気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタ
【課題】 微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させつつ、微細気泡の気泡径やその性状をユーザの好みに応じて変更し得る気泡発生装置を提供する。
【解決手段】 微細気泡を含む噴出流が浴槽B内に放出される噴出ノズル15の正面位置に、円柱状の柱状体13を配設する。柱状体13として、両端部を半球状とし、柱状体13の基端部が噴出ノズルの絞り開放部152の開口端面に位置するように設定する。柱状体13を噴出流Fの噴出ノズルを出た直後から中心軸X近傍領域で生じる負圧領域に対応する大きさとする。柱状体13の外周に所定長さのネジ部130を形成し、図外の支持アームに固定された環状の保持部164の内周面のネジ部165を外嵌させる。柱状体13を回転させれば基準位置Kを挟んで位置K1,K2間を進退位置調整可能となる。
【解決手段】 微細気泡を含む噴出流が浴槽B内に放出される噴出ノズル15の正面位置に、円柱状の柱状体13を配設する。柱状体13として、両端部を半球状とし、柱状体13の基端部が噴出ノズルの絞り開放部152の開口端面に位置するように設定する。柱状体13を噴出流Fの噴出ノズルを出た直後から中心軸X近傍領域で生じる負圧領域に対応する大きさとする。柱状体13の外周に所定長さのネジ部130を形成し、図外の支持アームに固定された環状の保持部164の内周面のネジ部165を外嵌させる。柱状体13を回転させれば基準位置Kを挟んで位置K1,K2間を進退位置調整可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に設けられて浴槽内の浴槽水中に微細気泡(マイクロバブル)を含んだ噴出流を放出させる噴出ノズルを備えた気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタに関し、特に噴出ノズルからの噴出流をより遠方まで放出させ得ると共に、均一で微細な気泡からそれよりも大径の気泡までユーザの好みに応じて変更可能とし得るための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽内の浴槽水に対し微細気泡を発生させるものとして、旋回流の中心軸上に空気を導入して形成した気柱を、同軸上に位置するように凸部が形成された衝突板に衝突させることにより、微細気泡を発生させることを意図した技術が提案されている(例えば、特許文献1の図3等を参照)。
【0003】
なお、微細気泡を発生させるものではないが、浴槽内の浴槽水に対し旋回流を噴出させて入浴者のマッサージ効果を狙ったものとして、噴流ノズルの先端開口である噴出口の内部に板状の遮蔽体を設け、遮蔽体の周囲の隙間から旋回流が通過するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−126665号公報
【特許文献2】特開2008−136588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば図12にその原理図を例示したような気泡発生装置を用いて、浴槽水中に微細気泡を含んだ噴出流を放出させる場合に、その噴出流をより遠方に到達させたり、より良質な微細気泡を生成させたりする上で、これらの実現を妨げる次のような不都合のあることを本発明者らは見出した。すなわち、図12の気泡発生装置による気泡発生の原理を簡単に説明すると、旋回室101に対し外周側から水を噴出させることにより旋回室内に旋回流を生じさせ、この旋回流の発生に伴い作用する負圧により空気を旋回流の中心軸Xに沿って取り込み、これを噴出ノズル102から浴槽B内に対し噴出させることで微細気泡が混入した噴出流F′が浴槽水中に放出されるようにしている。しかしながら、中心軸Xに沿って気柱が生成された状態の旋回流が狭い噴出ノズル102から前方の浴槽水中に略円錐状に放出されると、放出直後の噴出流の中心軸近傍領域Nでは負圧が発生し、この負圧発生に起因して乱流などのロスが発生してしまうことになると考えられる。そして、この結果、噴出流の噴出流Fの勢いが削がれて噴出流がより遠方まで到達する妨げになったり、微細気泡の生成の妨げになったりするものと考えられる。
【0006】
一方、単に均一な気泡径の微細気泡の生成のみを追及しても、心地良いと感じるユーザの感性は人によって異なると考えられ、必ずしも全てのユーザの好みに合致させ得るものとはならないと考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させつつ、均一で微細な気泡からそれよりも大径の気泡までユーザの好みに応じて変更可能とし得る気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明では、微細気泡を含む旋回流状態の噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルを備えた気泡発生装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記噴出ノズルの正面位置に、全体が円筒状又は円柱状の形状を有しかつ前記噴出ノズルに臨む側の端部が半球状又は円錐状に形成した柱状体を、前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に配設し、かつ、進退位置調整機構により前記噴出ノズルの中心軸に沿って進退位置調整可能に保持されてなるようにした(請求項1)。
【0009】
本発明の場合、旋回流状態の噴出流が噴出ノズルから浴槽内に放出されると、旋回流が円錐状に拡大するため中心軸の側の内径側に負圧が生じることになる。前記の柱状体がなければ、噴出流の前進に従い負圧領域が拡大して乱流発生の要因となるものの、本発明の場合には、中心軸上に柱状体が配設されているため、噴出ノズルからの噴出流の放出に伴う負圧発生に基づき微細気泡を生成させつつも、それ以後の噴出流が柱状体の外表面に沿って前方に移動するようになって、以後の過度の負圧発生が柱状体の存在により抑制・防止されることになる。以上の結果、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることが可能となり、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることが可能となる。
【0010】
しかも、これに加えて、進退位置調整機構により柱状体を進退移動させることで、前記の負圧発生状況が変化し、このため、発生する微細気泡の気泡径等の状況も変化することになる。すなわち、柱状体を噴出ノズルから遠ざかる側に前進させていくと、負圧領域の拡大に伴い、部分的に気泡同士が衝突し合ってより大径の気泡となり、微細気泡とより大径の気泡とが混合した状態で噴出流と共に噴出されることになる。このような噴出流を入浴中に受けるユーザは心地良い刺激を受け得ることとなる。逆に、柱状体を噴出ノズルに近付く側に後退させていくと、噴出ノズルとの間の環状開口の幅がより狭くなり、これにより、生成される微細気泡の径がより微細化し、もや状又は霧状に近づいた微細気泡の噴出流となって噴出されることになる。このような噴出流を受けるユーザは安らぎと癒しの環境下で入浴し得ることになる。このように柱状体を進退させることで、噴出される微細気泡の性状をユーザの好みに合致したものに変更調節し得ることになる。
【0011】
本発明における進退位置調整機構としては、前記柱状体に対し直接的に又は間接的に係合されたネジ機構により構成することができる(請求項2)。このようにすることで、柱状体に対し進退位置の変換に加えて、その進退位置の調整をも確実に行うことができるようになる。
【0012】
本発明における柱状体としては、前記噴出ノズルから放出された直後の噴出流においてその中心軸寄りに発生する負圧領域に対応する大きさを備えるようにすることができる(請求項3)。このようにすることにより、前記の過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制して、乱流発生の抑制・防止による本発明の作用を有効に得られることになる。
【0013】
又、本発明における柱状体を、前記噴出ノズルに臨む側の端部が前記噴出ノズルの浴槽内に向けて開口する開口端面の近傍に位置した状態を基準位置として初期位置設定することができる(請求項4)。このような基準位置に柱状体を配設することにより、噴出ノズルからの放出直後から生じる負圧領域の拡大に対応して、過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制して最も均一な微細気泡が生成されることとなる。そして、このような均一な微細気泡が生成される状態を基準位置として位置設定することで、柱状体の進退調節による気泡の変化具合を容易に認識し易くなって、ユーザの好みに合致した気泡性状への調節が容易となる。
【0014】
さらに、本発明における噴出ノズルとして、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成し、前記柱状体として、前記噴出ノズルに臨む側の端部と前記絞り開放部とで区画される両者間のドーナッツ環状の開口断面積が、前記絞り部の開口断面積と同等か、この絞り部の開口断面積よりも大きくなるように位置設定することができる(請求項5)。このようにすることにより、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることが可能となり、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることが可能となるという請求項1による作用を確実に実現させ得るようになる。
【0015】
加えて、本発明における噴出ノズルとして、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成し、前記柱状体として、その外径が前記絞り部の内径以上で、かつ、前記絞り開放部の最大内径以下の寸法を有するように設定することができる(請求項6)。このようにすることで、請求項5と同様に、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることが可能となるという請求項1による作用を確実に実現させ得るようになる。
【0016】
又、本発明において、前記噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板をさらに備え、前記飛散防止板が前記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して前記噴出流の飛散を防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されたものとし、前記柱状体として、前記開口部に対し前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に貫通配置されるように支持アームを介して支持されたものとすることができる(請求項7)。このようにすることにより、浴槽内の水位が低い場合に噴出ノズルから噴出流が放出された場合の飛散防止と、通常の浴槽水位での入浴の場合における請求項1〜請求項6のいずれかによる柱状体に基づく作用とを併せて得ることが可能となる。なお、この場合における柱状体として、浴槽内に臨む側の端部が前記飛散防止板よりも浴槽内に向けて飛び出すように配設することで、噴出流が直進性を維持してより遠方まで到達し得るように案内させることが可能となる。
【0017】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明では、前記の請求項1〜請求項7のいずれかに記載の気泡発生装置を内蔵させることで(請求項8)、前記の請求項1〜請求項7のいずれかの気泡発生装置による作用を循環アダプタにおいて得られることになる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本発明の気泡発生装置によれば、中心軸上に柱状体を配設しているため、噴出ノズルからの噴出流の放出に伴う負圧発生に基づき微細気泡を生成させつつも、それ以後の噴出流が柱状体の外表面に沿って前方に移動させることができ、以後の過度の負圧発生を柱状体の存在により抑制・防止させることができるようになる。この結果、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることができ、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるようになる。しかも、これに加えて、進退位置調整機構により柱状体を進退移動させることで、前記の負圧発生状況を変化させて、発生する微細気泡の気泡径等の状況を変化させることができる。すなわち、柱状体を噴出ノズルから遠ざかる側に前進させることで、より大径の気泡が混合した状態で噴出させることができる一方、逆に、柱状体を噴出ノズルに近付く側に後退させることで、微細気泡の径をより微細化させることができる。これにより、噴出される微細気泡の性状をユーザの好みに合致したものに変更調節することができるようになる。
【0019】
特に、請求項2によれば、進退位置調整機構を、前記柱状体に対し直接的に又は間接的に係合されたネジ機構により構成することで、柱状体に対し進退位置の変換に加えて、その進退位置の調整をも確実に行うことができるようになる。
【0020】
又、請求項3によれば、柱状体として、噴出ノズルから放出された直後の噴出流においてその中心軸寄りに発生する負圧領域に対応する大きさを備えるようにすることで、前記の過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制して、乱流発生の抑制・防止による本発明の効果を有効に得ることができることになる。
【0021】
請求項4によれば、柱状体を、噴出ノズルに臨む側の端部が噴出ノズルの浴槽内に向けて開口する開口端面の近傍に位置した状態を基準位置として初期位置設定することで、噴出ノズルからの放出直後から生じる負圧領域の拡大に対応して、過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制することができ、最も均一な微細気泡が生成されることとなる。そして、かかる均一な微細気泡が生成される状態を基準位置として設定されているため、柱状体の進退調節による気泡の変化具合を容易に認識し易くなって、ユーザの好みに合致した気泡性状への調節が容易となる。
【0022】
さらに、請求項5によれば、柱状体を、噴出ノズルに臨む側の端部と絞り開放部とで区画される両者間のドーナッツ環状の開口断面積が、絞り部の開口断面積と同等か、この絞り部の開口断面積よりも大きくなるように位置設定することで、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることができ、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるという本発明による効果を確実に実現させることができるようになる。
【0023】
加えて、請求項6によれば、柱状体の外径を噴出ノズルの絞り部の内径以上で、かつ、絞り開放部の最大内径以下に設定することで、請求項5と同様に、より良質な微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるという本発明による効果を確実に実現させることができるようになる。
【0024】
又、請求項7によれば、飛散防止板の開口部を貫通するように支持アームで支持することで、浴槽内の水位が低い場合に噴出ノズルから噴出流が放出された場合の飛散防止と、通常の浴槽水位での入浴の場合における請求項1〜請求項6のいずれかによる柱状体に基づく効果とを併せて得ることができるようになる。
【0025】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明によれば、前記の請求項1〜請求項7のいずれかの気泡発生装置による効果を循環アダプタにおいて得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は第1実施形態に係る気泡発生装置を示す断面説明図であり、図1(b)は図1(a)の気泡発生装置を前面側からの斜視図により示す説明図である。
【図2】図2(a)は図1(a)の部分拡大図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線断面における開口断面を示す断面説明図であり、図2(c)は図2(a)のB−B線断面における開口断面を示す断面説明図である。
【図3】図3は図1(a)による噴出流の放出状況を示す図1(a)対応図である。
【図4】図4(a)は柱状体の進退移動状況を示す図2(a)対応図であり、図4(b)は種々の進退移動位置における気泡径と気泡数との関係図である。
【図5】気泡発生装置を循環アダプタに内蔵した第2実施形態を適用した風呂システムの例を示す説明図である。
【図6】第2実施形態の気泡発生装置を内蔵した追焚循環用の循環アダプタの斜視図である。
【図7】図6のC−C線断面説明図である。
【図8】図6及び図7の循環アダプタを用いた追い焚き運転の作動原理を示す説明図である。
【図9】図6及び図7の循環アダプタを用いた気泡発生運転の作動原理図を示す図8対応図である。
【図10】切替レバー等を省略した図7の要部の拡大図である。
【図11】飛散防止板の内面側を例示する循環アダプタの分解斜視図である。
【図12】本発明の課題を示すために例示した気泡発生装置の図3対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1(a)は第1実施形態に係る原理的な気泡発生装置1を示す。この気泡発生装置1は、内部に旋回室11を区画形成した本体ハウジング12と、この本体ハウジング12の前側位置に付設された柱状体13とを備えて構成されたものである。旋回室11は中心軸Xを筒軸とする円筒状の内周面を有し、旋回流を生じさせるための水(湯又は水)が内部通路121を通して吐出口122から旋回室11の接線方向に吐出されるようになっている。又、旋回室11後端(図面の右端)には空気吐出口14が中心軸X上に開口されており、外部から取り込まれた空気が後述の負圧の作用により旋回室11内に吸気されるようになっている。旋回室11は前端側で孔径が絞られた噴出ノズル15を通して浴槽B内と連通されている。噴出ノズル15は、旋回室11側で旋回室11よりも内径が絞られた絞り部151と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有し絞り部151から浴槽B内にかけて徐々に拡径する台錐状の斜面により構成された絞り開放部152とで形成されている。
【0029】
前記柱状体13は、図1(b)にも示すように、円柱状又は円筒状の本体部131と、その一端であって噴出ノズル15に臨んで半球状に形成された基端部132と、他端部であって同様に半球状に形成された先端部133とを備えて構成されたものである。図例では密実なものを図示しているが、これに限らず、内部が空間とされた密閉筒で構成してもよいし、又、前記の基端部132の形状を半球状ではなくて円錐状に形成してもよい。
【0030】
そして、前記柱状体13は、中心軸Xに対し旋回室11及び噴出ノズル15と同軸上に配置され、例えば本体ハウジング12に対し支持手段16により支持された状態で中心軸Xに沿って進退移動可能に保持されている。詳しくは、前記柱状体13は、前記の基端部132及び先端部133を除く本体部131が所定量小径とされてネジ部130が形成され、このネジ部130に外嵌されて互いに螺合する環状の保持部164によって中心軸Xに沿って進退移動可能に保持されている。支持手段16は、少なくとも前記の保持部164と、この保持部164から略放射方向に延びて又は外周側に向けて螺旋方向に延びて本体ハウジング12に支持される複数の支持アームとで基本構成することも可能であるが、図例のものは飛散防止板17を兼ねる構成とするために、さらに本体ハウジング12に支持される円環枠部を備え、この円環枠部から前記保持部164に向けて複数の支持アームが放射方向に延びるように構成されている。そして、保持部164の内周面にネジ部165(図2参照)が形成され、このネジ部165と柱状体13のネジ部130とが互いに螺合されている。ネジ部130が所定量小径とされているのは、保持部164が外嵌された状態で保持部164の外径が本来の柱状体13の外径(後述の外径D)と合致するようにするためである。又、ネジ部130はネジ部165よりも中心軸X方向に所定量長くなるように設定され、これにより、中心軸X方向の両側に進退移動し得るようにされている。進退移動量については後述する。ネジ部130はネジ部165によって、柱状体13を進退移動調節可能とする進退位置調整機構が構成されている。
【0031】
飛散防止板17について、まず説明すると、中心軸Xに対し旋回室11及び噴出ノズル15と同軸上で貫通して開口する開口部171と、この開口部171の外周側に拡がる遮蔽壁部172とから構成されている。前記開口部171は噴出ノズル15から浴槽水中に放出される場合の噴出流を通過させる一方、前記遮蔽壁部172は開口部171の外周側領域を遮蔽して浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも低い場合に噴出ノズル15から空気中に噴出流が飛散することを防止するように構成されたものである。そして、前記飛散防止板17は、連結部173により本体ハウジング12に連結されて、本体ハウジング12の浴槽B内に臨む前端面123から所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に支持されている。前記開口部171は、前記の絞り開放部152を構成する斜面の延長面が飛散防止板17との相対向面と交わることで形成される投影円と略同径の内径を有するように形成されている。飛散防止板17の前記の相対向面(本体ハウジング12の前端面123との相対向面)により構成される前記の遮蔽壁部172には凹み部174が形成されている。この凹み部174は、少なくとも開口部171の開口縁位置から外周側のドーナッツ環状の領域に形成されるものであり、望ましくは図例の如く飛散防止板17の外周縁位置(遮蔽壁部172の外周縁位置)までの全領域にわたり形成されている。
【0032】
前記凹み部174の形成により、本体ハウジング12との間の隙間間隔が凹み部174の底位置から本体ハウジング12の前端面123までの間隔となって、凹み部174が非形成の状態の隙間間隔よりも凹み部174を形成した分大きくなる。これにより、本体ハウジング12と飛散防止板17との間の隙間に対し噴出流の放出に伴い発生する環流が外周側から内周側へ流入する際の通過断面積を増大させ、その分、環流の流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0033】
そして、以上の飛散防止板17の開口部171の内周面と、柱状体13の本体部131に螺合状態で外嵌された保持部164とが放射方向に延びる複数(図例では3本)の支持アーム163,163,…によって互いに連結され、これにより、柱状体13が開口部171内を中心軸Xと同軸に貫通配置され、かつ、保持部164に対し回転することで中心軸Xに沿って進退移動し得るようになっている。加えて、柱状体13はその先端部133が飛散防止板17よりも浴室Bの前方に向けて若干飛び出すように位置設定されており、これにより、噴出流が直進性を維持してより遠方まで到達し得るように案内している。なお、支持アーム163の本数は支持剛性が確保できれば1本でもよく、好ましくは2本以上あればよい。以上の飛散防止板17によって、浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも仮に低い場合には、噴出ノズル15から放出される噴出流が水中に放出されるときよりも広い円錐状に拡がった状態で放出されることになるものの、この場合であっても、開口部171範囲よりも外周側の流れは飛散防止板17の遮蔽壁部172に当たり、浴槽Bの前方への飛散が防止されることになる。
【0034】
柱状体13と噴出ノズル15との関係について図2を参照しつつさらに詳細に説明すると、柱状体13の外径(基端部132の最大外径)Dが噴出ノズル15の絞り部151の内径d1よりも大きく(D>d1)、絞り開放部152の最大内径(開口端内径)d2よりも小さく(d2>D)、設定されている。又、柱状体13の中心軸Xに沿った長さLはその外径Dの少なくとも2〜3倍に設定されている。D>d1としているのは、旋回室11から絞り部151に前進した旋回流は絞り部151で絞られて旋回外径が小さくなった後、絞り開放部152を経て浴槽B内の浴槽水中に放出されるに従い旋回外径が前記絞り部151の内径d1よりも大きくなるためである。又、d2>Dとしているのは、絞り部151から絞り開放部152にかけて旋回流の旋回外径が拡大し、浴槽水中に放出されてさらに大きくなるものの、その大きくなるに伴い中心軸近傍領域に負圧が発生するため、この負圧領域よりも大きくならないで、かつ、その負圧領域に相当する領域に柱状体13を存在させて充填させるようにするためである。つまり、柱状体13は噴出ノズル15から放出された直後の噴出流の中心軸近傍領域に生じるであろう負圧領域に相当する領域にほぼ対応する形状に設定されており、外径Dもそのような基準により定めればよい。さらに、柱状体13の長さLを2D〜3Dとしているのは、乱流抑制効果を得られる度合がL=2Dまでの範囲で急増し、2D〜3Dの範囲でほぼ最大に近づいて以後はほぼ同じとなるからである。
【0035】
又、柱状体13と噴出ノズル15との相互の位置関係としては次のようにする。すなわち、前記の絞り部151の開口断面積M1(A−A線断面の図2(b)参照)、及び、絞り開放部152と柱状体13の基端部132との間の傘状でかつドーナッツ環状の開口断面積M2(B−B線断面の図2(c)参照)の両者の関係が互いにほぼ等しいか、M1<M2になるように、柱状体13と噴出ノズル15との相互の位置関係が設定されている。これに従えば、柱状体13はその基端部132の頂点が絞り開放部152の開口端面153上に位置することになるように設定すればよい。つまり、開口端面153と基端部132の頂点とが互いに合致する位置に設定する、あるいは、開口端面153という仮想平面に基端部132の頂点がほぼ接することになる位置に設定すればよいことになる。なお、絞り開放部152の傾斜が多少変動したとしても、柱状体13の基端部132の頂点位置の変動はプラス・マイナスで小数点以下の範囲に止まるため、前記の開口端面153位置とほぼ合致するように基端部132の頂点を位置付ければよいということで一般化し得ることになる。
【0036】
以上の第1実施形態によれば、浴槽B内の浴槽水中に微細気泡を含む噴出流を放出させると、図3に示すように、まず、吐出口122から吐出された水流により旋回室11内の旋回流が発生し、この旋回流に伴い空気吐出口14に対し負圧が作用して、空気吐出口14から空気が旋回流の中心軸X上に巻き込まれることになる。そして、この中空渦状の旋回流が噴出ノズル15の絞り部151で一旦絞られた後に絞り開放部152で急開放される結果、所定の円錐状となった噴出流Fが前方(同図の左方)に放出されることになる。この際、円錐状に旋回流が拡大するため中心軸Xの側の内径側に負圧が生じることで、この負圧作用に基づき微細化した微細気泡を噴出流は含むことになる。その一方、本来であれば、その噴出流の前進に従い負圧領域がより拡大して乱流発生の要因となるものの、本実施形態では噴出ノズル15の開口端面153に接近して中心軸X上に柱状体13が存在しているため、絞り開放部152からの噴出流の急開放に伴う負圧発生に基づき微細気泡を生成させつつも、それ以後の噴出流が柱状体13の外表面に沿って前方に移動するようになって、以後の過度の負圧発生が柱状体13の存在により抑制・防止されることになる。以上の結果、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることができ、これにより、より良質な微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるようになる。なお、図3では微細気泡を誇張して図示している。又、図3では飛散防止板17の図示を省略しているが、噴出ノズル15の絞り開放部152からの噴出流は開口部171(図1参照)内を通過しつつ、その中心軸X寄りの内周側が柱状体13の外表面に沿って前進することになって、柱状体13による作用・効果を前記の如く得ることができる。
【0037】
さらに、柱状体13は、その基端部132が噴出ノズル15の絞り開放部152の開口端面153の近傍に位置した状態を基準位置として設定されている。図4には基端部132が開口端面153と合致した位置を基準位置Kとした場合を例示している。そして、基端部132が基準位置Kから噴出ノズル15により近づく側を(−)側(後退側)、噴出ノズル15からより遠ざかる側を(+)側(前進側)として、それぞれ所定量だけ進退移動し得るようにされている。つまり、このような進退移動量が確保されるようにネジ部165に対するネジ部130の中心軸X方向長さが設定されている。
【0038】
具体的な例を挙げると、基準位置Kに基端部132が位置する場合には前述の如く均一な微細気泡がより遠くまで届く状態とされる一方、基準位置Kから後退側に例えば2mm(K位置から−2mm)移動させた位置K1に基端部132が位置するように柱状体13を移動させると生成される微細気泡の径は極小となり、逆に基準位置Kから前進側に例えば2mm(K位置から+2mm)移動させた位置K2に基端部132が位置するように柱状体13を移動させると旋回噴出流と基端部132表面との間に負圧に起因する乱流が発生又は増大し、生成された微細気泡同士が衝突し合ってより大径の気泡に結合されることになる。
【0039】
図4(b)に示すように基準位置Kにおいては気泡径が例えば20μmを中心にほぼ均一な微細気泡が生成されるのに対し、位置K1では気泡径がより小さく極小となったもののみとなり、逆に、位置K2では気泡径分布がより大きいものを含んでばらつくようになる。位置K1の場合には、噴出流自体に極小の微細気泡が混じって全体がもや状又は霧状の噴出流となって浴槽内に噴出されることになる。これにより、やさしく安らかな気泡浴を実現させることができる。一方、位置K2の場合には、より大径の気泡を含んだ噴出流が身体に当たることによっていわゆるジェットバスの如き適度なマッサージ効果を得ることができる。これらをユーザが自分で例えば先端部133を摘んで回転させることで柱状体13を進退移動させて、自己の好みに応じた気泡を生成させることができるようになる。
【0040】
なお、前記のネジ部130と、ネジ部165との中心軸X方向の長さ設定によって、基準位置Kを挟んで位置K1を(−)側の最大とし、位置K2を(+)側の最大とする進退移動範囲に規制するようにしてもよい。これにより、ユーザによる調節を許容しつつも、本来の微細気泡の発生が得られない範囲まで回転操作されることを抑制することができる。又、出荷時には柱状体13を基準位置Kに初期設定しておくことで、初期設定では所定の均一径の微細気泡の噴出流を得ることができ、基準位置Kから前記の位置K1,K2への進退移動調節で好みの気泡噴出状態に変更調節することができるようになる。この変更調節は、例えば前記の(−)側・(+)側に2mmの進退移動量は、ネジ部130,165の例えば4回転操作に相当するように設定されており、2mmという短い寸法ではあるが、0.5mm/1回転操作という回転操作によって的確に進退移動させることができる。
【0041】
このような作用効果が得られる進退位置調整機構としては、前述のネジ機構を用いて構成してもよいが、これに限らず、カム機構を用いて基準位置Kから(−)側の最大位置K1へ、又は、(+)側の最大位置K2へ進退位置変換可能に構成することもでき、さらに、内蔵ノック式位置変換機構を用いて進退位置変換可能に構成することができる。又、ネジ機構を用いる場合であっても、保持部165と柱状体13との螺合ではなくて、例えば支持手段16(飛散防止板17)と本体ハウジング12とをネジ機構を介して進退移動可能に支持させることで、支持手段16に固定した柱状体を進退移動可能に構成するようにしてもよい。
【0042】
<第2実施形態>
図5は第2実施形態の気泡発生装置を適用した風呂システムを示す。この風呂システムは、浴槽Bと、風呂用の追い焚き循環機能を備えた給湯器2と、戻り路31及び往き路32からなり浴槽B及び給湯器2を互いに接続する追い焚き循環配管3と、第2実施形態に係る後述の気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4とを備えて構成されたものである。
【0043】
給湯器2は、例えば、追い焚き用熱交換器21と、これを加熱する燃焼バーナ22とを備えているものである。なお、給湯器2としては、追い焚き加熱用の構成を備えていれば、追い焚き用と給湯用とに互いに独立した缶体を備えた2缶2水式のものであるか、追い焚き用と給湯用とを共用する1缶2水式であるか、あるいは、温水循環式暖房回路が組み込まれて、その高温水を熱源とする液−液熱交換器により追い焚き加熱されるものであるかの別は問わず、いずれのものでも適用可能である。
【0044】
浴槽Bには、その一側壁面の底部近傍に循環アダプタ4が貫通した状態で設置され、この循環アダプタ4に対し、追い焚き循環配管3の戻り路31の上流端と、往き路32の下流端とが接続されている。そして、給湯器2内の循環ポンプ23が作動されると、浴槽B内の浴槽水(湯又は水)が循環アダプタ4及び戻り路31を通して給湯器2の熱交換器21に戻され、次いで、往き路32及び循環アダプタ4を通して浴槽B内に吐出される、という循環流が生じて循環作動されることになる。この循環作動の際に、燃焼バーナ22が燃焼作動されると、浴槽Bから戻された浴槽水が所定温度まで加熱されて追い焚きされる追い焚き運転モードになり、燃焼バーナ22が非燃焼状態のままであると、浴槽水による循環流のみが生じて気泡発生運転モードとなる。
【0045】
循環アダプタ4は、浴槽Bに対しその内側に配設される前面カバー体41及び飛散防止板47(図6も参照)と、主として浴槽Bの外側に配設される本体ハウジングを兼ねるアダプタ本体42とが一体化されて組み付けられるものであり、戻り路31に接続される戻り用接続口421と、往き路32に接続される往き用接続口422とがアダプタ本体42の後端から突出されるとともに、アダプタ本体42の後端面には空気取り入れ部51が設けられている。
【0046】
前面カバー体41は外周側のドーナッツリング状の部位を覆うものであり、その表面には多数の微小孔からなるフィルタ部材410が装着されている。この前面カバー体41の内周側領域には飛散防止板47が付設され、この飛散防止板47の前面上部位置には微細気泡を含む噴出流が放出(吐出又は噴出)される開口部471が開口形成されている。又、飛散防止板47の前面下部位置には半月状の案内開口472から切替レバー431が円弧状に往復移動可能に突出されている。この切替レバー431は、追い焚き運転モードと気泡発生運転モード(バブル温浴運転モード)との切換えを行うための操作部を構成し、この切替レバー431を備えた後述の切換弁機構43がアダプタ本体42内に組み込まれている。
【0047】
図7は気泡発生装置5が組み込まれた循環アダプタ4を図6のC−C線における断面図として示すものであり、図8又は図9は循環アダプタ4の詳細構造を省略して原理的な構造を示すものである。
【0048】
まず、循環アダプタ4の概略構造について主として図8又は図9を参照しつつ説明する。循環アダプタ4は、前述の循環ポンプ23(図5参照)の作動により浴槽B内から浴槽水を吸い込んで戻り路31に流すための吸い込み流路44と、往き路32からの循環水(浴槽水)を浴槽B内にそのまま流す追い焚き吐出流路45と、同様に往き路32からの循環水に対し微細気泡を含んだ状態で浴槽B内に噴出流として吐出させる気泡吐出流路46と、前記往き路32からの循環水を追い焚き吐出流路45の側に流す(追い焚き運転モード)か、気泡吐出流路46の側に流す(気泡発生運転モード)かのいずれかに切換える切換弁機構43とを備えている。
【0049】
吸い込み流路44は、図8又は図9に矢印Rで示すように、フィルタ部材410を介して前面カバー体41の外周領域から吸い込まれた浴槽水を合流させた後に戻り用接続口421まで導くように延びている。追い焚き吐出流路45は、図8に矢印Gで示すように、往き用接続口422からの循環水を分流室451に導いた後に開閉切換口452を通して前面カバー体41の下側に導き、その下側領域の外周面に開口する追い焚き吐出口453から浴槽B内に吐出するように延びている。
【0050】
気泡吐出流路46は、図9に矢印Bで示すように、往き用接続口422からの循環水を前記分流室451を介して内部通路としての分流路461に導いた後、吐出口462から旋回室463に噴出させて旋回室463に旋回流を生じさせ、空気吐出口52から吸気した空気により微細気泡を含んだ噴出流として噴出ノズル464及び開口部471を通して浴槽B内の前方に向けて放出させるように延びている。前記旋回室463はその内周面が円筒状に形成され、前記吐出口462はその旋回室463に対し接線方向に分流室451からの循環水を吐出させるように開口されている。この吐出口462からの循環水の吐出により旋回室463内に噴出ノズル464の側に向かう旋回流が生じ、この旋回流の発生に伴い気泡発生装置5の後述の空気吐出口52に対し負圧が作用することにより、空気吐出口52から空気が旋回流の中心に吸気されるようになっている。そして、旋回室463内の旋回流が内径の絞られた噴出ノズル464から急拡散される結果、微細気泡が混合した状態の噴出流となって浴槽B内に放出されることになる。
【0051】
切換弁機構43は、前端に切替レバー431が固定されて分流室451を突き抜けるように配置された切換軸432と、この切換軸432の途中に設けられた第1切換弁433及び第2切換弁434と、第1切換弁432を挟んで配置された形状記憶合金製バネ435及びバイアスバネ436とを備えて構成されている。この切換弁機構43は、分流室451に供給される循環水の温度の高低如何によって追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの自動切換が可能であると共に、切替レバー431の切換操作によっても追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの切換が可能となっている。例えば、分流室451に供給される循環水の温度が追い焚き用の高温(例えば80℃)であれば形状記憶合金製バネ435が伸長し、これにより第1切換弁433が分流路461を遮断する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を開放した追い焚き運転モードに自動切換される(図8に示す状態参照)。一方、循環水の温度が前記の追い焚き用の高温よりも低温であれば形状記憶合金製バネ435が縮小し、これにより第1切換弁433が分流路461を開放する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を遮断した気泡発生運転モードに自動切換される(図9に示す状態参照)。又、切替レバー431の切換操作により切換軸432を回転作動させることによっても、同様に追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとに切換操作し得るようになっている。
【0052】
次に、気泡発生装置5についてより詳細に説明すると、図10に示すように、アダプタ本体42内に区画形成された旋回室463の前端側が噴出ノズル464を通して浴槽内と連通されている。この噴出ノズル464が開口するアダプタ本体42の前端面にはノズルガイド部481が形成されたノズルガイド48がネジ482により取り付けられ、このノズルガイド48に対し飛散防止板47が着脱可能に取り付けられるようになっている。前記ノズルガイド部481は、前方(同図の左方)に向けて徐々に拡径する台錐状のガイド面を備え、旋回室463、噴出ノズル464及び飛散防止板47の開口部471と共に中心軸Xと同軸に配設されている。飛散防止板47にはその後端面の上下各位置から係止爪473(図11も併せて参照)がノズルガイド48に向けて突出するように形成される一方、この各係止爪473と対応する位置のノズルガイド48には係止爪473と着脱可能に係合する係合孔483,483が形成されている。そして、係止爪473,473を係合孔483,483に押し入れて係合させることで、飛散防止板47がノズルガイド48に取り付けられるようになっている。なお、図10では上側の係止爪及び後述の支持アーム163の図示を省略し、図10及び図11のいずれでも切替レバー等の図示を省略している。
【0053】
前記の飛散防止板47は、開口部471の外周側領域が空気中に噴出流が放出される場合の飛散防止の機能を果たす遮蔽壁部474を構成し、この遮蔽壁部474のノズルガイド部481側の後端面に凹み部475が形成されている。この凹み部475は開口部471の外周側領域のドーナッツ環状領域に形成されたものであり、凹み部475と開口部471との境界位置となる開口縁位置にはノズルガイド48の側に尖るように突出する突縁476が形成されている。凹み部475の形成により、アダプタ本体42側であるノズルガイド部481との間の隙間間隔をより大きくして、第1実施形態で説明したと同様に、環流Kが外周側から内周側(中心軸Xの側)へ流入する際の通過断面積を増大させ、その分、環流Kの流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0054】
そして、前記開口部471内には、柱状体13が支持アーム163,163,…(図6又は図11参照)によって中心軸Xと同軸上に貫通配置された状態で支持されている。又、前記柱状体13の形状等や進退位置調整機構により進退移動調節可能等の構成点、噴出ノズル464が絞り部と絞り開放部とで構成される点、柱状体13と噴出ノズル464とのサイズ上の関係や位置関係等の点は、第1実施形態で説明したものと同じである。加えて、柱状体13の先端部133が飛散防止板47よりも浴室Bの前方に向けて若干飛び出すように配置されており、これにより、噴出流が直進性を維持してより遠方まで到達し得るように案内している点も同様である。
【0055】
以上の第2実施形態により、第1実施形態で説明した気泡発生装置1をより具体化した気泡発生装置5を循環アダプタ4に内蔵し得るようにすることができ、循環アダプタ4において第1実施形態で説明したと同様の作用効果を得ることができるようになる。とりわけ、進退位置調整機構による柱状体13の進退位置調節により気泡の性状をユーザの好みに応じて変更することができるようになる。
【0056】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記各実施形態では、気泡発生装置1や、気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4が浴槽Bの一側の壁面に設置された例を示したが、これに限らず、気泡発生装置1や前記の循環アダプタ4を浴槽Bの底側の壁面(底壁面)に設置し、気泡を含む噴出流が浴槽水に対し上向きに放出されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,5 気泡発生装置
4 循環アダプタ
11 旋回室
13 柱状体
15,464 噴出ノズル
17,47 飛散防止板
130,165 ネジ部(進退位置調整機構,ネジ機構)
132,132a 基端部(噴出ノズルに臨む側の端部)
133 先端部(浴槽内に臨む側の端部)
151 絞り部
152 絞り開放部
153 開口端面
171,471 開口部
172,472 遮蔽壁部
B 浴槽
F 噴出流
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に設けられて浴槽内の浴槽水中に微細気泡(マイクロバブル)を含んだ噴出流を放出させる噴出ノズルを備えた気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタに関し、特に噴出ノズルからの噴出流をより遠方まで放出させ得ると共に、均一で微細な気泡からそれよりも大径の気泡までユーザの好みに応じて変更可能とし得るための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽内の浴槽水に対し微細気泡を発生させるものとして、旋回流の中心軸上に空気を導入して形成した気柱を、同軸上に位置するように凸部が形成された衝突板に衝突させることにより、微細気泡を発生させることを意図した技術が提案されている(例えば、特許文献1の図3等を参照)。
【0003】
なお、微細気泡を発生させるものではないが、浴槽内の浴槽水に対し旋回流を噴出させて入浴者のマッサージ効果を狙ったものとして、噴流ノズルの先端開口である噴出口の内部に板状の遮蔽体を設け、遮蔽体の周囲の隙間から旋回流が通過するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−126665号公報
【特許文献2】特開2008−136588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば図12にその原理図を例示したような気泡発生装置を用いて、浴槽水中に微細気泡を含んだ噴出流を放出させる場合に、その噴出流をより遠方に到達させたり、より良質な微細気泡を生成させたりする上で、これらの実現を妨げる次のような不都合のあることを本発明者らは見出した。すなわち、図12の気泡発生装置による気泡発生の原理を簡単に説明すると、旋回室101に対し外周側から水を噴出させることにより旋回室内に旋回流を生じさせ、この旋回流の発生に伴い作用する負圧により空気を旋回流の中心軸Xに沿って取り込み、これを噴出ノズル102から浴槽B内に対し噴出させることで微細気泡が混入した噴出流F′が浴槽水中に放出されるようにしている。しかしながら、中心軸Xに沿って気柱が生成された状態の旋回流が狭い噴出ノズル102から前方の浴槽水中に略円錐状に放出されると、放出直後の噴出流の中心軸近傍領域Nでは負圧が発生し、この負圧発生に起因して乱流などのロスが発生してしまうことになると考えられる。そして、この結果、噴出流の噴出流Fの勢いが削がれて噴出流がより遠方まで到達する妨げになったり、微細気泡の生成の妨げになったりするものと考えられる。
【0006】
一方、単に均一な気泡径の微細気泡の生成のみを追及しても、心地良いと感じるユーザの感性は人によって異なると考えられ、必ずしも全てのユーザの好みに合致させ得るものとはならないと考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させつつ、均一で微細な気泡からそれよりも大径の気泡までユーザの好みに応じて変更可能とし得る気泡発生装置及びこれを内蔵した循環アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明では、微細気泡を含む旋回流状態の噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルを備えた気泡発生装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記噴出ノズルの正面位置に、全体が円筒状又は円柱状の形状を有しかつ前記噴出ノズルに臨む側の端部が半球状又は円錐状に形成した柱状体を、前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に配設し、かつ、進退位置調整機構により前記噴出ノズルの中心軸に沿って進退位置調整可能に保持されてなるようにした(請求項1)。
【0009】
本発明の場合、旋回流状態の噴出流が噴出ノズルから浴槽内に放出されると、旋回流が円錐状に拡大するため中心軸の側の内径側に負圧が生じることになる。前記の柱状体がなければ、噴出流の前進に従い負圧領域が拡大して乱流発生の要因となるものの、本発明の場合には、中心軸上に柱状体が配設されているため、噴出ノズルからの噴出流の放出に伴う負圧発生に基づき微細気泡を生成させつつも、それ以後の噴出流が柱状体の外表面に沿って前方に移動するようになって、以後の過度の負圧発生が柱状体の存在により抑制・防止されることになる。以上の結果、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることが可能となり、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることが可能となる。
【0010】
しかも、これに加えて、進退位置調整機構により柱状体を進退移動させることで、前記の負圧発生状況が変化し、このため、発生する微細気泡の気泡径等の状況も変化することになる。すなわち、柱状体を噴出ノズルから遠ざかる側に前進させていくと、負圧領域の拡大に伴い、部分的に気泡同士が衝突し合ってより大径の気泡となり、微細気泡とより大径の気泡とが混合した状態で噴出流と共に噴出されることになる。このような噴出流を入浴中に受けるユーザは心地良い刺激を受け得ることとなる。逆に、柱状体を噴出ノズルに近付く側に後退させていくと、噴出ノズルとの間の環状開口の幅がより狭くなり、これにより、生成される微細気泡の径がより微細化し、もや状又は霧状に近づいた微細気泡の噴出流となって噴出されることになる。このような噴出流を受けるユーザは安らぎと癒しの環境下で入浴し得ることになる。このように柱状体を進退させることで、噴出される微細気泡の性状をユーザの好みに合致したものに変更調節し得ることになる。
【0011】
本発明における進退位置調整機構としては、前記柱状体に対し直接的に又は間接的に係合されたネジ機構により構成することができる(請求項2)。このようにすることで、柱状体に対し進退位置の変換に加えて、その進退位置の調整をも確実に行うことができるようになる。
【0012】
本発明における柱状体としては、前記噴出ノズルから放出された直後の噴出流においてその中心軸寄りに発生する負圧領域に対応する大きさを備えるようにすることができる(請求項3)。このようにすることにより、前記の過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制して、乱流発生の抑制・防止による本発明の作用を有効に得られることになる。
【0013】
又、本発明における柱状体を、前記噴出ノズルに臨む側の端部が前記噴出ノズルの浴槽内に向けて開口する開口端面の近傍に位置した状態を基準位置として初期位置設定することができる(請求項4)。このような基準位置に柱状体を配設することにより、噴出ノズルからの放出直後から生じる負圧領域の拡大に対応して、過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制して最も均一な微細気泡が生成されることとなる。そして、このような均一な微細気泡が生成される状態を基準位置として位置設定することで、柱状体の進退調節による気泡の変化具合を容易に認識し易くなって、ユーザの好みに合致した気泡性状への調節が容易となる。
【0014】
さらに、本発明における噴出ノズルとして、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成し、前記柱状体として、前記噴出ノズルに臨む側の端部と前記絞り開放部とで区画される両者間のドーナッツ環状の開口断面積が、前記絞り部の開口断面積と同等か、この絞り部の開口断面積よりも大きくなるように位置設定することができる(請求項5)。このようにすることにより、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることが可能となり、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることが可能となるという請求項1による作用を確実に実現させ得るようになる。
【0015】
加えて、本発明における噴出ノズルとして、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成し、前記柱状体として、その外径が前記絞り部の内径以上で、かつ、前記絞り開放部の最大内径以下の寸法を有するように設定することができる(請求項6)。このようにすることで、請求項5と同様に、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることが可能となるという請求項1による作用を確実に実現させ得るようになる。
【0016】
又、本発明において、前記噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板をさらに備え、前記飛散防止板が前記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して前記噴出流の飛散を防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されたものとし、前記柱状体として、前記開口部に対し前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に貫通配置されるように支持アームを介して支持されたものとすることができる(請求項7)。このようにすることにより、浴槽内の水位が低い場合に噴出ノズルから噴出流が放出された場合の飛散防止と、通常の浴槽水位での入浴の場合における請求項1〜請求項6のいずれかによる柱状体に基づく作用とを併せて得ることが可能となる。なお、この場合における柱状体として、浴槽内に臨む側の端部が前記飛散防止板よりも浴槽内に向けて飛び出すように配設することで、噴出流が直進性を維持してより遠方まで到達し得るように案内させることが可能となる。
【0017】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明では、前記の請求項1〜請求項7のいずれかに記載の気泡発生装置を内蔵させることで(請求項8)、前記の請求項1〜請求項7のいずれかの気泡発生装置による作用を循環アダプタにおいて得られることになる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本発明の気泡発生装置によれば、中心軸上に柱状体を配設しているため、噴出ノズルからの噴出流の放出に伴う負圧発生に基づき微細気泡を生成させつつも、それ以後の噴出流が柱状体の外表面に沿って前方に移動させることができ、以後の過度の負圧発生を柱状体の存在により抑制・防止させることができるようになる。この結果、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることができ、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるようになる。しかも、これに加えて、進退位置調整機構により柱状体を進退移動させることで、前記の負圧発生状況を変化させて、発生する微細気泡の気泡径等の状況を変化させることができる。すなわち、柱状体を噴出ノズルから遠ざかる側に前進させることで、より大径の気泡が混合した状態で噴出させることができる一方、逆に、柱状体を噴出ノズルに近付く側に後退させることで、微細気泡の径をより微細化させることができる。これにより、噴出される微細気泡の性状をユーザの好みに合致したものに変更調節することができるようになる。
【0019】
特に、請求項2によれば、進退位置調整機構を、前記柱状体に対し直接的に又は間接的に係合されたネジ機構により構成することで、柱状体に対し進退位置の変換に加えて、その進退位置の調整をも確実に行うことができるようになる。
【0020】
又、請求項3によれば、柱状体として、噴出ノズルから放出された直後の噴出流においてその中心軸寄りに発生する負圧領域に対応する大きさを備えるようにすることで、前記の過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制して、乱流発生の抑制・防止による本発明の効果を有効に得ることができることになる。
【0021】
請求項4によれば、柱状体を、噴出ノズルに臨む側の端部が噴出ノズルの浴槽内に向けて開口する開口端面の近傍に位置した状態を基準位置として初期位置設定することで、噴出ノズルからの放出直後から生じる負圧領域の拡大に対応して、過度の負圧発生や負圧領域の拡大を効果的に抑制することができ、最も均一な微細気泡が生成されることとなる。そして、かかる均一な微細気泡が生成される状態を基準位置として設定されているため、柱状体の進退調節による気泡の変化具合を容易に認識し易くなって、ユーザの好みに合致した気泡性状への調節が容易となる。
【0022】
さらに、請求項5によれば、柱状体を、噴出ノズルに臨む側の端部と絞り開放部とで区画される両者間のドーナッツ環状の開口断面積が、絞り部の開口断面積と同等か、この絞り部の開口断面積よりも大きくなるように位置設定することで、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることができ、これにより、微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるという本発明による効果を確実に実現させることができるようになる。
【0023】
加えて、請求項6によれば、柱状体の外径を噴出ノズルの絞り部の内径以上で、かつ、絞り開放部の最大内径以下に設定することで、請求項5と同様に、より良質な微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるという本発明による効果を確実に実現させることができるようになる。
【0024】
又、請求項7によれば、飛散防止板の開口部を貫通するように支持アームで支持することで、浴槽内の水位が低い場合に噴出ノズルから噴出流が放出された場合の飛散防止と、通常の浴槽水位での入浴の場合における請求項1〜請求項6のいずれかによる柱状体に基づく効果とを併せて得ることができるようになる。
【0025】
一方、浴槽に設置される循環アダプタに係る発明によれば、前記の請求項1〜請求項7のいずれかの気泡発生装置による効果を循環アダプタにおいて得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は第1実施形態に係る気泡発生装置を示す断面説明図であり、図1(b)は図1(a)の気泡発生装置を前面側からの斜視図により示す説明図である。
【図2】図2(a)は図1(a)の部分拡大図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線断面における開口断面を示す断面説明図であり、図2(c)は図2(a)のB−B線断面における開口断面を示す断面説明図である。
【図3】図3は図1(a)による噴出流の放出状況を示す図1(a)対応図である。
【図4】図4(a)は柱状体の進退移動状況を示す図2(a)対応図であり、図4(b)は種々の進退移動位置における気泡径と気泡数との関係図である。
【図5】気泡発生装置を循環アダプタに内蔵した第2実施形態を適用した風呂システムの例を示す説明図である。
【図6】第2実施形態の気泡発生装置を内蔵した追焚循環用の循環アダプタの斜視図である。
【図7】図6のC−C線断面説明図である。
【図8】図6及び図7の循環アダプタを用いた追い焚き運転の作動原理を示す説明図である。
【図9】図6及び図7の循環アダプタを用いた気泡発生運転の作動原理図を示す図8対応図である。
【図10】切替レバー等を省略した図7の要部の拡大図である。
【図11】飛散防止板の内面側を例示する循環アダプタの分解斜視図である。
【図12】本発明の課題を示すために例示した気泡発生装置の図3対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1(a)は第1実施形態に係る原理的な気泡発生装置1を示す。この気泡発生装置1は、内部に旋回室11を区画形成した本体ハウジング12と、この本体ハウジング12の前側位置に付設された柱状体13とを備えて構成されたものである。旋回室11は中心軸Xを筒軸とする円筒状の内周面を有し、旋回流を生じさせるための水(湯又は水)が内部通路121を通して吐出口122から旋回室11の接線方向に吐出されるようになっている。又、旋回室11後端(図面の右端)には空気吐出口14が中心軸X上に開口されており、外部から取り込まれた空気が後述の負圧の作用により旋回室11内に吸気されるようになっている。旋回室11は前端側で孔径が絞られた噴出ノズル15を通して浴槽B内と連通されている。噴出ノズル15は、旋回室11側で旋回室11よりも内径が絞られた絞り部151と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有し絞り部151から浴槽B内にかけて徐々に拡径する台錐状の斜面により構成された絞り開放部152とで形成されている。
【0029】
前記柱状体13は、図1(b)にも示すように、円柱状又は円筒状の本体部131と、その一端であって噴出ノズル15に臨んで半球状に形成された基端部132と、他端部であって同様に半球状に形成された先端部133とを備えて構成されたものである。図例では密実なものを図示しているが、これに限らず、内部が空間とされた密閉筒で構成してもよいし、又、前記の基端部132の形状を半球状ではなくて円錐状に形成してもよい。
【0030】
そして、前記柱状体13は、中心軸Xに対し旋回室11及び噴出ノズル15と同軸上に配置され、例えば本体ハウジング12に対し支持手段16により支持された状態で中心軸Xに沿って進退移動可能に保持されている。詳しくは、前記柱状体13は、前記の基端部132及び先端部133を除く本体部131が所定量小径とされてネジ部130が形成され、このネジ部130に外嵌されて互いに螺合する環状の保持部164によって中心軸Xに沿って進退移動可能に保持されている。支持手段16は、少なくとも前記の保持部164と、この保持部164から略放射方向に延びて又は外周側に向けて螺旋方向に延びて本体ハウジング12に支持される複数の支持アームとで基本構成することも可能であるが、図例のものは飛散防止板17を兼ねる構成とするために、さらに本体ハウジング12に支持される円環枠部を備え、この円環枠部から前記保持部164に向けて複数の支持アームが放射方向に延びるように構成されている。そして、保持部164の内周面にネジ部165(図2参照)が形成され、このネジ部165と柱状体13のネジ部130とが互いに螺合されている。ネジ部130が所定量小径とされているのは、保持部164が外嵌された状態で保持部164の外径が本来の柱状体13の外径(後述の外径D)と合致するようにするためである。又、ネジ部130はネジ部165よりも中心軸X方向に所定量長くなるように設定され、これにより、中心軸X方向の両側に進退移動し得るようにされている。進退移動量については後述する。ネジ部130はネジ部165によって、柱状体13を進退移動調節可能とする進退位置調整機構が構成されている。
【0031】
飛散防止板17について、まず説明すると、中心軸Xに対し旋回室11及び噴出ノズル15と同軸上で貫通して開口する開口部171と、この開口部171の外周側に拡がる遮蔽壁部172とから構成されている。前記開口部171は噴出ノズル15から浴槽水中に放出される場合の噴出流を通過させる一方、前記遮蔽壁部172は開口部171の外周側領域を遮蔽して浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも低い場合に噴出ノズル15から空気中に噴出流が飛散することを防止するように構成されたものである。そして、前記飛散防止板17は、連結部173により本体ハウジング12に連結されて、本体ハウジング12の浴槽B内に臨む前端面123から所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に支持されている。前記開口部171は、前記の絞り開放部152を構成する斜面の延長面が飛散防止板17との相対向面と交わることで形成される投影円と略同径の内径を有するように形成されている。飛散防止板17の前記の相対向面(本体ハウジング12の前端面123との相対向面)により構成される前記の遮蔽壁部172には凹み部174が形成されている。この凹み部174は、少なくとも開口部171の開口縁位置から外周側のドーナッツ環状の領域に形成されるものであり、望ましくは図例の如く飛散防止板17の外周縁位置(遮蔽壁部172の外周縁位置)までの全領域にわたり形成されている。
【0032】
前記凹み部174の形成により、本体ハウジング12との間の隙間間隔が凹み部174の底位置から本体ハウジング12の前端面123までの間隔となって、凹み部174が非形成の状態の隙間間隔よりも凹み部174を形成した分大きくなる。これにより、本体ハウジング12と飛散防止板17との間の隙間に対し噴出流の放出に伴い発生する環流が外周側から内周側へ流入する際の通過断面積を増大させ、その分、環流の流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0033】
そして、以上の飛散防止板17の開口部171の内周面と、柱状体13の本体部131に螺合状態で外嵌された保持部164とが放射方向に延びる複数(図例では3本)の支持アーム163,163,…によって互いに連結され、これにより、柱状体13が開口部171内を中心軸Xと同軸に貫通配置され、かつ、保持部164に対し回転することで中心軸Xに沿って進退移動し得るようになっている。加えて、柱状体13はその先端部133が飛散防止板17よりも浴室Bの前方に向けて若干飛び出すように位置設定されており、これにより、噴出流が直進性を維持してより遠方まで到達し得るように案内している。なお、支持アーム163の本数は支持剛性が確保できれば1本でもよく、好ましくは2本以上あればよい。以上の飛散防止板17によって、浴槽B内の水位が噴出ノズル15よりも仮に低い場合には、噴出ノズル15から放出される噴出流が水中に放出されるときよりも広い円錐状に拡がった状態で放出されることになるものの、この場合であっても、開口部171範囲よりも外周側の流れは飛散防止板17の遮蔽壁部172に当たり、浴槽Bの前方への飛散が防止されることになる。
【0034】
柱状体13と噴出ノズル15との関係について図2を参照しつつさらに詳細に説明すると、柱状体13の外径(基端部132の最大外径)Dが噴出ノズル15の絞り部151の内径d1よりも大きく(D>d1)、絞り開放部152の最大内径(開口端内径)d2よりも小さく(d2>D)、設定されている。又、柱状体13の中心軸Xに沿った長さLはその外径Dの少なくとも2〜3倍に設定されている。D>d1としているのは、旋回室11から絞り部151に前進した旋回流は絞り部151で絞られて旋回外径が小さくなった後、絞り開放部152を経て浴槽B内の浴槽水中に放出されるに従い旋回外径が前記絞り部151の内径d1よりも大きくなるためである。又、d2>Dとしているのは、絞り部151から絞り開放部152にかけて旋回流の旋回外径が拡大し、浴槽水中に放出されてさらに大きくなるものの、その大きくなるに伴い中心軸近傍領域に負圧が発生するため、この負圧領域よりも大きくならないで、かつ、その負圧領域に相当する領域に柱状体13を存在させて充填させるようにするためである。つまり、柱状体13は噴出ノズル15から放出された直後の噴出流の中心軸近傍領域に生じるであろう負圧領域に相当する領域にほぼ対応する形状に設定されており、外径Dもそのような基準により定めればよい。さらに、柱状体13の長さLを2D〜3Dとしているのは、乱流抑制効果を得られる度合がL=2Dまでの範囲で急増し、2D〜3Dの範囲でほぼ最大に近づいて以後はほぼ同じとなるからである。
【0035】
又、柱状体13と噴出ノズル15との相互の位置関係としては次のようにする。すなわち、前記の絞り部151の開口断面積M1(A−A線断面の図2(b)参照)、及び、絞り開放部152と柱状体13の基端部132との間の傘状でかつドーナッツ環状の開口断面積M2(B−B線断面の図2(c)参照)の両者の関係が互いにほぼ等しいか、M1<M2になるように、柱状体13と噴出ノズル15との相互の位置関係が設定されている。これに従えば、柱状体13はその基端部132の頂点が絞り開放部152の開口端面153上に位置することになるように設定すればよい。つまり、開口端面153と基端部132の頂点とが互いに合致する位置に設定する、あるいは、開口端面153という仮想平面に基端部132の頂点がほぼ接することになる位置に設定すればよいことになる。なお、絞り開放部152の傾斜が多少変動したとしても、柱状体13の基端部132の頂点位置の変動はプラス・マイナスで小数点以下の範囲に止まるため、前記の開口端面153位置とほぼ合致するように基端部132の頂点を位置付ければよいということで一般化し得ることになる。
【0036】
以上の第1実施形態によれば、浴槽B内の浴槽水中に微細気泡を含む噴出流を放出させると、図3に示すように、まず、吐出口122から吐出された水流により旋回室11内の旋回流が発生し、この旋回流に伴い空気吐出口14に対し負圧が作用して、空気吐出口14から空気が旋回流の中心軸X上に巻き込まれることになる。そして、この中空渦状の旋回流が噴出ノズル15の絞り部151で一旦絞られた後に絞り開放部152で急開放される結果、所定の円錐状となった噴出流Fが前方(同図の左方)に放出されることになる。この際、円錐状に旋回流が拡大するため中心軸Xの側の内径側に負圧が生じることで、この負圧作用に基づき微細化した微細気泡を噴出流は含むことになる。その一方、本来であれば、その噴出流の前進に従い負圧領域がより拡大して乱流発生の要因となるものの、本実施形態では噴出ノズル15の開口端面153に接近して中心軸X上に柱状体13が存在しているため、絞り開放部152からの噴出流の急開放に伴う負圧発生に基づき微細気泡を生成させつつも、それ以後の噴出流が柱状体13の外表面に沿って前方に移動するようになって、以後の過度の負圧発生が柱状体13の存在により抑制・防止されることになる。以上の結果、微細気泡の生成を効果的に行いつつも、乱流の発生を抑制・防止して噴出流をスムーズに前進させることができ、これにより、より良質な微細気泡を含んだ噴出流をより遠方まで到達させることができるようになる。なお、図3では微細気泡を誇張して図示している。又、図3では飛散防止板17の図示を省略しているが、噴出ノズル15の絞り開放部152からの噴出流は開口部171(図1参照)内を通過しつつ、その中心軸X寄りの内周側が柱状体13の外表面に沿って前進することになって、柱状体13による作用・効果を前記の如く得ることができる。
【0037】
さらに、柱状体13は、その基端部132が噴出ノズル15の絞り開放部152の開口端面153の近傍に位置した状態を基準位置として設定されている。図4には基端部132が開口端面153と合致した位置を基準位置Kとした場合を例示している。そして、基端部132が基準位置Kから噴出ノズル15により近づく側を(−)側(後退側)、噴出ノズル15からより遠ざかる側を(+)側(前進側)として、それぞれ所定量だけ進退移動し得るようにされている。つまり、このような進退移動量が確保されるようにネジ部165に対するネジ部130の中心軸X方向長さが設定されている。
【0038】
具体的な例を挙げると、基準位置Kに基端部132が位置する場合には前述の如く均一な微細気泡がより遠くまで届く状態とされる一方、基準位置Kから後退側に例えば2mm(K位置から−2mm)移動させた位置K1に基端部132が位置するように柱状体13を移動させると生成される微細気泡の径は極小となり、逆に基準位置Kから前進側に例えば2mm(K位置から+2mm)移動させた位置K2に基端部132が位置するように柱状体13を移動させると旋回噴出流と基端部132表面との間に負圧に起因する乱流が発生又は増大し、生成された微細気泡同士が衝突し合ってより大径の気泡に結合されることになる。
【0039】
図4(b)に示すように基準位置Kにおいては気泡径が例えば20μmを中心にほぼ均一な微細気泡が生成されるのに対し、位置K1では気泡径がより小さく極小となったもののみとなり、逆に、位置K2では気泡径分布がより大きいものを含んでばらつくようになる。位置K1の場合には、噴出流自体に極小の微細気泡が混じって全体がもや状又は霧状の噴出流となって浴槽内に噴出されることになる。これにより、やさしく安らかな気泡浴を実現させることができる。一方、位置K2の場合には、より大径の気泡を含んだ噴出流が身体に当たることによっていわゆるジェットバスの如き適度なマッサージ効果を得ることができる。これらをユーザが自分で例えば先端部133を摘んで回転させることで柱状体13を進退移動させて、自己の好みに応じた気泡を生成させることができるようになる。
【0040】
なお、前記のネジ部130と、ネジ部165との中心軸X方向の長さ設定によって、基準位置Kを挟んで位置K1を(−)側の最大とし、位置K2を(+)側の最大とする進退移動範囲に規制するようにしてもよい。これにより、ユーザによる調節を許容しつつも、本来の微細気泡の発生が得られない範囲まで回転操作されることを抑制することができる。又、出荷時には柱状体13を基準位置Kに初期設定しておくことで、初期設定では所定の均一径の微細気泡の噴出流を得ることができ、基準位置Kから前記の位置K1,K2への進退移動調節で好みの気泡噴出状態に変更調節することができるようになる。この変更調節は、例えば前記の(−)側・(+)側に2mmの進退移動量は、ネジ部130,165の例えば4回転操作に相当するように設定されており、2mmという短い寸法ではあるが、0.5mm/1回転操作という回転操作によって的確に進退移動させることができる。
【0041】
このような作用効果が得られる進退位置調整機構としては、前述のネジ機構を用いて構成してもよいが、これに限らず、カム機構を用いて基準位置Kから(−)側の最大位置K1へ、又は、(+)側の最大位置K2へ進退位置変換可能に構成することもでき、さらに、内蔵ノック式位置変換機構を用いて進退位置変換可能に構成することができる。又、ネジ機構を用いる場合であっても、保持部165と柱状体13との螺合ではなくて、例えば支持手段16(飛散防止板17)と本体ハウジング12とをネジ機構を介して進退移動可能に支持させることで、支持手段16に固定した柱状体を進退移動可能に構成するようにしてもよい。
【0042】
<第2実施形態>
図5は第2実施形態の気泡発生装置を適用した風呂システムを示す。この風呂システムは、浴槽Bと、風呂用の追い焚き循環機能を備えた給湯器2と、戻り路31及び往き路32からなり浴槽B及び給湯器2を互いに接続する追い焚き循環配管3と、第2実施形態に係る後述の気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4とを備えて構成されたものである。
【0043】
給湯器2は、例えば、追い焚き用熱交換器21と、これを加熱する燃焼バーナ22とを備えているものである。なお、給湯器2としては、追い焚き加熱用の構成を備えていれば、追い焚き用と給湯用とに互いに独立した缶体を備えた2缶2水式のものであるか、追い焚き用と給湯用とを共用する1缶2水式であるか、あるいは、温水循環式暖房回路が組み込まれて、その高温水を熱源とする液−液熱交換器により追い焚き加熱されるものであるかの別は問わず、いずれのものでも適用可能である。
【0044】
浴槽Bには、その一側壁面の底部近傍に循環アダプタ4が貫通した状態で設置され、この循環アダプタ4に対し、追い焚き循環配管3の戻り路31の上流端と、往き路32の下流端とが接続されている。そして、給湯器2内の循環ポンプ23が作動されると、浴槽B内の浴槽水(湯又は水)が循環アダプタ4及び戻り路31を通して給湯器2の熱交換器21に戻され、次いで、往き路32及び循環アダプタ4を通して浴槽B内に吐出される、という循環流が生じて循環作動されることになる。この循環作動の際に、燃焼バーナ22が燃焼作動されると、浴槽Bから戻された浴槽水が所定温度まで加熱されて追い焚きされる追い焚き運転モードになり、燃焼バーナ22が非燃焼状態のままであると、浴槽水による循環流のみが生じて気泡発生運転モードとなる。
【0045】
循環アダプタ4は、浴槽Bに対しその内側に配設される前面カバー体41及び飛散防止板47(図6も参照)と、主として浴槽Bの外側に配設される本体ハウジングを兼ねるアダプタ本体42とが一体化されて組み付けられるものであり、戻り路31に接続される戻り用接続口421と、往き路32に接続される往き用接続口422とがアダプタ本体42の後端から突出されるとともに、アダプタ本体42の後端面には空気取り入れ部51が設けられている。
【0046】
前面カバー体41は外周側のドーナッツリング状の部位を覆うものであり、その表面には多数の微小孔からなるフィルタ部材410が装着されている。この前面カバー体41の内周側領域には飛散防止板47が付設され、この飛散防止板47の前面上部位置には微細気泡を含む噴出流が放出(吐出又は噴出)される開口部471が開口形成されている。又、飛散防止板47の前面下部位置には半月状の案内開口472から切替レバー431が円弧状に往復移動可能に突出されている。この切替レバー431は、追い焚き運転モードと気泡発生運転モード(バブル温浴運転モード)との切換えを行うための操作部を構成し、この切替レバー431を備えた後述の切換弁機構43がアダプタ本体42内に組み込まれている。
【0047】
図7は気泡発生装置5が組み込まれた循環アダプタ4を図6のC−C線における断面図として示すものであり、図8又は図9は循環アダプタ4の詳細構造を省略して原理的な構造を示すものである。
【0048】
まず、循環アダプタ4の概略構造について主として図8又は図9を参照しつつ説明する。循環アダプタ4は、前述の循環ポンプ23(図5参照)の作動により浴槽B内から浴槽水を吸い込んで戻り路31に流すための吸い込み流路44と、往き路32からの循環水(浴槽水)を浴槽B内にそのまま流す追い焚き吐出流路45と、同様に往き路32からの循環水に対し微細気泡を含んだ状態で浴槽B内に噴出流として吐出させる気泡吐出流路46と、前記往き路32からの循環水を追い焚き吐出流路45の側に流す(追い焚き運転モード)か、気泡吐出流路46の側に流す(気泡発生運転モード)かのいずれかに切換える切換弁機構43とを備えている。
【0049】
吸い込み流路44は、図8又は図9に矢印Rで示すように、フィルタ部材410を介して前面カバー体41の外周領域から吸い込まれた浴槽水を合流させた後に戻り用接続口421まで導くように延びている。追い焚き吐出流路45は、図8に矢印Gで示すように、往き用接続口422からの循環水を分流室451に導いた後に開閉切換口452を通して前面カバー体41の下側に導き、その下側領域の外周面に開口する追い焚き吐出口453から浴槽B内に吐出するように延びている。
【0050】
気泡吐出流路46は、図9に矢印Bで示すように、往き用接続口422からの循環水を前記分流室451を介して内部通路としての分流路461に導いた後、吐出口462から旋回室463に噴出させて旋回室463に旋回流を生じさせ、空気吐出口52から吸気した空気により微細気泡を含んだ噴出流として噴出ノズル464及び開口部471を通して浴槽B内の前方に向けて放出させるように延びている。前記旋回室463はその内周面が円筒状に形成され、前記吐出口462はその旋回室463に対し接線方向に分流室451からの循環水を吐出させるように開口されている。この吐出口462からの循環水の吐出により旋回室463内に噴出ノズル464の側に向かう旋回流が生じ、この旋回流の発生に伴い気泡発生装置5の後述の空気吐出口52に対し負圧が作用することにより、空気吐出口52から空気が旋回流の中心に吸気されるようになっている。そして、旋回室463内の旋回流が内径の絞られた噴出ノズル464から急拡散される結果、微細気泡が混合した状態の噴出流となって浴槽B内に放出されることになる。
【0051】
切換弁機構43は、前端に切替レバー431が固定されて分流室451を突き抜けるように配置された切換軸432と、この切換軸432の途中に設けられた第1切換弁433及び第2切換弁434と、第1切換弁432を挟んで配置された形状記憶合金製バネ435及びバイアスバネ436とを備えて構成されている。この切換弁機構43は、分流室451に供給される循環水の温度の高低如何によって追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの自動切換が可能であると共に、切替レバー431の切換操作によっても追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとの切換が可能となっている。例えば、分流室451に供給される循環水の温度が追い焚き用の高温(例えば80℃)であれば形状記憶合金製バネ435が伸長し、これにより第1切換弁433が分流路461を遮断する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を開放した追い焚き運転モードに自動切換される(図8に示す状態参照)。一方、循環水の温度が前記の追い焚き用の高温よりも低温であれば形状記憶合金製バネ435が縮小し、これにより第1切換弁433が分流路461を開放する一方、第2切換弁434が開閉切換口452を遮断した気泡発生運転モードに自動切換される(図9に示す状態参照)。又、切替レバー431の切換操作により切換軸432を回転作動させることによっても、同様に追い焚き運転モードと気泡発生運転モードとに切換操作し得るようになっている。
【0052】
次に、気泡発生装置5についてより詳細に説明すると、図10に示すように、アダプタ本体42内に区画形成された旋回室463の前端側が噴出ノズル464を通して浴槽内と連通されている。この噴出ノズル464が開口するアダプタ本体42の前端面にはノズルガイド部481が形成されたノズルガイド48がネジ482により取り付けられ、このノズルガイド48に対し飛散防止板47が着脱可能に取り付けられるようになっている。前記ノズルガイド部481は、前方(同図の左方)に向けて徐々に拡径する台錐状のガイド面を備え、旋回室463、噴出ノズル464及び飛散防止板47の開口部471と共に中心軸Xと同軸に配設されている。飛散防止板47にはその後端面の上下各位置から係止爪473(図11も併せて参照)がノズルガイド48に向けて突出するように形成される一方、この各係止爪473と対応する位置のノズルガイド48には係止爪473と着脱可能に係合する係合孔483,483が形成されている。そして、係止爪473,473を係合孔483,483に押し入れて係合させることで、飛散防止板47がノズルガイド48に取り付けられるようになっている。なお、図10では上側の係止爪及び後述の支持アーム163の図示を省略し、図10及び図11のいずれでも切替レバー等の図示を省略している。
【0053】
前記の飛散防止板47は、開口部471の外周側領域が空気中に噴出流が放出される場合の飛散防止の機能を果たす遮蔽壁部474を構成し、この遮蔽壁部474のノズルガイド部481側の後端面に凹み部475が形成されている。この凹み部475は開口部471の外周側領域のドーナッツ環状領域に形成されたものであり、凹み部475と開口部471との境界位置となる開口縁位置にはノズルガイド48の側に尖るように突出する突縁476が形成されている。凹み部475の形成により、アダプタ本体42側であるノズルガイド部481との間の隙間間隔をより大きくして、第1実施形態で説明したと同様に、環流Kが外周側から内周側(中心軸Xの側)へ流入する際の通過断面積を増大させ、その分、環流Kの流入に伴う圧力損失を低減させてスムーズに流入し得るようにしている。
【0054】
そして、前記開口部471内には、柱状体13が支持アーム163,163,…(図6又は図11参照)によって中心軸Xと同軸上に貫通配置された状態で支持されている。又、前記柱状体13の形状等や進退位置調整機構により進退移動調節可能等の構成点、噴出ノズル464が絞り部と絞り開放部とで構成される点、柱状体13と噴出ノズル464とのサイズ上の関係や位置関係等の点は、第1実施形態で説明したものと同じである。加えて、柱状体13の先端部133が飛散防止板47よりも浴室Bの前方に向けて若干飛び出すように配置されており、これにより、噴出流が直進性を維持してより遠方まで到達し得るように案内している点も同様である。
【0055】
以上の第2実施形態により、第1実施形態で説明した気泡発生装置1をより具体化した気泡発生装置5を循環アダプタ4に内蔵し得るようにすることができ、循環アダプタ4において第1実施形態で説明したと同様の作用効果を得ることができるようになる。とりわけ、進退位置調整機構による柱状体13の進退位置調節により気泡の性状をユーザの好みに応じて変更することができるようになる。
【0056】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記各実施形態では、気泡発生装置1や、気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4が浴槽Bの一側の壁面に設置された例を示したが、これに限らず、気泡発生装置1や前記の循環アダプタ4を浴槽Bの底側の壁面(底壁面)に設置し、気泡を含む噴出流が浴槽水に対し上向きに放出されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,5 気泡発生装置
4 循環アダプタ
11 旋回室
13 柱状体
15,464 噴出ノズル
17,47 飛散防止板
130,165 ネジ部(進退位置調整機構,ネジ機構)
132,132a 基端部(噴出ノズルに臨む側の端部)
133 先端部(浴槽内に臨む側の端部)
151 絞り部
152 絞り開放部
153 開口端面
171,471 開口部
172,472 遮蔽壁部
B 浴槽
F 噴出流
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を含む旋回流状態の噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルを備えた気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルの正面位置に、全体が円筒状又は円柱状の形状を有しかつ前記噴出ノズルに臨む側の端部が半球状又は円錐状に形成された柱状体が、前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に配設され、かつ、進退位置調整機構により前記噴出ノズルの中心軸に沿って進退位置調整可能に保持されてなる、
ことを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気泡発生装置であって、
前記進退位置調整機構は、前記柱状体に対し直接的に又は間接的に係合されたネジ機構により構成されている、気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の気泡発生装置であって、
前記柱状体は、前記噴出ノズルから放出された直後の噴出流においてその中心軸寄りに発生する負圧領域に対応する大きさを備えている、気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記柱状体は、前記噴出ノズルに臨む側の端部が前記噴出ノズルの浴槽内に向けて開口する開口端面の近傍に位置した状態を基準位置として初期位置設定されている、気泡発生装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルは、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成され、
前記柱状体は、前記噴出ノズルに臨む側の端部と前記絞り開放部とで区画される両者間のドーナッツ環状の開口断面積が、前記絞り部の開口断面積と同等か、この絞り部の開口断面積よりも大きくなるように位置設定されている、気泡発生装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルは、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成され、
前記柱状体は、その外径が前記絞り部の内径以上で、かつ、前記絞り開放部の最大内径以下の寸法を有するように設定されている、気泡発生装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板を備え、前記飛散防止板が前記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して前記噴出流の飛散を防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されており、
前記柱状体が前記開口部に対し前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に貫通配置されるように支持アームを介して支持されている、気泡発生装置。
【請求項8】
浴槽に設置される循環アダプタであって、
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の気泡発生装置が内蔵されている、
ことを特徴とする循環アダプタ。
【請求項1】
微細気泡を含む旋回流状態の噴出流を浴槽内に放出させるための噴出ノズルを備えた気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルの正面位置に、全体が円筒状又は円柱状の形状を有しかつ前記噴出ノズルに臨む側の端部が半球状又は円錐状に形成された柱状体が、前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に配設され、かつ、進退位置調整機構により前記噴出ノズルの中心軸に沿って進退位置調整可能に保持されてなる、
ことを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気泡発生装置であって、
前記進退位置調整機構は、前記柱状体に対し直接的に又は間接的に係合されたネジ機構により構成されている、気泡発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の気泡発生装置であって、
前記柱状体は、前記噴出ノズルから放出された直後の噴出流においてその中心軸寄りに発生する負圧領域に対応する大きさを備えている、気泡発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記柱状体は、前記噴出ノズルに臨む側の端部が前記噴出ノズルの浴槽内に向けて開口する開口端面の近傍に位置した状態を基準位置として初期位置設定されている、気泡発生装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルは、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成され、
前記柱状体は、前記噴出ノズルに臨む側の端部と前記絞り開放部とで区画される両者間のドーナッツ環状の開口断面積が、前記絞り部の開口断面積と同等か、この絞り部の開口断面積よりも大きくなるように位置設定されている、気泡発生装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルは、旋回室よりも内径が絞られた絞り部と、開口断面積が徐々に拡大するように扇状の断面を有して浴槽に開口する絞り開放部とを備えて構成され、
前記柱状体は、その外径が前記絞り部の内径以上で、かつ、前記絞り開放部の最大内径以下の寸法を有するように設定されている、気泡発生装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の気泡発生装置であって、
前記噴出ノズルから所定の隙間間隔だけ離れた前側位置に付設された飛散防止板を備え、前記飛散防止板が前記噴出流を通過させるための開口部と、この開口部の外周側に拡がる領域を遮蔽して前記噴出流の飛散を防止するための遮蔽壁部とを備えて構成されており、
前記柱状体が前記開口部に対し前記噴出ノズルの中心軸と同軸上に貫通配置されるように支持アームを介して支持されている、気泡発生装置。
【請求項8】
浴槽に設置される循環アダプタであって、
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の気泡発生装置が内蔵されている、
ことを特徴とする循環アダプタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−152462(P2012−152462A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15513(P2011−15513)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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