支柱
54 杭
55 タンク
56 ポンプ
57 給水パイプ
58 給水筒
58B 給水筒B
59 嵌合部
60 給水口
61 結合部
62 接続部
63 結合手段
64 側面
65 正面
66 裏面
67 箱
68 箱の蓋
69 通気孔
70 箱の底
71 箱底の穴
72 爪
73 台
74 液体取り入れ口
75 金属箔
76 吸水物
77 接着部
78 上部
79 折り目
80 絞り込み手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯えることの出来る容器と、液体を吸収し蒸発させることの出来る吸水体によって構成され、容器の中に吸水体の一部を固定あるいは可動的に設置し、容器外部の吸水体を被冷却物の覆いとして配置し、容器内部に蓄えられた液体を吸収し蒸発させ、気化熱の放出によって冷却効果を生じせさせる冷却装置。
【請求項2】
上記吸水体を筒状に配置した布状、あるいは網状を呈する吸水物とし、上部を束ねるように絞り込んで吸水口とし、下部を広げて覆いとする請求項1に記載した冷却装置。
【請求項3】
上記吸水体を中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体とした請求項1に記載する冷却装置。
【請求項4】
上記容器内に吸水体の巻き取り具を配した請求項1,2,3に記載する冷却装置。
【請求項5】
上記巻き取り具を、容器内に巻き取り筒を横向きに配置し、巻き取り筒に吸水可能な状態で吸水体を取り付けると共に、巻き取り筒に容器と結合したゴム状体の紐あるいはベルトを取り付け、吸水体を引き出すことにより巻き取り筒が回転すると共にゴム状体の紐あるいはベルトが変形して、巻き取り筒に吸水体を引き戻す回転力を与えるようにした請求項4に記載する冷却装置。
【請求項6】
上記巻き取り具を、容器内に巻き取り筒を縦向きに配置し巻き取り筒に吸水可能な状態で吸水体を取り付け、巻き取り筒に容器と結合したバネを取り付けて、吸水体を引き出すことにより巻き取り筒が回転すると共にバネが変形して巻き取り筒に吸水体を引き戻す回転力を与えるようにした請求項4に記載する冷却装置。
【請求項7】
容器底部に支柱筒を設立し、上記巻き取り筒をこの支柱筒にかぶせるように配置し、支柱筒と巻き取り筒のいずれか一方に案内子を設けて他の一方に案内溝を設けるか、双方にそれぞれ案内子と案内溝を設けて、吸水体を引き出す作業及び巻き取る作業にともなって巻き取り筒が上下動をするようにした請求項6に記載する冷却装置。
【請求項8】
上記、吸水体に案内棒を配すると共に容器に案内子を設け、請求項6に於けるバネをモーターに置き換えて巻き取り筒を回転させ、吸水体を押し出す作業及び巻き取る作業をおこなう請求項7に記載する冷却装置。
【請求項9】
容器外側の底部に折り畳み可能なローラーを配してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8に記載する冷却装置。
【請求項10】
自動車の屋根に設置可能とした上記容器を、内部を複数の部屋に区切ると共に連絡孔を設けて液体の急激な移動を押さえるようにしたものとする請求項1,2,3,4,5,6,7,8に記載する冷却装置。
【請求項11】
支柱あるいは骨組みを有し、上記吸水体をテント状に張ることにより上記冷却物である内部空間を冷却できるようにした請求項1,2,3,4,5,6,7,8に記載する冷却装置。
【請求項12】
上記、容器を皿状体とし、タンクに蓄えた液体をポンプによって供給可能とした請求項1,2,3に記載する冷却装置。
【請求項13】
液体を吸収し蒸発させることの出来る吸水体とポンプ、給水パイプによって構成され、吸水体を支持するための支柱あるいは骨組みによってテント状に張られた吸水体にタンクに蓄えた液体をポンプによって供給可能とした冷却装置。
【請求項14】
上記吸水体を通気穴を有する箱あるいは筒の内部に張り巡らせ、吸水体の端から液体を吸収できるように容器を配した請求項1,2,3に記載する冷却装置。
【請求項15】
上部が開口する箱を設けて容器とし、容器の上部に吸水体を被冷却物の覆いとして蓋のようにかぶせ、吸水体の下端が容器内部の液体に接するように配した冷却装置。
【請求項16】
前記、吸水体を吸水性を有する素材による箱、筒あるいは箱や筒状にすることの出来る吸水性を有するシート状体、もしくはテント状の布状体・網状体とする請求項15に記載する冷却装置。
【請求項17】
前記の吸水体を、箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体もしくは網状体の表面に吸水物を張り合わせた物とし、使用時に箱あるいは筒状に組み立てて覆いとする請求項15に記載する冷却装置。
【請求項18】
吸水体に突起物、あるいは折り目を設け、空気と吸水体の接触面積を広くした請求項15,16、17に記載する冷却装置。
【請求項19】
箱あるいは筒等にすることの出来るシート状体あるいは網状体の表面に吸水物を張り合わせたシート状体であって、下端を水等の液体に浸ける状態で被冷却物の覆いとして蓋状にかぶせて使用出来る冷却用シート。
【請求項20】
布状もしくは網状の吸水体と吸水体の絞り込み手段および被冷却物への吸水体固定具により構成され、吸水体上部に絞り込み手段を配し下部に被冷却体への吸水体固定具を有する吸水体であって、上部を絞り込み下部を広げて覆いとすることの出来る冷却用シート。
【請求項21】
吸水性を有し、中央から放射状に縦糸を配した布状体、あるいは網状体であって、中央部に吸水可能な糸あるいは布片が配してある冷却用シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2008−25849(P2008−25849A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−323077(P2001−323077)
【出願日】平成13年10月22日(2001.10.22)
【特許番号】特許第3433196号(P3433196)
【特許公報発行日】平成15年8月4日(2003.8.4)
【出願人】(300089998)
【Fターム(参考)】